JP2017221976A - 原料又はコンポーネント部品のアモルファス合金ロール成形 - Google Patents

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ダブリュー. ステヴィック,ジョセフ
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Abstract

【課題】バルク凝固アモルファス合金シートのロール成形物製造方法の提供。【解決手段】金属合金を含むバルク凝固アモルファス合金のロール成形物を製造する方法、及びその物品に関する。ロール成形には、バルク凝固アモルファス合金の一部分を、金属合金のガラス転移温度(Tg)よりも高い温度で形成する工程が含まれる。ロール成形は、ロール成形の間の一部分の時間−温度特性が、金属合金の時間−温度−変態(TTT)図における金属合金の結晶質領域を囲む領域を横切らないようになされる。【選択図】図2

Description

本発明は、原料又はコンポーネント部品のバルク凝固アモルファス金属合金ロール成形
に関する。
ロール成形(roll forming、またrollformingとも表記される
)は、連続的な屈曲操作であり、長い帯状のシート金属(典型的にコイル鋼)を、連続す
るスタンドに取り付けた一連のロールに通す。この各セットは、屈曲の段階的な一部分の
みを実施し、望ましい断面形状が得られるまで続けられる。ロール成形は、長尺かつ大量
の一定形状の部品を製造するのに理想的である。
シート金属とは、単に薄く平らな状態に成形された金属である。これは金属加工に使用
される基本的な形態の1つであり、様々な異なる形状に切断し折り曲げることができる。
厚さは顕著に変化し得るが、非常に薄い厚さのものは箔又はリーフと見なされ、6mm(
0.25in)より厚いものはプレートと見なされる。シート金属にすることができる金
属は、例えばアルミニウム、真鍮、銅、鋼、スズ、ニッケル、及びチタンなど多くの様々
な金属がある。従来のシートメタル及び合金は、転位形成、すなわち塑性仕事によって変
形を行う。これらの従来の金属について、シート金属製造プロセスは主に、成形と切断の
2つのカテゴリーに分けることができる。成形プロセスは、力を印加することにより、材
料を、破断しないように塑性的に変形させるものである。よって、行うことができるのは
、合金に塑性仕事を導入し、より薄いシートに成形できることである。よって、それは冷
間加工である。そのようなプロセスは、望ましい形状にシートを屈曲させ、又は伸張させ
ることができる。切断プロセスは、材料を破断して分離し、これにより材料を切断又は除
去するものである。
一方、バルク凝固アモルファス合金(バルク金属ガラス(BMG)とも呼ばれる)につ
いては、アモルファス合金は転位形成によっては変形されないため、従来の結晶質金属の
シート成形プロセスは通常、適用できない。剪断帯の形成により破断するもので、これは
一般的に、望ましくないプロセス性質である。よって、BMG原料をロール成形するため
の新しい方法が望ましい。
バルク凝固アモルファスシートのロール成形のための、本明細書の実施形態により提案
されている解決策は、軟化して、アモルファスであるがある程度の流動性をもつ固体にな
る、ガラス転移温度を上回る温度まで加熱し、例えば熱可塑性成形、又は高温成形、又は
その他様々なプロセスによって成形することである。別の実施形態において、溶融したバ
ルク凝固アモルファス合金成形材料は、ロール成形装置のローラーの近くで溶融され、急
速に冷却されてBMGシートを形成することができる。
例示的なバルク凝固アモルファス合金の、温度−粘度図である。
例示的なバルク凝固アモルファス合金に関する、時間−温度−変態(TTT)図の概略図である。
本明細書の実施形態の、BMGシートを作製するためのロール成形システムの概略図である。
本明細書の実施形態の、積層されたBMGシートを作製するためのロール成形システムの概略図である。
本明細書に引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、その全体が参照により本
明細書に組み込まれる。
冠詞「a」及び「an」は、本明細書では、1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも
1つ)の、その冠詞の文法的対象語を指すために使用される。例として、「ポリマー樹脂
(a polymer resin)」は、1つのポリマー樹脂又は2つ以上のポリマー樹脂を意味する
。本明細書に記載されるいずれの範囲も、包括的である。本明細書の全体を通して使用さ
れる用語「実質的に」及び「約」は、小規模な変動を記述及び説明するために使用される
。例えば、それらの用語は、±2%以下など、±1%以下など、±0.5%以下など、±
0.2%以下など、±0.1%以下など、±0.05%以下などの、±5%以下を指すこ
とができる。
バルク凝固アモルファス合金、すなわちバルク金属ガラス(「BMG」)は、最近開発
された部類の金属材料である。これらの合金は、比較的穏やかな速度で、凝固及び冷却さ
せることができ、それらは、アモルファスの、非晶質(すなわち、ガラス質)状態を、室
温で保持する。アモルファス合金は、それらの結晶性の対応物よりも、多くの優れた特性
を有する。しかしながら、冷却速度が十分に高速ではない場合には、冷却の間に、その合
金の内部で結晶が形成される恐れがあり、そのため、アモルファス状態の利益が失われる
恐れがある。例えば、バルクアモルファス合金部品の製造に伴う1つの重要な課題は、徐
冷又は合金原料中の不純物のいずれかによる、それらの部品の部分的な結晶化である。B
MG部品内では、高い程度のアモルファス化度(また反対に、低い程度の結晶化度)が望
ましいため、制御された量のアモルファス化度を有するBMG部品を鋳造するための方法
を開発する必要性がある。
図1A(米国特許第7,575,040号より入手)は、Liquidmetal T
echnologyによって製造されたZr−Ti−Ni−Cu−BeファミリーのVI
T−001シリーズからの、例示的なバルク凝固アモルファス合金の粘度−温度グラフを
示す。アモルファス固体の形成の間、バルク凝固アモルファス金属に関しては、明確な液
体/固体変態が存在しないことに留意するべきである。この溶融合金は、ガラス転移温度
近傍で固体形態に近づくまで、過冷却の増大と共に、ますます粘稠になる。したがって、
バルク凝固アモルファス合金に関する凝固前面の温度は、ガラス転移温度近傍とすること
ができ、その温度近傍で、この合金は、事実上、急冷アモルファスシート製品を引き抜く
目的に関して、固体として作用する。
図2(米国特許第7,575,040号より入手)は、例示的なバルク凝固アモルファ
ス合金の、時間−温度−変態(TTT)冷却曲線、すなわちTTT図を示す。バルク凝固
アモルファス金属は、従来の金属と同様に、冷却の際の液体/固体の結晶化変態を起こさ
ない。その代わりに、高温で(「融解温度」Tm近傍で)見出される、高度に流体の、非
晶質形態の金属は、温度が低減されるにつれて(ガラス転移温度Tg近傍まで)、より粘
稠になり、最終的に、従来型の固体の外面的な物理的特性を呈する。
バルク凝固アモルファス金属に関しては、液体/結晶化変態は存在しないにも関わらず
、対応する結晶相の熱力学的液相温度として、「融解温度」Tmを定義することができる
。この体系の下では、バルク凝固アモルファス合金の融解温度での粘度は、約0.1ポア
ズ〜約10,000ポアズの範囲に、更に場合によっては、0.01ポアズ未満にあるこ
とが可能である。この「融解温度」でのより低い粘度は、BMG部品を成形するためのバ
ルク凝固アモルファス金属による、シェル/金型の複雑な部分のより速く完全な充填をも
たらす。
更には、BMG部品を成形するための溶融金属の冷却速度は、冷却の間の時間−温度プ
ロファイルが、図2のTTT図内の結晶化領域を境界付けるノーズ形状領域を横断しない
ようなものでなければならない。図2では、Tノーズは、結晶化が最も急速であり、かつ
最短の時間スケールで生じる、臨界結晶化温度Txである。
過冷却液体領域、すなわちTg〜Txの温度領域は、バルク凝固合金の結晶化に対する
極度の安定性を明示するものである。この温度領域内では、バルク凝固合金は、高粘度の
液体として存在し得る。この過冷却液体領域内でのバルク凝固合金の粘度は、ガラス転移
温度での1012Pa・sから、結晶化温度である過冷却液体領域の高温限界での105
a・sに至るまでの間で変化し得る。そのような粘度を有する液体は、加圧力の下で、実
質的な塑性歪みを経験し得る。本明細書の実施形態は、成形及び分離方法として、この過
冷却液体領域内での、大きい塑性成形性を利用する。
Txについて明確にする必要がある。技術的には、TTT図に示されるノーズ形状の曲
線は、Txを温度及び時間の関数として説明する。それゆえ、金属合金を加熱又は冷却す
る間に辿る軌跡とは関係なく、このTTT曲線に当る場合に、Txに到達している。図2
では、Txは破線として示されるが、これは、Tmの近位からTgの近位まで、Txが変
化し得るためである。
図2の概略的なTTT図は、時間−温度の軌跡(例示的軌跡として、(1)として示す
)がTTT曲線に当ることがない、Tm以上〜Tg未満のダイカストの加工処理方法を示
す。ダイカストの間、この成形は、軌跡がTTT曲線に当ることを回避するために、実質
的に急速冷却と同時に行われる。時間−温度の軌跡(例示的軌跡として、(2)、(3)
、及び(4)として示す)がTTT曲線に当ることがない、Tg以下からTm未満までの
超塑性成形(SPF)に関する加工処理方法。SPFでは、アモルファスBMGは、過冷
却液体領域内へと再加熱され、利用可能な加工処理ウインドウは、ダイカストよりも遙か
に大きく、より良好なプロセスの可制御性をもたらすことが可能である。SPFプロセス
は、冷却の間の結晶化を回避するために、急速冷却を必要としない。また、例示的軌跡(
2)、(3)、及び(4)によって示されるように、SPFの間の最高温度が、Tノーズ
超又はTノーズ未満、最大約Tmとなる状態で、SPFを実施することができる。一個の
アモルファス合金を昇温させるが、TTT曲線に当ることを回避するように管理する場合
には、「Tg〜Tm」に加熱しても、Txには到達していない。
20℃/分の加熱速度で得られる、バルク凝固アモルファス合金の典型的な示差走査熱
量計(DSC)加熱曲線は、大部分は、TTTデータを横切る具体的な軌跡を説明するも
のであり、特定温度のTgと、DSC加熱傾斜がTTT結晶化開始と交差する場合のTx
と、最終的に、同じ軌跡が融解に関する温度範囲と交差する場合の融解ピークとが認めら
れるであろう。図2の軌跡(2)、(3)、及び(4)の上り傾斜部分によって示される
ような急速な加熱速度で、バルク凝固アモルファス合金を加熱する場合には、TTT曲線
を完全に回避することが可能であり、DSCデータは、加熱の際、ガラス転移を示すが、
Txは示さない。このことについての別の考察方法は、軌跡(2)、(3)、及び(4)
は、結晶化曲線に当らない限り、TTT曲線のノーズ(及び更にその上方)〜Tg線の温
度内の、いずれの場所にも収まることができる点である。そのことは、加工処理温度が上
昇するにつれて、軌跡内の水平な平坦部が遙かに短くなり得ることを単に意味する。
本明細書での用語「相」は、熱力学状態図内で見出すことができるものを指し得る。相
は、その全体にわたって、材料の全ての物理的特性が本質的に均一である、空間の領域(
例えば、熱力学系)である。物理的特性の例としては、密度、屈折率、化学組成、及び格
子周期性が挙げられる。相の単純な説明は、化学的に均一であり、物理的に全く別であり
、及び/又は機械的に分離可能な材料の領域である。例えば、ガラスジャー内の、氷及び
水からなる系では、その角氷が1つの相であり、水が第2の相であり、その水の上の湿り
空気が第3の相である。ジャーのガラスは、別の分離相である。相は、固溶体を指すこと
があり、2成分、3成分、4成分以上の溶体又は金属間化合物などの、化合物であること
ができる。別の例としては、アモルファス相は、結晶相とは全く別である。
金属、遷移金属、及び非金属
用語「金属」は、電気陽性の化学元素を指す。本明細書での用語「元素」は、一般的に
は、周期表に見出すことができる元素を指す。物理的には、基底状態の金属原子は、空状
態を占有状態に近くする、部分的に満たされたエネルギー帯を含む。用語「遷移金属」と
は、不完全な内部電子殻を有し、一連の元素内の、最も電気陽性のものと最も電気陽性で
はないものとの間の遷移リンクとして役立つ、周期表の第3族〜第12族の範囲内の金属
元素のうちのいずれかである。遷移金属は、複数の原子価、着色化合物、及び安定な錯イ
オンを形成する能力によって特徴付けられる。用語「非金属」は、電子を失って陽イオン
を形成する能力を有さない化学元素を指す。
用途に応じて、任意の好適な非金属元素、又はそれらの組み合わせを使用することがで
きる。合金(又は「合金組成物」)は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4
つ以上の非金属元素などの複数の非金属元素を含み得る。非金属元素は、周期表内の第1
3族〜第17族内に見出される、いずれかの元素とすることができる。例えば、非金属元
素は、F、Cl、Br、I、At、O、S、Se、Te、Po、N、P、As、Sb、B
i、C、Si、Ge、Sn、Pb、及びBのうちの、いずれか1つとすることができる。
場合により、非金属元素はまた、第13族〜第17族内の特定の半金属(例えば、B、S
i、Ge、As、Sb、Te、及びPo)を指すこともできる。一実施形態では、非金属
元素としては、B、Si、C、P、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
したがって、例えば、その合金は、ホウ化物若しくは炭化物、又は双方を含み得る。
遷移金属元素は、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバル
ト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチ
ウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タ
ングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、ラザホージウム、ド
ブニウム、シーボーギウム、ボーリウム、ハッシウム、マイトネリウム、ウンウンニリウ
ム、ウンウンウニウム、及びウンウンビウムのうちのいずれかとすることができる。一実
施形態では、遷移金属元素含有BMGは、Sc、Y、La、Ac、Ti、Zr、Hf、V
、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、I
r、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、及びHgのうちの少なくとも1
つを有し得る。用途に応じて、任意の好適な遷移金属元素、又はそれらの組み合わせを使
用することができる。合金組成物は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ
以上の遷移金属元素などの、複数の遷移金属元素を含み得る。
本明細書で説明される、合金又は合金「サンプル」又は「試料」合金は、任意の形状又
はサイズを有し得る。例えば、合金は、球形、楕円、ワイヤ状、ロッド状、シート状、フ
レーク状、又は不規則形状などの形状を有し得る、微粒子の形状を有し得る。この微粒子
は、任意のサイズを有し得る。例えば、その微粒子は、約5マイクロメートル〜約80マ
イクロメートルなど、約10マイクロメートル〜約60マイクロメートルなど、約15マ
イクロメートル〜約50マイクロメートルなど、約15マイクロメートル〜約45マイク
ロメートルなど、約20マイクロメートル〜約40マイクロメートルなど、約25マイク
ロメートル〜約35マイクロメートルなどの、約1マイクロメートル〜約100マイクロ
メートルの平均直径を有し得る。例えば、一実施形態では、微粒子の平均直径は、約25
マイクロメートル〜約44マイクロメートルである。一部の実施形態では、ナノメートル
の範囲のものなどの、より小さい微粒子、又は100マイクロメートルよりも大きいもの
などの、より大型の微粒子を使用することができる。
合金のサンプル又は試料はまた、遙かに大きい寸法のものにすることもできる。例えば
、インゴットなどのバルク構造構成要素、電子機器の筺体/ケーシングにすることができ
、又は更にミリメートル、センチメートル、又はメートルの範囲の寸法を有する構造的構
成要素の一部分とすることさえできる。
固溶体
用語「固溶体」は、溶体の固体形態を指す。用語「溶体」は、固体、液体、気体、又は
これらの組み合わせとすることができる、2種以上の物質の混合物を指す。この混合物は
、均質又は不均質とすることができる。用語「混合物」とは、互いに組み合わされ、一般
的には分離することが可能である、2種以上の物質の組成物である。一般的には、それら
の2種以上の物質は、互いに化合されない。
合金
一部の実施形態では、本明細書で説明される合金組成物は、完全に合金化することがで
きる。一実施形態では、「合金」とは、一方の原子が他方の原子に置き換わるか、又は原
子間の格子間位置を占有する、2種以上の金属の均質な混合物又は固溶体を指すものであ
り、例えば、黄銅は、亜鉛及び銅の合金である。合金とは、複合材料とは対照的に、金属
マトリックス中の1種以上の化合物などの、金属マトリックス中の1種以上の元素の部分
的又は完全な固溶体を指すことができる。本明細書での合金という用語は、単一の固相の
微細構造を呈し得る全率固溶合金、及び2つ以上の相を呈し得る部分的溶体の双方を指す
ことができる。本明細書で説明される合金組成物は、合金を含むもの、又は合金含有複合
材料を含むものを指すことができる。
それゆえ、完全に合金化した合金は、固溶体相であれ、化合物相であれ、又は双方であ
れ、その構成成分の均質な分布を有し得る。本明細書で使用される用語「完全に合金化さ
れた」は、許容誤差範囲内の僅かな変異を説明することができる。例えば、その用語は、
少なくとも95%の合金化など、少なくとも99%の合金化など、少なくとも99.5%
の合金化など、少なくとも99.9%の合金化などの、少なくとも90%の合金化を指す
ことができる。本明細書での百分率は、文脈に応じて、体積百分率又は重量百分率のいず
れかを指すことができる。これらの百分率は、合金の部分ではない組成又は相の観点によ
るものとすることができる、不純物によって均衡させることができる。
アモルファス又は非晶質固体
「アモルファス」又は「非晶質固体」は、結晶に特徴的な格子周期性を欠く固体である
。本明細書で使用するとき、「アモルファス固体」は、ガラス転移を通じて、加熱される
と液体状の状態へと軟化及び変態するアモルファス固体である、「ガラス」を含む。一般
的には、アモルファス材料は、結晶に特徴的な長距離秩序を欠くが、それらのアモルファ
ス材料は、化学結合の性質による、原子の長さスケールでの何らかの短距離秩序を保有し
得る。アモルファス固体と結晶性固体との区別は、X線回折及び透過型電子顕微鏡検査な
どの構造特性評価技術によって決定される、格子周期性に基づいて行うことができる。
用語「秩序」及び「無秩序」とは、多粒子系内での何らかの対称性又は相関性の有無を
指示する。用語「長距離秩序」及び「短距離秩序」は、長さスケールに基づいて、材料内
の秩序を区別する。
固体における秩序の最も厳密な形態は格子周期性であり、特定のパターン(単位格子内
の原子配列)が何度も繰り返され、空間の並進に普遍の、空間充填を形成する。この格子
周期性は、結晶の定義特性である。可能な対称性は、14種のブラベー格子及び230種
の空間群に分類されている。
格子周期性は、長距離秩序を示唆するものである。1つの単位格子のみが知られる場合
には、その並進対称性によって、任意の距離での、全ての原子配置を正確に予測すること
が可能である。一般に逆も真であるが、ただし、例えば、完全に確定的な充填を有するが
、格子周期性を保有しない、準結晶の場合は例外である。
長距離秩序は、同じサンプルの遠隔の部分が、相関する挙動を呈する、物理系を特徴付
ける。この長距離秩序は、相関関数、すなわち次のスピン−スピン相関関数として表現す
ることができる。 〈G(x,x’)=s(x),s(x’)〉
上記の関数では、sはスピン量子数であり、xは特定の系内の距離関数である。この関
数は、x=x’である場合、単位元に等しく、距離|x−x’|が増大するにつれて減少
する。典型的には、この関数は、長距離で、指数関数的にゼロまで減衰し、その系は無秩
序であると見なされる。しかしながら、この相関関数が大きい|x−x’|で一定値へと
減衰する場合には、その系は長距離秩序を保有すると述べることができる。大きい値の|
x−x’|を構成するものは、相対的であることに留意されたい。
系は、その挙動を定義する一部のパラメータが、経時的に進展しないランダム変数であ
る(すなわち、それらが急冷又は凍結された)場合、急冷無秩序、例えば、スピングラス
を提示すると延べることができる。この急冷無秩序は、ランダム変数自体が進展すること
が可能な、焼鈍無秩序とは反対である。本明細書の実施形態は、急冷無秩序を含む系を包
含する。
本明細書で説明される合金は、結晶性、部分結晶性、アモルファス、又は実質的アモル
ファスとすることができる。例えば、合金サンプル/試料は、少なくともある程度の結晶
化度を含み得るものであり、ナノメートル及び/又はマイクロメートルの範囲のサイズを
、結晶粒/結晶が有する。あるいは、合金は、十分にアモルファスであるなどの、実質的
アモルファスとすることができる。一実施形態では、合金組成物は、実質的に結晶性であ
るなど、完全に結晶性であるなどの、少なくとも実質的にアモルファスではない。
一実施形態では、他のアモルファス合金中の1種の結晶又は複数種の結晶の存在は、そ
の合金中の「結晶相」として解釈することができる。合金の結晶化度の程度(又は一部の
実施形態では、略して「結晶化度」)とは、その合金中に存在する結晶相の量を指すこと
ができる。その程度とは、例えば、合金中に存在する結晶の分率を指すことができる。こ
の分率は、文脈に応じて、体積分率又は重量分率を指すことができる。アモルファス合金
がどの程度「アモルファス」であるかの尺度を、アモルファス化度とすることができる。
アモルファス化度は、結晶化度の程度の観点により測定することができる。例えば、一実
施形態では、低い程度の結晶化度を有する合金は、高い程度のアモルファス化度を有する
と述べることができる。一実施形態では、例えば、60体積%の結晶相を有する合金は、
40体積%のアモルファス相を有し得る。
アモルファス合金又はアモルファス金属
「アモルファス合金」とは、50体積%超のアモルファス含有量、好ましくは90体積
%超のアモルファス含有量、より好ましくは95体積%超のアモルファス含有量、最も好
ましくは99体積%超〜ほぼ100体積%のアモルファス含有量を有する合金である。上
述のように、アモルファス化度が高い合金は、結晶化度の程度が同等に低いことに留意さ
れたい。「アモルファス金属」とは、無秩序な原子スケール構造を有するアモルファス金
属材料である。結晶性であることにより、高度に秩序化した原子配置を有する、殆どの金
属とは対照的に、アモルファス合金は非晶質である。そのような無秩序構造が、冷却の間
に液体状態から直接作り出される材料は、「ガラス」と称される場合がある。したがって
、アモルファス金属は、一般に「金属ガラス」又は「ガラス金属」と称される。一実施形
態では、バルク金属ガラス(「BMG」)とは、その微細構造が少なくとも部分的にアモ
ルファスである合金を、指すことができる。しかしながら、アモルファス金属を作り出す
ためには、極度な急速冷却の他にも、物理蒸着、固相反応、イオン照射、メルトスピニン
グ、及び機械的合金化を含めた、幾つかの方法が存在する。アモルファス合金は、それら
が調製される方法とは関係なく、単一の部類の材料とすることができる。
アモルファス金属は、様々な急冷法を通じて作り出すことができる。例えば、アモルフ
ァス金属は、回転する金属ディスク上に溶融金属をスパッタリングすることによって、作
り出すことができる。1秒当り約数百万度の急冷は、結晶が形成するには過度に高速であ
る得るため、その金属は、ガラス状態で「固定」される。また、アモルファス金属/合金
は、厚い層のアモルファス構造、例えば、バルク金属ガラスの形成を可能にするための、
十分に低速な臨界冷却速度で作り出すこともできる。
用語「バルク金属ガラス」(「BMG」)、バルクアモルファス合金(「BAA」)、
及びバルク凝固アモルファス合金は、本明細書で互換的に使用される。それらの用語は、
少なくともミリメートルの範囲の最小寸法を有する、アモルファス合金を指す。例えば、
その寸法は、少なくとも約1mmなど、少なくとも約2mmなど、少なくとも約4mmな
ど、少なくとも約5mmなど、少なくとも約6mmなど、少なくとも約8mmなど、少な
くとも約10mmなど、少なくとも約12mmなどの、少なくとも約0.5mmとするこ
とができる。幾何学形状に応じて、その寸法は、直径、半径、厚さ、幅、長さなどを指す
ことができる。BMGはまた、少なくとも約1.0cmなど、少なくとも約2.0cmな
ど、少なくとも約5.0cmなど、少なくとも約10.0cmなどの、センチメートルの
範囲の少なくとも1つの寸法を有する、金属ガラスとすることもできる。一部の実施形態
では、BMGは、少なくともメートルの範囲の、少なくとも1つの寸法を有し得る。BM
Gは、金属ガラスに関して、上述の形状又は形態のうちの、いずれかを呈することができ
る。したがって、本明細書で説明されるBMGは、一部の実施形態では、重要な一態様で
の従来の堆積技術によって作製される薄膜とは異なるものとすることができ、前者のBM
Gは、後者の薄膜よりも遙かに大きい寸法のものとすることができる。
アモルファス金属は、純金属ではなく、合金とすることができる。この合金は、著しく
異なるサイズの原子を含有し得ることにより、溶融状態で、低い自由体積がもたらされる
(またそれゆえ、他の金属及び合金よりも、桁違いとなるまでの高い粘度を有する)。こ
の粘度は、原子が、規則格子を形成するために十分に移動することを防ぐ。この材料構造
は、冷却の間の低収縮性、及び塑性変形に対する抵抗性をもたらし得る。一部の場合には
結晶性材料の弱点である、この結晶粒界の非存在は、例えば、磨耗及び腐食に対する、よ
り良好な抵抗性をもたらし得る。一実施形態では、技術的にはガラスであるが、アモルフ
ァス金属はまた、酸化物ガラス及びセラミックよりも遙かに強靭であり、脆性ではないも
のにすることもできる。
アモルファス材料の熱伝導率は、それらの結晶性対応物の熱伝導率よりも低いものにす
ることができる。より緩徐な冷却の間でも、アモルファス構造の形成を達成するために、
3種以上の構成成分で合金を作製して、より高いポテンシャルエネルギー、及びより低い
形成の確率を有する、複合結晶単位をもたらすことができる。アモルファス合金の形成は
、以下の幾つかの因子:合金の構成成分の組成と、構成成分の原子半径(好ましくは、高
い充填密度及び低い自由体積を達成するために、12%超の有意差を有する)と、結晶核
生成を阻止し、溶融金属が過冷却状態に留まる時間を延長する、構成成分の組み合わせの
負の混合熱と、に応じて変化し得る。しかしながら、アモルファス合金の形成は、多種多
様な変数に基づくものであるため、合金組成物がアモルファス合金を形成するか否かを事
前に判定することは、困難な場合がある。
例えば、ホウ素、ケイ素、リン、及び他のガラス形成剤と、磁性金属(鉄、コバルト、
ニッケル)とのアモルファス合金は、低い保磁力及び高い電気抵抗を有する、磁性のもの
とすることができる。この高い抵抗は、例えば、トランス用磁心として有用な特性である
、交番磁界に晒された場合の渦電流による低損失をもたらす。
アモルファス合金は、潜在的に有用な様々な特性を有し得る。具体的には、アモルファ
ス合金は、同様の化学組成の結晶性合金よりも強固である傾向にあり、それらは結晶性合
金よりも大きい可逆性(「弾性」)変形に耐え得る。アモルファス金属は、それらの強度
を、それらの非晶質構造から直接導き出すものであり、この非晶質構造は、結晶性合金の
強度を制限する欠陥(転位などの)を全く有し得ない。例えば、Vitreloy(商標
)として知られる、1つの最新のアモルファス金属は、高級チタンのほぼ2倍の引張り強
さを有する。一部の実施形態では、室温での金属ガラスは延性ではなく、張力が負荷され
ると突然破損するが、このことは、差し迫った破壊が明白ではないため、信頼性が重要な
用途での、その材料の適用性を制限する。
それゆえ、この課題を克服するために、延性の結晶性金属の樹枝状の粒子又は繊維を含
有する、金属ガラスマトリックスを有する、金属マトリックス複合材料を使用することが
できる。代替として、深刻化を引き起こす傾向がある元素(例えば、Ni)が少ないBM
Gを、使用することができる。例えば、Niを含まないBMGを使用することにより、そ
のBMGの延性を改善することができる。
バルクアモルファス合金の別の有用な特性は、これらが真のガラスであり、換言すれば
、加熱により軟化かつ流動し得ることである。このことは、ポリマーと殆ど同じ方法での
、射出成形などによる、容易な加工処理を可能にする。結果として、アモルファス合金は
、スポーツ用品、医療用機器、電子部品及び電子装備、並びに薄膜を作製するために使用
することができる。アモルファス金属の薄膜は、高速酸素燃料技術を介して、保護コーテ
ィングとして堆積させることができる。
材料は、アモルファス相、結晶相、又は双方を有し得る。これらのアモルファス相及び
結晶相は、同じ化学組成を有し、微細構造のみが異なる(すなわち、一方はアモルファス
であり、他方は結晶質である)ものとすることができる。一実施形態での微細構造は、2
5×以上の倍率の顕微鏡によって明らかとなるような材料の構造を指す。あるいは、これ
らの2つの相は、異なる化学組成及び微細構造を有し得る。例えば、組成物は、部分的ア
モルファス、実質的アモルファス、又は完全アモルファスとすることができる。
上述のように、アモルファス化度の程度(また反対に結晶化度の程度)は、合金中に存
在する結晶の分率によって測定することができる。その程度とは、合金中に存在する結晶
相の体積分率又は重量分率を指すことができる。部分的アモルファス組成物とは、少なく
とも約10体積%など、少なくとも約20体積%など、少なくとも約40体積%など、少
なくとも約60体積%など、少なくとも約80体積%など、少なくとも約90体積%など
の、少なくともその約5体積%がアモルファス相である組成物を指すことができる。用語
「実質的に」及び「約」は、本明細書中の他の場所で定義されている。したがって、少な
くとも実質的にアモルファスである組成物とは、少なくとも約95体積%など、少なくと
も約98体積%など、少なくとも約99体積%など、少なくとも約99.5体積%など、
少なくとも約99.8体積%など、少なくとも約99.9体積%などの、少なくともその
約90体積%がアモルファスであるものを指すことができる。一実施形態では、実質的ア
モルファス組成物は、その中に存在する何らかの付随的な少量の結晶相を有し得る。
一実施形態では、アモルファス合金組成物は、アモルファス相に関して均質とすること
ができる。組成が均一である物質は均質である。このことは、不均質である物質とは対照
的である。用語「組成」とは、物質中の化学組成及び/又は微細構造を指す。物質は、そ
の物質の体積を半分に分割して、両半分が実質的に同じ組成を有する場合に、均質である
。例えば、微粒子懸濁液は、その微粒子懸濁液の体積を半分に分割して、両半分が実質的
に同じ体積の粒子を有する場合に、均質である。しかしながら、顕微鏡下で個々の粒子を
視認することが可能な場合もある。均質な物質の別の例は、空気であり、その空気中の種
々の成分は等しく浮遊するが、空気中の粒子、気体、及び液体は、個別に分析することが
でき、又は空気から分離することもできる。
アモルファス合金に関して均質である組成とは、その微細構造の全体にわたって実質的
に均一に分布するアモルファス相を有するものを指すことができる。換言すれば、その組
成物は、組成物の全体にわたって実質的に均一に分布するアモルファス合金を巨視的に含
む。代替の実施形態では、この組成は、非アモルファス相をその中に有する、アモルファ
ス相を有する複合材料のものとすることができる。この非アモルファス相は、1つの結晶
又は複数の結晶とすることができる。それらの結晶は、球形、楕円、ワイヤ状、ロッド状
、シート状、フレーク状、又は不規則形状などの、任意の形状の微粒子の形態とすること
ができる。一実施形態では、結晶は、樹枝状形態を有し得る。例えば、少なくとも部分的
にアモルファスの複合組成物は、アモルファス相マトリックス中に分散する樹枝状結晶の
形状の結晶相を有し得るものであり、この分散は、均一又は不均一なものとすることがで
き、アモルファス相と結晶相とは、同じ化学組成又は異なる化学組成を有し得る一実施形
態では、それらの相は実質的に同じ化学組成を有し得る。別の実施形態では、結晶相は、
BMG相よりも延性とすることができる。
本明細書で説明される方法は、任意のタイプのアモルファス合金に適用可能とすること
ができる。同様に、組成物又は物品の成分として、本明細書で説明されるアモルファス合
金は、任意のタイプのものとすることができる。このアモルファス合金は、Zr、Hf、
Ti、Cu、Ni、Pt、Pd、Fe、Mg、Au、La、Ag、Al、Mo、Nb、B
eの元素、又はこれらの組み合わせを含み得る。すなわち、この合金は、その化学式又は
化学組成中に、これらの元素のいずれかの組み合わせを含み得る。それらの元素は、種々
の重量百分率又は体積百分率で存在し得る。例えば、鉄「ベース」合金とは、その中に存
在する無視することができない重量百分率の鉄を有する、合金を指すことができ、その重
量百分率は、例えば、少なくとも約40重量%など、少なくとも約50重量%など、少な
くとも約60重量%など、少なくとも約80重量%などの、少なくとも約20重量%など
とすることができる。あるいは、一実施形態では、上述の百分率は、重量百分率の代わり
に、体積百分率とすることができる。したがって、アモルファス合金は、ジルコニウムベ
ース、チタンベース、白金ベース、パラジウムベース、金ベース、銀ベース、銅ベース、
鉄ベース、ニッケルベース、アルミニウムベース、モリブデンベースなどとすることがで
きる。この合金はまた、特定の目的に適合するように、上述の元素のうちのいずれかを含
まない場合もある。例えば、一部の実施形態では、この合金、又はこの合金を含む組成物
は、ニッケル、アルミニウム、チタン、ベリリウム、又はこれらの組み合わせを実質的に
含まないものであり得る。一実施形態では、この合金又は複合材料は、ニッケル、アルミ
ニウム、チタン、ベリリウム、又はこれらの組み合わせを、全く含まない。
例えば、このアモルファス合金は、式(Zr,Ti)a(Ni,Cu,Fe)b(Be,
Al,Si,B)cを有し得るものであり、式中、a、b、及びcはそれぞれ、重量百分
率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは30〜75の範囲であり
、bは5〜60の範囲であり、cは0〜50の範囲である。代替として、このアモルファ
ス合金は、式(Zr,Ti)a(Ni,Cu)b(Be)cを有し得るものであり、式中、
a、b、及びcはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百
分率で、aは40〜75の範囲であり、bは5〜50の範囲であり、cは5〜50の範囲
である。この合金はまた、式(Zr,Ti)a(Ni,Cu)b(Be)cを有し得るもの
でもあり、式中、a、b、及びcはそれぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施
形態では、原子百分率で、aは45〜65の範囲であり、bは7.5〜35の範囲であり
、cは10〜37.5の範囲である。代替として、この合金は式(Zr)a(Nb,Ti
b(Ni,Cu)c(Al)dを有し得るものであり、式中、a、b、c、及びdはそれ
ぞれ、重量百分率又は原子百分率を表す。一実施形態では、原子百分率で、aは45〜6
5の範囲であり、bは0〜10の範囲であり、cは20〜40の範囲であり、dは7.5
〜15の範囲である。上述の合金系の例示的一実施形態は、Liquidmetal T
echnologies(CA,USA)によって製作されるような、Vitreloy
−1及びVitreloy−101などの、商品名Vitreloy(商標)の、Zr−
Ti−Ni−Cu−Beベースのアモルファス合金である。種々の系のアモルファス合金
の一部の実施例が、表1及び表2に記載される。
Figure 2017221976
Figure 2017221976
これらのアモルファス合金はまた、(Fe,Ni,Co)ベース合金などの、鉄合金と
することもできる。かかる組成物の例は、米国特許第6,325,868号、同第5,2
88,344号、同第5,368,659号、同第5,618,359号、及び同第5,
735,975号、InoueらのAppl.Phys.Lett.,Volume 7
1,p 464(1997)、ShenらのMater.Trans.,JIM,Vol
ume 42,p 2136(2001)、並びに日本特許出願第200126277号
(公開番号2001303218(A))で開示されている。1つの例示的な組成物は、
Fe72Al5Ga21164である。別の実施例は、Fe72Al7Zr10Mo5W2B15
ある。本明細書でのコーティングに使用することができる、別の鉄ベース合金系が、米国
特許出願公開第2010/0084052号で開示されており、そのアモルファス金属は
、例えば、括弧内に記される組成の範囲で、マンガン(1〜3原子%)、イットリウム(
0.1〜10原子%)、及びケイ素(0.3〜3.1原子%)を含有し、また括弧内に記
される組成の指定範囲で以下の元素:クロム(1〜20原子%)、モリブデン(2〜15
原子%)タングステン(1〜3原子%)、ホウ素(5〜16原子%)、炭素(3〜16原
子%)、及び残部の鉄を含有する。
その他の例示的な鉄系合金には、例えば米国特許出願公開第2007/0079907
号及び同第2008/0118387号に開示されている組成物が挙げられる。これらの
組成物には、Fe(Mn,Co,Ni,Cu)(C,Si,B,P,Al)系が含まれ、
ここにおいてFe含有量は60〜75原子パーセント、(Mn,Co,Ni,Cu)の合
計は5〜25原子パーセントの範囲内、及び(C,Si,B,P,Al)の合計は8〜2
0原子パーセントの範囲内であり、例示的な組成はFe48Cr15Mo14Y2C15
B6である。また、Fe−Cr−Mo−(Y,Ln)−C−B,Co−Cr−Mo−Ln
−C−B、Fe−Mn−Cr−Mo−(Y,Ln)−C−B、(Fe,Cr,Co)−(
Mo,Mn)−(C,B)−Y、Fe−(Co,Ni)−(Zr,Nb,Ta)−(Mo
,W)−B,Fe−(Al,Ga)−(P,C,B,Si,Ge)、Fe−(Co,Cr
,Mo,Ga,Sb)−P−B−C、(Fe,Co)−B−Si−b合金、及びFe−(
Cr−Mo)−(C,B)−Tmにより記述される合金系が挙げられ、ここにおいてLn
はランタニド元素、Tmは遷移金属元素を示す。更に、このアモルファス合金は、米国特
許出願公開第2010/0300148号に記述される例示的組成物Fe80P12.5
C5B2.5、Fe80P11C5B2.5Si1.5、Fe74.5Mo5.5P12
.5C5B2.5、Fe74.5Mo5.5P11C5B2.5Si1.5、Fe70M
o5Ni5P12.5C5B2.5、Fe70Mo5Ni5P11C5B2.5Si1.
5、Fe68Mo5Ni5Cr2P12.5C5B2.5、及びFe68Mo5Ni5C
r2P11C5B2.5Si1.5のうち1つであり得る。
このアモルファス合金は、米国特許出願公開第2008/0135136号、同第20
09/0162629号、及び同第2010/0230012号に記述されているPt又
はPd系合金のうち1つであり得る。例示的な組成物には、Pd44.48Cu32.3
5Co4.05P19.11、Pd77.5Ag6Si9P7.5、及びPt74.7C
u1.5Ag0.3P18B4Si1.5が挙げられる。
上述のアモルファス合金系は、Nb、Cr、V、及びCoを含めた添加遷移金属元素な
どの、添加元素を更に含み得る。これらの添加元素は、約20重量%以下など、約10重
量%以下など、約5重量%など、約30重量%以下で存在し得る。一実施形態では、この
任意選択の添加元素は、コバルト、マンガン、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、タング
ステン、イットリウム、チタン、バナジウム、及びハフニウムのうちの少なくとも1つで
あり、炭化物を形成して、耐摩耗性及び耐食性を更に改善する。更なる任意選択の元素と
しては、融点を低下させるための、合計で最大約2%の、好ましくは1%未満の、リン、
ゲルマニウム、及びヒ素を挙げることができる。他の少量の不純物は、約2%未満、好ま
しくは0.5%未満とするべきである。
一部の実施形態では、アモルファス合金を有する組成物は少量の不純物を含み得る。不
純物元素を意図的に添加することにより、機械的特性(例えば、硬度、強度、破壊機構な
ど)の改善、及び/又は耐食性の改善などの、その組成物の特性を修正することができる
。あるいは、それらの不純物は、加工処理及び製造の副生成物として得られるもののよう
な、不可避の付随的な不純物として存在し得る。この不純物は、約5重量%以下など、約
2重量%以下など、約1重量%以下など、約0.5重量%以下など、約0.1重量%以下
などの約10重量%以下とすることができる。一部の実施形態では、これらの百分率は、
重量百分率の代わりに、体積百分率とすることができる。一実施形態では、この合金サン
プル/組成物は、アモルファス合金から本質的になる(少量の付随的不純物のみを有する
)。別の実施形態では、この組成物はアモルファス合金を含む(観察可能な微量の不純物
を全く有さない)。
一実施形態では、最終部品は、バルク凝固アモルファス合金の臨界鋳造厚さを超過する
ものであった。
本明細書の実施形態では、バルク凝固アモルファス合金が高粘度の液体として存在する
ことができる、過冷却液体領域の存在により、超塑性成形が可能となる。高塑性変形を得
ることができる。過冷却液体領域内で高塑性変形を起こす能力は、成形プロセス及び/又
は切断プロセスに使用される。固体とは対照的に、この液体のバルク凝固合金は、局所的
に変形し、このことが、切断及び成形のために必要とされるエネルギーを、大幅に低下さ
せる。切断及び成形の容易性は、合金、金型、及び切断工具の温度に応じて変化する。温
度が高くなるにつれて、粘度が低下し、その結果として、切断及び成形が容易になる。
本明細書の実施形態は、例えば、Tg〜Txで実施される、アモルファス合金を使用す
る熱可塑性成形プロセスを利用することができる。本明細書では、Tx及びTgは、結晶
化の開始の温度、及びガラス転移の開始の温度として、典型的な加熱速度(例えば、20
℃/分)での標準的なDSC測定から決定される。
アモルファス合金構成要素は、臨界鋳造厚さを有し得るものであり、最終部品は、その
臨界鋳造厚さよりも厚い厚さを有し得る。更には、加熱及び整形操作の時間並びに温度は
、アモルファス合金の弾性歪み限界が、1.0%以上、好ましくは1.5%以上であるこ
とを実質的に維持し得るように選択される。本明細書の実施形態との関連では、ガラス転
移近傍の温度とは、成形温度がガラス転移未満、ガラス転移温度若しくはガラス転位温度
近傍、及びガラス転移温度超とすることができることを意味するが、結晶化温度Txより
低い温度であることが好ましい。冷却工程は、加熱工程での加熱速度と同様の速度で、好
ましくは、加熱工程での加熱速度を超える速度で実施される。冷却工程はまた、好ましく
は、成形荷重及び整形荷重が依然として維持されている間にも達成される。
電子デバイス
本明細書の実施形態は、BMGを使用する電子デバイスの製作で有用であり得る。本明
細書での電子機器とは、当該技術分野において既知の任意の電子機器を指すことができる
。例えば、この電子機器は、携帯電話及び固定電話などの電話、あるいは、例えばiPh
one(商標)を含めたスマートフォン、及び電子eメール送信/受信機器などの、任意
の通信機器とすることができる。この電子機器は、デジタルディスプレイ、TVモニタ、
電子ブックリーダ、携帯ウェブブラウザ(例えば、iPad(商標))、及びコンピュー
タモニタなどの、ディスプレイの一部とすることができる。この電子デバイスはまた、ポ
ータブルDVDプレーヤ、従来型DVDプレーヤ、ブルーレイディスクプレーヤ、ビデオ
ゲームコンソール、ポータブル音楽プレーヤ(例えば、iPod(商標))などの音楽プ
レーヤなどを含めた、娯楽機器とすることもできる。この電子デバイスはまた、画像、ビ
デオ、音声のストリーミングを制御することなどの、制御を提供する機器(例えば、Ap
ple TV(商標))の一部とすることもでき、又は電子デバイス用の遠隔制御装置と
することができる。この電子機器は、コンピュータ、あるいはハードドライブタワーの筺
体若しくはケーシング、ラップトップ筺体、ラップトップキーボード、ラップトップトラ
ックパッド、デスクトップキーボード、マウス、及びスピーカなどの、コンピュータ付属
品の一部とすることができる。この物品はまた、腕時計又は時計などの機器にも適用する
ことができる。
BMGシートのロール成形プロセス
一実施形態において、ロール成形を、アモルファス合金の高温プロセスと組み合わせる
ことができ、すなわち、バルク凝固アモルファス合金形成金属を、ガラス転位と結晶化開
始の間の温度領域(すなわち、過冷却液体領域)でロール加工することができ、これによ
り、バルク凝固アモルファス合金の良好に均一なシートを得ることができる。ただし、プ
ロセスが完了した後に急速に冷却することを条件とし、また、プロセス中に実際に結晶化
を生じさせ得るような長時間にわたってプロセス加工を行うことはできない。よって、一
実施形態は、熱可塑性成形操作を用いたロール成形に関する。
図3(米国特許出願公開第2009/0165520号より入手)は、本明細書の実施
形態のロール成形されたBMGシートを作製するために適用可能なロール成形システムの
概略図である。ロール成形ユニット207は、複数のロール成形機(ローラーとも呼ばれ
る)R1、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7を含む。ロール成形ユニット207
は、BMGシートを連続的に屈曲させることにより、ロール成形工程S140を実施する
。所望により、少なくとも1つの湾曲成形ロールを含む丸曲げ機209が、プロセスライ
ンのロール成形ユニット207の出口端に提供され得る。加えて、成形されたBMGシー
トを切断するための切断プレス211が、切断工程S160を実施するために提供され得
る。加えて、BMGシートの更なる熱成形工程S170が必要な場合は、ホットプレス2
13が提供され得る。
別の実施形態において、前駆体として溶融した合金を使用することもできる。溶融した
合金を一連のスピンしているローラーに注ぎ、反対側の端からシートを引き出すことがで
きる。従来型の金属加工と同様に、ただしアモルファス合金の場合においては速度は別と
して、この成形プロセスの間に冷却して、スピンしているローラーから金属合金が出る際
に、ほぼ100%アモルファスとなるシートを形成することが目標となるアモルファス固
体を生成することができる。
溶融した合金を前駆体として使用する上記の実施形態の場合、図3に示すロール成形ユ
ニット207は、水平方向又は垂直方向のいずれでも作動される。
特に、垂直方向では、溶融した合金が重力を受けてローラーの間に注がれ得るため、垂
直方向でロール成形ユニット207を作動させることが好ましい可能性がある。
一実施形態において、均一な厚さのシートを作製するために、ローラーの間に均一な隙
間を有するローラーを使用して、熱成形及びロール成形を行うことができる。
代替として、別の実施形態では、ローラーがチャネル又はその他の形体を備えてパター
ン形成されていてよく、これにより、材料が凝固する際に小さなユニットに分離され得る
。例えばローラーは、例えばほぼ矩形又は正方形の凹部を有するワッフル模様などのパタ
ーンをその表面上に有し得る。ここで、溶融した合金を2つのローラーの間に注いだ場合
、ローラーの出口側で、ローラー内の凹部に合致した分離したユニットを得ることができ
、又は、ほぼ若しくは完全にアモルファスであり得る模様付きシートを得ることができる
また、平坦ローラーと、鋸歯若しくはブレード又はそのような類似のものを備えた別の
ローラーとの対、又は一連のローラーを有してよく、溶融したアモルファス合金成型金属
をこのローラー間に注ぐことができる。溶融した合金は、下ローラーと上ローラーの表面
で冷却され、これがブレード様の突起を形成し、冷却されて個別のストリップに分かれる
際に、バルク凝固アモルファス合金を分離し得る。これを行う目的は、プロセスを適切に
制御できた場合、更なる作業のための原料、又は最終部品を製造することであり得る。
本明細書の実施形態の特徴の1つは、ローラーが正確に調節された温度を有することで
ある。この理由は、アモルファス合金の特性が、冷却履歴に大きく依存するからである。
溶融したアモルファス合金形成金属を十分な速さで冷却すると、アモルファス固体を得る
ことができる。冷却が遅いと材料中に結晶が形成され、これは、機械的特性に対して有害
な影響を有する。調節された温度とは、ローラーを、室温よりも高い温度で、しかしなが
ら合金が通過する際に結晶化を起こし得るほど高い必要はないような、温度にすることを
意味する。よって好ましくは、BMGシートを形成するローラーの温度は、ジルコニウム
系合金について好ましくは、200〜450℃付近とすべきである。
例えば、溶融した合金を用いる場合、これを実質的にかなりの程度に過熱させ(例えば
1000〜1200℃)、次に、室温より高い特定の温度に維持された一連のローラーに
注ぐことができる。一実施形態において、2つのローラーを水冷し、室温に維持すること
ができる。代替として、2つのローラーを、恐らくは200〜450℃の範囲の高温に維
持することができる。加えて、反対側に別のローラー対を使用して、恐らくは別の作業セ
ットを形成し、これにより更に、材料の特徴を精密化することができる。例えば、溶融し
たアモルファス合金形成金属を用い、冷温ローラーの間に注ぎ、これによって、結晶化を
避けるよう管理されるが、依然として高温で、成形可能であり得るものをローラーの反対
側に出す。これを次に、室温まで冷却される前に、シート材に追加の変更を提供し得る追
加のローラー対を用いることができる。
本明細書の実施形態において、溶融したアモルファス合金形成材料は、2つの動いてい
る金型の間に注ぎ、これにより必要な冷却速度を提供し、かつ最終原料を製造するのに必
要な成形作業を提供することができる。
冷却を制御して、最終的に冷却速度が毎秒1,000℃になるようにすることができ、
この冷却速度はシートの厚さ全体にわたり得る。ただし、本明細書の実施形態の一部のバ
ルクアモルファス合金では、冷却速度が毎秒1〜100℃であり得る。よってこれらの材
料について、これらのローラーの間の冷却は、ローラーの出口でアモルファス性を付与す
るために、材料を毎秒1〜100℃の間で冷却され得るようにしなければならない可能性
がある。本明細書の実施形態によって試験された材料の多くにおいて、臨界冷却速度は、
毎秒1〜10℃の範囲であり得る。よって、これらの材料では、バルク凝固アモルファス
合金を形成するのに、バルク凝固アモルファス合金形成材料の冷却をより容易に制御する
ことが可能になる。
冷却速度は、合金の必須冷却速度要件に合わせて調節され得る。冷却速度は、バルク凝
固アモルファス合金を形成する溶融した材料の温度と、ローラーの温度との間の差によっ
て変化し得る。よって、ローラーの温度をある程度下の温度(例えば200〜500℃)
に制御することにより、冷却速度を本質的に調節することができる。より安定した合金に
ついては、毎秒100℃程度の冷却を必要とするこれらの合金よりも、遅い冷却速度で、
完全にアモルファスの部品を得ることができる。より安定した材料では、直接水冷で十分
であり得る。
本明細書の実施形態のロール成形プロセスで製造されたバルク凝固アモルファス合金シ
ートの厚さ範囲は、ミリメートル範囲で、厚さ1/2インチの桁の値、又は厚さ約10〜
15ミリメートルであり得る。薄さについては、この厚さは0.3〜0.5ミリメートル
(すなわち300〜500μm)、又はその桁の値であり得る。
実現可能な変化の1つは、そのローラー内で構築される冷却システムを有し得る場所で
ある。他の変化は、ローラー材料が電磁気的に透過性があるものであり、これにより2つ
のローラーが接触する先端の近く又はその先端の上に局所的な誘導加熱を行うための誘導
加熱を使用し得、これによって、バルク凝固アモルファス合金形成材料は基本的に、ロー
ラーに入る直前に溶融され、その後、急激にローラーの間に挟み込まれ得る。バルク凝固
アモルファス合金を挟み込んだ後、このバルク凝固アモルファス合金を冷却して、下記の
バルク凝固アモルファス合金シートを形成することができる。一実施形態において、溶融
したバルク凝固アモルファス合金の冷却は、ローラー内を通過する冷却コイル又はチャネ
ルを使用してローラー自体を冷却することによってなされ得る。よって、左側ローラーと
右側ローラーの2つのローラーの断面図を見るとき、この2つのローラーは左側ローラー
の3時の位置と右側ローラーの9時の位置で互いに接触し得る。誘導加熱システムを有す
ることができ、これにより、粉末又は粒状形体であり得るバルク凝固アモルファスを誘導
加熱して、左側ローラーの2時の位置と右側ローラーの10時の位置で溶融した形態にす
る。次に、この材料が、左側ローラーの3時の位置と右側ローラーの9時の位置で、ロー
ラーの間に挟み込まれ得る。次に、材料が挟み込み点から出る際、左側ローラーの4時の
位置と右側ローラーの8時の位置を通過することができ、この点で、材料が急速に冷却さ
れて、バルク凝固アモルファス合金シートが形成され得る。連続的プロセスでは、ローラ
ーは「一定の」温度であり得る。所望により、急冷のためにローラーの第2の対を追加す
ることができる。
別の実施形態は、バルク凝固アモルファス合金形成材料を溶融するため、ロール成形と
冷炉床の加熱及び溶融システムとを組み合わせることであり得る。例えば、るつぼの底部
を形成する2つのローラーを有し、その上で材料を溶融させることができる。更に、これ
らのローラーは連続的に水冷され得る。材料は、例えば誘導加熱により加熱され得る。材
料自体は、るつぼの底部を形成する2つのローラーの上に、ローラーを濡らすことなく留
まり得る。なぜなら、溶融した合金の表面張力により、上に引っ張られる傾向にあるから
である。材料が望ましい温度(例えば融解温度)になるとすぐに、ローラーを単に作動さ
せて、材料がローラーの間を流れ、ローラーの出口側から出てくることができる。
本発明の別の実施形態において、連続的に水冷されている、温度調節された銅るつぼ(
底部又は炉床)が使用される。この金属合金は、誘導により、あるいはアーク、又はプラ
ズマ、又は例えば電子ビームのいずれかで、溶融され得る。
銅底部は、合金の融解温度よりもはるかに低い温度に調節されているため、溶融した合
金がこの底部を濡らすことはない。金属合金が底部を濡らさないため、本質的に無容器で
プロセス加工される。底部に乗っている材料は、スラリー又は部分的に結晶質である。舟
型のるつぼの代わりに、本明細書の実施形態のるつぼは、非常に密な、又は望ましい狭さ
の間隔の、2つのローラー(るつぼ形成ローラー)としての底部を有し得る。るつぼ形成
ローラーにより形成される底部の上は、バルク凝固アモルファス合金を形成する金属合金
を収容するための部分である。るつぼ形成ローラーは、例えばセラミックなどの電磁気的
に透過性の材料であり得る。るつぼ形成ローラーは、水冷され得る。材料は、水冷式るつ
ぼ形成ローラーの上に乗せられ、基本的にローラー間の隙間に落ち着く。誘導コイルによ
り、この水冷式るつぼ形成ローラーの上の材料を加熱するが、これらローラーは冷却され
ているため、金属合金はこれらるつぼ形成ローラーには付着しない。電源を切るとすぐに
、ローラーが作動し、溶融した材料がローラーの間に急速に引き込まれて、反対側でシー
トを形成する。所望により、銅系るつぼを使用することができ、このるつぼを傾けて、溶
融した合金をローラーの上に注ぐことができる。
また別の実施形態は、2対のローラーを用いることに関しており、ここにおいて第1の
ローラー対はるつぼ形成ローラーとして機能し、好ましくは誘導加熱などに対し、電磁気
的に透過性の材料で製造される。
一実施形態において、るつぼ形成ローラー内に、バルク凝固アモルファス合金形成材料
の粉末原料を定常的に供給することができ、これによりるつぼ形成ローラーの上に溶融プ
ールが形成される。粉末材料は、この溶融プール内で溶融され、るつぼ形成ローラーの出
口側から、溶融したシートとして出て来ることができる。るつぼ形成ローラーから、溶融
したシートとして出て来る際に、冷却されているローラーである第2のローラー対(冷却
ローラー)を通ってプロセス処理することができ、これらの冷却されたローラーがシート
を急冷し、これによりアモルファスシートが得られ得る。よって、本実施形態により、る
つぼ形成ローラーと冷却ローラーの2対のローラーを有し得る。るつぼ形成ローラーの間
の隙間内に、バルク凝固アモルファス合金形成材料粉末材料の粉末原料を、定常的に注ぐ
ことができる。隙間に粉末原料材料を受け取ったるつぼ形成ローラーは、誘導加熱され、
これにより、るつぼ形成ローラーの出口側から出て来るのは、バルク凝固アモルファス合
金の溶融した合金であり得る。るつぼ形成ローラーのすぐ下に第2のローラー対があり(
これは冷却ローラーである)、この冷却ローラーは、溶融した金属合金が冷却ローラーに
入り込むとすぐに急冷されるよう、冷却され得る。
更に別の実施形態において、バルク凝固アモルファス合金の積層体を形成し得る。更に
別の実施形態において、バルク凝固アモルファス合金及び熱可塑性ポリマーの積層体を形
成し得る。例えば、図4に示すように、スプール上に供給される材料は、単なるバルク凝
固アモルファス合金シートであり得、又は、バルク凝固アモルファス合金シートと熱可塑
性ポリマーシートとの組み合わせであり得る。例えば、図4において、上、中間及び下の
スプールは、バルク凝固アモルファス合金シートを含み得、一方、それらの間の2つのス
プールは、熱可塑性ポリマーシートを含み得、これによってB/P/B/P/B構造の積
層体を形成することができ、ここにおいてBはバルク凝固アモルファス合金を表し、Pは
熱可塑性ポリマーを表す。熱可塑性ポリマーは、バルク凝固アモルファス合金の超塑性温
度範囲内で熱可塑的にプロセス加工可能な、任意の熱可塑性であり得る。例えば、この熱
可塑性ポリマーは、例えば、ポリエチルエチルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホ
ン(PES)、又はポリエステルなどであり得る。
図4のロール成形プロセスは、(1)材料供給、(2)加熱、(3)圧密化、及び(4
)成型工程の4つの部分を有するものとして見なすことができる。材料は、1つ以上のコ
イルに供給され得る。実際の材料の形態は、必要な積層体に応じて異なり得る。また、熱
可塑性ポリマー繊維、カーボン若しくはケブラー繊維強化、又は繊維強化シート状材料(
例えば編み込みシート)などの繊維を供給することも可能である。圧密化は、ダブルベル
トプレス又は一連の圧縮ローラーを含む、様々な方法を用いて実施し得る。
更に別の実施形態において、このプロセスは、貴金属アモルファス合金(Au、Ag、
Pd、Pt系合金)に関して空気中で実施することができる。しかしながら、Zr又はT
i系アモルファス合金などの他の合金は、減圧下又は不活性雰囲気下でプロセス処理する
ことが必要になり得る。

Claims (18)

  1. 金属合金を含むバルク凝固アモルファス合金を取得する工程と、
    前記バルク凝固アモルファス合金の一部分を前記金属合金のガラス転移温度(Tg)よ
    りも高い温度でロール成形する工程とを含む方法であって、前記ロール成形する工程は、
    前記ロール成形する工程の間の前記一部分の時間−温度特性が、前記金属合金の時間−温
    度−変態(TTT)図における前記金属合金の結晶質領域を囲む領域を横切らず、
    前記バルク凝固アモルファス合金を取得する工程が、溶融した金属合金を形成するため
    に、前記金属合金を、前記金属合金の融点(Tm)又はそれ以上に加熱する工程と、前記
    溶融した金属合金を第1ロール成形機に挿入する工程と、前記バルク凝固アモルファス合
    金を形成するために、前記金属合金をTg未満の温度に冷却する工程とを含む、方法。
  2. 前記バルク凝固アモルファス合金を取得する工程が、アモルファス合金を、Tgより下
    の温度から、Tgと結晶化温度(Tx)との間の温度まで加熱する工程と、前記バルク凝
    固アモルファス合金を成形するために、前記アモルファス合金を金型に挿入する工程とを
    含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記バルク凝固アモルファス合金の前記一部分を前記ロール成形する工程が、前記バル
    ク凝固アモルファス合金の前記一部分を熱可塑成形する工程を含む、請求項1に記載の方
    法。
  4. 前記バルク凝固アモルファス合金の前記一部分の前記ロール成形工程の間に、前記バル
    ク凝固アモルファス合金の温度が、Tg未満、又はTg超であるが、ただし、ロール成形
    により成形される前記バルク凝固アモルファス合金の前記一部分の局所的温度がTg超で
    ある、請求項1に記載の方法。
  5. 前記バルク凝固アモルファス合金を形成するために、前記金属合金をTg未満の温度に
    前記冷却する工程が、前記第1ロール成形機上で実施される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記バルク凝固アモルファス合金を形成するために、前記金属合金をTg未満の温度に
    前記冷却する工程が、第2ロール成形機上で実施される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記第1ロール成形機が、前記溶融した金属合金のプールを形成する、請求項1に記載
    の方法。
  8. 前記第1ロール成形機が、誘導加熱により加熱される前記溶融した金属合金のプールを
    形成する、請求項6に記載の方法。
  9. 前記第1ロール成形機が、実質的に電磁気的に透過性である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記溶融した金属合金が急冷されて前記バルク凝固アモルファス合金を形成するように
    、前記第2ロール成形機が冷却される、請求項6に記載の方法。
  11. 前記バルク凝固アモルファス合金の前記一部分の前記ロール成形の工程が、前記バルク
    凝固アモルファス合金の前記一部分を熱可塑成形する工程を含む、請求項1に記載の方法
  12. 前記バルク凝固アモルファス合金の前記一部分の前記ロール成形工程の間に、前記バル
    ク凝固アモルファス合金の温度が、Tg未満、又はTg超であるが、ただし、成形される
    前記バルク凝固アモルファス合金の前記一部分の局所的温度がTg超である、請求項5に
    記載の方法。
  13. 前記金属合金が、分子式(Zr,Ti)a(Ni,Cu,Fe)b(Be,Al,Si,
    B)cで表され、式中、原子百分率で、aは30〜75の範囲、bは5〜60の範囲、及
    びcは0〜50の範囲である、請求項1に記載の方法。
  14. 前記金属合金が、分子式(Zr,Ti)a(Ni,Cu)b(Be)cで表され、式中、
    原子百分率で、aは40〜75の範囲、bは5〜50の範囲、及びcは5〜50の範囲で
    ある、請求項1に記載の方法。
  15. 溶融した金属合金を形成するために、前記金属合金を前記金属合金の融点(Tm)又は
    それ以上に前記加熱する工程が、前記金属合金を粉末形態で加熱する工程を含む、請求項
    1に記載の方法。
  16. 前記バルク凝固アモルファス合金を取得する工程が、バルク凝固アモルファス合金及び
    熱可塑性ポリマー又はその他の材料の積層体を取得する工程を含む、請求項1に記載の方
    法。
  17. 前記積層体がB/P/B構造を有し、Bは前記バルク凝固アモルファス合金を表し、P
    は前記熱可塑性ポリマーを表す、請求項16に記載の方法。
  18. バルク凝固アモルファス合金及び熱可塑性ポリマー又はその他の材料の積層体を含む物
    品であって、前記積層体がB/P/B構造を有し、Bは前記バルク凝固アモルファス合金
    を表し、Pは前記熱可塑性ポリマーを表す、物品。
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