JP6050775B2 - 取り外し可能プランジャチップを有するプランジャ - Google Patents

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Description

本開示は全体として、射出成形機に関し、特にバルク金属ガラスを射出成形するように構成された射出成形機に関する。
今日使用されている金属合金の大部分は、少なくとも初期段階で、凝固鋳造によって加工処理されている。この金属合金は、融解され、金属又はセラミックの金型内に流し込まれて、ここで凝固する。金型が剥ぎ取られて、その鋳造金属片は、使用又は更なる加工処理のための準備が整う。凝固及び冷却の間に作り出される、殆どの材料の鋳放し構造は、冷却速度に応じて決定される。その変異の性質に関しては、一般規則は存在しないが、大部分は、その構造は、冷却速度の変化と共に、徐々に変化するのみである。その一方で、バルク凝固アモルファス合金に関しては、比較的急速な冷却によって作り出されるアモルファス状態と、比較的緩徐な冷却によって作り出される結晶状態との間の変化は、程度ではなく種類の変化であり、それらの2つの状態は、はっきり異なる特性を有する。
バルク凝固アモルファス合金、すなわちバルク金属ガラス(「BMG」)は、最近開発された部類の金属材料である。これらの合金は、比較的穏やかな速度で、凝固及び冷却させることができ、それらは、アモルファスの、非晶質(すなわち、ガラス質)状態を室温で保持する。このアモルファス状態は、特定用途に関して極めて有利なものとなり得る。冷却速度が十分に高速ではない場合には、冷却の間に、その合金の内部で結晶が形成される恐れがあり、そのためアモルファス状態の利益が、部分的又は完全に失われる。例えば、バルクアモルファス合金部品の製作に伴う1つのリスクは、徐冷又は原料中の不純物のいずれかによる、部分的な結晶化である。
バルク凝固アモルファス合金は、様々な金属系で作製されている。それらの合金は、一般的には、融解温度を超える温度から周囲温度へと急冷することによって調製される。一般的には、アモルファス構造を達成するためには、約105℃/秒などの、高冷却速度が必要である。バルク凝固合金が、結晶化を回避するよう冷却され、これによって冷却中にアモルファス構造を構築し、維持することができる最低速度は、その合金に関する「臨界冷却速度」と称される。この臨界冷却速度よりも高速の冷却速度を達成するためには、サンプルから熱を抽出しなければならない。それゆえ、アモルファス合金から作製される物品の厚さは、一般に「臨界(鋳造)厚さ」と称される、限界寸法になる場合が多い。アモルファス合金の臨界厚さは、臨界冷却速度を考慮に入れた、熱流計算によって得ることができる。
90年代前半までは、アモルファス合金の加工性は極めて限定されたものであり、容易に入手可能なアモルファス合金は、粉末の形態、又は100マイクロメートル未満の臨界厚さを有する極薄の箔若しくはストリップのみであった。主にZr及びTi合金系をベースとするアモルファス合金の部類が、90年代に開発され、それ以来、種々の元素をベースとする、より多くのアモルファス合金系が開発されている。これらのファミリーの合金は、103℃/秒未満の、遙かに低速の臨界冷却速度を有するため、それらの合金は、それらの以前の対応物よりも遙かに大きい臨界鋳造厚さを有する。しかしながら、これらの合金系を利用し、及び/又は消費者向け電子機器における構成要素などの構造的構成要素へと成形するための方法に関しては、殆ど示されていない。具体的には、高アスペクト比の製品(例えば、薄いシート)又は3次元中空製品に関しては、既存の成形方法又は加工処理方法は、多くの場合、高い生産コストを生じさせる。更には、それらの既存の方法は多くの場合、アモルファス合金で見られる望ましい機械的特性の多くが失われた製品を、生産するという欠点を被る恐れがある。
射出成形機のプランジャのチップは、溶融状態のBMGなどの溶融材料と直接接触することができる。このチップは、プランジャの残部よりも、短い耐用期間を有する傾向がある。BMGは、極めて硬質な材料である傾向があるため、BMGは、プランジャチップの寿命を短縮させる傾向がある。BMGが冷却され、プランジャチップに抗して作用する際、そのBMGは、プランジャチップの表面に深刻な損傷を急速に引き起こす恐れがある。交換可能なチップを有するプランジャは、プランジャ全体を交換することなく、そのチップを交換することを可能する。BMGの射出成形との関連では、チップからプランジャへの熱伝導を制御することにより、射出成形プロセスでのBMGの凝固の制御を可能にすることができるが、最終BMG部品の品質は、BMGの全熱履歴に応じて決定され得るため、このことは、BMG鋳造プロセスを設計する際、重要な課題となる可能性がある。
本明細書では、射出成形機のプランジャが説明される。このプランジャは、プランジャ本体と、プランジャ本体とは別個の要素であり、及び射出成形で使用される溶融材料(溶融状態のBMGなどの)と射出成形機内で直接接触するように構成された端面を含む、プランジャチップと、を有し得るものであり、このプランジャチップの端面にわたる熱コンダクタンスは、プランジャ本体に対するプランジャチップの接触区域にわたる熱コンダクタンスよりも小さい。
本明細書で使用するとき、接触区域にわたる熱コンダクタンスとは、接触区域にわたる温度差が1ケルビンである場合に、その接触区域を単位時間に通過する熱量であり、端面にわたる熱コンダクタンスとは、端面にわたる温度差が1ケルビンである場合に、その端面を単位時間に通過する熱量である。
一実施形態によれば、接触区域にわたる熱コンダクタンスは、接触区域を変化させることによって調節可能である。
一実施形態によれば、プランジャ本体及びプランジャチップは、異なる熱伝導率の材料を含む。
一実施形態によれば、プランジャ本体は、溶融材料と直接接触しないように構成される。
一実施形態によれば、プランジャチップは、プランジャ本体に取り外し可能に接続される。
一実施形態によれば、プランジャチップは、ねじ山によってプランジャ本体に接続される。
一実施形態によれば、プランジャチップは、摩擦嵌合又はプレス嵌合によってプランジャ本体に接続される。
一実施形態によれば、プランジャチップは、ツイストロック機構によってプランジャ本体に接続されることにより、チップが回転によって定位置に固定される。
一実施形態によれば、プランジャチップは、プランジャ本体の上に完全に適合するため、プランジャチップは、プランジャ壁部を含むように、一方の端部が閉鎖された円筒形状に成形され、プランジャ本体の上に適合する。
一実施形態によれば、接触区域は、プランジャ本体に対してプランジャチップを移動させることで調節可能である。
一実施形態によれば、プランジャ本体の端面は、間隙によってプランジャチップから隔てられる。
一実施形態によれば、プランジャ本体は、冷却流体を収容するように構成された1つ以上のチャネルを内部に有する。
一実施形態によれば、プランジャ本体は、そのプランジャ本体の端面に突起部を有し、プランジャチップは陥凹部を有し、その突起部の側壁と陥凹部の側壁とが熱接触する。
一実施形態によれば、プランジャチップは、プランジャ本体を交換することなく、別個に交換可能である。
また本明細書では、上述のプランジャの実施形態のうちのいずれかによるプランジャを含む、射出成形機も説明される。
更に本明細書では、BMGを射出成形する方法が説明され、この方法は、BMG原料を、溶融状態のBMGへと融解させる工程と、この溶融状態のBMGを、上述のプランジャのうちのいずれかに係るプランジャによって、金型内に押し込む工程と、を含む。
一実施形態によれば、この方法は、溶融状態のBMGを、金型内で凝固させる工程を更に有する。
一実施形態によれば、この方法は、凝固したBMGを金型から排出する工程を更に有する。
一実施形態によれば、BMG原料は鉄を本質的に含まず、BMG原料はニッケルを本質的に含まず、BMG原料はコバルトを本質的に含まず、BMG原料は金を本質的に含まず、BMG原料は銀を本質的に含まず、BMG原料は白金を本質的に含まず、又はBMG原料は強磁性ではない。
例示的なバルク凝固アモルファス合金の温度−粘度図である。
例示的なバルク凝固アモルファス合金に関する、時間−温度−変態(TTT)図の概略図である。
プランジャチップである。
一実施形態に係るプランジャチップである。
一実施形態に係るプランジャチップである。
一実施形態に係るプランジャチップである。
本明細書に引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
冠詞「a」及び「an」は、本明細書では、1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)の、その冠詞の文法的対象語を指すために使用される。例として、「ポリマー樹脂(a polymer resin)」は、1つのポリマー樹脂又は2つ以上のポリマー樹脂を意味する。本明細書に記載されるいずれの範囲も、包括的である。本明細書の全体を通して使用される、用語「実質的に」及び「約」は、小規模な変動を記述及び説明するために使用される。例えば、それらの用語は、±2%以下など、±1%以下など、±0.5%以下など、±0.2%以下など、±0.1%以下など、±0.05%以下などの、±5%以下を指すことができる。
バルク凝固アモルファス合金、すなわちバルク金属ガラス(「BMG」)は、最近開発された部類の金属材料である。これらの合金は、比較的穏やかな速度で凝固及び冷却させることができ、それらは、アモルファスの、非晶質(すなわち、ガラス質)状態を室温で保持する。アモルファス合金は、それらの結晶性の対応物よりも、多くの優れた特性を有する。しかしながら、冷却速度が十分に高速ではない場合には、冷却の間に、その合金の内部で結晶が形成される恐れがあり、そのため、アモルファス状態の利益が失われる恐れがある。例えば、バルクアモルファス合金部品の製造に伴う1つの重要な課題は、徐冷又は合金原料中の不純物のいずれかによる、それらの部品の部分的な結晶化である。BMG部品内では、高い程度のアモルファス化度(また反対に、低い程度の結晶化度)が望ましいため、制御された量のアモルファス化度を有するBMG部品を鋳造するための方法を、開発する必要性がある。
図1(米国特許第7,575,040号より入手)は、Liquidmetal Technologyによって製造されたZr−−Ti−−Ni−−Cu−−BeファミリーのVIT−001シリーズからの、例示的なバルク凝固アモルファス合金の粘度−温度グラフを示す。アモルファス固体の形成の間、バルク凝固アモルファス金属に関しては、明確な液体/固体変態が存在しないことに留意するべきである。この溶融合金は、ガラス転移温度近傍で固体形態に近づくまで、過冷却の増大と共に、ますます粘稠になる。したがって、バルク凝固アモルファス合金に関する凝固前面の温度は、ガラス転移温度近傍とすることができ、その温度近傍で、この合金は事実上、急冷アモルファスシート製品を引き抜く目的に関して、固体として作用する。
図2(米国特許第7,575,040号より入手)は、例示的なバルク凝固アモルファス合金の、時間−温度−変態(TTT)冷却曲線、すなわちTTT図を示す。バルク凝固アモルファス金属は、従来の金属と同様に、冷却の際の液体/固体の結晶化変態を起こさない。その代わりに、高温で(「融解温度」Tm近傍で)見出される、高度に流体の非晶質形態の金属は、温度が低減されるにつれて(ガラス転移温度Tg近傍まで)より粘稠になり、最終的に従来の固体の外面的な物理的特性を呈する。
バルク凝固アモルファス金属に関しては、液体/結晶化変態は存在しないにも関わらず、対応する結晶相の熱力学的液相温度として、「融解温度」Tmを定義することができる。この体系の下では、バルク凝固アモルファス合金の融解温度での粘度は、約0.1ポアズ〜約10,000ポアズの範囲に、更に場合によっては、0.01ポアズ未満にあることが可能である。この「融解温度」でのより低い粘度は、BMG部品を成形するためのバルク凝固アモルファス金属による、シェル/金型の複雑な部分のより速く完全な充填をもたらす。更には、BMG部品を成形するための溶融金属の冷却速度は、冷却の間の時間−温度プロファイルが、図2のTTT図内の結晶化領域を境界付けるノーズ形状領域を横断しないようなものでなければならない。図2では、Tノーズは、結晶化が最も急速であり、かつ最短の時間スケールで生じる、臨界結晶化温度Txである。
過冷却液体領域である、Tg〜Txの温度領域は、バルク凝固合金の結晶化に対する、極度の安定性を明示するものである。この温度領域内では、バルク凝固合金は、高粘度の液体として存在し得る。この過冷却液体領域内でのバルク凝固合金の粘度は、ガラス転移温度での1012Pa・sから、結晶化温度である過冷却液体領域の高温限界での105Pa・sに至るまでの間で変化し得る。そのような粘度を有する液体は、加圧力の下で、実質的な塑性歪みを経験し得る。本明細書の実施形態は、成形及び分離方法として、この過冷却液体領域内での大きい塑性成形性を利用する。
Txについて明確にする必要がある。技術的には、TTT図に示されるノーズ形状の曲線は、Txを温度及び時間の関数として説明する。それゆえ、金属合金を加熱又は冷却する間に辿る軌跡とは関係なく、このTTT曲線に当る場合に、Txに到達している。図1(b)では、Txは破線として示されるが、これは、Tmの近位からTgの近位まで、Txが変化し得るためである。
図2の概略的なTTT図は、時間−温度の軌跡(例示的軌跡として、(1)として示す)がTTT曲線に当ることがない、Tm以上〜Tg未満のダイキャストの加工処理方法を示す。ダイキャストの間、この成形は、軌跡がTTT曲線に当ることを回避するために、実質的に急速冷却と同時に行われる。時間−温度の軌跡(例示的軌跡として、(2)、(3)及び(4)として示す)がTTT曲線に当ることがない、Tg以下からTm未満までの超塑性成形(SPF)に関する加工処理方法。SPFでは、アモルファスBMGは、過冷却液体領域内へと再加熱され、利用可能な加工処理ウインドウは、ダイキャストよりも遙かに大きく、より良好なプロセスの可制御性をもたらすことが可能である。SPFプロセスは、冷却の間の結晶化を回避するための急速冷却を必要としない。また、例示的軌跡(2)、(3)、及び(4)によって示されるように、SPFの間の最高温度が、Tノーズ超又はTノーズ未満、最大約Tmとなる状態で、SPFを実施することができる。一個のアモルファス合金を昇温させるが、TTT曲線に当ることを回避するように管理する場合には、「Tg〜Tm」に加熱しても、Txには到達していない。
20℃/分の加熱速度で得られる、バルク凝固アモルファス合金の典型的な示差走査熱量計(DSC)加熱曲線は、大部分は、TTTデータを横切る具体的な軌跡を説明するものであり、特定温度でのTgと、DSC加熱傾斜がTTT結晶化開始と交差する場合のTxと、最終的に、同じ軌跡が融解に関する温度範囲と交差する場合の融解ピークとが認められるであろう。図2の軌跡(2)、(3)、及び(4)の上り傾斜部分によって示されるような急速な加熱速度で、バルク凝固アモルファス合金を加熱する場合には、TTT曲線を完全に回避することが可能であり、DSCデータは、加熱の際、ガラス転移を示すが、Txは示さない。このことについての別の考察方法は、軌跡(2)、(3)、及び(4)は、結晶化曲線に当らない限り、TTT曲線のノーズ(及び更にその上方)〜Tg線の温度内の、いずれの場所にも収まることができる点である。そのことは、加工処理温度が上昇するにつれて、軌跡内の水平な平坦部が遙かに短くなり得ることを単に意味する。

本明細書での用語「相」は、熱力学状態図内で見出すことができるものを指すことができる。相は、その全体にわたって、材料の全ての物理的特性が本質的に均一である、空間の領域(例えば、熱力学系)である。物理的特性の例としては、密度、屈折率、化学組成、及び格子周期性が挙げられる。相の単純な説明は、化学的に均一であり、物理的に異なっており、及び/又は機械的に分離可能な材料の領域である。例えば、ガラスジャー内の、氷及び水からなる系では、その角氷が1つの相であり、水が第2の相であり、その水の上の湿り空気が第3の相である。ジャーのガラスは、別の分離相である。相は、金属間化合物などの、2成分、3成分、4成分以上の溶体又は化合物とすることができる、固溶体を指すことができる。別の例としては、アモルファス相は、結晶相とは識別可能である。
金属、遷移金属、及び非金属
用語「金属」は、電気陽性の化学元素を指す。本明細書での用語「元素」は、全般的には、周期表に見出すことができる元素を指す。物理的には、基底状態の金属原子は、占有状態に近い、空状態を有する部分的充満帯を含む。用語「遷移金属」とは、不完全な内部電子殻を有し、一連の元素内の、最も電気陽性のものと最も電気陽性ではないものとの間の遷移リンクとして役立つ、周期表の第3族〜第12族の範囲内の金属元素のうちのいずれかである。遷移金属は、複数の原子価、着色化合物、及び安定な錯イオンを形成する能力によって特徴付けられる。用語「非金属」は、電子を失って陽イオンを形成する能力を有さない化学元素を指す。
用途に応じて、任意の好適な非金属元素、又はそれらの組み合わせを使用することができる。合金(又は「合金組成物」)は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ以上の非金属元素などの複数の非金属元素を含み得る。非金属元素は、周期表内の第13族〜第17族内に見出される、いずれかの元素とすることができる。例えば、非金属元素は、F、Cl、Br、I、At、O、S、Se、Te、Po、N、P、As、Sb、Bi、C、Si、Ge、Sn、Pb、及びBのうちの、いずれか1つとすることができる。場合により、非金属元素はまた、第13族〜第17族内の特定の半金属(例えば、B、Si、Ge、As、Sb、Te、及びPo)を指すこともできる。一実施形態では、非金属元素としては、B、Si、C、P、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。したがって、例えば、その合金は、ホウ化物若しくは炭化物、又は双方を含み得る。
遷移金属元素は、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオビウム、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、ラザホージウム、ドブニウム、シーボーギウム、ボーリウム、ハッシウム、マイトネリウム、ウンウンニリウム、ウンウンウニウム、及びウンウンビウムのうちのいずれかとすることができる。一実施形態では、遷移金属元素含有BMGは、Sc、Y、La、Ac、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、及びHgのうちの少なくとも1つを有し得る。用途に応じて、任意の好適な遷移金属元素、又はそれらの組み合わせを使用することができる。合金組成物は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ以上の遷移金属元素などの、複数の遷移金属元素を含み得る。
本明細書で説明される、合金又は合金「サンプル」又は「試料」合金は、任意の形状又はサイズを有し得る。例えば、合金は、球形、楕円、ワイヤ状、ロッド状、シート状、フレーク状、又は不規則形状などの形状を有し得る、微粒子の形状を有し得る。この微粒子は、任意のサイズを有し得る。例えば、その微粒子は、約5マイクロメートル〜約80マイクロメートルなど、約10マイクロメートル〜約60マイクロメートルなど、約15マイクロメートル〜約50マイクロメートルなど、約15マイクロメートル〜約45マイクロメートルなど、約20マイクロメートル〜約40マイクロメートルなど、約25マイクロメートル〜約35マイクロメートルなどの、約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルの平均直径を有し得る。例えば、一実施形態では、微粒子の平均直径は、約25マイクロメートル〜約44マイクロメートルである。一部の実施形態では、ナノメートルの範囲のものなどの、より小さい微粒子、又は100マイクロメートルよりも大きいものなどの、より大型の微粒子を使用することができる。
合金のサンプル又は試料はまた、遙かに大きい寸法のものにすることもできる。例えば、インゴットなどのバルク構造構成要素、電子機器の筺体/ケーシング、又は更にミリメートル、センチメートル、又はメートルの範囲の寸法を有する構造的構成要素の一部分とすることができる。
固溶体
用語「固溶体」は、溶体の固体形態を指す。用語「溶体」は、固体、液体、気体、又はこれらの組み合わせとすることができる、2種以上の物質の混合物を指す。この混合物は、均質又は不均質とすることができる。用語「混合物」とは、互いに組み合わされ、一般的には分離することが可能である、2種以上の物質の組成物である。一般的には、それらの2種以上の物質は、互いに化合されない。
合金
一部の実施形態では、本明細書で説明される合金組成物は、完全に合金化することができる。一実施形態では、「合金」とは、一方の原子が他方の原子に置き換わるか、又は原子間の格子間位置を占有する、2種以上の金属の均質な混合物又は固溶体を指すものであり、例えば、黄銅は、亜鉛及び銅の合金である。合金とは、複合材料とは対照的に、金属マトリックス中の1種以上の化合物などの、金属マトリックス中の1種以上の元素の部分的又は完全な固溶体を指すことができる。本明細書での合金という用語は、単一の固相の微細構造を呈し得る全率固溶合金、及び2つ以上の相を呈し得る部分的溶体の双方を指すことができる。本明細書で説明される合金組成物は、合金を含むもの、又は合金含有複合材料を含むものを指すことができる。
それゆえ、完全に合金化した合金は、固溶体相であれ、化合物相であれ、又は双方であれ、その構成成分の均質な分布を有し得る。本明細書で使用される用語「完全に合金化された」は、許容誤差範囲内の僅かな変異を説明することができる。例えば、その用語は、少なくとも95%の合金化など、少なくとも99%の合金化など、少なくとも99.5%の合金化など、少なくとも99.9%の合金化などの、少なくとも90%の合金化を指すことができる。本明細書での百分率は、文脈に応じて、体積百分率又は重量百分率のいずれかを指すことができる。これらの百分率は、合金の部分ではない組成又は相の観点によるものとすることができる、不純物によって均衡させることができる。
アモルファス又は非晶質固体
「アモルファス」又は「非晶質固体」は、結晶に特徴的な格子周期性を欠く固体である。本明細書で使用するとき、「アモルファス固体」は、ガラス転移を通じて、加熱されると液体状の状態へと軟化及び変態するアモルファス固体である、「ガラス」を含む。一般的には、アモルファス材料は、結晶に特徴的な長距離秩序を欠くが、それらのアモルファス材料は、化学結合の性質による、原子の長さスケールでの何らかの短距離秩序を保有し得る。アモルファス固体と結晶性固体との区別は、X線回折及び透過型電子顕微鏡検査などの構造特性評価技術によって判定される、格子周期性に基づいて行なうことができる。
用語「秩序」及び「無秩序」とは、多粒子系内での何らかの対称性又は相関性の有無を指示する。用語「長距離秩序」及び「短距離秩序」は、長さスケールに基づいて、材料内の秩序を区別する。
固体内の秩序の、最も厳密な形態は、格子周期性である。特定のパターン(単位格子内の原子の配置構成)が何度も繰り返され、並進的に不変の、空間の充填を形成する。この格子周期性は、結晶の定義特性である。可能な対称性は、14種のブラベー格子及び230種の空間群に分類されている。
格子周期性は、長距離秩序を示唆するものである。1つの単位格子のみが知られる場合には、その並進対称性によって、任意の距離での、全ての原子配置を正確に予測することが可能である。一般に逆も真であるが、ただし、例えば、完全に確定的な充填を有するが、格子周期性を保有しない、準結晶の場合は例外である。
長距離秩序は、同じサンプルの遠隔の部分が、相関する挙動を呈する、物理系を特徴付ける。この長距離秩序は、相関関数、すなわち次のスピン−スピン相関関数として表現することができる。
上記の関数では、sはスピン量子数であり、xは特定の系内の距離関数である。この関数は、x=x’である場合、単位元に等しく、距離│x−x’│が増大するにつれて減少する。典型的には、この関数は、長距離で、指数関数的にゼロまで減衰し、その系は無秩序であると見なされる。しかしながら、この相関関数が、大きい│x−x’│で一定値へと減衰する場合には、その系は長距離秩序を保有すると述べることができる。この関数が、距離の累乗でゼロまで減衰する場合には、準長距離秩序と呼ぶことができる。大きい値の│x−x’│を構成するものは、相対的であることに留意されたい。
系は、その挙動を定義する一部のパラメータが、経時的に進展しないランダム変数である(すなわち、それらが急冷又は凍結される)場合、急冷無秩序、例えば、スピングラスを提示すると延べることができる。この急冷無秩序は、ランダム変数自体が進展することが可能な、焼鈍無秩序とは反対である。本明細書の実施形態は、急冷無秩序を含む系を包含する。
本明細書で説明される合金は、結晶性、部分結晶性、アモルファス、又は実質的アモルファスとすることができる。例えば、合金サンプル/試料は、少なくともある程度の結晶化度を含み得るものであり、ナノメートル及び/又はマイクロメートルの範囲のサイズを、結晶粒/結晶が有する。あるいは、合金は、十分にアモルファスであるなどの、実質的アモルファスとすることができる。一実施形態では、合金組成物は、実質的に結晶性であるなど、完全に結晶性であるなどの、少なくとも実質的にアモルファスではない。
一実施形態では、他のアモルファス合金中の、1種の結晶又は複数種の結晶の存在は、その合金中の「結晶相」として解釈することができる。合金の結晶化度の程度(又は一部の実施形態では、略して「結晶化度」)とは、その合金中に存在する結晶相の量を指すことができる。その程度とは、例えば、合金中に存在する結晶の分率を指すことができる。この分率は、文脈に応じて、体積分率又は重量分率を指すことができる。アモルファス合金がどの程度「アモルファス」であるかの尺度を、アモルファス化度とすることができる。アモルファス化度は、結晶化度の程度の観点により測定することができる。例えば、一実施形態では、低い程度の結晶化度を有する合金は、高い程度のアモルファス化度を有すると述べることができる。一実施形態では、例えば、60体積%の結晶相を有する合金は、40体積%のアモルファス相を有し得る。
アモルファス合金又はアモルファス金属
「アモルファス合金」とは、50体積%超のアモルファス含有量、好ましくは90体積%超のアモルファス含有量、より好ましくは95体積%超のアモルファス含有量、最も好ましくは99体積%超〜ほぼ100体積%のアモルファス含有量を有する合金である。上述のように、アモルファス化度が高い合金は、結晶化度の程度が同等に低いことに留意されたい。「アモルファス金属」とは、無秩序な原子スケール構造を有するアモルファス金属材料である。結晶性であることにより、高度に秩序化された原子配置を有する、殆どの金属とは対照的に、アモルファス合金は非晶質である。そのような無秩序構造が、冷却の間に液体状態から直接作り出される材料は、「ガラス」と称される場合がある。したがって、アモルファス金属は、一般に「金属ガラス」又は「ガラス金属」と称される。一実施形態では、バルク金属ガラス(「BMG」)とは、その微細構造が少なくとも部分的にアモルファスである合金を指すことができる。しかしながら、アモルファス金属を作り出すためには、極度な急速冷却の他にも、物理蒸着、固相反応、イオン照射、メルトスピニング、及び機械的合金化を含めた、幾つかの方法が存在する。アモルファス合金は、それらが調製される方法とは関係なく、単一の部類の材料とすることができる。
アモルファス金属は、様々な急冷法を通じて作り出すことができる。例えば、アモルファス金属は、回転する金属ディスク上に溶融金属をスパッタリングすることによって、作り出すことができる。1秒当り約数百万度の急冷は、結晶が形成するには過度に高速である得るため、その金属は、ガラス状態で「固定」される。また、アモルファス金属/合金は、厚い層のアモルファス構造、例えば、バルク金属ガラスの形成を可能にするための、十分に低速な臨界冷却速度で作り出すこともできる。
用語「バルク金属ガラス」(「BMG」)、バルクアモルファス合金(「BAA」)、及びバルク凝固アモルファス合金は、本明細書で互換的に使用される。それらの用語は、少なくともミリメートルの範囲の最小寸法を有する、アモルファス合金を指す。例えば、その寸法は、少なくとも約1mmなど、少なくとも約2mmなど、少なくとも約4mmなど、少なくとも約5mmなど、少なくとも約6mmなど、少なくとも約8mmなど、少なくとも約10mmなど、少なくとも約12mmなどの、少なくとも約0.5mmとすることができる。幾何学形状に応じて、その寸法は、直径、半径、厚さ、幅、長さなどを指すことができる。BMGはまた、少なくとも約1.0cmなど、少なくとも約2.0cmなど、少なくとも約5.0cmなど、少なくとも約10.0cmなどの、センチメートルの範囲の少なくとも1つの寸法を有する、金属ガラスとすることもできる。一部の実施形態では、BMGは、少なくともメートルの範囲の、少なくとも1つの寸法を有し得る。BMGは、金属ガラスに関連する、上述の形状又は形態のうちの、いずれかを呈することができる。したがって、本明細書で説明されるBMGは、一部の実施形態では、重要な一態様での従来の堆積技術によって作製される薄膜とは異なるものとすることができ、前者のBMGは、後者の薄膜よりも遙かに大きい寸法のものとすることができる。
アモルファス金属は、純金属ではなく、合金とすることができる。この合金は、著しく異なるサイズの原子を含有し得ることにより、溶融状態で、低い自由体積がもたらされる(またそれゆえ、他の金属及び合金よりも、桁違いとなるまでの高い粘度を有する)。この粘度は、原子が、規則格子を形成するために十分に移動することを防ぐ。この材料構造は、冷却の間の低収縮性、及び塑性変形に対する抵抗性をもたらし得る。一部の場合には結晶性材料の弱点である、この結晶粒界の非存在は、例えば、磨耗及び腐食に対する、より良好な抵抗性をもたらし得る。一実施形態では、技術的にはガラスであるが、アモルファス金属はまた、酸化物ガラス及びセラミックよりも遙かに強靭であり、脆性ではないものにすることもできる。
アモルファス材料の熱伝導率は、それらの結晶性対応物の熱伝導率よりも低いものにすることができる。より緩徐な冷却の間でも、アモルファス構造の形成を達成するために、3種以上の構成成分で合金を作製して、より高いポテンシャルエネルギー、及びより低い形成の確率を有する、複合結晶単位をもたらすことができる。アモルファス合金の形成は、以下の幾つかの因子:合金の構成成分の組成と、構成成分の原子半径(好ましくは、高い充填密度及び低い自由体積を達成するために、12%超の有意差を有する)と、結晶核生成を阻止し、溶融金属が過冷却状態に留まる時間を延長する、構成成分の組み合わせの負の混合熱と、に応じて変化し得る。しかしながら、アモルファス合金の形成は、多種多様な変数に基づくものであるため、合金組成物がアモルファス合金を形成するか否かを事前に判定することは、困難な場合がある。
例えば、ホウ素、ケイ素、リン、及び他のガラス形成剤と、磁性金属(鉄、コバルト、ニッケル)とのアモルファス合金は、低い保磁力及び高い電気抵抗を有する、磁性のものとすることができる。この高い抵抗は、例えば、トランス用磁心として有用な特性である、交番磁界に晒された場合の渦電流による低損失をもたらす。
アモルファス合金は、潜在的に有用な、様々な特性を有し得る。具体的には、アモルファス合金は、同様の化学組成の結晶性合金よりも強固である傾向にあり、それらは、結晶性合金よりも大きい可逆性(「弾性」)変形に耐え得る。アモルファス金属は、それらの強度を、それらの非晶質構造から直接導き出すものであり、この非晶質構造は、結晶性合金の強度を制限する欠陥(転位などの)を全く有し得ない。例えば、Vitreloy(商標)として知られる、1つの最新のアモルファス金属は、高級チタンのほぼ2倍の引張り強さを有する。一部の実施形態では、室温での金属ガラスは延性ではなく、張力が負荷されると突然破損するが、このことは、差し迫った破壊が明白ではないため、信頼性が重要な用途での、その材料の適用性を制限する。それゆえ、この課題を克服するために、延性の結晶性金属の樹枝状の粒子又は繊維を含有する、金属ガラスマトリックスを有する、金属マトリックス複合材料を使用することができる。あるいは、深刻化を引き起こす傾向がある元素(例えば、Ni)が少ないBMGを、使用することができる。例えば、Niを含まないBMGを使用することにより、そのBMGの延性を改善することができる。
バルクアモルファス合金の別の有用な特性は、それらを真性のガラスとすることができる点であり、換言すれば、バルクアモルファス合金は、加熱されると、軟化して流動することができる。これは、ポリマーと同様に射出成形などの容易な加工処理を可能にする。結果として、アモルファス合金は、スポーツ用品、医療用装置、電子部品及び電子装備、並びに薄膜を作製するために使用することができる。アモルファス金属の薄膜は、高速酸素燃料技術を介して、保護コーティングとして堆積させることができる。
材料は、アモルファス相、結晶相、又は双方を有し得る。これらのアモルファス相及び結晶相は、同じ化学組成を有し、微細構造のみが異なる(すなわち、一方はアモルファスであり、他方は結晶質である)ものとすることができる。一実施形態での微細構造は、25×以上の倍率の顕微鏡によって明らかとなるような材料の構造を指す。あるいは、これらの2つの相は、異なる化学組成及び微細構造を有し得る。例えば、組成物は、部分的アモルファス、実質的アモルファス、又は完全アモルファスとすることができる。
上述のように、アモルファス化度の程度(また反対に結晶化度の程度)は、合金中に存在する結晶の分率によって測定することができる。その程度とは、合金中に存在する結晶相の体積分率又は重量分率を指すことができる。部分的アモルファス組成物とは、少なくとも約10体積%など、少なくとも約20体積%など、少なくとも約40体積%など、少なくとも約60体積%など、少なくとも約80体積%など、少なくとも約90体積%などの、少なくともその約5体積%がアモルファス相である組成物を指すことができる。用語「実質的に」及び「約」は、本明細書中の他の場所で定義されている。したがって、少なくとも実質的にアモルファスである組成物とは、少なくとも約95体積%など、少なくとも約98体積%など、少なくとも約99体積%など、少なくとも約99.5体積%など、少なくとも約99.8体積%など、少なくとも約99.9体積%などの、少なくともその約90体積%がアモルファスであるものを指すことができる。一実施形態では、実質的アモルファス組成物は、その中に存在する、何らかの付随的な少量の結晶相を有し得る。
一実施形態では、アモルファス合金組成物は、アモルファス相に関して均質とすることができる。組成が均一である物質は、均質である。このことは、不均質である物質とは対照的である。用語「組成」とは、物質中の化学組成及び/又は微細構造を指す。物質は、その物質の体積を半分に分割して、両半分が実質的に同じ組成を有する場合に均質である。例えば、微粒子懸濁液は、その微粒子懸濁液の体積を半分に分割して、両半分が実質的に同じ体積の粒子を有する場合に均質である。しかしながら、顕微鏡下で個々の粒子を視認することが可能な場合もある。均質な物質の別の例は、空気であり、その空気中の種々の成分は等しく浮遊するが、空気中の粒子、気体、及び液体は、個別に分析することができ、又は空気から分離することもできる。
アモルファス合金に関して均質である組成とは、その微細構造の全体にわたって実質的に均一に分布するアモルファス相を有するものを指すことができる。換言すれば、その組成物は、組成物の全体にわたって実質的に均一に分布するアモルファス合金を巨視的に含む。代替の実施形態では、この組成は、非アモルファス相をその中に有する、アモルファス相を有する複合材料のものとすることができる。この非アモルファス相は、1つの結晶又は複数の結晶とすることができる。それらの結晶は、球形、楕円、ワイヤ状、ロッド状、シート状、フレーク状、又は不規則形状などの、任意の形状の微粒子の形態とすることができる。一実施形態では、結晶は、樹枝状形態を有し得る。例えば、少なくとも部分的にアモルファスの複合組成物は、アモルファス相マトリックス中に分散する、樹枝状結晶の形状の結晶相を有し得るものであり、この分散は、均一又は不均一なものとすることができ、アモルファス相と結晶相とは、同じ化学組成又は異なる化学組成を有し得る。一実施形態では、それらの相は実質的に同じ化学組成を有し得る。別の実施形態では、結晶相は、BMG相よりも延性とすることができる。
本明細書で説明される方法は、任意のタイプのアモルファス合金に適用可能とすることができる。同様に、組成物又は物品の成分として、本明細書で説明されるアモルファス合金は、任意のタイプのものとすることができる。このアモルファス合金は、Zr、Hf、Ti、Cu、Ni、Pt、Pd、Fe、Mg、Au、La、Ag、Al、Mo、Nb、Beの元素、又はこれらの組み合わせを含み得る。すなわち、この合金は、その化学式又は化学組成中に、これらの元素のいずれかの組み合わせを含み得る。それらの元素は、種々の重量百分率又は体積百分率で存在し得る。例えば、鉄「ベース」合金とは、その中に存在する無視することができない重量百分率の鉄を有する、合金を指すことができ、その重量百分率は、例えば、少なくとも約40重量%など、少なくとも約50重量%など、少なくとも約60重量%など、少なくとも約80重量%などの、少なくとも約20重量%などとすることができる。あるいは、一実施形態では、上述の百分率は、重量百分率の代わりに、体積百分率とすることができる。したがって、アモルファス合金は、ジルコニウムベース、チタンベース、白金ベース、パラジウムベース、金ベース、銀ベース、銅ベース、鉄ベース、ニッケルベース、アルミニウムベース、モリブデンベースなどとすることができる。この合金はまた、特定の目的に適合するように、上述の元素のうちのいずれかを含まない場合もある。例えば、一部の実施形態では、この合金、又はこの合金を含む組成物は、ニッケル、アルミニウム、チタン、ベリリウム、又はこれらの組み合わせを実質的に含まないものであり得る。一実施形態では、この合金又は複合材料は、ニッケル、アルミニウム、チタン、ベリリウム、又はこれらの組み合わせを全く含まない。
例えば、このアモルファス合金は、式(Zr,Ti)a(Ni,Cu,Fe)b(Be,A1,Si,B)cを有し得るものであり、式中、a、b、及びcはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは30〜75の範囲であり、bは5〜60の範囲であり、cは0〜50の範囲である。あるいは、このアモルファス合金は、式(Zr,Ti)a(Ni,Cu)b(Be)cを有し得るものであり、式中、a、b、及びcはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは40〜75の範囲であり、bは5〜50の範囲であり、cは5〜50の範囲である。この合金はまた、式(Zr,Ti)a(Ni,Cu)b(Be)cを有し得るものでもあり、式中、a、b、及びcはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは45〜65の範囲であり、bは7.5〜35の範囲であり、cは10〜37.5の範囲である。あるいは、この合金は、式(Zr)a(Nb,Ti)b(Ni,Cu)c(A1)dを有し得るものでもあり、式中、a、b、c、及びdはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは45〜65の範囲であり、bは0〜10の範囲であり、cは20〜40の範囲であり、dは7.5〜15の範囲である。上述の合金系の例示的一実施形態は、Liquidmetal Technologies(CA,USA)によって製作されるような、Vitreloy−1及びVitreloy−101などの、商品名Vitreloy(商標)の、Zr−Ti−Ni−Cu−Beベースのアモルファス合金である。種々の系のアモルファス合金の一部の実施例が、表1に記載される。
これらのアモルファス合金はまた、(Fe,Ni,Co)ベース合金などの、鉄合金とすることもできる。そのような組成物の実施例が、米国特許第6,325,868号、同第5,288,344号、同第5,368,659号、同第5,618,359号、及び同第5,735,975号、InoueらのAppl.Phys.Lett.,Volume 71,p 464(1997)、ShenらのMater.Trans.,JIM,Volume 42,p 2136(2001)、並びに日本特許出願第200126277号(公開番号2001303218(A))で開示されている。1つの例示的な組成物は、Fe72Al5Ga21164である。別の実施例は、Fe72Al7Zr10Mo5215である。本明細書でのコーティングに使用することができる、別の鉄ベース合金系が、米国特許出願公開第2010/0084052号で開示されており、そのアモルファス金属は、例えば、括弧内に記される組成の範囲で、マンガン(1〜3原子%)、イットリウム(0.1〜10原子%)、及びケイ素(0.3〜3.1原子%)を含有し、また括弧内に記される組成の指定範囲で以下の元素:クロム(15〜20原子%)、モリブデン(2〜15原子%)タングステン(1〜3原子%)、ホウ素(5〜16原子%)、炭素(3〜16原子%)、及び残部の鉄を含有する。
上述のアモルファス合金系は、Nb、Cr、V、及びCoを含めた添加遷移金属元素などの、添加元素を更に含み得る。これらの添加元素は、約20重量%以下など、約10重量%以下など、約5重量%など、約30重量%以下で存在し得る。一実施形態では、この任意選択の添加元素は、コバルト、マンガン、ジルコニウム、タンタル、ニオビウム、タングステン、イットリウム、チタン、バナジウム、及びハフニウムのうちの少なくとも1つであり、炭化物を形成して、耐摩耗性及び耐食性を更に改善する。更なる任意選択の元素としては、融点を低下させるための、合計で最大約2%の、好ましくは1%未満の、リン、ゲルマニウム、及びヒ素を挙げることができる。他の少量の不純物は、約2%未満、好ましくは0.5%未満とするべきである。
一部の実施形態では、アモルファス合金を有する組成物は少量の不純物を含み得る。不純物元素を意図的に添加することにより、機械的特性(例えば、硬度、強度、破壊機構など)の改善、及び/又は耐食性の改善などの、その組成物の特性を修正することができる。あるいは、それらの不純物は、加工処理及び製造の副生成物として得られるもののような、不可避の付随的な不純物として存在し得る。これらの不純物は、約5重量%など、約2重量%など、約1重量%など、約0.5重量%など、約0.1重量%などの、約10重量%以下とすることができる。一部の実施形態では、これらの百分率は、重量百分率の代わりに、体積百分率とすることができる。一実施形態では、この合金サンプル/組成物は、アモルファス合金から本質的になる(少量の付随的な不純物のみを有する)。別の実施形態では、この組成物はアモルファス合金を含む(観察可能な微量の不純物を全く有さない)。
一実施形態では、最終部品は、バルク凝固アモルファス合金の臨界鋳造厚さを超過するものであった。
本明細書の実施形態では、バルク凝固アモルファス合金が高粘度の液体として存在することができる、過冷却液体領域の存在により、超塑性成形が可能となる。大きい塑性変形を得ることができる。過冷却液体領域で大きく塑性変形する能力は、成形プロセス及び/又は切断プロセスに使用される。固体とは対照的に、この液体のバルク凝固合金は、局所的に変形し、このことが、切断及び成形のために必要とされるエネルギーを、大幅に低下させる。切断及び成形の容易性は、合金、金型、及び切断工具の温度に応じて変化する。温度が高くなるにつれて、粘度が低下し、その結果として、切断及び成形が容易になる。
本明細書の実施形態は、例えば、Tg〜Txで実施される、アモルファス合金を使用する熱可塑性成形プロセスを、利用することができる。本明細書では、Tx及びTgは、結晶化の開始の温度、及びガラス転移の開始の温度として、典型的な加熱速度(例えば、20℃/分)での標準的なDSC測定から決定される。
アモルファス合金構成要素は、臨界鋳造厚さを有し得るものであり、最終部品は、その臨界鋳造厚さよりも厚い厚さを有し得る。更には、加熱及び整形操作の時間並びに温度は、アモルファス合金の弾性歪み限界が、1.0%以上、好ましくは1.5%以上であることを実質的に維持し得るように選択される。本明細書の実施形態との関連では、ガラス転移近傍の温度とは、成形温度がガラス転移未満、ガラス転移温度若しくはガラス転位温度近傍、及びガラス転移温度超とすることができることを意味するが、結晶化温度Txより低い温度であることが好ましい。冷却工程は、加熱工程での加熱速度と同様の速度で、好ましくは、加熱工程での加熱速度を超える速度で実施される。冷却工程はまた、好ましくは、形成荷重及び成形荷重が依然として維持されている間にも、達成される。
電子機器
本明細書の実施形態は、BMGを使用する電子機器の製作で有用であり得る本明細書での電子機器とは、当該技術分野において既知の任意の電子機器を指すことができる。例えば、この電子機器は、携帯電話及び固定電話などの電話、あるいは、例えばiPhone(商標)を含めたスマートフォン、及び電子eメール送信/受信機器などの、いずれかの通信機器とすることができる。この電子機器は、デジタルディスプレイ、TVモニタ、電子ブックリーダ、携帯ウェブブラウザ(例えば、iPad(商標))、及びコンピュータモニタなどの、ディスプレイの一部とすることができる。この電子機器はまた、携帯DVDプレーヤ、従来型DVDプレーヤ、ブルーレイディスクプレーヤ、ビデオゲームコンソール、携帯音楽プレーヤ(例えば、iPod(商標))などの音楽プレーヤなどを含めた、娯楽機器とすることもできる。この電子機器はまた、画像、ビデオ、音声のストリーミングを制御することなどの、制御を提供する機器(例えば、Apple TV(商標))の一部とすることもでき、又は電子機器用の遠隔制御装置とすることができる。この電子機器は、コンピュータ、あるいはハードドライブタワーの筺体若しくはケーシング、ラップトップ筺体、ラップトップキーボード、ラップトップトラックパッド、デスクトップキーボード、マウス、及びスピーカーなどの、コンピュータ付属品の一部とすることができる。この物品はまた、腕時計又は時計などの機器にも適用することができる。
射出成形は、熱可塑性材料及び熱硬化性プラスチック材料の双方から部品を作り出すための、製造プロセスである。BMGを使用して、射出成形によって部品を作製することができる。溶融材料(例えば、溶融状態のBMG)が、金型キャビティ内に押し込まれ、その金型キャビティで溶融材料が冷却されて、そのキャビティの形状に硬化する。この金型は、鋼又はアルミニウムなどの金属から作製することができ、所望の部品の形体を形成するように、精密機械加工することができる。射出成形は、自動車の最小構成要素からボディパネルまで、様々な部品を製造するために広く使用される。
射出成形機は、プランジャを含み得る。このプランジャは、金型内に溶融材料を押し込む。射出成形機は、1つ以上の金型を保持するように構成することができる。金型は、2つの主要構成要素である、射出金型(Aプレート)及び排出金型(Bプレート)を含み得る。溶融材料は、射出金型内の「湯口」を通って金型に入るように、プランジャによって押し込まれる。溶融材料は、Aプレート及びBプレートの面内に機械加工されたチャネルを通って、金型に入る。これらのチャネルは、それらのチャネルに沿って溶融材料が流れることを可能にする。
射出成形機は、トン数によって評価することができ、このトン数は、その機械が金型に及ぼすことができる型締め力の量を表す。この力により、金型は、射出プロセスの間、閉鎖したまま保たれる。トン数は、5トン未満から6000トンまで変動し得るものであり、より高い数字は、比較的少ない製造操作で使用される。必要とされる全型締め力は、成形されている部品の投影面積によって決定される。この投影面積を、その投影面積の0.79〜3.14トン/cm2(1平方インチ当り2〜8トン)の型締め力によって乗算する。経験則としては、1.58又は1.97トン/cm2(4又は5トン/in2)を、殆どの製品に関して使用することができる。成形されている材料が極めて硬い場合には、金型を充填するために、より大きい射出圧力が必要とされ、それゆえ、金型を閉鎖して保持するために、より大きい型締めのトン数が必要とされる。必要とされる力はまた、成形されている材料、及び作製されている部品のサイズによっても決定することができ、より大きい部品は、より高い型締め力を必要とする。
金型は、連続経路を形成するように、金型プレートを貫通して穿設され、ホースによって接続された一連の穴に、冷却剤(通常は水)を通過させることによって、冷却することができる。この冷却剤が、金型(この金型は、金型内の溶融材料から熱を吸収している)から熱を吸収して、その金型を適切な温度に保ち、溶融材料を凝固させる。
一部の金型は、従前の成形部品の周囲に新たなプラスチック層が形成されることを可能にするために、従前の成形部品が再挿入されることを可能にする。このことは、多くの場合、オーバーモールディングと称される。単一の成形サイクルの範囲内で「オーバーモールド」するように、2ショット金型又はマルチショット金型が設計され、2つ以上の射出ユニットを備える専用の射出成形機上で、使用することができる。このプロセスは、実際は、2回実行される射出成形プロセスである。第1工程では、基底色材料が、基本形状へと成形され、この基本形状は、第2ショットのための空間を含む。次いで、異なる色の第2の材料が、それらの空間内に射出成形される。例えば、このプロセスによって作製される押しボタン及びキーは、多用しても摩損する可能性がなく、判読可能なまま維持される、標識を有する。
部品の射出成形の間の、イベントのシーケンスは、射出成形サイクルと呼ばれる。このサイクルは、金型が閉鎖するときに開始され、その後に、金型内への溶融材料の射出が続く。金型が充填された後、保持圧力を維持することにより、あらゆる材料収縮を補填する。その部品が十分に冷却された後、金型を開放して部品を排出させる。
射出成形機内では、プランジャは多くの場合、溶融材料と直接接触することにより高温となる。プランジャは、プランジャ内のチャネルを通して冷却剤を流すことによって、冷却することができる。
図3は、BMGを射出成形するように構成された、射出成形機の一部を示す。好適なヒーター320によって、BMG素材を融解させ、溶融状態のBMG 310を形成する。ヒーター320は、誘導ヒーターとすることができる。プランジャ300が、溶融状態のBMGを金型(図示せず)内に押し込む。プランジャ300は、溶融状態のBMG 310と直接接触する。プランジャ300は、冷却剤を流してプランジャ300を保冷するための1つ以上の導管を含み得る。プランジャ300は一体的部片である。例えば高温への曝露により、プランジャ300が損傷した場合には、プランジャ300全体を交換しなければならない。
図4は、一実施形態に係るプランジャ400を示す。プランジャ400は、プランジャ本体460及びプランジャチップ450を有する。プランジャチップ450は、プランジャ本体460に取り外し可能に接続される。例えば、プランジャチップ450は、ねじ山440によって、プランジャ本体460に接続することができる。プランジャチップ450とプランジャ本体460との間の接触区域は、好ましくは調節可能である。例えば、プランジャ本体460の端面は、間隙430によって、プランジャチップ450から隔てることができ、プランジャチップ450とプランジャ本体460との間の接触区域は、ねじ山430のみであり、プランジャチップ450のねじを数回転緩めることにより、接触区域が減少し、プランジャチップ450のねじを数回転締めることにより、接触区域が増大する。プランジャ本体460は、冷却流体を収容するように構成された1つ以上のチャネル420を内部に含み得る。プランジャ本体460は、射出成形サイクルの間、溶融材料と直接接触しないように構成される。プランジャチップ450は、射出成形サイクルの間、溶融材料と直接接触するように構成される。この接触区域を調節することによって、プランジャチップ450とプランジャ本体460との間の接触区域を通過する、プランジャチップ450からプランジャ本体460への熱コンダクタンスを調節することができ、このことにより、プランジャチップ450の温度を調節することができる。
図5は、一実施形態に係るプランジャ500を示す。プランジャ500は、プランジャ本体560及びプランジャチップ550を有する。プランジャチップ550は、プランジャ本体560に取り外し可能に接続される。例えば、プランジャチップ550は、ねじ山によってプランジャ本体560に接続することができる。プランジャチップ550とプランジャ本体560との間の接触区域は、好ましくは調節可能である。例えば、プランジャ本体560は、プランジャ本体560の端面に突起部570を有し得、プランジャチップ550は、陥凹部555を有し得、突起部570の側壁と陥凹部555の側壁とが熱接触する。プランジャ本体560の端面は、間隙530によって、プランジャチップ550から隔てることができ、プランジャチップ550とプランジャ本体560との間の接触区域は、ねじ山530、並びに突起部570の側壁及び陥凹部555の側壁のみであり、プランジャチップ550のねじを数回転緩めることにより、接触区域が減少し、プランジャチップ550のねじを数回転締めることにより、接触区域が増大する。プランジャ本体560は、冷却流体を収容するように構成された1つ以上のチャネル520を内部に有し得る。プランジャ本体560は、射出成形サイクルの間、溶融材料と直接接触しないように構成される。プランジャチップ550は、射出成形サイクルの間、溶融材料と直接接触するように構成される。この接触区域を調節することによって、プランジャチップ550とプランジャ本体560との間の接触区域を通過する、プランジャチップ550からプランジャ本体560への熱コンダクタンスを調節することができ、このことにより、プランジャチップ550の温度を調節することができる。
プランジャ400又はプランジャ500を使用する、BMGの射出成形では、プランジャチップ450又はプランジャチップ550のみが、溶融状態のBMGと直接接触する。プランジャチップからプランジャ本体への熱コンダクタンスを低減することにより、プランジャチップの温度が上昇し、溶融状態のBMG中の結晶相の量が低減される。
溶融材料と直接接触するプランジャの区域は、通常は、より短い耐用期間を有する。プランジャ400又はプランジャ500内では、プランジャ本体460又はプランジャ本体560を交換することなく、プランジャチップ450又はプランジャチップ550を交換することができ、このことにより、運用のコストが低減される。
図6に例示する実施形態では、プランジャ600Aは、プランジャ本体660A及びプランジャチップ650Aを有する。プランジャチップ650Aは、プランジャ本体660Aに取り外し可能に接続される。プランジャ本体660Aは、射出成形サイクルの間、溶融材料と直接接触しないように構成される。プランジャチップ650Aは、射出成形サイクルの間、溶融材料と直接接触するように構成される。プランジャ本体660Aは、冷却流体のための導管620Aを内部に有し得る。一体式プランジャ600Bは、プランジャ600Aと本質的に同じ外形寸法を有する。一体式プランジャ600Bはまた、導管620Aと本質的に同一の導管620Bも有し得る。プランジャ600A及び一体式プランジャ600Bが、本質的に同一の熱環境中に晒される場合、プランジャ本体660A内部の表面690Aを通過する熱流束は、一体式プランジャ600B内部での、表面690Aに対応する表面を通過する熱流束よりも小さい。
一実施形態では、射出成形プロセスで使用されるBMGは、鉄を本質的に含まない。一実施形態では、射出成形プロセスで使用されるBMGは、ニッケルを本質的に含まない。一実施形態では、射出成形プロセスで使用されるBMGは、コバルトを本質的に含まない。一実施形態では、射出成形プロセスで使用されるBMGは、金、銀、及び白金を本質的に含まない。一実施形態では、磁心は強磁性ではない。一実施形態では、射出成形プロセスで使用されるBMGは、表1に列記される組成物である。
本発明は、限られた数の実施形態との関連で、本明細書で説明及び例示されるが、本発明は、本発明の趣旨及び本質的特性から逸脱することなく、多くの形態で具体化することができる。それゆえ、本開示の要約書で説明されるものを含めた、例示及び説明される実施形態は、全ての点で、制限するものではなく、例示として見なされるべきである。本発明の範囲は、上述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって指示されるものであり、この特許請求の範囲の等価物の意味及び範囲内に含まれる全ての変更は、その特許請求の範囲内に包含されることが意図される。

Claims (20)

  1. 射出成形機のプランジャであって、
    プランジャ本体と、
    前記プランジャ本体とは別個の要素であり、及び射出成形で使用される溶融材料と前記射出成形機内で直接接触するように構成された端面を含む、プランジャチップと、を備え、
    螺合によって前記プランジャチップを前記プランジャ本体に熱接触させることにより、前記プランジャ本体に対する前記プランジャチップの接触区域にわたる熱コンダクタンスが高まる、プランジャ。
  2. 前記接触区域にわたる前記熱コンダクタンスが、前記接触区域を変えることによって調節可能である、請求項1に記載のプランジャ。
  3. 前記プランジャ本体及び前記プランジャチップが、異なる熱伝導率の材料を含む、請求項1に記載のプランジャ。
  4. 前記プランジャ本体が、前記溶融材料と直接接触しないように構成される請求項1に記載のプランジャ。
  5. 前記プランジャチップが、ねじ山によってプランジャ本体に接続される、請求項1に記載のプランジャ。
  6. 前記接触区域が、前記プランジャ本体に対して前記プランジャチップを移動させることによって調節可能である、請求項1に記載のプランジャ。
  7. 前記プランジャ本体の端面が、間隙によって前記プランジャチップから隔てられる、請求項1に記載のプランジャ。
  8. 前記プランジャ本体が、前記プランジャ本体の端面に突起部を含み、前記プランジャチップが、陥凹部を含み、前記突起部の側壁と前記陥凹部の側壁とが熱接触する、請求項1に記載のプランジャ。
  9. 前記プランジャチップが、前記プランジャ本体を交換することなく、別個に交換可能である、請求項1に記載のプランジャ。
  10. 射出成形機であって、プランジャ本体と、前記プランジャ本体とは別個の要素であり、及び射出成形で使用される溶融材料と前記射出成形機内で直接接触するように構成された端面を含む、プランジャチップと、を含むプランジャを備え、螺合によって前記プランジャチップを前記プランジャ本体に熱接触させることにより、前記プランジャ本体に対する前記プランジャチップの接触区域にわたる熱コンダクタンスが高まる、射出成形機。
  11. バルク金属ガラス(BMG)を射出成形する方法であって、
    BMG原料を、溶融BMG保管を形成するために融解させる工程と、
    前記溶融BMG保管を、プランジャ本体及びプランジャチップを備えたプランジャを使用して金型内に押し込む工程と、
    前記プランジャチップと前記プランジャ本体との間の熱コンダクタンスを変更するために、前記プランジャチップと前記プランジャ本体との間の接触エリアを調節する工程と、
    を含み、
    螺合によって前記プランジャチップを前記プランジャ本体に熱接触させることにより、前記接触エリアにわたる熱コンダクタンスが高まる方法。
  12. 凝固したBMG物品を形成するために、前記金型内の第1溶融BMG保管を、凝固させる工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記金型から、前記凝固したBMG物品を排出する工程を更に含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記BMGが鉄を本質的に含まず、前記BMGがニッケルを本質的に含まず、前記BMGがコバルトを本質的に含まず、前記BMGが金を本質的に含まず、前記BMGが銀を本質的に含まず、前記BMGが白金を本質的に含まず、又は前記BMGが強磁性ではない、請求項11に記載の方法。
  15. 射出成形機のプランジャであって、
    プランジャ本体と、
    前記プランジャ本体とは別個の要素であり、及び射出成形で使用される溶融材料と前記射出成形機内で直接接触するように構成された端面を含む、プランジャチップと、を備え、
    前記プランジャ本体に対する前記プランジャチップの接触区域が、前記プランジャ本体に対して前記プランジャチップを移動させることによって調節可能であり、
    螺合によって前記プランジャチップを前記プランジャ本体に熱接触させることにより、前記プランジャ本体に対する前記プランジャチップの接触区域にわたる熱コンダクタンスが高まる、プランジャ。
  16. 前記接触区域が、前記プランジャ本体に対して前記プランジャチップを螺合又は螺合解除することによって調節可能である、請求項15に記載のプランジャ。
  17. 射出成形機のプランジャであって、
    プランジャ本体と、
    前記プランジャ本体と調整可能に連結され、及び射出成形で使用される溶融材料と前記射出成形機内で直接接触するように構成された端面を規定する、プランジャチップと、を備え、前記プランジャチップの少なくとも一部は、前記プランジャ本体に対する前記プランジャチップの移動によって調整可能な隙間によって前記プランジャ本体の少なくとの一部から隔てられ
    螺合によって前記プランジャチップを前記プランジャ本体に熱接触させることにより、前記プランジャ本体に対する前記プランジャチップの接触区域にわたる熱コンダクタンスが高まる、プランジャ。
  18. 前記間隙が、前記プランジャ本体の端面と前記プランジャチップとの間にある、請求項17に記載のプランジャ。
  19. 射出成形機のプランジャであって、
    プランジャ本体と、
    前記プランジャ本体とは別個の要素であり、及び射出成形で使用される溶融材料と前記射出成形機内で直接接触するように構成された端面を含む、プランジャチップと、を備え、
    螺合によって前記プランジャチップを前記プランジャ本体に熱接触させることにより、前記プランジャ本体に対する前記プランジャチップの接触区域にわたる熱コンダクタンスが高まり、
    前記プランジャ及び一体式プランジャが、同一の熱環境に晒される場合、前記プランジャ本体内部の表面を通過する熱流束が、前記一体式プランジャ内部での対応する表面を通過する熱流束よりも小さく、
    前記プランジャ及び前記一体式プランジャが、実質的に同じ外形寸法を有する、プランジャ。
  20. 前記BMG原料が第1BMG原料であり、
    前記溶融BMG保管が第1溶融BMG保管であり、
    前記方法はさらに
    第2溶融BMG保管を形成するために第2BMG原料を溶融する工程と、
    前記プランジャを使用して、前記金型キャビティ内に前記第2溶融BMG保管を押し込む工程と、
    をさらに備える、請求項11に記載の方法。
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