JP6051044B2 - 光量調節羽根、それを用いた光量調節装置及び光学機器。 - Google Patents

光量調節羽根、それを用いた光量調節装置及び光学機器。 Download PDF

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Description

本発明は、デジタルカメラ、ビデオカメラおよび交換レンズ等の光学機器に搭載される光量調節装置、ならびにその光量調節装置の一部を構成する光量調節羽根に関する。
カメラ等の光学機器にはコンパクト性が求められ、特にカメラボディから突出して撮影レンズを保持するレンズ鏡筒の光軸方向での長さを短くすることが求められている。
特許文献1には、カメラの使用時(撮影時)にはカメラボディから突出し、カメラの非使用時(携帯時)においてはカメラボディ内に収納される(沈胴する)、いわゆる沈胴式レンズ鏡筒を有するカメラが開示されている。このカメラでは、光量調節装置(絞り)とレンズとが光軸方向において隣接配置され、沈胴状態にて絞り開口内にレンズの一部が入り込むことにより、沈胴状態でのレンズ鏡筒の長さを減少させる。
特開2007−310412号公報
しかしながら、特許文献1にて開示されたカメラでは、絞り羽根を開放状態以上に開くことで形成された開口内にレンズの一部を入り込ませる。このため、少なくとも開放開口径を該レンズの外径よりも大きくする必要がある。この結果、絞り開口を形成する絞り羽根を大きくする必要が生じ、開放状態以上に開いた状態にて絞り羽根を退避させるための外周スペースも大きく確保する必要がある。このため、光量調節装置が大型化する。したがって、これを搭載するカメラを小型化することが困難になる。
本発明は、小型化に適した光量調節羽根、およびこれを搭載した光量調節装置、ならびにこれを搭載した光学機器を提供する。
上記課題を解決するために、本発明の光量調節羽根は、羽根としての回動中心となる被支持部と、前記羽根の前記被支持部とは異なる位置に設けられ、前記被支持部を回動中心とした動作を軸部で規制する回動規制部とを有し、前記被支持部における回動中心軸方向と前記羽根の回動における前記軸部の軸方向とが実質的に交差することを特徴とする。
上記課題を解決するために、本発明の一側面の光量調節羽根は、光路を形成する開口内に移動して光量を調節する光量調節羽根であって、板状の羽根部材と、前記羽根部材の一端部側に設けられ、かつ前記羽根部材を回動させる駆動部に支持されて前記羽根部材の回動支点となる被支持部とを有し、前記羽根部材は、前記被支持部とは異なる位置に設けられ、前記被支持部を回動中心とした動作を軸部で規制する回動規制部を備え、前記被支持部における回動中心軸方向と前記羽根部材の回動における前記軸部の軸方向とが実質的に交差し、前記羽根部材は、湾曲した板状の部材から形成され、かつ前記被支持部における前記羽根部材の回動中心軸方向と前記開口内における光軸方向とが実質的に交差することを特徴とする。
本発明によれば、光量調節装置の小型化に適した光量調節羽根を実現することができる。特に、光量調節装置において光量調節羽根を開放状態に開いた際、光量調節羽根が径方向にスペースを取らなくなるため、光量調節装置を径方向に小型化することが可能となる。そして、この光量調節装置を搭載した光学機器の小型化を達成することができる。
本発明の実施例1である絞り装置の分解斜視図。 実施例1の絞り装置の背面斜視図。 実施例1の絞り装置の側面断面図。 実施例1の絞り装置に用いられる絞り羽根の斜視図。 実施例1の絞り装置の動作説明図。 本発明の実施例2である絞りシャッタ装置の分解斜視図。 実施例2の絞りシャッタ装置の背面斜視図。 実施例2の絞りシャッタ装置の側面断面図。 実施例2の絞りシャッタ装置に用いられる絞り羽根とシャッタ羽根の斜視図。 実施例2における絞り羽根の動作説明図。 実施例2におけるシャッタ羽根の動作説明図 実施例2の変形例の外周側拡大図。 実施例1、2の絞り装置を搭載したカメラの構成を示すブロック図。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
(実施例1)
図1および図2には、本発明の実施例1である光量調節装置としての虹彩絞り装置110を示している。これらの図において、101はベース部材としての地板であり、その径方向中央には第1の固定開口106が形成されている。以下の説明において、第1の固定開口106の開口面106aの中心を通り、該開口面106aに直交する軸を光軸AXといい、該光軸AXが延びる方向を光軸方向という。
また、地板101における第1の固定開口106の周囲のリング部の周方向複数箇所には、支持穴部(凹部)107が形成されている。各支持穴部107の中心軸BXは、光軸方向(光軸AX)に対して傾きθBを有し、光軸AXと実質的に交差する。
102は駆動部材としての駆動リングであり、その内周側の部分には、地板101(第1の固定開口106)側に向かって凹のドーム形状を有するドーム壁部102aが形成されている。ドーム壁部102aの外径は、地板101の第1の固定開口106の内径とほぼ同じに設定されている。
また、駆動リング102におけるドーム壁部102aよりも外周側の部分における周方向一部には、被駆動ギア102bが形成されている。ドーム壁部102aにおける地板101側の面およびそれとは反対側の面(ガイド面)102cおよび被駆動ギア102bはそれぞれ、球面として形成されている。ドーム壁部102aの径方向中央には、開放絞り開口に対応する第2の固定開口112が形成されている。光軸方向において、第2の固定開口112の開口面の位置は、駆動リング102におけるドーム壁部102aより外周の部分に比べて、地板101(第1の固定開口106の開口面106a)から離れている。
また、ドーム壁部102aのガイド面102cにおける周方向複数箇所(第2の固定開口112の周囲の複数箇所)には、後述する絞り羽根のカム溝に挿入されるボス部108が形成されている。各ボス部108の中心軸CXは、ガイド面102cの法線方向に延びるように、光軸方向(光軸AX)に対して傾きθCを有し実質的に交差する。
103は複数の光量調節羽根(遮光羽根)としての絞り羽根である。各絞り羽根103は、詳細は後述するが、レンズ面に沿って湾曲した板状の部材から構成される。例えば、本実施例では、地板101の第1の固定開口106および駆動リング102の第2の固定開口112の径方向内側に、周囲が遮光された絞り開口(光通過開口)Aを形成するための遮光性を有する湾曲した薄板状の部材である。
図4に示すように、絞り羽根103は、絞り開口Aを形成するための光量調節部としての遮光部103aと、地板101および駆動リング(羽根駆動部の一部)102に対して回動可能に支持される被支持部103bと、これら遮光部103aおよび被支持部103bを接続する中間部103eとを有する。被支持部103bには、地板101に形成された支持穴部107に挿入する軸部(凸部)103cが形成されており、絞り羽根103は、該支持穴部107と軸部103cとを中心として地板101および駆動リング102に対して回動可能である。そして、軸部103cが当接する被支持部103bの支持面(当接面)の方向は、回動の中心軸(回動軸)CXの方向と一致する。
複数の絞り羽根103は、駆動リング102のドーム壁部102aのガイド面102cに対向するように配置されている。遮光部103aは、駆動リング102のドーム壁部102aのガイド面102cとほぼ同じ曲率を持つ球面(曲面)形状に形成されている。このため、絞り羽根103が回動するとき、遮光部103aは、ガイド面102cに沿って、つまりはガイド面102cによりガイドされながら、第2の固定開口112の径方向内側の領域(第1および第2の固定開口106,112に対向する領域)に進退する方向、すなわち絞り開口の大きさを変化させる方向(以下、開閉方向という)に移動して第1および第2の固定開口106,112を通過する光の量を調節する。地板101と駆動リング102との間には、駆動リング102側が凸となり、外周側が低くなるように段差を設けている。駆動リング102側が凸となっているため、絞り羽根103が外周部でひっかからずにスムーズに移動できる。
さらに、遮光部103aには、駆動リング102に設けられたボス部108が挿入されて係合するカム溝部103dが形成されている。遮光羽根をモールド成型やプレス等にて製造する場合、金型の抜き方向が一方向となる関係で、カム溝部103dの当接面角度はある一つの値となる。ボス部108が当接するカム溝103d(回動規制部)の当接面で光量調節羽根103の回動は規制(制限)され、回動の支点を一点とするよりも細かい動作を安定的に行うことができる。このようなボス部108が当接するカム溝103dの当接面は、光量調節羽根103の回動が規制される規制面となり、当該規制面方向(当接面の面方向)はBXで示す方向と一致する。前述したようにボス部108の中心軸CXはガイド面102cの法線方向に延びている。このため、ボス部108は、その中心軸が光軸方向に延びる場合に比べて、カム溝部103d内をスムーズに移動して遮光部103a(絞り羽根103)を開閉方向に位置精度良く回動させることができる。このような本実施例の光量調節羽根は、上述した軸部103cが当接する被支持部103bの支持面(当接面)の方向(回動の中心軸(回動軸)CXの方向)は、各支持穴部107の中心軸BX方向と実質的に交差する。そして、被支持部103bの支持面方向と、回転規制部となるカム溝103dにおける規制面方向とが、実質的に交差する。つまり、本実施例の光量調節羽根103は、被支持部103bの支持面方向とカム溝103dの規制面方向とが、光軸方向(AX方向)に対して実質的に交差するように設けられている。このような構成における本実施例の光量調節羽根103は、レンズ面に沿って湾曲した形状でありながら、羽根の開閉動作をスムーズ且つ安定して行うことができる。すなわち、本実施例における光量調節羽根103は、羽根の安定的な開閉動作が可能であり、しかも光量調節装置における羽根の設置スペースを小さく抑えることができるため、光量調節装置の小型化において非常に有利である。
一方、カム溝部103dの傾きを最適な値に設定していない場合、駆動リング102の回動中にカム溝部103dがボス部108に引っ掛かる可能性がある。カム溝部103dの断面角度を最適な値に設定するために、金型の抜き方向をカム動作範囲の中央付近に設定すると、開放時および最小小絞り時におけるカム溝部103dとカムボス部108との角度不整合を最小にすることが可能となる。また、中間部103eに厚みを持たせると、絞り羽根103の強度が向上し、より精度の良い動作が可能となる。なお、遮光部103aを球面として形成する一方、ガイド面102cを、球面とせずに、円錐台面としてもよい。
絞り羽根103は、射出形成を用いて形成する場合、金型のスプルーからゲートを経由してキャビティに溶融樹脂を射出する。樹脂性の成形品となる絞り羽根103は、中間部103eに光量調節部103aより厚みを持たせることで強度が増す。また、光量調節部103よりも厚みのある被支持部103b付近にゲートを有することで、薄肉部分での破損の可能性を低減する。また被支持部103b付近であって、支持ボス103cの裏面にゲートを有してしていることにより、回転動作をスムーズに行うことができる。
また、絞り羽根103のうち中間部103eおよび被支持部103b、すなわち少なくとも遮光部103aよりも被支持部103b側の部分は、地板101に形成された第1の固定開口106の開口面106aに対して光軸方向への傾きαを有する(この傾きαは、駆動リング102に形成された第2の固定開口112や後述するカバー板に形成された第3の固定開口の開口面に対しても同様である)。傾きαは90度を含む角度であり、中間部103eおよび被支持部103bに傾きαが与えられることにより、遮光部103aは、被支持部103bに対して光軸方向に離れて位置する。また、被支持部103bに形成された軸部103cの中心軸は、支持穴部107の中心軸BXに一致するように光軸AXに対して傾きを有する。したがって、絞り羽根103は、支持穴部107の中心軸が光軸方向に延びる場合に比べて、スムーズに回動することができる。
なお、絞り羽根103において、遮光部103aよりも被支持部103bの方が開口面106aに対する光軸方向への傾きが大きい。また、絞り羽根103の被支持部103bから遮光部103aにかけての全体を球面(曲面)形状に形成してもよい。
ところで、絞り羽根103には、稜線103gに向かって徐々に絞り羽根103が薄くなるように、テーパー103fが設けてある。テーパー103fを設けることで、小絞り時の羽根盛り上がり量を少なくすることが可能となる。なおこのテーパーは、絞り羽根103の曲面形状の外側であっても内側であってもよい。
図1および図2において、104はカバー板(絞りカバー部材)であり、地板101との間に、駆動リング102と絞り羽根103を収容する羽根室を形成する。カバー板104の内周側の部分には、地板101側に向かって凹のドーム形状が形成されている。
カバー板104は、その外周の部分において地板101にビス等の固定手段により結合され、地板101と一体化される。このため、カバー板104も、地板101と同様にベース部材として扱うことができる。なお、地板101にドーム部104aと同様なドーム部を形成するとともに、カバー板104のドーム部104aをなくす等して、地板101とカバー板104の位置を入れ替えてもよい。
105はステッピングモータ等のアクチュエータを含む駆動部であり、その出力軸には、駆動リング102の被駆動ギア102bに噛み合う駆動ギア105aが取り付けられている。被駆動ギア102bが球形状となっていることから、駆動ギア105aと被駆動ギア102bはかさ歯車もしくはそれ類似の歯車構成となる。ここで、駆動部105(絞り駆動部)は、カバー板4のドーム形状が突出する方向と逆方向に突出するように設けられている。このようにカバー板104のドーム形状と駆動部105がベース部材から突出する方向を逆にすることにより、この絞り装置をカメラ等の光学機器に搭載した場合に、光学機器内のスペース(特に、カバー板104のドーム形状が配置された側とは反対側のスペース)を有効に使用することができ、光学機器の小型化を図ることができる。
駆動部105に通電されて駆動ギア105aが回転すると、図5(a),(b)に示すように、その回転力が被駆動ギア102bを介して駆動リング102に伝達され、これを光軸AX回りで地板1に対して回転させる。そして、前述したように、遮光部103aに形成されたカム溝部103d内で駆動リング102に設けられたボス部108が移動することにより、絞り羽根103は、被支持部103bの軸部103cとこれを挿入した支持穴部107を中心として開閉方向に回動される。
なお、本実施例では、地板101に形成された支持穴部107(の中心軸)と駆動リング102に形成されたボス部108(の中心軸)がそれぞれ光軸方向に対して傾いている場合について説明した。しかし、支持穴部107およびボス部108は光軸方向に平行に延びるように形成されてもよく、絞り羽根103(被支持部103b)が光軸方向に対して傾いた仮想の軸回りで回動すればよい。
また、地板101にカバー板104のドーム形状と同様なドーム部を形成するとともに、そこにカム溝に挿入するボス部を形成し、ドーム部の固定開口112の径方向の外側に駆動リング102を回動可能に配置するとともに、そこに支持ボス部を形成しても良い。地板101にカム溝に挿入するボスを設ける場合は、絞り羽根103に形成された穴部に駆動リング102に形成された支持ボス107を挿入し、カム溝部103dに地板101に形成されたボス部108を挿入するようにしてもよい。すなわち、絞り羽根103の穴部103cとカム溝部103dに挿入される支持ボス部107とボス部108は、それぞれの相対位置が変化するように構成されれば、どちらが地板101に形成され、どちらが駆動リング102に形成されていても同様である。
また、本実施例では、地板101に形成された支持穴部107と駆動リング102に形成されたボス部108をそれぞれ、絞り羽根103に形成された軸部103cとカム溝部103dに挿入する場合について説明した。しかし、絞り羽根103に支持穴部107に相当する穴部とボス部108に相当するボス部を形成し、これらを地板101に形成された穴部と駆動リング102に形成されたカム溝部に挿入するようにしてもよい。 以上のように構成された絞り装置110では、前述した絞り羽根103の中間部103eおよび被支持部103bが有する光軸方向への傾きαによって、図3に示すように、複数の絞り羽根103よりも径方向内側に、光軸方向において複数の絞り羽根103の被支持部(103b)側から遮光部(103a)側に奥行きを有する凹空間Sが形成される。凹空間Sの被支持部側の端は、地板101に形成された第1の固定開口106にて開口している。一方、凹空間Sの遮光部側の端は、駆動リング102に形成された第2の固定開口112(さらには絞り開口Aおよびカバー板104に形成された第3の固定開口113)にて開口している。すなわち、凹空間Sは、第1〜第3の固定開口106,112,113に面している。また、凹空間は、凸形状を有するレンズ51と、凹形状を有するレンズ53との間の空間に配置されている。
凹空間Sは、その外周が複数の絞り羽根103の羽根面により囲まれた空間と言うこともできる。ただし、本実施例では、複数の絞り羽根103の羽根面が凹空間Sに直接面しておらず、絞り羽根103の羽根面と凹空間Sとの間には、凹空間Sを囲む駆動リング102のドーム壁部102aが介在している。なお、ドーム壁部102aは必ずしも必要ではなく、径方向に放射状に延びるレール等によって絞り羽根103を安定して開閉方向にガイドすることができれば、ドーム壁部102aをなくして絞り羽根103の羽根面が凹空間Sに直接面するようにしてもよい。
(実施例2)
本実施例は、デジタルカメラ、ビデオカメラおよび交換レンズ等の光学機器に搭載される絞りおよびシャッタ機能を有する光量調節装置における光量調節羽根である絞り羽根とシャッタ羽根に関する。
カメラ等の光学機器にはコンパクト性が求められ、特に撮影レンズを保持するレンズ鏡筒がカメラボディから光軸方向に突出する場合には、該レンズ鏡筒の光軸方向での長さをできるだけ短縮することが求められている。特開2004−184486号公報には、1つの地板の一方の側に光通過開口(絞り開口)のサイズを増減させて光量を調節する絞り羽根を配置し、該地板の他方の側に光通過開口(シャッタ開口)を開閉するシャッタ羽根を配置した光量調節装置が開示されている。このように1つの地板を用いて絞り機能とシャッタ機能とを有する光量調節装置を構成することで、絞り装置とシャッタ装置と別々に設ける場合に比べて、カメラの光軸方向での薄型化を図ることができる。本発明の実施例では、光量調節装置に備えられる光量調節羽根である絞り羽根およびシャッタ羽根の少なくともいずれか一方について説明する。この光量調節羽根を備えた光量調節装置は、撮像装置の径方向での小型化を図ることができる。
特開2004−184486号公報にて開示された光量調節装置でも、光軸方向において地板の厚みと、絞り羽根が移動するスペースと、絞り羽根が移動するスペースとが必要となるため、薄型化に限界がある。
本実施例2は、絞り羽根とシャッタ羽根とを有し、径方向での大型化を抑えつつ、光軸方向でのコンパクト化を図ることができる光量調節装置の光量調節羽根およびこれを用いた光学機器を提供する。
本実施例の一側面としての光量調節装置は、ベース部材と、光通過開口を通過する光の量を増減させるための絞り部およびベース部材に対して回動可能に支持された被支持部を有する絞り羽根と、光通過開口における光の通過を遮断するためのシャッタ部およびベース部材に対して回動可能に支持された被支持部を有するシャッタ羽根とを有する。光通過開口の開口面に直交する方向を光軸方向とし、該光軸方向に対して直交する方向を径方向とするとき、絞り羽根およびシャッタ羽根において、それぞれの被支持部に対して絞り部およびシャッタ部が光軸方向に離れて位置するように、該各被支持部が開口面に対して光軸方向における同じ側への傾きを有することにより、絞り羽根およびシャッタ羽根よりも径方向における内側に光通過開口に面した凹空間が形成されていることを特徴とする。
なお、上記光量調節装置とレンズとが光軸方向に配置された光学系を有し、レンズの少なくとも一部が、光量調節装置における凹空間の内部に入り込む光学機器も本発明の他の一側面を構成する。
本実施例2によれば、絞り羽根とシャッタ羽根と有する光量調節装置において、絞り羽根やシャッタ羽根を開放状態まで開くことなく、これらの羽根よりも径方向内側に、レンズを入り込ませることが可能な凹空間を形成することができる。つまり、光量調節装置の径方向での大型化を抑えつつ、その光軸方向の内側までレンズを入り込ませることが可能となる。したがって、この光量調節装置を搭載した光学機器の小型化も達成することができる。
なお、絞り羽根やシャッタ羽根の被支持部を、光軸方向に対して傾くように設けられた軸回りで回動するように支持することで、これらの羽根のよりスムーズな回動を可能とすることができる。
以下、本発明の実施例2について図面を参照しながら説明する。
図6および図7(a),(b)には、本発明の実施例2である光量調節装置としての虹彩型の絞りシャッタ装置10を示している。これらの図において、1はリング形状に形成されたベース部材としての地板であり、その内周には開口6が形成されている。以下の説明において、絞りシャッタ装置10の中心を通る軸であって、地板1に形成された開口6の開口面および後述する各固定開口のそれぞれの開口面に直交する軸を光軸AXといい、該光軸AXが延びる方向を光軸方向という。さらに、光軸方向に対して直交する方向を径方向という。
地板1において開口6の周囲を囲むリング部の周方向複数箇所には、支持部としての絞り支持ボス部(凸部)7が形成されている。各絞り支持ボス部7の中心軸BXは、光軸方向(光軸AX)に対して傾きθBを有する。
2は駆動部材としての絞り駆動リングである。絞り駆動リング2は、地板1(開口6)側に向かって凹(言い換えれば、地板1とは反対側に向かって凸)のドーム形状に形成されたドーム壁部2aを有する。ドーム壁部2aの最内周部(径方向中央部)には、光通過
開口としての第1の固定開口12が形成されている。また、絞り駆動リング2におけるドーム壁部2aよりも外周側の部分における周方向一部には、被駆動ギア2bが形成されている。ドーム壁部2aにおける地板1側の凹面およびそれとは反対側の凸面(以下、絞りガイド面という)2cはそれぞれ、球面又は曲面として形成されている。光軸方向において、第1の固定開口12の開口面の位置は、絞り駆動リング2におけるドーム壁部2aの外周縁に比べて、地板1(開口6の開口面)から離れている。つまり、絞り駆動リング2において、ドーム壁部2aは、光軸方向において地板1から離れる方向に突出するように形成されている。
また、ドーム壁部2aの絞りガイド面2cにおける周方向複数箇所(第1の固定開口12の周囲の複数箇所)には、後述する絞り羽根のカム溝に挿入されるボス部8が形成されている。各カボス部8の中心軸CXは、絞りガイド面2cの法線方向に延びるように、光軸方向(光軸AX)に対して傾きθCを有する。
3は遮光羽根としての絞り羽根であり、本実施例では、複数(6枚)設けられている。各絞り羽根3は、絞り駆動リング2に形成された第1の固定開口12の径方向内側に、その周囲が遮光された絞り開口Aを形成するための遮光性を有する薄板状の部材である。
図9(a)に詳しく示すように、絞り羽根3は、絞り開口Aを形成するための遮光部としての絞り部3aと、地板1の絞り支持ボス部7が挿入される穴部3cが形成された被支持部3cとを有する。被支持部3b(つまりは絞り羽根3)は、穴部3cに絞り支持ボス部7が挿入されることによって、地板1に対して、該絞り支持ボス部7を中心として回動可能に支持される。さらに、絞り羽根3は、絞り部3aと被支持部3bとを接続する中間部3eを有する。
各絞り羽根3は、絞り駆動リング2のドーム壁部2aの絞りガイド面2cに対向するように(又はこれに沿うように)配置されている。絞り部3aは、ドーム壁部2aの絞りガイド面2cとほぼ同じ曲率を持つ球面(曲面)形状に形成されている。このため、絞り羽根3が回動するとき、絞り部3aは、絞りガイド面2cに沿って、つまりは絞りガイド面2cによってガイドされながら、第1の固定開口12の径方向内側の領域(第1の固定開口12に対向する領域)に進退する方向、すなわち絞り開口の大きさを変化させる方向(以下、絞り開閉方向という)に回動する。
また、各絞り羽根3のうち中間部3eおよび被支持部3b、すなわち少なくとも絞り部3aよりも被支持部3b側の部分は、地板1の開口6の開口面(図9(a)にPで示す)に対して光軸方向への傾きαを有する。この傾きαは、絞り駆動リング2に形成された第1の固定開口12の開口面や後述する絞りカバー板に形成された第2の固定開口の開口面に対する傾きにも相当し、さらに各開口面は径方向に沿っているので、径方向に対する傾きと言い換えることもできる。
傾きαは、90度以下の角度であり、中間部3eおよび被支持部3bに傾きαが与えられることにより、絞り部3aは、被支持部3bに対して光軸方向に離れて位置する。また、被支持部3bに形成された穴部3cの中心軸は、絞り支持ボス部7の中心軸BXに一致するように光軸AXに対して傾きを有する。したがって、絞り羽根3は、絞り支持ボス部7の中心軸が光軸方向に延びる場合に比べて、スムーズに回動することができる。
なお、各絞り羽根3において、絞り部3aよりも被支持部3bの方が、開口面(径方向)Pに対する光軸方向への傾きが大きい。また、絞り羽根3の被支持部3bから絞り部3aにかけての全体を球面(曲面)形状に形成してもよい。
さらに、各絞り羽根3には、絞り駆動リング2に形成されたボス部8が挿入されて係合するカム溝部3dが形成されている。前述したようにボス部8の中心軸CXは絞りガイド面2cの法線方向に延びている。このため、ボス部8は、その中心軸が光軸方向に延びる場合に比べて、カム溝部3d内をスムーズに移動して絞り部3a(つまりは絞り羽根3)を絞り開閉方向に位置精度良く回動させることができる。なお、絞り部3aを球面として形成する一方、絞りガイド面2cを球面ではなく、円錐台面としてもよい。
図6および図7(a)において、4は絞りカバー板(絞りカバー部材)であり、地板1に対して絞り駆動リング2および絞り羽根3とは反対側に配置されて、絞り駆動リング2(ドーム壁部2a)との間に絞り羽根3を収容する絞り羽根室を形成する。絞りカバー板4は、地板1(開口6)側に向かって凹(言い換えれば、地板1とは反対側に向かって凸)のドーム形状を有するドーム壁部4aと、該ドーム壁部4aの外周に形成されたリング部とを有する。ドーム壁部4aは、絞り駆動リング2のドーム壁部2aとほぼ同じ曲率を持つ球面又は曲面形状に形成されている。
ドーム壁部4aの最内周部(径方向中央部)には、光通過開口としての第2の固定開口13が形成されている。光軸方向において、第2の固定開口13の開口面の位置は、ドーム壁部4aの外周縁(リング部)に比べて、地板1(開口6)から離れている。つまり、絞りカバー板4において、ドーム壁部4aは、光軸方向において地板1から離れる方向に突出するように形成されている。
絞りカバー板4のリング部が地板1にビスにより結合されることで、絞りカバー板4は地板1と一体化される。このため、絞りカバー板4も、地板1と同様にベース部材として扱うことができる。
なお、地板1に、絞りカバー板4ドーム壁部4aと同様なドーム壁部を形成し、該ドーム壁部に固定開口を形成することで絞りカバー板4をなくしてもよい。
5はステッピングモータ等のアクチュエータを含む絞り駆動部であり、その出力軸には、図7(b)に示すように、絞り駆動リング2の被駆動ギア2bに噛み合う駆動ギア5aが取り付けられている。絞り駆動部5は、モータ地板11および絞りカバー板4を介して地板1に固定される。ここで、絞り駆動部5は、地板1および絞りカバー板4を含むベース部材のうちドーム壁部4aの周囲の部分における1カ所に配置されている。言い換えれば、絞り駆動部5は、ドーム壁部4aがその周囲の部分に対して突出する方向と同じ方向に、該周囲の部分から突出するように設けられている。
このようにドーム壁部4aと絞り駆動部5とがベース部材から突出する方向を同じにすることにより、後述する実施例3のように、本絞りシャッタ装置10をカメラ等の光学機器に搭載した場合に、光学機器内のスペース(特に、ドーム壁部4aと絞り駆動部5とが配置された側とは反対側のスペース)を有効に使用することができ、該光学機器の小型化を図ることができる。
絞り駆動部5に通電されて駆動ギア5aが回転すると、図10(a),(b)に示すように、その回転力が被駆動ギア2bおよび駆動ギア5aを介して絞り駆動リング2に伝達され、これを光軸AXの回りで地板1に対して回転させる。そして、前述したように、絞り羽根3の絞り部3aに形成されたカム溝部3d内で絞り駆動リング2に設けられたボス部8が移動することにより、絞り羽根3は、被支持部3bの穴部3cに挿入された絞り支持ボス部7を中心として絞り開閉方向に回動される。こうして、複数の絞り羽根3(ただし、図10(a),(b)には1枚のみを示している)の絞り部3aが絞り開閉方向に回動されることで、これら絞り部3aにより形成される絞り開口Aの径が変化し、該絞り開口Aを通過する光の量が増減(調節)される。
なお、本実施例では、地板1に形成された絞り支持ボス部7(の中心軸)と絞り駆動リング2に形成されたボス部8(の中心軸)とがそれぞれ光軸方向に対して傾いている場合について説明した。しかし、絞り支持ボス部7およびボス部8は光軸方向に平行に延びるように形成されてもよく、絞り羽根3(被支持部3b)が光軸方向に対して傾いた仮想の軸回りで回動すればよい。
また、地板1に絞りカバー板4のドーム壁部4aと同様なドーム壁部を形成し、該ドーム壁部に固定開口を形成するとともに該ドーム壁部の内面(凹面)にボス部を形成する一方、回動可能な絞り駆動リング2に絞り支持ボス部を形成してもよい。この場合、絞り羽根3に形成された穴部3cに絞り駆動リング2に形成された絞り支持ボス部を挿入し、カム溝部3dに地板1のドーム壁部に形成されたボス部を挿入する。これによっても、絞り駆動リング2を回動させることで、絞り羽根3を絞り開閉方向に回動させることもできる。このように、絞り羽根3の穴部3cとカム溝部3dのそれぞれに挿入される絞り支持ボス部とカム溝に係合するボス部とは、それらの相対位置が変化すれば、どちらが地板1に形成されて、どちらが絞り駆動リング2に形成されてもよい。そして、この場合のように絞り羽根3の被支持部3bを直接的に支持するのが絞り駆動リング2であっても、被支持部3bが地板1に対して回動可能に支持されている点では同じである。
また、本実施例では、地板1に形成された絞り支持ボス部7と絞り駆動リング2に形成されたカムボス部8をそれぞれ、絞り羽根3に形成された穴部3cとカム溝部3dに挿入する場合について説明した。しかし、絞り羽根3に絞り支持ボス部7に相当するボス部とカムボス部8に相当するボス部とを形成し、これらを地板1に形成された穴部と絞り駆動リング2に形成されたカム溝部に挿入するようにしてもよい。
さらに、図6において、21,22は、地板1(および絞り駆動リング2)に対して絞り羽根3とは反対側に配置された2つのシャッタ羽根である。シャッタ羽根21,22も、絞り羽根3と同様に、遮光性を有する薄板状の部材である。
そして、23はシャッタ羽根21,22に対して地板1および絞り駆動リング2とは反対側に配置されたシャッタカバー板(シャッタカバー部材)である。シャッタカバー板23は、地板1に取り付けられて、絞り駆動リング2(ドーム壁部2a)との間にシャッタ羽根21,22を収容するシャッタ羽根室を形成する。シャッタカバー板23は、地板1(開口6)側に向かって凸(言い換えれば、地板1とは反対側に向かって凹)のドーム形状を有するドーム壁部23aと、該ドーム壁部23aの外周に形成されたリング部とを有する。ドーム壁部23aは、絞り駆動リング2のドーム壁部2aとほぼ同じ曲率を持つ球面(曲面)形状に形成されている。
ドーム壁部23aの最内周部(径方向中央部)には、光通過開口としての第3の固定開口28が形成されている。光軸方向において、第3の固定開口28の開口面の位置は、ドーム壁部23aの外周縁の部分(リング部)に比べて、地板1(開口6)から離れている。つまり、シャッタカバー板23において、ドーム壁部23aは、光軸方向において地板1から離れる方向に突出するように形成されている。
シャッタカバー板23は、そのリング部が地板1に接着されて結合されることで、地板1と一体化される。このため、シャッタカバー板23も、地板1および絞りカバー板4と同様にベース部材として扱うことができる。
シャッタ羽根21は、図9(b)に詳しく示すように、遮光部としてのシャッタ部21aと、被支持部21bとを有する。シャッタ部21aは、シャッタカバー板23の第3の固定開口28に対向する領域に進退して第3の固定開口28を開放したり閉塞したり(すなわち開閉)する。第3の固定開口28を閉じることで、該第3の固定開口28(および第1、第2の固定開口12,13)における光の通過を遮断する。
被支持部21bには穴部21cが形成されており、該穴部21cには、地板1に形成されたシャッタ支持ボス部26が挿入される。これにより、被支持部21b(つまりはシャッタ羽根21)は、地板1に対して、シャッタ支持ボス部26を中心として回動可能に支持される。さらに、シャッタ羽根21には、後述するシャッタ駆動ピンが挿入されて係合する穴部21dが形成されている。穴部21dが、絞り羽根3のカム溝部3dの溝形状に変わる係合部分として回転動作を規制する部分の回動中心となる。
もう1つのシャッタ羽根22も、シャッタ羽根21と同様に形成され、図11(a),(b)に示すように、シャッタ部22aと、支持ボス部が挿入される穴部22cが形成された被支持部22bと、シャッタ駆動ピンが挿入される貫通孔としての穴部22dとを有する。図11(a),(b)には、シャッタカバー板23を除いた状態でのシャッタ羽根21,22を示している。
これらシャッタ羽根21,22は、絞り駆動リング2のドーム壁部2aの凹面およびシャッタカバー板23の凸面に対向するように(又はこれに沿うように)配置され、これら凹面および凸面とほぼ同じ曲率を持つ球面(曲面)形状に形成されている。このため、シャッタ羽根21,22が回動するとき、シャッタ部21a,22aは、絞り駆動リング2のドーム壁部2aの凹面2eおよびシャッタカバー板23の凸面23cに沿って、つまりはこれら凹面2eおよび凸面23c(以下、これらをまとめてシャッタガイド面という)によりガイドされながら、第3の固定開口28を開閉する方向(以下、シャッタ開閉方向という)に回動する。
また、シャッタ羽根21,22のうちシャッタ部21a,22aよりも被支持部21b,22b側の部分は、前述した開口面Pに対して光軸方向への傾きβを有する。この傾きβは、90度以下の角度であり、被支持部21b,22bに傾きβが与えられることにより、シャッタ部21a,22aは、被支持部21b,22bに対して光軸方向に離れて位置する。なお、シャッタ羽根21,22のうち、被支持部21b,22bの開口面Pに対する光軸方向への傾きβは、シャッタ部21a,22aの開口面Pに対する光軸方向への傾きよりも大きい。
24はシャッタ羽根21,22を、シャッタ開閉方向に回動させるシャッタ駆動部であり、25はシャッタ駆動部24を地板1に固定するための固定部材である。シャッタ駆動部24は、例えば、二極に着磁されたマグネットと、それを取り囲むステータヨークと、該ステータヨークを励磁するコイル等により構成され、コイルへの通電によりマグネットを2位置間で往復回動させる。
本実施例では、シャッタ駆動部24および固定部材25は、地板1のうちシャッタ羽根21,22の被支持部21b,22bを支持するシャッタ支持ボス部26,27が設けられた側の面とは反対側の面(絞り駆動部5と同じ側の面)に取り付けられる。
シャッタ駆動部24のマグネットには、シャッタ駆動ピン24aが一体的に設けられており、該シャッタ駆動ピン24は、地板1に形成された穴部を貫通し、シャッタ羽根21,22の駆動穴部21d,22dに挿入されて係合する。このため、コイルへの通電によりシャッタ駆動ピン24aが回動すると、図11(a),(b)に示すように、シャッタ羽根21,22は、シャッタ支持ボス部26,27を中心としてシャッタ開閉方向に回動される。
シャッタ羽根21,22(少なくともシャッタ部21a,22b)は、絞り駆動リング2のドーム壁部2dおよびシャッタカバー板23のドーム壁部23aのガイド面2e,23cとほぼ同じ曲率を持つ球面(曲面)形状に形成されている。このためシャッタ羽根21,22が回動するときは、これらのガイド面2e,23cに沿って、つまりはこれらのガイド面2e,23cによりガイドされながら、シャッタ開閉方向に回動する。
図6および図9(b)に示すように、シャッタ駆動ピン24aの中心軸DXは、光軸方向(光軸AX)に対してドーム壁部23a(ガイド面2e)の法線方向に延びる傾きθDを有する。また、シャッタ羽根21,22におけるシャッタ駆動ピン24aと係合する駆動穴部21d,22dの中心軸は、シャッタ駆動ピン24aの中心軸DXに一致するように光軸AXに対して傾きを有する。さらに、シャッタ支持ボス部26,27は、光軸方向(光軸AX)に対して傾きθEを有し、シャッタ支持ボス部26,27と係合する穴部21c,22cの中心軸は、シャッタ支持ボス部26,27の中心軸EXに一致するように光軸AXに対して傾きを有する。したがって、シャッタ羽根21,22は、シャッタ駆動ピン24aおよびシャッタ支持ボス部26,27の中心軸が光軸方向に延びる場合に比べてスムーズに、かつ高速で回動することができる。
本発明の実施例の説明にも記載したが、シャッタ羽根22を駆動させる外周部側に羽根が引っかからないように段差を設けることもできる。実施例2に示した絞りシャッタ装置10の変形例として段差を設けた場合の外周側拡大図を図12に示す。地板1と駆動リング2の間の外周側に段差が生じるように、地板1の内周側の端部に段差部1h、駆動リング2の外周側端部に段差部2hを設けた。地板1の段差部1hには、シャッタ羽根22が接触しないように駆動リング2を組み付けている。段差部1h、2hは、シャッタ羽根22の移動に沿って方向に対して外側に向かって低くなるように駆動リング2の曲率が地板1の曲率よりも小さくなるように構成しているためシャッタ羽根22の外周部での引っかかりを防止し、スムーズな移動が可能となる。
本発明の実施例では、絞り羽根とシャッタ羽根とを搭載した光量調節装置について径方向での小型化を図り、スムーズに移動することができる構成を示した。また、本発明の構成を実施例1で示した絞り羽根の構成に適用し、シャッタ羽根に厚みの異なる部分を設けて、回動の中心となる被支持部側に厚い部分を設けてもよい。光量調節部以外の部分に光量調節部よりも厚い部分を設けることにより、光量調節羽根としてのシャッタ羽根121、122の強度を向上させることができる。また、シャッタ羽根121、122を精度良く動作することが可能となる。なお、絞り羽根の実施例と同様、シャッタ羽根も光量調節部を球面と形成する一方、ガイド面を球面とせず円錐台面としても良い。
光量調節羽根は同一方向へ凸形状を有するカバー部材4、駆動リング2、シャッターカバー23のいずれか二つの部材の間に形成された一定の空間の間を移動するように配置することで、小型化に適した光量調節羽根を移動させ易い。
なお、本実施例では、地板1に形成されたシャッタ支持ボス部26,27を、シャッタ羽根21,22に形成された穴部21c,22cに挿入する場合について説明した。しかし、シャッタ支持ボス部をシャッタカバー板4に設けてもよい。また、シャッタ羽根21,22にシャッタ支持ボス部26,27に相当するボス部を形成し、これらを地板1に形成された穴部に挿入するようにしてもよい。
以上のように、本実施例の絞りシャッタ装置10では、図8に示すように、絞り羽根3およびシャッタ羽根21,22において、それぞれの被支持部3b,21b,22bに対して絞り部3aおよびシャッタ部21a,22aが光軸方向に離れて位置するように、各被支持部が開口面Pに対して光軸方向における同じ側への傾きα,βを有する。これにより、絞り羽根3およびシャッタ羽根21,22よりも径方向における内側に、第1〜第3の固定開口(光通過開口)12,13,28に面した凹空間Sが形成される。
この凹空間Sは、実際には第3の固定開口28を有するシャッタカバー板23の径方向内側に、光軸方向において、絞り駆動リング2および絞りカバー板4に形成された第1および第2の固定開口12,13の側に向かって奥行きを有する空間として形成される。凹空間Sは、第1〜第3の固定開口12,13,28の側においてこれら第1〜第3の固定開口12,13,28に向かって開口しており(つまり第1〜第3の固定開口12,13,28に面しており)、その反対側に向かって内径が増加して絞りシャッタ装置10の光軸方向外部に向かって開口している。
凹空間Sには、図8に示すように、レンズ51の少なくとも一部を入り込ませることが可能である。すなわち、本実施例によれば、形絞り羽根3とシャッタ羽根21,22を開放状態まで開くことなく、これらの羽根3,21,22よりも径方向内側に、レンズ51の少なくとも一部を入り込ませることが可能な凹空間Sを形成することができる。
また、本実施例では、絞り羽根3およびシャッタ羽根21,22のうち一方の羽根(本実施例では絞り羽根3)が他方の羽根(本実施例ではシャッタ羽根21,22)に対して光軸方向における凹空間Sとは反対側に配置され、該絞り羽根3が、地板1よりも凹空間Sとは反対側に凸となるように配置されている。そして、このような絞り羽根3の配置により、図8に示すように、絞り羽根3(絞りカバー板4のドーム壁部4a)の凸面とレンズ53の凹面とを近接させることが可能であり、絞り羽根3およびシャッタ羽根21,22を、レンズ51の凸面とレンズ53の凹面との間の狭い空間に配置することができる。
さらに、本実施例では、シャッタ羽根21,22、地板1および絞り羽根3を、凹空間Sの凹み方向(第1〜第3の固定開口12,13,28に向かう奥行き方向)にこの順で配置している。言い換えれば、複数の絞り羽根3を、絞りシャッタ装置10が光軸方向に凸となっている側に配置し、シャッタ羽根21,22を凹となっている面に配置している。この理由は、以下の通りである。絞り羽根3の数(本実施例では6枚)は、シャッタ羽根21,22の数よりも多く、地板1や絞り駆動リング2に形成する支持ボス部7やカムボス部8の数もこれに応じて多くなる。このような軸部をドーム形状の壁部に形成する場合、凹面に形成するより凸面に形成する方が、金型構造が簡単になり成形が行い易く、生産性も高めることが可能であるためである。
ただし、これとは逆に、シャッタ羽根、地板および絞り羽根を、凹空間の凹み方向とは反対方向にこの順で配置する、つまり絞り羽根を絞りシャッタ装置が光軸方向に凹となっている側に配置し、シャッタ羽根を凸となっている面に配置してもよい。
(実施例3)
上記実施例1にて説明した絞り装置110及び実施例2にて説明した絞りシャッタ装置10が搭載された光学機器としてのカメラ(ビデオカメラ又はスチルカメラ)を図13に示す。50はカメラ本体であり、51,53は撮影光学系を構成する複数のレンズである。52はCCDセンサやCMOSセンサ等により構成される撮像素子であり、撮影光学系により形成された被写体像を光電変換する。
54はCPU等により構成されるコントローラであり、絞り装置110または絞りシャッタ装置10の駆動部5,24や撮像素子52の動作を制御する。
このようなカメラにおいて、図8に示すように、絞り装置110または絞りシャッタ装置10の凹空間Sには、絞り装置110または絞りシャッタ装置10に対して光軸方向にて隣接配置されたレンズ51の少なくとも一部(凸面)が入り込むことができる。なお、図8には、凹空間Sへのレンズ51の入り口が像面方向に向かって開口しており、絞りシャッタ装置10に対して像面側に隣接配置されたレンズ51およびこれを保持するレンズ保持部材52の大部分が凹空間Sに入り込んでいる様子を示している。凹空間Sへのレンズ51の入り口を被写体方向に向けて、絞りシャッタ装置10に対して被写体側に隣接配置されたレンズ53が凹空間Sに入り込むようにしてもよい。絞り装置110に対しても凹空間とレンズの関係は同様に構成することができる。
このような配置とすることにより、特に光軸方向においてカメラの撮影光学系の小型化を図ることが可能となる。
また、図8には、実施例2でも触れたが、絞りシャッタ装置10の絞りカバー板4のドーム壁部4aの被写体側の凸面と絞りシャッタ装置10に対して被写体側に隣接配置されたレンズ53の像面側の凹面とが近接している様子も示している。このように、絞りシャッタ装置10の絞り羽根3およびシャッタ羽根21,22を、レンズ51の被写体側の凸面とレンズ53の像面側の凹面との間の狭い空間に配置することも可能である。
さらに、図8に示すように、絞りシャッタ装置10とその両側のレンズ51,53とが近接した状態で、撮影光学系を保持するレンズ鏡筒がカメラ本体内に収納(沈胴)されるようにしてもよい。
また、絞り装置110または絞りシャッタ装置10は、図13に示したカメラだけでなく、交換レンズ等の他の光学機器にも搭載することができる。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
光量調節装置の小型化に適した光量調節羽根およびこれを搭載したカメラ等の光学機器を提供できる。
1,101 地板
2,102 絞り駆動リング
3,103 絞り羽根
4,104 絞りカバー部材
5,105 絞り駆動部
7,106 絞り支持ボス部
8,108 カムボス部
10 絞りシャッタ装置
21,22 シャッタ羽根
26,27 シャッタ支持ボス部
24 シャッタ駆動部
24a シャッタ駆動ピン
51,53 レンズ
110 絞り装置

Claims (15)

  1. 羽根としての回動中心となる被支持部と、
    前記羽根の前記被支持部とは異なる位置に設けられ、前記被支持部を回動中心とした動作を軸部で規制する回動規制部とを有し、
    前記被支持部における回動中心軸方向と前記羽根の回動における前記軸部の軸方向とが実質的に交差することを特徴とする光量調節羽根。
  2. 光路を形成する開口内に移動して光量を調節する光量調節羽根であって、
    板状の羽根部材と、前記羽根部材の一端部側に設けられ、かつ前記羽根部材を回動させる駆動部に支持されて前記羽根部材の回動支点となる被支持部とを有し、
    前記羽根部材は、前記被支持部とは異なる位置に設けられ、前記被支持部を回動中心とした動作を軸部で規制する回動規制部を備え、
    前記被支持部における回動中心軸方向と前記羽根部材の回動における前記軸部の軸方向とが実質的に交差し、
    前記羽根部材は、湾曲した板状の部材から形成され、かつ前記被支持部における前記羽根部材の回動中心軸方向と前記開口内における光軸方向とが実質的に交差することを特徴とする光量調節羽根。
  3. 前記回動規制部は、回動を規制するカム溝であることを特徴とする請求項1または2に記載の光量調節羽根。
  4. 光量を調節する光量調節部以外の前記被支持部を含む部分の厚みは、前記光量調節部の厚みよりも厚いことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の光量調節羽根。
  5. 金型のスプルーからゲートを経由してキャビティに溶融樹脂を射出し成形品を成形する射出成形にて成形され、前記被支持部付近にゲートを有していることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の光量調節羽根。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の光量調節羽根と前記光量調節羽根を駆動する羽根駆動部を備えたことを特徴とする光量調節装置。
  7. 固定開口を有するベース部材と、
    前記固定開口を通過する光の量を調節するための光量調節部および前記ベース部材に対して回動可能に支持された前記被支持部を備えた請求項1〜のいずれか一項に記載の光量調節羽根とを有し、
    前記固定開口の開口面に直交する方向を光軸方向とし、前記固定開口の径に沿った方向を径方向とするとき、
    前記光量調節羽根において前記光量調節部が前記被支持部に対して前記光軸方向に離れて位置するように前記被支持部が前記開口面に対して前記光軸方向への傾きを有することを特徴とする光量調節装置。
  8. 前記光量調節羽根において、少なくとも前記光量調節部よりも前記被支持部の方が前記開口面に対する前記光軸方向への傾きが大きいことを特徴とする請求項に記載の光量調節装置。
  9. 前記被支持部は、前記光軸方向に対して傾いた軸回りで回動することを特徴とする請求項又はに記載の光量調節装置。
  10. 前記光量調節羽根の前記被支持部と前記ベース部材のうち一方に形成されたボス部が他方に形成された穴部に挿入されることにより、前記光量調節羽根が前記ベース部材に対して回動可能に支持されており、
    前記ボス部の中心軸が、前記光軸方向に対して傾いていることを特徴とする請求項に記載の光量調節装置。
  11. 前記光量調節部により光が通過する光通過開口を形成する遮光羽根としての前記光量調節羽根を複数有しており、該複数の光量調節羽根を回動させて前記光通過開口の大きさを変化させることにより前記光の量を調節することを特徴とする請求項10のいずれか1項に記載の光量調節装置。
  12. 前記ベース部材の前記光量調節羽根を覆うカバー部が、その周囲の部分に対して、前記光軸方向における前記被支持部側から前記光量調節部側に突出するように形成されていることを特徴とする請求項11のいずれか1項に記載の光量調節装置。
  13. 前記ベース部材に対して回転して前記光量調節羽根を回動させる駆動部材を有し、
    該駆動部材は、前記光量調節羽根に対向し、かつ前記光量調節羽根よりも前記光軸方向に直交する方向の内側に前記開口面に面した凹空間を囲む壁部を有することを特徴とする請求項12のいずれか1項に記載の光量調節装置。
  14. 前記ベース部材に対して回転して前記光量調節羽根を回動させる駆動部材と、
    該駆動部材を回転させるアクチュエータを含む駆動部とを有し、
    前記ベース部材のうち前記光量調節羽根を覆うカバー部が、その周囲の部分に対して、前記光軸方向における前記被支持部側から前記光量調節部側に突出するように形成されており、
    前記駆動部は、前記ベース部材に、前記カバー部が突出する方向と逆方向に突出するように配置されていることを特徴とする請求項13のいずれか1項に記載の光量調節装置。
  15. 請求項14のいずれか一項に記載の光量調節装置とレンズを有することを特徴とする光学機器。
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