JP6052803B2 - 造粒物の粒度推定方法及び造粒プロセスの制御方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、高炉内の粒状体堆積物の表面に、電磁波ビームを測定方向に沿って走査しながら照射させ、粒状体堆積物の表面で反射した電磁波を受信して、電磁波ビームの送信から受信までの時間差から電磁波が照射された表面までの距離を測定する距離測定工程と、距離測定工程で受信した電磁波の強度の測定方向に対する分布から粒状体堆積物の表面の粒径分布を推定する粒径分布推定工程とを含む粒状体堆積物の表面状態計測方法が開示されている。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、造粒物の堆積形状から素早く造粒物の平均粒度や粒度分布を推定することができる造粒物の粒度推定方法を提供することを目的とする。また、推定した平均粒度や粒度分布に基づいて造粒プロセスを制御することにより所望の大きさの造粒物を安定的に製造することができる造粒プロセスの制御方法を提供することを目的とする。
本発明の造粒物の粒度推定方法は、鉱石の造粒プロセスにおいて造粒した造粒物を運搬機械に落下させて当該運搬機械上に堆積しながら運搬する際に、前記運搬機械上における
造粒物の堆積形状に基づいて、前記造粒物の平均粒度及び/又は粒度分布を推定することを特徴とする。
なお、本発明にかかる造粒物の粒度推定方法の最も好ましい形態は、鉱石の造粒プロセスにおいて造粒した造粒物を運搬機械に落下させて当該運搬機械上に堆積しながら運搬する際に、前記造粒プロセスにて造粒した造粒物を運搬機械に落下させて検量線を作成し、作成した検量線を用いることで、前記運搬機械上における造粒物の堆積ピーク位置、堆積ピーク高さをそれぞれ平均粒度、標準偏差に換算し、換算した結果に基づいて、前記造粒物の平均粒度及び/又は粒度分布を推定することを特徴とする。
鉱石は、焼成、か焼、還元、化合などの利用目的によって、所定の大きさの塊にする必要がある。鉱石を所定の大きさの塊にする処理として、造粒プロセスというものがある。
造粒プロセスでは、例えば、小さな粒状の鉱石、水及びバインダーを、回転するディスクペレタイザに投入し、これら原料(鉱石、水、バインダー)をディスクペレタイザ上で転動させることにより、鉱石(原料)を所定の大きさの塊にする。以降、造粒物プロセスで所定の大きさにした鉱石(原料)のことを造粒物という。
さて、転動造粒プロセスなどの造粒プロセスにおいて、所定の大きさの塊に形成された造粒物は、ベルトコンベアやパレット台車などの運搬機械に載せられて造粒プロセスから下工程に送られる。
まず、造粒物を上側のベルトコンベアから下側のベルトコンベアに落下させた場合を例にとり、運搬機械上に堆積した造粒物の状態がどのようになるか説明する。
図1(a)(b)は、上段ベルトコンベアから下ベルトコンベアに造粒物を落下させている状況を例示したものである。
このような上段ベルトコンベア1及び下段ベルトコンベア2を備えた運搬機械3において、例えば、造粒物の大きさが「大」、「中」、「小」が混在する造粒物群を、上段ベルトコンベア1から下段ベルトコンベア2に落下させたとする。
また、図3に示すように、造粒物を運搬機械3で運搬するにあたって、上段ベルトコンベア1の代わりに篩い部材4を採用することがある。篩い目部材4を採用した場合、篩い目部材4は、例えば、板材で構成され、この板材に篩い目が形成されたものとなる。
さて、工業規模の造粒プロセスで製造される造粒物は、先述のとおり、造粒物の大きさと、その大きさの造粒物の重量比率が正規分布に従って整理できることがわかっている。即ち、母集団である造粒物群の平均粒度を示す造粒物に関してはその重量比率が最も高くなると共に、造粒物群における個々の造粒物の粒度のバラツキの大小は正規分布における標準偏差の大小と同じであると考えられる。換言すれば、造粒物群の粒度分布は、母集団の平均粒度と標準偏差が求まれば推定が可能である。
そこで、発明者らは様々な角度から検証を行い、造粒物がベルトコンベア等の運搬機械3上へ落下する際に分級して堆積するという特性と、造粒物群が正規分布に従う特徴的な粒度分布との両方に着目して運搬機械上に落下した造粒物群の堆積表面形状から推定することを見出した。
堆積形状とは、下段ベルトコンベア2に堆積した造粒物の輪郭を示したものである。詳しくは、堆積形状とは、下段ベルトコンベア2の正面(進行方向側の下流側)から当該下段ベルトコンベア2に堆積した造粒物群を見て、その堆積層の上部の稜線を示したものである。
に等しくなる。即ち、粒度分布において、堆積ピーク高さに対応する粒度が平均粒度となる。
なお、運搬機械上の造粒物の堆積形状の測定にあたっては、測定器を用いて運搬機械に対してレーザ光を照射し、照射したレーザ光を撮像手段で撮像した上で、三角測量法の原理により形状を求めてもよいし、造粒物から反射したレーザ光を受光することにより測定器から造粒物までの距離を求め(TOF法による距離計測法)、この距離に基づいて測定してもよい。このように、非接触型の測定器を用いることによって、堆積表面形状を崩さずに対象物までの距離を測定することができる。また、運搬機械の幅方向に落下又は堆積完了した瞬間にレーザ光を照射することにより、運搬機械上の造粒物群の運搬方向単位長さ当たり、あるいは単位経過時間当たりで平均化した堆積形状を得られるようにすることが望ましい。
また、堆積ピーク位置及び堆積ピーク高さを有する粒度分布は、予め造粒プロセスを行い、造粒プロセスにて造粒した造粒物を運搬機械に落下させて、検量線を作成し、この検量線を用いることで堆積ピーク位置、堆積ピーク高さを、それぞれ平均粒度、標準偏差に換算して求める。検量線の作成方法は、例えば、運転中の運搬機械にて堆積ピーク位置、堆積ピーク高さを実測し、次に運搬機械を停止させて、運搬機械上の造粒物群をサンプリングする。サンプリングした造粒物群は、篩いにかけて粒度分布を実測し、平均粒度と標準偏差を求めておく。このような操作を複数の造粒条件にて実施することで、堆積ピーク位置と平均粒度の関係、堆積ピーク高さと標準偏差の関係を求めて、粒度分布を作成する。
図5〜12は、運搬機械に造粒物を堆積しながら運搬しているときに、運搬機械上における造粒物の堆積形状から造粒物の平均粒径や粒度分布を推測する操業をまとめたものである。
図5に示すように、造粒設備10では、原料槽Aから1mm以下の鉱石や石灰石等を切り出し、これら鉱石及び石灰石に水、バインダーを混合して、混合物を直径6mのディスクペレタイザ11に供給し、当該ディスクペレタイザ11を回転することにより、造粒物を製造する。なお、以下の説明では、原料(鉱石、石灰石、バインダー、水)をディスクペレタイザ11にて造粒したものを生ボールという。
図6に示すように、運搬機械3は、上流側に設置されたディスクペレタイザ11に接続され且つ上下方向に傾斜するシードスクリーン(篩い部材)4と、このシードスクリーン4の下側で当該シードスクリーン4で篩いにかけられた生ボールを運搬するベルトコンベア12とから構成されたものである。
ものの、生ボールを分級する傾斜面(斜面領域)には連続して、篩い目が形成されており、生ボールの落下時には、慣性力と空気抵抗が働き、上述した図1や2等と同じように、生ボールは堆積する。
図7は、シードスクリーン4と、ベルトコンベア12とを上面から見たものである。
図7(a)は、シードスクリーン4とベルトコンベア12とのなす角が90度(シードスクリーン4とベルトコンベア12とが直交)である場合を示し、図7(b)及び(c)は、シードスクリーン4とベルトコンベア12とのなす角が135度である場合を示し、図7(d)は、シードスクリーン4とベルトコンベア12とのなす角が45度である場合を示している。なお、上述したように、シードスクリーン4とベルトコンベア12とのなす角は、両者を上面視(平面視)した状態において、シードスクリーン4の幅方向中心線とベルトコンベア12の幅方向中心線との角度のことである。
図8に示すように、ベルトコンベア12の上方に測定器13(レーザ距離計)を設置する。レーザ距離計のレーザ光の走査方向は、上述した図7に示した通りである。
まず、ベルトコンベア12の正面(進行方向側の下流側)から当該ベルトコンベア12を見た状態において、原点O(基準点)を定め、ベルトコンベア12の幅方向をX軸方向、ベルトコンベア12の上面(生ボールを載置する面)と直交する方向(X軸と直交する方向)をY軸方向とおく。なお、原点Oは、ベルトコンベア12の上面と同一平面上に設定することが望ましい。また、レーザ距離計の設置位置を座標系で表し、位置(Xf、Y
f)とする。なお、レーザ距離計は、センサ部が回転しながら走査・測距を繰返すもので、例えば、北陽電機社製LX−04等である。
Xm=Xf+D×cos(π×β/180)
Ym=Yf−D×sin(π×β/180)
このように、複数の測定座標(Xm、Ym)を計測することにより、堆積ピーク位置や堆積ピーク高さを求めることができる。
造粒設備10のディスクペレタイザ11を用いて、生産量80t/時で生ボールを製造し、製造した生ボールを連続的にシードスクリーン4に供給する。また、シードスクリーン4を介してベルトコンベア12で生ボールを運搬する。例えば、ベルトコンベア12の運搬速度を50m/分とする。ベルトコンベア12で生ボールを運搬中に、レーザ距離計を用いてベルトコンベア12上に堆積した生ボールの堆積形状(堆積ピーク位置、堆積ピーク高さ)を測定する。生ボールがベルトコンベア12上を安定して流れている状況を確認し、所定時間後、造粒工程(造粒装置)を停止する。
表1は、実験番号1〜9の平均粒度と、標準偏差を求めた結果である。図9は、実験番号1における全生ボール重量に対する当該サイズの分級重量の比率である。
具体的には、ベルトコンベア12の運搬速度は50m/分であるため、当該ベルトコンベア12によって生ボールが2m進む時間(採取開始点から採取終了点まで進む時間)は2.4秒である。この間に、例えば、レーザ距離計は28ミリ秒で1回の走査を行うため、生ボールが2m進む間に約85回走査をし、85回分の計測情報が得られる。この85回分の計測情報を平均して、堆積形状を求める。図10は、実験番号1における生ボールの堆積層の稜線(堆積形状)を描いたものである。表2は、実験番号1〜9における堆積ピーク位置と堆積ピーク高さとをまとめたものである。
以上、本発明によれば、運搬機械上における造粒物の堆積形状に基づいて、簡単に造粒物の平均粒度や粒度分布を推定することができる。即ち、本発明では、従来のようにバッチサンプリングによる平均粒度の推定や粒度分布の取得に比べて、平均粒度や粒度分布をリアルタイム(例えば、1分以内)に把握することができる。また、短時間で造粒物の平
均粒度等を把握することができるため、造粒プロセスで造粒物を製造したときの歩留を向上させることもできる。つまり、上述した造粒物の粒度推定方法を用いて、推定した造粒物の平均粒度、粒度分布等に基づいて、造粒プロセス、即ち、造粒装置を制御することができる。
造粒プロセス(造粒装置)で製造された生ボールは、例えば、製鉄用ペレットを製造するのに用いられる。製鉄用ペレットは、微粉の鉄鉱石又は粉砕粉をディスクペレタイザ11にて造粒した生ボールを、後工程の焼成プロセスにて焼成することにより製造されるものである。製鉄用ペレットは、例えば、高炉用装入原料として用いられ、この場合は、高炉炉頂までの運搬時に崩壊や粉化が発生せず、さらに、高炉炉内でも崩壊や粉化が進まず炉内の通気性を悪化させないようにすることが望まれている。また、製鉄用ペレットは、炉内において炉内の還元ガスによって、昇温と還元が速やかに進行することが望まれる。即ち、製鉄用ペレットは、高強度でかつ還元が進むものが望まれており、これらを達成するためには、製鉄用ペレットの元材料となる生ボールの平均粒度や粒度分布が影響する。例えば、生ボールの平均粒度が小さすぎると、高炉内の充填層の空隙率が低下し通気不良の一因となり得る。一方、生ボールの平均粒径が大きすぎると、焼成プロセスでの内部への伝熱が不足し、低強度の製鉄用ペレットとなる懸念がある。
このようなことから、生ボールを製造する造粒プロセスでは、平均粒度と標準偏差に管理値を設けている場合が多く、生ボールの製造段階で、平均粒度と標準偏差(粒度のバラツキ)をリアルタイムで監視し、造粒プロセスを制御することにより、上述したような問題を解消することができる。
図13〜15は、生ボールの平均粒度及び標準偏差の変化を示したものである。
なお、ディスクペレタイザ11の操業条件の変更が造粒物の性状に及ぼす影響については、例えば、特開2003−275570号公報、特開2011−026689号公報に示されている。
生ボールの造粒後であって、焼成炉の直前には、ローラスクリーンを用いて焼成する前の生ボールを分級除去する分級除去装置が設けられている。高炉において、通気性を悪化
させる生ボールの粒径は、例えば7mmと定められており、7mmを下回るものは、分級除去装置によって除去される。分級除去装置で除去された生ボール(不良品)は、フルイ下粉発生量と言われており、フルイ下粉発生量は少ないのが望ましい。本発明では、生ボールの平均粒度及び標準偏差をリアルタイムで推定して、これらに基づいて造粒プロセスを制御しているため、図16に示すように、本発明によって、フルイ下粉発生量を激減することができた。なお、図16に示した本発明において、フルイ下粉発生量が零にならなかった理由として、造粒工程(造粒プロセス)から焼成工程までの運搬中に生ボールが壊れて小さくなってしまったことが原因と考えられる。
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する領域を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
2 下段ベルトコンベア
3 運搬機械
4 篩い目部材
10 造粒設備
11 ディスクペレタイザ
12 ベルトコンベア
G 造粒物
G1 大造粒物
G2 小造粒物
G3 中造粒物
Claims (2)
- 鉱石の造粒プロセスにおいて造粒した造粒物を運搬機械に落下させて当該運搬機械上に堆積しながら運搬する際に、
前記造粒プロセスにて造粒した造粒物を運搬機械に落下させて検量線を作成し、作成した検量線を用いることで、前記運搬機械上における造粒物の堆積ピーク位置、堆積ピーク高さをそれぞれ平均粒度、標準偏差に換算し、換算した結果に基づいて、前記造粒物の平均粒度及び/又は粒度分布を推定することを特徴とする造粒物の粒度推定方法。 - 請求項1に記載の造粒物の粒度推定方法を用いて推定した造粒物の平均粒度及び/又は粒度分布に基づいて、鉱石の造粒プロセスを制御することを特徴とする造粒プロセスの制御方法。
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