JP2013243307A - 半導体製造装置および半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】記憶素子のアスペクト比が大きくなっても、記憶素子の側面に再付着物が付着することを抑制することができる半導体製造装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】本実施形態による半導体製造装置は、半導体基板を搭載可能なステージと、半導体基板の表面に対して垂直方向から任意の角度で傾斜する第1の方向からエッチングビームを照射する第1の照射部と、垂直方向から任意の角度で傾斜する第2の方向からエッチングビームを照射する第2の照射部とを備えている。第1および第2の照射部は、半導体基板または該半導体基板上の材料を加工するときにエッチングビームを同時に照射する。
【選択図】図1
【解決手段】本実施形態による半導体製造装置は、半導体基板を搭載可能なステージと、半導体基板の表面に対して垂直方向から任意の角度で傾斜する第1の方向からエッチングビームを照射する第1の照射部と、垂直方向から任意の角度で傾斜する第2の方向からエッチングビームを照射する第2の照射部とを備えている。第1および第2の照射部は、半導体基板または該半導体基板上の材料を加工するときにエッチングビームを同時に照射する。
【選択図】図1
Description
本発明による実施形態は、半導体製造装置および半導体装置の製造方法に関する。
抵抗変化型メモリの一つに磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM(Magnetic Random Access Memory))がある。MRAMは、トンネル磁気抵抗(TMR(Tunneling Magnetoresistive))効果を利用するMTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子を記憶素子として備えている。
スピン注入書込み方式のMTJ素子は、2枚の強磁性層(記録層および固定層)と強磁性層間に設けられた非磁性バリア層(絶縁薄膜)とからなる積層構造を有し、スピン偏極トンネル効果による磁気抵抗の変化によりデジタルデータを記憶する。データ書込みは、MTJ素子の積層方向に通電することにより実行される。
このようなMTJ素子を形成する際に、通常、MTJ素子の2枚の強磁性層および非磁性バリア層は一括でエッチングされる。MTJ素子の加工手法としてIBE(Ion Beam Etching)法が用いられる。IBE法は、物理的なエッチング手法であるため、被エッチング材料が反跳してMTJ素子の側壁に再付着(リデポジション)することがある。導電性の材料がMTJ素子の側面に再付着すると、記録層と固定層との間にショートパスが形成されてしまう。
このようなショートパスの形成を抑制するために、IBE法のエッチングビームを、半導体基板の表面に対して垂直方向から傾斜させることが考えられる。これにより、MTJ素子の側面に対するサイドエッチングの成分を増大させ、再付着物がMTJ素子の側面から除去される。
しかし、平面レイアウトにおいてMTJ素子の密度が上昇すると、隣接するMTJ素子間の間隔が狭くなる(アスペクト比が大きくなる)。このため、エッチングビームを傾斜させると、隣接する2つのMTJ素子のうち一方のMTJ素子が他方のMTJ素子の陰になり、エッチングビームをMTJ素子の側面に照射できない場合が生じる。この場合、再付着物がMTJ素子の側面に残り、ショートパスの原因となり得る。
記憶素子のアスペクト比が大きくなっても、記憶素子の側面に再付着物が付着することを抑制することができる半導体製造装置および半導体装置の製造方法を提供する。
本実施形態による半導体製造装置は、半導体基板を搭載可能なステージと、半導体基板の表面に対して垂直方向から任意の角度で傾斜する第1の方向からエッチングビームを照射する第1の照射部と、垂直方向から任意の角度で傾斜する第2の方向からエッチングビームを照射する第2の照射部とを備えている。第1および第2の照射部は、半導体基板または該半導体基板上の材料を加工するときにエッチングビームを同時に照射する。
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に従ったエッチング装置の構成を示す概略図である。半導体製造装置としてのエッチング装置100は、例えば、IBE(Ion Beam Etching)装置である。エッチング装置100は、半導体基板1を搭載可能なステージ10と、エッチングビームIB1を半導体基板1へ照射する第1のイオンガン20と、エッチングビームIB2を半導体基板1へ照射する第2のイオンガン30とを備えている。半導体基板1には、例えば、MRAM(Magnetic Random Access Memory)等が形成され得る。
図1は、第1の実施形態に従ったエッチング装置の構成を示す概略図である。半導体製造装置としてのエッチング装置100は、例えば、IBE(Ion Beam Etching)装置である。エッチング装置100は、半導体基板1を搭載可能なステージ10と、エッチングビームIB1を半導体基板1へ照射する第1のイオンガン20と、エッチングビームIB2を半導体基板1へ照射する第2のイオンガン30とを備えている。半導体基板1には、例えば、MRAM(Magnetic Random Access Memory)等が形成され得る。
ステージ10は、チャンバ40内に配置されている。ステージ10は、半導体基板1を搭載した状態で、第1および第2のイオンガン20、30からのエッチングビームIB1、IB2の照射方向に対して傾斜し、その傾斜を維持しながら半導体基板1を回転させることができる。
第1および第2のイオンガン20、30は、それぞれベルジャ50、60内に設けられたイオンソースからイオンプラズマを生成する。イオンは、電界を印加したグリッド70、80によって所定の加速度に加速され、指向性を有するイオンビームIB1、IB2としてステージ10上の半導体基板1へ向かって照射される。これにより、イオンビームIB1、IB2は、半導体基板1または半導体基板1上に堆積された材料を物理的なスパッタリングによってエッチングする。イオンビームには、例えば、Ar、Kr、Xe等の不活性ガス、あるいは、O、N等のガス、または、これらの物質からなる分子クラスタを用いる。
図2は、エッチング装置100を上方から見た概略平面図である。第1および第2のイオンガン20、30は、矢印A1〜A4で示すようにチャンバ40に沿って移動できるように設けられている。これにより、第1および第2のイオンガン20、30は、ステージ10上の半導体基板1に対して様々な方向からイオンビームIB1、IB2を照射することができる。
図3は、第1および第2のイオンガン20、30の位置関係を示す概念図である。第1のイオンガン20は、半導体基板1の表面に対して垂直方向Dvから第1の入射角度θ1で傾斜する第1の方向からエッチングビームIB1を半導体基板1へ照射する。第1の入射角度θ1は、ステージ10の傾斜角度および第1のイオンガン20の位置によって任意に設定することができる。
第2のイオンガン30は、半導体基板1の表面に対して垂直方向Dvから第2の入射角度θ2で傾斜する第2の方向からエッチングビームIB2を半導体基板1へ照射する。第2の入射角度は、ステージ10の傾斜角度および第2のイオンガン30の位置によって任意に設定することができる。
第1および第2の入射角度θ1、θ2は、半導体基板1の表面に対して垂直方向Dvを基準として、該垂直方向Dvからの開き角度を示す。従って、第1および第2の入射角度θ1、θ2は、0度〜90度の範囲で任意に設定され得る。
また、第1のイオンガン20からのエッチングビームIB1の方向(第1の方向)を半導体基板1(またはステージ10)に投影し、第2のイオンガン30からのエッチングビームIB2の方向(第2の方向)を半導体基板1(またはステージ10)に投影したときに、第1の方向の投影と第2の方向の投影とが成す相対角度をαとする。
第1および第2の入射角度θ1、θ2、並びに、相対角度αは、任意に設定可能である。第1の入射角度θ1は、ステージ10の傾斜角度および第1のイオンガン20の向きによって設定される。第2の入射角度θ2は、ステージ10の傾斜角度および第2のイオンガン30の向きによって設定される。相対角度αは、第1のイオンガン20および第2のイオンガン30の相対位置によって設定される。
第1の方向と第2の方向とは完全には一致しない。従って、第1の入射角度θ1は第2の入射角度θ2と異なり(θ1≠θ2)、あるいは、相対角度αはゼロではない(α≠0)。
さらに、第1および第2のイオンガン20、30は、それぞれエッチングビームの加速電圧およびビーム量を個別に設定可能である。
図4(A)および図4(B)は、互いに隣接する2つのMTJ素子の形成後の配置とイオンビームの臨界角度θcrtとの関係を示す図である。
まず、臨界角度θcrtについて説明する。一般に、IBE法は物理的なエッチング手法であるため、MTJ素子を加工したときに、被エッチング材料が揮発せずに空中に飛散してハードマスクやMTJ素子の側壁に再付着する。このような再付着物は、例えば、MTJ素子の強磁性体材料であり、導電性を有する。このため、再付着物は、MTJ素子の記録層と固定層との間のショートパスの原因となる。再付着物を除去するために、イオンビームの入射角度を大きくすることが考えられる。
イオンビームの入射角度を所定の臨界角度θcrtより大きくすると、MTJ素子の側面に対するエッチング成分がMTJ素子の材料の表面に対するエッチング成分よりも大きくなる。これにより、MTJ素子の材料の表面をエッチングしながら、MTJ素子の側面に付着した再付着物(リデポジション物質)を除去することができる。しかし、サイドエッチングにより、MTJ素子が細くなる。
一方、イオンビームの入射角度を所定の臨界角度θcrtより小さくすると、MTJ素子の側面に対するエッチング成分がMTJ素子の材料の表面に対するエッチング成分よりも小さくなる。従って、MTJ素子の側面に付着した再付着物は残ってしまう。
例えば、臨界角度θcrtが約45度であるとすると、イオンビームの入射角度が臨界角度(約45度)よりも小さい場合には、再付着物はMTJ素子の側面に残る。イオンビームの入射角度が臨界角度(約45度)よりも大きい場合には、再付着物はMTJ素子の側面から除去されるが、サイドエッチング成分が大きくなるため、MTJ素子のサイズが小さくなる。即ち、臨界角度θcrtは、再付着物が付着する速度と再付着物が除去される速度とがほぼ等しいときのイオンビームの入射角度である。イオンビームが臨界角度θcrtにほぼ等しい場合に、再付着物がMTJ素子の側壁に付着することを抑制しながら、MTJ素子の側面のサイドエッチングも最小限に抑えることができる。
ところで、上述のように、MTJ素子の密度が上昇すると、隣接するMTJ素子間の間隔が狭くなる。MTJ素子間の間隔が狭くなると、再付着物をMTJ素子の側面から除去するためにエッチングビームを大きく傾斜させた場合に、隣接する2つのMTJ素子のうち一方のMTJ素子が他方のMTJ素子の陰になる。この場合、エッチング不良が生じ、MTJ素子を所望のパターンに加工することができなくなる。また、隣接するMTJ素子同士が影響し合わないように、エッチングビームの傾斜を臨界角度θcrtよりも小さくすると、再付着物がMTJ素子の側面に残ってしまう。このように、MTJ素子の平面レイアウトが高密度化すると、再付着物の付着を抑制しながら、MTJ素子を所望のパターンに加工することが困難になる。従って、再付着物をMTJ素子の側面から除去すること、並びに、MTJ素子を高密度に加工することが次世代の半導体装置および半導体製造プロセスにおいて重要となる。
図4(A)および図4(B)を参照して、2つのMTJ素子の隣接間隔とエッチングビームの臨界角度θcrtとの関係についてさらに詳細に説明する。互いに隣接する2つのMTJ素子(MTJ1、MTJ2)が下地材料85上に設けられている。MTJ1、MTJ2上には、ハードマスクHMが設けられている。MTJ1およびその上のハードマスクHMが第1の構造体51を構成し、MTJ2およびその上のハードマスクHMが第2の構造体52を構成する。複数の構造体51、52は、IBEによって半導体基板1上にアレイ状に形成される。
基準角度θrefは、第1の構造体51の下端部B1から第1の構造体51に隣接する第2の構造体52の上端部T2への接線の傾斜角度である。換言すると、基準角度θrefは、互いに隣接する構造体51、52のイオンビームを各構造体51、52の側面全体に照射することができる角度のうち最大の角度である。
イオンビームの入射角度が基準角度θref以下である場合に、そのイオンビームは、他の構造体によって遮られること無く、各構造体の側面全体に照射され得る。これにより、イオンビームは、隣接する構造体52の影響を受けることなく、構造体51の加工が完了するまで構造体51と構造体52との間の下地材料85に照射され得る。
ここで、図4(A)に示すように、互いに隣接するMTJ素子間の間隔が充分に広い場合、基準角度θrefは臨界角度θcrt以上になる。基準角度θrefが臨界角度θcrt(例えば、45度)以上である場合には、イオンビームの照射角度を臨界角度θcrt以上かつ基準角度θref以下に設定することができる。この場合、イオンビームは、隣接する構造体52に遮られることなく、構造体51の側面全体に照射され得る。さらに、そのイオンビームは、構造体51を加工しつつ、構造体51の側面上の再付着物を除去することができる。この場合、イオンガンはエッチング装置に対して1つで足りる。尚、再付着物は、例えば、MTJ素子自体の材料またはMTJ素子の下地材料85である。
一方、MRAMチップの微細化に伴い、図4(B)に示すように、互いに隣接するMTJ素子間の間隔が狭くなると、基準角度θrefが臨界角度θcrt(例えば、45度)未満となる。この場合、イオンビームの照射角度を臨界角度θcrt以上にしようとすると、イオンビームは、隣接する構造体52に遮られてしまう。従って、MTJ素子を良好に加工することができない。また、隣接する構造体52に遮られないように、イオンビームの照射角度を基準角度θref以下にすると、イオンビームの照射角度は臨界角度θcrt未満となるので、イオンビームのサイドエッチング成分が小さくなる。このため、MTJ素子51の側面に付着した再付着物は、完全には除去されず、部分的に残ってしまう。従って、もし、1つのイオンガン(例えば、第1のイオンガン20)のみを用いてMTJ素子の材料を加工しようとすると、MTJ素子を所望の形状に加工できないか、あるいは、MTJ素子の側面に再付着物が残ってしまう。
そこで、本実施形態によるエッチング装置100は、複数のイオンガン20、30を備え、これらのイオンガン20、30によってMTJ素子を加工する。
第1のイオンガン20の第1の照射角度θ1は、基準角度θref(例えば、約45度)以下に設定され、尚且つ、第2のイオンガン30の第2の照射角度θ2は、臨界角度θcrt(例えば、約45度)以上に設定される。第1の照射角度θ1を基準角度θref以下に設定することにより、第1のイオンガン20からのイオンビームIB1は、MTJ素子の材料90を所望のパターンに加工することができる。第2の照射角度θ2を臨界角度θcrt以上に設定することによって、第2のイオンガン30からのイオンビームIB2は、MTJ素子の側面の再付着物を除去することができる。イオンビームIB1、IB2を同時にMTJ素子の材料90に照射することによって、MTJ素子の側面の再付着物を除去しながら、同時に、MTJ素子を高密度のパターンに加工することができる。
図5は、MTJ素子およびハードマスクHMのレイアウトおよびイオンビームIB1、IB2の照射方向を示す平面図である。複数のMTJ素子およびハードマスクHMを含む構造体51、52が下地材料85上にマトリクス状に二次元配置されている。
イオンビームIB1とイオンビームIB2とのなす相対角度αは、イオンビームIB1によってMTJ素子の側面に付着する再付着物を効果的に除去することができる角度に設定される。相対角度αは、0度より大きく、180度以下である。例えば、図5では、相対角度αは、約45度に設定されている。
イオンビームIB1の第1の照射角度θ1が基準角度θrefに近い場合、図5に示すように、構造体51の正面に照射されるイオンビームIB1は、下地材料85には余り照射されない。しかし、構造体51の正面に隣接する部分において、イオンビームIB1は、下地材料85に照射される。従って、図5の破線円で示すように、構造体51の正面に隣接する側面部に多くの再付着物が付着する。相対角度αを約45度にすることによって、イオンビームIB2が構造体51の正面に隣接する側面部に照射され、その側面部に付着する再付着物を除去することができる。
図6(A)から図6(D)は、第1の実施形態によるエッチング装置100を用いたMTJ素子の形成フローを示す断面図である。
図6(A)に示すように、半導体基板1の上方に下地材料85およびMTJ素子の材料90が堆積され、MTJ素子の材料90上にハードマスクHMが堆積される。次に、図6(B)に示すように、ハードマスクHMは、リソグラフィ技術およびRIE(Reactive Ion etching)またはIBEを用いてMTJ素子のレイアウトパターンに加工される。次に、図6(C)に示すように、エッチング装置100は、ハードマスクHMをマスクとして用いて、IBE法によりMTJ素子の材料90をエッチング加工する。エッチング加工後、図6(D)に示すように、MTJ素子の加工が完了する。
図6(C)に示すように、エッチング装置100がIBE法によりMTJ素子の材料90をエッチング加工するときに、第1のイオンガン20が第1の方向D1から半導体基板1へ向かってイオンビームIB1を照射し、それと同時に、第2のイオンガン30が第2の方向D2から半導体基板1へ向かってイオンビームIB2を照射する。イオンビームIB1の照射角度θ1は、上述の通り、基準角度θref以下に設定され、尚且つ、イオンビームIB2の照射角度θ2は、臨界角度θcrt以上に設定されている。
このように、第1のイオンガン20は、第1の方向D1からイオンビームIB1を照射することによって、MTJ素子の材料90を加工し、同時に、第2のイオンガン30は、第2の方向D2からイオンビームIB2を照射することによって、MTJ素子の側面に付着する堆積物をエッチングする。
これにより、本実施形態によるエッチング装置100は、隣接するMTJ素子間の間隔が狭い(あるいは、MTJ素子のアスペクト比が大きい)場合であっても、複数のイオンガンを同時に用いることによって、MTJ素子の側面の再付着物を除去しながら、MTJ素子を高密度のレイアウトパターンに加工することができる。
図7(A)〜図7(C)および図8(A)〜図8(C)は、比較例によるエッチング装置を用いたMTJ素子の形成フローを示す断面図である。この比較例では、第1のイオンガン20および第2のイオンガン30が異なるタイミングでMTJ素子の材料90をエッチングしている。図7(A)〜図7(C)では、第1のイオンガン20が第1の方向D1からのイオンビームIB1によってMTJ素子の材料90を加工した後、第2のイオンガン30が第2の方向D2からのイオンビームIB2によってMTJ素子の材料90を加工している。図8(A)〜図8(C)では、第2のイオンガン30が第2の方向D2からのイオンビームIB2によってMTJ素子の材料90を加工した後、第1のイオンガン20が第1の方向D1からのイオンビームIB1によってMTJ素子の材料90を加工している。
図7(A)に示すように、第1のイオンガン20がイオンビームIB1を第1の方向D1からMTJ素子の材料90を加工すると、ハードマスクHMまたはMTJ素子の側面に再付着物RDが付着しながら、MTJ素子の材料90がエッチングされる。再付着物RDがマスクとなり、その再付着物RDの分だけハードマスクHMまたはMTJ素子の材料90のレイアウトパターンのサイズが大きくなる。従って、図7(B)に示すように、MTJ素子の材料90は、下地材料85に向かって大きく広がるように順テーパー状に形成される。次に、図7(B)に示すように、第2のイオンガン30がイオンビームIB2を第2の方向D2から再付着物RDに照射される。このとき、再付着物RDは除去されるが、図7(C)に示すように、MTJ素子は、順テーパー状のままとなる。この場合、MTJ素子の底部のサイズが大きくなってしまい、所望のレイアウトパターンに成形できない。また、MTJ素子の微細化の妨げともなる。
図8(A)に示すように、第2のイオンガン30がイオンビームIB2を第2の方向D2からMTJ素子の材料90を加工すると、MTJ素子の側面に再付着物RDは付着しない。しかし、イオンビームIB2はサイドエッチング成分が大きいため、図8(B)に示すように、ハードマスクHMおよびMTJ素子の材料90の各側面が横方向に大きく削られる。その後、図8(C)に示すように、第1のイオンガン20がイオンビームIB1を第1の方向D1からMTJ素子の材料90または下地材料85に照射される。このとき、再付着物RDは、ハードマスクHMおよびMTJ素子の材料90の各側面に付着してしまう。この再付着物RDは、除去されずに残ってしまうので、MTJ素子をショートさせる原因となり得る。
このように、第1および第2のイオンガン20、30が異なるタイミングでイオンビームIB1、IB2を照射すると、MTJ素子を所望のパターンに形成することが困難になり、あるいは、再付着物RDが残ってしまう。
これに対し、本実施形態によるエッチング装置100は、図5および図6を参照して説明したように、第1のおよび第2のイオンガン20、30が同時にイオンビームIB1、IB2を照射し、かつ、イオンビームIB1の第1の照射角度θ1は、基準角度θref以下に設定され、第2のイオンガン30の第2の照射角度θ2は、臨界角度θcrt以上に設定される。これにより、ハードマスクHMおよびMTJ素子の各側面に付着する再付着物を除去しながら、同時にMJT素子の材料90を加工するので、MTJ素子の側面に再付着物が付着することを抑制しながら、TJ素子の側面の順テーパーが緩和される(MTJ素子の側面が急峻になる)。即ち、MTJ素子を所望のレイアウトパターンに形成することができ、尚且つ、MTJ素子の側面にショートパスが形成されることを抑制することができる。
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態において、イオンビームIB1とイオンビームIB2との成す相対角度αは、約45度であったが、相対角度αは、効率的に再付着物を除去できるように任意に設定され得る。
上記第1の実施形態において、イオンビームIB1とイオンビームIB2との成す相対角度αは、約45度であったが、相対角度αは、効率的に再付着物を除去できるように任意に設定され得る。
図9(A)および図9(B)は、第2の実施形態に従ったMTJ素子およびハードマスクHMのレイアウトおよびイオンビームIB1、IB2の照射方向を示す平面図である。第2の実施形態において、相対角度αは、約90度に設定されている。尚、第1のイオンガン20の第1の照射角度θ1は、第1の実施形態と同様に、基準角度θref以下に設定され、尚且つ、第2のイオンガン30の第2の照射角度θ2は、第1の実施形態と同様に、臨界角度θcrt以上に設定されてよい。
図9(A)に示すように、イオンビームIB1、IB2が構造体52から構造体51へ向かって照射されている場合、イオンビームIB1は、構造体51の正面部の下地材料85には余り照射されない。しかし、イオンビームIB1は、構造体51の正面に隣接する部分(図9の破線円の部分)において、下地材料85に照射される。従って、構造体51の正面に隣接する側面部に再付着物が比較的多く付着する。
一方、イオンビームIB2の一部は、図9の破線矢印で示しているように構造体51に隣接する構造体52に遮られているものの、構造体51の正面に隣接する側面部には照射され、再付着物を除去することができる。
図9(B)に示すように、イオンビームIB1、IB2が構造体52に遮られていない場合、イオンビームIB1、IB2ともに構造体51へ充分に照射される。従って、イオンビームIB1によって、構造体51の側面に再付着物が付着するが、イオンビームIB2によって、その再付着物は除去される。このように、イオンビームIB1、IB2の相対角度αが約90度であっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第3の実施形態)
図10は、第3の実施形態に従ったエッチング装置100を上方から見た概略平面図である。第1および第2のイオンガン20、30は、図2を参照して上述した通りである。第3のイオンガン95は、矢印A5、A6で示すようにチャンバ40に沿って移動できるように設けられている。これにより、第3のイオンガン95は、ステージ10上の半導体基板1に対して様々な方向からイオンビームIB3を照射することができる。第3のイオンガン95の構成は、第1および第2のイオンガン20、30の構成と同様でよい。
図10は、第3の実施形態に従ったエッチング装置100を上方から見た概略平面図である。第1および第2のイオンガン20、30は、図2を参照して上述した通りである。第3のイオンガン95は、矢印A5、A6で示すようにチャンバ40に沿って移動できるように設けられている。これにより、第3のイオンガン95は、ステージ10上の半導体基板1に対して様々な方向からイオンビームIB3を照射することができる。第3のイオンガン95の構成は、第1および第2のイオンガン20、30の構成と同様でよい。
図11は、第1〜第3のイオンガン20、30および95の位置関係を示す概念図である。第1のイオンガン20と第2のイオンガン30との位置関係は、図3を参照して上述した通りである。第3のイオンガン95は、半導体基板1の表面に対して垂直方向Dvから第3の入射角度θ3で傾斜する第3の方向からエッチングビームIB3を半導体基板1へ照射する。第3の入射角度θ3は、ステージ10の傾斜角度および第3のイオンガン95の位置によって任意に設定することができる。
第3のイオンガン95の第3の入射角度θ3は、第1のイオンガン20の第1の入射角度θ1と異なる。また、第1のイオンガン20からのエッチングビームIB1の方向(第1の方向)を半導体基板1(またはステージ10)に投影し、第3のイオンガン95からのエッチングビームIB3の方向(第3の方向)を半導体基板1(またはステージ10)に投影したときに、第1の方向の投影と第3の方向の投影とが成す相対角度をβとする。
第3の入射角度θ3、並びに、相対角度βは、任意に設定可能である。第3の入射角度θ3は、ステージ10の傾斜角度および第3のイオンガン95の向きによって設定される。相対角度βは、第1のイオンガン20および第3のイオンガン95の相対位置によって設定される。
さらに、第1〜第3のイオンガン20、30および95は、それぞれエッチングビームの加速電圧およびビーム量を個別に設定可能である。
第3の実施形態において、第1のイオンガン20の第1の照射角度θ1は、基準角度θref(例えば、約45度)以下に設定され、尚且つ、第2および第3のイオンガン30、95の照射角度θ2、θ3は、臨界角度θcrt(例えば、約45度)以上に設定される。尚、第2および第3の照射角度θ2、θ3は、互いに等しくてもよく、あるいは、互いに異なっていてもよい。第1の照射角度θ1を基準角度θref以下に設定することにより、第1のイオンガン20からのイオンビームIB1は、MTJ素子の材料90を所望のパターンに加工することができる。第2および第3の照射角度θ2、θ3を臨界角度θcrt以上に設定することによって、第2および第3のイオンガン30、95からのイオンビームIB2、IB3は、MTJ素子の側面の再付着物を除去することができる。イオンビームIB1〜IB3を同時にMTJ素子の材料90に照射することによって、MTJ素子の側面の再付着物を除去しながら、同時に、MTJ素子を高密度のパターンに加工することができる。
図12は、イオンビームIB1〜IB3の照射方向を示す平面図である。第3の実施形態では、1つのMTJ素子およびハードマスクHMを含む構造体51が下地材料85上に配置されている。
相対角度α、βは、イオンビームIB2、IB3によってMTJ素子の側面の再付着物を効果的に除去することができる角度に設定される。相対角度α、βは、0度より大きく、180度以下である。例えば、図12では、相対角度α、βは、約±135度に設定されている。
例えば、イオンビームIB1の第1の照射角度θ1が基準角度θref(例えば、約45度)に等しい場合、構造体51の正面には再付着物は付着しない。しかし、構造体51の正面に隣接する側面部(図12の破線円で示す部分)において、再付着物が付着する。即ち、図4(A)に示すように、隣接する複数の構造体の間隔が充分に広い場合、あるいは、1つの構造体51のみを形成する場合であっても、イオンビームIB1のみでは、再付着物が構造体51の側面に付着してしまうおそれがある。そこで、第3の実施形態によるエッチング装置100は、イオンビームIB2、IB3を構造体51の側面部に照射する。イオンビームIB2、IB3は、イオンビームIB1を挟んで互いに逆方向から照射される。即ち、相対角度αは、第1の方向を基準として+135度に設定され、相対角度βは、第1の方向を基準として−135度に設定される。これにより、構造体51の両側の側面部に付着する再付着物を除去することができる。
勿論、第3の実施形態によるエッチング装置100は、図5または図9に示したようにマトリクス状に二次元配置された複数のMTJ素子を形成する際にも利用できる。この場合、相対角度α、βは、複数のMTJ素子の配置によって設定すればよい。例えば、相対角度α、βは、約±45度、約±90度、あるいは、約±120度に設定してもよい。
第3の実施形態によるエッチング装置100では、第1のイオンガン20からのイオンビームIB1によって付着した再付着物を、第2および第3のイオンガン30、95からのイオンビームIB2、IB3によって除去することができる。第2および第3のイオンビームIB2、IB3は、構造体51の両側の側面部に照射されるので、再付着物をさらに効率良く除去することができる。また、第3の実施形態によるエッチング装置100を用いれば、構造体51の両側の側面部に付着した再付着物を除去するために複雑な製造工程を必要としない。
(変形例)
上記第1〜第3の実施形態において、第1〜第3のイオンガン20、30、95は、それぞれイオンビームIB1〜IB3の加速電圧およびビーム量を固定にしてもよい。しかし、イオンビームIB1〜IB3の加速電圧またはビーム量は、半導体基板1の回転に従って変更してもよい。
上記第1〜第3の実施形態において、第1〜第3のイオンガン20、30、95は、それぞれイオンビームIB1〜IB3の加速電圧およびビーム量を固定にしてもよい。しかし、イオンビームIB1〜IB3の加速電圧またはビーム量は、半導体基板1の回転に従って変更してもよい。
例えば、図9(A)に示す状態の場合には、イオンビームIB1、IB2の加速電圧およびビーム量を比較的大きくし、図9(B)に示す状態の場合には、イオンビームIB1、IB2の加速電圧およびビーム量を比較的小さくする。このように、半導体基板1の回転に従ってイオンビームIB1、IB2の加速電圧またはビーム量を変調させることにより、エッチング装置100は、再付着物の付着と該再付着物の除去との平衡状態をより容易に維持することができる。
以上の実施形態によるエッチング装置100は、MRAMのMTJ素子の加工に用いられている。しかし、このエッチング装置100は、他のメモリ素子の加工に用いることもできる。また、エッチング装置100は、半導体基板1自体の加工によって半導体基板1上に構造体を形成する際にも用いることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
100・・・エッチング装置、10ステージ、1半導体基板、20・・・第1のイオンガン、30・・・第2のイオンガン、40・・・チャンバ、50、60・・・ベルジャ、51、52・・・構造体、70、80・・・グリッド、85・・・下地材料、90・・・MTJ素子の材料、95・・・第3のイオンガン、IB1〜IB3・・・エッチングビーム、θcrt・・・臨界角度、θref・・・基準角度、HM・・・ハードマスク、MTJ1、MTJ2・・・MTJ素子
Claims (6)
- 半導体基板を搭載可能なステージと、
前記半導体基板の表面に対して垂直方向から任意の角度で傾斜する第1の方向からエッチングビームを照射する第1の照射部と、
前記垂直方向から任意の角度で傾斜する第2の方向からエッチングビームを照射する第2の照射部とを備え、
前記第1および前記第2の照射部は、前記半導体基板または該半導体基板上の材料を加工するときにエッチングビームを同時に照射し、
前記第1の照射部からのエッチングビームは、前記半導体基板の上方に複数の構造体を形成するために前記半導体基板または前記構造体の材料をエッチングし、
前記第2の照射部からのエッチングビームは、前記構造体の側面に付着する堆積物をエッチングし、
前記第1の方向は、前記構造体のうち第1の構造体の下端部から前記第1の構造体に隣接する第2の構造体の上端部への接線方向よりも前記垂直方向に近く、
前記第2の方向は、前記接線方向と同じかそれよりも前記垂直方向から離れていることを特徴とする半導体製造装置。 - 半導体基板を搭載可能なステージと、
前記半導体基板の表面に対して垂直方向から任意の角度で傾斜する第1の方向からエッチングビームを照射する第1の照射部と、
前記垂直方向から任意の角度で傾斜する第2の方向からエッチングビームを照射する第2の照射部とを備え、
前記第1および前記第2の照射部は、前記半導体基板または該半導体基板上の材料を加工するときにエッチングビームを同時に照射することを特徴とする半導体製造装置。 - 前記第1の照射部からのエッチングビームは、前記半導体基板上に少なくとも1つの構造体を形成するために前記半導体基板または前記構造体の材料をエッチングし、
前記第2の照射部からのエッチングビームは、前記構造体の側面に付着する堆積物をエッチングすることを特徴とする請求項2に記載の半導体製造装置。 - 前記第1または前記第2の照射部は、前記第1の方向および前記第2の方向を変更することができ、かつ、前記第1の方向および前記第2の方向を前記ステージに投影したときに前記第1の方向と前記第2の方向とが成す相対角度を変更できるように可動であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の半導体製造装置。
- 当該半導体製造装置は、前記半導体基板の上方に複数の構造体を形成するために用いられ、
前記第1の方向は、前記複数の構造体のうち第1の構造体の下端部から前記第1の構造体に隣接する第2の構造体の上端部への接線方向よりも前記垂直方向に近く、
前記第2の方向は、前記接線方向と同じかそれよりも前記垂直方向から離れていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の半導体製造装置。 - 半導体基板を搭載可能なステージと、エッチングビームを前記半導体基板へ照射する第1の照射部と、エッチングビームを前記半導体基板へ照射する第2の照射部とを備えた半導体製造装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
前記第1の照射部が、前記半導体基板の表面に対して垂直方向から任意の角度で傾斜する第1の方向からエッチングビームを照射し、それと同時に、前記第2の照射部が、前記垂直方向から任意の角度で傾斜する第2の方向からエッチングビームを前記半導体基板へ照射することを具備した半導体装置の製造方法。
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