JP6057293B2 - Co(OH)2垂直配向グラフェン/CNT複合体、その製造方法、Co(OH)2垂直配向グラフェン/CNT複合体電極及びCo(OH)2垂直配向グラフェン/CNT複合体キャパシター - Google Patents

Co(OH)2垂直配向グラフェン/CNT複合体、その製造方法、Co(OH)2垂直配向グラフェン/CNT複合体電極及びCo(OH)2垂直配向グラフェン/CNT複合体キャパシター Download PDF

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本発明は、Co(OH)垂直配向グラフェン/カーボンナノチューブ複合体(以下、Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体と表記する場合がある。)、その製造方法、Co(OH)垂直配向グラフェン/カーボンナノチューブ複合体電極(以下、Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体電極と表記する場合がある。)及びCo(OH)垂直配向グラフェン/カーボンナノチューブ複合体キャパシター(以下、Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体キャパシターと表記する場合がある。)に関する。
携帯電子機器、ハイブリッド電気自動車、電気自動車等に必要とされる高効率エネルギー貯蔵デバイスの一つとしてキャパシターがある。キャパシターは、操作機構が単純で、チャージ生成効率が高いデバイスであり、サイクル寿命が100000サイクル以上に長寿命化されている。
キャパシターの電極材料として、カーボン系材料の一つで、単位量当たりの活性表面積が広いグラフェンが研究開発されている。
しかし、グラフェンは活性表面同士で互いに容易に重なり合って、ファンデルワールス力により塊状となり、単位量当たりの活性表面積を小さくしてしまうという問題があった。このような塊状のグラフェンを用いた場合、キャパシター性能は大きく低下した。
図8は、グラフェンへイオンが接する様子を説明する図(a)と、再スタックしたグラフェンにイオンが接する様子を説明する図(b)である。
図8(a)に示すように、グラフェンが1枚で分離した状態である場合には、活性表面にイオンが容易に接することができ、活性表面上で反応を行うことができる。しかし、図7(b)に示すように、グラフェンが活性表面同士で互いに容易に重なり合って塊状となった場合には、重なり合った活性表面にイオンは容易には接することができず、活性表面上での反応効率を低下させた。
そのため、グラフェンを用いたキャパシター材料に、様々な改良のアプローチがなされている。
例えば、金属水酸化物又は金属酸化物をカーボン材料上に被膜した電極等がある。被膜する金属水酸化物としてはCo(OH)のようなコバルト水酸化物が検討されている(非特許文献1〜5)。コバルト水酸化物は、層間距離が広い層構造を有するので、層間にイオンを素早く出し入れでき、活性物質の表面となる層面にイオンを効率的に供給でき、電極材料として、特に優れた材料であるためである。また、被膜する金属酸化物としてはコバルト酸化物も検討されている(非特許文献6、7)。
また、活性表面間にカーボンナノチューブを介在させることにより、このような塊の形成を防いだグラフェンとカーボンナノチューブの複合体からなる電極を用いたキャパシターの報告もある(非特許文献8)。
しかし、これらのキャパシター電極材料でも、サイクル寿命が短く、十分な特性が得られていなかった。
Vinay Gupta,Teruki Kusahara,Hiroshi Toyama,Shubhra Gupta,Norio Miura,Electochemistry Communications 9(2007)2315 Yan−Yu Liang,Lin Cao,Ling−Bin Kong,Hu−Lin Li,Journal of Power Sources 136(2004)197−200 Ting Zhao,Hao Jiang,Jan Ma,Journal of Power Sources 196(2011)860−864 Zhaoping Liu,Renzhi Ma,Minoru Osada,Kazunori Takada and Takayoshi Sasaki,JACS,published on Web 09/17/2005 Jing Zhang,Ling−Bin Kong,Jian−Jun Cai,Yong−Chun Luo,Long Kang,J Solid State Electrochem(2010)14:2065−2075 Cheng Chao Li,Xiao Ming Yin,Li Bao Chen,Qin Hong Li and Tai Hong Wang,APPLIED PHYSICS LETTERS 97,042501(2010) Junwei Lang,Xingbin Yan,Qunji Xue,Journal of Power Sorces 196(2011)7841−7846 Cheng,Q.,et al.,Physical Chemistry Chemical Physics、2011.13(39)、p.17615−17624
本発明は、比容量が高く、サイクル寿命の長い、Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体、その製造方法、Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体電極及びCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体キャパシターを提供することを課題とする。
本発明者は、グラフェン/CNT複合体の表面の垂直方向にCo(OH)を結晶成長させて、グラフェン/CNT複合体をCo(OH)で被膜することにより、これを集積させても、Co(OH)からなる多孔構造を作成することができ、グラフェン/CNT複合体表面への電子移動パスやイオン拡散パスを確保でき、これらの電子やイオンを効率よく活性物質上でレドックス反応に関与させることができ、キャパシター性能を向上させることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(8)に示される構成を有する。
(1) 表面に結晶成長させたCo(OH)の板状結晶を有するグラフェンとカーボンナノチューブとの複合体からなることを特徴とするCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体。
(2) 板状結晶であるCo(OH)の主面がグラフェンの表面に接することなく、その側面のみがグラフェンの表面に接するように、グラフェンの表面にCo(OH)が結晶成長されていることを特徴とする(1)に記載のCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体。
(3) Co(OH)の径が50nm以上400nm以下であり、厚さが20nm未満であることを特徴とする(2)に記載のCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体。
(4) グラフェン/CNT複合体を作成する工程と、前記グラフェン/CNT複合体を、塩化コバルト又はコバルト塩の電解液中で電着処理して、グラフェンの表面にCo(OH)を結晶成長させたCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体を作成する工程と、を有することを特徴とするCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体の製造方法。
(5) 前記電着処理が、塩化コバルト又はコバルト塩の電解液中で、前記グラフェン/CNT複合体を仕事電極にして、対電極及び参照電極を用いて、電圧を印加する処理であることを特徴とする(4)に記載のCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体の製造方法。
(6) 前記塩化コバルトがCoClであり、前記コバルト塩が酢酸コバルト又は硫酸コバルトであることを特徴とする(5)に記載のCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体の製造方法。
(7) (1)〜(3)のいずれかに記載のCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体が板状電極の一面に形成されてなることを特徴とするCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体電極。
(8) (7)に記載のCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体電極が2枚、電解液含浸層を挟み、対向配置されていることを特徴とするCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体キャパシター。
本発明のCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体は、表面に結晶成長させたCo(OH)の板状結晶を有するグラフェンとカーボンナノチューブとの複合体からなる構成なので、グラフェンの表面に高密度で板状結晶を成長させ、集積してもグラフェンの表面活性を低下させないようにでき、比容量が高く、サイクル寿命の長いキャパシターを構成可能な電極材料に用いることができる。
本発明のCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体の製造方法は、グラフェン/CNT複合体を作成する工程と、前記グラフェン/CNT複合体を、塩化コバルト又はコバルト塩の電解液中で電着処理して、グラフェンの表面にCo(OH)を結晶成長させたCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体を作成する工程と、を有する構成なので、容易に、短時間で、グラフェンの表面に高密度で板状結晶を成長させ、集積してもグラフェンの表面活性を低下させないようにでき、比容量が高く、サイクル寿命の長いキャパシターを構成可能な電極材料に用いることができるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体を作成できる。
本発明のCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体電極は、先に記載のCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体が板状電極の一面に形成されてなる構成なので、比容量が高く、サイクル寿命の長いキャパシターを構成可能な電極とすることができる。
本発明のCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体キャパシターは、先に記載のCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体電極が2枚、電解液含浸層を挟み、対向配置されている構成なので、比容量が高く、サイクル寿命の長いキャパシターとすることができる。
本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体キャパシターの一例を示す模式図であって、平面図(a)と側面図(b)である。 本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体の一例を示す模式図であって、平面図(a)、側面図(b)、(a)のA部拡大図(c)、(b)のB部拡大図(d)である。 グラフェン酸化物作成工程とグラフェン作成工程を説明する工程図である。 グラフェンからCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体への製造工程の一例を示す工程図である。 実施例1のTEM像(a)、拡大TEM像(b)、SEM像(c)、拡大SEM像(d)である。 実施例1のTEM像(a)、STEM像(b)、C成分マッピング像(c)、O成分マッピング像(d)、Co成分マッピング像(e)である。 実施例1のCV曲線(a)、ガルバノスタティック・チャージ・ディスチャージ曲線(b)、EISのナイキスト・プロット(c)、サイクル特性(d)である。 グラフェンへイオンが接する様子を説明する図(a)と、再スタックしたグラフェンにイオンが接する様子を説明する図(b)である。
(本発明の実施形態)
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体、その製造方法、Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体電極及びCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体キャパシターについて説明する。
<Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体キャパシター>
まず、本発明の実施形態であるキャパシターについて説明する。
図1は、本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体キャパシターの一例を示す模式図であって、平面図(a)と側面図(b)である。
図1(a)に示すように、本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体キャパシター1は、平面視略円形状である。しかし、この平面視形状に限られるものではなく、矩形状、多角形状としてもよい。
図1(b)に示すように、本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体キャパシター1は、2枚の本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体電極21が、電解液含浸層13を挟み、対向配置されて、概略構成されている。電解液含浸層13は、セパレーターを兼ねる。
対称電極の構成としたが、例えば、正極がCo(OH)コーティングしたGraphene/CNTであり、負極がGraphene/CNTである非対称電極の構成としてもよい。
コインセルとする場合には、2枚のCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体電極21それぞれにコインセルキャップを接触させて、キャパシターを構成する。この場合、ガスケット、スプリング、スチールスペーサーなどをコインセル内に介在させる。
Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体キャパシターは、電気二重層キャパシターであり、スーパーキャパシターの一つである。
<Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体電極>
図1(b)に示すように、本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体電極21は、本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体12が板状電極11の一面に形成されてなる。
板状電極11は、例えば、ステンレス鋼(Stainless steel)、チタン(Titanium)、ニッケル(Nickel)等の金属を用いる。板状電極11は、集電極(current collector)として利用する。
Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体12の膜厚は、100nm以上10μm以下とする。これにより、比容量の高い電気二重層キャパシターを形成できる。
<Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体>
次に、本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体について説明する。
図2は、本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体の一例を示す模式図であって、平面図(a)、側面図(b)、(a)のA部拡大図(c)、(b)のB部拡大図(d)である。
図2(a)に示すように、本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体12は、平面視略円形状である。しかし、この平面視形状に限られるものではなく、矩形状、多角形状としてもよい。
図2(c)、(d)に示すように、Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体12は、表面に結晶成長させたCo(OH)の板状結晶33を有するグラフェン31とカーボンナノチューブ32との複合体からなる。
カーボンナノチューブ32は2枚のグラフェン31の間に介在している。
板状結晶であるCo(OH)の主面がグラフェンの表面に接することなく、その側面のみがグラフェンの表面に接するように、グラフェンの表面に垂直配向させてCo(OH)が結晶成長されている。これにより、外部から表面に連通した多数の細孔33cからなる多孔構造が形成されている。これを電子及び/又はイオンの活性表面への供給パスとして利用でき、グラフェンの高い活性表面の性能を維持することができる。
Co(OH)の径が50nm以上400nm以下であり、厚さが20nm未満である。これにより、400nm以下の径の細孔からなる多孔構造を形成することができる。
<Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体電極の製造方法>
次に、本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体の製造方法について説明する。
まず、原料となるグラフェンを、修正ハマース−オフマン法(Modified Hummers−Offeman method)により合成する。この方法は、グラファイトからグラフェン酸化物を作成するグラフェン酸化物作成工程と、グラフェン酸化物を還元してグラフェンを作成するグラフェン作成工程とからなる。
図3は、グラフェン酸化物作成工程とグラフェン作成工程を説明する工程図である。
(グラフェン酸化物作成工程)
まず、フラスコ中で、グラファイトとNaNOを混合する。
次に、フラスコ中に、HSO(95%)を加える。
次に、アイスバス中でかき混ぜ、懸濁液とする。
次に、懸濁液に過マンガン酸カリウム(potassium permanganate)を加える。
次に、懸濁液を室温で所定時間(例えば、2時間)かき混ぜる。
次に、懸濁液を希釈し、98℃で所定時間(例えば、12時間)かき混ぜる。
次に、Hを加える。
次に、生成物を酸性水溶液(例えば、5%HCl及び脱イオン水)で洗浄する。
次に、遠心分離し、濾過してから、真空乾燥する。
以上の工程により、黒い粉末状のグラフェン酸化物を作成する。
(グラフェン作成工程)
まず、グラフェン酸化物を蒸留水に分散し、所定時間(例えば、30分間)、超音波を照射する。
次に、懸濁液を100℃に加熱する。
次に、ヒドラジン水和物を加える。
次に、懸濁液を98℃で所定時間(例えば、24時間)加熱し、グラフェン酸化物をグラフェンに還元する。
次に、濾過により、還元したグラフェンを収集する。
次に、収集物を蒸留水で洗浄し、過剰なヒドラジンを除去する。
次に、水中に再分散し、超音波を印加してから、遠心分離する。
次に、真空濾過により、最終生成物を収集する。
以上の工程により、グラフェンを作成する。
図4は、本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体の製造方法の一例を示す工程図である。
図4に示すように、本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体の製造方法は、グラフェン/CNT複合体作成工程S1と、Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体作成工程S2と、を有する。
(グラフェン/CNT複合体作成工程S1)
まず、上記工程で作成したグラフェンを、カーボンナノチューブ(CNT)とともに、アルコール(例えば、エタノール)中で混合する。
次に、真空濾過する。
以上の工程により、フィルム状のグラフェン/CNT複合体を作成する。
(Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体作成工程S2)
次に、塩化コバルト又はコバルト塩の電解液中に、フィルム状のグラフェン/CNT複合体を仕事電極(working electrode)にして一端側を浸漬させる。また、対電極(counter electrode)及び参照電極も一端側を浸漬させる。
対電極としてプラチナ・プレートを用いる。また、参照電極として飽和Ag/AgCl参照電極を用いる。仕事関数と対電極との間の距離は、例えば、1.5cmに固定する。
コバルト塩としては、二価コバルトの酢酸塩である酢酸コバルト(II)(Cobalt(II) acetate:Co(C・4HO)、二価コバルトの硫酸塩である硫酸コバルト(II)(Cobalt(II) sulfate:CoSO)を挙げることができる。
塩化コバルトとしては、CoClで表される塩化コバルト(II)(Cobalt(II) chloride)を挙げることができる。
塩化コバルト又はコバルト塩の電解液は、アルコール溶液とする。10%エタノール溶液が好ましい。塩化コバルト又はコバルト塩の濃度は、例えば、1Mとする。また、水酸化カリウム(Potassium hydroxide)を分散させることが好ましい。
次に、それぞれの電極を電源に接続し、電極間に電圧を印加して、グラフェン/CNT複合体のグラフェンの表面にCo(OH)を結晶成長させる電着(カソード蒸着)処理する。
電着処理工程は核形成工程と結晶成長工程の2段階で行うことが好ましい。
核形成工程は、室温で1mA以下の電流を流す工程である。この工程で、グラフェン表面に結晶成長のための核を形成できる。
結晶成長工程では、5mA/cm以上の電流密度とする工程である。この工程で、核から表面に垂直な方向に伸長するように結晶成長させることができる。
それぞれの電圧印加時間、すなわち、電流を流す時間を制御することにより、形成する核の数、大きさ、結晶成長速度、結晶の大きさ等を制御でき、膜の厚さ、密度を制御することができる。
本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体12は、表面に結晶成長させたCo(OH)の板状結晶33を有するグラフェン31とカーボンナノチューブ32との複合体からなる構成なので、グラフェンの表面に高密度で板状結晶を成長させ、集積してもグラフェンの表面活性を低下させないようにでき、比容量が高く、サイクル寿命の長いキャパシターを構成可能な電極材料に用いることができる。
本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体12は、板状結晶33であるCo(OH)の主面がグラフェン31の表面に接することなく、その側面のみがグラフェン31の表面に接するように、グラフェン31の表面に垂直配向させてCo(OH)が結晶成長されている構成なので、グラフェンの表面に高密度で板状結晶を垂直配向させて成長させ、多孔構造を形成し、集積してもグラフェンの表面活性を低下させず、イオンパスを確保でき、比容量が高く、サイクル寿命の長いキャパシターを構成可能な電極材料に用いることができる。
本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体12は、Co(OH)の径が50nm以上400nm以下であり、厚さが20nm未満である構成なので、密な細孔からなる多孔構造を形成でき、比容量が高く、サイクル寿命の長いキャパシターを構成可能な電極材料に用いることができる。
本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体12の製造方法は、グラフェン/CNT複合体を作成する工程と、前記グラフェン/CNT複合体を、塩化コバルト又はコバルト塩の電解液中で電着処理して、グラフェンの表面にCo(OH)を結晶成長させたCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体を作成する工程と、を有する構成なので、容易に、短時間で、グラフェンの表面に高密度で板状結晶を成長させ、集積してもグラフェンの表面活性を低下させないようにでき、比容量が高く、サイクル寿命の長いキャパシターを構成可能な電極材料に用いることができるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体を作成できる。
本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体12の製造方法は、前記電着処理が、塩化コバルト又はコバルト塩の電解液中で、前記グラフェン/CNT複合体を仕事電極にして、対電極及び参照電極を用いて、電圧を印加する処理である構成なので、容易に、短時間で、Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体を作成できる。
本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体12の製造方法は、前記塩化コバルトがCoClであり、前記コバルト塩が酢酸コバルト又は硫酸コバルトである構成なので、容易に、短時間で、Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体を作成できる。
本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体電極21は、Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体12が板状電極11の一面に形成されてなる構成なので、比容量が高く、サイクル寿命の長いキャパシターを構成可能な電極とすることができる。
本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体キャパシター1は、Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体電極21が2枚、電解液含浸層13を挟み、対向配置されている構成なので、比容量が高く、サイクル寿命の長いキャパシターとすることができる。
本発明の実施形態であるCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体、その製造方法、Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体電極及びCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体キャパシターは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。本実施形態の具体例を以下の実施例で示す。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<グラフェン酸化物の作成>
次のようにして、修正ハマース−オフマン法(Modified Hummers−Offeman method)により、グラファイトからグラフェン酸化物を合成した。
まず、フラスコ中で、グラファイトとNaNOを混合した。
次に、フラスコ中に、HSO(95%)を加えた。
次に、アイスバス中でかき混ぜた。
次に、懸濁液に過マンガン酸カリウム(potassium permanganate)を加えた。
次に、懸濁液を室温で2時間かき混ぜた。懸濁液は、明るいブラウン色となった。
次に、懸濁液を希釈し、98℃で12時間かき混ぜた。
次に、Hを加えた。
次に、生成物を5%HCl及び脱イオン水で洗浄した。
次に、遠心分離し、濾過してから、真空乾燥した。
以上の工程により、黒い粉末状のグラフェン酸化物を作成した。
<グラフェンの作成:グラフェン酸化物の還元>
まず、グラフェン酸化物を蒸留水に分散し、30分間、超音波を照射した。
次に、懸濁液を100℃に加熱した。
次に、ヒドラジン水和物を加えた。
次に、懸濁液を98℃で24時間加熱した。
次に、濾過により、黒い粉末状の還元したグラフェンを収集した。
次に、生成物を蒸留水で洗浄し、過剰なヒドラジンを除去した。
次に、水中に再分散し、超音波を印加してから、遠心分離した。
次に、真空濾過により、最終生成物としてのグラフェン(試験例1)を作成した。
<Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体の合成>
(グラフェン/CNT複合体作成工程)
まず、グラフェンとCNTをエタノール中に分散した。
次に、真空濾過により、均一なグラフェン/CNT複合体フィルムを得た。
(Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体作成工程)
次に、グラフェン/CNT複合体フィルムを仕事電極として用い、プラチナシート(1×2cm)を対電極として用い、参照電極として飽和Ag/AgCl参照電極を用い、仕事関数と対電極との間の距離を1.5cmに固定して、3電極システムにより、電着(カソード蒸着)した。
カソード蒸着は、10%エタノールを含む0.1M CoCl電解液中で、ポテンシオスタットにより制御した。
次の2工程で、Co(OH)被膜した。
(i) 核形成工程:室温で1分間1mAの電流を流した。
(ii)結晶成長工程:30分間、5mA/cmの電流密度に制御した。Co(OH)層の厚さは、コーティング時間で制御した。
以上の工程により、Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体(実施例1)を作成した。
<観察>
Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体(実施例1)のナノ構造のモルフォロジーを、SEM(JSM−6500)、TEM(JEM−2100)で観察した。
図5は、実施例1のTEM像(a)、拡大TEM像(b)、SEM像(c)、拡大SEM像(d)である。いずれも、合成直後のグラフェンの像である。
図5(a)、(b)に示すように、薄く平坦な数層のグラフェンからなるシートを観測できた。
図5(c)、(d)に示すように、グラフェンシート面に垂直な方向に配列し、主面がランダムな方向を向き、多孔構造を形成したCo(OH)を観測できた。Co(OH)の厚さは、約10nmであった。
図6は、Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体(実施例1)のTEM像(a)、STEM像(b)、(b)のC成分マッピング像(c)、(b)のO成分マッピング像(d)、(b)のCo成分マッピング像(e)、(a)の説明図(f)である。
アモルファスカーボン製グリッドを用いたため、C成分マッピング像で明確な像は見られなかった。しかし、図6(b)、(d)、(e)に示した結果から、図6(f)に示すように、図6(a)はグラフェンの表面にCo(OH)が結合してなるサンプルであると判断した。
なお、TEMサンプルは、強い超音波を照射して調製したが、グラフェンの表面へのCo(OH)の結合が観測されたため、この結合は非常に強いものと推定した。
<評価:電気化学特性及びキャパシタンス>
サイクリックボルタッメトリ(Cyclic Voltammetry:CV)、ガルバノスタチック・チャージ−ディスチャージ、電気化学インピーダンス・スペクトロスコピー(Electorochemical Impedence Spectroscopy:EIS)を、3電極システムで測定した。
(CV試験)
CV試験は、1M KCl水溶液中で、0〜0.9Vの間で、10、20、50、100mV/sの異なるスキャン速度で実行した。
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルフォン)イミド(1−ethyl−3−methylimidazoliumbis(trifluoromethanesulfone)imide:EMI−TFSI)のイオン液体中でも実行した。
図7(a)は、EMI−TFSI中の10、20、50、100mV/sの各スキャン速度のCV曲線である。
図7(a)に示すように、対称的で、ほぼ長方形状のCV曲線が得られた。
理想的なキャパシターのCV曲線の形状は、接触抵抗が小さい場合には、長方形状となり、接触抵抗が大きい場合には、形状を斜めにし、かつ、輪を小さくするように変形されることが知られている。図7(a)の形状は対称的で、ほぼ長方形状であったので、電極でのチャージ伝搬が優れていることが分かった。
(ガルバノスタティック・チャージ・ディスチャージ試験)
図7(b)は、1mAと2mAのときのガルバノスタティック・チャージ・ディスチャージ曲線である。
ガルバノスタティック・チャージ・ディスチャージ曲線は、3.5V上で比較的平坦となった。
エネルギー密度は172Wh/kgとなった。
また、1mAの比容量は310F/gとなった。
(EIS試験)
EIS測定は、周波数範囲100kHz〜0.01Hzで実行した。
図7(c)は、EISのナイキスト・プロットである。
図7(c)に示すように、低周波数領域では、虚数部分はほとんど垂直になるように急激に増加し、高周波数領域では半球状となるワブルグ(Warburug)曲線を示した。
官能基又は不純物によるレドックス反応又はオーバーチャージによる、ファラディック・リーク抵抗であるRが推測され、Rが小さくなるに従い、ファラディック反応の動的可逆性は大きくなった。
等価シリーズ抵抗(Equivalent Series Resistance:ESR)は、Z1切片から8.2Ωとなった。
最大パワー密度pmaxが次式(1)により得られた。
ここで、RESRは等価シリーズ抵抗であり、mは2つの電極(正極がCo(OH)コーティングしたGraphene/CNTであり、負極がGraphene/CNTである。)の総質量であり、Vmaxは最大チャージ電圧である。
max=4Vのとき、最大パワー密度は198.0kW/kgとなった。
(サイクル特性)
図7(d)は、1mg/cmコーティングしたサンプルの2A/gの電流密度でのサイクル特性結果を示すグラフである。1500サイクル時、30%低下した。
本発明のCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体、その製造方法、Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体電極及びCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体キャパシターは、比容量を高く、サイクル寿命を長くでき、電池産業、エネルギー産業等において利用可能性がある。
1…Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体キャパシター、11板状電極、12…Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体、13…電解液含浸層(セパレーター)、21…Co(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体電極、31…グラフェン、32…カーボンナノチューブ(CNT)、33…Co(OH)、33c…孔。

Claims (8)

  1. 表面に結晶成長させたCo(OH)の板状結晶を有するグラフェンとカーボンナノチューブとの複合体からなることを特徴とするCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体。
  2. 板状結晶であるCo(OH)の主面がグラフェンの表面に接することなく、その側面のみがグラフェンの表面に接するように、グラフェンの表面に垂直配向させてCo(OH)が結晶成長されていることを特徴とする請求項1に記載のCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体。
  3. Co(OH)の径が50nm以上400nm以下であり、厚さが20nm未満であることを特徴とする請求項2に記載のCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体。
  4. グラフェンとCNTをエタノール中で攪拌・混合した溶液を真空濾過して、フィルム状のグラフェン/CNT複合体を作成する工程と、
    前記グラフェン/CNT複合体を、塩化コバルト又はコバルト塩の電解液中で電着処理して、グラフェンの表面にCo(OH)を結晶成長させたCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体を作成する工程と、を有することを特徴とするCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体の製造方法。
  5. 前記電着処理が、塩化コバルト又はコバルト塩の電解液中で、前記グラフェン/CNT複合体を仕事電極にして、対電極及び参照電極を用いて、電圧を印加する処理であることを特徴とする請求項4に記載のCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体の製造方法。
  6. 前記塩化コバルトがCoClであり、前記コバルト塩が酢酸コバルト又は硫酸コバルトであることを特徴とする請求項5に記載のCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体が板状電極の一面に形成されてなることを特徴とするCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体電極。
  8. 請求項7に記載のCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体電極が2枚、電解液含浸層を挟み、対向配置されていることを特徴とするCo(OH)垂直配向グラフェン/CNT複合体キャパシター。
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