JP6053819B2 - 磁気抵抗効果素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は磁気抵抗効果素子の製造方法において、磁気抵抗効果素子を素子分離する工程において該磁気抵抗効果素子の側面に付着した再付着膜を効果的に除去する工程を有する製造方法、及び、該製造方法を利用したデバイスの製造方法に関する。
MRAM(Magnetic Random Access Memory)は磁気抵抗効果(TMR:Tunneling Magneto Resistive)を利用したTMR素子を有する不揮発性メモリで、DRAM(Dynamic Random Access Memory)並みの集積密度とSRAM(Static Random Access Memory)並みの高速性を持ち、且つ無制限にデータが書き換えられる画期的な次世代メモリとして世界から注目されている。
TMR素子は、基本的には上部電極と下部電極との間に、磁化固定層(以下、「ピン層」ともいう)と磁化自由層(以下、「フリー層」ともいう)とに挟まれたトンネルバリア層を有する磁化抵抗効果膜を備え、例えば、信号の読み出しと書き込みに使うワード線とビット線の交点に設置される。そして、TMR素子の上部電極及び下部電極をそれぞれ配線に接続することでメモリセルとして使われる。
TMR素子は、下部電極から上部電極へとTMR素子内に電流を垂直に流し、強磁性層である磁化自由層の磁化の向きを自由に変えることにより、絶縁層に流れる電流の電気抵抗値の高低を「0」、「1」と変化させ、メタル配線と情報を交換することで読み出し、書き込みを行う。
TMR素子の加工方法の一つとしてイオンビームエッチング(以下「IBE」ともいう)技術が用いられている。IBEは放電部に電力を投入してプラズマを形成し、グリッドに電圧を印加することによってプラズマからイオンを引き出すことでイオンビームを形成する。該イオンビームは基板に入射し、基板上の材質を、主として物理的にエッチングしていく。
TMR素子の製造方法では、先ず基板上に成膜された磁気抵抗効果膜をIBEや反応性イオンエッチング(以下「RIE」ともいう)、反応性IBEなどの種々のエッチング方法によって加工し、個々のTMR素子に素子分離する。この磁気抵抗効果膜をパターンに沿って加工する際、一部の被エッチング材は物理的にエッチングされ、基板上から飛散する。この飛散した被エッチング材のうち一部は、TMR素子の側壁に再度付着して堆積する。そしてこの再付着膜がトンネルバリア層の側壁に付着した場合、再付着膜によって磁化固定層と磁化自由層とがショートしてしまい、TMR素子としての機能が失われてしまう。
特許文献1には、TMR素子の素子分離に際し、エッチングによって露出する側壁に段階的に絶縁層を形成することによって、再付着膜が付着する前に該側面に絶縁層を形成して再付着膜によるTMR素子のショートを防止する技術が開示されている。
特開2008−218829号公報
しかしながら、TMR素子の素子分離工程において、側壁に段階的に絶縁層を形成するには、絶縁材料を積層し、パターニングする工程が複数回必要であり、製造工程が煩雑になり、製造コストも上昇してしまう。
本発明の課題は、素子分離工程でTMR素子の側壁に付着した再付着膜を効率良く除去することで、ショートの発生を抑制可能なTMR素子の製造方法を提供することにある。また、係る製造方法に用いられるイオンビームエッチング方法を利用して、その他のデバイスの製造方法を提供することにある。
本発明の第1は、2つの強磁性層と、前記2つの強磁性層の間に位置するトンネルバリア層とを有する磁気抵抗効果素子の製造方法であって、
前記トンネルバリア層が素子分離された基板を用意する工程と、
前記基板を、グリッドから引き出されたイオンビームによってイオンビームエッチングするイオンビームエッチング工程と、を有し、
前記イオンビームエッチング工程は、
前記基板を前記グリッドに対して傾けて位置させ、
前記基板上に形成されたパターン溝が延在する方向側からイオンビームが入射する際の前記グリッドに対する前記基板の傾斜角度を、他の方向側からイオンビームが入射する際の前記グリッドに対する前記基板の傾斜角度よりも大きくし、
前記基板をその面内方向に回転させ、
前記基板の回転速度を、前記パターン溝が延在する方向側からイオンビームが入射する際に、前記他の方向側からイオンビームが入射する際よりも遅くすることで、
記パターン溝が延在する方向側から入射するイオンビームのエネルギー量が、他の方向側から入射するイオンビームのエネルギー量よりも大きいことを特徴とする。
本発明の第2は、2つの強磁性層と、前記2つの強磁性層の間に位置するトンネルバリア層とを有する磁気抵抗効果素子の製造方法であって、
前記トンネルバリア層が素子分離された基板を用意する工程と、
前記基板を、グリッドから引き出されたイオンビームによってイオンビームエッチングするイオンビームエッチング工程と、を有し、
前記イオンビームエッチング工程は、
前記基板を前記グリッドに対して傾けて位置させ、
前記基板をその面内方向に回転させ、
前記基板の回転は、回転及び回転の停止を繰り返し、前記基板上に形成されたパターン溝が延在する方向側からイオンビームが入射する際に、前記基板の回転を停止し、
前記グリッドは引き出し電極、加速電極及び接地電極を備え、前記加速電極の電圧を、前記パターン溝が延在する方向側からイオンビームが入射する際に前記引き出し電極の電圧よりも低くし、他の方向側からイオンビームが入射する際には前記引き出し電極の電圧よりも高くすることで、
前記パターン溝が延在する方向側から入射するイオンビームのエネルギー量が、他の方向側から入射するイオンビームのエネルギー量よりも大きいことを特徴とする。
本発明においては、素子分離工程においてTMR素子の側壁に付着した再付着膜をIBEの斜め入射によって除去する工程において、加工が容易な方向と加工が困難な方向でのイオンビームのエネルギー量を異ならせることを要旨とする。本発明によれば、効率よく再付着膜を除去することで、ショートが抑制された微細パターンのTMR素子を提供することが可能となる。また、IBE工程によって側壁に膜が付着することで不都合が生じるデバイスにおいて、同様の再付着膜を除去する工程を加えることにより、良好な素子特性を有するデバイスを提供することが可能となる。
本発明において再付着膜除去のためのIBE工程に用いるIBE装置の一例の構成を示す概略断面図である。 本発明により製造するTMR素子の構成を模式的に示す斜視図である。 TMR素子の製造工程における、素子分離工程及び再付着膜除去のためのIBE工程を模式的に示した断面図である。 本発明の製造方法を適用可能な基板の一例の平面模式図である。 パターン溝が延在する方向側からのイオンビームと、他の方向側からのイオンビームとを示す基板の平面模式図である。 基板にイオンビームが入射する様子を模式的に示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。 IBE装置のグリッドと基板の位置関係及び基板の位相を説明するための斜視図である。 本発明の第1の実施形態のIBE工程において、基板を連続回転させる場合の、イオンビーム照射量、基板回転位相、基板回転速度を示す図である。 本発明の第1の実施形態のIBE工程において、基板を異なる2つの回転速度で連続回転させる場合の、イオンビーム照射量、基板回転位相、基板回転速度を示す図である。 本発明において、パターン溝が延在する方向側からイオンビームが入射した様子の一例を示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態のIBE工程において、基板を非連続で回転させる場合の、イオンビーム照射量、基板回転速度、回転停止時間を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態のIBE工程において、基板を等速度で連続回転させる場合の、RFアンテナへの供給電力、基板回転位相、基板回転速度を示す図である。 本発明の第3の実施形態のIBE工程において、基板を非連続で回転させる場合の、RFアンテナへの供給電力、基板回転位相、回転停止時間を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施形態のIBE工程において、基板を等速度で連続回転させる場合の、第1電極への印加電圧、基板回転位相、基板回転速度を示す図である。 本発明の第4の実施形態のIBE工程において、基板を非連続で回転させる場合の、第1電極への印加電圧、基板回転位相、回転停止時間を示す図である。 本発明が適用可能な基板の表面形状を模式的に示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の部分拡大図、(c)は(b)の断面図である。 本発明が適用可能な基板の表面形状を模式的に示す断面図である。 本発明が適用可能な基板上のTMR素子の配列とパターン溝が延在する方向を示す図である。 本発明の第5の実施形態のIBE工程において、基板を連続で回転させる場合の、イオンビーム照射量、基板回転位相、基板回転速度、基板傾斜角度を示す図である。 本発明の第6の実施形態のIBE工程において、基板を非連続で回転させる場合の、イオンビーム照射量、基板回転位相、回転停止時間を示す図である。 本発明の第7の実施形態のIBE工程において、基板を非連続で回転させる場合の、第1電極印加電圧、基板回転位相、回転停止時間、第2電極印加電圧を示す図である。 本発明を適用可能なTMR素子の構成例を模式的に示す断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明するが、本発明は本実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。尚、以下で説明する図面において、同機能を有するものは同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(第1の実施形態)
図1は本発明において再付着膜除去のためのIBE工程に用いるIBE装置100の一例の構成を示す概略断面図である。IBE装置100は処理空間1とプラズマ源としてのプラズマ生成部2で構成されている。処理空間1には排気ポンプ3が設置されている。プラズマ生成部2にはベルジャ4、ガス導入部5、RFアンテナ6、整合器7、電磁石8が設置されており、処理空間1との境界にはグリッド9が設置されている。
グリッド9は複数枚の電極から構成される。本発明では例えば図1に示すような3枚の電極によってグリッド9が構成されている。ベルジャ4側から順に引き出し電極としての第1電極9a、加速電極としての第2電極9b、接地電極である第3電極9cとなっている。第1電極9aには正の電圧が、第2電極9bには負の電圧が印加されることで、電位差によってイオンが加速される。第3電極9cは接地されている。第2電極9bと第3電極9cとの電位差を制御することにより、静電レンズ効果を用いてイオンビームの径を所定の数値範囲内に制御することができる。イオンビームはニュートラライザー13により中和される。
グリッド9の材質としてモリブデンやチタン、炭化チタン、パイロリティックグラファイトが挙げられる。またグリッド9をこれ以外の材質で形成し、その表面にモリブデンやチタン、炭化チタンをコーティングしたものでも良い。プロセスガスに反応性ガスを用いる場合は、グリッド9はプロセスガスに対して耐性を持つ材質が好ましい。
処理空間1内には基板ホルダ10があり、該基板ホルダ10には不図示の静電吸着(ESC:Electrostatic chuck)電極が接続される。このESC電極によって、基板ホルダ10に載置された基板11が静電吸着により固定される。また、他の基板固定手段としては、クランプ支持など種々の固定手段を用いることができる。ガス導入部5からプロセスガスを導入し、RFアンテナ6に高周波を印加することでプラズマ生成部2内にエッチングガスのプラズマを発生させることができる。そしてグリッド9に直流電圧を印加し、プラズマ生成部2内のイオンをビームとして引き出し、基板11に照射することで基板11の処理が行われる。引き出されたイオンビームは、ニュートラライザー13により電気的に中和され、基板11に照射される。
基板ホルダ10は、基板11をその面内方向に回転(自転)することができる。基板ホルダ10は、基板の回転速度、基板の回転回数、及びグリッド9に対する基板ホルダ10の傾きを制御するための回転制御手段と基板の回転位置を検出する手段を備えている。また、該基板ホルダ10には基板11の回転開始位置を検出できる手段が備わっていてもよい。本実施形態では、基板ホルダ10には位置検出手段としての位置センサ14が設けられており、基板11の回転位置を検出することができる。位置センサ14として、ロータリーエンコーダを用いている。位置センサ14としては、上述のロータリーエンコーダのように回転する基板11の回転位置を検出できるものであればいずれの構成を用いても良い。
尚、本実施形態では、位置センサ14等のセンサによって基板11や基板ホルダ10の回転位置を直接検出することによって基板ホルダ10に保持された基板11の回転位置を検出しているが、基板11の回転位置を検出できればいずれの構成を用いても良い。例えば、基板ホルダ10の回転速度や回転時間から計算により求めるなど、基板11の回転位置を間接的に求めても良い。
基板11の回転開始位置は、基板11のオリフラやノッチを検出することで求められる。もしくは基板11に付されたアライメントマークやパターンの配列を検出することで回転開始位置をより精度よく求めることができる。前述した位置センサ14を基板11の回転開始位置センサとして使用しても良いし、位置センサ14とは別にアライメントマークやパターン配列を検出するための検出手段を設けてもよい。該検出手段としては、原子間力顕微鏡、光学測定又は走査型電子顕微鏡などを不図示の搬送経路に設けてもよいし、該測定器を搭載した測定装置を設けて、IBE装置100に隣接して設けてもよい。
基板11は、基板ホルダ10の載置面上に水平状態を保って保持されている。基板11の材料としては、例えば、円板状のシリコンウェハを用いるが、これに限定されるものではない。基板ホルダ10は、イオンビームに対して任意に傾斜することができ、基板11に対するイオンビームの入射角度を調整することができる。
本発明により製造されるTMR素子40の基本構成は、図2に示すように、上部電極46と下部電極41との間に、基本構造となるトンネルバリア層44を強磁性層である磁化固定層45と磁化自由層43とで挟持した磁気抵抗効果膜と、反強磁性層42とを配置してなる。図1のTMR素子40は、磁化固定層45が上部に位置するトップピン構造である。
図2のTMR素子40の製造は、先ず、図3(a)に示すように、基板11上に下部電極41、反強磁性層42、磁化自由層43、トンネルバリア層44、磁化固定層45、上部電極46を複数のTMR素子に対して共通に積層し、個々のTMR素子40となる領域を保護するフォトレジスト48を形成する。その後、IBEやRIEによってエッチングを行い、図3(b)に示すように、パターン溝49を形成し、TMR素子40を素子分離する。ここで、素子分離の際のエッチングで除去された材料が、TMR素子40の側壁に付着し、再付着膜50が形成される。
再付着膜50は、IBEで除去(トリミング)することができるが、この時、イオンビームの基板11への入射角度は、より基板11の表面に平行な角度に近づけて行う必要がある。IBEにおいて、基板11に対して斜め方向からイオンビームを入射させる場合、基板11を回転させながら行うが、基板11の回転位相によっては、図3(c)の如く、隣接するTMR素子40によってイオンビーム51が妨げられて再付着膜50を除去しにくい方向がある。一方、図3(c)の紙面に直交する方向からイオンビーム51が入射する場合に、パターン溝49を遮る部材がなければ、再付着膜50は良好にエッチング除去することが可能である。
本発明は、このようなイオンビーム51の入射する方向によって、再付着膜50のエッチング除去の効率が異なる状況に鑑み、再付着膜50のエッチング除去が容易な方向において優先的にエッチングを行うことによって、効率良くより短時間で再付着膜50を除去してTMR素子を製造することに特徴を有する。
図4は本発明を適用可能な基板11の一例である。図4は基板11に形成されたTMR素子40のパターンを模式的に拡大して示している。基板11上に多数のTMR素子40が形成されている。TMR素子40は2方向のパターン溝49に沿って配列している。本実施形態は図1の基板ホルダ10に載置した基板11をグリッド9に対して傾けて位置させ、基板ホルダ10の回転速度を変化させながらIBEを行うことで、該IBE工程におけるパターン溝49が延在する方向102a,102bの側からのイオンビーム照射量を、他の方向の側からのイオンビーム照射量よりも多くすることを特徴とする。
パターン溝49が延在する方向102a,102bの側からのイオンビーム照射量と、他の方向の側からのイオンビーム照射量との比較について、図5を用いて説明する。
先ずグリッド9より引き出されたイオンビーム51を基板11の表面に投影させた線分を考える。次に、該投影された線分をパターン溝49が延在する方向102a,102bと、その中間方向である103a,103bの成分に分解し、該投影された線分の成分は方向102a,102と方向103a,103bのどちらが大きいかを比較して行うことができる。
本実施形態では図5に示すように、基板11上の角度を設定しているため、0°から180°に向かう方向と180°から0°に向かう方向、及び90°から270°に向かう方向と270°から90°に向かう方向とがパターン溝49が延在する方向102a,102bである。そして方向102a,102bの中間である、45°から225°に向かう方向と225°から45°に向かう方向及び135°から315°に向かう方向と315°から135°に向かう方向が方向103a,103bとなる。
基板11が図5に示す状態において、角度100°の方向から入射したイオンビーム51aと、角度120°の方向から入射したイオンビーム51bとを考える。
イオンビーム51aは方向102aに対して成す角度が10°であり、方向103bに対して成す角度が35°である。イオンビーム51aの、方向102aの成分と方向103bの成分とを比較すると、cos10°:cos35°はほぼ0.98:0.82であり、方向102aの成分の方が大きい。
一方でイオンビーム51bは方向102aに対して成す角度が30°であり、方向103bに対して成す角度が15°である。イオンビーム51bの、方向102aの成分と方向103bの成分とを比較すると、cos30°:cos15°はほぼ0.87:0.97であり、方向103bの成分の方が大きい。
従って、イオンビーム51aはパターン溝49が延在する方向102a側から入射するイオンビームであり、イオンビーム51bはその中間方向103b側から入射するイオンビームであると言える。
尚、上記例では比較を容易とするために、イオンビーム51aとイオンビーム51bの方向102a成分と方向103b成分のcos関数で比較を行ったが、各イオンビームを方向102aと方向103bのベクトル成分に分解して比較を行ってもよい。
パターン溝49が延在する方向102a,102bの側から入射するイオンビームは、方向103a,103bの側から入射するイオンビームに比べてTMR素子40の側壁の再付着膜50のトリミングに寄与し易い。
イオンビームの基板11上への投影について具体的に図6を用いて説明する。図6(a)は基板11の一部を拡大した様子を示しており、TMR素子40が形成されている。この時のパターン溝49が延在する方向102a,102bを同じく図6(a)に示す。尚、図6においては、TMR素子40は基板11の表面に占める底面で示した。
一方、図6(a)と同様の基板11に対してイオンビーム51が入射した時の様子を図6(b)に示す。この時、イオンビーム51を基板11の上に投影させた線分が51cである。この線分51cにおいて、パターン溝49が延在する方向102a、102bとその中間方向(図5の103a,103b)との成分の比較を行うことでイオンビーム51の入射方向を確認することができる。
また、グリッド9に対して基板11を傾けて位置させるとは、具体的には、グリッド9の中心法線に対して基板11の中心法線が所定の角度をもって交わる位置にグリッド9と基板11を位置させることをいう。即ち、グリッド9と基板11が平行にある時に、グリッド9の中心法線と基板ホルダ10の中心法線とがなす角度を0°とし、グリッド9の中心法線と基板11の中心法線が垂直に交わる角度を90°とした場合、グリッド9に対する基板11の角度を0°から90°(0°及び90°は含まない)の範囲に設定することをいう。設定される角度は、TMR素子40の側壁への再付着膜除去を効率的に行うために30°〜70°に設定されることが好ましい。
本発明では、上述のようにグリッド9と基板11が平行な状態において、グリッド9に対する基板11の傾斜角度を0°としている。そして基板11は面内の中心点に対して対称であり、中心点を軸に回転しているため、傾斜角度が0°の状態から所定の角度だけ傾けた場合、その角度は全ての傾斜方向において等価である。即ち、傾斜角度が0°の状態において、ある方向を+とし、反対の方向を−と定義して+30°傾斜させたとしても、それは−30°の傾斜と等価である。このため本願明細書では原則として角度を正の値として記載する。
グリッド9の中心法線とは、円形を有するグリッド9の中心点から、垂直方向に延びる線を言う。中心点は、グリッド9の領域のうち基板11に実際に照射されているイオンビーム51を引き出している実効領域の中心を指す。
通常、グリッド9の中心と実効領域の中心は略一致する。そして基板11の中心法線がグリッド9の中心法線と交差する位置に基板11が載置される。グリッド9が円形では無く、例えば正六角形や正八角形の形を有する場合は、それぞれの対向する対角線同士を結ぶことで得られる中心の交点が中心点となる。正五角形や正七角形の場合は、それぞれの頂点から対向する辺に向かう垂線同士の交点が中心点となる。また、グリッド9の中心法線に対して基板11をずらして配置する場合は、基板11のずれ量に併せてグリッド9の中心点もずれることになる。
換言すると、本発明におけるグリッド9の中心法線は、グリッド9により引き出されるイオンビーム51の進行方向に沿った線分である。
尚、上述したグリッド9の中心点や基板11の中心点は、基板11の処理工程において影響がほぼ無い範囲において微差を有していても良い。
また、パターン溝49が延在する方向102a,102bからイオンビーム51を優先的に照射することで、パターン溝49を加工する際に、パターン溝49を形成している素子の影の影響を軽減することができる。これにより、TMR素子40の側壁に存在する再付着膜50のうち、パターン溝49の底部付近に存在する部分を効率的に除去しながら再付着膜50を除去することが可能となる。
次に、図7を参照して、本実施形態のIBE装置100に備えられ、上述の各構成要素を制御する制御装置20について説明する。図7は本実施形態における制御装置の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、本実施形態の制御装置20は、例えば、一般的なコンピュータと各種のドライバを備える。即ち、制御装置20は、種々の演算、制御、判別などの処理動作を実行するCPU(不図示)と、このCPUによって実行される様々な制御プログラムなどを格納するROMやHDD(不図示)などを有する。また、制御装置20は、上記CPUの処理動作中のデータや入力データなどを一時的に格納するRAM、フラッシュメモリまたはSRAM等の不揮発性メモリなど(不図示)を有する。このような構成において、制御装置20は、上記ROMなどに格納された所定のプログラム又は上位装置の指令に従ってIBEを実行する。その指令に従って放電時間、放電電力、グリッド9への印加電圧、プロセス圧力、及び基板ホルダ10の回転及び傾斜などの各種プロセス条件がコントロールされる。また、IBE装置100内の圧力を計測する圧力計(不図示)や、基板11の回転位置を検出する位置検出手段としての位置センサ14などのセンサの出力値も取得可能であり、装置の状態に応じた制御も可能である。
また、制御装置20は、位置センサ14の検出した回転位置に応じて、基板11の回転速度を制御する回転制御手段としてホルダ回転制御部21を備える。ホルダ回転制御部21は、目標速度算出部21aと、駆動信号生成部21bと、を備え、基板11の回転位置とイオンビーム51の入射方向との位置関係に基づいて、基板11の回転位置に応じて基板ホルダ10の回転部の回転を制御して基板11の回転速度を制御する機能を有する。制御装置20は、位置センサ14から、基板11の回転位置に関する情報を受信するように構成されている。制御装置20が上記回転位置に関する情報を受信すると、目標速度算出部21aは、基板11の回転位置を検知する位置センサ14から出力される基板11の現在の回転位置の値に基づいて、当該位置における目標回転速度を算出する。この目標回転速度の値は、例えば、基板11の回転位置と、目標回転速度との対応関係を予めマップとして保持しておくことで、演算可能である。駆動信号生成部21bは、目標速度算出部21aにより算出された目標回転速度に基づき、当該目標回転速度とするための駆動信号を生成し、回転駆動機構22に出力する。制御装置20は、駆動信号生成部21bにて生成された上記駆動信号を回転駆動機構22に送信するように構成されている。
尚、図7の例では、回転駆動機構22は、基板ホルダ10を駆動するモータなどのホルダ回転駆動部22bと、目標値と位置センサ14から出力される実値(回転位置や回転速度)との偏差に基づきホルダ回転駆動部22bの操作値を決定するフィードバック制御部22aと、を備え、サーボ機構により基板ホルダ10を駆動する。しかし、フィードバック制御部22aは本発明の必須の構成ではなく、モータもDCモータ、ACモータのいずれであってもよい。回転駆動機構22は、制御装置20から受信した駆動信号に基づいて、ホルダ回転駆動部22bを駆動し、基板ホルダ10を回転させる。
次に、図1に示す本実施形態のIBE装置100の制御及び、この装置を用いて実施するIBE方法について説明する。
本実施形態にかかるIBE装置100で処理する基板は、図4に示すような、例えば平面視において長方形のパターンが一定の間隔をもって、行方向及び列方向に整列して形成されたものを用意する。基板11を、不図示の搬送手段、例えば隣接する真空搬送チャンバに備えられたハンドリング・ロボットにより、基板搬送口16を通じて処理空間1内の基板ホルダ10に載置する。基板搬送口16は不図示のゲートバルブを有し、該ゲートバルブは処理空間1と隣接する真空搬送チャンバの雰囲気が混合しないように隔離する構造となっている。載置された基板11は、ノッチやオリフラを用いて基板11の回転開始位置が検出される。または基板11に付されたアライメントマークを光学カメラ等で読み取ることで回転開始位置を検出する。回転開始位置は、基板11を基板ホルダ10に載置する前に検出しても良いし、基板11を基板ホルダ10に載置した後に検出しても良い。基板11の回転開始位置を検出した結果に基づき、その後のIBEにおけるグリッド9と基板11の位置関係に応じた基板11の回転速度の制御が行われる。
次に、プラズマ生成部2の内部にガス導入部5からAr等の希ガスを放電用ガスを導入する。反応性IBEを行う場合には、プラズマ生成部2の内部にアルコールガス、炭化水素ガスまたは酸化炭素ガス等を希ガスと併せて導入する。
その後、放電用電源12から高周波電力を供給し、プラズマ生成部2で放電を行う。そして、グリッド9に電圧を印加し、プラズマ生成部2よりイオンを引き出してイオンビーム51を形成する。グリッド9により引き出されたイオンビーム51はニュートラライザー13により中和され、電気的に中性となる。中和されたイオンビーム51は基板ホルダ10上の基板11に照射され、IBEが行われる。或いは、ニュートラライザー13は、基板11が電気的に中性となるように、基板11に向けて電子を放出する。
基板ホルダ10に基板11が載置した後、ESC電極を動作させることで、基板11は静電吸着によって固定される。基板ホルダ10に載置された基板11は、TMR素子40の側壁の再付着膜50の除去に適した傾斜、例えばグリッド9に対して60°に傾斜する。傾斜角度は、基板のパターンの形状やサイズ、パターン溝の幅等を考慮することにより所定の角度に決定される。
基板11を載置した基板ホルダ10がグリッド9に対して傾斜した後、基板ホルダ10は基板11の面内方向に回転を開始する。位置センサ14が基板11の回転位置を検出し、該検出された回転位置に応じたホルダ回転制御部21の制御により、位置センサ14が検出した回転位置に応じて、基板11の回転速度を制御する。
以下に、基板11の回転速度の制御についてさらに詳しく説明する。図8は、本実施形態のグリッド9と基板11の位置関係及び基板11の位相を説明するための図である。また図9、図10は、本実施形態に係るIBE工程における基板の回転速度の制御マップを示す説明図である。
図8乃至図10を用いて本実施形態におけるグリッド9と基板11の回転位置関係を説明する。図8は基板11上に形成されたTMR素子40に対してイオンビーム51が照射される様子を模式的に示した図である。基板11は回転可能な基板ホルダ10の上に載置され、IBE工程中に、基板ホルダ10をグリッド9に対して傾斜させる。本発明では図8に示すように、基板11の回転位相(回転角θ)は、ノッチ15を基点として考えて0°とする。そしてノッチ15から基板11の中心を通って、ノッチ15の反対側の位置180°と定義する。また0°から反時計回りに90°及び270°を定義する。
本実施形態に係る装置を用いたIBE工程の一例では図9、及び下記式(1)に示すように、基板11の回転位相θに対し、基板11の回転速度ωが正弦波となるように、回転速度を制御する。
式(1) ω=Asin(4(θ−α))+B
式(2) A=a×B
即ち、本発明の回転制御手段としてのホルダ回転制御部21は、上記式(1)に基づいて、基板11の回転角θの4倍周期の正弦波関数として回転速度ωを算出する。ここで、Aは回転速度の振幅であり、式(2)に示すように、基準速度Bに変動率aを乗じたものである。αは位相差であり、変動率aと位相差αを変えることによって、基板面内のイオンビーム入射角毎のエッチング量及びテーパ角度の分布を最適化することができる。尚、基板11の回転位相の範囲は0°≦θ<360°である。
図9の例では、基準速度Bをω0に設定し、変動率aを0以上の任意の数値とし、位相差αを22.5°とした時の基板回転位相に対する基板回転速度ωを示している。この場合、基板11のノッチ15が0°、90°、180°、270°の位置にある時に基板回転数(回転速度)が最も遅くなることを意味する。
ここで、回転速度を回転位相によって変化させることによる具体的な作用及び効果を説明する。
本実施形態では、TMR素子40が、基板11の0°から180°に向かう方向及び90°から270°に向かう方向に並んで形成されている状態を考える。
本実施形態においては、基板11の回転速度を、パターン溝49が延在する方向側からイオンビーム51が入射する際に、他の方向側からイオンビーム51が入射する際よりも遅くする。
具体的には、基板回転位置がグリッド9に対して、グリッド9の中心法線を基板11表面に投影させた線分がパターン溝49が延在する方向、例えば、ノッチ15のある0°から180°に向かう方向に平行である場合には、基板の回転速度を遅くする。また、グリッド9の中心法線を基板11表面に投影させた線分がもう一方のパターン溝49が延在する方向である90°から270°に向かう方向に平行である場合にも、回転速度を遅くする。
前記したように、再付着膜50のエッチングによる除去は、イオンビーム51がパターン溝49が延在する方向側から入射する場合に効率よく行うことができ、他の方向側から入射する場合には、再付着膜50が隣接するTMR素子40の影になって効率よく行うことができない場合がある。本例では、再付着膜50のエッチング除去を効率よく行うことができる方向からイオンビーム51が入射する際の基板11の回転速度を他の方向からイオンビーム51が入射する際よりも遅くすることで、効率よく行う方向から入射するイオンビーム51のエネルギー量を他の方向から入射するイオンビーム51のエネルギー量よりも大きくし、基板11が等速度で回転する場合よりも低エネルギー、短時間で再付着膜50の除去を行うことができる。
パターン溝49が延在する方向が複数で、その方向によって再付着膜50のエッチング量に差が見られる場合は、各方向におけるエッチング量をさらに異ならせてもよい。例えば基板11上に形成されたTMR素子40の底面の形状が、0°から180°に向かう方向に長辺を有し、90°から270°に向かう方向に短辺を有し、長辺側の側壁が短辺側の側壁に比べてエッチングされ難い場合を考える。この場合、イオンビーム51が0°から180°に向かう方向及び180°から0°に向かう方向に入射する時の基板11の回転速度を、90°から270°に向かう方向及び270°から90°に向かう方向に入射する時の基板11の回転速度よりも遅く回転させることでエッチング量の調整を行うことができる。
本実施形態では、図9に示す制御マップを図7の制御装置20が有するROM等のメモリに予め格納しておけば良い。このように、上記制御マップを予めメモリに格納しておくことによって、目標速度算出部21aは、位置センサ14から基板11の回転位置に関する情報を受信すると、上記メモリに格納された図9に示す制御マップを参照し、現在の基板11の回転角θに対応する回転速度を抽出し、目標回転速度を取得し、該取得された目標回転速度を駆動信号生成部21bに出力する。従って、基板11が回転角θが0°、90°、180°、270°において、パターン溝49が延在する方向側からイオンビーム51が入射する時には基板11の回転速度を最も遅く制御でき、且つ回転角θが45°、135°、225°、315°といったパターン溝49が延在しない方向側からイオンビーム51が入射する時には基板11の回転速度を最も速く制御することができる。
基板ホルダ10の回転速度の変化は、図9に示す正弦関数のように連続的に変化しなくても良い。例えば図10に示すように、基板11の回転角θが0°〜22.5°、67.5°〜112.5°、157.5°〜202.5°、247.5°〜292.5°、337.5°〜360°の範囲で基板の回転速度を第1の速度とし、回転角θが22.5°〜67.5°、112.5°〜157.5°、202.5°〜247.5°、292.5°〜337.5°の範囲で基板の回転速度を第1の速度よりも速い第2の速度とする、2つの値を用いた回転速度変化でも良い。
また基板11の回転角θが0°、90°、180°、270°で基板11の回転速度が最も遅くなり、回転角θが45°、135°、225°、315°で基板11の回転速度が最も速くなるように段階的に回転速度を変化させても良い。
図11に、パターン溝49が延在する方向側からイオンビーム51を照射した様子の一例を示す。配列されたパターンの最外周に位置するパターンは、内側のパターンよりもエッチングされやすい。パターン形状の均一性をさらに向上させるために、パターンの最外周にダミーパターンを形成してもよい。
(第2の実施形態)
上述のように、第1の実施形態では、パターン溝49が延在する方向側からのイオンビーム照射量が多くなるように基板ホルダ10の回転速度を遅くする制御をしているが、該基板ホルダ10の回転方式を、連続回転としても良いし、非連続パルス回転としてもよい。本実施形態では、該非連続パルス回転の形態について説明する。
図12は、本実施形態に係る、非連続で基板ホルダ10を回転する場合について、基板回転の回転停止時間を制御する場合の説明図である。
基板ホルダ10の回転を連続的に行う場合は、ホルダ回転制御部21は、図9に示すように、式(1)に従って基板11が一回転(1周期)する間に該基板11の回転速度(角速度ω)を4周期変調させるように、基板11の回転速度を連続的に変化させるように駆動信号を生成する。即ち、ホルダ回転制御部21は、基板11が連続的に回転するように基板ホルダ10の回転を制御する。尚、図9において、f0は、グリッド9からのイオンビームの基準照射量であり、ω0は基準角速度である。
一方、基板11(基板ホルダ10)の回転を非連続的(クロック状)に行う場合は、ホルダ回転制御部21は、回転停止時間sを図12に示すように制御する。即ち、ホルダ回転制御部21は、例えば、基板11が所定の複数の回転角θでその回転を停止し、それ以外の回転角θでは一定の角速度(回転速度)で基板ホルダ10の回転部が回転するように該基板ホルダ10の回転を制御する。このような制御により、基板11が非連続的に回転するように基板11の回転速度は制御される。尚、基板ホルダ10の回転部の回転速度は上述のように一定であって良いし、変化させても良い。ここで、縦軸に回転速度(角速度ω)を、横軸に時間tをとる場合の、角速度が0になっている時間を、「回転停止時間s」と呼ぶことにする。即ち、回転停止時間sとは、基板ホルダ10を非連続に回転させる場合の、基板ホルダ10が回転を停止している時間を指す。図12中のs0は、基準回転停止時間である。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、グリッド9に対して基板ホルダ10に載置した基板11を傾けて位置させること及びパターン溝49が延在する方向側からのイオンビーム照射量を多くすることが本質的な特徴である。上述のように、パターン溝49が延在する方向側からイオンビーム51が入射するように基板11が位置した際の該基板11の回転停止時間を長くすることで、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。本実施形態では、基板11(基板ホルダ10)を1回転させる間に、パターン溝49が延在する方向側からイオンビーム51が入射する場合(基板11の回転位置が0°、90°、180°、270°)の回転停止時間を長くするために、回転停止時間を正弦的に4周期変調させている。一方、パターン溝49が延在しない方向側からイオンビーム51が入射する場合の基板11の回転停止時間を短くすることで、IBE工程におけるパターン溝49が延在する方向側から入射するイオンビーム51のエネルギー量をパターン溝49が延在しない方向側からのイオンビーム51のエネルギー量よりも大きくしている。また、長辺方向と短辺方向のパターン溝49にエッチング量の差が見られる場合、例えば、長辺側のパターン溝49は浅く、短辺側のパターン溝49が深いなどの形状差が生じる場合は、長辺側の回転停止時間をさらに長くし、イオンビーム照射量を増やすことで、パターン溝49の深さが均一になり、微細パターンの形状を均一に加工することができる。形状の均一性を良好にするためには、基板11を中心として対称な回転位置(例えば135°と315°)の回転停止時間を等しくすることが好ましい。
(第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態では、基板ホルダ10の回転速度を制御する形態について説明したが、本実施形態では、図1に示したIBE装置100の放電用電源12からRFアンテナ6に供給される電力を制御することによって、基板11へのイオンビーム照射量を制御し、TMR素子40の側壁の再付着膜50を除去する。IBE工程において、イオンビーム照射量はプラズマ生成部2において形成されるプラズマのプラズマ密度と関係する。従ってRFアンテナ6に供給される電力を変化させることで、プラズマ生成部2のプラズマ密度を変化させることが可能となる。これにより基板11の回転位相に応じてイオンビーム照射量を変化させることができる。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、グリッド9に対して基板ホルダ10に載置した基板11を傾けて位置させること及び、IBE工程におけるパターン溝49が延在する方向側から基板11に入射するイオンビーム51のエネルギー量を、他の方向側から基板11に入射するイオンビーム51のエネルギー量よりも大きくすることが本質的な特徴である。
図13は、本実施形態に係る制御装置20のブロック図である。本実施形態では、制御装置20は、位置センサ14の検出した回転位置に応じて、プラズマ生成手段へのパワー(電力)を制御する電力制御手段としてのパワー制御部23を備える。パワー制御部23は、目標パワー算出部23aと、出力信号生成部23bと、を備え、基板11の回転位置とイオンビーム51の入射方向との位置関係に基づいて、プラズマ生成手段へのパワー(電力)を制御する機能を有する。
制御装置20は、位置センサ14から、基板ホルダ10の回転位置に関する情報を受信するように構成されている。制御装置20が上記回転位置に関する情報を受信すると、目標パワー算出部23aは、基板ホルダ10の回転位置を検知する位置センサ14から入力される基板ホルダ10の現在の回転位置の値に基づいて、当該位置における目標パワー(目標電力)を算出する。この目標パワーの値は、例えば、基板ホルダ10の回転位置と、目標パワーと、の対応関係を予めマップとして制御装置20が備えるメモリ等に保持しておくことで、演算可能である。出力信号生成部23bは、目標パワー算出部23aにより算出された目標パワーに基づき、当該目標パワーとするための出力信号を生成し、放出用電源12に出力する。制御装置20は、出力信号生成部23bにて生成された上記出力信号を電源12に送信するように構成されている。
尚、図13の例では、電源12は、プラズマ生成手段としてのRFアンテナ6に電力を供給するパワー出力部12bと、目標値と位置センサ14から出力される実値(回転位置や回転速度)との偏差に基づきパワー出力部12bの操作値を決定するフィードバック制御部12aと、を備える。しかし、フィードバック制御部12aは本発明の必須の構成ではない。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、基板ホルダ10の回転方式は、連続回転であっても良いし、非連続パルス回転であっても良い。
図14は、本実施形態に係る、プラズマ生成手段への供給電力を制御する場合の、連続で基板11(基板ホルダ10)を回転する場合についての基板11の回転速度の制御マップであり、図15は、本実施形態に係る、プラズマ生成手段への供給電力を制御する場合の、非連続で基板11(基板ホルダ10)を回転する場合についての説明図である。非連続で基板11を回転する場合についてはプラズマ生成手段への供給電力を一定とし、回転停止時間を変化させることで回転角θに応じたイオンビーム照射量の制御を行っても良い。
図14に係る実施形態では、パワー制御部23は、前記式(1)と同様の4倍周期正弦波関数を用いて、基板11の回転角θに応じた放電用パワーを算出することができる。即ち、パワー制御部23は、基板11(基板ホルダ10)が1回転する間に、プラズマ生成手段への供給電力を4周期変調させるように出力信号を生成する。この時、プラズマ生成手段への供給電力は滑らかに連続的に変化させても良いし、幅を持たせて段階的に変化させても良い。パワー制御部23は、図14、図15に示すように、パターン溝49が延在する方向側からイオンビーム51が入射する回転角θ=0°、90°、180°、270°の時に供給されるパワー(電力)を最大値にすることにより、基板11へのイオンビーム照射量が最大になり、上記の回転角以外の時、パワーを小さくすることにより、基板11へのイオンビーム照射量が少なくなるように、放電用電源12を制御すれば良い。
このように本実施形態では、基板ホルダ10に載置した基板11をグリッド9に対して傾けて位置させること及びパターン溝49が延在する方向側からのイオンビーム照射量が大きくなるように、RFアンテナ6への供給電力を制御することで本発明の効果を得ることができる。また、形状の均一性を良好にするためには、基板11を中心として対称な回転位置(例えば135°と315°)における印加電圧を等しくすることが好ましい。
(第4の実施形態)
第3の実施形態では、プラズマ生成手段であるRFアンテナ6への供給電力を制御することによってTMR素子40の側壁の再付着膜50を効率的に除去する方法について述べたが、本実施形態ではビーム引き出し電圧を変化させることで、再付着膜50の除去を行う。IBE工程では、プラズマ生成部2においてプラズマが形成された後にグリッド9に印加された電圧によって、プラズマ生成部2のイオンが引き出されてビームが形成される。ここでプラズマ生成部2から引き出されたイオンビーム51のエネルギー量はビーム引き出し電圧に依存するため、該電圧を基板11の回転位相に併せて変化させることで、微細パターンの溝の加工行う。
以下に図1を用いて本実施形態におけるビーム引き出し電圧について説明する。
通常、基板ホルダ10及び第3電極9cは接地電位となっている。このため、イオンビーム中の各イオンのエネルギー量は第1電極9aに印加された正の電圧によって決定される。従って、本実施形態においては、第1電極9aに印加された電圧がビーム引き出し電圧となる。以下、この第1電極9aに印加された電圧を変化させることによって、ビーム引き出し電圧を変化させた場合の実施の形態を説明する。
本実施形態においても、先の実施形態と同様に、ビーム引き出し電圧を変化させることで、IBE工程におけるパターン溝49が延在する方向側から基板11に入射するイオンビーム51のエネルギー量を、他の方向側から基板に入射するイオンビーム51のエネルギー量よりも大きくすることが本質的な特徴である。
図16は本実施形態にかかる制御装置20のブロック図である。本実施形態では、制御装置20は、位置センサ14の検出した回転位置に応じて、第1電極9aに印加する電圧(ビーム引き出し電圧)を制御する電圧制御手段としての印加電圧制御部24を備える。印加電圧制御部24は、目標電圧算出部24aと、出力信号生成部24bと、を備え、基板11の回転位相とイオンビーム51の入射方向との位置関係に基づいて、第1電極9aへの印加電圧を制御する機能を有する。
制御装置20は、位置センサ14から、基板ホルダ10の回転位置に関する情報を受信するように構成されている。制御装置20が上記回転位置に関する情報を受信すると、目標電圧算出部24aは、基板ホルダ10の回転位相を検知する位置センサ14から入力する基板ホルダ10の現在の回転位相の値に基づいて、当該位置における目標電圧を算出する。この目標電圧の値は、例えば、基板ホルダ10の回転位置と、目標電圧と、の対応関係を予めマップとして制御装置20が備えるメモリ等に保持しておくことで、演算可能である。出力信号生成部24bは、目標電圧算出部24aにより算出された目標パワーに基づき、当該目標電圧とするための出力信号を生成し、第1電極用電源17に出力する。制御装置20は、出力信号生成部24bにて生成された上記出力信号を第1電極用電源17に送信するように構成されている。
尚、図16の例では、第1電極用電源17は、第1電極9aに電圧を印加する印加電圧出力部17bと、目標値と位置センサ14から出力される実値(回転位置や回転速度)との偏差に基づき印加電圧出力部17bの操作値を決定するフィードバック制御部17aと、を備える。しかし、フィードバック制御部17aは本発明の必須の構成ではない。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、基板ホルダ10の回転方式は、連続回転であっても良いし、第2の実施形態と同様に、非連続パルス回転であっても良い。
図17は、本実施形態に係る、ビーム引き出し電圧(即ち、第1電極9aへの印加電圧)を制御する場合の、等速度で基板11(基板ホルダ10)を連続回転する場合についての説明図であり、図18は、本実施形態に係る、ビーム引き出し電圧(即ち、第1電極9aへの印加電圧)を制御する場合の、非連続で基板11(基板ホルダ10)を回転する場合についての説明図である。非連続で基板を回転する場合については第1電極9aへの印加電圧を一定とし、回転停止時間を変化させることで回転角θに応じたイオンビーム照射量の制御を行っても良い。
図17、図18に係る実施形態では、印加電圧制御部24は、前記式(1)と同様の4倍周期正弦波関数を用いて、基板11の回転角θに応じた印加電圧を算出することができる。即ち、印加電圧制御部24は、基板11(基板ホルダ10)が1回転(1周期)する間に、ビーム引き出し電圧を4周期変調させるように出力信号を生成する。この時、ビーム引き出し電圧は滑らかに連続的に変化させても良いし、幅を持たせて段階的に変化させても良い。例えば、印加電圧制御部24は、図17、図18に示すように、第1の状態である回転角θ=0°、90°、180°、270°の時に第1電極9aへ印加される電圧を最大値にすることによりイオンビーム51のエネルギー量が最大になり、パターン溝49が延在する方向側からのイオンビーム照射量が多くなる。パターン溝49が延在しない方向側からイオンビーム51が入射する際の電圧を小さくすることによりイオンビーム51のエネルギー量が小さくなるように、第1電極用電源17を制御すれば良い。イオンビーム51のエネルギー量を小さくするにあたっては、第1電極9aに印加する電圧をゼロとし、基板11へのイオンビーム51の照射を停止してもよい。
このように本実施形態では、基板ホルダ10に載置した基板11をグリッド9に対して傾けて位置させること及びパターン溝49が延在する方向側からのイオンビーム照射量が多くなるように、第1電極用電源17の印加電圧を印加電圧制御部24によって制御することで、本発明の効果を得ることができる。また、形状の均一性を良好にするためには、基板11を中心として対称な回転位置(例えば135°と315°)における供給電力を等しくすることが好ましい。
本実施形態においては、第1電極9aに印加する電圧を変化させることでビーム引き出し電圧を変化させたが、他の方法でビーム引き出し電圧を変化させても良い。例えば第3電極9cに第1電極9aより低い正の電圧を印加し、第3電極9cに印加する電圧を変化させることでビーム引き出し電圧を変化させても良い。また基板ホルダ10に印加する電圧を変化させることで、基板11にイオンビーム51が入射する際のエネルギー量を変化させても良い。
また、本実施形態において、グリッド9は必ず3枚の電極から構成されている必要は無い。これは、上述したように本実施形態の本質は、イオンビーム51のエネルギー量を、基板11の回転位相に応じて変化させることにあるからである。
以上の本発明の実施形態では、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
本発明において、基板11上に形成されるTMR素子40の配列は、例示した直方体形状のパターンを縦横の両端を揃えてパターン溝49が直交するように配列するだけでなく、図19(a),(b)に示すようなラインアンドスペース形状でもよい。図19(b)は図19(a)中の31で示す領域の拡大図である。また、図19(c)は図19(b)中のA−A’断面図である。また、図19中、19はオリフラ、32は稜線、33は谷線であり、谷線33が本発明に係るパターン溝49に相当する。さらに、図19中、34は基板11の表面、35は裏面である。本発明が適用される基板11の表面の断面形状については、図19(c)に示す正弦波形の他に、図20(a)に示す矩形波形、図20(b)に示す三角波形、図20(c)に示す台形波形などにも適用可能である。本発明は、このようなパターン溝49が形成された後の基板11に対して本発明を用いることで、パターンの側壁に付着した再付着膜を効率的に除去することが可能である。
また図21に示すように、直方体形状のパターンを斜め方向に配列したものにも適用可能である。この場合、図21に示すように、パターン溝49が延在する方向102a,102bも互いに斜めに交わる。
本発明は、例示したMRAM用のTMR素子のみならず、HDD用磁気ヘッド、HDD用磁気記録媒体、磁気センサ、発行素子、圧電素子、相変化素子、抵抗変化素子など、様々なデバイスに対して利用可能である。これらのデバイスに対して所定のパターンを形成後に、その側壁に付着した再付着膜を、パターン溝に沿った方向側からイオンビーム51により効率的に除去できるからである。
上述した本発明に係る各実施形態において、その本質とするところは、前記基板11上に形成されたパターン溝49が延在する方向側から入射するイオンビーム51のエネルギー量が、他の方向側から入射するイオンビーム51のエネルギー量よりも大きくなるようにIBEを行うことである。上述した各実施形態を用いることにより、各方向から入射するイオンビーム51のエネルギー量を変化させることができる。
(第5の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態における基板11の回転速度にあわせて、グリッド9に対する基板11の傾斜角度を変化させる。以下で本実施形態の詳細について図22を用いて説明する。
図22は基板11の回転速度が、その回転位置に応じて変化している様子を示している。加えて、グリッド9に対する基板11の傾斜角度φが40°を基準として、20°〜60°の範囲で変化している。φは好ましくは、基板11の回転速度が最も遅くなる状態で最も大きくなり、基板11の回転速度が最も速くなる状態で最も小さくなる。このような制御を行うことで、基板11のパターン溝49に延在する方向側からイオンビーム51が入射する際は、TMR素子40の側壁についた再付着膜50などを効率的に除去し、一方のイオンビーム51が入射し難い状態においてはイオンビーム51を基板11の表面に対して垂直に近い角度から入射させることで隣接するTMR素子40に妨げられることなく、再付着膜50のエッチングを行うことが可能となる。
(第6の実施形態)
上述した実施形態では、基板11の回転位相に対して、基板11に入射するイオンビーム51のエネルギー量が正弦関数で変化する場合を主に示した。これに対して本実施形態では、パターン溝49が延在する方向からイオンビーム51が入射する状態でのみ基板回転を停止させる。
図23は基板11の回転停止時間が、回転位置に応じて変化している様子を示す。パターン溝49が延在する方向である0°、90°、180°、270°の方向側からイオンビーム51が入射する時のみ基板回転が停止し、一定時間イオンビーム51を照射した後にまた回転を行う。実際の素子分離後のTMR素子40の側壁は基板11に対して一定の傾斜角を有し、また基板11に入射するイオンビーム51にも発散が存在するため、本実施形態を実施した場合にも、TMR素子40の側壁の再付着膜50に対してイオンビーム51が照射される。
パターン溝49が延在する方向側からイオンビーム51が入射する時のみ基板11の回転を停止させることに加え、第3の実施形態や第4の実施形態で述べたような、イオンビーム照射量やイオンビーム電圧の変化を組み合わせてもよい。この場合、パターン溝49が延在する方向側からイオンビーム51が入射する時のみ、基板11に入射するイオンビーム51のエネルギー量を大きくし、それ以外の場合はイオンビーム51のエネルギー量を小さくする。
(第7の実施形態)
図24を用いて本実施形態に係る発明を説明する。図23は基板11の回転停止時間が回転位置に応じて変化し、さらにグリッド9における第2電極9bに印加される電圧も変化させている様子を示している。第6の実施形態では、パターン溝49が延在する方向側からイオンビーム51が入射する時のみ基板11の回転を停止させて基板11にイオンビーム51を照射したが、本実施形態ではこれに加え、パターン溝49が延在しない方向側からイオンビーム51が入射する時には、基板11へのイオンビーム51の入射を抑制している点を特徴とする。
本実施形態ではグリッド9の第2電極9bの電圧を制御することで基板11へのイオンビーム照射量の制御を行う。プラズマ生成部2で生成された正イオンは、第1電極9aと第2電極9bとの間に形成された電位差によって加速されて基板11に向かう。第1電極9aの電圧が第2電極9bの電圧よりも低い場合、正イオンは第2電極9bから第1電極9aに向かう方向に力を受けるため、グリッド9の通過が制限される。
本実施形態はこの作用を利用し、パターン溝49が延在する方向側からイオンビーム51が入射する時には第2電極9bの電圧を第1電極9aよりも低くしてイオンを基板11に向けて加速し、パターン溝49が延在しない方向側からイオンビーム51が入射する時には第2電極9bの電圧を第1電極9aよりも高くしてイオンをプラズマ生成部2に閉じ込める。
本実施形態によれば、TMR素子40の側壁に形成された再付着膜50に入射し難いイオンビーム51を基板11に照射しないため、IBE工程におけるTMR素子の形状や寸法精度の劣化を低減することが可能となる。
上述した実施形態では、全て基板11上に形成されたTMR素子40の底面形状を模式的に長方形としたが、楕円形であっても本発明を実施することで本発明の効果が得られることは言うまでもない。以上の本発明の一実施形態では、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
尚、第3の実施形態における基板11に入射するイオンビーム51のエネルギー量については、第1電極9aに流れる電流を見ることで確認できる。プラズマ生成部2で生成されたプラズマのうち一部は第1電極9aに流入し、第1電極9aに電流が流れる。第1電極9aに流れる電流はプラズマ生成部2で生成されるプラズマの量に比例するため、第1電極9aに流れる電流を見ることで基板11に入射するイオンビーム51のエネルギー量を見ることができる。
いずれの実施形態もIBE工程におけるイオンビーム51のエネルギー量は、基板11にイオンビーム51を照射している時間Tと、第1電極9aに印加している電圧Vと、第1電極9aに流れる電流Iの積である電力W=V・I・Tを求めることで計ることができる。
またパターン溝49が延在している方向側から基板11に入射するイオンビーム51のエネルギー量と、パターン溝49が延在しない方向(パターン溝49が延在している方向の中間方向)の側から基板11に入射するイオンビーム51のエネルギー量についても電力Wを求めることで比較できる。行方向及び列方向に配列された図4に示すパターンの場合、イオンビーム51の入射方向が基板位相の0°〜22.5°、67.5°〜112.5°、157.5°〜202.5°、247.5°〜292.5°、337.5°〜360°の方向に位置する場合のIBE工程における電力の合計と、22.5°〜67.5°、112.5°〜157.5°、202.5°〜247.5°、292.5°〜337.5°の方向に位置する場合のIBE工程における電力の合計を求めることで比較可能である。
本発明に係る製造方法を適用可能なTMR素子の積層構造の一例を、図25を用いて説明する。図25は膜厚方向に強磁性層が磁化しているP−TMR素子80の積層構造の模式図を示している。P−TMR素子は、先ず、基板81の上に、バッファー層82,83としてRuCoFe層、Ta層を成膜する。その上に、フリー層84として強磁性層であるCoFeB層を成膜し、トンネルバリア層85としてのMgO層を形成する。トンネルバリア層85は高いMR比を得るためにMgOが好適である。その他、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ゲルマニウム(Ge)の少なくとも1つまたは2つ以上を含有する酸化物でも良い。その上に第1のリファレンス層86として強磁性層であるCoFe層、第2のリファレンス層87として強磁性層であるCoFeB層、配向分離層88としてTa層、第3のリファレンス層89を成膜した。第3のリファレンス層89はCoとPdの積層構造からなり、本実施例ではCo/Pdが交互に各々4層積層された後、Coが成膜されている。
次に非磁性中間層90としてRu層、第4のリファレンス層91、キャップ層92としてTa層を成膜した。第4のリファレンス層91はCo/Pdの積層構造からなり、CoとPdが交互に各々14層積層されている。
1:処理空間
2:プラズマ生成部
3:排気ポンプ
4:ベルジャ
5:ガス導入部
6:RFアンテナ
7:整合器
8:電磁石
9:グリッド
9a:第1電極
9b:第2電極
9c:第3電極
10:基板ホルダ
11:基板
12:放電用電源
12a:フィードバック制御部
12b:パワー出力部
13:ニュートラライザー
14:位置センサ
15:ノッチ
16:基板搬入口
17:第1電極用電源
17a:フィードバック制御部
17b:印加電圧出力部
18:第2電極用電源
19:オリフラ
20:制御装置
21:ホルダ回転制御部
21a:目標速度算出部
21b:駆動信号生成部
22:回転駆動機構
22a:フィードバック制御部
22b:ホルダ回転駆動部
23:パワー制御部
23a:目標パワー算出部
23b:出力信号生成部
24:印加電圧制御部
24a:目標電圧算出部
24b:出力信号生成部
32:稜線
33:谷線
34:基板の表面
35:基板の裏面
40:TMR素子
41:下部電極
42:反強磁性層
43:磁化自由層(フリー層)
44:トンネルバリア層
45:磁化固定層(ピン層)
46:上部電極
48:フォトレジスト
49:パターン溝
50:再付着膜
51:イオンビーム
51c:イオンビームを基板に投影させた線分
80:P−TMR素子
81:基板
82,83:バッファー層
84:フリー層(強磁性層)
85:トンネルバリア層
86:第1のリファレンス層(強磁性層)
87:第2のリファレンス層(強磁性層)
88:配向分離層
89:第3のリファレンス層
90:非磁性中間層
91:第4のリファレンス層
92:キャップ層
100:イオンビームエッチング装置
102a,102b:パターン溝が延在する方向
103a,103b:パターン溝が延在しない方向(パターン溝が延在する方向の中間方向)

Claims (3)

  1. 2つの強磁性層と、前記2つの強磁性層の間に位置するトンネルバリア層とを有する磁気抵抗効果素子の製造方法であって、
    前記トンネルバリア層が素子分離された基板を用意する工程と、
    前記基板を、グリッドから引き出されたイオンビームによってイオンビームエッチングするイオンビームエッチング工程と、を有し、
    前記イオンビームエッチング工程は、
    前記基板を前記グリッドに対して傾けて位置させ、
    前記基板上に形成されたパターン溝が延在する方向側からイオンビームが入射する際の前記グリッドに対する前記基板の傾斜角度を、他の方向側からイオンビームが入射する際の前記グリッドに対する前記基板の傾斜角度よりも大きくし、
    前記基板をその面内方向に回転させ、
    前記基板の回転速度を、前記パターン溝が延在する方向側からイオンビームが入射する際に、前記他の方向側からイオンビームが入射する際よりも遅くすることで、
    記パターン溝が延在する方向側から入射するイオンビームのエネルギー量が、前記他の方向側から入射するイオンビームのエネルギー量よりも大きいことを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
  2. 2つの強磁性層と、前記2つの強磁性層の間に位置するトンネルバリア層とを有する磁気抵抗効果素子の製造方法であって、
    前記トンネルバリア層が素子分離された基板を用意する工程と、
    前記基板を、グリッドから引き出されたイオンビームによってイオンビームエッチングするイオンビームエッチング工程と、を有し、
    前記イオンビームエッチング工程は、
    前記基板を前記グリッドに対して傾けて位置させ、
    前記基板をその面内方向に回転させ、
    前記基板の回転は、回転及び回転の停止を繰り返し、前記基板上に形成されたパターン溝が延在する方向側からイオンビームが入射する際に、前記基板の回転を停止し、
    前記グリッドは引き出し電極、加速電極及び接地電極を備え、前記加速電極の電圧を、前記パターン溝が延在する方向側からイオンビームが入射する際に前記引き出し電極の電圧よりも低くし、他の方向側からイオンビームが入射する際には前記引き出し電極の電圧よりも高くすることで、
    前記パターン溝が延在する方向側から入射するイオンビームのエネルギー量が、前記他の方向側から入射するイオンビームのエネルギー量よりも大きいことを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
  3. 前記基板は、前記グリッドと前記基板が平行である状態に対して30°〜70°の傾きをもって回転させることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
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