JP6052592B2 - Hip用カプセルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、HIP(Hot Isostatic Pressing;熱間静水圧加圧)用カプセルの製造方法に関する。
密度の高い焼結体を得る方法の一つとして、HIP処理という高温高圧下にて処理を行う方法がある。典型的なHIP処理は、HIP用容器と蓋とを溶接により一体化して得られたHIP用カプセルに、通常蓋に設けられた脱気孔から真空引きする脱気を施した後に、前記脱気孔を閉じる封止を施し、その後高温高圧の雰囲気に晒すことで、密度の高い焼結体を得るものである。
特に、粉末からHIP処理を行うためには、原料となる粉末をHIP用容器に入れ、気密性を保つように蓋により密閉して、HIP用カプセルを得る必要がある。HIP用容器は、焼結に必要な温度における耐熱性、耐圧強度が必要であり、加えて内部の原料粉末へ圧力を伝導するために延性・展性が必要であるため、軟鉄、ステンレス等の金属が用いられる。前記HIP用容器に原料粉末を入れた後、前記HIP用容器に蓋をする場合、十分な気密性を確保するため溶接により蓋を接合する。この接合に際しては、接合強度や溶接範囲、不純物混入防止、作業性などの観点から、通常、非消耗電極式アーク溶接で、異種金属の溶接棒を使用しないTIG溶接(以下、TIG溶接又は溶接と表現する)が多用される。
具体的なHIP用カプセルを開示する特許文献1には、HIP缶外筒(上記HIP用容器に相当)と上蓋(上記蓋に相当)を突き合わせて溶接するHIP缶(上記HIP用カプセルに相当)用TIG溶接システムが開示されている。特許文献1では、溶接部位であるHIP缶外筒の内周上端部と上蓋の外周上端部とを突き合わせた部位のずれ量や向きに応じて、ロボット制御盤内でトーチの位置及び角度を選択し、溶接を行う方法が開示されている。例示されている上記突き合わせた部位のずれ量は、3mm程度である。
特開平8―174218号公報
特許文献1に開示される溶接ロボットを活用したHIP缶用TIG溶接システムによれば、従来よりも溶接の作業性・信頼性は向上する。しかし、HIP缶外筒の内周上端部と上蓋の外周上端部とを突き合わせた部位の位置関係に応じてトーチの位置及び角度を選択して溶接を行うが、その溶接部の断面形状を左右対称にすることが難しい。溶接部が左右対称でないと、HIP処理の際に、HIP用カプセルが破損し、脱気及び封止を施すことによる気密状態が失われる(以下、この現象を「HIP用カプセルのやぶれ」と表現する)ことがある。
また、本発明者の検討によれば、HIP用容器と蓋の溶接において、トーチの出力を高くしすぎると、突き合わせた部位同士が全体的に溶融してしまい、適切に溶接することが困難となる。一方、低出力のトーチを用いた場合、溶融が不十分であり、溶接部の断面の形状等も変わり、前記HIP用カプセルの溶接部の密着力に影響を及ぼす。特に、矩形筒状のHIP用容器は、円筒状HIP用容器に比べて、HIP処理で印加される加圧力の分布に偏りを生じ易い。前記加圧力の偏りは、溶接部に加わる応力を大きくするので、HIP処理の際にHIP用カプセルのやぶれを生じ易い。
本発明の目的は、上記問題点の解消にあり、HIP処理時にやぶれを生じにくい、HIP用カプセルの製造方法を提供することである。
本発明の第1のHIP用カプセルの製造方法は、
少なくとも一端側に開口部を有するHIP用容器の、前記開口部に蓋を溶接し、前記HIP用容器と蓋とを一体化するHIP用カプセルの製造方法において、
前記蓋は、板状の蓋板部とその周縁部に前記HIP用容器の開口部の内周面に沿うように立設する側壁部を有し、
前記HIP用容器の開口部の内周面と前記蓋の側壁部の外周面を突き合わせる工程と、
前記HIP用容器と蓋を溶接する工程を有し、
前記突き合わせる工程では、前記HIP用容器の開口部を上方にし、前記蓋の側壁部の上方端面と前記HIP用容器の開口部の上方端面とをずらして保持し、
前記溶接する工程では、前記HIP用容器の内周面と蓋の外周面を突き合わせた境界に沿って、且つ、前記境界に対して交差する方向に交互にトーチを移動させながら溶接する
ことを特徴とする。
本発明の第1の方法において、前記突き合わせる工程における、HIP用容器の開口部の上方端面と、蓋の側壁部の上方端面とをずらす量が、0.5mm〜2mmであることが好ましい。
本発明の第2のHIP用カプセルの製造方法としては、
少なくとも一端側に開口部を有するHIP用容器の、前記開口部に蓋をTIG溶接し、前記HIP用容器と蓋とを一体化するHIP用カプセルの製造方法において、
前記蓋は、板状の蓋板部と側壁部と折り曲げ部を有し、前記側壁部は蓋板部の周縁部に前記開口部の内周面に沿うように立設しており、前記折り曲げ部は側壁部の上方端部に前記開口部の上方端面に当接するように外周方向に突出しており、
前記HIP用容器の開口部の内周面と前記蓋の側壁部の外周面を突き合わせる工程と、
前記HIP用容器と蓋を溶接する工程を有し、
前記突き合わせる工程では、前記蓋の折り曲げ部を前記HIP用容器の開口部の上方端面に当接して保持し、
前記溶接する工程では、前記HIP用容器の内周面と蓋の外周面を突き合わせた境界に沿って、且つ、前記境界に対して交差する方向に交互にトーチを移動させながら溶接する
ことを特徴とする。
本発明の第2の方法において、前記蓋の折り曲げ部の厚さが、0.5mm〜1.5mmであること、又、前記蓋の折り曲げ部の外周面はHIP用容器の開口部の上方端面を越えて突出しないことが好ましい。
本発明の方法によれば、HIP用容器と蓋を強固に溶接し、この2部材にわたって、左右対称の溶接部を形成することができる。よって、このHIP用カプセルを使用することで、HIP処理の際にやぶれが生じにくくなる。
本発明の第1の実施形態の方法に係る、HIP用容器及び蓋を概略的に示す斜視図である。 図1に示すHIP用容器と蓋とを突き合わせる前の状態を拡大して示し、図1の一点鎖線A―Aを通るYZ面をX方向から見た断面図である。 図1に示すHIP用容器の内周面と蓋の外周面とを突き合わせた直後の状態を拡大して示した上面図である。 HIP用容器と蓋とを突き合わせたとき、蓋の端面4aが高い場合における、図3の一点鎖線A―Aを通るYZ面をX方向から見た断面図である。 HIP用容器と蓋とを突き合わせたとき、HIP用容器の端面3が高い場合における、図3の一点鎖線A―Aを通るYZ面をX方向から見た断面図である。 HIP用容器と蓋とを突き合わせた境界の溶接部を示し、溶接中のトーチの動かし方を概略的に示す上面図である。 図6をY方向から見た、溶接中のトーチの動かし方を概略的に示す側面図である。 図6及び図7に示す一点鎖線A―Aを通るYZ面をX方向から見た断面図である。 本発明の第2の実施形態の方法に係る、HIP用容器及び蓋を概略的に示す斜視図である。 図9に示すHIP用容器と蓋とを突き合わせる前の状態を拡大して示し、図1の一点鎖線A―Aを通るYZ面をX方向から見た断面図である。 図9に示すHIP用容器と蓋とを突き合わせた後の状態を拡大して示した上面図である。 図11の一点鎖線A―Aを通るYZ面をX方向から見た断面図である。 図11及び図12に示したHIP用容器及び蓋の端面を溶接中のトーチの動かし方を概略的に示す上面図である。 本発明の溶接方法において、HIP用容器と蓋を溶接した後の状態を概略的に示す溶接部の上面図である。 図14の一点鎖線A―Aを通るYZ面をX方向から見た断面図である。 比較例2で、HIP用容器と蓋とを溶接中のトーチの動かし方を概略的に示す上面図である。
本発明の実施形態を図面を参照して以下詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。各実施形態の説明は、特に断りがなければ他の実施形態にも適用される。
[1]
第1の実施形態
本発明の第1の実施形態に係るHIP用容器1と蓋2aを図1及び図2に示す。図においては、矩形筒状のHIP用容器及び矩形板状の蓋を用いた場合を示す。図1は一端側に開口部5を有するHIP用容器1と前記開口部に対応した形状を有する蓋2aを概略的に示した斜視図である。図2は、本発明の溶接方法の説明を行う箇所の代表例として、図1の一点鎖線A―Aを通るYZ面の断面図を一部拡大して示す。特にHIP用容器と蓋の溶接を行う容器の端面3及び蓋の端面4aの部位近傍を拡大して示し、波線で他の部分を省略して示している。以下の図面についても波線部は省略を示し、断面図は一点鎖線A―Aを通るYZ平面をX方向から見た一部断面を示している。
前記HIP用容器の蓋2aは板状の蓋板部6と、その周縁部に前記HIP用容器の開口部の内周面10に沿うように立設する側壁部7aを有している。前記側壁部7aと蓋板部6は直交しており、前記側壁部7aを上方にし、同様に前記HIP用容器の開口部5を上方にした状態で、前記側壁部7aの外周面9aと前記開口部5の内周面10は平行になる。なお、図中8は脱気管を示す。
HIP用容器1及び蓋2aの材質は、溶接が可能な、鉄、ステンレス等を使用できる。HIP用容器1の厚さt1及び蓋2aの厚さt2は材質の強度に応じて選択でき、鉄であれば1〜2mmが好ましい。また、側壁部7aの厚さt3aは、溶接時の熱分散をHIP用容器1と同じとするために、厚さt1と同じ寸法であることが好ましい。
HIP用容器1に隙間無く原料粉末を充填した後、開口部5を上方にしたHIP用容器に、側壁部7aを上方にした蓋を、突き合わせ、保持する。図3の上面図及び図4の断面図は突き合わせた箇所の一部を拡大して示している。このとき上方に向いているHIP用容器1の上方端面を単に端面3とし、蓋2aの上方端面を端面4aとする。図3及び図4に示すように、蓋2aの側壁部7aの外周面9aと、HIP用容器1の内周面10を突き合わせ、各々の上方に位置する端面3と端面4aをずらした状態で保持する。また、図4は、図3の一点鎖線部A―Aの断面を示している。ずらした端面同士の高さの差Haは0.5〜2mmが好ましい。前記高さの差Haの範囲であれば、溶接後にHIP用容器の厚さに近い溶接部の高さが得られ、溶融させるためにかかる時間も短い。高さの差Haが確保されていれば、端面3と端面4aのどちらが高くても良い。具体的には、図4の断面図に記載しているように端面3のほうが高い場合のほかに、図5の断面図のように端面4aのほうが高い場合も同様な効果が得られる。
図4のように外周面9aと内周面10を突き合わせた境界12に沿って溶接を進める。第1の実施形態における溶接中のトーチの動かし方を、図6に上面図、図7に側面図、図8に断面図で概略的に示す。図中に溶接するためのトーチ13とアーク14を模式的に示す。溶接途中であるため、図6では、溶接前の境界12を実線で示し、溶接後の境界12は溶接部18の下に隠れてしまうため、破線で示した。図8では、図6及び図7の一点鎖線A―Aを通るYZ平面をX方向から見た断面図を示した。図8の溶接中のトーチの真下の境界よりX方向に手前の溶接後の溶接部18を実線で示し、−X方向に奥の前記溶接前の端面3と端面4aは、前記溶接部18の下に隠れた部分を点線で示し、見える部分は実線で示す。
端面3及び端面4aに対して垂直にトーチ13を当てることが好ましいが、作業性を考慮して傾けても良い。トーチ13の出力は、端面3及び端面4aを溶融し、端面3の外周側の縁15と端面4aの内周側の縁16aとの間の範囲から流出せずに維持できるように設定する。端面3と端面4aをずらして保持しているため、トーチ13に近い端面4aが優先的に溶融され、端面3は、端面4aの溶融部と溶接するために必要な深さまで溶融され、互いに融合した後に、溶接部18を形成する。
トーチ13は、端面3の外周側の縁15と端面4aの内周側の縁16aの範囲で境界12に対して交差する方向に交互に移動させながら、HIP用容器1と蓋2aとの境界12に沿って一周し、溶接する。図6及び図8に、前記移動させながら溶接を行うトーチの軌跡17を矢印で示しており、境界12を中心に縁15から縁16aまでの範囲で、交互に移動させながら溶接する。
HIP用容器1を、蓋2aで密閉し、溶接し、HIP用カプセルを得る。前記HIP用カプセルの脱気管8から真空ポンプを用いて脱気を施し、脱気管8に封止を施すことで、前記HIP用カプセルは密閉される。前記HIP用カプセルを密閉した後に、HIP処理を行い、焼結体を得る。
以上では、矩形筒状のHIP用容器1及び矩形板状の蓋2aを用いた場合にて説明したが、円筒状のHIP用容器及び円板状の蓋を用いた場合でも同様な効果が得られる。また、HIP用容器の開口部5も一端側に設けられた場合にて説明したが、両端側に設けられた場合でも、各々の開口部5に上記と同様の方法にて蓋を溶接することができる。さらに脱気管8は蓋の上面中央部に1つ設けた場合を図示したが、その数及び配置箇所は原料粉末の充填量等に応じて、適宜選定することができる。
本発明の第1の実施形態の方法では、HIP用容器1と蓋2aを互いに突き合わせるときに、各々の上方端面をずらすことで、溶接する際に高くなっている端面にトーチの熱が集中し、温度が上がりやすくなる。そのため、前記HIP用容1の端面3と蓋2aの端面4aの高さを同じにした場合より、高くした端面からの溶融する深さをより深くすることができる。異種金属の溶接棒を使えば、溶接部を高くして溶接強度を得ることができるが、HIP用カプセル内部の原料に異種金属混入の可能性があるため、異種金属の溶接棒は一般的には使用されない。しかしながら、本発明の方法によれば高くした端部を溶接部として用いることができ、溶接棒を使わなくとも、あたかも同種金属の溶接棒を使うような効果が得られ、溶接強度が向上する。
境界12を中心に縁15から縁16aまでの範囲で、交互に移動させながら溶接することにより、溶接部18を左右対称することができる。前記溶接強度が向上する効果や溶接部を左右対称にする効果は、いずれも溶融部を前記範囲の外側へ流出させないことによってその効果を得ることができる。
[2]第2の実施形態
本発明の第2の実施形態では、図9及び図10のように、第1の実施形態で用いた蓋2aの代わりに、蓋2bを用いる。前記蓋2bは、板状の蓋板部6と側壁部7bと折り曲げ部19を有し、前記側壁部7bは蓋板部6の周縁部に前記開口部5の内周面10に沿うようにして立設しており、前記折り曲げ部19は側壁部7bのZ方向の上方端部に、前記開口部5のZ方向の上方端面に当接するように外周方向に突出している。第1の実施形態と同様に側壁部7bを上方にして用い、上方に向いた上方端面を端面4bとする。
図10に、図1のHIP用容器1と図9の蓋2bを使用した場合の、一点鎖線部A―Aを通るYZ平面をX方向から見た断面図を一部拡大して示す。前記折り曲げ部19を有する蓋2bを使用して、蓋2bの外周面9bとHIP用容器1の内周面10を突き合わせたとき、折り曲げ部19の下面23は端面3に当接する。折り曲げ部19の突出量Lは、HIP用容器1の厚さt1より小さく、HIP用容器1に蓋2bを突き合わせたときに折り曲げ部19の外周面22が端面3の外周側の縁15より内周側に位置している。前記外周面22が前記HIP用容器の端面3の外周側の縁15を越えると溶接時に溶融部がHIP用容器1の外周側に流出する原因となるため好ましくない。蓋2bは、折り曲げ部19以外の構成は、前記第1の実施形態で用いたHIP用容器の蓋2aと同じ構成であり、蓋板部6と側壁部7bを有する。蓋2bの厚さt2は第1の実施形態と同様に材質の強度に応じて選択でき、鉄であれば1〜2mmが好ましい。また、側壁部7bの厚さt3bについても第1の実施形態と同様に、厚さt1と同じ寸法であることが好ましい。
HIP用容器1に隙間無く原料粉末を充填した後、HIP用容器1の内周面10と側壁部7bの外周面9bを突き合わせる。このとき、折り曲げ部19の下面23は端面3当接し、図11及び図12で示す状態となる。図11は溶接前のHIP用容器1及び蓋2bの上面図を示し、一点鎖線A―Aを通るYZ平面をX方向から見た断面図を図12に示す。上面図で見ると、折り曲げ部19は側壁部7bから突出量Lだけ突出しており、境界12及び端面3の一部を覆っている。境界12は折り曲げ部19の下に位置するため、点線で図示している。
端面3と端面4bとの高さの差Hbは、折り曲げ部19の厚さによってられる。折り曲げ部19を設けた場合の高さの差Hbは0.5〜1.5mmが好ましい。第1の実施形態における端面3と端面4aの高さの差Haに比べて好ましい上限が小さいのは、第2の実施形態の蓋2bでは、折り曲げ部19も溶接のための溶融部として用いることができ、第1の実施形態より溶融部を多く得やすいためである。
前記HIP用容器1とHIP用容器の蓋2bを突き合わせた状態で、開口部5の内周面10と側壁部7bの外周面9bの境界12をZ方向に延長した線に沿って溶接を進める。図13に第2の実施形態で溶接中の上面図を示す。トーチ13の角度や出力の条件は第1の実施形態と同様に、端面3及び端面4bに対し、作業性を考慮した垂直に近い角度で設定する。蓋2bを使用した場合、折り曲げ部19が優先的に溶融し、その下の端面3と溶接される。HIP用容器1と蓋2bとの境界12を一周し、溶接するとき、前記第1の実施形態と同様に境界12に対して交差する方向に交互に、縁15から縁16bまで移動させながら行う。そのため、上から見たトーチの軌跡17は第1の実施形態と同様に蛇行した軌跡となる。前記移動により、第1の実施形態と同様に均一な溶接部18が得られ、HIP処理時にやぶれを発生しない十分な溶接強度を発揮する。
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様、HIP用容器及び蓋の形状、開口部の数及び配置、脱気管の数及び配置等は任意に選定できる。
本発明の第2の実施形態の方法においても、トーチ13を縁15から縁16bまで移動させるため、HIP用容器1の端面3と蓋2bの端面4bの両方に熱を与えつつ、端面4bに集中して熱が与えられる。それにより、第1の実施形態の方法と同様に高くした端面4bが優先して溶融され、折り曲げ部19を溶接のための溶融部として用いることができ、溶接強度向上と溶接部を左右対称にする効果を得られる。さらに、HIP用容器1と蓋2bを互いに突き合わせるときに、蓋2bの折り曲げ部19をHIP用容器1の端面3に当接させることで、折り曲げ部19がストッパーとして作用する。第1の実施形態の方法では各々の端面をずらして、クリップや脱気管をスタンドで固定するなどして保持していたのに対して、折り曲げ部がストッパーとして作用することで保持することが容易になる。
前記折り曲げ部19の突出量Lは、前記HIP用容器の外周面10を越えないようにすることで溶融部を前記範囲の外側へ流出させないように作用する。第1の実施形態と同様に、前記溶接強度が向上する効果や溶接部を左右対称にする効果は、いずれも溶融部を前記範囲の外側へ流出させないことによってその効果を得ることができる。
実施例1
第1の実施形態の方法を用いてHIP用カプセルを作製した。HIP用容器1は一端に開口部を有し、矩形断面を有する筒状のものを用い、前記HIP用容器1の開口部5の内周面に対応する外周形状を有する蓋2aを用いた。前記HIP用容器の厚さt1、蓋板部6の厚さt2及び側壁部7aの厚さt3aはそれぞれ1.8mmのものを使用した。原料粉末をHIP用容器に充填した後、HIP用容器1と蓋2aを突き合わせた。端面3と端面4aの高さの差Haは0.7mmに保持した。前記HIP用容器1と蓋2aの溶接にはTIG溶接を用い、トーチ13を境界12に交差する方向に交互に移動させながら溶接した。HIP用容器1及び蓋2aの材質は鉄を用い、溶接時に異種金属の溶接棒などは使用しなかった。
図14及び図15にHIP用容器と蓋を溶接した後の、溶接部18を概略的に示した上面図と断面図を示す。図15は、図14の一点鎖線A―Aを通るYZ平面をX方向から見た断面図を示している。実際は、前記溶接部を切断し、研磨して、境界12を見やすくした後に、測定顕微鏡を用いて観察し、溶接部頂点から溶接部と境界12との交点までの寸法hを測定した。その結果、溶接部18の断面の形状は境界12に対して左右対称形状をしており、寸法hは1.7mmであった。
前記実施例1で作製したHIP用カプセルを用いて、脱気管8から真空ポンプを用いて脱気を施し、前記脱気管8をバーナーで加熱し、プレス機でつぶして封止を施した。その後に前記HIP用カプセルをHIP処理した。HIP処理中にやぶれは発生せず、得られた焼結体は鉄以外の異種金属の不純物を含まない、高密度な焼結体となっていた。実施例1と同じHIP用カプセルの製造方法で、高さの差Haを0.5mmまたは2mmの条件で製造したHIP用カプセルでも、それぞれ同じ結果が得られた。
実施例2
第2の実施形態の方法を用いて、HIP用カプセルを作製した。HIP用容器1は実施例1と同じものを用い、蓋2bは前記HIP用容器の開口部5の内周面に対応する外周形状の蓋板部6で、側壁部7bに折り曲げ部19を有するものを用いた。前記折り曲げ部19の突出量Lは1.5mmのものを用いた。前記HIP用容器の厚さt1、前記蓋2bの蓋板部6の厚さt2及び側壁部7bの厚さt3bはそれぞれ1.8mmのものを使用した。端面3と折り曲げ部19の下面23を突き合わせ、前記端面3と端面4bの高さの差Hbを、折り曲げ部19の厚さ1.4mmに保持した。前記HIP用容器1と蓋2bの溶接には実施例1と同条件のTIG溶接を用い、トーチ13を境界12に交差する方向に交互に移動させながら溶接した。
実施例1に記載の方法と同じ方法で断面の観察及び寸法hを測定した。その結果、溶接部18の断面の形状は境界12に対して左右対称形状をしており、寸法hは1.7mmであった。
前記実施例2で作製したHIP用カプセルを用いて、実施例1と同じ条件で脱気及び封止を施した後に、HIP処理した。HIP処理中にやぶれは発生せず、得られた焼結体は鉄以外の異種金属の不純物を含まない、高密度な焼結体となっていた。実施例2と同じHIP用カプセルの製造方法で、高さの差Hbを0.5mmまたは1.5mmの条件で製造したHIP用カプセルでも、それぞれ同じ結果が得られた。
実施例3
第2の実施形態の方法を用いて、HIP用カプセルを作製した。HIP用容器1は両端に開口部を有し、矩形断面を有する、筒状のものを用い、HIP用容器の蓋2bは前記HIP用容器の開口部5と同じ形状で、側壁部7bに折り曲げ部19を有するものを用いた。前記HIP用容器の厚さt1や、前記蓋2bの蓋板部6の厚さt2及び側壁部7bの厚さt3b実施例2と同じものを使用した。前記折り曲げ部19の突出量Lは1.8mmのものを用いた。前記HIP用容器1の一方の開口部5を上方にし、前記開口部の内周面10と突き合わせる外周面9bを有する蓋2bも、側壁部7bを上方にして準備した。前記HIP用容器1と蓋2bを準備した向きのままで、前記HIP用容器1の端面3と前記蓋2bの折り曲げ部19の下面23を当接し、端面3と端面4bの高さの差Hbを1.2mmに保持した。折り曲げ部19の外周面22は前記HIP用容器の外周面と同じ位置にあり、はみ出しは無かった。前記HIP用容器1と蓋2bの溶接には実施例1と同条件のTIG溶接を用い、トーチ13を境界12に交差する方向に交互に移動させながら溶接した。
実施例1に記載の方法と同じ方法で断面の観察及び寸法hの測定した。その結果、溶接部18の断面の形状は境界12に対して左右対称形状をしており、寸法hは1.7mmであった。
前記実施例3で他方の開口部も同様に溶接し、作製したHIP用カプセルを用いて、実施例1と同じ条件で脱気及び封止を施した後に、HIP処理した。HIP処理中にやぶれは発生せず、得られた焼結体は鉄以外の異種金属の不純物を含まない、高密度な焼結体となっていた。同じHIP用カプセルの製造方法で、高さの差Hbを0.5mmまたは1.5mmの条件で製造したHIP用カプセルでも、それぞれ同じ結果が得られた。
比較例1
HIP用容器1及び蓋2aは実施例1と同じものを用いた。端面3と端面4aの高さの差Haは0mmに保持した。前記HIP用容器1と蓋2aの溶接には実施例1と同条件のTIG溶接を用い、トーチ13を境界12に交差する方向に交互に移動させながら溶接した。
実施例1に記載の方法と同じ方法で、溶接部の断面の観察及び寸法hの測定を行った。その結果、溶接部18の断面の形状は境界12に対して左右対称形状をしていたが、寸法hは1.1mmと、実施例1に比べて低くなっていた。
前記比較例1で作製したHIP用カプセルを用いて、実施例1と同じ条件で脱気及び封止を施した後に、HIP処理した。HIP処理後にやぶれが発生している場合があり、前記やぶれが発生したHIP用カプセルからは高密度な焼結体が得られなかった。
比較例2
HIP用容器1及び蓋2aは実施例1と同じものを用いた。端面3と端面4aの高さの差Haは0.6mmに保持した。前記HIP用容器1と蓋2aの溶接には実施例1と同条件のTIG溶接を用いたが、図16に示すようにトーチ13を境界12に交差する方向に交互に移動させなかった。トーチの軌跡17は境界12に沿って真っ直ぐな軌跡を描き、溶接部18は境界12付近のみに形成された。
前記比較例2で作製したHIP用カプセルを用いて、実施例1と同じ条件で脱気及び封止を施した後に、HIP処理した。HIP処理後にやぶれが発生している場合があり、前記やぶれが発生したHIP用カプセルからは高密度な焼結体が得られなかった。
上記特徴を有する本発明の方法は、原料粉末からのHIP処理による焼結体の製造に好適である。
1・・・HIP用容器
2a、2b・・・HIP用容器の蓋
3・・・HIP用容器の端面
4a・・・蓋2aの端面
4b・・・蓋2bの端面
5・・・HIP用容器の開口部
6・・・蓋板部
7a・・・蓋2aの側壁部
7b・・・蓋2bの側壁部
8・・・脱気管
9a・・・側壁部7aの外周面
9b・・・側壁部7bの外周面
10・・・開口部の内周面
12・・・開口部の内周面10と側壁部の外周面9aまたは9bを突き合わせた境界
13・・・トーチ
14・・・アーク
15・・・端面3の外周側の縁
16a・・・蓋の端面4aの内周側の縁
16b・・・蓋の端面4bの内周側の縁
17・・・トーチの軌跡
18・・・溶接部
19・・・蓋の折り曲げ部
22・・・折り曲げ部の外周面
23・・・折り曲げ部の下面

Claims (3)

  1. 少なくとも一端側に開口部を有するHIP用容器の、前記開口部に蓋をTIG溶接し、前記HIP用容器と蓋とを一体化するHIP用カプセルの製造方法において、
    前記蓋は、板状の蓋板部と側壁部と折り曲げ部を有し、前記側壁部は蓋板部の周縁部に前記開口部の内周面に沿うように立設しており、前記折り曲げ部は側壁部の上方端部に前記開口部の上方端面に当接するように外周方向に突出しており、
    前記HIP用容器の開口部の内周面と前記蓋の側壁部の外周面を突き合わせる工程と、
    前記HIP用容器と蓋を溶接する工程を有し、
    前記突き合わせる工程では、前記蓋の折り曲げ部を前記HIP用容器の開口部の上方端面に当接して保持し、
    前記溶接する工程では、前記HIP用容器の内周面と蓋の外周面を突き合わせた境界に沿って、且つ、前記境界に対して交差する方向に交互にトーチを移動させながら溶接することを特徴とするHIP用カプセルの製造方法。
  2. 前記蓋の折り曲げ部の外周面はHIP用容器の開口部の上方端面を越えて突出しないことを特徴とする請求項に記載のHIP用カプセルの製造方法。
  3. 前記蓋の折り曲げ部の厚さが、0.5mm〜1.5mmであることを特徴とする請求項又はに記載のHIP用カプセルの製造方法。
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