以下、本発明に係るヘッダ回収方法、及びヘッダ回収装置について、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態では、埋設されている既設管がガス導管であり、非開削ガス管入替工法により、新設管が、拡径した既設管の内周部に引き込まれて、既設管を新設管に、入れ替える場合について説明する。図1は、実施形態に係るヘッダ回収装置を用いて既設管を新設管に入れ替える様子を概略的に示す説明図である。図1では、図を見易くするため、主要部の一部を正面図で、その他は断面図でそれぞれ概略的に図示されている。また、本実施形態では、図1において、左右方向を、発進立坑1と到達立坑2との間の既設管5の軸AX1方向に沿う方向HZとし、上下方向を、鉛直方向VTとする。図2以降の図面についても、図1に図示した方向に準じる。
はじめに、非開削ガス管入替工法について、図1を用いて簡単に説明する。非開削ガス管入替工法は、管入替え装置10と、後に詳述するヘッダ回収装置60とを用いて行われる。管入替え装置10は、図1に示すように、ヘッダ11、長尺状ロッド21、及びロッド動作制御装置30からなる。非開削ガス管入替工法では、発進立坑1と到達立坑2とを掘った後、地中に埋設されている既設管5が、発進立坑1側と到達立坑2側で切断され、到達立坑2側では、既設管5の一部である既設管端部5Bが、既設管5のうちの地中に埋設されている既設管埋設部5Aから到達立坑2内に延伸して配置されるよう、既設管5を切断する。その後、発進立坑1と到達立坑2との間の地中に埋設されている既設管5をその軸AX1方向に切断し、拡径するヘッダ11を、発進立坑1側に配置する。到達立坑2内には、ロッド動作制御装置30とヘッダ回収装置60とが設置され、このヘッダ回収装置60は、到達立坑2の壁面とロッド動作制御装置30との間に隙間なく挟まれた状態で、配置される。ヘッダ11は、発進立坑1から引き込まれる新設管6と連結すると共に、到達立坑2側から既設管5の管内に挿通された長尺状ロッド21を接続させた状態で、ロッド動作制御装置30により、到達立坑2側から長尺状ロッド21を介して引っ張られることにより、拡径した既設管5の内周部5Cに引き込まれる。これにより、新設管6も、拡径した既設管5の内周部5C側に引き込まれ、新設管6が、既設管5に代わって入れ替えられる。
次に、管入替え装置10について説明する。まず、管入替え装置10を構成するヘッダ11について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、ヘッダを示す正面図であり、図2に示すヘッダを下から見た平面図を、図3に示す。ヘッダ11は、発進立坑1と到達立坑2との間の地中に埋設されている既設管5をその軸AX1方向に切断し、拡径するヘッダ本体部12を有し、このヘッダ本体部12に、長尺状ロッド21(ロッド22)と接続可能なロッド接続部13と、新設管6と連結可能な新設管接続部18が形成されている。
具体的には、ヘッダ11は、図1乃至図3に示すように、ヘッダ本体部12の前部に、到達立坑2側に合わせて配置されるロッド接続部13を、ヘッダ本体部12の後部側に、発進立坑1側に合わせて配置される拡径部17を、それぞれ有している。ヘッダ本体部12には、図2及び図3に示すように、その長手方向(図2及び図3中、左右方向)に、本実施形態では、切断部として、既設管5を切断する3つの第1カッタ14A、第2カッタ14B、第3カッタ14Cが、この順に第1カッタ軸部15A、第2カッタ軸部15B、及び第3カッタ軸部15Cで、それぞれ回転可能に軸支されている。第1カッタ14Aは、その一部の円弧部分を、ヘッダ本体部12に形成された第1カッタ溝部16Aを通じてヘッダ本体部12外側に配置できる位置に、配設されている。また、第2カッタ14Bは、その一部の円弧部分を、ヘッダ本体部12に形成された第2カッタ溝部16Bを通じてヘッダ本体部12外側に配置できる位置に、配設されている。また、第3カッタ14Cは、その一部の円弧部分を、ヘッダ本体部12に形成された第3カッタ溝部16Cを通じてヘッダ本体部12外側に配置できる位置に、配設されている。
長尺状ロッド21のうち、発進立坑1側最先端に位置する最先端ロッド22H(図1参照)に取り付けられた図示しないロッド固定具が、ロッド接続部13と、接続またはその解除を自在に係合できるようになっている。また、新設管6の先端部分に取り付けられた図示しない新設管ロッド固定具が、拡径部17後部側の新設管接続部18と、接続またはその解除を自在に係合できるようになっている。拡径部17は、第1カッタ14A、第2カッタ14B、及び第3カッタ14Cを、既設管5の軸AX1に沿う方向HZに移動させることにより、既設管5を切断させその周方向に拡径させる。なお、図2等に示したヘッダ11は、その機能を説明するために単に例示した構成に過ぎず、ヘッダの構成、機能は、本実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能である。
次に、管入替え装置10を構成するロッド22について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、1つのロッドを示す正面図であり、一部を断面で示した説明図である。図5は、図4に示すロッド同士を連結部で接続した様子を示す説明図である。管入替え装置10は、複数のロッド22を備えており、新設管6への入替え工事を行うのに、本実施形態では、複数のロッド22は一時的に、地上GLに保管されている。1つのロッド22は、図4に示すように、軸心AX2を中心とする略丸棒で、直線状に形成されたロッドである。1つのロッド22は、軸心AX2方向に対し、その一方側(図4中、右側)に雄ネジ側連結部23を、他方側(図4中、左側)に雌ネジ側連結部24を、この雄ネジ側連結部23と雌ネジ側連結部24との間に、中間径大部26を、それぞれ有している。
雄ネジ側連結部23には、雄ネジ側フランジ部23Fから先端に向けて窄むテーパ状の雄ネジ23Sが形成されている。また、雌ネジ側連結部24には、別のロッド22の雄ネジ側連結部23の雄ネジ23Sと螺合可能なストレート状の雌ネジ24Sが、雌ネジ側フランジ部24Fの内周に形成されている。隣り合うロッド22,22同士が、図4に示すように、ロッド22の雄ネジ側連結部23の雄ネジ23Sと、このロッド22と隣り合う別のロッド22の雌ネジ側連結部24の雌ネジ24Sとを螺合させることにより、雄ネジ側連結部23と雌ネジ側連結部24との両側連結部25で接続される。このように、複数のロッド22を連結部同士25で直列に連結すると、長尺状ロッド21が構成される。その一方で、隣り合うロッド22,22の両側連結部25で、雄ネジ23Sと雌ネジ24Sとの螺合を解除すると、一方のロッド22の雄ネジ側連結部23と、他方のロッド22の雌ネジ側連結部24との接続が解除されて、隣り合うロッド22,22は、一方のロッド22と、他方のロッド22とに分離される。
また、雄ネジ側連結部23の雄ネジ側フランジ部23F、雌ネジ側連結部24の雌ネジ側フランジ部24F、及び中間径大部26は、その外径が同じ大きさに形成されており、雄ネジ側フランジ部23Fと中間径大部26との間と、雌ネジ側フランジ部24Fと中間径大部26との間に位置するロッド外周部27は、雄ネジ側フランジ部23F、雌ネジ側フランジ部24F、及び中間径大部26より径小となっている。雄ネジ側フランジ部23Fとロッド外周部27との径差分の雄ネジ側段差面23aは、軸心AX2に対し、直交する方向に沿って形成されている。また、雌ネジ側フランジ部24Fとロッド外周部27との径差分の雌ネジ側段差面24aは、軸心AX2に対し、直交する方向に沿って形成されている。また、中間径大部26とロッド外周部27との径差分のロッド外周部段差面26a,26bは、軸心AX2に対し、直交する方向に沿って形成されている。
次に、ロッド動作制御装置30について、図6乃至図10を用いて説明する。図6は、ロッド動作制御装置を概略的に示す説明図であり、図7は、図6に示すロッド動作制御装置の内部を示す説明図である。
ロッド動作制御装置30は、ヘッダ11と、発進立坑1から引き込まれる新設管6を連結させると共に、到達立坑2側から既設管5の管内に挿通された長尺状ロッド21を接続させた状態で、ヘッダ11を、到達立坑2側から長尺状ロッド21を介して引っ張ることにより、拡径した既設管5の内周部5Cに新設管6を引き込む。このロッド動作制御装置30は、第1クランプ部31、第2クランプ部32、回転部35、ロッド挿通部38、前面板39B、及び電気制御部41等を有する装置本体部30Aと、ロッド搬送部50と、この装置本体部30Aとは別体で、コントローラ42と、油圧駆動部45とからなる。ロッド搬送部50は、ロッドスライド搬送部58を介して装置本体部30Aと一体に設けられている。
装置本体部30Aでは、第1クランプ部31は、既設管5の軸AX1方向に沿うロッド移動方向HZに向きを合わせて配置されたロッド22に対し、ロッド外周部段差面26a、ロッド外周部段差面26b、雄ネジ側連結部23の雄ネジ側段差面23a、及び雌ネジ側連結部24の雌ネジ側段差面24aのうちのいずれかの面と当接した状態で、ロッド外周部27をチャックまたはアンチャックする1対の第1クランプ部材31C,31Cを有している。
第2クランプ部32は、ロッド移動方向HZに向きを合わせて配置されたロッド22に対し、ロッド外周部段差面26a、ロッド外周部段差面26b、雄ネジ側連結部23の雄ネジ側段差面23a、及び雌ネジ側連結部24の雌ネジ側段差面24aのうちのいずれかの面と当接した状態で、ロッド外周部27をチャックまたはアンチャックする1対の第2クランプ部材32C,32Cを有している。第2クランプ部32は、可動体33に取り付けられている。可動体33は、ロッド22の軸心AX2に沿う移動動作として、ロッド移動方向HZに対し、移動範囲SDでリニアガイド34に沿って移動可能に配設されている。
回転部35は、1対のローラ36,36と、このローラ36,36の駆動源となるモータ37とを有している。回転部35は、ロッド移動方向HZに向きを合わせて配置されたロッド22を、一のローラ36と他のローラ36との間に配置して、1対のローラ36,36の回転力をロッド外周部27に伝達することにより、ロッド22をその軸心AX2を中心に回転方向RTに回転させる。
第1クランプ部31と第2クランプ部32との間と、第2クランプ部32と回転部35との間は何れも、ロッド22を内部で挿通可能な円筒状のロッド挿通部38で繋がれている。また、ロッド挿通部38の軸心線上に中心を有する後部側板貫通孔39Hが、前面板39Bに形成されている。ロッド動作制御装置30では、図7に示すように、第1クランプ部31において、1対の第1クランプ部材31C,31Cの間に挟むロッド22の位置と、第2クランプ部32において、1対の第2クランプ部材32C,32Cの間に挟むロッド22の位置と、回転部35において、1対のローラ36,36の間に挟むロッド22の位置と、ロッド挿通部38の中空部に配置されるロッド22の位置と、後部側板貫通孔39Hを挿通するロッド22の位置とが、ロッド移動方向HZに一直線上になっている。
ロッド搬送部50では、2組の第1組アーム51、第2組アーム52が2組の第1組関節55、第2組関節56でそれぞれ回動可能に連結されており、第2組アーム52は、1つのロッド22を着脱自在に保持可能なロッド保持部53を有している。このロッド搬送部50では、第1組アーム51が、ロッド動作制御装置30と隣接した位置に配設された第1組関節55で、時計回り方向または反時計回り方向に回動する。これと同時に、第1組アーム51と第2組関節56で連結する第2組アーム52が、第1組アーム51の回転方向とは逆の反時計回り方向または時計回り方向に回動することにより、ロッド22の向きが変わる。
図8は、本実施形態において、管入替え装置のロッド搬送部の動作を説明する図であり、ロッド搬送部が水平姿勢にある状態を示す図である。図9は、ロッドを搬送している途中の様子を説明する図である。図10は、ロッド搬送部が垂直姿勢にある状態を示す図である。ロッド搬送部50は、既設管5を切断・拡径するにあたり、長尺状ロッド21を構成するのに、地上GLにある複数のロッド22の保管場所から1つのロッド22を、到達立坑2内で垂直姿勢のまま受取り、このロッド22を水平姿勢に変えて装置本体部30Aに供給する(図8参照)。また、このロッド搬送部50は、既設管5の切断・拡径を終えた後、ロッド動作制御装置30の装置本体部30Aにおいて、長尺状ロッド21から接続解除した1つのロッド22を、水平姿勢から垂直姿勢に姿勢を変えて、地上GLにあるロッド22の保管場所に搬送する(図9及び図10参照)。また、ロッドスライド搬送部58は、図7及び図8に示すように、ロッド22を、第3位置P3に配置されたロッド搬送部50のロッド保持部53と、装置本体部30Aの第2位置P2との間で搬送する。
次に、電気制御部41、コントローラ42、及び油圧駆動部45について説明する。油圧駆動部45は、エンジンで循環させた作動油を高圧にして、例えば、100(t)等という非常に大きな駆動力を発生させる油圧駆動源である。この油圧駆動部45は、第1クランプ部材31C及び第2クランプ部材32Cにおけるチャックまたはアンチャック動作CU、ロッドスライド搬送部58の移動範囲の移動動作SD、モータ37の回転動作RTのほか、ロッド搬送部50における第1,第2組アーム51,52の回動動作、及びロッドスライド搬送部58のスライド動作等を行う。また、電気制御部41が、装置本体部30Aに配設され、第1,第2クランプ部材31C,32Cのチャックまたはアンチャック動作CU、移動動作SD、回転動作RT、及び第1,第2組アーム51,52の回動動作等を電気的に制御する。この電気制御部41は、コントローラ42による遠隔操作で作動し、上記チャックまたはアンチャック動作CU、移動動作SD、回転動作RT、ロッド搬送部50の動作、及びロッドスライド搬送部58の動作等を行う。ロッド動作制御装置30による回転動作RT、移動動作SD、及びチャック/アンチャック動作CUのうち、少なくとも1つの動作と、ロッド搬送部50による第1組,第2組アーム51,52の回動動作とは連動しており、ロッド22が、第2位置P2への搬入、または第2位置P2から搬出されるようになっている。
次に、ヘッダ回収装置60について説明する。図11は、ヘッダ回収装置の正面図であり、カバーを閉じた状態を示す図である。図12は、ヘッダ回収装置を上方から見た平面図であり、カバーを開いた状態を示す図である。図13は、図11中、A視による側面図である。図14は、ヘッダ回収装置の既設管支持部材を示す図であり、(a)は上方から見た平面図、(b)は、図11中、B視による側面図である。図15は、図11中、C視による側面図である。図16は、実施形態に係る第1治具を示す正面図であり、図16中、D−D矢視断面図を図17に示す。図18は、実施形態に係る第2治具を示す正面図である。
ヘッダ回収装置60は、図1に示すように、管入れ替え装置10と共に用いられる。ヘッダ回収装置60は、図11乃至図18に示すように、入口側板部材62、出口側板部材64、入口側板部材62と出口側板部材64との間に位置する既設管支持部材70、及びカバー76等を有する装置本体部のほか、この装置本体部とは別体で、第1治具81と第2治具91とを備えて構成されている。ヘッダ回収装置60のうち、既設管支持部材70、第1治具81、及び第2治具91が、本発明の既設管支持手段を構成している。この既設管支持部材70と第1治具81とは、あるいは既設管支持部材70と第2治具91とは、既設管5のうち、到達立坑2内に位置する既設管端部5Bの端面5Baと対向する位置に配置され、ヘッダ11の引っ張りに伴い、既設管5に、到達立坑2側に向けて作用する引張力により、移動しようとする既設管5を支持する。
はじめに、装置本体部について、図11乃至図15を用いて説明する。入口側板部材62は、金属製であり、ヘッダ11及び長尺状ロッド21が通り抜けできると共に、既設管端部5B(既設管5)の外径より径大な半円状の円弧と、この半円の直径に相当する大きさの開口幅(図13中、左右方向の大きさ)で形成された入口側開口63を有した平板である。出口側板部材64は、金属製であり、図15に示すように、長尺状ロッド21が挿通可能な出口側開口65を有し、入口側板部材62と同じ大きさで形成された平板である。
既設管支持部材70は、図14に示すように、ヘッダ11及び長尺状ロッド21が通り抜け可能であると共に、入口側板部材62の入口側開口63より径小な半円状の円弧と、この半円の直径に相当する大きさの開口幅(図14中、左右方向の大きさ)で形成された第1開口71と、この第1開口71の周りに位置する平面状の第1支持面72とを有している。第1支持面72には、第2治具91を保持可能な第2治具支持部73が設けられ、第1開口71の上方には、配置した第2治具91をピン75で固定するためのピン孔74が形成されている。
第2治具支持部73は、金属製であり、L字型アングル等のL字型部材を4つ用い、このうちの2つを第1開口71の上方に配置した上部支持部73Uと、残りの2つを第1開口71の下方に配置した下部支持部73Lとからなる。上部支持部73Uは、L字型部材内の一面が既設管支持部材70の第1支持面72と対向する配置形態で、L字型部材の折り曲げ部を挟む両側に位置する一直線状の短辺部の片側を、第1支持面72に溶接して接合されている。上部支持部73Uにおいて隣り合うL字型部材では、その一面と既設管支持部材70の第1支持面72との間隔が、第2治具91の厚み(図18中、紙面に直交する方向の大きさ)よりやや小さく、他面同士の間隔が、第2治具91の幅(図18中、左右方向の大きさ)よりやや小さくなっている。また、下部支持部73Lは、L字型部材の折り曲げ部と直交するL字状の長辺部の片側を第1支持面72に溶接して接合されている。下部支持部73Lにおいて隣り合うL字型部材は、第2治具91を支持可能な間隔で配置されている。
ヘッダ回収装置60の装置本体部は、入口側板部材62と、既設管支持部材70と、出口側板部材64とを、それぞれ平行に配置して、4つの棒状のフレーム部材61のそれぞれ両端を、既設管支持部材70を介して入口側板部材62と出口側板部材64とのそれぞれ四隅に接続し固定した一体構造物となっている。
ヘッダ回収装置60には、ヘッダ11の回収時により生じる飛散物が当該ヘッダ回収装置60の外部に向けて飛散するのを防止するカバー76(本発明の飛散防止部材に対応)を4つ備えている。カバー76は、既設管支持部材70を境に、入口側板部材62側と出口側板部材64側の両側に2つずつ配置され、本実施形態では、既設管支持部材70と入口側板部材62との間の全範囲と、既設管支持部材70と出口側板部材64との間の一部範囲を覆う形態に配設されている。カバー76は、図11乃至図13に示すように、上側2つのフレーム部材61,61の片方に設けられたヒンジ77を中心に、これら2つのフレーム部材61,61を跨ぐ形態に設けられ、取手79を掴んで自在に開閉できるようになっている。
次に、第1治具81について、図16及び図17を用いて説明する。第1治具81は、ヘッダ11を、既設管端部5Bの管口D5から引き抜いて回収しようとするときに、既設管支持部材70の第1支持面72と既設管端部5Bの端面5Baとの間に配設される。そして、この第1治具81は、ロッド動作制御装置30により、到達立坑2側から長尺状ロッド21を介して引っ張られることにより、ヘッダ11を既設管5の管内に引き込むときの引張力を、第1支持面72に伝達させる。
具体的には、第1治具81は、本実施形態では、3つからなり、図16及び図17に示すように、既設管5の軸AX1を中心とする既設管端部5Bの径方向に沿う装置径方向Rに対し、複数に分割した扇型形状に形成されている。この第1治具81は、既設管支持部材70の第1支持面72と当接可能な平面状の第1当接面82aと、第1当接面82aとは反対側に、既設管端部5Bの管形状に対応して凹設された円弧状の凹部83を有している。第1治具81は、金属製で、数十〜百t近くにまで及ぶ非常に大きな外力が第1当接面82aに作用しても曲げ変形等に耐え得る十分な厚みと剛性を有している。凹部83は、装置径方向R径内側に設けられ、凹部83の底面83aは、既設管端部5Bの端面5Baと当接可能な第2当接面82b(本発明の治具当接面にも対応)になっている。この第1治具81は、第2当接面82bと既設管端部5Bの端面5Baとが当接するよう、凹部83を既設管端部5Bに嵌め込むことにより、配設される。
第1治具81の第1当接面82aは、軸AX1を中心とする既設管端部5Bの径方向に沿う装置径方向Rに対し、第2当接面82bより径外側に位置している。また、この第1治具81の凹部83を既設管端部5Bに嵌め込んで、ヘッダ11を、既設管端部5Bの管口5Dから引き抜いて回収しようとする状態では、第1治具81の第1当接面82aと、既設管支持部材70の第1支持面72とは、引っ張りによるヘッダ11の移動経路との干渉を少なくとも回避した位置で、装置径方向Rに相対的にスライド可能な平面となっている(図25参照)。
また、本実施形態では、第1治具81には、第1雌ネジ孔84Hと第2雌ネジ孔85Hが、図16及び図17に示すように、穿孔されている。第1雌ネジ孔84Hは、第1治具81を持ち運ぶときに取手となる第1ボルト86と螺合可能に形成されている。第2雌ネジ孔85Hは、ボルト通し孔と径差を持って連通したネジ孔で、第2ボルト87と螺合可能に形成されている。既設管端部5Bを第1治具81の凹部83に嵌め込んだ後、第2雌ネジ孔85Hに螺合させた第2ボルト87を締め付けることにより、第1治具81が既設管端部5Bに固定される。
次に、第2治具91について、図18及び図19を用いて説明する。第2治具91は、新設管6を既設管5の内周部5Cに引き込むときに用いられる。第2治具は、既設管5(既設管端部5B)の外径より径小で、長尺状ロッド21の通り抜けが可能な第2開口92と、この第2開口92の周りに、既設管端部5Bの端面5Baと当接可能な第2支持面92aを有している。この第2治具91は、金属製で、数十〜百t近くにまで及ぶ非常に大きな外力が第2支持面92aに作用しても曲げ変形等に耐え得る十分な厚みと剛性を有している。第2開口92は、図18に示すように、中心角が180度より大きい円弧状の貫通部と、この弧を周と円の直径より小さい開口幅(図18中、左右方向の大きさ)で第2治具91の外縁から切り欠かれた切り欠き部とを繋いだ形状で形成されている。
また、第2治具91は位置決め固定部93を有している。位置決め固定部93には、貫通孔93Hが形成され、ピン75が貫通孔93Hを通じてピン孔74に挿入できるようになっている。図19は、第2治具を既設管支持部材に配設した状態を説明する図である。第2治具91は、図19に示すように、第2開口92が既設管支持部材70の第1開口71の範囲内に配置されるよう、既設管支持部材70と位置合わせして、上部支持部73U及び下部支持部73L(第2治具支持部73)に取り付けられる。
図20は、第2治具の第2支持面のうち、既設管端部の端面が当接する部分を模式的に示す説明図である。第2治具91が既設管支持部材70の第2治具支持部73に取り付けられ、新設管6を既設管5の内周部5Cに引き込んでいる状態では、第2治具91の第2支持面92aは、図20に示すように、既設管端部5Bの端面5Baのうち、円環の一部の大半を占める大円弧状の第2治具当接部5Baaで当接可能である一方、既設管端部5Bの端面5Baのうち、第2治具当接部5Baaを除く残りの小円弧状の第2治具非当接部5Babは、第2開口92の切り欠き部分に位置するようになっている。
次に、既設管5を新設管6に入れ替える作業を行うのにあたり、ロッド送出工程について説明する。ロッド送出工程は、図1に示すように、まずヘッダ11を発進立坑1に配置して新設管6と接続しておいた後、到達立坑2内から複数のロッド22を順次連結して送出することで、全長を長くしつつある長尺状ロッド21を、発進立坑1内にあるヘッダ11と接続可能な位置まで到達させる工程である。このロッド送出工程で連結させるロッド22の接続数は、発進立坑1と到達立坑2との1区間内で埋設されている既設管5の距離に対応した数であり、この既設管5の距離をロッド1本当たりの長さで除した商に相当する必要連結数である。
装置本体部30Aでは、長尺状ロッド21のうち最も発進立坑1側に位置する1本目の最先端ロッド22H(ロッド22)が、第2クランプ部32において、1対の第2クランプ部材32C,32Cでチャックできる第2位置P2まで搬送されており、第2クランプ部32の1対の第2クランプ部材32C,32Cが、この最先端ロッド22Hのロッド外周部27をチャックする。
次いで、この最先端ロッド22Hと接続する隣接ロッド22S(ロッド22)として、地上GLの保管場所から新たに取り出したロッド22が、ロッド搬送部50のロッド保持部53に保持された状態で、前述したように、ロッド搬送部50の第1組,第2組アーム51,52の回動動作(図8乃至図10に示した回動動作)と、ロッドスライド搬送部58とスライド動作により、ロッド移動方向HZに向きを合わせて、ロッド動作制御装置30の第2位置P2に搬送させる。このとき、隣接ロッド22Sの雌ネジ側連結部24の雌ネジ24Sが最先端ロッド22Hの雄ネジ側連結部23の雄ネジ23Sと螺合可能な位置まで、隣接ロッド22Sを最先端ロッド22Hに近接させておく。
次いで、最先端ロッド22Hが、第2クランプ部32の1対の第2クランプ部材32C,32Cによりチャックされたまま、回転部35において、1対のローラ36,36を一方向に回転させ、隣接ロッド22Sをその軸心AX2を中心に回転させる。これにより、隣接ロッド22Sが最先端ロッド22Hと相対的に回転して、最先端ロッド22Hの雄ネジ側連結部23の雄ネジ23Sと隣接ロッド22Sの雌ネジ側連結部24の雌ネジ24Sとが螺合して、最先端ロッド22Hと隣接ロッド22Sとが両側連結部25で接続される。このとき、複数連結されたロッド22のうち、第1クランプ部31より発進立坑1側に位置する部分が存在する場合には、第1クランプ部31において、1対の第1クランプ部材31C,31Cが、既に連結された複数のロッド22をチャックした状態で、両側連結部25の接続が行われる。
次いで、ロッドスライド搬送部58をリニアガイド34の発進立坑1側に向けて移動させる。これにより、1対の第2クランプ部材32C,32Cの両端面が、第2クランプ部材32C,32Cによりチャックされた最先端ロッド22Hに対し、中間径大部26のロッド外周部段差面26aにそれぞれ当接しながら、隣接ロッド22Sと接続した最先端ロッド22Hが、ロッドスライド搬送部58の移動により、第1クランプ部31において、1対の第1クランプ部材31C,31Cでチャックできる位置まで、ロッド挿通部38を通じて搬送される(図1参照)。複数連結されたロッド22を、可動体33の移動により、第1クランプ部31において、1対の第1クランプ部材31C,31Cでチャックできる位置まで搬送するとき、複数連結されたロッド22のうち、第1クランプ部31より発進立坑1側に位置する部分が発進立坑1側へ送出できるよう、第1クランプ部31では、1対の第1クランプ部材31C,31Cはアンチャック状態になっている。このような一連の動作は、最先端ロッド22Hが発進立坑1側に配置されたヘッダ11のヘッダ本体部12のロッド接続部13と接続できる位置に到達するまで、使用するロッド22全てについて、繰り返し行われる。
次に、本実施形態に係るヘッダ回収方法について、図15乃至図18を用いて説明する。本実施形態に係るヘッダ回収方法は、新設管引込工程、第1治具取付工程、及びヘッダ引抜工程を有し、各工程はこの順に実施される。はじめに、新設管引込工程について説明する。
新設管引込工程では、既設管5の外径より径小で、長尺状ロッド21の通り抜けが可能な第2開口92と、第2開口92の周りに位置する第2支持面92aとを有する第2治具91を、本実施形態では、ヘッダ回収装置60の既設管支持部材70の第2治具支持部73に予め挿入し、ピン75を、位置決め固定部93の貫通孔93Hを挿通して既設管支持部材70のピン孔74に挿着して取り付けておく。その後、図20に示すように、既設管端部5Bの端面5Baのうち、第2治具当接部5Baaを第2治具91の第2支持面92aに当接させた状態で、第2治具91を介して既設管支持部材70の第1支持面72で既設管端部5B(既設管5)を支えながら、発進立坑1と到達立坑2との間の地中に埋設されている既設管5をその軸AX1に沿う方向HZに切断し、拡径するヘッダ11を、発進立坑1から引き込まれる新設管6と連結した状態で、到達立坑2側からロッド動作制御装置30により長尺状ロッド21を介して引っ張ることにより、新設管6を、拡径した既設管5の内周部5Cに引き込む。
長尺状ロッド21によりヘッダ11を既設管5の内周部5Cに引き込み、既設管5を切断し、拡径する動作ついて、具体的に説明する。ロッド動作制御装置30の装置本体部30Aにおいて、第1クランプ部31では、1対の第1クランプ部材31C,31Cをアンチャック状態にしておき、ロッド22Sをフリーにしておく。そして、1対の第2クランプ部材32C,32Cの両端面が、長尺状ロッド21のうち最も到達立坑2側に位置する最後端ロッド22T(ロッド22)と隣接する隣接ロッド22Sに対し、第2クランプ部材32C,32Cで雌ネジ側連結部24と中間径大部26との間のロッド外周部27をチャックし、中間径大部26のロッド外周部段差面26bにそれぞれ当接しながら、可動体33をリニアガイド34の到達立坑2側に向けて移動させる。
これにより、一旦、長尺状ロッド21を到達立坑1側に引っ張ることで、可動体33が到達立坑2側に移動した分、ヘッダ11が、既設管5において、発進立坑1側の管内から到達立坑2側に引き込まれる。そして、既設管5が、ヘッダ11の第1乃至第3カッタ14A,14B,14Cによって軸AX1(ロッド移動方向HZ)に切断され、切断された既設管5を拡径部17で拡径されて、ヘッダ11の新設管接続部18に接続された新設管6の先頭部が、既設管5の内周部5Cに引き込まれる。その一方で、最後端ロッド22Tは、回転部35の1対のローラ36,36の間まで送出される。
次いで、可動体33が到達立坑2側に移動した後、第1クランプ部31の第1クランプ部材31C,31Cをチャック状態にし、隣接ロッド22Sを把持しておく。また、第2クランプ部32では、1対の第2クランプ部材32C,32Cをチャック状態にして、隣接ロッド22Sを把持する。そして、回転部35において、1対のローラ36,36を他方向に回転させ、最後端ロッド22Tをその軸心AX2を中心に回転させる。これにより、最先端ロッド22Hが隣接ロッド22Sと相対的に回転して、最先端ロッド22Hの雌ネジ側連結部24の雌ネジ24Sと隣接ロッド22Sの雄ネジ側連結部23の雄ネジ23Sとが螺合を解除して、最後端ロッド22Tと隣接ロッド22Sとが互いに離間される。このとき、複数連結されたロッド22のうち、第1クランプ部31より発進立坑1側に位置する部分が存在する場合には、第1クランプ部31において、1対の第1クランプ部材31C,31Cが、まだ連結された状態にある複数のロッド22をチャックした状態で、最後端ロッド22Tと隣接ロッド22Sとの接続解除が行われる。隣接ロッド22Sと接続解除された最後端ロッド22Tは、ロッド動作制御装置30の第2位置P2に位置している。
次に、作業者が、コントローラ42により、最後端ロッド22Tに対し、雌ネジ側連結部24と中間径大部26との間のロッド外周部27を把持してチャックしたまま、ロッドスライド搬送部58をロッド移動方向HZにスライドさせ、この最後端ロッド22Tを第2位置P2からロッド搬送部50の第3位置P3に向けて移動させる。これにより、最後端ロッド22Tを第3位置P3に移動させる前には、ロッド搬送部50では、図8に示すように、第1組アーム51がロッド移動方向HZと平行な姿勢でなっており、ロッド保持部53もロッド移動方向HZに平行な姿勢で、既設管5の軸AX1の延長線上に位置する第3位置P3に配置されている。そのため、最後端ロッド22Tの雄ネジ側連結部23が、ロッド搬送部50のスライド動作により、挿入口を通じてロッド保持部53に挿着される。
最後端ロッド22Tが第2位置P2から第3位置P3に移動すると同時に、先の隣接ロッド22Sが、長尺状ロッド21のうち最も到達立坑2側に位置する新たな最後端ロッド22Tとなり、これまで上述した動作を繰り返し、ロッド動作制御装置30の装置本体部30A内の第2位置P2からロッド搬送部50の第3位置P3に移動させる。このような一連の動作は、必要連結数であるロッド22全てが装置本体部30Aから離れて第3位置P3に移動されるまで、すなわち最先端ロッド22Hが第3位置P3に向けて移動されるまで、繰り返し行われる。
新設管引込工程の説明に戻る。新設管引込工程において、ヘッダ11が、既設管5のうち、地中に埋設されている既設管埋設部5Aを切断、拡径し終えた後、ヘッダ11のヘッダ本体部12の先頭部(例えば、第1カッタ14A付近)が、その残りの既設管端部5Bの内周部5Cに引き込まれて第2治具91の第2開口92にさしかかったところで、作業者は、長尺状ロッド21の引っ張りを停止し、新設管引込工程を終了する。新設管引込工程の終了後、第1治具取付工程を、ヘッダ回収装置60の既設管支持部材70の第2治具支持部73から第2治具91を取り外してから行う。
新設管引込工程が終了した状態では、既設管5の既設管端部5Bの端面5Baの第2治具当接部5Baaが、第2治具91の第2支持面92aと密着して当接しているため、このままでは、第2治具91を取り外すことができない。そこで、作業者は、ロッド動作制御装置30の装置本体部30Aを用いて、前述した長尺状ロッド21(ロッド22)のロッド送出工程と同じ操作を行い、長尺状ロッド21を一旦、1ピッチ分だけ発進立坑1側に送り込むことで、この長尺状ロッド21と接続するヘッダ11を、既設管端部5Bの管口5Dとは逆方向に後退させる。ヘッダ11は、既設管端部5Bの内周部5Cに引き込まれた状態にあるため、ヘッダ11が後退すると、既設管端部5Bが既設管5ごと発進立坑1側に移動し、既設管端部5Bの端面5Baの第2治具当接部5Baaが、第2治具91の第2支持面92aと離間し、第2治具当接部5Baaと第2支持面92aとの間に隙間ができる。これにより、ピン75を抜き、第2治具91を既設管支持部材70の第2治具支持部73から引き上げることができ、第2治具91は、ヘッダ回収装置60の既設管支持部材70から取り外される。
図21は、第1治具を既設管端部に取り付ける方法を説明する図である。図22は、既設管支持部材に第1治具を取り付けてヘッダを既設管端部の管口から引き抜く様子を示す説明図であり、図23は、図22と同様、ヘッダを既設管端部の管口から引き抜く様子を説明する斜視図である。図24は、既設管端部を、3つの第1治具を介して既設管支持部材で支えているときの様子を模式的に示す説明図である。図25は、第1治具の第1支持面が既設管支持部材の第1支持面上で、スライドする様子を模式的に示す説明図である。
新設管引込工程と同様、第1治具取付工程でも、既設管5の内周部5Cに入り込んだヘッダ11を回収するときに、ヘッダ11は、到達立坑2側から既設管5の管内に挿通した長尺状ロッド21と接続した状態で、この長尺状ロッド21を介して引っ張られて既設管端部5Bを切断し、拡径する。第1治具取付工程では、図22に示すように、長尺状ロッド21及びヘッダ11が通り抜け可能な第1開口71と、この第1開口71の周りに位置する第1支持面72とを有する既設管支持部材70を、既設管5のうち、到達立坑2内に位置する既設管5の既設管端部5Bの端面5Baと対向する位置に配置おき、ヘッダ11の引っ張りに伴って既設管5に作用する力を第1支持面72に伝達させる第1治具81を、既設管支持部材70の第1支持面72と既設管端部5Bの端面5Baとの間に介在させる。
第1治具81は、図16、図17及び図21に示すように、既設管端部5Bの管形状に対応して凹設された円弧状の凹部83を有し、ヘッダ11を既設管端部5Bの管内に入り込んだまま、凹部83の底面83aである第2当接面82b(治具当接面83a)と既設管端部5Bの端面5Baとが当接するよう、凹部83を管口5Dから既設管端部5Bに嵌め込んで取り付けられる。第1治具81は、図23に示すように、既設管支持部材70の第2治具支持部73と干渉しないよう、既設管端部5Bに、その周方向Cに対し間隔をあけて3つ取り付けられる。これにより、既設管端部5Bの端面5Baのうち、円弧状の凹部83の治具当接面83aと当接可能な第1治具当接部5Bacが設けられる一方で、既設管端部5Bの端面5Baのうち、第1治具当接部5Bacを除く残りの円弧状の第1治具非当接部5Badが、第1治具81の第2当接面82bと対向しない位置として配置される。第1治具81は、既設管端部5Bに嵌め込むだけでも良いが、本実施形態では、第2ボルト87を、既設管端部5Bに接触するまで第2ネジ孔85Hに締結させて、既設管端部5Bに対して固定させている。
第1治具81は、図23乃至図25に示すように、既設管端部5Bに、長尺状ロッド21による引っ張りでヘッダ11の移動経路Kとの干渉を回避した位置で、既設管端部5Bの軸AX1を中心とする径方向にスライド可能に配設される。すなわち、既設管端部5Bに取り付けた3つの第1治具81の第1当接面82aを、既設管支持部材70の第1支持面72に当接させて既設管端部5Bを支えながら、この既設管端部5Bの管内に入り込んだヘッダ11を管口5Dから引き抜くとき、既設管端部5Bの内周部5Cは、図25に示すように、既設管端部5Bの軸AX1の径方向径外側に拡がる。この内周部5Cの拡がりに伴い、既設管端部5Bに固定された3つの第1治具81も、装置径方向R径外側にスライドする。特に、既設管支持部材70の第1支持面72と第1治具81の第1当接面82aとが当接する部分に、例えば、グリス等の潤滑剤が塗布されていると、第1治具81の第1当接面82aが、既設管支持部材70の第1支持面72上を滑らかにスライドできる。
第1治具取付工程に続いてヘッダ引抜工程を行う。ヘッダ引抜工程は、第1治具81の第1当接面82aを既設管支持部材70の第1支持面72に当接させると共に、図24に示すように、第1治具81の治具当接面83a(第2当接面82b)に既設管端部5Bの第1治具当接部5Bacを当接させて既設管5(既設管端部5B)を支えながら、既設管端部5Bの管内に入り込んだヘッダ11を、再びロッド動作制御装置30で長尺状ロッド21を引っ張ることにより、既設管端部5Bの管口5Dから引き抜き、既設管支持部材70の第1開口71を通じて取り出す。これにより、ヘッダ11と連結する新設管6の先頭部もこの管口5Dから引き出されて、新設管6への入替え作業が完了する。
かくして、ロッド動作制御装置30による長尺状ロッド21を停止し、ヘッダ11と新設管6と連結を解除すると共に、ヘッダ11と長尺状ロッド21との接続を解除した後、既設管5の内周部5Cに入っていたヘッダ11が回収される。
前述した構成を有する本実施形態に係るヘッダ回収方法、及びヘッダ回収装置の作用・効果について説明する。
本実施形態のヘッダ回収方法では、発進立坑1と到達立坑2との間の地中に埋設されている既設管5をその軸AX1に沿う方向に切断し、拡径するヘッダ11を、発進立坑1から引き込まれる新設管6と連結した状態で、到達立坑2側から引っ張ることにより、拡径した既設管5の内周部5Cに新設管6を引き込んだ後、既設管5の管内に入り込んだヘッダ11を回収するヘッダ回収方法において、ヘッダ11は、到達立坑2側から既設管5の管内に挿通した長尺状ロッド21と接続した状態で、長尺状ロッド21を介して引っ張られて既設管5を切断し、拡径すること、長尺状ロッド21及びヘッダ11が通り抜け可能な第1開口71と、この第1開口71の周りに位置する第1支持面72とを有する既設管支持部材70を、既設管5のうち、到達立坑2内に位置する既設管端部5Bの端面5Baと対向する位置に配置しておき、ヘッダ11の引っ張りに伴って既設管5に作用する力T1(図23参照)を第1支持面72に伝達させる第1治具71を、第1支持面72と端面5Baとの間に介在させる第1治具取付工程と、第1治具71を介して第1支持面72で既設管5を支えながら、既設管端部5Bの管内に入り込んだヘッダ11を、既設管端部5Bの管口5Dから引き抜き、第1開口71を通じて取り出すことヘッダ引抜工程と、を備えること、を特徴とするので、例えば、ダクタイル鋳鉄管等、強靭で、引張強度等の機械的強度が比較的大きい材質からなる管を用いて敷設されている既設管5の内周部5Cに、新設管6を新たに引き込む場合がある。この場合、既設管5内に入り込んだヘッダ11は、数十〜百t近くにまで及ぶ非常に大きな引張力で到達立坑2側に引っ張られて、既設管5を切断し拡径する。このとき、この引張力の一部T1がヘッダ11を介して既設管5にも作用するため、既設管5が、ヘッダ11に追従して到達立坑2に向けて移動しようとする。ヘッダ11が、既設管5のうち、地中に埋設されている既設管埋設部5Aを切断し、拡径し終えた後、ヘッダ11が、既設管端部5Bの管内に入り込んだところで、ヘッダ引抜工程を行う。ヘッダ11は、既設管端部5Bを切断し拡径しながら内周部5Cに入り、既設管端部5Cに食い込んだ状態になっていることから、この状態からヘッダ11を既設管端部5Bの管口5Dから引き抜くのにも、前述したような数十tを超える相当大きな引張力で、ヘッダ11を引っ張る必要がある。ヘッダ引抜工程では、このような大きな引張力でヘッダ11を引っ張っても、既設管5は、第1治具81を介して既設管支持部材70の第1支持面72に、図23に示すように、既設管に掛かる力T1の反力T2を作用させて支えられているため、ヘッダ11の移動に追従した既設管5の移動が抑止でき、この状態で、ヘッダ11は、そのような引張力で既設管端部5Bの管口5Dから引き抜かれて、回収することができる。
また、本実施形態のヘッダ回収方法では、ヘッダ11を既設管端部5Bから取り出して回収するとき、従来技術と異なり、既設管5のうち、管内にヘッダ11が入り込んだ部分を、その他の部分と切断して分離する作業や、ヘッダ11が引き込まれた補助管と既設管との接続、及びその解除の作業が、不要になる。また、作業者が、既設管支持部材70の第1支持面72と既設管端部5Bの端面5Baとの間に第1治具81を介在させることにより、ヘッダ11を既設管端部5Bの管口5Dに向けて引っ張るだけで、簡単に回収することができ、ヘッダ11の回収作業が、従来の回収作業より効率良く行うことができる。
また、作業者は、第1治具81を、既設管支持部材70の第1支持面72と既設管端部5Bの端面5Baとの間に介在させヘッダ11を引っ張るだけで、ヘッダ11を、既設管端部5Bの管口5Dから引き抜くことができるため、作業者に危険を伴うこともなく安全に、ヘッダ11を回収することができる。また、作業者は、拡径後、ヘッダ11を到達立坑2内から地上GLに運び出す際、ヘッダ11単体を地上GLに搬出すれば良く、作業者の運搬上の負担が、既設管の管内に入り込んだヘッダを到達立坑内から地上に運び出していた従来技術に比べて、小さくなる。加えて、ヘッダ11の回収時に、従来技術と異なり、ヘッダ11が入り込んだ既設管端部5Bを重機等で変形させてないため、ヘッダ11は、重機等による把持力や、回収作業時に既設管端部5Bに及ぼす衝撃力等に起因して損傷しまうこともなく、良好な状態を維持して再使用することができる。
従って、本実施形態のヘッダ回収方法によれば、既設管5内にヘッダ11を引き込んで新設管6に入れ替えるとき、その既設管5に、強度の高い材質の管が用いられていた場合でも、既設管5内に入り込んだヘッダ11を、安全に、かつ効率良く既設管5内から取り出して回収することができる、という優れた効果を奏する。
また、本実施形態のヘッダ回収方法では、第1治具81は、既設管端部5Bに、引っ張りによるヘッダ11の移動経路Kとの干渉を回避した位置で、軸AX1を中心とする径方向にスライド可能に配設されること、を特徴とするので、既設管5の切断、拡径に用いるヘッダ11には、既設管5の切断する第1,第2,第3カッタ14A,14B,14C等の切断部と、切断後の既設管5を、その径方向径外に拡げる拡径部17が設けられ、切断・拡径時におけるヘッダ11の移動経路Kとして、第1,第2,第3カッタ14A,14B,14Cの刃先等の切断部の一部や、拡径部17の後方部は、既設管5の外周より径外側を移動する。そのため、第1治具81が、ヘッダ11の移動経路Kを回避して、既設管支持部材70の第1支持面72と既設管端部5Bの端面5Baとの間に配置されることにより、ヘッダ11は、第1治具81と干渉することなく、既設管端部5Bの管口5Dから引き抜くことができる。また、ヘッダ11が既設管端部5Bの内周部5Cを移動すると、拡径部17により拡径された既設管端部5Bでは、その外周が拡径前より拡がって大きくなる。このとき、第1治具81が、図25に示すように、既設管端部5Bの外周の拡大に伴って、既設管端部5Bの径方向径外側に追従できるため、ヘッダ11の回収時に、既設管端部5Bの管口5Dからヘッダ11の引き抜きが完了するまでの間、第1治具81に無理な応力が作用することなく、既設管5に掛かる力T1を既設管支持部材70の第1支持面72に伝達し続けて、既設管5の移動をより確実に抑止できる。
また、本実施形態のヘッダ回収方法では、第1治具81は、既設管端部5Bの管形状に対応して凹設された円弧状の凹部83を有し、ヘッダ11を既設管端部5Bの管内に入り込んだまま、凹部83の底面である治具当接面83aと既設管端部5Bの端面5Baとが当接するよう、凹部83を既設管端部5Bに嵌め込んで取り付けられること、を特徴とするので、第1治具81の取付けが簡単で、その取付け時の作業性も良い。
また、本実施形態のヘッダ回収方法では、既設管5の外径より径小で、長尺状ロッド21の通り抜けが可能な第2開口92と、この第2開口92の周りに位置する第2支持面92aとを有する第2治具91を、既設管支持部材70の第2治具支持部73に取り付け、既設管端部5Bの端面5Baを第2治具91の第2支持面92aに当接させた状態で、第2治具91を介して既設管支持部材70の第1支持面72で既設管5を支えながら、ヘッダ11を引っ張ることにより、新設管6を既設管5の内周部5Cに引き込む新設管引込工程を、ヘッダ引抜工程の前に行うこと、を特徴とするので、新設管引込工程は、既設管5のうち、発進立坑1と到達立坑2との間の地中に埋設された既設管埋設部5Aを切断し拡径するのに行われ、この新設管引込工程では、ヘッダ11の引っ張りに伴って移動しようとする既設管5に作用する力T1は、ヘッダ引抜工程を行っているときに比べて大きい。
その理由として、既設管5は一般的に、発進立坑1と到達立坑2との間において、隣接する管同士を継手で直列に接続することにより、複数の管を複数箇所で繋いで敷設されている。このような既設管5を切断し拡径する作業では、ヘッダ11が管の継手部を切断し拡径するときに、ヘッダ11に掛かる力学的負荷が管の他の部分より大きくなり、この継手部を考慮して、ヘッダ11を、数十〜百t近くにまで及ぶ非常に大きな引張力で引っ張る必要がある。この引張力が大きくなれば、ヘッダ11の引っ張りに伴い、追従して移動しようとする既設管5に作用する力T1も大きくなる。その一方で、既設管端部5Bは、到達立坑2内で継手部のないところを選択された部分であり、端面5Baは、既設管5を構成する管をその径方向に切断した切断面となっている。ヘッダ引抜工程では、ヘッダ11を、引張りながら既設管端部5Bの管口5Dから引き抜くときに、継手部を含まない既設管端部5Bを切断、拡径するため、ヘッダ11に掛かる力学的負荷は比較的小さくなるが、新設管引込工程では、継手部を含んだ既設管を切断、拡径するため、ヘッダ11に掛かる力学的負荷は、ヘッダ引抜工程に比べて大きくなるからである。
既設管5のうち、発進立坑1と到達立坑2との間の地中に埋設された既設管埋設部5Aを切断し拡径するにあたり、既設管端部5Bの端面5Baと既設管支持部材70の第1支持面72との間に、第1治具81を介在させても良いが、第1治具81に代えて第2治具91を介在させることにより、既設管端部5Bの端面5Baは、第2治具91の第2支持面92aと、その全面またはほぼ全面に近い状態で、当接できるようになる。これにより、第2治具91の第2支持面92aにうち、既設管端部5Bの端面5Baと当接する第2治具当接部5Baaの接触面積は、既設管支持部材70の第1支持面72との間に第1治具81を介在した場合において、既設管端部5Bの端面5Baと当接する第1治具当接部5Bacの接触面積より、大きく確保することが可能になる。よって、継手部を含んだ既設管5を切断し拡径するのに、既設管端部5Bの端面5Baと既設管支持部材70の第1支持面72との間に、第2治具91を介在させることで、ヘッダ11を、上述した非常に大きな引張力で引っ張っても、既設管支持部材70の第1支持面72に第2治具91を介して掛かる面圧が小さく抑制することができ、切断、拡径時に、既設管5の支持が安定して行うことができる。
また、本実施形態のヘッダ回収方法では、第1治具取付工程は、新設管引込工程の終了後、第2治具を取り外してから行うこと、を特徴とするので、第2治具91が取り付けられたままになっていると、ヘッダ11が第2開口92を通り抜けできず、ヘッダ11を既設管端部5Bの管口5Dから引き抜くことができないことから、ヘッダ11は、第2治具91を第1治具81に交換した後、既設管端部5Bの管口5Dからスムーズに引き抜くことができる。
本実施形態のヘッダ回収装置60では、発進立坑1と到達立坑2との間の地中に埋設されている既設管5をその軸AX1に沿う方向に切断し、拡径するヘッダ11を有し、ヘッダ11と、発進立坑1から引き込まれる新設管6を連結させると共に、到達立坑2側から既設管5の管内に挿通された長尺状ロッド21を接続させた状態で、ヘッダ11を、到達立坑2側から長尺状ロッド21を介して引っ張ることにより、拡径した既設管5の内周部5Cに新設管6を引き込む管入替え装置10と共に用いられ、既設管5のうち、到達立坑2内に位置する既設管端部5Bの端面5Baと対向する位置に配置され、ヘッダ11の引っ張りに伴い、既設管5に、到達立坑2側に向けて作用する引張力T1により、移動しようとする既設管5を支持可能な既設管支持手段(ヘッダ回収装置60及び第1治具81)を有し、この既設管支持手段は、長尺状ロッド21及びヘッダ11が通り抜け可能な第1開口71と、この第1開口71の周りに位置する第1支持面72とを含む既設管支持部材70と、この第1支持面72と既設管端部5Bの端面5Baとの間に配設され、引張力T1を第1支持面72に伝達させる第1治具81と、を備えること、を特徴とするので、例えば、ダクタイル鋳鉄管等、強靭で、引張強度等の機械的強度が比較的大きい材質からなる管を用いて敷設されている既設管5の内周部5Cに、新設管6を新たに引き込む場合がある。この場合、管入替え装置10は、到達立坑2から既設管5内に挿通した長尺状ロッド21を、数十〜百t近くにまで及ぶ非常に大きな引張力で引っ張り、この長尺状ロッド21と接続したヘッダ11を到達立坑2側に移動させることにより、既設管5を切断して拡径する。切断、拡径時には、この引張力の一部T1がヘッダを介して既設管5にも作用するため、既設管5が、ヘッダ11に追従して到達立坑2に向けて移動しようとするが、ヘッダ回収装置60及び第1治具81が、この既設管5を支えてその移動を阻止している。ヘッダ11は、既設管5のうち、地中に埋設されている既設管端部5Bを切断し、拡径し終えた後、ヘッダ11の回収作業として、管入替え装置10が、引き続き長尺状ロッド21を引っ張ることにより、既設管端部5Bを切断し拡径しながら、ヘッダ11を既設管端部5Bの管内に入れ込む。ヘッダ11は、既設管端部5Bに食い込んだ状態で内周部5Cに入り込み、この状態のヘッダ11を既設管端部5Bの管口5Dから引き抜くのにも、管入替え装置10が、前述したような数十tを超える相当大きな引張力で長尺状ロッド21を引っ張り、ヘッダ11を、既設管端部5Bの管口5Dに向けて動かす必要がある。本実施形態のヘッダ回収装置60では、管入替え装置10が、このような大きな引張力でヘッダ11を引っ張っても、既設管5は、第1治具81を介して既設管支持部材70の第1支持面72に、既設管5に掛かる力T1の反力T2を作用させて支えられているため、ヘッダ11の移動に追従した移動が抑止されている。この状態にして、管入替え装置10が、そのような引張力でヘッダ11を引っ張れば、ヘッダ11は、既設管端部5Bの管口5Dから引き抜かれて、回収することができる。
また、本実施形態のヘッダ回収装置60では、ヘッダ11を既設管端部5Bから取り出して回収するとき、従来技術と異なり、既設管5のうち、管内にヘッダ11が入り込んだ部分を、その他の部分と切断して分離する作業や、ヘッダ11が引き込まれた補助管と既設管との接続、及びその解除の作業が、不要になる。また、作業者が、既設管支持部材70の第1支持面72と既設管端部5Bの端面5Baとの間に第1治具81を介在させることにより、ヘッダ11を既設管端部5Bの管口5Dに向けて引っ張るだけで、簡単に回収することができ、ヘッダ11の回収作業が、従来の回収作業より効率良く行うことができる。
また、作業者は、第1治具81を、既設管支持部材70の第1支持面72と既設管端部5Bの端面5Baとの間に介在させヘッダ11を引っ張るだけで、ヘッダ11を、既設管端部5Bの管口5Dから引き抜くことができるため、作業者に危険を伴うこともなく安全に、ヘッダ11を回収することができる。また、作業者は、拡径後、ヘッダ11を到達立坑2内から地上GLに運び出す際、ヘッダ11単体を地上GLに搬出すれば良く、作業者の運搬上の負担が、既設管の管内に入り込んだヘッダを到達立坑内から地上に運び出していた従来技術に比べて、小さくなる。加えて、ヘッダ11の回収時に、従来技術と異なり、ヘッダ11が入り込んだ既設管端部を重機等で変形させてないため、ヘッダ11は、重機等による把持力や、回収作業時に既設管端部5Bに及ぼす衝撃力等に起因して損傷しまうこともなく、良好な状態を維持して再使用することができる。
従って、本実施形態のヘッダ回収装置60によれば、既設管5内にヘッダ11を引き込んで新設管6に入れ替えるとき、その既設管5に、強度の高い材質の管が用いられていた場合でも、既設管5内に入り込んだヘッダ11を、安全に、かつ効率良く既設管5内から取り出して回収することができる、という優れた効果を奏する。
また、本実施形態のヘッダ回収装置60では、第1治具81は、既設管支持部材70の第1支持面72と当接可能な第1当接面82aと、この第1当接面82aとは反対側に、既設管端部5Bの端面5Baと当接可能な第2当接面82bとを有し、ヘッダ11を、既設管端部5Bの管口5Dから引き抜いて回収しようとする状態では、第1当接面82aは、軸AX1を中心とする既設管端部5Bの径方向に沿う装置径方向Rに対し、第2当接面82bより径外側に位置すること、第1治具81の第1当接面82aと、既設管支持部材70の第1支持面72とは、引っ張りによるヘッダ11の移動経路Kとの干渉を少なくとも回避した位置で、装置径方向Rに相対的にスライド可能な平面であること、を特徴とするので、既設管5の切断、拡径に用いるヘッダ11には、既設管5の切断する第1,第2,第3カッタ14A,14B,14C等の切断部と、切断後の既設管5を、その径方向径外に拡げる拡径部17が設けられ、切断・拡径時におけるヘッダ11の移動経路Kとして、第1,第2,第3カッタ14A,14B,14Cの刃先等の切断部の一部や、拡径部17の後方部は、既設管5の外周より径外側を移動する。そのため、第1治具81が、ヘッダ11の移動経路Kを回避して、既設管支持部材70の第1支持面72と既設管端部5Bの端面5Baとの間に配置されることにより、ヘッダ11は、第1治具81と干渉することなく、既設管端部5Bの管口5Dから引き抜くことができる。また、ヘッダ11が既設管端部5Bの内周部5Cを移動すると、図25に示すように、拡径部17により拡径された既設管端部5Bでは、その外周が拡径前より拡がって大きくなる。このとき、第1治具81が、既設管端部5Bの外周の拡大に伴って、既設管端部5Bの径方向径外側Rに追従できるため、ヘッダ11の回収時に、既設管端部5Bの管口5Dからヘッダ11の引き抜きが完了するまでの間、第1治具81に無理な応力が作用することなく、既設管5に掛かる力T1を既設管支持部材70の第1支持面72に伝達し続けて、既設管5の移動をより確実に抑止できる。
また、本実施形態のヘッダ回収装置60では、第1治具81は、本実施形態では3つ有し、既設管端部5Bの周方向に沿う装置周方向Rに複数に分割した扇型形状に形成されていること、を特徴とするので、既設管端部5Bがヘッダ11の拡径部17により拡径されると、既設管端部5Bが拡径前の形状から変形することから、既設管支持部材70の第1支持面72と既設管端部5Bの端面5Baとの間に、第1治具81を介在させない部分(第1治具非当接部5Badに相当する部分)が、既設管端部5Bの変形代として、確保することができる。そのため、既設管端部5Bの変形に起因して、第1治具81が既設管端部5Bに無理に食い込んでしまい、その取り外しができなくなることが抑制できる。また、ヘッダ11の移動経路Kと第1治具81とが干渉することなく、ヘッダ11が既設管端部5Bの管口5Dから取り出すことができる。また、埋設されている既設管5の径が、新設管6を入替る作業現場によって異なる場合でも、第1治具81が、径が異なる複数種の既設管端部5B(既設管5)に対応した径で形成されていれば、第1治具81の仕様を共通化して用いることが可能となる。これにより、既設管5の径毎に対応させた複数仕様の第1治具81が不要になることから、コスト低減化を図り、第1治具81の保有管理も簡単にできる。
また、本実施形態のヘッダ回収装置60では、第1治具81は、第1当接面82aとは反対側に、既設管端部5Bの管形状に対応して凹設された円弧状の凹部83を有すること、凹部83の底面83aが第2当接面82bであること、ヘッダ11を、既設管端部5Bの管口5Dから引き抜いて回収しようとするときに、第1治具81は、第2当接面82bと既設管端部5Bの端面5Baとが当接するよう、凹部83を既設管端部5Bに嵌め込むことにより、配設されること、を特徴とするので、ヘッダ11の回収前の第1治具81の取付けや、回収作業後の第1治具81の取り外しが簡単にできる。特に、第1治具81を既設管端部5Bに取付けるとき、単に第1治具81の凹部83を既設管端部5Bに嵌め込み、この状態でヘッダ11を既設管端部5Bの管口5Dに向けて引っ張れば、第1治具81は、既設管端部5Bと既設管支持部材70との間に挟まれて固定できるため、第1治具81の取付け時の作業性が良く、作業者の作業負担も軽減できる。
また、本実施形態のヘッダ回収装置60では、既設管支持手段は、新設管6を既設管5の内周部5Cに引き込むときに用いる第2治具91を備え、第2治具91は、既設管5の外径より径小で、長尺状ロッド21の通り抜けが可能な第2開口92と、この第2開口92の周りに、既設管端部5Bの端面5Baと当接可能な第2支持面92aとを有すること、を特徴とするので、継手部を含んだ既設管5を切断し拡径するとき、既設管端部5Bの端面5Baと既設管支持部材70の第1支持面72との間に、第2治具91を介在させることで、管入替え装置10が、ヘッダ11を、数十〜百t近くにまで及ぶ非常に大きな引張力で引っ張っても、既設管支持部材70の第1支持面72に第2治具91を介して掛かる面圧が小さく抑制することができ、切断、拡径時に、既設管5の支持が安定して行うことができる。
すなわち、既設管5は一般的に、発進立坑1と到達立坑2との間において、隣接する管同士を継手で直列に接続することにより、複数の管を複数箇所で繋いで敷設されており、このような既設管5を切断し拡径する作業では、ヘッダ11が管の継手部を切断し拡径するときに、ヘッダ11を、数十〜百t近くにまで及ぶ非常に大きな引張力で引っ張る必要がある。このとき、ヘッダ11に掛かる力学的負荷は、管の他の部分より大きくなり、ヘッダ11の引っ張りに伴って追従して移動しようとする既設管5に作用する力も大きい。
他方で、第1治具81が、既設管端部5Bの端面5Baと既設管支持部材70の第1支持面72との間に介在して、既設管5のうち、発進立坑1と到達立坑2との間の地中に埋設された既設管端部5Bを切断し拡径することは可能である。しかしながら、ヘッダ11は、第1治具81との干渉を回避して、既設管端部5Bの管口5Dから引かれるため、第1治具81は、ヘッダ11の移動経路Kを確保する分、既設管端部5Bの端面5Baに対し、既設管支持部材70の第1支持面72との接触面積は、第2治具91の第2支持面92aとの接触面積より小さい。その上に、継手部を切断し拡径するため、ヘッダ11を、上述した数十〜百t近くにまで及ぶ非常に大きな引張力で引っ張ると、第1治具81では、第1支持面72のうち、既設管端部5Bの端面5Baと当接する第1治具当接部5Bacに掛かる面圧は一層大きくなる。そこで、既設管支持部材70の第1支持面72との間に、第2治具91が介在することにより、既設管端部5Bの端面5Baは、第2治具91の第2支持面92aと、その全面または、ほぼ全面に近い状態で、当接可能とすることができる。これにより、第2治具91の第2支持面92aのうち、既設管端部5Bの端面5Baと当接する第2治具当接部5Baaの接触面積は、既設管支持部材70の第1支持面72との間に第1治具81を介在した場合において、既設管端部5Bの端面5Baと当接する第1治具当接部5Bacの接触面積より、大きく確保することができる。よって、継手部を含んだ既設管5を切断し拡径するのに、管入替え装置10が、ヘッダ11を、数十〜百t近くにまで及ぶ非常に大きな引張力で引っ張っても、既設管支持部材70の第1支持面72に第2治具91を介して掛かる面圧が小さく抑制することができ、切断、拡径時に、既設管5の支持が安定して行うことができる。
また、本実施形態のヘッダ回収装置60では、既設管支持部材70は、配置した第2治具91を保持可能な第2治具支持部73を有し、第2治具91は、第2開口92が既設管支持部材70の第1開口71の範囲内に配置されるよう、既設管支持部材70と位置合わせして、第2治具支持部73に取り付けられること、を特徴とするので、第2治具91の取付けや取り外しが簡単にできる。また、第2治具91は、単に第2治具支持部73に配置するだけで、既設管支持部材70に簡単に取付けられ、この状態でヘッダ11を既設管端部5Bの管口5Dに向けて引っ張れば、第2治具91は、既設管端部5Bと既設管支持部材70との間に挟まれて固定できる。そのため、例えば、ネジ締結等により、第2治具91を既設管支持部材70に別途固定させる必要がなく、作業者の作業負担が軽減でき、既設管支持部材70に対する第2治具91の取付け、及びその取り外しの作業性が良い。
また、本実施形態のヘッダ回収装置60では、ヘッダ11の回収時により生じる異物が当該ヘッダ回収装置60の外部に向けて飛散するのを防止するカバー76を備えていること、を特徴とするので、既設管端部5Bに入り込んだヘッダ11を引き抜いて回収するとき、既設管端部5Bの切断時に生じる切粉や、拡径時に生じる管の破片、既設管端部5Bに付着した土砂、石等の異物が、到達立坑2内に飛散することがある。このような場合でも、カバー76が、当該ヘッダ回収装置60から外部への異物の飛散を阻止しているため、到達立坑2の内外近くにいる作業者の安全が確保できると共に、飛散した異物の衝撃等に起因した管入替え装置10の損傷が防止できる。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
例えば、実施形態では、3つの第1治具81を、既設管端部5Bの端面5Baと既設管支持部材70の第1支持面72との間に介在させたが、第1治具は、その形状や、介在させる数量は、適宜変更可能である。