JP6050687B2 - 無電解めっき物の製造方法 - Google Patents
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Description
導電性高分子の一種であるポリアニリンは,その電気的な特性に加え,安価なアニリンから比較的簡便に合成でき,かつ導電性を示す状態で酸素等に対して優れた安定性を示すという利点及び特性を有する。また,特許文献1に記載の方法によって、簡便に,かつ高導電のポリアニリンを得ることができる。
本発明の目的は、導電性高分子を用いた無電解めっき下地膜部分に選択的かつ安定的に均一なめっき皮膜を形成できる、無電解めっき物の製造方法を提供することである。
1.導電性ポリマーを含む無電解めっき下地膜を基材上に形成する工程、
前記無電解めっき下地膜を、標準電極電位E0がE0=−1.00V〜−0.10Vである酸性の還元剤水溶液に接触させる工程、及び
前記還元剤水溶液との接触後の無電解めっき下地膜上に無電解めっき層を形成する工程を含む、
無電解めっき物の製造方法。
2.前記還元剤水溶液のpHが6以下である1に記載の無電解めっき物の製造方法。
3.前記還元剤水溶液のpHが5以下である1又は2に記載の無電解めっき物の製造方法。
4.前記還元剤水溶液のpHが3以上である1〜3のいずれかに記載の無電解めっき物の製造方法。
5.前記還元剤水溶液の標準電極電位E0がE0=−0.80V〜−0.20Vである1〜4のいずれかに記載の無電解めっき物の製造方法。
6.前記還元剤水溶液が亜硫酸水素ナトリウム水溶液である1〜5のいずれかに記載の無電解めっき物の製造方法。
7.導電性ポリマーを含む無電解めっき下地膜を基材上に形成する工程、
前記無電解めっき下地膜を、2wt%以上20wt%以下の還元剤水溶液である亜硫酸水素ナトリウム水溶液に接触させる工程、及び
前記還元剤水溶液との接触後の無電解めっき下地膜上に無電解めっき層を形成する工程を含む、
無電解めっき物の製造方法。
8.前記導電性ポリマーが置換又は無置換のポリアニリンがドーパントによってドープされたポリアニリン複合体である1〜7のいずれかに記載の無電解めっき物の製造方法。
9.前記ドーパントが下記式(III)で表される8に記載の無電解めっき物の製造方法。
10.前記無電解めっき下地膜を、前記基材表面の一部に形成し、形成した無電解めっき下地膜上にのみ無電解めっき層を形成する1〜9のいずれかに記載の無電解めっき物の製造方法。
11.前記還元剤水溶液との接触工程後、前記無電解めっき層形成工程前に、前記無電解めっき下地膜に無電解めっき液用触媒金属を担持させる担持工程を含む1〜10のいずれかに記載の無電解めっき物の製造方法。
12.前記無電解めっき液用触媒金属がパラジウムである11に記載の無電解めっき物の製造方法。
13.前記担持工程を、前記無電解めっき下地膜にパラジウムイオンを含む溶液を接触させて行う11又は12に記載の無電解めっき物の製造方法。
14.前記パラジウムイオンを含む溶液が塩化パラジウム溶液である13に記載の無電解めっき物の製造方法。
15.前記無電解めっき層の形成を、前記還元剤水溶液との接触後の無電解めっき下地膜に無電解めっき液を接触させて行う1〜14のいずれかに記載の無電解めっき物の製造方法。
16.前記無電解めっき液が、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、銀、金、白金及びスズから選択される1以上の金属イオンを含む15に記載の無電解めっき物の製造方法。
本工程では、導電性ポリマーを含む無電解めっき下地膜を基材上に形成する。
導電性ポリマーとしては、π共役ポリマーがドーパントによってドープされているπ共役ポリマー複合体が好ましい。具体的には、置換又は無置換のポリアニリンがドーパントによってドープされているポリアニリン複合体、置換又は無置換のポリピロールがドーパントによってドープされているポリピロール複合体、及び、置換又は無置換のポリチオフェンがドーパントによってドープされているポリチオフェン複合体が挙げられる。なかでも、置換又は無置換のポリアニリンがドーパントによってドープされているポリアニリン複合体が好ましい。
分子量と分子量分布は、ゲルパーミェションクロマトグラフィ(GPC)によりポリスチレン換算で測定する。
ポリアニリンは、汎用性及び経済性の観点から無置換のポリアニリンが好ましい。
塩素原子を含まない酸の存在下で得られたポリアニリンは、ポリアニリン複合体の塩素含有量をより低くすることができる。
ポリアニリン複合体の塩素含有量が0.6重量%超の場合、ポリアニリン複合体と接触する金属部分が腐食するおそれがある。
上記塩素含有量は、燃焼−イオンクロマト法によって測定する。
尚、本発明において、ドーパントが特定の酸であると表現する場合、及びドーパントが特定の塩であると表現する場合は、いずれも特定の酸又は特定の塩から生じる特定の酸イオンが、上述したπ共役ポリマーにドープするものとする。
式(I)のMは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基である。
上記有機遊離基としては、例えば、ピリジニウム基、イミダゾリウム基、アニリニウム基が挙げられる。また、上記無機遊離基としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄が挙げられる。
式(I)のXは、アニオン基であり、例えば−SO3 −基、−PO3 2−基、−PO4(OH)−基、−OPO3 2−基、−OPO2(OH)−基、−COO−基が挙げられ、好ましくは−SO3 −基である。
上記炭化水素基は、鎖状若しくは環状の飽和脂肪族炭化水素基、鎖状若しくは環状の不飽和脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基である。
環状の飽和脂肪族炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。環状の飽和脂肪族炭化水素基は、複数の環状の飽和脂肪族炭化水素基が縮合していてもよい。例えば、ノルボルニル基、アダマンチル基、縮合したアダマンチル基が挙げられる。
式(I)のnは1以上の整数であり、式(I)のmは、Mの価数/Xの価数である。
上記エステル結合を2以上含有する化合物は、スルホフタール酸エステル、又は下記式(II)で表される化合物がより好ましい。
R4、R5及びR6が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、芳香環を含むアリール基、アルキルアリール基等が挙げられる。
R9の炭化水素基としては、R4、R5及びR6の場合と同様である。
R13及びR14において、R15が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、上記R10と同様である。また、R13及びR14において、R16及びR17が炭化水素基である場合の炭化水素基としては、上記R4、R5及びR6と同様である。
rは、1〜10であることが好ましい。
R13及びR14の炭化水素基としては、R7及びR8と同様であり、ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル基が好ましい。
尚、ドープ率は(ポリアニリンにドープしているドーパントのモル数)/(ポリアニリンのモノマーユニットのモル数)で定義される。例えば無置換ポリアニリンとドーパントを含むポリアニリン複合体のドープ率が0.5であることは、ポリアニリンのモノマーユニット分子2個に対し、ドーパントが1個ドープしていることを意味する。
0.42≦S5/N5≦0.60 (5)
(式中、S5はポリアニリン複合体に含まれる硫黄原子のモル数の合計であり、N5はポリアニリン複合体に含まれる窒素原子のモル数の合計である。
尚、上記窒素原子及び硫黄原子のモル数は、例えば有機元素分析法により測定した値である。)
ポリアニリン複合体がリンを含む場合、リンの含有量は例えば10重量ppm以上5000重量ppm以下である。またリンの含有量は、例えば2000重量ppm以下、500重量ppm以下、250重量ppm以下である。
上記リンの含有量は、ICP発光分光分析法で測定することができる。
また、ポリアニリン複合体は、不純物として第12族元素(例えば亜鉛)を含まないことが好ましい。
また、「2つの液相を有する溶液」は、片方の液相が連続相であり、他方の液相が分散相である状態も含む。例えば「高極性溶媒の相」が連続相であり「低極性溶媒の相」が分散相である状態、及び「低極性溶媒の相」が連続相であり「高極性溶媒の相」が分散相である状態が含まれる。
上記ポリアニリン複合体の製造方法に用いる高極性溶媒としては、水が好ましく、低極性溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が好ましい。
プロトン供与体の使用量が当該範囲より多い場合、重合終了後に例えば「高極性溶剤の相」と「低極性溶剤の相」を分離することができないおそれがある。
これら酸化剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
重合温度は通常−5〜60℃で、好ましくは−5〜40℃である。また、重合温度は重合反応の途中に変えてもよい。重合温度が当該範囲であることで、副反応を回避することができる。
プロトン供与体及び乳化剤をトルエンに溶解した溶液を、窒素等の不活性雰囲気の気流下においたセパラブルフラスコに入れ、さらにこの溶液に、置換又は無置換のアニリンを加える。その後、不純物として塩素を含まないリン酸を溶液に添加し、溶液温度を冷却する。
得られた複合体溶液に含まれる若干の不溶物を除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収する。この溶液をエバポレーターに移し、加温及び減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、ポリアニリン複合体が得られる。
フェノール性化合物は、フェノール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されない。フェノール性水酸基を有する化合物とは、フェノール性水酸基を1つ有する化合物、フェノール性水酸基を複数有する化合物、及びフェノール性水酸基を1つ又は複数有する繰り返し単位から構成される高分子化合物である。
Rは、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である。)
Rは、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキルチオ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である。)
式(B)で表わされるフェノール性化合物の具体例としては、ヒドロキシナフタレンが挙げられる。
Rは、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルキルチオ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である。)
式(C)で表わされる化合物の具体例としては、o−,m−若しくはp−クレゾール、o−,m−若しくはp−エチルフェノール、o−,m−若しくはp−プロピルフェノール(例えば4−イソプロピルフェノール)、o−,m−若しくはp−ブチルフェノール、o−,m−若しくはp−ペンチルフェノール(例えば、4−tert−ペンチルフェノール)が挙げられる。
アルケニル基としては、上述したアルキル基の分子内に不飽和結合を有する基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル、ナフチル等が挙げられる。
アルキルアリール基、及びアリールアルキル基としては、上述したアルキル基とアリール基を組み合わせて得られる基等が挙げられる。
また、式(D)で表されるフェノール性化合物の具体例としては、1,6ナフタレンジオール、2,6ナフタレンジオール、2,7ナフタレンジオールが挙げられる。
フェノール性化合物の含有量が少なすぎる場合、電気伝導率の改善効果が得られないおそれがある。一方、フェノール性化合物の含有量が多すぎる場合、膜質が悪くなるおそれがある。また、揮発除去する際に多大な熱や時間等の労力を必要としコスト増となる。
代表的なものとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホサリチル酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、アリルスルホン酸等のスルホン酸類、過塩素酸、塩素、臭素等のハロゲン類、ルイス酸、プロトン酸等がある。これらは、酸形態であってよいし、塩形態にあることもできる。モノマーに対する溶解性の観点から好ましいものは、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラブチルアンモニウム、トリフルオロスルホンイミドテトラブチルアンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等である。
基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましい。
基材の可撓性、印刷時の寸法安定性、及びフィルムの入手性の観点から、基材の厚さは2μm以上であることが好ましい。例えば、10μm以上、20μm以上、50μm以上である。上限は特に限定されないが、例えば100mm以下、10mm以下、1mm以下である。
本工程では、上記で得られた無電解めっき下地膜を、標準電極電位E0がE0=−1.00V〜−0.10Vである酸性の還元剤水溶液に接触させる。
本発明における還元剤水溶液は酸性であり、還元剤水溶液のpHは、好ましくは6以下、より好ましくは5以下である。また、還元剤水溶液のpHは、好ましくは3以上である。このような、いわゆる弱酸性の範囲であると好ましい。pHはpHメーターを使用して測定する。
尚、還元剤処理の前に、表面の状態を整えるために界面活性剤によって処理を行ってもよい。
触媒金属の担持は、触媒金属の単体又は化合物の溶液、即ち触媒金属イオンを含む溶液を、無電解めっき下地膜に接触させて行うことができる。
触媒金属イオンを含む溶液を接触させると、ポリアニリン複合体等の導電性ポリマーは触媒金属イオンを吸着し、導電性ポリマーの還元作用により、触媒金属イオンが触媒金属に還元される。
尚、触媒金属は、還元された状態、即ち金属状態でなければ無電解めっきにおける触媒作用を発現しない。
溶媒としては、塩酸が一般に用いられるが、Pdがイオン状態で水溶液中に存在していればよいため、塩酸に限定されない。Pd化合物溶液としては、例えば、0.02%塩化パラジウム−0.01%塩酸水溶液(pH3)が挙げられる。
本工程では、上記処理を行った無電解めっき下地膜上に無電解めっき層を形成する。
無電解めっき層の形成は、めっき下地膜に無電解めっき液を接触させて行うことができる。めっき下地膜と無電解めっき液が接触すると、担持した触媒金属の触媒作用により、めっき下地膜上にめっき層が形成される。
無電解めっきでめっきを行ってもよく、または無電解めっきで金属薄膜を設けた後で電解めっきにより、さらに同種又は異なる金属膜を設けることも可能である。
[ポリアニリン複合体の製造]
エーロゾルOT(AOT:ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム)37.8g及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル構造を有する非イオン乳化剤であるソルボンT−20(東邦化学工業株式会社製)1.47gをトルエン600mLに溶解した溶液を、窒素気流下においた6Lのセパラブルフラスコに入れ、さらにこの溶液に、22.2gのアニリンを加えた。その後、1Mリン酸1800mLを溶液に添加し、トルエンと水の2つの液相を有する溶液の温度を5℃に冷却した。
製造例1で得たポリアニリン/AOT複合体トルエン溶液を60℃の湯浴で、減圧乾燥し、乾固してポリアニリン複合体を51.3g得た。
[めっき下地膜形成工程]
製造例2で得たポリアニリン粉末2.8gをMIBK(和光純薬製)17gとイソプロパノール(和光純薬製)8.5gに溶解した。その後、ウレタン樹脂であるASPU112(DIC株式会社製、固形分濃度30%)を5.7g添加し、撹拌を行い均一なめっき下地形成用塗液を作製した。得られた塗液をバーコーターにてポリカーボネートフィルムであるカーボグラスフィルムC110C(PCフィルム、PCフィルム、旭硝子株式会社製)の表面の一部に塗布し、120℃で30分乾燥してめっき下地膜を形成した。このとき、めっき下地膜の厚みは1μmであった。めっき下地膜中のポリアニリン濃度は62.5wt%、ウレタン樹脂濃度は37.5wt%であった。
亜硫酸水素ナトリウム(和光純薬株式会社製)10gをイオン交換水90gに溶解し、10wt%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を調製した。
めっき下地膜を設けた基材全体を、この10wt%亜硫酸水素ナトリウム水溶液中へ30℃で5分間浸漬して、脱脂処理を行った。
脱脂処理後のフィルムを、レッドシューマー(パラジウム水溶液、日本カニゼン株式会社製)の5倍希釈液中に30℃で5分間浸漬し、金属Pd担持処理を行った。
Pd金属担持処理後のフィルムについて、無電解銅めっき液「ATSアドカッパーIW」(奥野製薬工業株式会社製)を用いて33℃で15分間めっき処理を行った。
その結果、めっき下地膜上に均一な銅めっきの形成が確認できた。また、めっき下地膜以外の部分には銅めっきは形成されなかった。
前処理工程において、10wt%亜硫酸水素ナトリウム水溶液の代わりに、亜硫酸水素ナトリウム15gをイオン交換水85gに溶解して調製した15wt%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして無電解めっき処理を行った。
その結果、めっき下地膜上に均一な銅めっきの形成が確認できた。また、めっき下地膜以外の部分には銅めっきは形成されなかった。
前処理工程において、10wt%亜硫酸水素ナトリウム水溶液の代わりに亜硫酸水素ナトリウム4gをイオン交換水96gに溶解して調製した4wt%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして無電解めっき処理を行った。
その結果、めっき下地膜上に均一な銅めっきの形成が確認できた。また、めっき下地膜以外の部分には銅めっきは形成されなかった。
前処理工程において、10wt%亜硫酸水素ナトリウム水溶液の代わりにチオ硫酸ナトリウム(和光純薬株式会社製)4gをイオン交換水96gに溶解して調製した4wt%チオ硫酸ナトリウム水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして無電解めっき処理を行った。
その結果、めっき下地膜上に銅めっきが全く形成されなかった。
前処理工程において、10wt%亜硫酸水素ナトリウム水溶液の代わりに亜硫酸ナトリウム(和光純薬株式会社製)4gをイオン交換水96gに溶解して調製した4wt%亜硫酸ナトリウム水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして無電解めっき処理を行った。
その結果、めっき下地膜上に銅めっきが形成されている部分とされていない部分が確認され、均一な銅めっきが形成されなかった。
前処理工程において、10wt%亜硫酸水素ナトリウム水溶液の代わりに水素化ホウ素ナトリウム(和光純薬株式会社製)0.5gをイオン交換水99.5gに溶解して調製した0.5wt%水素化ホウ素ナトリウム水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして無電解めっき処理を行った。
その結果、めっき下地膜がない部分までも銅めっきが析出され、めっき下地膜部分のみに選択的に銅めっきを形成させることはできなかった。
10wt%亜硫酸水素ナトリウム:pH4.3
15wt%亜硫酸水素ナトリウム:pH4.1
4wt%亜硫酸水素ナトリウム:pH4.3
4wt%チオ硫酸ナトリウム:pH6.5
4wt%亜硫酸ナトリウム:pH9.6
0.5wt%水素化ホウ素ナトリウム:pH13.2
亜硫酸水素ナトリウム:E0=−0.45V
チオ硫酸ナトリウム:E0=0.08V
亜硫酸ナトリウム:E0=−0.93V
水素化ホウ素ナトリウム:E0=−1.24V
めっき下地膜の領域にめっきが形成されたか否かの評価(領域内めっき形成)において、めっき下地膜上に均一な銅めっきの形成が確認できた場合を「○」、めっき下地膜上に銅めっきが形成されている部分とされていない部分が確認され、均一な銅めっきが形成されなかった場合を「△」、めっき下地膜上に銅めっきが全く形成されなかった場合を「×」とした。
また、めっき下地膜以外の領域に余計なめっきが形成されたか否かの評価(領域外めっき形成)において、めっき下地膜以外の領域に銅めっきの形成が確認されなかった場合を「○」、めっき下地膜以外の領域に銅めっきの形成が確認された場合を「×」とした。
比較例1で用いたチオ硫酸ナトリウムは還元力が低く、ポリアニリンを完全還元状態にすることはできなかった。
比較例2で用いた亜硫酸ナトリウムは、塩基性条件下では還元力を有するが、反応が進むにつれて徐々に溶液が酸性になるため還元能を有さなくなり、めっき性が低下した。
比較例3で用いた水素化ホウ素ナトリウムは還元力が非常に強いため、基材や下地膜を侵食した。基材表面上に少量でも水素化ホウ素ナトリウムが残留すると、下地膜以外の部分でもPdを担持してしまうため、範囲外析出を引き起こした。
Claims (16)
- 導電性ポリマーを含む無電解めっき下地膜を基材上に形成する工程、
前記無電解めっき下地膜を、標準電極電位E0がE0=−1.00V〜−0.10Vである酸性の還元剤水溶液に接触させる工程、
前記還元剤水溶液との接触後、前記無電解めっき下地膜に触媒金属を担持させる工程、及び
前記無電解めっき下地膜上に無電解めっき層を形成する工程を含む、
無電解めっき物の製造方法。 - 前記還元剤水溶液のpHが6以下である請求項1に記載の無電解めっき物の製造方法。
- 前記還元剤水溶液のpHが5以下である請求項1又は2に記載の無電解めっき物の製造方法。
- 前記還元剤水溶液のpHが3以上である請求項1〜3のいずれかに記載の無電解めっき物の製造方法。
- 前記還元剤水溶液の標準電極電位E0がE0=−0.80V〜−0.20Vである請求項1〜4のいずれかに記載の無電解めっき物の製造方法。
- 前記還元剤水溶液が亜硫酸水素ナトリウム水溶液である請求項1〜5のいずれかに記載の無電解めっき物の製造方法。
- 導電性ポリマーを含む無電解めっき下地膜を基材上に形成する工程、
前記無電解めっき下地膜を、2wt%以上20wt%以下の還元剤水溶液である亜硫酸水素ナトリウム水溶液に接触させる工程、及び
前記還元剤水溶液との接触後の無電解めっき下地膜上に無電解めっき層を形成する工程を含む、
無電解めっき物の製造方法。 - 前記導電性ポリマーが置換又は無置換のポリアニリンがドーパントによってドープされたポリアニリン複合体である請求項1〜7のいずれかに記載の無電解めっき物の製造方法。
- 前記無電解めっき下地膜を、前記基材表面の一部に形成し、形成した無電解めっき下地膜上にのみ無電解めっき層を形成する請求項1〜9のいずれかに記載の無電解めっき物の製造方法。
- 前記還元剤水溶液との接触工程後、前記無電解めっき層形成工程前に、前記無電解めっき下地膜に無電解めっき液用触媒金属を担持させる担持工程を含む請求項1〜10のいずれかに記載の無電解めっき物の製造方法。
- 前記無電解めっき液用触媒金属がパラジウムである請求項11に記載の無電解めっき物の製造方法。
- 前記担持工程を、前記無電解めっき下地膜にパラジウムイオンを含む溶液を接触させて行う請求項11又は12に記載の無電解めっき物の製造方法。
- 前記パラジウムイオンを含む溶液が塩化パラジウム溶液である請求項13に記載の無電解めっき物の製造方法。
- 前記無電解めっき層の形成を、前記還元剤水溶液との接触後の無電解めっき下地膜に無電解めっき液を接触させて行う請求項1〜14のいずれかに記載の無電解めっき物の製造方法。
- 前記無電解めっき液が、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、銀、金、白金及びスズから選択される1以上の金属イオンを含む請求項15に記載の無電解めっき物の製造方法。
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