JP6047812B2 - カリン等抽出物を有効成分とするノロウイルス属に属する非エンベロープウイルスに対する抗ウイルス剤 - Google Patents
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Description
本発明による「抗ウイルス剤」は、非エンベロープウイルスに対する効果を意図して製造される、少なくともカリン等抽出物を有効成分として含有する製品であって、その態様は特に限定されるものではない。たとえば、本発明の抗ウイルス剤は、カリン等抽出物のみからなるもの、あるいは溶媒や担体等、それ自体は特段の作用効果を発揮しない物質と混合したカリン等抽出物からなるものであってもよいし、必須の有効成分であるカリン等抽出物に加えて、任意の有効成分であるバナナ等抽出物や、アルコール、界面活性剤、有機酸および/またはその塩、その他公知の抗ウイルス用製品に用いられているような一般的な成分から選ばれる所望の成分を含有する組成物であってもよい。さらに、本発明の抗ウイルス剤は、非エンベロープウイルスに起因する感染症の治療または予防のために使用される医薬組成物として製造することも可能である。
本発明では、「ボケ属の植物の抽出物」に対して、そのような植物の代表例であるカリンにちなんで「カリン等抽出物」という用語を用いることがある。また、「バショウ属の植物の抽出物」に対して、そのような植物の代表例であるバナナにちなんで「バナナ等抽出物」という用語を用いることがある。そして、これらのカリン等抽出物およびバナナ等抽出物の総称として「植物抽出物」という用語を用いることがある。
本発明では、非エンベロープウイルスに対する有効成分として、カリン等抽出物、すなわちタンニン様物質を含有するボケ属(Chaenomeles)の植物の抽出物を使用する。換言すれば、本発明は、上記カリン等抽出物を非エンベロープウイルスに対する有効成分として使用する方法、特に非エンベロープウイルスに対する抗ウイルス剤の製造において使用する方法を提供する。
本発明では、非エンベロープウイルスに対する有効成分として、上述のような必須のカリン等抽出物に加えて、任意でバナナ等抽出物、すなわちタンニン様物質を含有するバショウ属(Musa)の植物の抽出物を使用することができる。換言すれば、本発明は、前記カリン等抽出物に加えて、上記バナナ等抽出物を非エンベロープウイルスに対する有効成分として使用する方法、特に非エンベロープウイルスに対する抗ウイルス剤の製造において使用する方法を提供する。カリン等抽出物とバナナ等抽出物を併用した場合、非エンベロープウイルスに対する相乗的な効果が期待できる。
上述のように、本発明で用いる植物抽出物には、収斂性や金属イオンと結合するなど所定の性質を有し、渋味を感じさせる原因となる物質である、タンニン様物質(ポリフェノール)が含まれている。本発明における非エンベロープウイルスに対する抗ウイルス性の発現には、これらの植物抽出物中に含まれる(水または抽出溶媒に対する溶解性を有する)タンニン様物質が少なくとも関与しているものと推測されるが、タンニン様物質に加えてその他の成分が関与している可能性も何ら排除されるものではない。
本発明で用いる植物抽出物の調製方法は特に限定されるものではなく、公知の手法を用いて行うことができる。たとえば、新鮮な植物原料を粉砕、圧搾等により搾汁として回収する方法、あるいは植物原料(必要に応じてあらかじめ凍結乾燥粉末化しておいたものでもよい。)を抽出溶媒に適切な時間浸漬することにより抽出液として回収する方法などを用いることができる。抽出溶媒としては、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、その他エーテル、エステル(たとえば酢酸エチル)、ケトン(たとえばアセトン)など、植物原料から抽出液を調製する際に用いられている一般的な溶媒が挙げられるが、抗ウイルス剤の効果や生体への安全性を考慮すると、水、エタノール、またはこれらの混合物を用いることが好ましい。
本発明の抗ウイルス剤を組成物として製造する場合、当該組成物は、非エンベロープウイルスに対する有効成分となる植物抽出物の他に、公知の抗ウイルス剤に配合されている一般的な成分をさらに含有することができる。
アルコールは、エンベロープウイルスや細菌類に対して有効成分となり得ることが知られており、また各種の成分を溶解する性質を有し、タンニン様物質の溶解性の向上にも寄与する。このようなことから、本発明の抗ウイルス剤にはアルコールを配合してもよい。
有機酸および/またはその塩は、一部の非エンベロープウイルスに対して単独で有効成分となることが知られており、本発明における抗ウイルス剤の有効成分である植物抽出物と併用することによりその効果を一層高めることができる場合がある。また、有機酸および/またはその塩は、エンベロープウイルスや細菌類に対しても有効成分となり得ることが知られており、pHの調整によってタンニン様物質の溶解性を高めることができるほか、タンニン様物質が鉄と接触したときの着色を防止するキレート剤としても作用する。このようなことから、本発明の抗ウイルス剤には有機酸および/またはその塩を配合してもよい。
界面活性剤は、エンベロープウイルスや細菌類に対して単独で有効成分となり得ることが知られており、また各種の成分を乳化する乳化剤としても作用する。このようなことから、本発明の抗ウイルス剤には界面活性剤を配合してもよい。
本発明の抗ウイルス剤は、前述したような方法により調製することのできる植物抽出物を非エンベロープウイルスに対する有効成分として使用し、必要に応じてその他の成分(たとえばアルコール、有機酸および/またはその塩、界面活性剤)も使用した上で、従来の抗ウイルス剤の製造方法に準じた工程および製造装置により製造することができる。
本発明の抗ウイルス剤は、以下に挙げるような広範にわたる非エンベロープウイルスに対して適用することができるが、特にノロウイルスに対して適用することが好ましい。
試験に使用したウイルス:患者の糞便由来のウイルスの懸濁液を精製保存して使用した。ウイルスの濃度は106〜107/mLであった。
定性反応:タンニン類が鉄イオンと反応して青紫色を呈することを利用した。試験液をろ紙上に、約1cmの円となるように滴下又は塗布し、自然乾燥後、0.5%塩化第二鉄の水溶液を噴霧し、次いで1%重曹水溶液を噴霧する。タンニン様物質の量に比例して呈色する。
(凍結乾燥粉末からのカリン抽出物の調製)
日本産カリンの成熟果実(10月採取、5.5kg)を縦に4分割し、種の部分を切除し(4.8kg)、果皮を付けたまま約3cm角にカットした後、24時間凍結乾燥した。その乾燥物をミキサーで処理して疎粉末(1.1kg)を得た。
前記方法に従い、タンニン様物質の定性と定量を行った。上記カリン抽出液はタンニン鉄反応により強い青紫色を示した。また、上記カリン抽出液100g中、タンニン酸換算で470mgのタンニン様物質が含まれていた。
上記カリン抽出液を水でさらに6%に希釈したものを試験液とし、前記方法に従って抗ノロウイルス効果を試験した。ウイルスゲノムの残存率はコントロールに対して11.02%であった。
(生カリンからのカリン抽出物の調製)
香川県産カリンの成熟果実(10月採取、種部分切除後:120g)に精製水(120g)を加え、果皮を付けたままミキサーにかけて泥状にした。これを布袋に入れて搾汁し、微黄色透明の液体(181g)を得た。
前記方法に従い、タンニン様物質の定性を行った。上記カリン抽出液はタンニン鉄反応により濃青色を示した。
上記カリン抽出液を試験液とし、前記方法に従って抗ノロウイルス効果を試験した。ウイルスゲノムの残存率はコントロールに対して1.25%であり、完全な抑制率を示した。
Claims (4)
- カリン(Chaenomeles sinensis)の果実から得られるタンニン様物質が含まれている抽出物を有効成分として含有することを特徴とする、ノロウイルス属に属する非エンベロープウイルスに対する抗ウイルス剤。
- 前記抽出物の含有量(固形分換算量)が、抗ウイルス剤全体に対して0.01〜5重量%である、請求項1に記載の抗ウイルス剤。
- さらに、アルコール、有機酸および/またはその塩(前記抽出物中に元から含有されているものを除く。)ならびに界面活性剤からなる群より選択される少なくとも一種を含有する、請求項1または2に記載の抗ウイルス剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の抗ウイルス剤を、ノロウイルス属に属する非エンベロープウイルスが存在する可能性のある部位(ヒトを除く。)に適用することを特徴とする、ノロウイルス属に属する非エンベロープウイルスの消毒または感染予防方法。
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