JP6049409B2 - ハードカプセルの製造方法 - Google Patents

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本発明は、ハードカプセルの製造方法に関するものである。
一般的にハードカプセルの密度は水より小さいため、水を使用してハードカプセルを飲み込む際にハードカプセルは水に浮き、水の方が先にのどを流下してしまいやすい。そのため、錠剤、顆粒剤、ソフトカプセルなど、密度が水より大きい他の剤形の薬剤や食品に比べ、ハードカプセルは飲み込みにくいと感じる人が多かった。
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、飲み込みやすいハードカプセルの製造方法の提供を、課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかるハードカプセルの製造方法は、「ボディ及びキャップからなるハードカプセル皮膜に、粉末または顆粒の粒子状内容物を収容し、常温で固体となる油状物質を含み該油状物質の融点以上に加熱された含浸用液体を、前記ボディ及び前記キャップの隙間から前記ハードカプセル皮膜内に浸入させて前記粒子状内容物間の空隙に含浸させ、常温まで冷却して前記油状物質を固化させる」ものである。
「常温で固体となる油状物質」としては、モノグリセリド、ジグリセリド、これらの混合物であるグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド(モノグリセリド誘導体)、ポリグリセリン脂肪酸エステル、硬化油等であって、融点が常温より高いものを使用可能である。グリセリン脂肪酸エステルは、エステル結合の数、構成脂肪酸の種類や組成により融点が異なり、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、更に重合度によって融点が異なる。また、有機酸モノグリセリドは、構成脂肪酸の種類に加え、有機酸の種類によって融点が異なる。一方、硬化油は脂肪酸の種類や、飽和脂肪酸の割合により融点が異なる。本発明で使用される油状物質は、ハードカプセルが保存される環境の温度を考慮して、融点が40℃以上のものが望ましい。また、融点以上に加熱しハードカプセル皮膜内に浸入させ、粒子状内容物間の空隙に含浸させる操作のし易さを考慮して、油状物質は融点が90℃以下のものが望ましい。更に、含浸用液体の粘度が高過ぎると、ボディ及びキャップの隙間からハードカプセル皮膜内に浸入させにくく、粒子状内容物間の空隙に含浸させにくいことから、油状物質としては、融点以上に加熱した際の粘度が100mPa・s以下のものが特に好適である。
ハードカプセルの製造では、ハードカプセル皮膜に粉末や顆粒の粒子状内容物を収容する際、ボディに粒子状内容物を入れてからキャップをかぶせる。従って、ボディの容積以上の粒子状内容物を、ハードカプセル皮膜内に収容させることはできない。そのため、従来のハードカプセルでは、ハードカプセル皮膜内に、キャップの容積以上の空隙(空気の層)ができ、ハードカプセル全体の密度が小さいものとなっていた。これに対し、本発明では、油状物質を液体状態でハードカプセル皮膜内に浸入させ、粒子状内容物間の空隙を油状物質で充填する。これにより、本発明で製造されたハードカプセルでは、従来のハードカプセルに比べて密度が大きいため、水などを使用してハードカプセルを服用する際に、飲み込みやすいものとなる。
また、油状物質として常温で固体となるものが使用されるため、本発明で製造されたハードカプセルでは、ボディとキャップの隙間を介して、ハードカプセル皮膜から外部へ油状物質が漏出するおそれがない。なお、含浸用液体には、常温で固体となる油状物質に加え、常温以上の温度で液体である成分を、油状物質の固化を阻害せず、油状物質の固化に伴い固化した油状物質に取り込まれて流動性を失う添加量、及び/又は、固化した油状物質あるいは粒子状物質に吸着して流動性を失う添加量で、添加することができる。
次に、本発明にかかるハードカプセルの製造方法により製造されるハードカプセルは、「ボディ及びキャップからなるハードカプセル皮膜に、粉末または顆粒の粒子状内容物と、該粒子状内容物間に充填され前記粒子状内容物と共に固化した、常温で固体である油状物質とが収容されている」ものである。
本構成のハードカプセルは、上記の製造方法により製造されるハードカプセルである。すなわち、粉末または顆粒の粒子状内容物間が油状物質によって充填されているため、従来のハードカプセルに比べて密度が大きく、水を使用して服用する際に飲み込みやすい。また、ハードカプセルの密度を高めている油状物質は、固化した状態であるため、ボディとキャップの隙間を介して、ハードカプセル皮膜から油状物質が漏出するおそれがない。このように、粉末または顆粒の粒子状内容物が、固化した油状物質と一体化しているハードカプセルは、従来にない全く新規な構成のハードカプセルである。
以上のように、本発明の効果として、飲み込みやすいハードカプセルの製造方法を、提供することができる。
本発明の一実施形態であるハードカプセルの製造方法において、含浸用液体の含浸操作のサイクル数と密度増加率との関係を示す図である。
以下、本発明の一実施形態であるハードカプセルの製造方法(以下、単に「製造方法」と称することがある)について説明する。本実施形態の製造方法は、ボディ及びキャップからなるハードカプセル皮膜に、粉末または顆粒の粒子状内容物を収容する工程と、常温で固体となる油状物質を含み油状物質の融点以上に加熱された含浸用液体を、ボディ及びキャップの隙間からハードカプセル皮膜内に浸入させて粒子状内容物間の空隙に含浸させる含浸工程と、常温まで冷却して前記油状物質を固化させる冷却工程とを具備している。
ボディ及びキャップからなるハードカプセル皮膜に、粉末または顆粒の粒子状内容物を収容する工程は、従来のハードカプセルの製造方法と同一であり、ボディに粒子状内容物を入れ、キャップをかぶせる。粒子状内容物としては、医薬成分、生薬成分、健康食品成分、栄養補助成分を含有する粉末や顆粒を、使用することができる。
含浸工程では、油状物質の融点以上に加熱された含浸用液体を、ボディ及びキャップの隙間からハードカプセル皮膜内に浸入させる。ボディ及びキャップは、それぞれの縁に形成された凹凸をはめ合わせることにより結合されているが、その状態で両者間に隙間が存在する。この隙間を介して、ハードカプセル皮膜内に含浸用液体を浸入させる。この含浸工程は、含浸用液体の温度を保ちながら(加熱しながら)、粒子状内容物を収容したハードカプセル皮膜及び含浸用液体を入れた容器を加圧することにより、或いは、加圧と圧力の開放とを繰り返すことにより行うことができる。或いは、粒子状内容物を収容したハードカプセル皮膜を入れた容器を減圧してから含浸用液体を供給することにより、含浸工程を行うこともでき、これらの操作を組み合わせて行うこともできる。
この含浸工程により、強制的にカプセル皮膜内に浸入させられた含浸用液体は、粒子状内容物間の空気の層と置換され、粒子状内容物間が含浸用液体で充填される。
冷却工程は、積極的な冷却により、或いは、放冷により行うことができる。この冷却工程により、カプセル皮膜内で油状物質が固化する。これにより、粉末または顆粒の粒子状内容物が、固化した油状物質で取り囲まれ、流動性を失った状態となる。
ゼラチン製のハードカプセル皮膜(1号サイズ)に、粒子状内容物としてマルトデキストリン粉末を収容し、種類の異なる次の油状物質を使用して、実施例1〜8のハードカプセルを製造した。何れの実施例も、油状物質を融点より高温で加熱して得られた液体(常温で固体となる油状物質100%)を、含浸用液体として使用した。含浸工程は、粒子状内容物を収容したハードカプセル皮膜及び含浸用液体を密閉可能な容器に入れ、加熱して含浸用液体の温度を一定に保ちながら、1kgf/cm(約98kPa)の圧力で60秒間加圧し、その後30秒間圧力を開放するという操作を1サイクルとし、これを6サイクル行った。
実施例1〜3の油状物質は、モノエステル含量が93%以上のモノグリセリドであり、それぞれの構成脂肪酸の組成A〜Cを表1に示すように、構成脂肪酸として不飽和脂肪酸を含んでいる。実施例4〜7の油状物質は、構成脂肪酸が飽和脂肪酸であるモノグリセリドであり、実施例8はモノエステル含量が45%以上のモノ・ジグリセリドである。各実施例について、構成脂肪酸の種類及び融点を表2に示す。
Figure 0006049409
Figure 0006049409
各実施例について、含浸用液体の加熱温度及び粘度、含浸前総質量(ハードカプセル皮膜及び粒子状内容物の質量の和)、含浸後総質量(ハードカプセル皮膜、粒子状内容物、及び固化した含浸用液体の質量の和)を、表2に示す。何れの実施例も、ハードカプセル5個を製造し、平均値を求めている。また、各実施例について、平均含浸質量(固化した含浸用液体の質量)、密度増加率(含浸後総質量/含浸前総質量×100)、含浸後密度を、表2にあわせて示す。なお、含浸用液体の粘度は、B型粘度計(ロータNo.4,回転速度100rpm)により測定した。
表2に示すように、実施例1〜8の何れにおいても、油状物質を含浸させることにより、ハードカプセルの密度が152%〜162%と大幅に増加した。また、含浸前の密度が約0.63g/cmであり、水に比べて非常に小さかったのに対し、何れの実施例でも油状物質の含浸によって水と同程度の密度となった。これにより、水を使用してハードカプセルを服用する場合に、水だけが先にのどを流下してしまうことが抑制され、ハードカプセルが飲み込みやすいものになると考えられた。
なお、実施例1〜8の何れも、製造されたハードカプセルにおいて、ハードカプセル皮膜内の空間は、粒子状内容物であるマルトデキストリン粉末と固化した油状物質とで密に充填されており、マルトデキストリン粉末は、固化した油状物質に取り囲まれて一体化し、流動性を失った状態であった。
また、実施例1〜8の何れも、含浸用液体の粘度が70mPa・s以下と比較的低粘度であり、ボディ及びキャップの隙間からハードカプセル皮膜内に浸入させ、粒子状内容物間の空隙に充填させる操作が容易であった。このことから、融点が90℃以下(融点が40℃以上90℃以下)のモノグリセリド、ジ・モノグリセリドは、ハードカプセル皮膜内に含浸させる油状物質として、好適であると考えられた。
なお、製造された実施例1〜8のハードカプセルを、温度40℃の環境下で保存したところ、何れの実施例についても、約8週間の経過後にハードカプセル皮膜からの内容物の漏出は見られなかった。
ここで、含浸工程の条件を検討した結果を説明する。図1に、実施例1と同一の油状物質を使用して加熱温度70℃とし、実施例1〜8と同様に、1kgf/cm(約98kPa)の圧力で60秒間加圧し、その後30秒間圧力を開放するという操作を1サイクルとし、サイクル数を1回から10回の間で変化させ、サイクル数が密度増加率に及ぼす影響を検討した結果を示す。
図1から分かるように、サイクル数が1回から4回までは密度が大きく増加する(含浸質量が大きく増加する)が、それ以降は増加が緩やかとなり、サイクル数6回と10回とでは密度増加率は同程度であった。従って、含浸工程におけるサイクル数は、6回で十分であると考えられた。
また、圧力の大きさ、加熱温度を一定として、1サイクルにおける加圧時間を、30秒、60秒、及び90秒と異ならせて検討した結果、30秒の場合は含浸量が少なく、90秒の場合は60秒のときと密度増加率が同程度であった。更に、加熱温度、加圧時間を一定とし、圧力の大きさを、0.5kgf/cm(約49kPa)、1kgf/cm(約98kPa)、及び2kgf/cm(約196kPa)と異ならせて検討した結果、0.5kgf/cmの場合は含浸量が少なく、2kgf/cmの場合は、ハードカプセル皮膜においてボディとキャップが外れやすくなる傾向があった。従って、1サイクルにおいて加圧する時間は60秒で十分であり、圧力の大きさは1kgf/cmが適していると考えられた。
次に、油状物質として有機酸モノグリセリドを使用した実施例11〜13を示す。実施例1〜8と同様に、ハードカプセル皮膜としてゼラチン製の1号サイズのハードカプセル皮膜を使用し、粒子状内容物としてマルトデキストリン粉末を使用した。また、油状物質を融点より高温に加熱して得られる液体(常温で固体となる油状物質100%)を、含浸用液体として使用した。含浸工程の条件も実施例1〜8と同様であり、粒子状内容物を収容したハードカプセル皮膜及び含浸用液体を密閉可能な容器に入れ、加熱して含浸用液体の温度を一定に保ちながら、1kgf/cm(約98kPa)の圧力で60秒間加圧し、その後30秒間圧力を開放するという操作を1サイクルとし、これを6サイクル行った。
各実施例について、有機酸モノグリセリドの種類、構成脂肪酸、及び、融点を、表3に示す。また、各実施例について、含浸用液体の加熱温度及び粘度、含浸前総質量、含浸後総質量、平均含浸質量(ハードカプセル5個を製造した場合の平均値)、密度増加率、含浸後密度を、表3にあわせて示す。なお、含浸用液体の粘度の測定条件は、上記と同様である。
Figure 0006049409
表3に示すように、実施例11〜13の何れにおいても、油状物質を含浸させることにより、ハードカプセルの密度が増加したが、油状物質としてジアセチル酒石酸モノグリセリドを使用した実施例13は、他の実施例に比べて密度増加率が小さかった。これは、実施例13では、油状物質を融点より高温に加熱して得られる含浸用液体の粘度が300mPa・sと高いためであると考えられた。なお、実施例11〜13の何れも、製造されたハードカプセルにおいて、ハードカプセル皮膜内の空間は、粒子状内容物であるマルトデキストリン粉末と固化した油状物質とで密に充填されており、マルトデキストリン粉末は、固化した油状物質に取り囲まれて一体化し、流動性を失った状態であった。
次に、油状物質としてポリグリセリン脂肪酸エステルを使用した実施例21〜24を示す。実施例1〜8,11〜13と同様に、ハードカプセル皮膜としてゼラチン製の1号サイズのハードカプセル皮膜を使用し、粒子状内容物としてマルトデキストリン粉末を使用した。また、油状物質を融点より高温に加熱して得られる液体(常温で固体となる油状物質100%)を、含浸用液体として使用した。含浸工程の条件も実施例1〜8,11〜13と同様であり、粒子状内容物を収容したハードカプセル皮膜及び含浸用液体を密閉可能な容器に入れ、加熱して含浸用液体の温度を一定に保ちながら、1kgf/cm(約98kPa)の圧力で60秒間加圧し、その後30秒間圧力を開放するという操作を1サイクルとし、これを6サイクル行った。
各実施例について、構成脂肪酸、グリセリンの平均重合度、平均エステル化率、及び、融点を、表4に示す。また、各実施例について、含浸用液体の加熱温度及び粘度、含浸前総質量、含浸後総質量、平均含浸質量(ハードカプセル5個を製造した場合の平均値)、密度増加率、含浸後密度を、表4にあわせて示す。なお、含浸用液体の粘度の測定条件は、上記と同様である。
Figure 0006049409
表4に示すように、実施例21〜24の何れにおいても、油状物質を含浸させることにより、ハードカプセルの密度が増加したが、実施例23は他の実施例に比べて密度増加率が小さかった。これは、実施例23では、油状物質を融点より高温に加熱して得られる含浸用液体の粘度が、120mPa・sと高いためであると考えられた。なお、実施例21〜24の何れも、製造されたハードカプセルにおいて、ハードカプセル皮膜内の空間は、粒子状内容物であるマルトデキストリン粉末と固化した油状物質とで密に充填されており、マルトデキストリン粉末は、固化した油状物質に取り囲まれて一体化し、流動性を失った状態であった。
次に、油状物質として極度硬化油を使用した実施例31〜33を示す。実施例1〜8,11〜13,21〜24と同様に、ハードカプセル皮膜としてゼラチン製の1号サイズのハードカプセル皮膜を使用し、粒子状内容物としてマルトデキストリン粉末を使用した。また、油状物質を融点より高温に加熱して得られる液体(常温で固体となる油状物質100%)を、含浸用液体として使用した。含浸工程の条件も実施例1〜8,11〜13,21〜24と同様であり、粒子状内容物を収容したハードカプセル皮膜及び含浸用液体を密閉可能な容器に入れ、加熱して含浸用液体の温度を一定に保ちながら、1kgf/cm(約98kPa)の圧力で60秒間加圧し、その後30秒間圧力を開放するという操作を1サイクルとし、これを6サイクル行った。
各実施例について、極度硬化油の種類、及び、融点を表5に示す。また、各実施例について、含浸用液体の加熱温度及び粘度、含浸前総質量、含浸後総質量、平均含浸質量(ハードカプセル5個を製造した場合の平均値)、密度増加率、含浸後密度を、表5にあわせて示す。なお、含浸用液体の粘度の測定条件は、上記と同様である。
Figure 0006049409
表5に示すように、実施例31〜33の何れにおいても、油状物質を含浸させることにより、ハードカプセルの密度が大きく増加した。何れの実施例も、密度増加率は160%以上であり、油状物質の含浸によって水と同程度以上の密度となった。なお、実施例31〜33の何れも、製造されたハードカプセルにおいて、ハードカプセル皮膜内の空間は、粒子状内容物であるマルトデキストリン粉末と固化した油状物質とで密に充填されており、マルトデキストリン粉末は、固化した油状物質に取り囲まれて一体化し、流動性を失った状態であった。
また、実施例31〜33の何れも、70℃〜80℃というハンドリングし易い加熱温度で、含浸用液体の粘度が20〜30mPa・sと低粘度であり、ボディ及びキャップの隙間からハードカプセル皮膜内に浸入させ、粒子状内容物間の空隙に充填させる操作が容易であった。このことから、これらの極度硬化油は、ハードカプセル皮膜内に含浸させる油状物質として、好適であると考えられた。なお、製造された実施例31〜33のハードカプセルを、温度40℃の環境下で保存したところ、何れの実施例についても、約8週間の経過後にハードカプセル皮膜からの内容物の漏出は見られなかった。
上記の実施例では、常温で固体となる油状物質であって、粉末または顆粒の粒子状内容物間の空隙を充填する目的の油状物質のみを加熱して得た液体を、含浸用液体として使用した。含浸用液体には、常温で固体となる油状物質に加え、油状物質と親和性の高い成分で、摂取目的となる成分を添加することが可能である。含浸用液体に添加する摂取目的成分(以下、「添加成分」と称する)としては、油状物質を液体とするための加熱温度で液体であり、常温で固体となる成分を使用することができる。その実施例を、次に示す。
実施例41及び42は、油状物質としてパーム極度硬化油を使用しており、表6に示すように、添加成分としてコエンザイムQ10を、含浸用液体に対しそれぞれ10質量%及び50質量%含んでいる。コエンザイムQ10は、融点が48℃であり、油状物質を液体とするための加熱温度で液体であり、常温で固体となる。
実施例41及び42は、上記の実施例1〜8,11〜13,21〜24,31〜33と同様に、ハードカプセル皮膜としてゼラチン製の1号サイズのハードカプセル皮膜を使用し、粒子状内容物としてマルトデキストリン粉末を収容させた。含浸工程の条件も上記の実施例と同様であり、粒子状内容物を収容したハードカプセル皮膜及び含浸用液体を密閉可能な容器に入れ、加熱して含浸用液体の温度を一定に保ちながら、1kgf/cm(約98kPa)の圧力で60秒間加圧し、その後30秒間圧力を開放するという操作を1サイクルとし、これを6サイクル行った。
実施例41及び42について、含浸用液体の加熱温度及び粘度、含浸前総質量、含浸後総質量、平均含浸質量(ハードカプセル5個を製造した場合の平均値)、密度増加率、含浸後密度、添加成分の含有量を、表6に示す。なお、含浸用液体の粘度の測定条件は、上記と同様である。
Figure 0006049409
表6に示すように、実施例41及び42の何れにおいても、油状物質及び添加成分を含浸させることにより、ハードカプセルの密度が大きく増加し、水と同程度の密度となった。
製造された実施例41及び42のハードカプセルを、温度40℃の環境下で保存したところ、何れも約8週間の経過後にハードカプセル皮膜からの内容物の漏出は見られなかった。
コエンザイムQ10は常温で固体であるため、従来でもコエンザイムQ10を内容物とするハードカプセルは存在する。しかしながら、コエンザイムQ10のような親油性(脂溶性)の粉末は、一般的にハードカプセル皮膜への充填適性が低く、含有量は少ないものであった。これに対し、コエンザイムQ10を加熱して液体とし、同じく加熱により液体となった油状物質と共にハードカプセル皮膜内に含浸させる本実施例では、表6に示すように、21.6mg〜116.9mgという高い含有量で、コエンザイムQ10を含有するハードカプセルを製造することができる。
含浸用液体に添加する添加成分としては、常温以上の温度で液体の成分を、油状物質の常温での固化を阻害しない添加量で使用することができる。その実施例を、次に示す。
実施例43〜46は、何れも油状物質としてパーム極度硬化油を使用しており、実施例43及び44は、表7に示すように、添加成分としてビタミンEを、含浸用液体に対しそれぞれ10質量%及び50質量%含んでいる。実施例45及び46は、表8に示すように、添加成分としてアスタキサンチンを、含浸用液体に対しそれぞれ10質量%及び50質量%含んでいる。
実施例43〜46は、上記の実施例1〜8,11〜13,21〜24,31〜33,41,42と同様に、ハードカプセル皮膜としてゼラチン製の1号サイズのハードカプセル皮膜を使用し、粒子状内容物としてマルトデキストリン粉末を収容させた。含浸工程の条件も上記の実施例と同様であり、粒子状内容物を収容したハードカプセル皮膜及び含浸用液体を密閉可能な容器に入れ、加熱して含浸用液体の温度を一定に保ちながら、1kgf/cm(約98kPa)の圧力で60秒間加圧し、その後30秒間圧力を開放するという操作を1サイクルとし、これを6サイクル行った。
実施例43及び44、実施例45及び46について、含浸用液体の加熱温度及び粘度、含浸前総質量、含浸後総質量、平均含浸質量(ハードカプセル5個を製造した場合の平均値)、密度増加率、含浸後密度、添加成分の含有量を、それぞれ表7及び表8に示す。なお、含浸用液体の粘度の測定条件は、上記と同様である。
Figure 0006049409
Figure 0006049409
表7,8に示すように、実施例43〜46の何れにおいても、油状物質及び添加成分を含浸させることにより、ハードカプセルの密度が大きく増加し、水と同程度の密度となった。
製造された実施例43〜46のハードカプセルを、温度40℃の環境下で保存したところ、何れの実施例についても、約8週間の経過後にハードカプセル皮膜からの内容物の漏出は見られなかった。実施例43〜46のように、常温以上で液体である成分が添加された含浸用液体を含浸させた場合は、ハードカプセル皮膜からの内容物の漏出が懸念されるところ、上記の保存試験により、内容物の漏出がないことが確認された。これは、液体である添加成分が油状物質と親和性が高く、油状物質が固化する際にその中に取り込まれて流動性を失っているため、及び/又は、固化した油状物質あるいは粒子状物質に吸着して流動性を失っているためと考えられた。実際に、製造されたハードカプセルの内容物では、油状物質と添加成分とは区別できない状態であり、粒子状内容物であるマルトデキストリン粉末と一体化して流動性を失った状態であった。
このように、含浸用液体に、ビタミンE、アスタキサンチン等を含有させることにより、粉末または顆粒の粒子状内容物に加え、従来のハードカプセルでは内容物とすることが困難であった常温で液体である摂取目的成分を、液体の状態でハードカプセル皮膜内に含浸させ、ハードカプセルの内容物とすることができる。
なお、従来、ビタミンE、アスタキサンチン等の常温で液体である摂取目的成分をハードカプセルの内容物としたい場合、ボディ及びキャップの境界をバンドシールで封止したり、ボディ及びキャップの結合部分を接着したりする必要があった。これに対し、本実施例では、バンドシールを巻回する工程や、ボディ及びキャップの結合部分を接着する工程を要することなく、常温で液体である成分がハードカプセル皮膜から漏出することが抑止されたハードカプセルを、製造することができる。
また、従来、ビタミンE、アスタキサンチン等の常温で液体である摂取目的成分をハードカプセルの内容物としたい場合、その液体成分を賦形剤と混合することにより粉末状とすることもあった。その場合、常温で液体である摂取目的成分の含有量は、賦形剤を加える分だけ少ないものとならざるを得なかった。加えて、ビタミンE、アスタキサンチン等を賦形剤と混合した親油性の粉末は、上記のコエンザイムQ10と同様に、ハードカプセル皮膜への充填適性が低く、このことからも含有量は少ないものとなっていた。これに対し、本実施例43〜46では、常温で液体である摂取目的成分を、液体の状態のままでハードカプセル皮膜内に浸入させているため、高い含有量でハードカプセルの内容物に含有させることができる利点がある。
上記では、ハードカプセル皮膜として、ゼラチン製のものを使用した実施例を示した。含浸用液体をボディ及びキャップの隙間からハードカプセル皮膜内に浸入させる際、含浸用液体の濡れ性などは、ハードカプセル皮膜の材質や表面特性によって影響を受けると考えられる。次に、異なる種類のハードカプセル皮膜を使用した実施例51〜55に示す。
実施例51〜55は、何れも1号サイズのハードカプセル皮膜を使用しているが、その材質が異なっており、実施例51(実施例31と同一)はゼラチン製、実施例52〜54はヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース,HPMC)製でそれぞれメーカーが相違しており、実施例55はプルラン製である。何れの実施例も粒子状内容物としてマルトデキストリン粉末を使用し、油状物質としてのパーム極度硬化油を融点より高温に加熱して得られる液体を、含浸用液体として使用した。含浸工程は、粒子状内容物を収容したハードカプセル皮膜及び含浸用液体を密閉可能な容器に入れ、加熱して含浸用液体の温度を一定に保ちながら、所定の圧力で所定時間加圧し、その後30秒間圧力を開放するという操作を1サイクルとし、これを所定のサイクル数行った。各実施例について、ハードカプセル皮膜の種類、圧力の大きさ、加圧時間、サイクル数、含浸用液体の加熱温度、含浸前総質量、含浸後総質量、平均含浸質量(ハードカプセル5個を製造した場合の平均値)、密度増加率、含浸後密度を、表9にまとめて示す。
Figure 0006049409
表9に示すように、ハードカプセル皮膜の種類が異なっても、圧力の大きさ、加圧時間、サイクル数、加熱温度など含浸工程の諸条件を変更することにより、油状物質を十分にハードカプセル皮膜内に含浸させ、水と同程度以上に密度の高いハードカプセルを製造することが可能であった。
また、製造された実施例51〜55のハードカプセルを、温度40℃で保存したところ、何れの実施例についても約8週間の経過後に、ハードカプセル皮膜からの内容物の漏出は見られなかった。
なお、上記の全ての実施例(実施例1〜8,11〜13,21〜24,31〜33,41〜46,51〜55)のハードカプセルについて、第十六改正日本薬局方の崩壊試験法に則り崩壊性の評価をしたところ、何れのハードカプセルも規定の時間内に崩壊し、良好な崩壊性を示した。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、上記では、粒子状内容物が一種類の実施例を示したが、これに限定されず、1つのハードカプセルの内容物として、複数種類の粒子状内容物を含有させることもできる。また、上記では、一種類の油状物質を加熱して含浸用液体とする場合、及び、一種類の油状物質と一種類の添加成分とから含浸用液体を構成させる場合を例示したが、これに限定されず、油状物質及び添加成分の一方または双方を複数種類とすることもできる。

Claims (1)

  1. ボディ及びキャップからなるハードカプセル皮膜に、粉末または顆粒の粒子状内容物を収容し、
    常温で固体となる油状物質を含み該油状物質の融点以上に加熱された含浸用液体を、前記ボディ及び前記キャップの隙間から前記ハードカプセル皮膜内に浸入させて前記粒子状内容物間の空隙に含浸させ、
    常温まで冷却して前記油状物質を固化させる
    ことを特徴とするハードカプセルの製造方法。
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