JP6052496B2 - 作業管理システム及び作業管理方法 - Google Patents

Description

本発明は、特に、複数のボルトやネジを設定トルク値に締め付けする作業を効率的に記録管理することができる作業管理システム及び作業管理方法に関する。

保守点検時における設備機器のボルト締めなどの現場作業は、作業員がボルトを締め付けた後、作業班長による確認作業を行って、ボルトの締め付け忘れや締め付け不具合などを防止している。
しかし、複数のボルト締め付け作業では、締め付け不良、締め付け忘れが発生し易く、このような人為的なミスを完全に防止することは難しい。現行の人に頼った作業管理、教育では限界があり、防ぐのが困難な状況となっていた。

従来、このような作業不具合を解消するため、特許文献１，２のシステムが開示されている。
特許文献１に開示の管理システムは、あらかじめ作業者にワークの作業工程を行わせ、そのワークの作業位置を撮像したマスター画像を記憶している。そして、作業者が作業対象物の作業位置で作業を行い、その作業が完了する毎に作業位置の画像が撮像される。作業位置の撮像画像とマスター画像を照合して撮像画像とほぼ一致するマスター画像が特定されると、全てのマスター画像について作業位置が特定できれば、作業対象物に対する作業が完了したと判定している。
しかし、あらかじめ撮像したマスター画像は、現場の環境、経年劣化、傷等により作業対象物が変化する場合がある。従って、その後の作業時の撮像画像とマスター画像を比較するときに差異が生じて特定が困難となるおそれがある。また作業対象物が円形のフランジ上に形成された複数のボルトなど他のボルトと判別が困難な場合には特定が極めて難しい。

特許文献２に開示の管理システムは、ネジ締めの設定トルク値に達すると解除機構が作動するトルクレンチを用いて、ネジに作用する締付トルクの変化の態様、例えば増加傾向から減少傾向に転じるピーク値をネジに実際に作用する締付トルクとしてネジの締め付け状態を管理するシステムである。
しかし、対象物に複数のネジがある場合には、既に締付作業を行ったネジと、これから締付作業を行うネジであるか否かの判別を行うことができず、このような判別について考慮されていない。また、構成部品に付された識別コードは対象物の設定トルクを呼び出すためのものである。

特開２０１０−２２４７４９号公報 特開２０１０−１９４７０２号公報

また、現状の作業工程では、作業に係る作業員が測定値などの作業状況を記入する点検記録シートを作成している。点検記録シートの記入作成には時間がかかり、誤記や記入漏れなどが生じるおそれがある。また、最終的にはデータ化して記憶するため、記録データを作成する作業員の負担を軽減することが望まれている。

そこで本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、ボルトやネジの締め忘れなどの作業不具合を削減し、作業記録を作成する作業者の負担を軽減し、作業記録の管理の効率化を図ることができる作業管理システム及び作業管理方法を提供することにある。

本発明は、上記の課題を解決するための第１の手段として、表示画面上に作業対象物を図示して詳細作業項目で選択された前記作業対象物上の作業を行う作業対象部品に選択マークを付けて、作業を行った前記作業対象部品の撮像画像を記録して、前記表示画面上の前記選択マークを完了マークに変更表示して記録する作業データを作成可能な作業用端末を備えたことを特徴とする作業管理システムを提供することにある。

本発明は、上記の課題を解決するための第２の手段として、少なくとも作業対象物の作業項目と前記作業項目の詳細作業項目を含む管理データを外部から読み込み可能な読取部と、前記読取部が読み込んだ前記作業項目と前記詳細作業項目に入力可能なデータ入力部と、前記作業対象物と前記詳細作業項目の作業対象部品の撮像画像を受信して加工処理可能な画像処理部と、前記詳細作業項目に用いる前記作業対象部品の作業データと前記画像処理部の加工画像を受信可能とし、表示画面上に前記作業対象物を図示して前記詳細作業項目で選択された前記作業対象物上の作業を行う作業対象部品に選択マークを付けて、作業を行った前記作業対象部品の撮像画像を記録して、前記表示画面上の前記選択マークを完了マークに変更表示して記録する作業データを作成可能な制御部と、を有する作業用端末を備えたことを特徴とする作業管理システムを提供することにある。

本発明は、上記の課題を解決するための第３の手段として、上記第２の解決手段において、前記画像処理部へ前記撮像画像を送信可能に接続して、前記作業対象物と、前記作業対象部品を撮像可能な撮像端末と、前記作業対象部品を計測した前記測定値を前記制御部へ送信可能な作業工具と、前記読取部に前記管理データを送信可能に接続して前記管理データを作成可能とし、前記制御部で作成した作業データを入力可能な管理用端末と、を備えたことを特徴とする作業管理システムを提供することにある。

本発明は、上記の課題を解決するための第４の手段として、上記第２または３の解決手段において、前記データ入力部は、作業者関連情報と、前記詳細作業項目の作業設定値を入力可能とすることを特徴とする作業管理システムを提供することにある。

本発明は、上記の課題を解決するための第５の手段として、上記第２ないし４の解決手段において、前記作業対象物には、前記撮像画像上で個々の前記作業対象部品の位置情報を識別可能な識別手段を取り付けたことを特徴とする作業管理システムを提供することにある。

本発明は、上記の課題を解決するための第６の手段として、上記第２ないし５の解決手段において、前記制御部は、前記詳細作業項目の作業開始時間と作業終了時間を記録することを特徴とする作業管理システムを提供することにある。

本発明は、上記の課題を解決するための第７の手段として、作業用端末の表示画面上に作業対象物を図示して詳細作業項目で選択された前記作業対象物上の作業対象部品に選択マークを付けて作業を行い、作業後に前記作業対象部品の撮像画像を記録して、前記表示画面上の前記選択マークを完了マークに変更表示して記録することを特徴とする作業管理方法を提供することにある。

本発明によれば、上記のように、表示画面上に図示された作業対象物から作業中の作業対象部品を認識することができる。また、作業用端末を用いて容易に作業時の測定値や作業後の画像を記録することができる。そして作業後、表示画面上に作業済みの作業対象部品をマーキングすることにより作業対象物の複数の作業対象部品を特定することができる。従って、ネジの締め忘れなどの作業不具合を防止して、作業記録を容易に作成することができる。

本発明によれば、上記のように、作業用端末に作業工具からの作業データ及び撮像端末からの撮像画像が送信されて記録された作業データを作成することができる。また作成された作業データは外部の管理用端末に送信することによりデータを一元管理することができる。

本発明によれば、上記のように、作業従事者が作業前に作業者情報と作業設定値などを入力する構成により、作業内容を確実に把握することができ、作業内容の誤解や思い込みを防止することができる。
本発明によれば、上記のように、撮像画像中の複数の作業対象部品から特定の作業対象部品を容易に判別することができる。
本発明によれば、上記のように、制御部により、詳細作業項目の作業開始時間と作業終了時間を記録しているので、各詳細作業の作業時間を容易に記録管理することができる。

本発明の作業管理システムの構成概略図である 本発明の作業管理システムのブロック図である。 管理用端末の管理メニュー及び作業登録の説明図である。 本発明の作業用端末の作業工程のフロー図である。 作業用端末のログイン画面の説明図である。 作業用端末のチェックイン・チェックアウト画面の説明図である。 作業用端末のログイン画面及び作業選択画面の説明図である。 作業用端末の作業前登録画面の説明図である。 作業用端末のトルクレンチ設定画面及び作業中画面の説明図である。 作業用端末の作業中画面における締付完了及び撮影画面の説明図である。 作業用端末の作業中画面における画像確定及び締付作業の実施の説明図である。 作業用端末の作業中画面における作業終了の説明図である。 作業データの管理リストの説明図である。 識別手段の説明図である。 変形例の識別手段の説明図である。

本発明の作業管理システム及び作業管理方法の実施形態を添付の図面を参照しながら、以下詳細に説明する。本実施形態では、作業対象となる弁などを作業対象物とし、締付作業を行う弁を構成するボルトなどの付属品を作業対象部品として以下説明する。

図１は本発明の作業管理システムの構成概略図である。図２は本発明の作業管理システムのブロック図である。図示のように本発明の作業管理システム１０は、作業員が現場で操作可能な作業用端末２０と、作業の様子を撮影し、撮像画像を作業用端末に送信可能な撮像端末３０と、作業に用いる工具であって測定値を作業用端末に送信可能な作業工具４０と、現場から離れた事務所などの管理場所に設置され、作業用端末との間でデータ送信及びデータ受信可能な管理用端末５０を主な基本構成としている。

作業用端末２０は、少なくとも作業対象物の作業項目と作業項目の詳細作業項目を含む管理データを外部から読み込み可能な読取部２２と、読取部２２が読み込んだ作業項目と詳細作業項目に入力可能なデータ入力部２４と、作業対象物と詳細作業項目の作業対象部品の撮像画像を受信して加工処理可能な画像処理部２６と、詳細作業項目に用いる作業対象部品の測定値と画像処理部２６の加工画像を受信可能とし、表示画面上に作業対象物を図示して詳細作業項目で選択された作業対象物上の作業を行う作業対象部品に選択マークを付けて、作業を行った作業対象部品の撮像画像を記録して、表示画面上の前記選択マークを完了マークに変更表示して記録する作業データを作成可能な制御部２８と、作業データや管理データを一時保管するデータ保存管理部２９と、を備えている。

読取部２２は、管理用端末５０のデータ保存管理部５４から送信された管理データを読み取りするものである。管理データは、管理者があらかじめ登録した作業の管理ＮＯ、作業内容、関連機器、作業対象、詳細作業などのデータである。
データ入力部２４は、現場作業に係る作業者、作業班長、現場監督の氏名、暗証番号などの作業者情報と、作業項目、詳細作業項目、作業工具の設定値などを入力又は選択するものである。

画像処理部２６は、撮像端末３０で撮像された撮像画像を受信して、作業用端末２０の表示画面上の表示箇所に表示可能な画像に加工処理するものである。
制御部２８は、作業用端末２０の動作を制御するものである。制御部２８には、作業工具４０から送信された測定値と、画像処理部２６からの画像データが入力される。制御部２８は、管理用端末５０から読み取った管理データに基づいて、作業データに現場作業の測定値と、撮像画像を記録している。そして制御部２８は、データ入力部２４の入力データを作業データ上に記録して、作業記録を作成している。制御部２８は、入力データに基づいて作業開始時間と作業終了時間を記録している。制御部２８は、あらかじめ登録されている作業対象の作業対象部品数と実際に行った作業回数の差分をとって残りの作業回数を判定することができる。

データ保存管理部２９は、制御部２８で作成された作業データや、管理用端末５０から読み取られた管理データが入力されて一時保管するものである。
撮像端末３０は、作業者が作業対象物及び作業対象部品の現場での作業を実際に行っている様子を撮影可能なカメラである。撮像端末３０は、作業用端末２０の画像処理部２６と有線又は無線により電気的に接続し、撮像画像を画像処理部２６へ送信可能な構成としている。本実施形態の撮像端末３０は、作業者が実際に作業対象物を作業する前の状態と、作業者が作業工具を用いて作業対象部品を作業した様子を撮像することができるような位置に取外し可能に取り付けている。このような撮像端末３０は、作業対象物上に複数の作業対象部品がある場合に、作業が完了した作業対象部品を個別に撮像するように構成している。撮像端末３０は、一例として自動露出と自動焦点の調整が行え、光学情報を電気信号に変換するＣＣＤカメラを用いることができる。

作業工具４０は、ボルト、ネジなどの締付作業を行うための工具である。本実施形態では、一例としてトルクレンチを用いて説明する。トルクレンチは、無線により作業用端末２０の制御部２８と電気的に接続している。トルクレンチには、トルク設定に達して、トルク設定以上の負荷がかかると締付が解除されるリミットスイッチ（トルク解除機構）が取り付けられている。またトルクレンチには、締め付けたトルク値を測定して測定値を制御部２８へ送信可能な送信手段が取り付けられている。

管理用端末５０は、管理者があらかじめ作業内容を登録することができる管理コンピュータである。管理用端末５０は、作業用端末２０との間で作業データ及び管理データを送信又は受信可能に構成されている。管理用端末５０は、読取部５２と、データ保存管理部５４と、データ入力部５６と、書類作成部５８を主な基本構成としている。

読取部５２は、作業用端末２０のデータ保存管理部２９から送信された作業データを読み取りするものである。作業データは、作業者が現場作業を行い記録された作業工具の測定値、作業対象物又は作業対象部品の撮像画像など作業用端末２０で作成されたデータである。
データ保存管理部５４は、作業用端末２０で作成された作業データと、あらかじめ設定された現場作業の管理データを保存管理するものである。
書類作成部５８は、作業用端末から読み取った作業データに基づいて作業日報などの書類を作成するものである。

データ入力部５６は、作業の管理ＮＯ、作業内容、関連機器、作業対象、詳細作業などの管理データをあらかじめ入力するものである。
次に、上記構成による本発明の作業管理システム１０を用いた作業管理方法について、以下説明する。

図３は管理用端末の管理メニュー及び作業登録の説明図である。まず、管理用端末５０で管理者が管理システムにログインして作業登録を行う。ログインすると図３（Ａ）に示すように、管理メニュー画面２００が表示される。画面上の作業登録ボタン２０１を押下すると、図３（Ｂ）に示すように、作業登録画面２０２に切り替わり、管理ＮＯ２０３、作業内容２０４、関連機器２０５、作業対象２０６、詳細作業２０７の項目が表示される。一例として、作業内容２０４がスクラム弁作業の場合、関連機器２０５及び作業対象２０６の項目が選択可能となっている。そして、作業対象２０６の項目において作業対象物となるスクラム弁を選択すると、詳細作業２０７に作業対象部品となるボディ締付ボルトやアクチュエータ蓋締付ボルトが表示される。なお、詳細作業２０７は、変更ボタン２０８を押下して他の詳細作業を複数選択することもできる。登録が完了した後、ＯＫボタン２０９を押下して作業内容を保存する。保存完了後は、図３（Ａ）に示す管理メニュー画面２００へ戻る。

図４は本発明の作業用端末の作業工程のフロー図である。
作業用端末２０では、まず、作業関連者の登録を行う（ステップ１）。図５は作業用端末のログイン画面の説明図である。本実施形態では、監督２１０、作業班長２１１、作業者２１２の登録を行っている。図５（Ａ）に示すようにそれぞれ氏名２１３、暗証番号２１４を入力して登録ボタン２１５を押下する。作業者２１２については、複数登録することができる。登録が完了すると、監督２１０、作業班長２１１、作業員２１２の表示欄が変色する。そして図５（Ｂ）に示すように作業開始ボタン２１６が有効化して、作業を進行することができる。

図６は作業用端末のチェックイン・チェックアウト画面の説明図である。図５に示すチェックイン・チェックアウトボタン２１７を押下すると、図６（Ａ）に示すようにチェックイン・チェックアウト画面２１８に切り替わる。管理用端末５０となる画面上の事務所ＰＣ欄２１９に作業項目が表示されている。そして、チェックアウトする作業項目を選択すると表示が変色し、最後にチェックアウトボタン２２０を押下すると、図６（Ｂ）に示すように画面上の端末欄２２１にチェクアウトした作業項目が表示される。この作業により、管理用端末５０の作業項目データが作業用端末２０側に送信される。最後に戻るボタン２２２を押下し、チェックイン・チェックアウト画面２１８を閉じる。

図７は作業用端末のログイン画面及び作業選択画面の説明図である。図７（Ａ）に示すように有効となった作業開始ボタン２１６を押下すると、作業者による作業が開始されて（ステップ２）、作業開始時間を記録し、作業時間計測が開始される（ステップ３）。
図７（Ｂ）に示すように画面上には作業選択画面２２３が表示される。作業選択項目には、先ほどの管理用端末５０から読み込んだ作業項目の一覧が表示されている。作業を行う作業項目（本実施形態ではスクラム弁作業）を選択して表示欄を変色させた後、ＯＫボタン（次にボタン２２４）を押下する（ステップ４）。

図８は作業用端末の作業前登録画面の説明図である。図８（Ａ）に示すように作業前登録画面２２５では、作業内容２２６の欄にスクラム弁作業、関連機器２２７の欄に機器番号が表示されて選択した作業内容と関連機器を常時確認できるようにしている。そして、作業対象物の確認を行う（ステップ５）。作業対象登録を行うため、作業用端末２０に接続する撮像端末３０で関連機器（作業対象物）を撮影する。プレビュー画面２２８上に関連機器が表示されていることを確認した後、撮影ボタン２２９を押下して撮影する。

撮影した関連機器の画像が画面２３０上に反映される。次に図８（Ｂ）に示すように詳細作業選択欄の詳細作業（本実施形態ではボンネット−ボディ締付ボルト２３１）を選択し（ステップ６）、ＯＫボタン（次へボタン２３２）を押下し、作業項目設定画面へ切替える。

本実施形態では、作業工具にトルクレンチを用いて説明する。図９は作業用端末のトルクレンチ設定画面及び作業中画面の説明図である。トルクレンチ設定画面２３３では、まず作業者情報を入力して作業者登録を行う（ステップ７）。図９（Ａ）に示すように表示画面上の作業者２３４、作業班長２３５、監督２３６項目の作業担当を選択する。本実施形態では作業者による締付作業を行い、ついで作業班長による締付作業について説明する。次に、作業工具の設定登録を行う。表示画面上のトルクレンチ設定登録の管理番号２３７を登録する。管理番号は、あらかじめ設定されたトルクレンチの管理番号であり、登録リストから選択することができる。そしてトルクレンチの管理番号を設定すると、選択したトルクレンチのトルク値の目標値２３８と範囲２３９が画面上に表示される。表示画面上の設定値２４０の欄には作業者が表示画面上のトルクレンチのトルク値の目標値２３８と範囲２３９を参照して、トルクレンチに設定したトルク値を入力して登録する（ステップ８）。設定値が入力されるとＯＫボタン（次へボタン２４１）が有効化する。なお、入力値が目標値と範囲に合わない場合ＯＫボタンは有効化しない。ＯＫボタンを押下すると、作業中画面へ切り替わる。

図９（Ｂ）に示すように作業中画面２４２では、作業内容２４３、関連機器２４４、作業者２４６の項目が表示されるほか、あらかじめ登録されている作業の要領書を参照可能な要領書参照ボタン２４７と、作業対象部品の部品数に相当する番号欄２４８と、作業対象物と作業対象部品の図２４９（本実施形態では一例としてバルブに取り付けた１２本の締付ボルトの概略平面図）と、締付箇所２５０、作業工具の管理番号２５１及びトルク値２５２が表示されている。これにより作業者は、作業中に詳細作業の締付箇所、トルクレンチの管理番号、設定したトルク値を常時確認することができる。

ボルト締付作業を始める際（ステップ９）、締付ボルト数の判定が行われる（ステップ１００）。具体的な締付ボルト数の判定は、あらかじめ登録されている作業対象の作業対象部品数と実際に行った作業回数の差分をとって残りの作業回数を判定することができる（ステップ１０９）。

まず作業対象部品のボルト番号を選択する。図１０は作業用端末の作業中画面における締付完了及び撮影画面の説明図である。作業開始は、例えばボルト番号１を選択すると、図１０（Ａ）に示すように表示下面上の作業対象部品の図中のボルト番号１（２４８）に相当する箇所に選択マーク（丸印）２４９が付されて作業中の締付ボルトを認識することができる（ステップ１０１）。また、ポップアップ画面２５０が表示されてボルトの締付作業開始時間が記録される（ステップ１０２）。そして、作業者がトルクレンチを用いてボルト番号１を締め付ける締付作業を実施する（ステップ１０３）。なお、現場の作業対象部品のボルトには番号がついておらず、作業者は、複数のボルトの中から任意のボルトを選択することができる。ボルトの締付が設定値に達するとリミットスイッチが動作して（ステップ１０４）、締付解除となり、トルク値の測定値が作業用端末へ送信される。画面上の締付完了ボタン２５１を押下すると、図１０（Ｂ）に示すように撮像画像用のポップアップ画面２５２が表示される。ポップアップ画面２５２上には、撮像端末によるボルト番号１をトルクレンチで締付作業を行っている画像がプレビュー表示２５３されている。撮影ボタン２５４を押下すると撮像端末により撮影されて（ステップ１０５）、撮像画像が作業用端末へ送信される。

図１１は作業用端末の作業中画面における画像確定及び締付作業の実施の説明図である。図１１（Ａ）に示すように撮像画像２５５がポップアップ画面２５２上に反映されて、撮像画像を確認した後、確定ボタン２５６を押下すると、撮像画像用のポップアップ画面２５２が閉じられる。図１１（Ｂ）に示すように先ほどの締付、撮影したボルト番号１の表示欄には作業が完了したことを表す完マーク２５７と、作業対象物の図中の作業対象部品上に画面の丸が塗りつぶされた完了マーク２５８が付され、ボルトの締付作業終了時間を記録する（ステップ１０６）。そして作業用端末２０のデータ保存管理部２９では、写真付きの作業データを作成して記録される（ステップ１０７）。その後、作業回数カウンターにより締付ボルトの締付作業数がカウントされる（ステップ１０８）。

次に、作業対象部品が複数ある場合には、前述のステップ１０９により判定が行われる。図１１（Ｂ）に示すように作業用端末２０にはボルトの締付作業を続行するか否かのポップアップ画面２５９が表示される。判定の結果、ボルトの締付作業を行う場合には、ＹＥＳボタン２６０を押下して、ボルト番号２からボルト番号１２について、ステップ１０１からステップ１０８までの作業を繰り返して行う。

図１２は作業用端末の作業中画面における作業終了の説明図である。図示のように複数のボルトの締付作業が全て完了した場合、作業中画面上には全てのボルト番号の表示欄に完マーク２５７と、作業対象物の図中の全ての作業対象部品に完了マーク２５８が付される。そして作業完了のポップアップ画面２６０が表示される。そしてＯＫボタン２６１を押下するとポップアップ画面が閉じられる。表示画面上の作業終了ボタン２６２を押下すると、図９（Ａ）に示すトルクレンチ設定画面２３３へ切り替わる。作業者による締付作業の終了後、作業班長による締付作業を行う場合には、図９（Ａ）に示す作業者登録の作業班長２３５の作業担当を選択する。作業班長についても作業者同様の締付作業を行う。

作業班長による締付作業が完了し、図１２に示す表示画面上の作業終了ボタン２６２を押下すると、図７（Ｂ）に示す作業選択画面２２３へ切り替わる。作業選択画面上の作業完了ボタン２６３を押下すると作業時間計測が終了して（ステップ１１０）、作業者の作業終了時間が記録され、選択した作業項目の作業が終了する（ステップ１１１）。

図１３は作業データの管理リストの説明図である。本実施形態では、詳細作業の作業開始時刻２６４及び作業終了時刻２６５と、作業対象部品の締付作業の開始時刻２６６及び締付作業の終了時刻２６７を記憶している。これらの記録データを用いて、図示のように作業担当者別の詳細作業の経過時間２６８、作業対象部品毎の経過時間２６９のリスト２７０を作成することができる。

このような本発明の作業管理システムによれば、表示画面上に図示された作業対象物から作業中の作業対象部品を容易に認識することができる。また、作業用端末を用いて容易に作業時の測定値や作業後の画像を記録することができる。そして作業後、表示画面上に作業済みの作業対象部品をマーキングすることにより作業対象物の複数の作業対象部品を特定することができる。従って、ネジの締め忘れなどの作業不具合を防止して、作業記録を容易に作成することができる。

図１４は識別手段の説明図である。識別手段６０は、作業対象物に取り付けるアダプター６２に形成されている。本実施形態のアダプター６２は、図示のように作業対象物７０のバルブに嵌め合わせることができるリング状に形成され、作業対象物と内周面で接触して支持するものである。アダプター６２の内周面には、突起６４が形成されて、作業対象部品７２の締付ボルトの側面と接触して固定できるように構成されている。そしてアダプター６２の上面には、締付ボルトの取り付け箇所に対応して識別手段６０を付している。本実施形態の識別手段６０は、複数の色を組み合わせた識別マークであり、このマークをアダプター６２上の複数の部品毎に対応する箇所に貼り付けている。そしてアダプターを撮像すると撮像画面上で識別マークを付された各部品の数、位置情報を自動認識できる手段を用いている。

上記構成による識別手段６０を用いた締付作業は次のように行っている。識別手段６０が付されたアダプター６２を作業対象物７０に取り付ける。識別手段６０は作業対象物７０の複数の作業対象部品７２毎に付されている。作業対象物７０の確認を行う際に、作業用端末２０に接続する撮像端末３０で関連機器（作業対象物）を撮影する。プレビュー画面上に作業対象物７０と識別手段６０が表示されていることを確認した後、撮影ボタンを押下して静画像又は動画像の形で撮影する。識別手段６０により撮像画像上の作業対象部品７２の位置情報を識別することができる。次に作業対象部品７２の締付作業を行う。作業を行っている作業対象部品７２に付された識別手段６０は、作業工具４０のトルクレンチで隠れるため、締付作業終了後に作業対象部品７２を撮影する際に画面上には写っていない。作業前の作業対象物７０の撮像画像と作業後の作業対象物７０の撮像画像を比較して、画面上に映らない識別手段６０を認識して、作業を行った作業対象部品７２を特定することができる。または、システムから識別手段６０の特定番号を読み取れないことで、作業対象部品７２を特定することができる。このような識別手段を用いることにより、撮像画像上で作業対象部品を自動認識して、作業データに記録することができる。

図１５は変形例の識別手段の説明図である。変形例の識別手段は、作業対象物７０と作業工具４０に付されている。作業対象物７２には、複数の作業対象部品７２と同数の識別手段６０ａを作業対象物７０上に取り付けられた作業対象部品７２付近に付している。作業工具４０の識別手段６０ｂは作業時に作業対象物７０に付された識別手段６０ａに最も近い位置（本実施形態ではトルクレンチのヘッド先端部分）に取り付けて、撮像画像上に写るようにしている。

上記構成による変形例の識別手段を用いた締付作業は次のように行っている。作業対象物７０の確認を行う際に、作業用端末２０に接続する撮像端末３０で関連機器（作業対象物）を撮影する。プレビュー画面上に作業対象物７０と識別手段６０ａが表示されていることを確認した後、撮影ボタンを押下して撮影する。識別手段６０ａにより撮像画像上の作業対象部品７２の位置情報を識別することができる。次に作業対象部品７２の締付作業を行う。作業を行っている作業対象部品に付された識別手段６０ａは作業工具４０に付されている識別手段６０ｂと最も近い位置にある。作業後に撮影された作業対象部品７２の撮像画像により作業工具の識別手段６０ｂに近い作業対象部品７２の識別手段６０ａを認識して、作業を行った作業対象部品７２を特定することができる。このような識別手段を用いることにより、撮像画像上で作業対象部品を自動認識して、作業データに記録することができる。

なお図１４，１５に示す識別手段は、複数の作業対象部品の中から作業を行う作業対象部品を識別できれば良く、この他一次元コード、二次元コード等を適用することもできる。

本発明は、特に、例えば、複数のボルトが取り付けられた設備機器を点検作業して記録する際に、広く適用することができる。

１０………作業管理システム、２０………作業用端末、２２………読取部、２４………データ入力部、２６………画像処理部、２８………制御部、２９………データ保存管理部、３０………撮像端末、４０………作業工具、５０………管理用端末、５２………読取部、５４………データ保存管理部、５６………データ入力部、５８………書類作成部、６０………識別手段、６２………アダプター、６４………突起、７０………バルブ。

Claims (7)

1. 表示画面上に作業対象物を図示して詳細作業項目で選択された前記作業対象物上の作業を行う作業対象部品に選択マークを付けて、作業を行った前記作業対象部品の撮像画像を記録して、前記表示画面上の前記選択マークを完了マークに変更表示して記録する作業データを作成可能な作業用端末を備えたことを特徴とする作業管理システム。
2. 少なくとも作業対象物の作業項目と前記作業項目の詳細作業項目を含む管理データを外部から読み込み可能な読取部と、
   前記読取部が読み込んだ前記作業項目と前記詳細作業項目に入力可能なデータ入力部と、
   前記作業対象物と前記詳細作業項目の作業対象部品の撮像画像を受信して加工処理可能な画像処理部と、
   前記詳細作業項目に用いる前記作業対象部品の測定値と前記画像処理部の加工画像を受信可能とし、表示画面上に前記作業対象物を図示して前記詳細作業項目で選択された前記作業対象物上の作業を行う作業対象部品に選択マークを付けて、作業を行った前記作業対象部品の撮像画像を記録して、前記表示画面上の前記選択マークを完了マークに変更表示して記録する作業データを作成可能な制御部と、
   を有する作業用端末を備えたことを特徴とする作業管理システム。
3. 前記画像処理部へ前記撮像画像を送信可能に接続して、前記作業対象物と、前記作業対象部品を撮像可能な撮像端末と、
   前記作業対象部品を計測した前記測定値を前記制御部へ送信可能な作業工具と、
   前記読取部に前記管理データを送信可能に接続して前記管理データを作成可能とし、前記制御部で作成した作業データを入力可能な管理用端末と、
   を備えたことを特徴とする請求項２に記載の作業管理システム。
4. 前記データ入力部は、作業者関連情報と、前記詳細作業項目の作業設定値を入力可能とすることを特徴とする請求項２又は３に記載の作業管理システム。
5. 前記作業対象物には、前記撮像画像上で個々の前記作業対象部品の位置情報を識別可能な識別手段を取り付けたことを特徴とする請求項２ないし４のいずれか一項に記載の作業管理システム。
6. 前記制御部は、前記詳細作業項目の作業開始時間と作業終了時間を記録することを特徴とする請求項２ないし５のいずれか一項に記載の作業管理システム。
7. 作業用端末の表示画面上に作業対象物を図示して詳細作業項目で選択された前記作業対象物上の作業対象部品に選択マークを付けて作業を行い、作業後に前記作業対象部品の撮像画像を記録して、前記表示画面上の前記選択マークを完了マークに変更表示して記録することを特徴とする作業管理方法。