JP5912502B2 - めっき積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、めっき積層体の製造方法及びめっき積層体に関する。
従来から、めっきは樹脂基材等の表面のメタライジングとして広く用いられており、中でも無電解めっきは電解めっきの下地めっき、又は非導電性物質へのめっきとして活用されている。
無電解めっきの中でも、特に銅めっきとニッケルめっきは、家庭用品、電子回路、産業機械、輸送機械等の分野で必須の技術となっている。
無電解めっきの利点は、何よりもプラスチック表面へ金属薄膜を設けること(樹脂めっき)が可能な点である。しかしながら、樹脂めっきは、前処理としてクロム酸等の強力な酸で樹脂表面に微細な穴を設けるエッチング工程が必要である。強力な薬剤を使用するエッチング工程は、環境面に負荷となるばかりか、作業環境を悪化させるとともに、廃液処理費用の増大や工程管理の複雑化をもたらす。また、めっき対象樹脂も一般にはABS樹脂に限定される。
このような状況下、特許文献1は、基板をABSに限定しない無電解めっき法を開示する。しかしながら、ポリピロール層を形成する重合工程が必要であり、プロセスが複雑である。
特許文献2も、基板をABSに限定しない無電解めっき法を開示する。しかしながら、ポリアニリン層を還元する工程が余分に必要である。
特開平7−336022号公報 特表平10−511433号公報
本発明の目的は、従来法に比べてさらにプロセスを簡略化した無電解めっき法を提供することである。
本発明によれば、以下のめっき積層体の製造方法等が提供される。
1.下記工程1〜3を含む、めっき積層体の製造方法。
工程1:パラジウム還元力を有する置換又は無置換のポリアニリン複合体の溶液を用いて、基材上に、前記置換又は無置換のポリアニリン複合体を含む層を形成する工程
工程2:前記置換又は無置換のポリアニリン複合体を含む層を、パラジウム化合物溶液に接触させる工程
工程3:前記置換又は無置換のポリアニリン複合体を含む層のうち、前記パラジウム化合物溶液に接触させた面の少なくとも一部を、無電解めっき液に接触させる工程
2.下記工程1〜3を含むめっき積層体の製造方法。
工程1:下記式(I)で表されるプロトン供与体によりドープされている置換又は無置換のポリアニリン複合体の溶液を用いて、基材上に、前記置換又は無置換のポリアニリン複合体を含む層を形成する工程
工程2:前記置換又は無置換のポリアニリン複合体を含む層を、パラジウム化合物溶液に接触させる工程
工程3:前記置換又は無置換のポリアニリン複合体を含む層のうち、前記パラジウム化合物溶液に接触させた面の少なくとも一部を、無電解めっき液に接触させる工程
Figure 0005912502
(式(I)中、Mは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基である。R及びRは、それぞれ独立に、炭化水素基又は−(RO)r−Rであり、Rは炭化水素基又はシリレン基であり、Rは水素原子、炭化水素基又はR Si−基であり、Rは炭化水素基である。rは1以上の整数であり、m’は、Mの価数である。)
3.R及びRが、それぞれ独立に、炭素数4〜24の直鎖又は分岐状のアルキル基である2に記載のめっき積層体の製造方法。
4.前記パラジウム化合物溶液が、塩化パラジウム溶液である1〜3のいずれかに記載のめっき積層体の製造方法。
5.前記工程1と工程2の間に、前記ポリアニリン複合体を含む層のポリアニリン複合体の状態を変化させない脱脂工程のみを含む1〜4のいずれかに記載のめっき積層体の製造方法。
6.前記工程1の溶液がさらにバインダーを含む1〜5のいずれかに記載のめっき積層体の製造方法。
7.前記工程2において、前記パラジウム化合物を含む溶液との接触により、パラジウム金属を前記置換又は無置換のポリアニリンを含む層上に担持させる1〜6のいずれかに記載のめっき積層体の製造方法。
8.前記工程3において、前記無電解めっき液との接触により、Cu、Ni、Au、Pd、Ag、Sn、Co及びPtから選択される1以上の金属を含む層を前記置換又は無置換のポリアニリンを含む層上に形成する1〜7のいずれかに記載のめっき積層体の製造方法。
9.基材上に、下記式(I)で表されるプロトン供与体によりドープされている置換又は無置換のポリアニリン複合体を含む層、及び金属を含む層をこの順に積層して有し、前記ポリアニリン複合体を含む層の、前記金属を含む層と接する側の面にPd金属が担持されためっき積層体。
Figure 0005912502
(式(I)中、Mは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基である。R及びRは、それぞれ独立に、炭化水素基又は−(RO)r−Rであり、Rは炭化水素基又はシリレン基であり、Rは水素原子、炭化水素基又はR Si−基であり、Rは炭化水素基である。rは1以上の整数であり、m’は、Mの価数である。)
10.前記金属が、Cu、Ni、Au、Pd、Ag、Sn、Co及びPtから選択される1以上の金属である9に記載のめっき積層体。
11.前記金属を含む層が無電解めっきにより得られた9又は10に記載のめっき積層体。
12.前記ポリアニリン複合体を含む層がさらにバインダーを含む9〜11のいずれかに記載のめっき積層体。
本発明によれば、従来法に比べてさらにプロセスを簡略化した無電解めっき法が提供できる。
本発明のめっき積層体の一実施形態の層構成を示す概略図である。
本発明のめっき積層体の製造方法は、下記工程1〜3を含む。
工程1:パラジウム(Pd)還元力を有する置換又は無置換のポリアニリン複合体の溶液(塗液)を用いて、基材上に、上記置換又は無置換のポリアニリン複合体を含む層(ポリアニリン層:無電解めっき下地膜)を形成する工程
工程2:上記置換又は無置換のポリアニリン複合体を含む層を、Pd化合物溶液に接触させる工程
工程3:上記置換又は無置換のポリアニリン複合体を含む層のうち、上記Pd化合物を含む溶液に接触させた面の少なくとも一部を、無電解めっき液に接触させる工程
工程1〜3は、連続していても連続していなくてもよい。即ち、工程1と2、及び工程2と3の間に他の工程、例えばイオン交換水による洗浄等の工程を適宜設けてもよい。
本発明において、Pd還元力は以下のように定義する。
ポリアニリン複合体を適当な溶媒に溶解又は分散した還元力測定溶液をPETフィルムに塗布し、100℃で5分間乾燥して得られた0.5μmの膜を、室温で5分間IPA(イソプロピルアルコール)に浸漬することにより脱脂処理し、レッドシューマー(塩化パラジウム水溶液、日本カニゼン株式会社製)5倍希釈液中に30℃で5分間浸漬したときに付着したPdのうち、金属となったPd(Pd(0))の比率が40%以上(測定方法;XPS(X線光電子分光法))であるとき、そのポリアニリン複合体はPd還元力を有するものであるとする。
ここで、Pd(0)と、レッドシューマー5倍希釈液中に30℃で5分間浸漬したときに付着したPdのうち、金属となっていないPd(Pd(2+))の比率はPd付着ポリアニリン膜を光電子分光装置、X線源Al−Kα(モノクロ光源)を用いて測定し、得られたチャートを波形分離にてPd(0)とPd(2+)で分割し算出するものとする。
本発明で用いるポリアニリン複合体は還元性を有するので、特許文献2に記載されている、例えば、水素化ホウ素やヒドラジン等の強力で反応性の高い危険な還元剤を用いる化学的還元工程を行う必要がない。従って、工程の省略及び安全性の向上を容易に実現できる。
還元力は高い方が好ましい。還元力が高いほど、工程2において、Pd化合物溶液に含まれるより多くのPdイオンがPd金属に還元される。
本発明で用いるポリアニリン複合体は、好ましくは置換又は無置換のポリアニリン分子にプロトン供与体がドープしてなる複合体(ポリアニリン複合体)である。
ポリアニリン分子の重量平均分子量(以下、分子量という)は好ましくは20,000以上である。分子量が20,000未満であると、組成物から得られる導電性物品の強度や延伸性が低下する恐れがある。分子量は、好ましくは20,000〜500,000であり、より好ましくは20,000〜300,000であり、さらに好ましくは20,000〜200,000である。分子量は、例えば50,000〜200,000、53,000〜200,000である。
分子量分布は1.5以上10.0以下である。導電率の観点からは分子量分布は小さい方が好ましいが、溶剤への溶解性や成形性の観点では、分子量分布が広い方が好ましい場合もある。
本発明において、分子量と分子量分布はゲルパーミェションクロマトグラフィ(GPC)によりポリスチレン換算で測定する。
ポリアニリン複合体の置換又は無置換のポリアニリン分子は、汎用性及び経済性の観点から、好ましくは無置換のポリアニリンである。
上記置換ポリアニリン分子の置換基としては、例えばメチル基、エチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖又は分岐の炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基(−CF基)等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
置換もしくは無置換のポリアニリン分子は、好ましくは塩素原子を含まない酸の存在下で重合して得られるポリアニリン分子である。塩素原子を含まない酸とは、例えば1族〜16族及び18族に属する原子からなる酸である。具体的には、リン酸が挙げられる。塩素原子を含まない酸の存在下で重合して得られるポリアニリン分子として、リン酸の存在下で重合して得られるポリアニリン分子が挙げられる。
塩素原子を含まない酸の存在下で得られたポリアニリン分子は、ポリアニリン複合体の塩素含有量をより低くすることができる。
ポリアニリン複合体の塩素含有量は、0.6重量%以下が好ましい。より好ましくは0.1重量%以下であり、さらに好ましくは0.04重量%以下であり、最も好ましくは0.0001重量%以下である。
ポリアニリン複合体の塩素含有量が0.6重量%超の場合、ポリアニリン複合体と接触する金属部分が腐食するおそれがある。
上記塩素含有量は、燃焼−イオンクロマト法によって測定することができる。
ポリアニリン複合体のプロトン供与体が、置換又は無置換のポリアニリン分子にドープしていることは、紫外・可視・近赤外分光法やX線光電子分光法によって確認することができ、当該プロトン供与体は、ポリアニリン分子にキャリアを発生させるに十分な酸性を有していれば、特に化学構造上の制限なく使用できる。
上記プロトン供与体としては、例えばブレンステッド酸、又はそれらの塩が挙げられ、好ましくは有機酸、又はそれらの塩である。有機酸としては、例えば有機スルホン酸がある。有機スルホン酸としては、例えばその分子内にエステル結合を有する有機スルホン酸がある。
上記プロトン供与体は、好ましくは下記式(I)で示されるスルホコハク酸誘導体である。
Figure 0005912502
式(I)中、Mは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基である。
有機遊離基としては、例えば、ピリジニウム基、イミダゾリウム基、アニリニウム基が挙げられる。また、上記無機遊離基としては、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、セシウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄が挙げられる。m’は、Mの価数である。
及びRは、それぞれ独立に、炭化水素基又は−(RO)r−R[ここで、Rはそれぞれ独立に炭化水素基又はシリレン基であり、Rは水素原子、炭化水素基又はR Si−(ここで、Rはそれぞれ独立に炭化水素基である)であり、rは1以上の整数である]である。
上記式(I)で示されるスルホコハク酸誘導体、特に2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムによってドープされている無置換ポリアニリンは、還元力が高く好ましい。
及びRが炭化水素基である場合の炭化水素基としては、炭素数1〜24、好ましくは炭素数4〜24の、直鎖若しくは分岐状のアルキル基、芳香環を含むアリール基、アルキルアリール基等が挙げられる。
及びRが炭化水素基である場合の炭化水素基としては、例えば、炭素数4〜12の直鎖又は分岐状のアルキル基、炭素数6〜10の直鎖又は分岐状のアルキル基が挙げられ、具体例としては、直鎖又は分岐状のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。分岐のオクチル基としては、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
及びRにおいて、Rが炭化水素基である場合の炭化水素基としては、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルキレン基、芳香環を含むアリーレン基、アルキルアリーレン基、アリールアルキレン基等である。また、R及びRにおいて、R及びRが炭化水素基である場合の炭化水素基としては、炭素数1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、芳香環を含むアリール基、アルキルアリール基等が挙げられる。
rは、1〜10であることが好ましい。
及びRが−(RO)q−R基である場合の具体例としては、下記式で表わされる2つの化合物である。
Figure 0005912502
式中、Xは、アニオン基であり、例えば−SO 基、−PO 2−基、−PO(OH)基、−OPO 2−基、−OPO(OH)基、−COO基が挙げられ、好ましくは−SO 基である。
上記プロトン供与体はその構造を変えることにより、ポリアニリン複合体の溶剤への溶解性等をコントロールできることが知られている(特許第3384566号)。本発明においては、製造プロセス毎の要求特性によって最適なプロトン供与体を選択できる。
ポリアニリン分子に対するプロトン供与体のドープ率は、好ましくは0.35以上0.65以下であり、より好ましくは0.42以上0.60以下であり、さらに好ましくは0.43以上0.57以下であり、特に好ましくは0.44以上0.55以下である。ドープ率が0.35未満である場合、ポリアニリン複合体の有機溶剤への溶解性が高くならないおそれがある。
尚、ドープ率は(ポリアニリン分子にドープしているプロトン供与体のモル数)/(ポリアニリンのモノマーユニットのモル数)で定義される。例えば無置換ポリアニリンとプロトン供与体を含むポリアニリン複合体のドープ率が0.5であることは、ポリアニリンのモノマーユニット分子2個に対し、プロトン供与体が1個ドープしていることを意味する。
尚、ドープ率は、ポリアニリン複合体中のプロトン供与体とポリアニリン分子のモノマーユニットのモル数が測定できれば算出可能である。例えば、プロトン供与体が有機スルホン酸の場合、プロトン供与体由来の硫黄原子のモル数と、ポリアニリンのモノマーユニット由来の窒素原子のモル数を、有機元素分析法により定量し、これらの値の比を取ることでドープ率を算出できる。但し、ドープ率の算出方法は、当該手段に限定されない。
ポリアニリン複合体は、無置換ポリアニリン分子とプロトン供与体であるスルホン酸とを含み、下記式(5)を満たすことが好ましい。
0.42≦S/N≦0.60 (5)
(式中、Sはポリアニリン複合体に含まれる硫黄原子のモル数の合計であり、Nはポリアニリン複合体に含まれる窒素原子のモル数の合計である。
尚、上記窒素原子及び硫黄原子のモル数は、例えば有機元素分析法により測定した値である。)
ポリアニリン複合体は、さらにリンを含んでも含まなくてもよい。
ポリアニリン複合体がリンを含む場合、リンの含有量は例えば10重量ppm以上5000重量ppm以下である。またリンの含有量は、例えば2000重量ppm以下、500重量ppm以下、250重量ppm以下である。
上記リンの含有量は、ICP発光分光分析法で測定することができる。
また、ポリアニリン複合体は、不純物として第12族元素(例えば亜鉛)を含まないことが好ましい。
ポリアニリン複合体は、公知の方法(例えば塩酸存在下でのアニリンの重合)で製造することができるが、好ましくはプロトン供与体、リン酸、及びプロトン供与体とは異なる乳化剤を含み、2つの液相を有する溶液中で、置換又は無置換のアニリンを化学酸化重合することにより製造する。
ここで「2つの液相を有する溶液」とは、溶液中に相溶しない2つの液相が存在する状態を意味する。例えば、溶液中に「高極性溶媒の相」と「低極性溶媒の相」が存在する状態、を意味する。
また、「2つの液相を有する溶液」は、片方の液相が連続相であり、他方の液相が分散相である状態も含む。例えば「高極性溶媒の相」が連続相であり「低極性溶媒の相」が分散相である状態、及び「低極性溶媒の相」が連続相であり「高極性溶媒の相」が分散相である状態が含まれる。
上記ポリアニリン複合体の製造方法に用いる高極性溶媒としては、水が好ましく、低極性溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が好ましい。
上記プロトン供与体は、好ましくは上記式(I)で表わされる化合物である。
上記乳化剤は、親水性部分がイオン性であるイオン性乳化剤、及び親水性部分が非イオン性である非イオン性乳化剤のどちらでも使用でき、また、1種又は2種以上の乳化剤を混合して使用してもよい。
イオン性乳化剤としては、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤及び双性乳化剤が挙げられる。
アニオン性乳化剤(陰イオン乳化剤)の具体例としては、脂肪酸、不均化ロジン石けん、高級アルコールエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、アルケニルコハク酸、ザルコシネート、及びそれらの塩が挙げられる。
カチオン性乳化剤(陽イオン乳化剤)の具体例としては、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩が挙げられる。
双性乳化剤(両イオン乳化剤)の具体例としては、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アミノ酸型、アミンオキサイド型が挙げられる。
非イオン乳化剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレングリセロールボレート脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。
上記乳化剤のうち、アニオン性乳化剤及び非イオン乳化剤が好ましい。
アニオン性乳化剤としては、リン酸エステル構造を有するアニオン性乳化剤がさらに好ましい。また、非イオン乳化剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル構造を有する非イオン乳化剤がさらに好ましい。
プロトン供与体の使用量は、アニリン単量体1molに対して好ましくは0.1〜0.5molであり、より好ましくは0.3〜0.45molであり、さらに好ましくは0.35〜0.4molである。
プロトン供与体の使用量が当該範囲より多い場合、重合終了後に例えば「高極性溶剤の相」と「低極性溶剤の相」を分離することができないおそれがある。
リン酸の使用濃度は、高極性溶媒に対して0.3〜6mol/Lであり、より好ましくは1〜4mol/Lであり、さらに好ましくは1〜2mol/Lである。
乳化剤の使用量は、アニリン単量体1molに対して好ましくは0.001〜0.1molであり、より好ましくは0.002〜0.02molであり、さらに好ましくは0.003〜0.01molである。
乳化剤の使用量が当該範囲より多い場合、重合終了後に「高極性溶剤の相」と「低極性溶剤の相」を分離することができないおそれがある。
化学酸化重合に用いる酸化剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素のような過酸化物;二クロム酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、硫酸カリウム鉄(III)、三塩化鉄(III)、二酸化マンガン、ヨウ素酸、過マンガン酸カリウム、あるいはパラトルエンスルホン酸鉄等が使用でき、好ましくは過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩である。
これら酸化剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
酸化剤の使用量は、アニリン単量体1molに対して好ましくは0.05〜1.8molであり、より好ましくは0.8〜1.6molであり、さらに好ましくは1.2〜1.4molである。酸化剤の使用量を当該範囲とすることで、十分な重合度が得られる。また、アニリンが十分に重合しているので、分液回収が容易であり、また重合体の溶解性が低下するおそれもない。
重合温度は通常−5〜60℃で、好ましくは−5〜40℃である。また、重合温度は重合反応の途中に変えてもよい。重合温度が当該範囲であることで、副反応を回避することができる。
ポリアニリン複合体は、具体的には以下の方法で製造することができる。
プロトン供与体及び乳化剤をトルエンに溶解した溶液を、窒素等の不活性雰囲気の気流下においたセパラブルフラスコに入れ、さらにこの溶液に、置換又は無置換のアニリンを加える。その後、不純物として塩素を含まないリン酸を溶液に添加し、溶液温度を冷却する。
溶液内温を冷却した後、撹拌を行う。過硫酸アンモニウムをリン酸に溶解した溶液を、滴下ロートを用いて滴下し、反応させる。その後、溶液温度を上昇させ、反応を継続する。反応終了後、静置することで二相に分離した水相側を分液する。有機相側にトルエンを追加し、リン酸及びイオン交換水で洗浄を行うことでポリアニリン複合体(プロトネーションされたポリアニリン)トルエン溶液が得られる。
得られた複合体溶液に含まれる若干の不溶物を除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収する。この溶液をエバポレーターに移し、加温及び減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、ポリアニリン複合体が得られる。
上述したように、上記ポリアニリン複合体はPd還元力を有するので、Pd化合物の還元工程が不要である。また、めっき触媒である金属Pdの吸着力を有するので、クロム酸等の強酸を用いて行う基材エッチング工程が不要である。
即ち、上記ポリアニリン複合体を用いることにより、従来法における多大な環境負荷や、作業工程、処理液の管理の煩雑さを解消することができる。
工程1の溶液(塗液)は、上記置換又は無置換のポリアニリン複合体が溶媒に溶解している塗液である。溶解していることにより、塗液から形成される膜表面に均一にポリアニリン分子が存在し、後述するPd金属が均一に、かつ多く付着するため、めっきが良好になされると考えられる。
ここで「溶解している」とは、ポリアニリン複合体が塗液中に分子単位で均一に溶けていることを意味し、例えばポリアニリン複合体を組成物中に溶解し、遠心分離機にて遠心力(1000G、30分)をかけても、塗液中にポリアニリン複合体の濃度勾配が生じないことから確認できる。
溶解しているポリアニリン複合体を含む塗液は、成膜した際に、粒界がない均一なポリアニリン複合体の膜を得ることができる。
上記溶媒としては、芳香族系、ケトン系、脂肪族系、アルコール系、アミド系、エステル系等から適宜使用できるが、具体的にはトルエン、クレゾール、ヘキサン、メチルイソブイチルケトン、2−ブタノン、2−プロパノール、メタノール、ジメチルホルムアミド、酢酸ブチル、酢酸エチル等が挙げられる。これらを単独で用いても、複数を組合せて用いてもよい。
上記塗液は、基材との密着性向上のため、バインダーを含んでもよい。バインダーとしては、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリアミド系、ビニル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系等が挙げられる。
さらに、末端にアクリレート、メタクリレート等の反応性官能基を有し、UV(紫外線)やEB(電子線)等で硬化するモノマー、オリゴマー、ポリマーをバインダーとすることも可能である。この場合、上記溶剤に代え、モノマーやオリゴマーを添加して粘度等液性を調整した無溶媒系として用いることも可能である。
基材は特に限定されず、金属、無機素材(セラミックス、ガラス等)、又は樹脂であってもよい。また、金属を樹脂で完全に覆った基材や、無機系素材と樹脂との複合材(例えば、FRP,ガラスエポキシ複合材)等であってもよい。樹脂の種類としては、ポリカーボネート系、アクリル系、ナイロン系、ポリイミド系、ポリエステル系、スチレン系、フェノール系等が挙げられる。
基材の具体例として、例えば易接着処理PET(東洋紡製A4300)が挙げられる。
本発明の製造方法は、ABS以外の樹脂、例えば、オレフィン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド等のめっきニーズが高まっている樹脂への無電解めっきが可能である。
ポリアニリン複合体を含む層の形成方法は、特に限定されない。例えば、バーコート法により塗工し、乾燥することで上記ポリアニリン複合体を含む層を形成する塗工方法が挙げられる。
上記ポリアニリン複合体を含む層の乾燥膜厚は2.0μm未満が好ましく、より好ましくは0.1μm以上1.2μm以下、さらに好ましくは0.2μm以上1.0μm以下である。
膜厚が0.1μm未満であると、Pd金属が担持されない領域が多くなるおそれがある。また、無電解めっきされない領域が多くなるおそれがある。一方、膜厚が2.0μm以上であると、無電解めっきでむらが生じるおそれがある。
ポリアニリン層を形成した後、工程2を行う前に脱脂工程を行うことが好ましい。脱脂工程は、界面活性剤やアルコール等の溶剤でポリアニリン層表面を脱脂洗浄して濡れ性を改善する。
界面活性剤は、アニオン性、カチオン性又は非イオン性のものを適宜使用でき、カチオン性界面活性剤が好ましい。カチオン性界面活性剤を用いる場合は、例えばイオン交換水等で1〜3%に希釈して用いる。
上述したように、工程1と2は連続していても連続していなくてもよく、工程1と2の間に他の工程を適宜設けることもできる。ここで、工程1と2の間の他の工程によって、工程1で設けたポリアニリン層の状態は、変化していても変化していなくてもよい。変化している工程として、例えば、ポリアニリン複合体の酸塩基反応のみを伴う工程、即ち「エメラルディン塩状態のポリアニリン複合体を、エメラルディンベース状態のポリアニリン分子に変化させることをのみ伴う工程」等は、上記工程1と2の間に設けてもよい。
ポリアニリン複合体の酸塩基反応のみを生じさせる化合物としては、上述した脱脂工程に通常用いられる弱アルカリ性やアミン系の界面活性剤水溶液等が挙げられる。
一方、工程1と2の間に設けられる他の工程には、例えば、ポリアニリン分子の酸化還元反応を伴う工程、即ち「エメラルディンベース状態のポリアニリン分子を、ロイコエメラルディン状態のポリアニリン分子に変化させることを伴う工程」等は当然に含まれない。ポリアニリン分子の酸化還元反応を生じさせる化合物としては、例えばヒドラジン等が挙げられる。
本発明は、工程1の段階で還元力を有するポリアニリン複合体を用いることにより、上記のような酸化還元反応を伴う工程を不要としたことを特徴とするものである。
また、本発明は、工程1と2の間に設けられる他の工程にポリアニリン分子の酸化還元反応を伴う工程を含まないことにより、以下のような効果がある。即ち、第1に、全工程を通じて、安定性の低いロイコエメラルディン状態をとらなくてよいという効果がある。ロイコエメラルディン状態は、大気中では酸素により容易に酸化されエメラルディン塩状態に戻ってしまうので、雰囲気を窒素雰囲気等に保つ等の方法を取らないとロイコエメラルディン状態を維持できない。上記第1の効果は、この雰囲気制御を不要とするものである。第2に、強力な還元力を有するロイコエメラルディン状態のポリアニリン分子が工程3で大量に残っていた場合、ポリアニリン分子が、無電解めっき液が予定していない還元剤として機能してしまい、無電解めっき液中の金属イオン−還元剤のバランスが悪くなってしまうが、これを回避できるという効果がある。
ポリアニリン層を形成し、好ましくは脱脂した後、ポリアニリン層上に無電解めっきの触媒作用を担うPd金属(触媒金属)を担持させるために、Pd化合物溶液を接触させる(工程2)。
Pd化合物溶液を接触させると、ポリアニリン複合体はPdイオンを吸着し、ポリアニリン複合体の還元作用により、PdイオンがPd金属に還元される。尚、還元されたPd、即ち金属状態のPdでなければ、無電解めっきにおける触媒作用を発現しない。
上記単位面積当たりのPd付着量(Pdイオン及びPd金属を含む)は1.7μg/cm以上であることが好ましく、2.5μg/cm以上であることがさらに好ましい。
Pd化合物としては、塩化パラジウムが好ましい。溶媒としては、塩酸が一般に用いられる。しかしながら、Pdがイオン状態で水溶液中に存在していればよく、塩酸水溶液に限定されない。Pd化合物溶液としては、例えば、0.02%塩化パラジウム−0.01%塩酸水溶液(pH3)が挙げられる。
Pd化合物溶液との接触温度は、通常20〜50℃、好ましくは30〜40℃であり、接触時間は、通常0.1〜10分、好ましくは1〜5分である。
工程2と後述する工程3は連続していても連続していなくてもよく、工程2と3の間に他の工程を適宜設けることもできるが、工程2で担持させた金属Pdの状態を変化させるような工程を含むことはできない。
次に、金属を含む層(めっき層)をポリアニリン層上に形成するために、工程2で得られたフィルムを無電解めっき液に接触させる(工程3)。ポリアニリン層と無電解めっき液が接触すると、担持させたPd金属が触媒として働き、ポリアニリン層上にめっき層が形成される。
無電解めっきとは、還元剤を用いて行う、自己触媒作用を有する金属の無電解めっきであり、例えば無電解銅めっきの場合、溶液中の銅イオンを、ホルムアルデヒド等の還元剤を用いて還元して金属銅皮膜を析出させ、析出した金属銅が自己触媒となってさらに銅イオンを金属化し、析出させる化学的プロセスである。
無電解めっき液としては、通常の無電解めっき液を用いることができる。無電解めっきの金属種は、銅の他にニッケル、コバルト、パラジウム、銀、金、白金及びスズ等が挙げられる。また、これらの他にリン、ホウ素、鉄等の元素が含有されていてもよい。
無電解めっき液との接触温度は、めっき浴種類、厚み等で異なるが、例えば低温浴であれば20〜50℃程度、高温では50〜90℃がよく用いられる。また無電解めっき液との接触時間もめっき浴種類や厚み等で異なるが、例えば1〜30分、5〜15分である。無電解めっきのみでもよく、または無電解めっきで金属薄膜を設けた後で電解めっきにより更に同種、または異なる金属膜を設ける事も可能である。
本発明のめっき積層体は、基材上に、上記式(I)で表されるプロトン供与体によりドープされている置換又は無置換のポリアニリン複合体を含む層(ポリアニリン層)、及び金属を含む層(めっき金属層)をこの順に積層して有し、ポリアニリン複合体を含む層の、金属を含む層と接する側の面にPd金属が担持されている。
図1は、本発明のめっき積層体の一実施形態の層構成を示す概略図である。
めっき積層体1は、基板10上に、ポリアニリン層20及びめっき金属層40をこの順に積層して有し、ポリアニリン層20のめっき金属層40側の面上に、Pd金属が点在して担持されている。
本発明のめっき積層体は、上記本発明のめっき積層体の製造方法により製造できる。従って、基材、式(I)で表されるプロトン供与体によりドープされている置換又は無置換のポリアニリン複合体、Pd金属、めっき金属等は上述のものと同様である。
「この順に積層して」とは、各層が接していることを意味する。即ち、各層間に別の層は無い。
製造例1
[プロトネーションされたポリアニリン(ポリアニリン複合体)の製造]
エーロゾルOT(スルホコハク酸誘導体であるジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウム、純度75%以上、和光純薬工業製)5.4g(12mmol)、フォスファノールFP120(東邦化学工業株式会社製)0.66g(0.8mmol)をトルエン100mLに撹拌溶解して調製した溶液を、窒素気流下に置いた30Lのガラス反応器(機械式撹拌器、ジャケット、温度計及び滴下ロート付)に入れた。
この溶液に、3.7g(40mmol)の原料アニリンを加え、撹拌溶解した。冷媒によるフラスコの撹拌冷却を開始し、1Mリン酸300mLを溶液にさらに添加した。溶液温度を5℃に保持した状態で、7.3g(32mmol)の薬品過硫酸アンモニウムを1Mリン酸100mLに溶解した溶液を滴下ロートで滴下し、2時間で滴下を完了した。静置により二相に分離した水相(下相)を反応器下部から抜き出し、粗ポリアニリン複合体トルエン溶液を得た。
得られた複合体溶液にイオン交換水100mLを加え撹拌した後、静置して水相を分離し、この操作を再度行った。1Nリン酸水溶液100mLで同様に複合体溶液を洗浄し、静置後、酸性水溶液を分離して、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収した。
この複合体溶液に含まれる若干の不溶物を#5Cの濾紙により除去し、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収した。この溶液をエバポレーターに移し、60℃の湯浴で加温し、減圧することにより、揮発分を蒸発留去し、7gのポリアニリン複合体を得た。
得られたポリアニリン複合体について、揮発分を実質的に取り除いた場合の元素分析結果を以下に示す。アニリン原料に基づく窒素重量%とスルホコハク酸エステルに基づく硫黄重量%の比率から、本複合体中のスルホコハク酸エステル/アニリンモノマーユニットのモル分率は、0.48である。
炭素:60.2重量%
水素:7.8重量%
窒素:4.6重量%
硫黄:5.0重量%
このポリアニリン複合体中のポリアニリン骨格の重量平均分子量をGPCにより測定したところ、114,000g/molであった。
また、この方法で調製したポリアニリン複合体の塩素含有量を有機物塩素分−電量滴定法により結果、塩素含有量が10重量ppm定量下限以下であることを確認した。従って、ポリアニリン複合体中の塩素含有量は、10重量ppm以下である。
実施例1
[ポリアニリン層形成工程]
製造例1で得られたポリアニリン複合体をトルエンに溶解したポリアニリントルエン溶液(ポリアニリン複合体の濃度:6重量%)を、ポリエステルフィルムA4300(PET、東洋紡株式会社製)にバーコーターにて塗布し、100℃で5分間乾燥してポリアニリン塗工フィルムを得た。ポリアニリン層の厚さは約0.5μmであった。
[脱脂工程]
得られたフィルムを、3%ダイヤノールCDE(ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド;非イオン界面活性剤、第一工業製薬株式会社製)水溶液中へ室温で5分間浸漬して、脱脂処理を行った。尚、この脱脂処理は、濡れ性の向上を目的としている。
[Pd化合物溶液に接触させる工程]
脱脂処理後のフィルムを、レッドシューマー(パラジウム水溶液、日本カニゼン株式会社製)の5倍希釈液中に30℃で5分間浸漬し、金属Pd担持処理を実施した。
[無電解めっき液に接触させる工程]
Pd金属担持処理後のフィルムについて、無電解銅めっき液「ATSアドカッパーIW」(奥野製薬工業株式会社製)を用いて33℃で15分間めっき処理を行った。
実施例2
実施例1のポリアニリン層形成工程で調製したポリアニリントルエン溶液に、さらに樹脂バインダーとしてHE505(塩素化ポリエチレン、日本製紙ケミカル株式会社製)を添加し、TKホモディスパー(分散機)にて分散を行い、コート剤(塗液)を作製した。コート剤総固形分中のHE505は30重量%とした。
このコート剤を用いてポリアニリン層を作製した他は、実施例1と同様にして、めっき処理されたフィルムを得た。
実施例3
実施例1の脱脂工程において、ダイヤノールCDE水溶液の代わりに2−プロパノールを用いた他は、実施例1と同様にしてめっき処理されたフィルムを得た。
実施例4
実施例1のポリアニリン層形成工程において、ポリアニリン層の乾燥厚さを0.3μmとした他は、実施例1と同様にしてめっき処理されたフィルムを得た。
実施例5
実施例2のポリアニリン層形成工程において、ポリエステルフィルムの代わりにPPシート(出光ユニテック株式会社製)を用いて、乾燥温度を70℃としてポリアニリン層を作製した。ポリアニリン層の乾燥厚さは0.5μmとした。脱脂工程以降は実施例2と同様としてめっき処理されたフィルムを得た。
実施例6
実施例5のポリアニリン層形成工程において、コート層の乾燥厚さを1μmとし、得られた塗工フィルムを、加熱下で2倍に延伸処理を行って延伸フィルムを作製した。脱脂工程以降の工程は実施例5と同様としてめっき処理されたフィルムを得た。
実施例7
実施例1の塗工フィルム形成工程において、ポリアニリン層の乾燥厚さを2μmとした他は、実施例1と同様にしてめっき処理されたフィルムを得た。
比較例1
実施例1の塗工フィルム形成工程において、製造例1で得られたポリアニリン複合体のトルエン溶液の代わりに、ポリアニリン/キシレン分散液(シグマアルドリッチ社製、ポリアニリン2.5%含有)を用いて塗工フィルムを作製した。コート層の乾燥厚さは0.5μmとした。これ以降の工程は実施例1と同様としてめっき処理されたフィルムを得た。
比較例2
実施例1で調製したポリアニリントルエン溶液を乾燥、粉末化した後、卓上型媒体ミル「カンペミル」(株式会社カンペハピオ製)を用いて、10%ダイヤノールCDE水溶液中へ微分散を行い、ポリアニリン粒子水分散液を得た。
このポリアニリン粒子水分散液に、スーパーフレックス(水系ウレタン樹脂、第一工業製薬株式会社)をバインダー樹脂として添加し、水系コート剤を作製した。この水系コート剤を用いて実施例6と同様にして延伸フィルムを作製し、めっき処理されたフィルムを得た。
実施例及び比較例のめっき処理されたフィルムについて、めっき析出性、めっきムラ、Pd付着量及びPd還元性を以下のように評価した。なお表中の斜線は測定していないことを意味する。
めっき析出性:目視にてめっき析出性を判断し、A:析出した、B:ある程度析出した、C:ほとんど析出しない、D:析出しないとした。
めっきムラ:目視にて均一性を判断し、A:ムラなし、B:ムラ若干あり、C:ムラありとした。
Pd付着量:実施例1、比較例1、比較例2と同様にして得られたPd金属担持処理後のフィルムについて、単位面積あたりのPd付着量を測定した。具体的には、ICP発光分光分析装置(SIIナノテクノロジー社製)を用い、金属Pd塩酸水溶液にて検量線作成後、Pd吸着ポリアニリンフィルムを酸分解し、Pdを還元処理により全て金属化した後に測定した。
Pd還元性:製造例1で得られたポリアニリン複合体、及び比較例1で用いたポリアニリン/キシレン分散液(シグマアルドリッチ社製)に含まれるポリアニリン複合体のPd還元性を、以下の方法で評価した。
実施例1のポリアニリン層形成工程で得られたポリアニリン塗工フィルムを、室温で5分間IPA(イソプロピルアルコール)に浸漬することにより脱脂処理し、レッドシューマー(パラジウム水溶液、日本カニゼン株式会社製)5倍希釈液中に30℃で5分間浸漬したときに付着したPdのうち金属となったPd(Pd(0))の比率を測定した。付着Pdのうち金属となったPdの比率が40%以上(測定方法;XPS(X線光電子分光法))であるとき、A:Pd還元力を有するとし、40%未満であるとき、B:Pd還元力を有さないとした。比較例1で用いたポリアニリン/キシレン分散液(シグマアルドリッチ社製)についても上記と同様の方法で付着Pdのうち金属となったPdの比率を測定した。
ここで、Pd(0)とレッドシューマー5倍希釈液中に30℃で5分間浸漬したときに付着したPdのうち、金属となっていないPd(Pd(2+))の比率はPd付着ポリアニリンフィルムを光電子分光装置Q2000(アルバックファイ社製)、X線源Al−Kα(モノクロ光源)、検出器Pass Eを用いて測定し、得られたチャートを波形分離にてPd(0)とPd(2+)で分割し算出した。
Figure 0005912502
実施例1〜6において、均一かつ良好なめっき析出性を確認した。
実施例7は、ポリアニリン層が厚いため脱脂処理が均一に行われず、脱脂処理が十分に行われた部分ではめっきが析出した一方、脱脂処理が不十分な部分ではめっき析出が不完全で、結果、ムラが一部発生した。
比較例1ではめっき析出が見られず、また還元型Pd(金属Pd)も確認されなかった。
実施例6において、溶解型ポリアニリンは延伸時も均一な塗膜を維持するので、めっき析出も均一であった。一方、粒子分散型ポリアニリンを用いた比較例2においては、延伸後に均一な塗膜を維持することができず、ポリアニリンが存在する部分のみめっきが析出する現象が見られた。
以上の結果から、本発明で用いる溶解型ポリアニリンは、一般の樹脂めっき工程に必須なエッチング工程を省略できるので環境に優しいばかりでなく、Pd吸着・還元性を有するので、還元処理を必要としないという易めっき性を有することが分かった。
また、本発明で用いるポリアニリンは、溶解型であるため均一かつ柔軟な塗膜を形成でき、延伸後のめっき性も優れることが分かった。
本発明のめっき積層体の製造方法は、無電解めっきに用いることができる。
1 メッキ積層体
10 基板
20 ポリアニリン層
30 Pd金属
40 めっき金属層

Claims (12)

  1. 下記工程1〜3を含む、めっき積層体の製造方法。
    工程1:置換又は無置換のポリアニリン分子にプロトン供与体がドープしてなる複合体の溶液を用いて、基材上に、前記置換又は無置換のポリアニリン複合体を含む層を形成する工程
    工程2:前記置換又は無置換のポリアニリン複合体を含む層を、パラジウム化合物溶液に接触させる工程
    工程3:前記置換又は無置換のポリアニリン複合体を含む層のうち、前記パラジウム化合物溶液に接触させた面の少なくとも一部を、無電解めっき液に接触させる工程
  2. 下記工程1〜3を含むめっき積層体の製造方法。
    工程1:下記式(I)で表されるプロトン供与体によりドープされている置換又は無置換のポリアニリン複合体の溶液を用いて、基材上に、前記置換又は無置換のポリアニリン複合体を含む層を形成する工程
    工程2:前記置換又は無置換のポリアニリン複合体を含む層を、パラジウム化合物溶液に接触させる工程
    工程3:前記置換又は無置換のポリアニリン複合体を含む層のうち、前記パラジウム化合物溶液に接触させた面の少なくとも一部を、無電解めっき液に接触させる工程
    Figure 0005912502
    (式(I)中、Mは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基である。R及びRは、それぞれ独立に、炭化水素基又は−(RO)r−Rであり、Rは炭化水素基又はシリレン基であり、Rは水素原子、炭化水素基又はR Si−基であり、Rは炭化水素基である。rは1以上の整数であり、m’は、Mの価数である。)
  3. 及びRが、それぞれ独立に、炭素数4〜24の直鎖又は分岐状のアルキル基である請求項2に記載のめっき積層体の製造方法。
  4. 前記パラジウム化合物溶液が、塩化パラジウム溶液である請求項1〜3のいずれかに記載のめっき積層体の製造方法。
  5. 前記工程1と工程2の間に、前記ポリアニリン複合体を含む層のポリアニリン複合体の状態を変化させない脱脂工程のみを含む請求項1〜4のいずれかに記載のめっき積層体の製造方法。
  6. 前記工程1の溶液がさらにバインダーを含む請求項1〜5のいずれかに記載のめっき積層体の製造方法。
  7. 前記工程2において、前記パラジウム化合物を含む溶液との接触により、パラジウム金属を前記置換又は無置換のポリアニリンを含む層上に担持させる請求項1〜6のいずれかに記載のめっき積層体の製造方法。
  8. 前記工程3において、前記無電解めっき液との接触により、Cu、Ni、Au、Pd、Ag、Sn、Co及びPtから選択される1以上の金属を含む層を前記置換又は無置換のポリアニリンを含む層上に形成する請求項1〜7のいずれかに記載のめっき積層体の製造方法。
  9. 基材上に、下記式(I)で表されるプロトン供与体によりドープされている置換又は無置換のポリアニリン複合体を含む層、及び金属を含む層をこの順に積層して有し、前記ポリアニリン複合体を含む層の、前記金属を含む層と接する側の面にPd金属が担持されためっき積層体。
    Figure 0005912502
    (式(I)中、Mは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基である。R及びRは、それぞれ独立に、炭化水素基又は−(RO)r−Rであり、Rは炭化水素基又はシリレン基であり、Rは水素原子、炭化水素基又はR Si−基であり、Rは炭化水素基である。rは1以上の整数であり、m’は、Mの価数である。)
  10. 前記金属が、Cu、Ni、Au、Pd、Ag、Sn、Co及びPtから選択される1以上の金属である請求項9に記載のめっき積層体。
  11. 前記金属を含む層が無電解めっきにより得られた請求項9又は10に記載のめっき積層体。
  12. 前記ポリアニリン複合体を含む層がさらにバインダーを含む請求項9〜11のいずれかに記載のめっき積層体。
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