JP6047726B2 - 温湿度調整装置 - Google Patents
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しかし、近年、精密加工分野でも、従来よりも更に加工精度の高い精密加工等が要求される工程が出現しつつある。
かかる精度の高い精密加工等が要求される工程では、通常、クリーンルームの温度変化よりも更に小さな温湿度変化の環境であることが要求される。このため、精度の高い精密加工等が要求される工程は、精密な温湿度管理がなされている空間ユニット内に設けられる。
図4に示す温湿度調整装置では、圧縮機100によって圧縮された冷媒が2つの二方弁101、102によって加熱流路と冷却流路に分配される。ここで加熱流路と冷却流路に分配するのは三方弁であってもよい。
加熱流路側には、対象空気の温度を上昇させるための加熱器103(冷媒の凝縮器)が設けられている。
冷却器108では、温度調整対象の空気から吸熱することで調整対象空気を冷却する。冷却された調整対象空気は、継いで加熱器103に導入され、所定温度に加熱される。
また、冷却流路側で温度調整対象の空気を冷却除湿し、昇温した冷媒は、加熱流路側の冷媒と合流して圧縮機100に戻される。
このように、調整対象の空気をまず冷却器によって冷却、除湿し、その後加熱することにより、所望の温度・露点に調整された空気を得ることができる。
このように二流体ノズルにより水を噴霧するのは、冷却器による除湿のバラツキを調整するためである。すなわち、温湿度の調整終了後の湿度が不足していることが検出されると、調整対象空気に二流体ノズルから水を噴霧し、湿度を調整できる。
加熱流路へ分配される冷媒の分配率が高くなった場合(例えば、加熱流路側への冷媒の分配率が95%以上となった場合)においては、調整対象空気に対して加熱量不足の状態となる傾向にあるため、圧縮機100の回転数を上げて冷媒の循環量を増加させる。
そして、加熱流路へ分配される冷媒の分配率が所定量よりも低くなった場合(例えば、加熱流路側への冷媒の分配率が85%未満の場合)においては、圧縮機100の回転数を下げて冷媒の循環量を減少させる。
しかし、仕様上比較的露点が高い設定であっても、圧縮機の回転数は一定(露点に基づいた回転数制御をしていない)であり、必要以上に冷却・除湿しているため、噴霧する水の消費量が多くなるとともに、圧縮機の動力にも無駄が多いという課題がある。
この構成を採用することによって、水の供給量に基づいて圧縮機の回転数を制御できるので、水分供給量を削減することができ、且つ圧縮機の無駄な動力を抑制して省エネルギーの実現に寄与する。
本発明に係る温湿度調整装置の一例を説明する概略図を図1に示す。
図1に示す温湿度調整装置30は、調整対象となる空気の温度及び湿度を調整し、局所的に調整空気が必要な空間ユニット9に送風ダクト8を介して温湿度を調整した後の調整空気を送風する。
調整対象空気は、冷却器16及び加熱器14を通過することによって所定の温度に調整され、また二流体ノズル44から水が噴霧され気化することによって、所定の湿度に調整される。
冷却器16では、冷媒は調整対象空気と熱交換して加熱され、その後圧縮機18に戻る。
加熱回路22に分配された冷媒は、まず加熱器14に導入され、調整対象空気と熱交換して冷却される。加熱器14を出た冷媒は、膨張弁34を通過し、蒸発器32に導入される。
すなわち、冷却器16における冷却制御により露点を調整し、湿度の精度調整が行われた後、二流体ノズル44から噴霧される微粒化された水が気化することで所定の湿度へ到達するように制御される。
また、二流体ノズル44には、供給された水を噴霧させるための圧縮空気を供給するための空気供給配管43が接続されている。空気供給配管43は、温湿度調整装置30の外部から圧縮空気を取り入れるような構成となっている。空気供給配管43の中途部には、空気供給配管43を開閉する圧縮空気供給バルブ46が設けられている。
凝縮器26と蒸発器32とを順に空気が流通するように、ファン49が設けられる。
加熱回路22および冷却回路24を流通する冷媒としては、例えばプロパン、イソブタンやシクロペンタン等の炭化水素、フロン類、アンモニア、炭酸ガスがあげられる。
温湿度センサ39が検出した温度データ及び湿度データは、制御部50に入力される。
制御部50は、CPU及びメモリを備えており、予めメモリに記憶されているプログラムに基づいてCPUが所定動作を実行し、温湿度調整を制御する。
制御部50は、温湿度センサ39から入力された温度データ、及び湿度データに基づいて、分配器20及び圧縮機18を制御して、加熱回路22側に流れる冷媒の量と、冷却回路24側に流れる冷媒の量を調整する。
具体的には、湿度データの示す実測湿度が所定湿度に到達するように、水量調整バルブ42と圧縮空気供給バルブ46を開け二流体ノズル44から水を噴霧する。水量調整バルブ42は、開度が調整されることで二流体ノズル44からの噴霧水量を調整することができる。したがって、測定した湿度データが所定の湿度に達していないときには、湿度を上昇させるように、水量調整バルブ42の開度を調整する。
そして、水が噴霧された調整対象空気は加熱器14に導入され、加熱器14で所定温度に加湿調整されるとともに、噴霧された水が全て気化する。
図2では、湿度調整の際の圧縮機の回転数制御についてのフローチャートを示している。
まず、ステップS1において、制御部50は湿度精度について判断している。湿度精度の判断とは、ユーザが欲している所定の湿度(予め制御部50に設定して記憶されている)に対して、ユーザへ供給する調整対象空気の現在の実測湿度がどの程度到達しているかを判断するということである。現在の実測湿度は、制御部50に入力される温湿度センサ39の湿度データに基づいて判断される。
ステップS2において、制御部50が、水量調整バルブ42の開度が最大供給時の開度の7%未満であると判断した場合、ステップS3へ移行する。ステップS3では、制御部50は圧縮機18の回転数を上昇させるように制御する。回転数を上昇させてその回転数を維持する時間は予め設定しておき、制御部50は、設定された時間が経過した後(ステップS5)、再度ステップS1に戻る。本実施形態では、回転数を維持する設定時間として3分間を想定している。
この場合、調整対象空気が、その後十分に加湿され、冷却器16の除湿能力を下げていれば水量調整バルブ42の開度を大きくしなくても十分な加湿ができる。そこで、噴霧する水の量を削減しつつ、ユーザが要求する湿度精度を維持するためには、圧縮機18の回転数を減少させて、調整対象空気に対する除湿量を少なくすることで、ユーザの要求する湿度を精密に調整することができるとともに、噴霧する水の消費量を少なくすることができる。
本実施形態では、加熱回路22の蒸発器32及び冷却回路24の凝縮器26として、水冷式のものを採用している点が上記の実施形態とは異なる。
図3の温湿度調整装置の冷却回路24の凝縮器26は、例えば二重管式の水冷凝縮器であって、装置外部から冷却水を供給する冷却水配管47が接続されている。凝縮器26を通過して、凝縮器26内の高温の冷媒と熱交換して高温となった冷却水は、加熱回路22の蒸発器32に供給される。
凝縮器26から吐出され、高温となっている冷却水は、蒸発器32内に供給され、加熱器14を通過して冷却された冷媒と熱交換する。このため、冷却水は、低温となって冷却水配管47の出口から装置外部に吐出される。
しかし、本発明の、二流体バルブからの水の噴霧量に基づいて、圧縮機の回転数を制御する構成は、上述してきた構成に限定するものではなく、例えば、加熱回路22の加熱器14において調整対象空気を加熱して凝縮した冷媒を、膨張弁等によって断熱膨張させた後に、冷却回路24の冷却器16の上流側で冷却回路24の冷媒と合流させ、冷却回路24の冷却器16において吸熱させてから圧縮機18に戻す構成であってもよい(いわゆる冷媒レヒート方式)。
さらに、本発明の、二流体バルブからの水の噴霧量に基づいて、圧縮機の回転数を制御する構成を、冷凍サイクル中の加熱器(本実施形態における加熱回路22の加熱器14)ではなく、電気ヒータで調整対象空気を加熱する構成(ヒータPID制御方式)に採用してもよい。
ただし、本発明の、水の供給量の調整としては、水量調整バルブ42の開度に限られるものではなく、他の構成であってもよい。
調整対象空気の設定温度は23℃、設定湿度は60%。空気風量は20m3/minであるとする。
まず従来の温湿度制御方式であるが、二流体バルブからの水の噴霧量に基づく圧縮機18の回転数は制御しておらず、湿度制御は、温湿度センサ39からの実測湿度データによる二流体バルブの噴霧量制御と、制御部50における冷却器16の除湿制御のみである。なお、調整対象空気の再熱は図1と同様にヒートポンプバランス制御を実行している。
この場合、圧縮機18は一定速度で回転し、調整対象空気が仕様上最も低い露点(例として10℃)となるように予め調整される。この条件での圧縮機の消費電力は、2.4kWである。同様に二流体ノズルから水を噴霧させるために駆動するポンプの消費電力は、0.2kWである。また流通路31内で調整対象空気を流すためのファン33の消費電力は、0.4kWである。
したがって、従来の温湿度制御によれば、常用運転時の電力は3.0kWとなる。
また、二流体ノズル44から噴霧される水量は、3.5kg/hである。
したがって、本発明の温湿度制御によれば、常用運転時の電力は2.2kwとなる。
また、二流体ノズル44から噴霧される水量は、0.6kg/hである。
このように、本発明の温湿度制御によれば、常用運転時の電力は従来の温湿度制御と比較すると最大で約25%の消費電力の削減が可能となる。そして、加湿水量については最大で約80%の節水が可能となる。
9 空間ユニット
14 加熱器
16 冷却器
18 圧縮機
20 分配器
20a 二方弁
20b 二方弁
22 加熱回路
24 冷却回路
25 膨張弁
26 凝縮器
30 温湿度調整装置
31 流通路
32 蒸発器
33 ファン
34 膨張弁
35 ポンプ
36 フィルタ
39 温湿度センサ
39 水供給配管
41 貯留タンク
42 水量調整バルブ
43 空気供給配管
44 二流体ノズル
46 圧縮空気供給バルブ
47 冷却水配管
49 ファン
50 制御部
Claims (7)
- 調整対象空気の温度・湿度を調整する温湿度調整装置において、
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮されて送り出される冷媒が、調整対象空気を冷却する冷却器に導入されるように冷凍サイクルを構成する冷却回路と、
調整対象空気を加熱する加熱器と、
調整対象空気に水分を付与するために、水を噴霧するノズルと、
水を前記ノズルへ供給する水量調整バルブと、
前記水量調整バルブの開度に基づいて、前記圧縮機の回転数制御を実行する制御部とを具備することを特徴とする温湿度調整装置。 - 前記制御部は、
前記水量調整バルブの開度が、当該装置の仕様としての最大加湿量に対して、予め設定された所定の範囲内となるように、前記圧縮機の回転数を制御することを特徴とする請求項1記載の温湿度調整装置。 - 前記制御部は、
前記水量調整バルブの開度が、予め設定された所定の範囲内にあるか否かを判断し、
所定の範囲よりも小さい場合には、前記圧縮機の回転数を増加させる制御を実行し、
所定の範囲よりも大きい場合には、前記圧縮機の回転数を減少させる制御を実行し、
所定の範囲内である場合には、前記圧縮機の回転数をそのまま維持することを特徴とする請求項2記載の温湿度調整装置。 - 前記制御部は、前記水量調整バルブの開度が、予め設定された最大加湿量に対して、7%〜15%の範囲内となるように、前記圧縮機の回転数を制御することを特徴とする請求項2又は請求項3記載の温湿度調整装置。
- 前記加熱器は、前記圧縮機で圧縮されて送り出される冷媒のうち分配器によって前記冷却回路との間で分配した分配分を導入して冷媒から調整対象空気に放熱し、
前記加熱器によって放熱して凝縮した冷媒を、前記冷却回路の冷却器の上流側で前記冷却回路の冷媒と合流させるように冷凍サイクルが構成された加熱回路が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項記載の温湿度調整装置。 - 前記加熱器は、前記圧縮機で圧縮されて送り出される冷媒のうち分配器によって前記冷却回路との間で分配した分配分を導入して冷媒から調整対象空気に放熱し、
前記加熱器によって放熱して凝縮した冷媒を、蒸発器によって温度上昇させた後に前記圧縮機の上流側で前記冷却回路の冷媒と合流させるように冷凍サイクルが構成された加熱回路が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項記載の温湿度調整装置。 - 前記加熱器は、電気ヒータであることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項記載の温湿度調整装置。
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