JP6054839B2 - ランデル型ロータ及びランデル型モータ - Google Patents

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Description

本発明は、ランデル型ロータ及びランデル型モータに関するものである。
モータに使用されるロータとして、ランデル型ロータがある(例えば。特許文献1)。そして、このランデル型ロータを使用したモータをランデル型モータと呼ばれている。
ランデル型ロータは、周方向に複数の爪状磁極をそれぞれ有して組み合わされる2つのロータコアと、それら2つのロータコアの間に配置された界磁磁石とを備え、各爪状磁極を交互に異なる磁極として機能させるロータである。そして、このランデル型ロータにおいて、隣り合う爪状磁極の間に極間補助磁石を配置して、ロータの漏れ磁束を低減させモータ出力の向上を図るようにしている。同様に、各爪状磁極の背面と界磁磁石及び他方の爪状磁極を有するロータコアの外周面との間に背面補助磁石を配置している。
特開2012−115085号公報
ところで、これら極間補助磁石や背面補助磁石を組み付けるとき、極間補助磁石と界磁磁石極の間及び背面補助磁石と界磁磁石との間に、組み付けに必要な隙間ができる。
そのため、この隙間ができることによって、極間補助磁石、背面補助磁石及び界磁磁石がロータの回転中に動く虞があった。そして、極間補助磁石、背面補助磁石及び界磁磁石が動くことによって、異音が発生したり、磁石が損傷したりする虞があった。また、動くことによって、磁束の乱れが生じロータを精度よく制御するのに支障が生じるたりする虞があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、界磁磁石に対して設けた補助磁石が動くのを防止することができるランデル型ロータ及びランデル型モータを提供することにある。
上記課題を解決するためのランデル型ロータは、周方向に複数の第1爪状磁極が等間隔に形成された第1ロータコアと、周方向に複数の第2爪状磁極が等間隔に形成された第2ロータコアと、前記第1及び第2ロータコアの間に配置された界磁磁石とを備え、前記第1爪状磁極と前記第2爪状磁極が周方向に交互に相対配置されるように、第1及び第2ロータコアを回転軸に固定するとともに、前記界磁磁石によって前記第1爪状磁極を第1の磁極に、前記第2爪状磁極を第2の磁極として機能させるようにしたランデル型ロータであって、周方向で隣り合う前記第1及び第2爪状磁極の間に配置される極間補助磁石の径方向内側面と前記界磁磁石の外側面との間に生じる隙間を緩衝材にて充填するとともに、前記第1及び第2爪状磁極のそれぞれの磁極部の径方向内側面に配置される背面補助磁石の径方向内側面と前記界磁磁石の外側面との間に生じる隙間を緩衝材にて充填する。
このランデル型ロータによれば、ロータの回転中に極間補助磁石や背面補助磁石は緩衝部材にて動くことはない。
上記ランデル型ロータにおいて、前記緩衝材は、硬化性樹脂からなる接着剤であることが好ましい。
このランデル型ロータによれば、ロータの回転中に極間補助磁石、背面補助磁石及び界磁磁石は接着剤にて固定されることから動くことはない。
上記ランデル型ロータにおいて、前記第1及び第2ロータコアの軸方向外側面にそれぞれ一対のプレートを配置し、前記一対のプレートの少なくともいずれか一方のプレートの径方向外周縁部から前記各極間補助磁石の径方向外側面上を通って他方のプレートに向かってそれぞれ固定部材を延出し、前記各固定部材の先端部に設けた連結用爪を、前記他方のプレートの外周部にカシメにて連結固定してなるロータカバーを設けたことが好ましい。
このランデル型ロータによれば、ロータの回転による遠心力が極間補助磁石に加えられても、ロータカバーの固定部材にて極間補助磁石は第1及び第2ロータコアから飛び出す虞はない。
上記ランデル型ロータにおいて、前記一対のプレートのいずれか一方のプレートの軸方向外側面には、周方向に第1の磁極と第2の磁極が交互に磁化されたリング形状の前記ロータの回転を検出するための検出用磁石を設けたことが好ましい。
このランデル型ロータによれば、この構成によれば、磁気センサは、検出用磁石の第1の磁極と第2の磁極が交互に通過するのを検知することから、精度の高い検出信号を得ることができる。
上記課題を解決するためのランデル型モータは、上記ランデル型ロータを備えた。
このランデル型モータによれば、ロータの回転中に、ロータに設けた極間補助磁石や背面補助磁石は動くことはない。
本発明によれば、界磁磁石に対して設けた補助磁石が動くのを防止することができる。
ブラシレスモータの軸方向から見た正面図。 同じく、ブラシレスモータの側面図。 同じく、図1のA−A線断面図。 同じく、ブラシレスモータの分解斜視図。 同じく、ロータ、ロータカバー及び検出用磁石の分解斜視図。 同じく、ロータの分解斜視図。 同じく、ロータを軸方向から見た正面図。 同じく、(a)はロータを第1ロータコア側から見た斜視図、(b)はロータを第2ロータコア側から見た斜視図。 同じく、図7のa−o−a線組合せ断面図。
以下、ランデル型モータの一実施形態を図1〜図9に従って説明する。
図1〜図3に示すように、本実施形態のブラシレスモータMは、ランデル型モータであって、車両エンジンルームに配置される位置制御装置用、詳しくはエンジンに連結されるバルブタイミング可変装置に用いられるモータである。
図1〜図4に示すように、ブラシレスモータMはモータケース1を有している。モータケース1は、有蓋筒状に形成された磁性体よりなる筒状フロントハウジング2と、その筒状フロントハウジング2の開口部を閉塞する磁性体よりなるエンドプレート3とを有している。
ブラシレスモータMは、筒状フロントハウジング2の内周面にステータ5が固定され、そのステータ5の内側には、回転軸6に固着され同回転軸6とともに一体回転する所謂ランデル型構造のロータ7が配設されている。回転軸6は、非磁性体のステンレス製シャフトであって、筒状フロントハウジング2に形成した軸受保持部2aに収容固定された軸受8及びエンドプレート3に形成した軸受保持部3aに収容固定された軸受9にて、モータケース1に対して回転可能に支持されている。
回転軸6の先端部は、筒状フロントハウジング2から突出している。そして、回転軸6の回転駆動によって、運転状態に応じたバルブタイミング(エンジンのクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相)が適宜変更されるようになっている。
(ステータ5)
図3に示すように、筒状フロントハウジング2の内周面にはステータ5が固定されている。ステータ5は、円筒状のステータコア11を有し、そのステータコア11の外周面が筒状フロントハウジング2の内側面に固定されている。図4に示すように、ステータコア11の内側には、軸線方向に沿って形成され、かつ、周方向に等ピッチに配置される複数のティース12が、径方向内側に向かって延出形成されている。各ティース12は、T型のティースであって、その径方向の内周面は、回転軸6の中心軸線Oを中心として同心円の円弧を軸線方向に延出した円弧面である。
図3に示すように、各ティース12には、インシュレータ13を介して3相の巻線(図3ではV相巻線15)のそれぞれ巻回されている。具体的には、図4に示すように、12個のティース12には、周方向に3相巻線、即ち、U相巻線14、V相巻線15、W相巻線16が順番に集中巻きにて巻回されている。そして、これら巻回した各相巻線14,15,16に3相の駆動電流が供給されてステータ5に回転磁界を形成し、同ステータ5の内側に配置した回転軸6に固着されたロータ7を、正逆回転させるようになっている。
(ロータ7)
図3及び図4に示すように、回転軸6に固着されたロータ7は、ステータ5の内側に配置されている。
図6〜図9に示すように、ロータ7は、第1及び第2ロータコア20,30、界磁磁石40を有している。
(第1ロータコア20)
図6に示すように、第1ロータコア20は、軟磁性材よりなる電磁鋼板にて形成され、エンドプレート3側に配置されている。第1ロータコア20は、円板状の第1コアベース21を有し、その中心位置に貫通穴21aが貫通形成されている。貫通穴21aのエンドプレート3側の外周部には、略円筒状のボス部21eが突出形成されている。本実施形態では、バーリング加工により、貫通穴21aとボス部21eを同時に形成している。ここで、ボス部21eの外径D1は、回転軸6の一側を回転可能に支持する軸受9の外径Da、即ち、エンドプレート3の設けた軸受9を収容固定する軸受保持部3aの内径より短く形成されている。
貫通穴21a(ボス部21e)は回転軸6が圧入して貫挿され、第1コアベース21が回転軸6に対して圧着固定される。この時、ボス部21eを形成することによって、第1コアベース21は、回転軸6に対して強固に圧着固定される。そして、この第1コアベース21が回転軸6に圧着固定されたとき、ボス部21eは、軸受保持部3aに収容固定された軸受9に対して、図3に示すように、軸方向において離間するように配置されるようになっている。
第1コアベース21の外周面21dには、等間隔に複数(本実施形態では4つ)の第1爪状磁極22が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されている。ここで、第1爪状磁極22において、第1コアベース21の外周面21dから径方向外側に突出した部分を第1基部23といい、軸方向に屈曲された先端部分を第1磁極部24という。
第1基部23と第1磁極部24からなる第1爪状磁極22の周方向両端面22a,22bは、径方向に延びる(軸方向から見て径方向に対して傾斜していない)平坦面となっている。そして、各第1爪状磁極22の周方向の角度、即ち前記周方向両端面22a,22b間の角度は、周方向に隣り合う第1爪状磁極22同士の隙間の角度より小さく設定されている。
また、第1磁極部24の径方向外側面f1は、軸直交方向断面形状が回転軸6の中心軸線Oを中心とする同心円形状の円弧面を有し、その径方向外側面f1に第1補助溝25と第2補助溝26の2つの溝を有している。
詳述すると、図7に示すように、第1磁極部24の径方向外側面f1であって、回転軸6の中心軸線Oから第1磁極部24の周方向の中間位置を通過する直線を中心線L1とする。その中心線L1を基準として時計回り方向側及び反時計回り方向側に角度θ1に位置する中心軸線Oから延びる直線をそれぞれ第1直線L1aと第2直線L1bとする。
ここで、角度θ1は、コギングトルクの周期(角度φ)に基づいて、以下の演算式を使って求めた。
θ1=(1/2+n)・φ
なお、nは整数であって、本実施形態は、n=0としている。
コギングトルクの周期φは、一般に、360度を、ロータ7の磁極数とステータ5のスロット数の最小公倍数で割った値である。
この時、ロータ7の磁極数は後記するように8、ステータ5のスロット数は12であることから、最小公倍数は24となる。そして、コギングトルクの周期φは、15(=360/24)度となる。
従って、角度θ1は、7.5(=15/2)度となる。
そして、径方向外側面f1において、中心線L1を中心に時計回り方向及び反時計回り方向にそれぞれ7.5度変位した位置ある第1直線L1aと第2直線L1bを周方向の中間位置として一定の幅を有した溝を軸線方向にそれぞれ凹設する。
そして、第1直線L1aを周方向中間位置とする溝を第1補助溝25とし、反対に、第2直線L1bを周方向中間位置とする溝を第2補助溝26としている。従って、回転軸6の中心軸線Oを中心に第1補助溝25と第2補助溝26がなす角度は、コギングトルクの周期φ(=15度)と一致する。
つまり、中心線L1と第1直線L1aがなす角度及び中心線L1と第2直線L1bがなす角度は、共にコギングトルクの周期φの半周期(=7.5度)となり、第1補助溝25と第2補助溝26は中心線L1を対称軸として対称位置に形成されている。
この第1及び第2補助溝25,26は、軸直交方向断面形状がコ字状に形成され、その底面が平面であって、その両側から径方向外側から延びる側面に対して直角に形成されている。
従って、第1及び第2補助溝25,26の底面は、平面形状であることから、軸直交断面形状が回転軸6の中心軸線Oを中心とする同心円弧形状にならない。その結果、第1磁極部24の第1及び第2補助溝25,26の底面を含む径方向外側面f1は、全体として、軸直交方向断面形状が回転軸6の中心軸線Oを中心とする同心円形状にならない。
図8(a)及び図9に示すように、第1コアベース21の反対向面21bには、4個の位置決め係止孔27が中心軸線Oを中心とする同心円上に等角度の間隔で貫通形成されている。4個の位置決め係止孔27は、第1コアベース21に形成した隣り合う第1爪状磁極22の中間位置上に形成されている。
(第2ロータコア30)
図6に示すように、第2ロータコア30は、第1ロータコア20と同一材質及び同形状であって、筒状フロントハウジング2側に配置される。第2ロータコア30は、円板状の第2コアベース31を有し、その中心位置に貫通穴31aが貫通形成されている。
図8(b)及び図9に示すように、貫通穴31aの筒状フロントハウジング2側の外周部には、略円筒状のボス部31eが突出形成されている。本実施形態では、バーリング加工により、貫通穴31aとボス部31eを同時に形成している。ここで、ボス部31eの外径D2(=D1)は、回転軸6の他側を回転可能に支持する軸受8の外径Db(=Da)、即ち、筒状フロントハウジング2の設けた軸受8を収容固定する軸受保持部2aの内径より短く形成されている。
貫通穴31a(ボス部31e)は回転軸6が圧入して貫挿され、第2コアベース31が回転軸6に対して圧着固定される。この時、ボス部31eを形成することによって、第2コアベース31は、回転軸6に対して強固に圧着固定される。そして、この第2コアベース31が回転軸6に圧着固定されたとき、ボス部31eは、軸受保持部2aに収容固定された軸受8に対して、軸方向において離間するように配置されるようになっている。
第2コアベース31の外周面31dには、等間隔に4つの第2爪状磁極32が径方向外側に突出されるとともに軸方向に延出形成されている。ここで、第2爪状磁極32において、第2コアベース31の外周面31dから径方向外側に突出した部分を第2基部33といい、軸方向に屈曲された先端部分を第2磁極部34という。
第2基部33と第2磁極部34からなる第2爪状磁極32の周方向端面32a,32bは径方向に延びる平坦面とされている。そして、各第2爪状磁極32の周方向の角度、即ち前記周方向両端面32a,32b間の角度は、周方向に隣り合う第2爪状磁極32同士の隙間の角度より小さく設定されている。
また、第2磁極部34の径方向外側面f2は、軸直交方向断面形状が回転軸6の中心軸線Oを中心とする同心円形状の円弧面を有し、その径方向外側面f2に第1補助溝35と第2補助溝36の2つの溝を有している。
詳述すると、図7に示すように、第2磁極部34の径方向外側面f2であって、回転軸6の中心軸線Oから第2磁極部34の周方向の中間位置を通過する直線を中心線L2とする。その中心線L2を基準として時計回り方向側及び反時計回り方向側に角度θ2の位置にある中心軸線Oから延びる直線をそれぞれ第1直線L2aと第2直線L2bとする。ここで、角度θ2は、上記と同様に、コギングトルクの周期φに基づいて、以下の演算式を使って求めた。
θ2=(1/2+n)・φ
なお、nは整数であって、本実施形態は、n=0としている。コギングトルクの周期φは、前記と同様に、15(=360/24)度である。
従って、角度θ2は、角度θ1と同じ、7.5(=15/2)度となる。
そして、径方向外側面f2において、中心線L2を中心に時計回り方向及び反時計回り方向にそれぞれ7.5度変位した位置ある第1直線L2aと第2直線L2bを周方向の中間位置として一定の幅を有した溝を軸線方向にそれぞれ凹設する。
そして、第1直線L2aを周方向中間位置とする溝を第1補助溝35とし、反対に、第2直線L2bを周方向中間位置とする溝を第2補助溝36としている。従って、回転軸6の中心軸線Oを中心に第1補助溝35と第2補助溝36がなす角度は、コギングトルクの周期φ(=15度)と一致する。
つまり、中心線L2と第1直線L2aがなす角度及び中心線L2と第2直線L2bがなす角度は、共にコギングトルクの周期φの半周期(=7.5度)となり、第1補助溝35と第2補助溝36は中心線L2を対称軸として対称位置に形成されている。
この第1及び第2補助溝35,36は、軸直交方向断面形状がコ字状に形成され、その底面が平面であって、その両側から径方向外側から延びる側面に対して直角に形成されている。
従って、第1及び第2補助溝35,36の底面は、平面形状であることから、軸直交方向断面形状が回転軸6の中心軸線Oを中心とする同心円弧形状にならない。その結果、第2磁極部34の第1及び第2補助溝35,36の底面を含む径方向外側面f2は、全体として、軸直交方向断面形状が回転軸6の中心軸線Oを中心とする同心円形状にならない。
図8(b)及び図9に示すように、第2コアベース31の反対向面31bには、4個の位置決め係止孔37が中心軸線Oを中心とする同心円上に等角度の間隔で貫通形成されている。4個の位置決め係止孔37は、第2コアベース31に形成した隣り合う第2爪状磁極32の中間位置上に形成されている。
そして、第2ロータコア30は、各第2爪状磁極32がそれぞれ対応する各第1爪状磁極22間に配置される。このとき、第2ロータコア30は、第1コアベース21と第2コアベース31との軸方向の間に、界磁磁石40(図3及び図9参照)が配置されるようにして第1ロータコア20に対して組み付けられる。
(界磁磁石40)
図6及び図9に示すように、界磁磁石40は、フェライト磁石よりなる円板状の永久磁石であって、その中央部に貫通穴40aが形成されている。界磁磁石40は、その貫通穴40aに円筒状のスリーブ41が貫挿されている。
スリーブ41は、非磁性体よりなり本実施形態では回転軸6と同じステンレス製にて形成されている。スリーブ41の軸方向の長さは、界磁磁石40の軸方向の長さより長く設定されている。
また、スリーブ41の外径Dsは、ボス部21e,31eの外径D1,D2以上となるように形成されている。従って、界磁磁石40の貫通穴40aの内径は、ボス部21e,31eの外径D1,D2より大きくなる。
スリーブ41の外周面には、界磁磁石40が配置されている。そして、スリーブ41は、界磁磁石40の貫通穴40aに貫挿されて、スリーブ41の外周面と貫通穴40aの内周面とが硬化性樹脂よりなる接着剤にて接着固定される。
具体的には、スリーブ41を回転軸6に挿入した後、そのスリーブ41に界磁磁石40の貫通穴40aを貫挿する。このとき、貫通穴40aの内周面に硬化性樹脂よりなる接着剤を塗布して貫挿する。その結果、接着剤が硬化することによって、界磁磁石40は、スリーブ41に対して接着固定される。
そして、回転軸6に対して第1及び第2コアベース21,31が圧入し圧着固定される。
図6及び図9に示すように、そして、スリーブ41に対して接着固定された界磁磁石40は、その一方の側面40bが、第1コアベース21の対向面21cと、界磁磁石40の他方の側面40cが、第2コアベース31の対向面31cとそれぞれ密接し、硬化性樹脂よりなる接着剤にて接着固定される。
界磁磁石40の外径は、第1及び第2コアベース21,31の外径と一致するように設定されている。従って、界磁磁石40の外周面40dが第1及び第2コアベース21,31の外周面21d,31dと面一となる。
また、図9に示すように、界磁磁石40の厚さ(スリーブ41の軸方向の長さ)によって、第1爪状磁極22(第1磁極部24)の先端面22cと第2コアベース31の反対向面31bとが面一になるとともに、第2爪状磁極32(第2磁極部34)の先端面32cと第1コアベース21の反対向面21bとが面一になるようにしている。
図9に示すように、界磁磁石40は、軸方向に磁化されていて、第1ロータコア20側をN極(第1の磁極)、第2ロータコア30側をS極(第2の磁極)となるように磁化されている。従って、この界磁磁石40によって、第1ロータコア20の第1爪状磁極22はN極(第1の磁極)として機能し、第2ロータコア30の第2爪状磁極32はS極(第2の磁極)として機能する。
従って、本実施形態のロータ7は、界磁磁石40を用いた所謂ランデル型ロータである。ロータ7は、N極となる第1爪状磁極22と、S極となる第2爪状磁極32とが周方向に交互に配置されており、磁極数が8極となる。
すなわち、本実施形態のブラシレスモータMは、ロータ7の極数が2×n(但し、nは自然数)に設定されるとともに、ステータ5のティース12の数が3×nに設定され、具体的には、ロータ7の極数が「8」に設定され、ステータ5のティース12の数が「12」に設定されている。
(第1背面補助磁石43)
図6、図8(a)、図9に示すように、第1磁極部24の背面24a(径方向内側の面)であって、第2コアベース31の外周面31d、界磁磁石40の外周面40d、第1基部23の第2ロータコア30側の面23aとで形成される空間には、第1背面補助磁石43が配置されている。
第1背面補助磁石43は、本実施形態ではフェライト磁石にて形成されている。第1背面補助磁石43は、その軸直交方向断面が扇形状の略直方体形状であって、その部分での漏れ磁束を低減すべく、第1爪状磁極22(第1磁極部24)の背面24aに当接する側が第1爪状磁極22と同極のN極に、第2コアベース31に当接する側が同第2コアベース31と同極のS極となるように径方向に磁化されている。このとき、第1背面補助磁石43の径方向内側面43aと第2コアベース31の外周面31d及び界磁磁石40の外周面40dとの間に生ずる隙間が生ずる。
そこで、本実施形態では、その隙間を埋めるために緩衝材を介在させている。具体的には、本実施形態では、第1背面補助磁石43を組み付けるとき、その径方向内側面43aに緩衝材として硬化性樹脂よりなる接着剤を塗布し、同径方向内側面43aと第2コアベース31の外周面31d及び界磁磁石40の外周面40dと接着固定されている。
つまり、第1背面補助磁石43の径方向内側面43aと第2コアベース31の外周面31d及び界磁磁石40の外周面40dとの間に生ずる隙間が、硬化性樹脂よりなる接着剤にて塞がれる。その結果、第1背面補助磁石43は、接着剤を介して第2コアベース31及び界磁磁石40に固定される。しかも、接着剤は、硬化性樹脂製なので、接着剤が硬化したとき、同接着剤が緩衝材となり、第1背面補助磁石43に加えられる力を弾性的吸収する。
(第2背面補助磁石44)
図6、図8(b)、図9に示すように、第2磁極部34の背面34a(径方向内側の面)であって、第1コアベース21の外周面21d、界磁磁石40の外周面40d、第2基部33の第1ロータコア20側の面33aとで形成される空間には、第2背面補助磁石44が配置されている。
第2背面補助磁石44は、本実施形態ではフェライト磁石にて形成されている。第2背面補助磁石44は、その軸直交方向断面が扇形状の略直方体形状であって、その部分での漏れ磁束を低減すべく、第2爪状磁極32(第2磁極部34)の背面34aに当接する側が第2爪状磁極32と同極のS極に、第1コアベース21に当接する側が同第1コアベース21と同極のN極となるように径方向に磁化されている。このとき、第2背面補助磁石44の径方向内側面44aと第1コアベース21の外周面21d及び界磁磁石40の外周面40dとの間に隙間が生ずる。
そこで、本実施形態では、その隙間を埋めるために緩衝材を介在させている。具体的には、本実施形態では、第2背面補助磁石44を組み付けるとき、その径方向内側面44aに緩衝材として硬化性樹脂よりなる接着剤を塗布し、同径方向内側面44aと第1コアベース21の外周面21d及び界磁磁石40の外周面40dと接着固定されている。
つまり、第2背面補助磁石44の径方向内側面44aと第1コアベース21の外周面21d及び界磁磁石40の外周面40dとの間に生ずる隙間が、硬化性樹脂よりなる接着剤にて塞がれる。その結果、第2背面補助磁石44は、接着剤を介して第1コアベース21及び界磁磁石40に固定される。しかも、接着剤は、硬化性樹脂製なので、接着剤が硬化したとき、同接着剤が緩衝材となり、第2背面補助磁石44に加えられる力を弾性的吸収する。
(第1及び第2極間補助磁石45,46)
図6〜図8に示すように、第1背面補助磁石43が配置された第1爪状磁極22と第2背面補助磁石44が配置された第2爪状磁極32との周方向の間には、第1及び第2極間補助磁石45,46がそれぞれ配置固定されている。第1及び第2極間補助磁石45,46は、本実施形態ではフェライト磁石にて形成されていて、その軸直交方向断面が扇形状の略直方体形状に形成されている。そして、配置固定された状態での第1及び第2極間補助磁石45,46は、その径方向外側面の中心軸線Oを中心とする外径が、第1及び第2磁極部24,34の径方向外側面f1,f2の中心軸線Oを中心とする外径より短くしている。
詳述すると、第1極間補助磁石45は、第1爪状磁極22の一方の周方向端面22aと前記第1背面補助磁石43の周方向端面とで形成される平坦面と、第2爪状磁極32の他方の周方向端面32bと前記第2背面補助磁石44の周方向端面とで形成される平坦面との間に配置されている。このとき、第1極間補助磁石45の径方向内側面45aと第1及び第2コアベース21,31の外周面21d,31d並び界磁磁石40の外周面40dとの間に生ずる隙間が生ずる。
そこで、本実施形態では、その隙間を埋めるために緩衝材を介在させている。具体的には、本実施形態では、第1極間補助磁石45を組み付けるとき、その径方向内側面45aに緩衝材として硬化性樹脂よりなる接着剤を塗布し、同径方向内側面45aと第1及び第2コアベース21,31の外周面21d,31d並び界磁磁石40の外周面40dと接着固定されている。
つまり、第1極間補助磁石45の径方向内側面45aと第1及び第2コアベース21,31の外周面21d,31d並び界磁磁石40の外周面40dとの間に生ずる隙間が、硬化性樹脂よりなる接着剤にて塞がれる。その結果、第1極間補助磁石45は、接着剤を介して第1及び第2コアベース21,31並び界磁磁石40に固定される。しかも、接着剤は、硬化性樹脂製なので、接着剤が硬化したとき、同接着剤が緩衝材となり、第1極間補助磁石45に加えられる力を弾性的吸収する。
同様に、第2極間補助磁石46は、第1爪状磁極22の他方の周方向端面22bと前記第1背面補助磁石43の周方向端面とで形成される平坦面と、第2爪状磁極32の一方の周方向端面32aと前記第2背面補助磁石44の周方向端面とで形成される平坦面との間に配置されている。このとき、第2極間補助磁石46の径方向内側面46aと第1及び第2コアベース21,31の外周面21d,31d並び界磁磁石40の外周面40dとの間に生ずる隙間が生ずる。
そこで、本実施形態では、その隙間を埋めるために緩衝材を介在させている。具体的には、本実施形態では、第2極間補助磁石46を組み付けるとき、その径方向内側面46aに緩衝材として硬化性樹脂よりなる接着剤を塗布し、同径方向内側面46aと第1及び第2コアベース21,31の外周面21d,31d並び界磁磁石40の外周面40dと接着固定されている。
つまり、第2極間補助磁石46の径方向内側面46aと第1及び第2コアベース21,31の外周面21d,31d並び界磁磁石40の外周面40dとの間に生ずる隙間が、硬化性樹脂よりなる接着剤にて塞がれる。その結果、第2極間補助磁石46は、接着剤を介して第1及び第2コアベース21,31並び界磁磁石40に固定される。しかも、接着剤は、硬化性樹脂製なので、接着剤が硬化したとき、同接着剤が緩衝材となり、第2極間補助磁石46に加えられる力を弾性的吸収する。
第1及び第2極間補助磁石45,46は、第1及び第2爪状磁極22,32とそれぞれ同じ磁極となるように(第1爪状磁極22側がN極で、第2爪状磁極32側がS極となるように)周方向に磁化されている。
(ロータカバー50)
回転軸6に組み付けられたロータ7には、ロータカバー50が装着されている。
図5に示すように、ロータカバー50は、第1ロータコア20(軸方向外側面)側に配置される第1プレート51と第2ロータコア30(軸方向外側面)側に配置される第2プレート52とからなり、共に非磁性体であって本実施形態では真鍮にて形成されている。
(第1プレート51)
第1プレート51は、円板状の第1ベース部53を有している。第1ベース部53はその中心部に回転軸6が貫通する貫通窓53aが形成されている。一方、第1ベース部53は、中心軸線Oを中心とするその外径が、ロータ7に組み付けられた第1及び第2極間補助磁石45,46の径方向外側面の中心軸線Oを中心とする外径と同じなるように形成されている。
第1ベース部53の第1ロータコア20側の面には、等角度の間隔で4個の第1係止突起54がプレス加工にて突出形成されている。各第1係止突起54は第1コアベース21の反対向面21bに形成した各位置決め係止孔27にそれぞれ嵌着する。このとき、第1プレート51は、第1コアベース21の反対向面21bの外周部と当接するとともに、第2背面補助磁石44と第1及び第2極間補助磁石45,46の第1コアベース21側の外側面と当接する。
第1プレート51の外周縁部には、円筒壁55が反第1ロータコア20側(エンドプレート3側)に向かって延出形成されている。円筒壁55の軸方向先端面には、8個の嵌合凹部56が等ピッチに形成されている。
(第2プレート52)
第2プレート52は、円板状の第2ベース部57を有している。第2ベース部57はその中心部に回転軸6が貫通する貫通窓57aが形成されている。一方、第2プレート52は、中心軸線Oを中心とするその外径が、ロータ7に組み付けられた第1及び第2極間補助磁石45,46の径方向外側面の中心軸線Oを中心とする外径と同じなるように形成されている。
第2ベース部57の第2ロータコア30側の面には、等角度の間隔で4個の第2係止突起58がプレス加工によって突出形成されている。各第2係止突起58は第2コアベース31の反対向面31bに形成した各位置決め係止孔37にそれぞれ嵌着する。このとき、第2プレート52は、第2コアベース31の反対向面31bの外周部と当接するとともに、第1背面補助磁石43と第1及び第2極間補助磁石45,46の第2コアベース31側の外側面と当接する。
また、第2プレート52の外周縁部には、8個の固定部材59が、等ピッチで第1ロータコア20側(エンドプレート3側)に向かって延出形成されている。8個の固定部材59は、第2プレート52の各第2係止突起58を第2コアベース31の各位置決め係止孔37にそれぞれ嵌着させたとき、第1爪状磁極22の第1磁極部24と第2爪状磁極32の第2磁極部34との間に位置するようにそれぞれ配置されている。即ち、対応する第1及び第2極間補助磁石45,46の径方向外側面とそれぞれ対向するように配置されている。
そして、各固定部材59は、その基端部から軸方向第1プレート51側であって同第1プレート51の円筒壁55の位置まで延出形成されている。このとき、各固定部材59の径方向内側面は、第1極間補助磁石45又は第2極間補助磁石46の径方向外側面全体をそれぞれ覆うように形成されている。
図5に示すように、各固定部材59の先端には、カシメ用爪59aがそれぞれ設けられている。そして、図5に示すように、各カシメ用爪59aが第1プレート51の円筒壁55に形成した嵌合凹部56と係合するように内側にカシメられることによって、第1プレート51と第2プレート52は連結される。
これによって、ロータカバー50がロータ7に対して組み付けられ、ロータ7と一体回転する。なお、図5では、各カシメ用爪59aは、カシメられた状態を示しているが、カシメられる前は軸方向に延出形成されている。
図4及び図5に示すように、第1プレート51の第1ベース部53に形成した円筒壁55の内側面には、リング形状の検出用磁石60が設けられている。図5に示すように、検出用磁石60は、その径方向外側面が円筒壁55の内側面に接着剤にて固定されている。このとき、リング形状の検出用磁石60の中心軸が、回転軸6の中心軸線Oと一致するように、検出用磁石60は第1プレート51に対して固定される。
図5に示すように、検出用磁石60は、周方向にN極、S極が交互に等角度の間隔で磁化されている。詳述すると、検出用磁石60の第1ロータコア20側の磁極は、第1爪状磁極22と軸方向に対向する側をN極、第2爪状磁極32と軸方向に対向する側をS極となるように磁化されている。つまり、リング形状の検出用磁石60の第1ロータコア20側の磁極は、N極に磁化されたN極部分60nとS極に磁化されたS極部分60sが第1爪状磁極22の磁極と第2爪状磁極32の磁極に対応させて磁化されている。
そして、検出用磁石60に対して軸方向に一定の間隔を開けて対峙するように、モータケース1のエンドプレート3には、ホールICからなる磁気センサ62(図3参照)を設けられている。これによって、ロータ7が回転すると、検出用磁石60は、N極に磁化されたN極部分60nとS極に磁化されたS極部分60sが、磁気センサ62の前方を交互に通過する。この回転に伴って、磁気センサ62は、検出用磁石60のN極部分60nとS極部分60sが交互に通過するのを検知する。
磁気センサ62は、その検出信号を図示しない制御回路に出力する。制御回路は、磁気センサ62からの検出信号に基づいてロータ7の回転角(回転位置)を算出するとともに回転数を算出する。そして、制御回路は、算出した回転角(回転位置)や回転数を利用してブラシレスモータMの駆動制御を行う。
次に、上記のように構成した実施形態の作用を以下に記載する。
界磁磁石40によって、第1ロータコア20の第1爪状磁極22はN極となり、第2ロータコア30の第2爪状磁極32はS極となっている。このとき、第1及び第2コアベース21,31のボス部21e,31eは、軸受保持部2a,3aに収容固定された軸受8,9に対して、軸方向において離間して配置されている。しかも、ボス部21e,31eの外径D1,D2は軸受8,9の外径Da,Dbよりも小さくしている。
これによって、界磁磁石40の磁束が、軸受8,9、軸受保持部2a,3aを介してモータケース1に漏れ難くしブラシレスモータMの出力アップを図ることができる。
しかも、非磁性体で形成したスリーブ41の外径Dsは第1及び第2コアベース21,31に形成したボス部21e,31eの外径D1,D2以上にした。そのため、界磁磁石40の磁束が、ボス部21e,31eを通って漏れ難くなり、即ち、モータケース1へより漏れ難くなることからさらなるブラシレスモータMの出力アップにつながる。
さらに、非磁性体で形成したスリーブ41は、界磁磁石40の内側に配置したことから、界磁磁石40の磁束は、同スリーブ41を介して内側へ漏れることはない。
今、ブラシレスモータMにおいて、ステータコア11の各相巻線14,15,16に3相の駆動電流が供給されてステータ5に回転磁界を形成すると、同ステータ5の内側に配置した回転軸6に固着されたロータ7は、その回転磁界に基づいて回転する。
回転時において、第1プレート51に固設したリング形状の検出用磁石60も回転軸6を中心に回転する。この回転に伴って、磁気センサ62は、検出用磁石60のN極部分60nとS極部分60sが交互に通過するのを検知する。制御回路は、磁気センサ62からの検出信号に基づいてロータ7の回転角(回転位置)を算出するとともに回転数を算出する。そして、制御回路は、算出した回転角(回転位置)や回転数を利用してブラシレスモータMの駆動制御を行う。
つまり、例えば、車両走行時の運転状態に応じてバルブタイミングを変更する制御が行われる際には、制御回路から各相巻線14,15,16に3相の駆動電流が供給され回転磁界が発生される。すると、ロータ7が回転駆動し、バルブタイミング可変装置によってバルブタイミング(エンジンのクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相)が変更される。
このロータ7の回転時において、第1及び第2背面補助磁石43,44は、接着剤にて固定されていることから、動くことがない。その結果、動くことによる異音や、損傷、さらには磁束の乱れは生じない。また、第1及び第2背面補助磁石43,44は、接着剤にて固定するため、その位置決め固定が簡単で精度よく行われる。
同様に、このロータ7の回転時において、第1及び第2極間補助磁石45,46は、接着剤にて固定されていることから、動くことがない。その結果、動くことによる異音や、損傷、さらには磁束の乱れは生じない。また、第1及び第2極間補助磁石45,46は、接着剤にて固定するため、その位置決め固定が簡単で精度よく行われる。
また、回転時において、ロータ7は、軸方向の両側面がロータカバー50の第1プレート51と第2プレート52にてカバーされていることから、万が一、接着剤が剥がれて第1及び第2極間補助磁石45,46、並びに、第1及び第2背面補助磁石43,44が軸方向から飛び出すことはない。
しかも、ロータ7は、ロータカバー50の各固定部材59が対応する第1及び第2極間補助磁石45,46の径方向外側面を押さえ付けていることから、回転による遠心力が第1及び第2極間補助磁石45,46に加えられて、万が一、接着剤が剥がれても第1及び第2ロータコア20,30から飛び出す虞はない。
また、このブラシレスモータMは、車両エンジンルーム内に配置されるバルブタイミング可変装置に用いられている。そして、このブラシレスモータMにおけるロータ7の界磁磁石40は、第1ロータコア20と第2ロータコア30との軸方向の間に配置される。これにより、界磁磁石40は、外部の影響を受け難くなるため、例えば、車両エンジンルーム内が高温となっても界磁磁石40を減磁(不可逆温度変化)し難くすることができる。よって、安定して位置制御、即ちバルブタイミングを変更させることができる。
また、第1磁極部24及び第2磁極部34は、第1及び第2ロータコア20,30の略円板状の第1及び第2コアベース21,31の外周部から径方向外側に突出されるとともに界磁磁石40の径方向外側面を覆うように軸方向に延びるように形成されている。そのため、界磁磁石40は、より外部の影響を受け難くなり、例えば、車両エンジンルーム内が高温となっても界磁磁石40をより減磁(不可逆温度変化)し難くすることができる。
また、界磁磁石40は、第1及び第2ロータコア20,30の円板状の第1及び第2コアベース21,31の外周部よりも径方向内側に配置されるように設定されるため、より外部の影響を受け難くなる。よって、例えば、車両エンジンルーム内が高温となっても界磁磁石40をより減磁(不可逆温度変化)し難くすることができる。
そして、各相巻線14、15,16への3相の駆動電流の供給が停止すると、回転磁界が消失してロータ7は回転を停止する。このとき、ロータ7は、第1ロータコア20の第1磁極部24がステータコア11のティース12に流れ込む磁束と、第2ロータコア30の第2磁極部34にステータコア11のティース12から流れ込む磁束がそれぞれ最も安定した状態となる回動位置で停止する。
この停止位置は、第1及び第2磁極部24,34のいずれか一方の径方向外側面f1(径方向外側面f2)上の中心線L1(中心線L2)と交差する周方向の中間位置が、それぞれ対向するティース12の径方向内周面であってその周方向の中間位置と対峙する位置である。
例えば、第1磁極部24の径方向外側面f1上の中心線L1と交差する周方向の中間位置が、それぞれ対向するティース12の径方向内周面であってその周方向の中間位置に位置する。このとき、ブラシレスモータMは、ロータ7が8極、ステータ5が12スロットルのモータであることから、第2磁極部34の径方向外側面f2上の中心線L2は、ティース12とティース12の中間位置に位置する。
この状態において、ロータ7(回転軸6)を回転させると、第1磁極部24の径方向外側面f1が、それぞれ対向するティース12の径方向内周面に対して、周方向に移動する。
このとき、第1磁極部24の径方向外側面f1は、第1及び第2補助溝25,26が形成されていることから、全体として、軸直交方向断面形状が回転軸6の中心軸線Oを中心とする同心円形状にならない。また、第2磁極部34の径方向外側面f2は、第1及び第2補助溝35,36が形成されていることから、全体として、軸直交方向断面形状が回転軸6の中心軸線Oを中心とする同心円形状にならない。そのため、移動に伴う磁束の変化が、ティース12の径方向内周面と同じ回転軸6の中心軸線を中心とする同心円となる第1爪状磁極部の径方向外側面に比べて非常に大きくなる。
ちなみに、磁束を安定した状態に戻ろうとする保持力(ディテントトルク)は、磁界の変化に相対する。その結果、この場合には、磁界の変化が非常に大きいので、保持力(ディテントトルク)は大きくなる。
しかも、第1補助溝25,35と第2補助溝26,36は中心線L1,L2を対称軸として対称位置にそれぞれ形成されている。従って、ロータ7(回転軸6)のいずれの回転方向においても同じ保持力(ディテントトルク)を有する。
また、第1補助溝25(第1直線L1a)と第2補助溝26(第2直線L1b)とがなす角度が、コギングトルクの周期φ(=15度)と一致するように形成した。同様に、第1補助溝35(第1直線L2a)と第2補助溝36(第2直線L2b)とがなす角度が、コギングトルクの周期φ(=15度)と一致するように形成した。
つまり、第1補助溝25,35及び第2補助溝26,36を形成する前の元々の溝形成前ディテントトルクと、補助溝ディテントトルクを同相になるようにした。これによって、溝形成前ディテントトルクが補助溝ディテントトルクと重畳されて、その合計ディテントトルクを最大に引き出せる。
これによって、非駆動時に、車両エンジンルーム内の振動等でロータ7が回転してしまうことを抑えることができる。
さらに、ロータ7の極数が2×n(但し、nは自然数)に設定されるとともに、ステータ5のティース12の数が3×nに設定されるため、最小公倍数が小さくなり、第1及び第2爪状磁極22,32とティース12とを多く正対させることができる。その結果、ディテントトルクをさらに大きくすることができる。つまり、非駆動時に、車両エンジンルーム内の振動等でロータ7が回転してしまうことを抑えることができる。
次に、上記実施形態の特徴的効果を以下に記載する。
(1)本実施形態によれば、第1及び第2背面補助磁石43,44を接着剤にて固定し、動かないようにした。従って、第1及び第2背面補助磁石43,44が動くことによって生じる異音や、損傷は生じない。さらには、第1及び第2背面補助磁石43,44が動くことによって生じる磁束の乱れは生じない。その結果、磁束の乱れが生じないことから、ロータを精度よく回転制御させることができる。
また、第1及び第2背面補助磁石43,44を接着剤にて固定することから、その位置決め固定が簡単で精度よく行うことができる。
(2)本実施形態によれば、第1及び第2極間補助磁石45,46を接着剤にて固定し、動かないようにした。従って、第1及び第2極間補助磁石45,46が動くことによって生じる異音や、損傷は生じない。さらには、第1及び第2背面補助磁石43,44が動くことによって生じる磁束の乱れは生じない。その結果、磁束の乱れが生じないことから、ロータを精度よく回転制御させることができる。
また、第1及び第2極間補助磁石45,46を接着剤にて固定することから、その位置決め固定が簡単で精度よく行うことができる。
(3)本実施形態によれば、ロータ7にロータカバー50を設け、そのロータカバー50の各固定部材59が対応する第1及び第2極間補助磁石45,46の径方向外側面を押さえ付けるようにした。従って、回転による遠心力が第1及び第2極間補助磁石45,46に加えられて、万が一、接着剤が剥がれても第1及び第2ロータコア20,30から飛び出すのを防止できる。
(4)本実施形態によれば、ロータカバー50の第1プレート51に形成した円筒壁55に、リング形状の検出用磁石60を設けた。そして、検出用磁石60は、周方向にN極、S極が交互に等角度の間隔で磁化し、磁気センサ62にて、検出用磁石60のN極部分60nとS極部分60sが交互に通過するのを検知するようにした。従って、その検出信号に基づいてロータ7の回転角(回転位置)を正確に算出するとともに回転数を正確に算出することができ、検出用磁石60を第1プレート51に設けだけの簡単な構成でブラシレスモータMの精度の高い回転制御に寄与することができる。
(5)本実施形態によれば、第1及び第2コアベース21,31のボス部21e,31eを、軸受保持部2a,3aに収容固定された軸受8,9に対して、軸方向において離間して配置した。従って、界磁磁石40の磁束が、軸受8,9、軸受保持部2a,3aを介してモータケース1に漏れ難くできる。その結果、ブラシレスモータMの出力アップを図ることができる。
(6)本実施形態によれば、ボス部21e,31eの外径D1,D2を軸受8,9の外径Da,Dbよりも小さくした。従って、界磁磁石40の磁束が、軸受8,9、軸受保持部2a,3aを介してモータケース1により漏れ難くできる。その結果、ブラシレスモータMの出力アップを図ることができる。しかも、漏れ難くなる分、ボス部21e,31eと軸受8,9との離間距離を短くできることから、ブラシレスモータMを薄型化することができる。
(7)本実施形態によれば、非磁性体で形成したスリーブ41の外径Dsを、第1及び第2コアベース21,31に形成したボス部21e,31eの外径D1,D2以上にした。従って、界磁磁石40の磁束が、ボス部21e,31eを通って漏れ難くし、モータケース1へより漏れ難くした。その結果、ブラシレスモータMの出力アップにつながる。
また、同様に、漏れ難くなる分、ボス部21e,31eと軸受8,9との離間距離を短くできることから、ブラシレスモータMを薄型化することができる。
(8)本実施形態によれば、非磁性体で形成したスリーブ41を、界磁磁石40の内側に配置したので、同スリーブ41を介して内側への漏れ磁束を防止することができる。
(9)本実施形態によれば、界磁磁石40は、スリーブ41に貫挿し接着剤にてスリーブ41に対して接着固定されることから、組み付け時に損傷することはない。
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、第1背面補助磁石43の径方向内側面43aは、第2コアベース31の外周面31d及び界磁磁石40の外周面40dの両方に接着固定されるように接着剤を塗布した。これを、第1背面補助磁石43の径方向内側面43aが、界磁磁石40の外周面40dに対してのみ接着固定されるように接着剤を塗布してもよい。
同様に、第2背面補助磁石44の径方向内側面44aは、第1コアベース21の外周面21d及び界磁磁石40の外周面40dの両方に接着固定されるように接着剤を塗布した。これを、第2背面補助磁石44の径方向内側面44aが、界磁磁石40の外周面40dに対してのみ接着固定されるように接着剤を塗布してもよい。
○上記実施形態では、第1極間補助磁石45の径方向内側面45aは、第1及び第2コアベース21,31の外周面21d,31d並び界磁磁石40の外周面40dのそれぞれに接着固定されるように接着剤を塗布した。これを、第1極間補助磁石45の径方向内側面45aが、界磁磁石40の外周面40dに対してのみ接着固定されるように接着剤を塗布してもよい。
同様に、第2極間補助磁石46の径方向内側面46aは、第1及び第2コアベース21,31の外周面21d,31d並び界磁磁石40の外周面40dのそれぞれに接着固定されるように接着剤を塗布した。これを、第2極間補助磁石46の径方向内側面46aが、界磁磁石40の外周面40dに対してのみ接着固定されるように接着剤を塗布してもよい。
○上記実施形態では、界磁磁石40、第1及び第2背面補助磁石43,44、第1及び第2極間補助磁石45,46をフェライト焼結磁石で形成したが、これに限らず、ネオジム焼結磁石、サマリウムコバルト磁石等で形成してもよい。勿論、界磁磁石40はネオジム磁石で形成し、第1及び第2背面補助磁石43,44や第1及び第2極間補助磁石45,46はフェライト焼結磁石又はサマリウムコバルト磁石等で実施してもよい。
○上記実施形態では、非磁性体のスリーブ41をステンレス製で形成したが、非磁性体であればよく、例えば、アルミ製のスリーブ41であったり、樹脂製のスリーブ41であったりしてもよい。
○上記実施形態では、ブラシレスモータMをバルブタイミング可変装置の駆動源として用いたが、その他装置(例えば、スロットル弁制御装置等)の駆動源として用いてもよいことは勿論である。
1…モータケース、2…筒状フロントハウジング、2a…軸受保持部、3…エンドプレート、3a…軸受保持部、5…ステータ、6…回転軸、7…ロータ(ランデル型ロータ)、8,9…軸受、11…ステータコア、12…ティース、13…インシュレータ、14…U相巻線、15…V相巻線、16…W相巻線、20…第1ロータコア、21…第1コアベース、21a…貫通穴、21b…反対向面、21c…対向面、21d…外周面、21e…ボス部、22…第1爪状磁極、22a,22b…周方向端面、22c…先端面、23…第1基部、23a…面、24…第1磁極部、24a…背面、25,26…第1及び第2補助溝、27…位置決め係止孔、30…第2ロータコア、31…第2コアベース、31a…貫通穴、31b…反対向面、31c…対向面、31d…外周面、31e…ボス部、32…第2爪状磁極、32a,32b…周方向端面、32c…先端面、33…第2基部、33a…面、34…第2磁極部、34a…背面、35,36…第1及び第2補助溝、37…位置決め係止孔、40…界磁磁石、40a…貫通穴、40b,40c…側面、40d…外周面、41…スリーブ、43,44…第1及び第2背面補助磁石、43a,44a…径方向内側面、45,46…第1及び第2極間補助磁石、45a,46a…径方向内側面、50…ロータカバー、51…第1プレート、52…第2プレート、53…第1ベース部、53a…貫通窓、54…第1係止突起、55…円筒壁、56…嵌合凹部、57…第2ベース部、57a…貫通窓、58…第2係止突起、59…固定部材、59a…カシメ用爪、60…検出用磁石、60n…N極部分、60s…S極部分、62…磁気センサ、M…ブラシレスモータ(ランデル型モータ)、O…中心軸、D1,D2,Da,Db,Ds…外径、f1,f2…径方向外周面。

Claims (5)

  1. 周方向に複数の第1爪状磁極が等間隔に形成された第1ロータコアと、周方向に複数の第2爪状磁極が等間隔に形成された第2ロータコアと、前記第1及び第2ロータコアの間に配置された界磁磁石とを備え、
    前記第1爪状磁極と前記第2爪状磁極が周方向に交互に相対配置されるように、第1及び第2ロータコアを回転軸に固定するとともに、前記界磁磁石によって前記第1爪状磁極を第1の磁極に、前記第2爪状磁極を第2の磁極として機能させるようにしたランデル型ロータであって、
    周方向で隣り合う前記第1及び第2爪状磁極の間に配置される極間補助磁石の径方向内側面と前記界磁磁石の外側面との間に生じる隙間を緩衝材にて充填するとともに、前記第1及び第2爪状磁極のそれぞれの磁極部の径方向内側面に配置される背面補助磁石の径方向内側面と前記界磁磁石の外側面との間に生じる隙間を緩衝材にて充填することを特徴とするランデル型ロータ。
  2. 請求項1に記載のランデル型ロータにおいて、
    前記緩衝材は、硬化性樹脂からなる接着剤であることを特徴とするランデル型ロータ。
  3. 請求項1又は2に記載のランデル型ロータにおいて、
    前記第1及び第2ロータコアの軸方向外側面にそれぞれ一対のプレートを配置し、前記一対のプレートの少なくともいずれか一方のプレートの径方向外周縁部から前記各極間補助磁石の径方向外側面上を通って他方のプレートに向かってそれぞれ固定部材を延出し、前記各固定部材の先端部に設けた連結用爪を、前記他方のプレートの外周部にカシメにて連結固定してなるロータカバーを設けたことを特徴とするランデル型ロータ。
  4. 請求項3に記載のランデル型ロータにおいて、
    前記一対のプレートのいずれか一方のプレートの軸方向外側面には、周方向に第1の磁極と第2の磁極が交互に磁化されたリング形状の前記ロータの回転を検出するための検出用磁石を設けたことを特徴とするランデル型ロータ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載のランデル型ロータを備えたことを特徴とするランデル型モータ。
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