JP6053288B2 - 美爪料組成物 - Google Patents
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1) 皮膜形成剤が、ニトロセルロース、アルキッド−1のうち1種または2種で、可塑剤がクエン酸アセチルトリブチル、フタル酸ジブチル及び安息香酸スクロースのうち1種または2種以上からなり、溶剤がアセトン、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、イソプロパノール、ブタノール、酢酸エトキシエチル及び酢酸エチルのうち1種または2種以上からなるネイルアート用爪化粧料であって、溶媒の主剤は、一般的なネイルエナメル組成物と同じで、さらに、アセトンとメチルエチルケトンを添加することで、境界線をぼかすネイルアート用爪化粧料(例えば、特許文献1参照))、
2) 爪の健康保持機能、使用感触、化粧持ちの全てにわたって優れた美爪料を提供するために、特定のアルキレンオキシド誘導体と、皮膜剤とを含有することを特徴とする美爪料、この美爪料として、実施例3−5及び3−6に、水、アクリル系エマルジョン、アルコール系溶剤、酸化チタン、消泡剤を含有する組成となる水系ネールエナメル(例えば、特許文献2参照)、
3) 皮膜形成助剤の非存在下で測定される最低皮膜形成温度MFT、および乾燥皮膜の少なくとも1つのガラス転移温度Tgを有する(ただし、35℃≦Tg≦80℃およびTg−MFT≧8℃である)エマルジョンポリマーを含むネイルエナメルまたは毛髪セット用製品に有用となる水性化粧用組成物、この水性化粧用組成物として、その実施例15には、水、アクリル系エマルジョン、アルコール系溶剤、シリコーン系溶剤が含まれる組成の水性ネイルエナメル(例えば、特許文献3参照)などが知られている。
この場合には、下地カラーや、トップコートを施すとき、十分な乾燥を伴わないと、同じ組成であるため、ラインなどが滲んだり、また、細いブラシで塗布するため、うまくラインが描けないといった不具合が生じたり、隠ぺい力が不足するなどの課題がある。
更に、本願出願人は、下地カラーやトップコートによるラインの乱れが少なく、乾燥が早く、塗布環境で湿度が高い場合であっても塗膜に結露が発生することがなく、レベリングや色ムラも少ない、乾燥性、密着性、屈曲性、隠蔽性、仕上がり性、吐出性能及び再攪拌性に優れたフレンチネイルタイプの美爪料組成物を提供するために、溶媒として、エタノールとプロピレングリコールモノメチルエーテルと、平均一次粒子径が200nmから400nmの酸化チタンAと、平均一次粒子径が10nmから80nmの酸化チタンBと、アクリル樹脂と、ポリエーテル変性ジメチルポ リシロキサンと、可塑剤を少なくとも含有することを特徴とする美爪料組成物を出願している(例えば、特許文献5参照)。
また、上記本願出願人による出願中の美爪料組成物は、下地カラーやトップコートによるラインの乱れが少なく、乾燥が早く、塗布環境で湿度が高い場合であっても塗膜に結露が発生することがなく、優れた性能を有するものであり、本発明も別の組成面等からアプローチしてネイルアートのバリエーションを更に拡大しようとするものである。
(1) 少なくとも、水と、1価の低級アルコール10〜60質量%と、アクリル系樹脂と、一次粒子径が200〜400nmである酸化チタン5〜20質量%とを含有し、前記アクリル系樹脂は酸価が100mg・KOH/g以上であり、ガラス転移温度が70℃以上であり、下地に塗布した美爪料の上から更に塗布することを特徴とする美爪料組成物。
(2) 前記アクリル系樹脂は、分子量が50,000以上300,000以下であることを特徴とする上記(1)に記載の美爪料組成物。
(3) 更に前記酸化チタン以外の無機顔料、有機顔料、染料を配合することを特徴とする上記(1)又は(2)記載の美爪料組成物。
本発明の美爪料組成物は、少なくとも、水と、1価の低級アルコール10〜60質量%と、アクリル系樹脂と、酸化チタンとを含有し、前記アクリル系樹脂は酸価が100mg・KOH/g以上であり、ガラス転移温度が50℃以上であることを特徴とするものである。
本発明において、1価の低級アルコールに限定したのは、速乾性、水との高親和性とするためである。
この1価の低級アルコールの含有量が、10%未満であると、乾燥に時間がかかるものとなり、一方、60%を超えて多いと、ベースカラーを溶かしてしまい、好ましくない。
なお、本発明(後述する実施例を含む)において、「一次粒子径」とは、透過型電子顕微鏡画像解析による、粒子径をいう。
本発明において、酸化チタンの含有量が5%未満になると、隠ぺい力の低下につながることとなり、好ましくなく、一方、20%を超えて高すぎると、色ムラになりやすく、好ましくない。
具体的には、酸価が100mg・KOH/g以上となる上記特性のアクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレンアクリル酸アルキル共重合体などが挙げられるが、スチレンは人体への安全性が懸念されるため、アクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体の使用が好ましい。
本発明では、ベースコートを必須とするため、酸価が高いことによるアルカリ量が増えても、直接爪には触れないため、爪を傷めることはない。また、酸価が高いと耐水性も低下するが、これもトップコートを必須とするために問題にならない。そのため、酸価の上限については、特に限定するものではない。
この分子量が50,000未満となると、十分な被膜を形成できず、トップコートを塗布する際に、ブラシで塗膜を削ってしまう問題がある。また、当該分子量が300,000を超えて上回ると、液粘度が高くなるため、吐出性が悪くなることや、塗膜が厚くなり乾燥時間が遅くなる問題がある。また、当該分子量が高くても、脆性には大きく影響しないが、脆くなっても、トップコートがそれを補ってくれるものとなる。
なお、本発明で用いるアクリル系樹脂は、上記アクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体などを用いるものであるが、これらの樹脂以外にも、固着力向上の目的で、他の樹脂類、例えば、ウレタン、酢酸ビニル、シリコーンの配合は、液の安定性を阻害しなければ、可能である。
酸価(単位は、mg・KOH/g)とは、アクリル系樹脂1g中に含まれる酸を中和するのに必要なKOHの重量(単位、mg)を表したものである。酸価(単位は、mg・KOH/g)は、JIS K 2501に準拠した方法により測定したものである。
アクリル系樹脂のMwは、まず、移動相溶媒としてテトラヒドロフランを用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)により測定を行い、得られた結果を、標準ポリスチレン換算値として算出することにより求めた。
ガラス転移温度(Tg)は、次のようにして測定した。まず、樹脂をラッカー状とし、ラッカー状とした樹脂を成膜し、次いで溶剤を乾燥させることにより、フィルム化した。フィルム化したアクリル系樹脂を、リガク社製の示差走査熱分析器(DSC)を用いて、昇温速度10℃/分で、−150℃から+150℃まで昇温して示差走査熱量を測定し、得られた吸熱曲線を微分して変極点を求め、この変極点をTgと判断した。
このアクリル系樹脂の含有量が2%未満であると、固着力が不十分となり、トップコートで流れてしまうこととなり、好ましくなく、一方、15%を超えて多くても問題とないないが、トップコートを塗布するのに耐えうる膜強度が得られれば良く、ブラシ上で乾燥した液の復帰性を考慮すると、極力少ない方が良い。
本発明では、酸化チタン以外の上記無機顔料や有機顔料・染料などの色材を配合することにより、白以外のフレンチネイル液を作製することができる。これにより、ベースカラーとフレンチネイルの好みのカラーを自在に組み合わせることが可能となり、ネイルアートの新たな楽しみ方を享受することができるものとなる。
本発明の美爪料組成物に、pH調整剤として、揮発性のアンモニア等を用いると、ペン芯で水の揮発とともにアンモニアも揮発してしまう。そのため、pHが高い方が溶解しやすいアクリル系樹脂が析出し、アンモニアが不足しているため、すばやく再溶解できない問題がある。そのため、pH調整剤として、不揮発性の水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)などの使用が好ましく、アミノメチルプロパノールやトリエタノールアミンも用いることができ、調整後の美爪料組成物のpHを7.5以上とすることが好ましい。
また、上記粘度の調整は、用いる1価の低級アルコール、酸化チタン、アクリル系樹脂種等を好適な含有量となるように組み合わせることにより調整することができる。
従来のフレンチネイルタイプの美爪料組成物では、爪先に、美麗な線及び模様を描こうとすると、滲んだり、境界が不鮮明となったり、乾燥性や隠蔽性が不十分となる場合があったが、本発明では、下地カラーやトップコートによるラインの滲みや境界の乱れがなく、極めて優れたフレンチネイルタイプの美爪料組成物とすることができる。
下記表1及び表2に示す配合処方で、ホモミキサーあるいはディスパーで混合分散して、各美爪料組成物を調製した。なお、各美爪料組成物のpHは7.5〜9.0に調整した。
上記で得られた実施例1〜13及び比較例1〜8の各美爪料組成物について、下記方法により、ずり速度3.83(s−1)、383(s−1)における25℃の各粘度、下地汚れ、乾燥性、固着力、再溶解性、隠ぺい力について評価した。
これらの結果を下記表1及び表2に示す。
得られた各美爪料組成物について、温度25℃で、コーンプレート型粘度計(TV−25型粘度計のうち、ELD型粘度計、標準コーンプレート、東機産業社製)を用いて所定のずり速度(3.83S−1、383S−1)における粘度(mPa・s)を測定した。
赤いマニキュア(下地)の上に、白いフレンチネイルを塗布し、下地汚れを下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:下地と色が混ざらない
△:フレンチの淵が下地と混ざる
×:フレンチネイルがピンク色に変化する
平滑な試験板に一定の厚みで塗膜をひき、一定時間おきに綿棒等でひっかくことで、塗膜の乾燥時間を測定し、乾燥性を下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:速乾、良好(30秒以内)
△:やや遅い(30〜60秒)
×:遅すぎる(60秒超過)
下地の上にフレンチネイルを塗布し、60秒後にトップコートし、固着力を下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:変化なし
△:フレンチネイル部分に薄っすら線が入る
×:フレンチネイル部分が剥がれる
試料を市販のマニキュア容器に充填し、マニキュア容器付属の刷毛に付けて乾燥させた後、元の容器に戻して1昼夜放置して刷毛についた乾燥物が再溶解しているかどうか観察した。
評価基準:
○:再溶解している
△:ほぼ再溶解しており、使用上問題ない
×:再溶解していない
下地カラーの上に試料を塗布し、下地の色の透け具合を確認し、隠蔽性を下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:下地が隠れ、発色が良い
△:わずかに下地の色が見えるが、発色は良い
×:下地の色が見え、発色が悪い
*1:一次粒子径:250nm、CR−50、石原産業社製
*2:アクリル酸アルキル共重合体、酸価:150mg・KOH/g、重量平均分子量(Mn):100,000、ガラス転移温度(Tg):75℃、ルビマー100P、BASFジャパン社製
*3:オクチルアミド/メチルメタクリレート/t−ブチルアミノエチルメタクリレート/2−ヒドロキシプロピルメタクリレート共重合体、酸価:168mg・KOH/g、重量平均分子量(Mn):140,000、ガラス転移温度(Tg):100℃、アンフォマーHC、日本NSC社製
*4:アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、酸価:103mg・KOH/g、重量平均分子量(Mn):85,000、ガラス転移温度(Tg):100℃
*5:アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、酸価:135mg・KOH/g、重量平均分子量(Mn):56,000、ガラス転移温度(Tg):80℃
*6:スチレンアクリル酸アルキル共重合体、酸価:213mg・KOH/g、重量平均分子量(Mn):12,500、ガラス転移温度(Tg):73℃、ジョンクリル67、BASF社製
*7:t−ブチルアクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸アンモニウム、酸価:58mg・KOH/g、重量平均分子量50,0000、ガラス転移温度(Tg):−15℃、固形分濃度45%、各モノマーを既知の方法により乳化重合することにより得た。
*8:アクリル酸アルキル共重合体、酸価:84mg・KOH/g、重量平均分子量(Mn):60,000、ガラス転移温度(Tg):35℃、ダーマクリルAQF、固形分濃度45%、アクゾノーベル社製
*9:ポリジメチルシロキサン/メタクリル酸/メタクリル酸ブチルのブロック共重合体、酸価:103mg・KOH/g、重量平均分子量(Mn):5,000、ガラス転移温度(Tg):35℃、各モノマーを既知の方法により重合することにより得た。
*10:ジュリマーAT960P、日本純薬社製
比較例を個別的に見ると、比較例1及び4は、1価の低級アルコールを用いない場合であり、比較例2、3及び8は1価の低級アルコールの含有量の範囲が本発明の範囲外となる場合であり、比較例5〜7は本発明の範囲外となるアクリル系樹脂を用いる場合であり、これらの場合は、本発明の効果を発揮できないことが判った。
Claims (3)
- 少なくとも、水と、1価の低級アルコール10〜60質量%と、アクリル系樹脂と、一次粒子径が200〜400nmである酸化チタン5〜20質量%とを含有し、前記アクリル系樹脂は酸価が100mg・KOH/g以上であり、ガラス転移温度が70℃以上であり、下地に塗布した美爪料の上から更に塗布することを特徴とする美爪料組成物。
- 前記アクリル系樹脂は、分子量が50,000以上300,000以下であることを特徴とする請求項1に記載の美爪料組成物。
- 更に前記酸化チタン以外の無機顔料、有機顔料、染料を配合することを特徴とする請求項1又は2記載の美爪料組成物。
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