JP6051878B2 - ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂の製造方法に関する。具体的には、エステル交換法によるポリカーボネート樹脂の製造方法における、エステル交換反応後のポリマー融液をポリマーフィルターで濾過する方法に関するものである。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性などの機械的特性に優れ、しかも耐熱性、透明性などにも優れており、各種機械部品、光学用ディスク、自動車部品などの用途に広く用いられている。特にメモリー用光ディスク、光ファイバー、レンズなどの光学用途への期待は大きく、種々の研究が盛んになされている。このような光学用途においては、不純物や異物含量の少ないポリカーボネート樹脂が特に望まれている。
ポリカーボネート樹脂の製造方法のうち、炭酸ジエステル化合物とジヒドロキシ化合物を重縮合させてポリカーボネートを製造する、いわゆるエステル交換法は、ホスゲン法(界面重合法)に比べて、工程が比較的単純であり、操作、コスト面で優位性が発揮できるだけでなく、毒性の強いホスゲンや、塩化メチレン等のハロゲン系溶剤を使用しないという点において、環境保全の面からも優れている。しかし、エステル交換法による製造では、エステル交換反応工程(重合工程)で高温、長時間で反応させるため、樹脂の焼けの混入やゲル化等の問題が生じる。このような異物が混入すれば、透明性や成型時の外観が悪化することが知られている。
これらの問題を解決するために、種々の提案がなされている。例えば特許文献1には、添加剤を添加した後、ポリマーフィルターで濾過して異物を除去する方法が開示されている。しかしながら、上記方法は、外部ダストや焼けを取る方法を示したのみで、ポリマーフィルター内で生成する透明異物等の劣化異物については触れていない。
かかる劣化異物の除去を目的とした方法として、特許文献2では、リーフディスク型ポリマーフィルターを不活性ガスにより置換しておくことで、劣化異物の混入が少なく、透明性、色相に優れた芳香族ポリカーボネートの製造方法が提案されている。
特開平5−239334号公報 特開2001−240667号公報
ポリカーボネート樹脂の製造においては、濾過装置にかかる濾圧を管理指標の一つとして品質管理が行われている。濾圧が高くなった濾過装置を用いて連続して運転し続けると、ペレットに含まれる異物が増えたり、十分な押出し速度を維持できなくなったり、ギヤポンプにかかる負荷が大きくなりすぎたり、フィルターが破損する恐れがある。そのため、連続的に後段のペレット化工程にポリマー融液を供することができるように、複数の濾過装置を並列に設置することが行われており、特に大型の製造ライン内には濾過装置を複数つなげておき、適宜、切り替えながら運転することが多い。
ところで、濾過装置の運転開始時や切り替え直後には、ポリマー融液にガスが同伴されやすく、特に、後段のペレット化工程にガスが持ち込まれた場合、ダイスから排出されるポリマー融液のストランド流速が不均一となる。その結果、ペレット形状が不均一となったり、ポリマー融液が途切れるいわゆるガス切れが起こったり、あるいはダイス孔部の閉塞などによりペレット化ができない状態となる場合があり、ペレット化が安定するまでの時間が長くなるといった問題があった。また、ポリマー融液を通液したときに、ポリマーフィルター内にガスが滞留していると、ポリマーの偏流が生じ、濾圧の上昇や製品ペレットの形状分布が広がるという問題があった。さらに、濾過装置においては、高い濾圧や複雑な濾過装置内の構造等の影響から、ポリマー融液の流路が偏り、濾過装置内のガスが抜けにくく、かかるポリマー融液へのガス混入を解消するために、配管途中やポリマーフィルターのケーシングにベントを設ける等の対策もあるが十分ではなかった。
このように、エステル交換法によるポリカーボネート樹脂の製造方法では、エステル交換反応後のポリマー融液の濾過工程において更なる改善が求められていた。そこで、本発明者等は、濾過工程におけるガスの混入を可能な限り抑制することで、これらのガス混入による問題を解決できる可能性があることに着目した。かかる状況下、本発明は、エステル交換反応後のポリマー融液の濾過工程を有するポリカーボネート樹脂の製造方法において、濾過装置に起因する品質低下や生産効率の低下を抑制することができる方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
[1]ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応によって生成するポリマー融液を、ポリマーフィルターを具備する濾過装置により濾過する工程を有するポリカーボネート樹脂の製造方法において、該濾過装置へのポリマー融液通液前に、該濾過装置内部を1.33kPa以下、かつ、250℃以上とした後にポリマー融液を通液するポリカーボネート樹脂の製造方法。
[2]前記ポリマー融液通液前に、前記濾過装置内部が、不活性ガスで置換されている前記[1]に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[3]前記濾過装置が略垂直竪型に配置され、前記ポリマー融液が該濾過装置の下部より流入し、上部より流出する前記[1]又は[2]に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[4]前記ポリマーフィルターが、キャンドルフィルターまたはリーフディスク型フィルターである前記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[5]前記濾過装置が、切り替え自在に複数設けられた濾過装置のうちの切り替える側の濾過装置である前記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
本発明によれば、エステル交換反応後のポリマー融液の濾過工程を有するポリカーボネート樹脂の製造方法において、濾過装置に起因する品質低下を防止することができ、また、ポリマーフィルターの閉塞や、ペレット化工程におけるガス混入等による品質が安定するまでに要する時間を短縮することができるため、生産効率を大幅に向上することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法にかかる濾過装置の構成を示す図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において、「〜」という表現を用いた場合、その前後の数値または物理値を含む意味で用いることとする。また、本明細書における圧力とは、真空を基準に表した、いわゆる絶対圧力を指す。
本発明は、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応によって生成するポリマー融液を、ポリマーフィルターを有する濾過装置により濾過する工程を有するポリカーボネート樹脂の製造方法において、該濾過装置へのポリマー融液通液前に、該濾過装置を1.33kPa以下、かつ、250℃以上とした後にポリマー融液を通液するポリカーボネート樹脂の製造方法に関する。
本発明の製造方法では、原料モノマーとして、ジヒドロキシ化合物と、ジフェニルカーボネート(DPC)等の炭酸ジエステルとにより原料混合溶融液を調製し(原料調製工程)、エステル交換触媒(以下、「触媒」と略記する。)の存在下、これらの化合物を溶融状態で少なくとも2器の直列に接続された反応器を用いる多段工程でエステル交換反応をさせる(重合工程)ことにより行われ、副生するモノヒドロキシ化合物を反応系から除去することにより、反応を進行させ、溶融した状態のポリカーボネート樹脂を生成させる。本発明では、この溶融した状態のポリカーボネート樹脂を「ポリマー融液」と称する。なお、原料モノマー、原料調製工程及び重合工程についての詳細は、後述する。
エステル交換反応により、ポリマー融液は、通常、押出機に導入し、所望により各種添加剤を投入後、濾過装置にて濾過され、劣化異物を取り除いたのちに、ペレット化工程等の後段工程に供される。なお、ギヤポンプ等で反応工程から抜き出された溶融ポリカーボネート樹脂は、直接該濾過装置に移送される場合もある。
ポリマー融液をポリマーフィルターを有する濾過装置により濾過する場合、ポリマーフィルター内の残存ガスに起因する劣化異物が生成するおそれがあるが、本発明の製造方法では、濾過装置へのポリマー融液通液前に、該濾過装置内部を1.33kPa以下、かつ、250℃以上とし、濾過装置内部の残存ガスを除去した後にポリマーフィルターにポリマー融液を通液することにより、ポリマーフィルター内に劣化異物が生成することを抑制することができる。そして、濾過装置内部の残存ガスが後段のペレット化工程に供されることがないため、得られるペレットをより高品質化し、かつガス混入を防止しペレット化工程が安定するまでの時間を短縮することができる。
本発明の製造方法では、該濾過装置内部を1.33kPa以下とした後にポリマー融液を通液するが、濾過装置内部の圧力は、好ましくは0.67kPa以下、より好ましくは0.4kPa以下である。なお、濾過装置内部の圧力は、真空圧力計により測定した値である。
濾過装置内部の圧力が、1.33kPaを超えた状態であると、ポリマーフィルター内の残存ガスの除去が不十分であり、劣化異物の生成や、後段のペレット化工程等においてポリマー融液がガスにより途切れる(いわゆる「ガス切れ」)恐れがある。一方、濾過装置内部の圧力が、1.33kPa以下の時、フィルター内へのポリマーによる充液ガス抜きの必要性がほとんどないため、ガス切れを解消するためのポリマーパージに要する時間やパージ量を少なくすることができる。
本発明の製造方法において、ポリマーフィルターが設置された濾過装置内部は、通液するポリマー融液の温度である250℃以上に昇温した状態に保たれる。濾過装置内部の温度が250℃より低いと、ポリマー融液がポリマーフィルター内部で固化して閉塞したり、ポリマーフィルターを破損させたりすることがある。一方、温度が高すぎるとポリカーボネート樹脂の熱劣化が起こる可能性があるため、通常、濾過装置内部の温度上限は340℃程度である。
濾過装置の加熱には、通常、電気ヒーターや熱媒が加熱源として使用される。濾過装置は、ポリマー融液の通液前に上記の温度に昇温しておくことが必要である。温度測定は、熱電対や測温抵抗体などの通常の温度計を用いて行う。
なお、本発明の製造方法において、圧力と温度の上記条件を満足することができれば、減圧と昇温の順序には特に限定はなく、いずれか一方を先に行ってもよいし、または同時に行ってもよいが、通常、昇温前に減圧を実施すると、ガスの熱伝導による昇温効果が低下するため、昇温後に減圧する方が好ましい。
また、本発明の製造方法においては、濾過装置にポリマー融液を通液する前に、濾過装置内部が不活性ガスで置換されていることが好ましい。前記濾過装置内部の不活性ガスによる置換と濾過装置内部の昇温は、いずれか一方を先に行っても、または同時に行っても良い。但し、大型の濾過装置の場合、昇温し温度が安定するまでに1日程度時間を要する場合もあるため、昇温を先に始める方が好ましい。さらに、昇温、不活性ガスによる置換、減圧のプロセスについては、まず時間がかかりやすい昇温を開始し、次いで好ましくは減圧及び不活性ガス注入操作を数回繰り返すことにより、濾過装置内を昇温しながら、空気を十分に除去し、不活性ガス置換効果を高めることができる。この後、1.33kPa以下に減圧することで不活性ガスによる置換がなされ、かつ、減圧、昇温された好ましい態様の濾過装置とすることができる。
本発明において、濾過装置内部の置換に用いられる不活性ガスとは、周期表第18族の元素の気体及び窒素からなる群より選ばれた少なくとも1種の気体を主成分とするものである。具体的には、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン等が挙げられる。経済的な観点から、好ましくは窒素が用いられる。不活性ガスによる置換を行うことで、濾過装置内部等での空気との接触が減るため、酸化劣化による色相低下等を防止することができる。
本発明で使用する濾過装置について説明する。
濾過装置におけるポリマーフィルターの形態は、ポリマー融液の濾過を行うことができるものであればよいが、例えば、キャンドルフィルター、リーフディスク型フィルター、パックフィルター等を単独、または組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、濾過精度や濾圧、濾過面積、フィルター交換の作業性等の観点から、リーフディスク型フィルター、またはキャンドルフィルターを用いることが好ましい。
本発明で使用する濾過装置は、一般的には、ポリマーフィルターと、ポリマーフィルターに合わせたハウジング及びフィルターを固定するための部材等からなる。
例えば、リーフディスク型フィルターを具備する濾過装置の場合、部材としてセンターポストを有しているものが用いられる。リーフディスク型フィルターは、通常円板形で、直径100mm〜600mm程度、厚み5mm〜10mm程度であり、種々の線径及び開口率を有する織金網や金属パウダーの焼結物を1層以上重ねたものが用いられる。センターポストに装着されるリーフディスク型ポリマーフィルターの枚数は、ポリマーの流量や粘度にもよるが、通常十枚程度から数百枚になる。リーフディスク型ポリマーフィルターのセンターポストへの装着は、例えば、中央に円形の孔を設けたリーフディスク型ポリマーフィルターを所定枚数、表面に多数の小貫通孔を設けた円筒形のセンターポストに通し、リーフディスク型ポリマーフィルター間を十分に締め付けることによって行われる。
上記のようにしてセンターポストに装着されたリーフディスク型ポリマーフィルターを、ハウジング内の所定位置に固定することによって、濾過装置全体が組み立てられる。この種の濾過装置では、供給されたポリマー融液は、リーフディスク型ポリマーフィルターを通って濾別された後、センターポストの貫通孔を経てセンターポスト円筒内の空間を通り、センターポストの一端開口部から排出される。なお、センターポスト及びハウジングの材質は、通常ステンレス製のものを使用する。
一方、キャンドルフィルターを具備する濾過装置の場合、主に、キャンドルフィルター、ハウジング、フィルター支持プレート等からなる。キャンドルフィルターは円筒状の形状で、外径がおよそ20mm〜100mm程度、長さがおよそ200mm〜20000mm程度であり、一つの濾過装置のハウジング内に、通常、数本から100本程度をセットして用いる。
キャンドルフィルターの取り付けは、流路を設けたプレートの末端部をネジ込方式で固定させ、もう一方の末端部は、必要に応じて、フィルターの本数や長さにあわせたリング状の固定治具などを用いて等間隔に固定させて用いられる。
キャンドルフィルターとリーフディスク型フィルターとは目的に応じて使い分けられる。例えば、キャンドルフィルターの場合、濾過面積を効率よく確保した形状のものも市販されているため、装置を小型化しやすいまたは処理量を増やしやすいため選択されることがある。一方、リーフディスクフィルターの場合、塑性変形しやすいゲル異物を効率よく補修除去できる濾材が市販されているため、必要な濾過品質を確保するために選択されることがある。
本発明で用いられるポリマーフィルターの濾材の材質は、通常、SUS−316やSUS−316L等のステンレス系が用いられる。また、濾材の織りの種類には、平織、綾織、平畳織、綾畳織等があり、不織布でもよい。また、燒結金属製の濾材を用いることもある。このような、ポリマーフィルターの絶対濾過精度は、好ましくは0.5μm〜200μmであり、さらに好ましくは5μm〜100μmである。濾過精度はポリカーボネート樹脂の用途に合わせて設定されるが、一般的に濾過精度をよくするためにはフィルター部での滞留時間が長くなることがあるため、滞留時間の長時間化に伴い熱劣化しやすくなることも考慮して適宜設定する。
本発明において、濾過装置は当該濾過装置の下部が入口で上部が出口となるように略垂直竪型に配置させ濾過することが好ましい。略垂直竪型に配置するとは水平から45度以上、好ましくは60度以上、より好ましくは90度即ち垂直に配置することを意味する。濾過装置は水平横置きに配置させポリマー融液入口と出口が左右対称となるようにして使用することもあるが、この場合、ハウジング内では積層されたフィルター各々への流量が不均一になりやすく、その結果、偏流や滞留時間分布が生じ溶融したポリカーボネート樹脂の熱劣化、分解に伴う異物やモノヒドロキシ化合物等の揮発性不純物が発生する問題がある。また、濾過装置をこのような竪型とすることで、ポリマー融液通液時に、上部の出口から濾過装置内のガスが抜けやすくなるため、ガスの蓄積滞留を低減することができる点からも好ましい。
次に、本発明の製造方法の濾過工程における、好適な実施形態について図面を参照して説明する。図1に本発明の実施形態に係る濾過装置及び周辺部を示す。
図1に示す濾過装置1aと濾過装置1bは、内部に濾材としてポリマーフィルターを具備し、重合工程において生成したポリマー融液を濾過するための装置である。濾過装置1aと濾過装置1bは、それぞれが切り替え自在に配設されている。なお、本実施形態では、切り替え自在の2基の濾過装置を並列に配置しているが、3基以上の濾過装置を切り替え自在に並列に配置してもよい。
図1に示す濾過装置1a,1bは、それぞれ略垂直竪型に配置されており、濾過装置の下部にポリマー融液の入口が設けられ、上部に濾過後のポリマー融液の出口が設けられている。
重合工程において生成したポリマー融液は、入り口側(A)より配管を介して濾過装置1a、濾過装置1bのいずれかに供され、濾過装置内部のポリマーフィルターにより濾過された後に出口側(B)へ排出され、ペレット化工程等の後段工程に供される。
例えば、まず濾過装置1aを用いて濾過を行う場合、入り口側(A)からのポリマー融液が通液する前に、バルブ3cを調整して、真空ポンプにより濾過装置内部の減圧を行い、その後バルブ3dを調整して濾過装置1aに窒素供給タンク5aから窒素を供給することで、濾過装置1aの内部ガスを窒素置換する。この際あわせてケーシングヒーター2aを用いて、濾過装置1aの加熱を開始してもよい。
窒素置換後、バルブ3cを調整して、真空ポンプ4aによって濾過装置1aの内部を1.33kPa以下に減圧し、ケーシングヒーター2aによって、濾過装置1aの内部温度が250℃以上に昇温制御し、待機状態とする。次いで、待機状態の濾過装置1aにポリマー融液を通液することにより、ポリマー融液を濾過する。
濾過に用いる濾過装置を、濾過装置1aから濾過装置1bに切り替える際には、濾過装置1bを、濾過装置1aを通液前の待機状態とする方法と同様に、バルブ3eを調整して、真空ポンプ4bにより濾過装置1b内部の減圧を行い、その後、バルブ3fを調整して濾過装置1bに窒素供給タンク5bから窒素を供給し、内部ガスを窒素置換する。この際あわせてケーシングヒーター2bを用いて、濾過装置2bの加熱を開始してもよい。
窒素置換後、バルブ3eを調整して、真空ポンプ4bによって濾過装置1bの内部を1.33kPa以下に減圧し、ケーシングヒーター2bによって濾過装置1bの内部温度が250℃以上に昇温した状態で、濾過装置1aから濾過装置1bへの切り替えを行う。濾過装置1bの内部温度は、濾過工程の間、250℃以上になるように制御される。
なお、濾過装置1bにポリマー融液を通液したときには、濾過装置1a側へのポリマー融液の供給は停止されるため、切換え後の濾過装置1aはポリマーフィルターの交換等を行い、濾過装置1bから濾過装置1aへの切り替えを行うための準備をしたり、あるいは停機する準備をしたりすることができる。
並列に設けられた濾過装置の切り替え直後には、濾過後のポリマー融液にガスが含まれてしまい、後段のペレット化工程に供されるポリマー融液が途切れたりして、品質安定化までのロスが多くなることが懸念されるが、本実施形態では濾過装置1aと濾過装置1bのうち、フィルターを交換し、新しいフィルターをセットした切り替える側の濾過装置内部を事前に1.33kPa以下、かつ、250℃以上とすることにより、この切り替え時のロスを大きく低減することができる。
以下、本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法における、原料化合物及び触媒や濾過工程以外の工程等について具体的に説明する。なお、原料化合物等の例示は一例(代表例)であり、本発明の要旨を超えない限り、以下に限定されない。
<ジヒドロキシ化合物>
ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:テトラブロモビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1−トリクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;イソソルビト、イソマンニド、イソイデット等の複素環基を有するジヒドロキシ化合物類;2−(5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデロン等のスピロ炭化水素誘導体;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4'−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。これらの中では、ビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性の点からビスフェノールA(以下、BPAと略称することがある。)が好ましい。さらに、難燃性を高める目的で、上記のジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物も使用することが出来る。これらのジヒドロキシ化合物は、二種以上を混合することができる。
又、上記のジヒドロキシ化合物はその一部をポリヒドロキシ化合物および/またはイサチン類等で置換してもよく、その割合は通常10モル%以下、好ましくは2モル%以下である。ポリヒドロキシ化合物としては、例えばフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘプテン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンがあげられる。イサチン類としては例えば3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(別名:イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチンがあげられる。前記ポリヒドロキシ化合物および/又はイサチン類等の添加時期は任意であり、反応温度や触媒量を適宜調整することにより、分岐したポリカーボネート樹脂を得ることも出来る。
<炭酸ジエステル>
炭酸ジエステルとしては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006051878
ここで、式(1)中、A'は、置換されていてもよい、炭素数1〜炭素数10の直鎖状、分岐状または環状の1価の炭化水素基である。2つのA'は、同一でも相互に異なっていてもよい。なお、A'上の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜炭素数10のアルキル基、炭素数1〜炭素数10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などが例示される。
炭酸ジエステルの具体例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等のジアルキルカーボネートが挙げられる。これらの中では置換ジフェニルカーボネートが好ましく、ジフェニルカーボネート(以下、DPCと略記することがある。)、が更に好ましい。これらの炭酸ジエステルは、2種以上を混合して使用することが出来る。
また、上記の炭酸ジエステルは、その一部をジカルボン酸またはジカルボン酸エステルで置換してもよく、その割合は、通常50モル%以下、好ましくは30モル%以下である。代表的なジカルボン酸またはジカルボン酸エステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。
また、エステル交換法で製造するポリカーボネート樹脂では、炭酸ジエステル(上記の置換したジカルボン酸またはジカルボン酸エステルを含んでもよい。以下同じ。)は、ジヒドロキシ化合物に対して過剰に使用される。即ち、ジヒドロキシ化合物に対する炭酸ジエステルの割合(モル比)は、通常1.00〜1.30、好ましくは1.01〜1.20、更に好ましくは1.02〜1.15である。モル比が過度に小さい場合は、得られるポリカーボネート樹脂の末端OH基が多くなりポリカーボネート樹脂の熱安定性が悪化する傾向となったり、エステル交換の反応速度が低下し所望の分子量のポリカーボネート樹脂の製造が困難となったりすることがある。また、モル比が過度に大きい場合は、エステル交換の反応速度が低下し、所望の分子量を有するポリカーボネート樹脂の生産が困難となる傾向となる他、ポリカーボネート樹脂中の炭酸ジエステルの残存量が多くなり、成形加工時や成形品としたときの臭気の原因となることがある。
一般的に、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率を調節したり、反応時の減圧度を調整したりすることにより、所望の分子量および末端OH基量を有するポリカーボネート樹脂が得られる。より積極的な方法として、反応時に、別途、末端停止剤を添加する周知の調節方法もある。この際の末端停止剤としては、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類が挙げられる。末端OH基量は、製品ポリカーボネート樹脂の熱安定性、加水分解安定性、色調などに大きな影響を及ぼす。末端OH基量は、用途にもよるが、実用的な物性を持たせるためには、通常100〜1,200ppm、好ましくは200〜1000ppmである。
<触媒>
通常、エステル交換反応によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、触媒としてエステル交換触媒が使用される。触媒は、特に制限されないが、周期表第1族金属化合物および/または周期表第2族金属化合物が好ましい。また、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性窒素化合物などの塩基性化合物を併用することも可能である。これらの触媒の中では、実用的観点から周期表第1族金属化合物が好ましい。これらの触媒は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。触媒の使用量は、ジヒドロキシ化合物1モルに対し、通常1×10-9モル〜1×10-1モル、好ましくは1×10-7モル〜1×10-3モル、更に好ましくは1×10-7モル〜1×10-6モルの範囲である。
周期表第1族金属化合物としては、周期表第1族金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素化合物などの無機化合物;周期表第1族金属のアルコール類(又はフェノール類)、有機カルボン酸類との塩などの有機化合物が挙げられる。ここで、周期表第1族金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられる。これらの周期表第1族金属化合物の中では、セシウム化合物が好ましく、特に、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム又は水酸化セシウムが好ましい。
<エステル交換反応>
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応は次のように行うことが出来る。
先ず、原料調製段階として、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、バッチ式、半回分式または連続式の撹拌槽型の装置を使用し、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの混合溶融液を調製する。溶融混合の温度は、例えば、ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAを使用し、炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを使用する場合は、通常120℃〜180℃、好ましくは125℃〜160℃の範囲である。または、攪拌槽型装置で混合させることなく、個別に溶融させた原料を、ラインミキサなどを用いて直接混合して、エステル交換反応のための反応器に供給することもできる。
次いで、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とのエステル交換反応を行う。エステル交換反応は、通常2段階以上、好ましくは3段〜7段の多段方式で連続的に行われる。各段階の好ましい反応条件としては、温度:150℃〜320℃、圧力:常圧ないし減圧、平均滞留時間:5分〜150分である。
そして、多段方式の各反応器においては、エステル交換反応の進行と共に副生するフェノール等のモノヒドロキシ化合物をより効果的に系外に除去するため、上記の反応条件内において、段階的により高温、より高真空に設定し、最終的には266.6Pa以下の減圧とする。これにより、モノヒドロキシ化合物などの副生成物を除去しながらエステル交換反応を行うことが出来る。なお、得られるポリカーボネート樹脂の色相などの品質低下を防止するため、上記の範囲内で出来るだけ低温かつ短滞留時間の設定が好ましい。
エステル交換反応は、バッチ式または連続式のどちらでも行うことが出来るが、本発明の製造方法で製造されたポリカーボネート樹脂の安定性などを考慮すると、連続式が好ましい。
エステル交換反応完了後には、通常、触媒を失活させるための失活剤を添加し、ポリマーの品質安定化を図る。ポリカーボネート樹脂中の触媒の失活剤としては、当該触媒を中和する化合物、例えば、イオウ含有酸性化合物またはそれより形成される誘導体を使用することが出来る。触媒を中和する化合物の使用量は、当該触媒が含有する例えば周期表第1族金属に対し、通常0.5当量〜10当量、好ましくは1当量〜5当量の範囲である。更に加えて、触媒を中和する化合物のポリカーボネート樹脂に対する使用割合は、通常1ppm〜100ppm、好ましくは2ppm〜50ppmの範囲である。
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂は、上述の通りエステル交換反応後、通常、押出機でモノマー等の脱揮除去や必要な添加剤を添加混合させるなどの処理をした後、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化される。ペレット化の方法は限定されるものではないが、ストランドの形態で冷却固化させてペレット化させる方法や、ダイスから直接水中に押出すと同時にカッティングしペレット化する方法などがある。
また、必要な添加剤としては、前記失活剤および通常知られている、熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤若しくは難燃剤等が挙げられる。
押出機中の溶融混練温度は、ポリカーボネート樹脂の分子量に依存するが、通常200℃〜350℃であることが好ましく、より好ましくは250℃〜330℃、更に好ましくは270℃〜320℃である。
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂は、射出成形法、押出成形法または圧縮成形法等の通常知られている方法で成形物にすることができる。ポリカーボネート樹脂の成形方法は特に限定されないが、成形品形状に合わせて適切な成形法が選択される。成形品がフィルムまたはシートの形状である場合は押出成形法が好ましく、射出成形法では成形品の自由度が得られる。
また、本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂は例えば、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル、アモルファスポリオレフィン、ABS若しくはASなどの合成樹脂、ポリ乳酸若しくはポリブチレンスクシネートなどの生分解性樹脂、またはゴムなどの1種又は2種以上と混練して、ポリマーアロイとしても用いることもできる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、得られたポリカーボネート樹脂の分析は下記の測定方法により行った。
(測定方法)
(1)粘度平均分子量(Mv)
ウベローデ粘度計を使用し、ポリカーボネート樹脂試料の塩化メチレン溶液(0.6g/dl)を調製し、20℃におけるηspを測定し、以下の式(1)及び(2)より粘度平均分子量(Mv)を求めた。
ηsp/C=[η]×(1+0.28ηsp) (1)
[η]=1.23×10-4×(Mv)0.83 (2)
(式(1)中、ηspはポリカーボネート樹脂試料の塩化メチレン溶液を20℃で測定した比粘度であり、Cはこの塩化メチレン溶液の濃度である。塩化メチレン溶液としては、ポリカーボネート樹脂試料の濃度が0.6g/dlの溶液を使用する。)
(2)色相(プレートYI(黄色度))
得られたポリカーボネート樹脂ペレットを、120℃、5時間乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所製「J75EII」)を使用し、バレル温度300℃、金型温度90℃の条件下にて厚み3.2mm、一辺60mm角のシートを連続成形し、当該シート4枚を色差計(ミノルタ株式会社製、製品名CM−3700D)で色の絶対値である三刺激値XYZを測定し、次の関係式に黄色度の指標であるYI値を計算した。
YI=(100/Y)×(1.28X−1.06Z)
YI値が大きいほど着色していることを示す。
[実施例1]
<第1反応器内の反応>
窒素ガス雰囲気下、ビスフェノールA(BPA)とジフェニルカーボネート(DPC)とを、一定のモル比(DPC/BPA=1.065)で混合し、140℃に加熱して、溶融混合物を得た。これを、140℃に加熱した原料導入管を介して、常圧、窒素雰囲気下、210℃に制御した第1竪型撹拌反応器内に連続供給した。平均滞留時間が60分になるように、槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ、液面レベルを一定に保った。また、上記溶融混合物と共に、触媒として炭酸セシウム水溶液を、ビスフェノールA1モルに対し、0.5×10-6モルの割合で第1竪型撹拌反応器内に連続供給した。
<第2〜4反応器内の反応>
第1竪型撹拌反応器の槽底より排出されたエステル交換反応液は、引き続き第2、第3の竪型撹拌反応器及び第4の横型撹拌反応器に、逐次、連続供給された。反応の間、各槽の平均滞留時間が60分になるように、液面レベルを制御し、また同時に副生するフェノールの留去も行った。第2竪型撹拌反応器〜4横型撹拌反応器のエステル交換反応条件は、それぞれ、第2竪型撹拌反応器(210℃、13300Pa)、第3竪型撹拌反応器(240℃、2000Pa)、第4横型撹拌反応器(270℃、67Pa)で、反応の進行とともに高温、高真空、低撹拌速度に条件を設定した。ポリカーボネート樹脂の製造速度は、50kg/Hrである。こうして得られたポリカーボネート樹脂の分子量Mvは、15500であった。
<濾過工程及びペレット化工程>
得られた溶融状態のポリカーボネート樹脂(ポリマー融液)を、ギヤポンプにて2軸押出機(L/D=42、バレル温度240℃)に導入し、p−トルエンスルホン酸ブチルを7ppm添加した後、ポリマーフィルターを具備する濾過装置を通して、ポリマー融液の濾過を行った後に、ポリカーボネート樹脂のペレット化を行った。
使用した濾過装置のポリマーフィルターには、リーフディスク型ポリマーフィルターを用いた。絶対濾過精度20μmの織金網製のリーフディスク(直径約18cm)10枚をセンターポストに装着したものを使用した。
ポリマー融液通液前に、濾過装置内部を300℃に昇温させ、その後、濾過装置内部を670Paまで真空ポンプで減圧させ、次いで、窒素を供給して大気圧まで復圧させた。 このような窒素置換をもう一度繰り返し行い、最終的に、濾過装置内部を670Paまで減圧させ、濾過装置を待機させた。
本状態で、濾過装置にポリマー融液を通液したところ、濾過装置出口に設置されたペレット化のためのダイプレートからの同伴ガス量は非常に少なく、ポリマーフィードを開始してから5分でガス切れ(ガス混入によるポリマー融液の途切れ)がなくなり、パージされるポリマー色相(プレートYI)は1.5で良好であり、その後すぐにペレット化開始でき製品ポリマーを得ることができた。
[実施例2]
濾過工程において、窒素置換を行わず空気雰囲気下にて昇温、減圧を行った以外は、実施例1と同様に、濾過装置内部を670Paまで減圧させた後に、ポリマー融液の通液を開始した。その結果、ダイプレートからパージされるポリマー中のガス同伴は少なく、約5分でペレット化を開始することができたが、ペレット化開始直後の色相(プレートYI)は1.8であった。ポリマー色相は徐々に良好になり、濾過装置にポリマー融液通液を開始してから、約15分以降は色相不良のポリマーが発生することはなかった。
[比較例1]
濾過工程において、濾過装置内部の窒素置換を行わず空気雰囲気のまま、かつ濾過装置内部の減圧を行わずに、他の条件は実施例1と同様に300℃に昇温後、ポリマー融液を通液させた。その結果、ダイプレートからパージされるポリマー中のガス同伴がなくなるまでに約30分の時間を要し、大量のポリマーロスが発生した。さらに、ペレット化開始直後のポリマー色相(プレートYI)は1.9であり、ポリマー色相が良好になったのは、ポリマーフィルターにポリマー融液通液を開始してから、約1時間後であった。
[比較例2]
濾過工程において、濾過装置内部の窒素置換を行ったが、濾過装置内部の減圧を行わず大気圧の状態として、他の条件は実施例1と同様に300℃に昇温後、ポリマー融液の通液を開始した。その結果、ペレット化開始直後からポリマーの色相(プレートYI)は1.6であり、良好であったが、ダイプレートからパージされるポリマー中のガス同伴がなくなるまでに約30分の時間を要し、大量のポリマーロスが発生した。
本発明の製造方法によれば、ポリカーボネート樹脂の製造において、濾過装置起因の劣化異物の発生などの品質低下を防止し、ガス混入によるペレット化の安定化時間を短縮することで生産効率を上げることができる。
1a,1b 濾過装置
2a,2b ケーシングヒーター
3a,3b 流路切換えバルブ
3c〜3f 開閉バルブ
4a,4b 真空ポンプ
5a,5b 窒素供給タンク
6a,6b 圧力計
7a,7b 温度計

Claims (5)

  1. ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応によって生成するポリマー融液を、ポリマーフィルターを具備する濾過装置により濾過する工程を有するポリカーボネート樹脂の製造方法において、該濾過装置へのポリマー融液通液前に、該濾過装置内部を1.33kPa以下、かつ、250℃以上とした後にポリマー融液を通液することを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
  2. 前記ポリマー融液通液前に、前記濾過装置内部が、不活性ガスで置換されていることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  3. 前記濾過装置が略垂直竪型に配置され、前記ポリマー融液が該濾過装置の下部より流入し、上部より流出することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  4. 前記ポリマーフィルターが、キャンドルフィルターまたはリーフディスク型フィルターであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  5. 前記濾過装置が、切り替え自在に複数設けられた濾過装置のうちの切り替える側の濾過装置であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
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