JP6046227B1 - 電着塗料組成物および水性電着塗料 - Google Patents

電着塗料組成物および水性電着塗料 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐摩耗性および密着性を向上させるとともに、十分な透明性を有する被膜を形成することができる電着塗料組成物および水性電着塗料を提供する。【解決手段】 本発明の電着塗料組成物は、主剤であるアクリル樹脂と、無機微粒子と、水溶性有機溶剤と、分散剤とを含む。電着塗料組成物の主剤となるアクリル樹脂が、アミノ基を含有する(メタ)アクリレートおよび炭素数が4〜6のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートを含む第1モノマー成分が重合して成り、ガラス転移点が3〜15℃である。また、無機微粒子を分散させるための分散剤が、アミノ基を含有する(メタ)アクリレートおよび炭素数が1〜3のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートを含む第2モノマー成分が重合して成るアクリル樹脂である。【選択図】 なし

Description

本発明は、紫外線照射によって硬化する電着塗料組成物および水性電着塗料に関する。
従来から、携帯型パーソナルコンピュータ、モバイル機器、携帯電話器、ビデオカメラ、電子手帳、デジタルカメラなどの電子機器、眼鏡フレーム、ドアノブなどの建材や、自動車部品、アミューズメント機器に至るまで金属製または合成樹脂製の基材が多用される。そして、基材の少なくとも外周面には、防食性、意匠性などを向上させ、製品寿命を延長させるために表面改質が施される。表面改質としては、たとえば、陽極酸化、染色、めっき、塗装などが挙げられる。たとえば、外表面にめっき被膜が形成される基材は、防食性、耐食性、質感をも含めた意匠性、表面平滑性などに優れ、高い商品価値を有する。
さらに、めっき被膜自体の防食性、耐食性、意匠性を向上させるために、めっき被膜の表面に保護用の塗装を施すことが多い。塗装を施す場合は、めっき被膜によって付与された意匠性などを損なわないように、透明な被膜を塗装によって形成することが要求される。
このような塗装には、たとえば、電着塗装法が利用される。電着塗装によれば、電荷を付与した被膜形成成分を含む塗料浴中に、表面にめっき被膜を形成した樹脂製の基材を浸漬させ、浴内において通電し、基材のめっき被膜表面に被膜成形成分を析出させ、焼付け処理を施して保護用の塗装被膜を形成する。電着塗装法によって形成される被膜は、膜厚が均一で、高い透明性を有し、めっき被膜との密着性に優れる樹脂被膜である。また、電着塗装法には、基材の形状、基材表面の凹凸などに左右されず均一な膜厚に塗装でき、定量的に膜厚を管理でき、塗料損失が少なく、限外ろ過により塗料を容易に回収ができるという利点がある。さらに火災の心配がなく衛生的である。
電着塗装の被膜形成成分には、表面硬度、機械的強度などを考慮して熱硬化性樹脂が用いられるけれども、熱硬化性樹脂は100℃以上の高い温度で硬化させるのが一般的である。このような高温での硬化は、基材に用いられる樹脂の特性を変化させてしまったり、基材の変形などを生じさせるおそれがあり、さらに工程管理を複雑化し、作業者の安全性の面からも好ましくない。
このため、特許文献1に記載されているように、加熱ではなくて紫外線照射によって被膜形成成分を硬化させる紫外線硬化型の電着塗装法(UV電着塗装法)が開発されている。UV電着塗装法においても、種々の改良が要求され、特に、UV電着塗装法によって形成される被膜は充分な耐摩耗性を有しないという点が重要な解決課題になる。
被膜の耐摩耗性を向上させることを目的として、特許文献2記載の電着塗料は、シリカ粒子やニッケルなどの金属粒子をフィラーとして分散させている。フィラーの分散性を上げるために、シランカップリング剤によってフィラー表面を修飾している。
特開2010−47692号公報 特開平6−346293号公報
特許文献2記載のように、シランカップリング剤によって表面修飾されたフィラーを含有させることによって、形成された被膜の耐摩耗性を向上させることは可能であるが、分散性が不十分であるために塗料を保管している間にフィラーが沈降してしまう。
沈降したフィラーを再分散させることは困難であり、そのまま電着塗装を施した場合、透明な被膜を形成することができない。
また、フィラーの含有により、被膜が脆くなり密着性の低下も生じる。
本発明の目的は、耐摩耗性および密着性を向上させるとともに、十分な透明性を有する被膜を形成することができる電着塗料組成物および水性電着塗料を提供することである。
本発明は、ガラス転移点が3〜15℃であるアクリル樹脂であって、アミノ基を含有する(メタ)アクリレートおよび炭素数が4〜6のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートを含む第1モノマー成分が重合して成るアクリル樹脂と、
無機微粒子と、
水溶性有機溶剤と、
無機微粒子を分散させる分散剤であって、アミノ基を含有する(メタ)アクリレートおよび炭素数が1〜3のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートを含む第2モノマー成分が重合して成る分散剤と、
を含むことを特徴とする電着塗料組成物である。
また本発明は、第1モノマー成分に含まれる、アミノ基を含有する(メタ)アクリレートは、ジメチルアミノエチルメタクリレートであり、
第1モノマー成分に含まれる、炭素数が4〜6のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートは、4−ヒドロキシブチルアクリレートであることを特徴とする。
また本発明は、無機微粒子は、ヒュームドシリカであることを特徴とする。
また本発明は、第2モノマー成分に含まれる、アミノ基を含有する(メタ)アクリレートは、ジメチルアミノエチルメタクリレートであり、
第2モノマー成分に含まれる、炭素数が1〜3のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートは、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび2−ヒドロキシエチルアクリレートであり、
第2モノマー成分全体に対するジメチルアミノエチルメタクリレートの含有量が1〜10質量%であり、
第2モノマー成分全体に対する2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび2−ヒドロキシエチルアクリレートの含有量の和が40〜60質量%であることを特徴とする。
また本発明は、光硬化剤と、重合開始剤と、をさらに含むことを特徴とする。
また本発明は、上記の電着塗料組成物と、
中和剤と、
水性溶媒と、を含むことを特徴とする水性電着塗料である。
本発明によれば、主剤であるアクリル樹脂と、無機微粒子と、水溶性有機溶剤と、分散剤とを含む。電着塗料組成物の主剤となるアクリル樹脂が、アミノ基を含有する(メタ)アクリレートおよび炭素数が4〜6のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートを含む第1モノマー成分が重合して成り、ガラス転移点が3〜15℃である。また、無機微粒子を分散させるための分散剤が、アミノ基を含有する(メタ)アクリレートおよび炭素数が1〜3のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートを含む第2モノマー成分が重合して成るアクリル樹脂である。
上記のような主剤を用いることで、被膜の密着性が向上し、無機微粒子を被膜中に分散させることにより十分な耐摩耗性が得られる。また、主剤と同種のアクリル樹脂の分散剤を用いているので、電着塗料組成物中における無機微粒子の分散性が向上し、十分な透明性を有する被膜を形成することができる。
また本発明によれば、第1モノマー成分に含まれる、アミノ基を含有する(メタ)アクリレートとして、ジメチルアミノエチルメタクリレートを用い、第1モノマー成分に含まれる、炭素数が4〜6のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートとして、4−ヒドロキシブチルアクリレートを用いることが好ましい。
また本発明によれば、無機微粒子として、ヒュームドシリカを用いることが好ましい。
また本発明によれば、第2モノマー成分に含まれる、アミノ基を含有する(メタ)アクリレートとして、ジメチルアミノエチルメタクリレートを用い、第2モノマー成分に含まれる、炭素数が1〜3のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートとして、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いることが好ましい。
第2モノマー成分全体に対するジメチルアミノエチルメタクリレートの含有量が1〜10質量%であることにより、被膜の外観を向上させることができる。第2モノマー成分全体に対する2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび2−ヒドロキシエチルアクリレートの含有量の和が40〜60質量%であることにより、無機微粒子の分散性をさらに向上させることができる。
また本発明によれば、光硬化剤と、重合開始剤と、をさらに含むことが好ましい。
また本発明によれば、上記の電着塗料組成物と、中和剤と、水性溶媒と、を含むことにより、耐摩耗性および密着性が向上し、十分な透明性を有する被膜を形成することができる水性電着塗料を提供することができる。
<電着塗料組成物>
本発明の電着塗料組成物は、主剤であるアクリル樹脂と、無機微粒子と、水溶性有機溶剤と、分散剤とを含む。主剤であるアクリル樹脂は、アミノ基を含有する(メタ)アクリレートおよび炭素数が4〜6のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートを含む第1モノマー成分が重合して成り、ガラス転移点が3〜15℃である。分散剤は、アミノ基を含有する(メタ)アクリレートおよび炭素数が1〜3のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートを含む第2モノマー成分が重合して成り、無機微粒子を水溶性有機溶剤中に分散させるためのものである。
上記のような主剤を用いることで、被膜の密着性が向上する。その一方で耐摩耗性は低下するが、無機微粒子を被膜中に分散させることにより十分な耐摩耗性が得られる。無機微粒子を分散させるために、本発明では、従来のようなシランカップリング剤を用いるのではなく、主剤と同種のアクリル樹脂ベースの分散剤を用いている。これにより、電着塗料組成物中における無機微粒子の分散性が向上し、十分な透明性を有する被膜を形成することができる。
なお、電着塗料組成物は、いわゆるワニスの状態であり、後述するように、電着塗料組成物を、中和剤を含む水性媒体中に分散させることで水性電着塗料が得られる。
以下では、本発明の電着塗料組成物の各成分について説明する。
(A)主剤であるアクリル樹脂
主剤であるアクリル樹脂は、(a1)アミノ基を含有する(メタ)アクリレート、(a2)炭素数が4〜6のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートおよび(a3)その他のモノマーを含む第1モノマー成分を重合して得られる。
(a1)アミノ基を含有する(メタ)アクリレート
アミノ基を含有する(メタ)アクリレートとしては、公知のものを使用することができ、たとえば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの分子内にアミノ基を有する化合物が挙げられる。これらの中でもジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。アミノ基を含有する(メタ)アクリレートは1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
(a2)炭素数が4〜6のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレート
炭素数が4〜6のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートとしては、公知のものを使用することができ、たとえば、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートなどの分子内にヒドロキシアルキル基を有する化合物が挙げられる。これらの中でも4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。炭素数が4〜6のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートは1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
(a3)その他のモノマー
その他のモノマーとしては、炭素数が1〜3のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレート、アルキル基を含有する(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、アラルキル(メタ)アクリレート、芳香族ビニルモノマーなど公知のモノマーを用いることができる。
炭素数が1〜3のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの化合物が挙げられる。
アルキル基を含有する(メタ)アクリレートとしては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜30のアルキル基を有する化合物が挙げられる。
シクロアルキル(メタ)アクリレートとしては、たとえば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの化合物が挙げられる。
アラルキル(メタ)アクリレートとしては、たとえば、ベンジル(メタ)アクリレートなどの化合物が挙げられる。
芳香族ビニルモノマーとしては、たとえば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの化合物が挙げられる。その他、酢酸ビニルなどもモノマーとして用いることができる。
主剤であるアクリル樹脂は、上記(a1)〜(a3)を含む第1モノマー成分を溶剤中で重合させることにより得られる。重合反応の反応場である溶剤としては、アクリル樹脂の重合反応に用いられる公知の溶剤を用いることができる。溶剤としては、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノールなどのアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどのエステル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトンなどが挙げられる。また、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホランなどの非プロトン性極性溶剤を用いることもできる。これらの中でもブチルセロソルブ(BC)、イソプロピルセロソルブ(IPC)、ブチルカルビトール(BCT)が好ましい。溶剤は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
第1モノマー成分の重合反応のために重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては公知のものを使用でき、たとえば、アゾ化合物、パーオキサイド化合物、ジスルフィド化合物、スルフィド化合物、スルフィン化合物、ニトロソ化合物などが挙げられる。これらの中でも、アゾ化合物、パーオキサイド化合物が好ましい。アゾ化合物の具体例としては、たとえば、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)など、パーオキサイド化合物としては過酸化ベンゾイルなどが挙げられる。これらの重合開始剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。重合開始剤の使用量は特に制限されず、モノマーの種類、重合開始剤自体の種類、使用量などに応じて適宜選択すればよいが、好ましくはモノマーの合計量100重量部に対して0.01〜3重量部である。重合開始剤は、重合反応の進行状況に応じ、時間の間隔を空けて数回程度に分割して重合反応系に添加してもよい。重合反応は、好ましくは溶剤の還流温度下に行われ、3〜20時間程度、好ましくは3〜8時間程度で終了する。
このように重合反応によって得られるアクリル樹脂の重量平均分子量は20,000〜100,000であり、好ましくは30,000〜70,000である。重量平均分子量が20,000未満では、塗料組成物における分散性が低下し、100,000を超えると、得られる塗膜の平滑性が低下する。
アクリル樹脂の重量平均分子量Mwはゲルパーミエーション(GPC)法で測定できる。たとえば、次のようにして測定した。GPC装置(商品名:HLC−8220GPC、東ソー株式会社製)において、温度40℃に設定したカラムを用い、試料溶液100mlを注入して測定した。試料溶液としては、アクリル樹脂(乾燥品)の0.25%テトラヒドロフラン溶液を一晩放置して溶解したものを用いた。分子量校正曲線は標準ポリスチレン(単分散ポリスチレン)を用いて作成した。
上記のように重合によって得られた主剤であるアクリル樹脂のガラス転移点は、3〜15℃である。ガラス転移点が3℃未満であると、形成される被膜が柔らかすぎるためにダレが生じてたとえば基材の角部分では十分な被膜厚みが得られない。ガラス転移点が15℃を越えると、形成される被膜が硬過ぎるために密着性が悪く、無機微粒子の沈降も生じる。
本発明の電着塗料組成物におけるアクリル樹脂の含有量は、30〜70質量%であり、好ましくは50〜60質量%である。含有量が30質量%未満では水分散性が悪くなり、70質量%を越えると相対的に硬化剤成分が不足する。
(B)無機微粒子
無機微粒子は塗料中に分散される微粒子であり、体積平均粒子径が0.1〜50μmの球状または同程度の大きさの鱗片状、繊維状の粉粒体である。無機微粒子としては、公知のものを用いることができ、たとえば、
(b1)α−Al,γ−Al,TiO,ZrO,ThO,CeO,UO,BeO,MgO,CaO,Cr,Eu,Fe,CoO,Co,Co,SiO、BiOClなどの金属酸化物微粒子、
(b2)SiC,WC,TiC,ZrC,VC,Cr,BC,HfC,TaCなど炭化物微粒子、
(b3)α−BN,β−BN,Si,AlNなどの窒化物微粒子、
(b4)CrB,ZrB,TiB,VBなどのホウ化物微粒子、
(b5)CrSi,MoSi,WSiなどのケイ化物微粒子、
(b6)MoS,WS,NiSなどの硫化物微粒子、
(b7)BaSO,SrSOなどの硫酸塩微粒子、
(b8)Cr,Ni,Co,Mo,W,Ti,V,Nb,Taなどの金属微粒子、
(b9)その他、グラファイト、ダイヤモンド、シリカファイバー、カオリン、雲母、ガラス、金属(Ca,Sr,Ba,Mg,Ni)のチタン酸塩、同金属のジルコン酸塩、同金属のケイ酸塩、無機顔料、カーボンブラックなどを用いることができる。これらの中でSiOが好ましく、より好ましくはヒュームドシリカである。
本発明の電着塗料組成物における無機微粒子の含有量は、5〜20質量%であり、好ましくは10〜15質量%である。含有量が5質量%未満では充分な耐摩耗性が得られず、20質量%を越えると塗料組成物への分散が難しくなる。
(C)水溶性有機溶剤
後述の分散剤を用いて無機微粒子を水溶性有機溶剤中に分散させる。水溶性有機溶剤としては、公知のものを用いることができ、たとえば、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、プロピレングリコールなどが挙げられる。水溶性有機溶剤は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
(D)分散剤
分散剤は、(d1)アミノ基を含有する(メタ)アクリレート、(d2)炭素数が1〜3のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートおよび(d3)その他のモノマーを含む第2モノマー成分を重合して得られる。
(d1)アミノ基を含有する(メタ)アクリレート
アミノ基を含有する(メタ)アクリレートとしては、第1モノマー成分と同様に公知のものを使用することができ、たとえば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの分子内にアミノ基を有する化合物が挙げられる。第1モノマー成分で用いる化合物と同一であっても異なっていてもよいが、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。アミノ基を含有する(メタ)アクリレートは1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
(d2)炭素数が1〜3のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレート
炭素数が1〜3のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートとしては、公知のものを使用することができ、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの化合物が挙げられる。これらの中でも2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。炭素数が1〜3のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートは1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
(d3)その他のモノマー
その他のモノマーとしては、アルキル基を含有する(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、アラルキル(メタ)アクリレート、芳香族ビニルモノマーなど公知のモノマーを用いることができる。なお、分散剤の合成に当たっては、モノマーとして、炭素数が4以上のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートを用いないことが好ましい。すなわち、第2モノマー成分には、炭素数が4以上のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートを含まないことが好ましい。
アルキル基を含有する(メタ)アクリレートとしては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜30のアルキル基を有する化合物が挙げられる。
シクロアルキル(メタ)アクリレートとしては、たとえば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの化合物が挙げられる。
アラルキル(メタ)アクリレートとしては、たとえば、ベンジル(メタ)アクリレートなどの化合物が挙げられる。
芳香族ビニルモノマーとしては、たとえば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの化合物が挙げられる。その他、酢酸ビニルなどもモノマーとして用いることができる。
分散剤は、上記(d1)〜(d3)を含む第2モノマー成分を溶剤中で重合させることにより得られるアクリル樹脂である。重合反応の反応場である溶剤としては、アクリル樹脂の重合反応に用いられる公知の溶剤を用いることができる。溶剤としては、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノールなどのアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどのエステル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトンなどが挙げられる。また、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホランなどの非プロトン性極性溶剤を用いることもできる。これらの中でもブチルセロソルブが好ましい。溶剤は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
第2モノマー成分の重合反応のために重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては公知のものを使用でき、たとえば、アゾ化合物、パーオキサイド化合物、ジスルフィド化合物、スルフィド化合物、スルフィン化合物、ニトロソ化合物などが挙げられる。これらの中でも、アゾ化合物、パーオキサイド化合物が好ましい。アゾ化合物の具体例としては、たとえば、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)など、パーオキサイド化合物としては過酸化ベンゾイルなどが挙げられる。これらの重合開始剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。重合開始剤の使用量は特に制限されず、モノマーの種類、重合開始剤自体の種類、使用量などに応じて適宜選択すればよいが、好ましくはモノマーの合計量100重量部に対して0.01〜3重量部である。重合開始剤は、重合反応の進行状況に応じ、時間の間隔を空けて数回程度に分割して重合反応系に添加してもよい。重合反応は、好ましくは溶剤の還流温度下に行われ、3〜20時間程度、好ましくは3〜8時間程度で終了する。
このように重合反応によって得られる分散剤のアクリル樹脂の重量平均分子量は20,000〜80,000であり、好ましくは30,000〜50,000である。重量平均分子量が20,000未満では、塗料組成物における分散性が低下し、80,000を超えると、後述のビーズミルを用いて作製するミルベースの粘度が上昇して作業性が低下し、電着塗装後の硬化時に塗膜のフロー性が低下して平滑性が劣化する。なお、アクリル樹脂の重量平均分子量Mwは主剤のアクリル樹脂と同様にゲルパーミエーション(GPC)法で測定できる。
上記のように重合によって得られた分散剤であるアクリル樹脂のガラス転移点は、0〜50℃である。ガラス転移点が0℃未満では均一電着性が劣り、50℃を越えるとガスピン等、外観に影響が出てしまう。
本発明の電着塗料組成物における分散剤の含有量は、10〜50質量%であり、好ましくは25〜35質量%である。含有量が10質量%未満では分散性に劣り、50質量%を越えると添加過剰となり、それ以上添加しても特性は向上しない。
第2モノマー成分全体に対するジメチルアミノエチルメタクリレートの含有量は、1〜10質量%であることが好ましい。10質量%を越えると、電着塗装時のガス発生により被膜にピンホールが生じる場合がある。ジメチルアミノエチルメタクリレートの含有量を上記の範囲内とすることで、ガスの発生を抑え被膜の外観を向上させることができる。
また、第2モノマー成分全体に対する2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび2−ヒドロキシエチルアクリレートの含有量の和は、40〜60質量%であることが好ましい。40質量%未満では、無機微粒子の分散性の低下が見られ、被膜に曇りが発生する場合がある。第2モノマー成分全体に対する2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび2−ヒドロキシエチルアクリレートの含有量の和を上記の範囲内とすることで、無機微粒子の分散性をさらに向上させ、被膜の曇りの発生を抑えた、より透明度の高い被膜を形成することができる。
(E)他の添加物
本発明の電着塗料組成物は、上記の(A)〜(D)の他にさらに、以下のような添加物を含んでいてもよい。
(e1)光硬化剤
本発明の電着塗料組成物は、さらに光硬化剤を含んでいてもよい。光硬化剤を含むことにより、光照射(特に紫外線照射)による重合反応を促進する。光硬化剤としては、公知のものを用いることができ、たとえば、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどが挙げられる。これらの中でもポリエステルアクリレートが好ましい。光硬化剤は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
(e2)光重合開始剤
本発明の電着塗料組成物は、さらに光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤を含むことによって、電着塗膜を光硬化させる際に、硬化が円滑に進行し、硬化した電着塗膜の機械的強度の向上などがもたらされる。
光重合開始剤としては公知のものを用いることができ、たとえば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテルなどのベンゾイン類、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン類、2−メチル1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、N,N−ジメチルアミノアセトフェノンなどのアミノアセトフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンなどのアントラキノン類、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類、ベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、芳香族のヨードニウム塩、スルホニウム塩およびジアゾニウム塩、ポリシラン化合物、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オンなどのα−アルキルフェノン類などが挙げられる。これらの中でも、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンが好ましい。光重合開始剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
本発明の電着塗料組成物における光重合開始剤の含有量は、0.5〜3.0質量%であり、好ましくは1.0〜1.5質量%である。含有量が0.5質量%未満では光硬化性が低下するおそれであり、3.0質量%を越えると添加過剰となり、それ以上添加しても特性は向上しない。
(e3)着色剤
本発明の電着塗料組成物は、さらに着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、たとえば、無機顔料、有機顔料などがある。無機顔料の具体例としては、たとえば、チタンホワイト(酸化チタン)、カーボンブラック、ベンガラなどの着色顔料、カオリン、タルク、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカ、クレー、シリカなどの体質顔料、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、トリポリリン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム、リンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛などの防錆顔料などが挙げられる。有機顔料の具体例としては、たとえば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、ベンズイミダゾロンエロー、キナクリドンレッド、モノアゾレッド、ボリアゾレッド、またはベリレンレッドなどが挙げられる。顔料は1種を単独で使用できまたは2種以上を使用できる。
本発明の電着塗料組成物における着色剤の含有量は、0.1〜10質量%であり、好ましくは0.5〜3質量%である。
さらに本発明の電着塗料組成物は、たとえば、顔料分散剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの一般的な電着塗料用添加剤の適量を含んでいてもよい。
(F)電着塗料組成物
本発明の電着塗料組成物は、主剤であるアクリル樹脂と、無機微粒子と、水溶性有機溶剤と、分散剤と、必要に応じて他の添加物とを上記の含有量となるように、公知の方法で混合して得ることができる。無機微粒子と、水溶性有機溶剤と、分散剤とを混合し、分散剤を用いて無機微粒子を水溶性有機溶剤中に予め分散させ、その後主剤であるアクリル樹脂や他の添加物とさらに混合するのが好ましい。
無機微粒子と、水溶性有機溶剤と、分散剤との混合は、たとえば、連続式またはバッチ式のビーズミルを用いることが好ましい。ビーズミルを用いて得られる無機微粒子分散混合物と、主剤であるアクリル樹脂や他の添加物との混合は、公知の混合方法で行うことができる。
<水性電着塗料>
本発明の水性電着塗料は、中和剤を含有する水性媒体中に本発明の電着塗料組成物を分散させることによって製造できる。すなわち、本発明の水性電着塗料は、本発明の電着塗料組成物と中和剤とを含み、残部が水性媒体である組成物である。水性媒体は、たとえば、純水、超純水、イオン交換水などの水を用いることができる。
本発明の電着塗料組成物は、カチオン性であるので中和剤としては、公知の酸を用いることができる。酸としては、たとえば、酢酸、蟻酸、プロピオン酸、乳酸などの有機酸、硫酸、リン酸などの無機酸が挙げられる。中和剤は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
水性電着塗料における電着塗料組成物の含有量は、固形分として、水性電着塗料の5〜20質量%、好ましくは8〜15質量%である。5質量%未満または20質量%を超えると、汲み出しによる塗料の損失が多くなる。また、中和剤の含有量は特に制限されず、主剤であるアクリル樹脂の種類および含有量ならびに分散剤であるアクリル樹脂の種類および含有量に応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは本発明の水性電着塗料全量の3〜10質量%、さらに好ましくは4〜6質量%である。3質量%未満では、浴が不安定であり、10質量%を超えると、添加過剰となり、それ以上添加しても特性は向上しない。なお、中和剤は主剤であるアクリル樹脂および分散剤との中和反応によって消失するけれども、反応前における、水性媒体への添加量を含有量とする。
また、(E)他の添加物は、中和剤と同様に水性媒体に含有させてもよい。水性媒体に含有させる場合は、電着塗料組成物は、(E)他の添加物を含有していなくてもよく、一部を電着塗料組成物が含み、残部を水性媒体が含んでいてもよい。
本発明の水性電着塗料は、たとえば、各成分の所定量または適量を混合し、さらに水性媒体を加えて混合し、全量を調整することによって製造できる。本発明の水性電着塗料における好ましい実施形態は、主剤であるアクリル樹脂を4〜6質量%、UV硬化性樹脂を4〜6質量%、無機微粒子を0.5〜1.5質量%、水溶性有機溶剤を5〜10質量%、分散剤を0.5〜2.0質量%、中和剤を0.15〜0.30質量%含み、残部が水である。
<電着塗装>
本発明の水性電着塗料は、電着塗装によって、めっき素材に各種めっきを施した物品、ダイカストなどの表面に電着塗膜を形成するのに好適に使用できる。めっき素材としては、この分野で常用されるものをいずれも使用でき、たとえば、純鉄、炭素鋼、高抗張力鋼(低合金鋼、マルエージング鋼)、磁性鋼、非磁性鋼、高マンガン鋼、ステンレス鋼(マルテンサイト系ステンレス、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、オーステナイト・フェライト系ステンレス、析出硬化型ステンレスなど)、超合金鋼などの鉄系金属、銅および銅合金(無酸素銅、りん青銅、タフピッチ銅、アルミ青銅、ベリリウム銅、高力黄銅、丹銅、洋白、黄銅、快削黄銅、ネバール黄銅など)、鉄・ニッケル合金、ニッケル・クロム合金、ニッケル、クロム、アルミニウムおよびアルミニウム合金、マグネシウムおよびマグネシウム合金、チタン、ジルコニウム、ハフニウムおよびこれらの合金、モリブデン、タングステンおよびこれらの合金、ニオブ、タンタルおよびこれらの合金、合成樹脂類(繊維強化プラスチック(FRP)、繊維強化金属(FRM)、エンジニアリングプラスチックなど)、セラミックス類(アルミナ、ジルコア、ガラス、ソーダガラス、石英ガラス、硼ケイ酸ガラスなど)などが挙げられる。
めっき素材表面に施されるめっきの種類は特に制限されず、この分野で常用されるめっきをいずれも採用できる。たとえば、銅−ニッケル−クロムめっき、ニッケル−ボロン−タングステンめっき、ニッケル−ボロンめっき、黄銅めっき、ブロンズめっきなどの各種合金めっき、金めっき、銀めっき、銅めっき、錫めっき、ロジウムめっき、パラジウムめっき、白金めっき、カドミウムめっき、ニッケルめっき、クロムめっき、黒色クロムめっき、亜鉛めっき、黒色ニッケルめっき、黒色ロジウムめっき、亜鉛めっき、工業用(硬質)クロムめっきなどが挙げられる。また、ダイカストとしては、亜鉛ダイカスト、アルミニウムダイカスト、マグネシウムダイカスト、焼結合金ダイカストなどが挙げられる。
本発明の水性電着塗料を用いる電着塗装は、本発明の水性電着塗料を用いる以外は、従来の電着塗装と同様にして実施できる。たとえば、被処理品に必要に応じて脱脂処理、酸洗処理などを施した後、本発明の水性電着塗料を満たした浴に被処理品を浸漬し、通電を行うことによって、被処理品表面に未硬化の電着塗膜が形成される。この未硬化の電着塗膜が形成された被処理品に紫外線を照射することによって、硬貨反応が開始され、被処理品表面に電着塗膜が形成される。
脱脂処理は、たとえば、被処理品の表面にアルカリ水溶液を供給することにより行われる。アルカリ水溶液の供給は、たとえば、被処理品にアルカリ水溶液を噴霧するかまたは被処理品をアルカリ水溶液に浸漬させることにより行われる。アルカリとしては金属の脱脂に常用されるものを使用でき、たとえば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムなどのアルカリ金属のリン酸塩などが挙げられる。アルカリ水溶液中のアルカリ濃度は、たとえば、処理する金属の種類、被処理金属の汚れの度合いなどに応じて適宜決定される。さらにアルカリ水溶液には、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などの界面活性剤の適量が含まれていてもよい。脱脂は、20〜50℃程度の温度下(アルカリ水溶液の液温)に行われ、1〜5分間程度で終了する。
脱脂後、被処理品は水洗され、次の酸洗工程に供される。その他、酸性浴に浸漬する脱脂、気泡性浸漬脱脂、電解脱脂などを適宜組み合わせて実施することもできる。酸洗処理は、たとえば、被処理品の表面に酸水溶液を供給することにより行われる。酸水溶液の供給は、脱脂処理におけるアルカリ水溶液の供給と同様に、被処理品への酸水溶液の噴霧、被処理品の酸水溶液への浸漬などにより行われる。酸としては金属の酸洗に常用されるものを使用でき、たとえば、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。酸水溶液中の酸濃度は、たとえば、被処理金属の種類などに応じて適宜決定される。酸洗処理は、20〜30℃程度の温度下(酸水溶液の液温)に行われ、15〜60間秒程度で終了する。脱脂処理および酸洗処理のほかに、スケール除去処理、下地処理、防錆処理などを施してもよい。これらの処理の後、被処理品を70〜120℃程度の温度下に乾燥させて次の電着塗装に供する。
電着塗装は、公知の方法に従い、たとえば、本発明の水性電着塗料組成物を満たした通電槽中に被処理品を完全にまたは部分的に浸漬して陽極または陰極とし、通電することにより実施される。電着塗装条件も特に制限されず、被処理品である金属の種類、電着塗装用塗料の種類、通電槽の大きさおよび形状、得られる塗装被処理物の用途などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、通常は、浴温度(電着塗料温度)10〜50℃程度、印加電圧10〜450V程度、電圧印加時間1〜10分程度、水性電着塗料組成物の液温10〜45℃とすればよい。電着塗装が施された被処理品は、通電槽から取り出され、紫外線を照射される。紫外線照射の前に水洗および乾燥を行ってもよい。紫外線の照射量は特に制限されず、塗膜形成成分の種類に応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは200〜5000mJ/cmである。照射量は、照射強度(mJ/cm・s)と照射時間(s)との積であるから、照射強度と照射時間とを適宜選択することによって、所望の照射量を選択できる。紫外線源としては、たとえば、高圧水銀灯、ケミカルランプ、メタルハライドランプなどの一般的な紫外線源を使用できる。このようにして、被処理品の表面に硬化した電着塗膜が形成される。
<実施例>
・主剤の合成例
(主剤A1−1)
攪拌機、冷却器、温度計および滴下管を備える反応器にイソプロピルセルソルブ(IPC)を85.5g、ブチルカルビトール(BCT)を60.0g、ブチルセロソルブ(BC)を42.0g入れ、熱媒体油としてポリエチレングリコール#400を用いるオイルバスで加熱し、溶剤を還流状態にして内温85〜90℃で反応させた。これと同時に、第1モノマー成分として、ジメチルアミノエチルメタクリレートを24.0g、4−ヒドロキシブチルアクリレートを15.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレートを51.0g、2−エチルヘキシルアクリレートを54.0g、シクロヘキシルメタクリレートを75.0g、スチレンを81.0gと、重合開始剤としてアゾビスメチルブチロニトリルを4.5gとを混合攪拌し、重合開始剤が均一に溶解したことを確認した後、この混合液を反応器内に3時間かけて滴下した。滴下終了後、6.0gのブチルカルビトールで滴下管の残存モノマーを洗い流し、滴下終了30分後に、重合開始剤を0.3g秤量して反応器に投入し、以後、30分おきに重合開始剤を0.3gずつ合計3回投入した。3回目の投入終了後3時間還流し、反応を終了した。反応器を冷却し40℃以下になった時点で反応物を取り出し主剤A1−1を得た。
(主剤A1−2)
攪拌機、冷却器、温度計および滴下管を備える反応器にイソプロピルセルソルブ(IPC)を85.5g、ブチルカルビトール(BCT)を60.0g、ブチルセロソルブ(BC)を42.0g入れ、熱媒体油としてポリエチレングリコール#400を用いるオイルバスで加熱し、溶剤を還流状態にして内温85〜90℃で反応させた。これと同時に、第1モノマー成分として、ジメチルアミノエチルメタクリレートを24.0g、4−ヒドロキシブチルアクリレートを33.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレートを33.0g、2−エチルヘキシルアクリレートを54.0g、シクロヘキシルメタクリレートを75.0g、スチレンを81.0gと、重合開始剤としてアゾビスメチルブチロニトリルを4.5gとを混合攪拌し、重合開始剤が均一に溶解したことを確認した後、この混合液を反応器内に3時間かけて滴下した。滴下終了後、6.0gのブチルカルビトールで滴下管の残存モノマーを洗い流し、滴下終了30分後に、重合開始剤を0.3g秤量して反応器に投入し、以後、30分おきに重合開始剤を0.3gずつ合計3回投入した。3回目の投入終了後3時間還流し、反応を終了した。反応器を冷却し40℃以下になった時点で反応物を取り出し主剤A1−2を得た。
(主剤A2−1)
攪拌機、冷却器、温度計および滴下管を備える反応器にイソプロピルセルソルブ(IPC)を85.5g、ブチルカルビトール(BCT)を60.0g、ブチルセロソルブ(BC)を42.0g入れ、熱媒体油としてポリエチレングリコール#400を用いるオイルバスで加熱し、溶剤を還流状態にして内温85〜90℃で反応させた。これと同時に、第1モノマー成分として、ジメチルアミノエチルメタクリレートを30.0g、4−ヒドロキシブチルアクリレートを45.0g、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートを30.0g、2−エチルヘキシルアクリレートを45.0g、メチルメタクリレートを105.0g、スチレンを45.0gと、重合開始剤としてアゾビスメチルブチロニトリルを4.5gとを混合攪拌し、重合開始剤が均一に溶解したことを確認した後、この混合液を反応器内に3時間かけて滴下した。滴下終了後、6.0gのブチルカルビトールで滴下管の残存モノマーを洗い流し、滴下終了30分後に、重合開始剤を0.3g秤量して反応器に投入し、以後、30分おきに重合開始剤を0.3gずつ合計3回投入した。3回目の投入終了後3時間還流し、反応を終了した。反応器を冷却し40℃以下になった時点で反応物を取り出し主剤A2−1を得た。
(主剤A2−2)
攪拌機、冷却器、温度計および滴下管を備える反応器にイソプロピルセルソルブ(IPC)を85.5g、ブチルカルビトール(BCT)を60.0g、ブチルセロソルブ(BC)を42.0g入れ、熱媒体油としてポリエチレングリコール#400を用いるオイルバスで加熱し溶剤を還流状態にして内温85〜90℃で反応させた。これと同時に、第1モノマー成分として、ジメチルアミノエチルメタクリレートを30.0g、4−ヒドロキシブチルアクリレートを45.0g、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートを30.0g、2−エチルヘキシルアクリレートを60.0g、メチルメタクリレートを105.0g、スチレンを30.0gと、重合開始剤としてアゾビスメチルブチロニトリルを4.5gとを混合攪拌し、重合開始剤が均一に溶解したことを確認した後、この混合液を反応器内に3時間かけて滴下した。滴下終了後、6.0gのブチルカルビトールで滴下管の残存モノマーを洗い流し、滴下終了30分後、重合開始剤を0.3g秤量して反応器に投入し、以後、30分おきに重合開始剤を0.3gずつ合計3回投入した。3回目の投入終了後3時間還流し、反応を終了した。反応器を冷却し40℃以下になった時点で反応物を取り出し主剤A2−2を得た。
(主剤B1−1)
攪拌機、冷却器、温度計および滴下管を備える反応器にイソプロピルセルソルブ(IPC)を85.5g、ブチルカルビトール(BCT)を60.0g、ブチルセロソルブ(BC)を42.0g入れ、熱媒体油としてポリエチレングリコール#400を用いるオイルバスで加熱し、溶剤を還流状態にして内温85〜90℃で反応させた。これと同時に、第1モノマー成分として、ジメチルアミノエチルメタクリレートを24.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを6.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレートを60.0g、2−エチルヘキシルアクリレートを54.0g、シクロヘキシルメタクリレートを75.0g、スチレンを81.0gと、重合開始剤としてアゾビスメチルブチロニトリルを4.5gとを混合攪拌し、重合開始剤が均一に溶解したことを確認した後、この混合液を反応器内に3時間かけて滴下した。滴下終了後、6.0gのブチルカルビトールで滴下管の残存モノマーを洗い流し、滴下終了30分後、重合開始剤を0.3g秤量して反応器に投入し、以後、30分おきに重合開始剤を0.3gずつ合計3回投入した。3回目の投入終了後3時間還流し、反応を終了した。反応器を冷却し40℃以下になった時点で反応物を取り出し主剤B1−1を得た。
(主剤B1−2)
攪拌機、冷却器、温度計および滴下管を備える反応器にイソプロピルセルソルブ(IPC)を85.5g、ブチルカルビトール(BCT)を60.0g、ブチルセロソルブ(BC)を42.0g入れ、熱媒体油としてポリエチレングリコール#400を用いるオイルバスで加熱し、溶剤を還流状態にして内温85〜90℃で反応させた。これと同時に、第1モノマー成分として、ジメチルアミノエチルメタクリレートを24.0g、4−ヒドロキシブチルアクリレートを66.0g、2−エチルヘキシルアクリレートを54.0g、シクロヘキシルメタクリレートを75.0g、スチレンを81.0gと、重合開始剤としてアゾビスメチルブチロニトリルを4.5gとを混合攪拌し、重合開始剤が均一に溶解したことを確認した後、この混合液を反応器内に3時間かけて滴下した。滴下終了後、6.0gのブチルカルビトールで滴下管の残存モノマーを洗い流し、滴下終了30分後、重合開始剤を0.3g秤量して反応器に投入し、以後、30分おきに重合開始剤を0.3gずつ合計3回投入した。3回目の投入終了後3時間還流し、反応を終了した。反応器を冷却し40℃以下になった時点で反応物を取り出し主剤B1−2を得た。
(主剤B2−1)
攪拌機、冷却器、温度計および滴下管を備える反応器にイソプロピルセルソルブ(IPC)を85.5g、ブチルカルビトール(BCT)を60.0g、ブチルセロソルブ(BC)を42.0g入れ、熱媒体油としてポリエチレングリコール#400を用いるオイルバスで加熱し、溶剤を還流状態にして内温85〜90℃で反応させた。これと同時に、第1モノマー成分として、ジメチルアミノエチルメタクリレートを30.0g、4−ヒドロキシエチルアクリレートを45.0g、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートを30.0g、2−エチルヘキシルアクリレートを45.0g、メチルメタクリレートを105.0g、スチレンを45.0gと、重合開始剤としてアゾビスメチルブチロニトリルを4.5gとを混合攪拌し、重合開始剤が均一に溶解したことを確認した後、この混合液を反応器内に3時間かけて滴下した。滴下終了後、6.0gのブチルカルビトールで滴下管の残存モノマーを洗い流し、滴下終了30分後、重合開始剤を0.3g秤量して反応器に投入し、以後、30分おきに重合開始剤を0.3gずつ合計3回投入した。3回目の投入終了後3時間還流し、反応を終了した。反応器を冷却し40℃以下になった時点で反応物を取り出し主剤B2−1を得た。
(主剤B2−2)
攪拌機、冷却器、温度計および滴下管を備える反応器にイソプロピルセルソルブ(IPC)を85.5g、ブチルカルビトールを60.0g、ブチルセロソルブを42.0g入れ、熱媒体油としてポリエチレングリコール#400を用いるオイルバスで加熱し溶剤を還流状態にして内温85〜90℃で反応させた。これと同時に、第1モノマー成分として、ジメチルアミノエチルメタクリレートを30.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレートを45.0g、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートを30.0g、2−エチルヘキシルアクリレートを99.0g、メチルメタクリレートを60.0g、スチレンを36.0gと、重合開始剤としてアゾビスメチルブチロニトリルを4.5gとを混合攪拌し、重合開始剤が均一に溶解したことを確認した後、この混合液を反応器内に3時間かけて滴下した。滴下終了後、6.0gのブチルカルビトールで滴下管の残存モノマーを洗い流し、滴下終了30分後、重合開始剤を0.3g秤量して反応器に投入し、以後、30分おきに重合開始剤を0.3gずつ合計3回投入した。3回目の投入終了後3時間還流し、反応を終了した。反応器を冷却し40℃以下になった時点で反応物を取り出し主剤B2−2を得た。
・分散剤の合成例
(分散剤C1)
攪拌機、冷却器、温度計および滴下管を備える反応器にブチルセロソルブを282.0g入れ、熱媒体油としてポリエチレングリコール#400を用いるオイルバスで加熱し、溶剤を還流状態にして内温85〜90℃で反応させた。これと同時に、第2モノマー成分として、ジメチルアミノエチルメタクリレートを30.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレートを30.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを120.0g、
2−エチルヘキシルアクリレートを60.0g、メチルメタクリレートを30.0g、スチレンを30.0gと、重合開始剤としてアゾビスメチルブチロニトリルを4.5gとを混合攪拌し、重合開始剤が均一に溶解したことを確認した後、この混合液を反応器内に3時間かけて滴下した。滴下終了後、6.0gのブチルセロソルブで滴下管の残存モノマーを洗い流し、滴下終了30分後、重合開始剤を0.3g秤量して反応器に投入し、以後、30分おきに重合開始剤を0.3gずつ合計3回投入した。3回目の投入終了後3時間還流し、反応を終了した。反応器を冷却し40℃以下になった時点で反応物を取り出し分散剤C1を得た。
(分散剤D1)
第2モノマー成分として、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを30.0g、2−エチルヘキシルアクリレートを75.0g、メチルメタクリレートを75.0g、スチレンを60.0g用いること以外は、分散剤C1と同様にして分散剤D1を得た。
(分散剤D2)
第2モノマー成分として、2−ヒドロキシエチルアクリレートを45.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを60.0g、メチルメタクリレートを60.0g、スチレンを45.0g用いること以外は、分散剤C1と同様にして分散剤D2を得た。
(分散剤D3)
第2モノマー成分として、ジメチルアミノエチルメタクリレートを45.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレートを15.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを135.0g、スチレンを15.0g用いること以外は、分散剤C1と同様にして分散剤D3を得た。
(分散剤D4)
第2モノマー成分として、ジメチルアミノエチルメタクリレートを60.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを150.0g、メチルメタクリレートを15.0g、スチレンを15.0g用い、2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いないこと以外は、分散剤C1と同様にして分散剤D4を得た。
上記のように合成した主剤および分散剤を用いて、以下のように水性電着塗料を製造した。
水性電着塗料の製造は、ビーズミル(アイメックス社製 横型連続式レディーミルRMH−03)に、ヒュームドシリカ(一次粒子平均径約30nm、日本アエロジル株式会社製 AEROSIL 50)を150.0g、分散剤を258.0g、ブチルセロソルブを590.0g投入し、直径1mmのジルコニアビーズを用い、周速7m/sで60分間撹拌してミルベースを得た。主剤を83.3g、中和剤(乳酸)を2.0g、光硬化剤(東亜合成株式会社製 アロニックスM7100)を50.0g、光重合開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)を1.5g、溶剤を15.0g(ブチルセロソルブ5.0g、ブチルカルビトール10.0g)攪拌機に投入し撹拌混合して1L建浴分の電着ワニスを得た。さらにヒュームドシリカの含有量が10g/Lとなるように、ミルベースを加え、攪拌機で撹拌混合した。次にイオン交換水を少しずつ加え、希釈し水性電着塗料を得た。得られた水性電着塗料1L中の各成分の配合について表1に示す。
Figure 0006046227
水性電着塗料を、基材(真鍮板)に対して、電着条件(電圧50〜100V、60秒間、25℃)で電着塗装を行い、厚み12μmの塗膜を得た。
・評価方法
(1)密着性
密着性は、碁盤目テープハクリ法(カッターガイド1mm幅 マス数100)によって評価し、マス目が100/100残りかつ、付着面積が80%以上のものを○とし、マス目が100/100残りかつ、付着面積が50%以上80%未満のものを△とし、マス目が99/100以下または、100/100であっても付着面積が50%未満のものを×とした。
(2)耐摩耗性
耐摩耗性は、スチールウールによる往復摩耗試験(荷重1.0kg スチールウール:日本スチールウール株式会社製 ボンスター#0000)によって評価し、下地が見え始める回数が2000回以上であれば○とし、500回以上2000回未満であれば△とし、500回未満であれば×とした。
(3)外観
外観は、目視によって評価し、平滑で透明な塗膜であれば○とし、表面に僅かな曇りが見られれば△とし、表面に曇りが見られれば×とした。
(4)浴安定性
浴安定性は、静置状態でのシリカの沈降の有無によって評価し、静置開始から48時間後にシリカの沈降が全くないものを○とし、沈降が僅かのものを△とし、沈降が明らかに見られたものを×とした。
(5)ガラス転移点(Tg)
主剤のガラス転移点(Tg[℃])は、モノマーの既知のホモポリマーTgにより計算により求めた。
主剤および分散剤の組合わせおよび評価結果について、実施例1〜8を表2に示し、比
較例1〜4を表3に示す。
Figure 0006046227
Figure 0006046227

Claims (6)

  1. ガラス転移点が3〜15℃であるアクリル樹脂であって、アミノ基を含有する(メタ)アクリレートおよび炭素数が4〜6のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートを含む第1モノマー成分が重合して成るアクリル樹脂と、
    無機微粒子と、
    水溶性有機溶剤と、
    無機微粒子を分散させる分散剤であって、アミノ基を含有する(メタ)アクリレートおよび炭素数が1〜3のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートを含む第2モノマー成分が重合して成る分散剤と、
    を含むことを特徴とする電着塗料組成物。
  2. 第1モノマー成分に含まれる、アミノ基を含有する(メタ)アクリレートは、ジメチルアミノエチルメタクリレートであり、
    第1モノマー成分に含まれる、炭素数が4〜6のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートは、4−ヒドロキシブチルアクリレートであることを特徴とする請求項1記載の電着塗料組成物。
  3. 無機微粒子は、ヒュームドシリカであることを特徴とする請求項1または2記載の電着塗料組成物。
  4. 第2モノマー成分に含まれる、アミノ基を含有する(メタ)アクリレートは、ジメチルアミノエチルメタクリレートであり、
    第2モノマー成分に含まれる、炭素数が1〜3のヒドロキシアルキル基を含有する(メタ)アクリレートは、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび2−ヒドロキシエチルアクリレートであり、
    第2モノマー成分全体に対するジメチルアミノエチルメタクリレートの含有量が1〜10質量%であり、
    第2モノマー成分全体に対する2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよび2−ヒドロキシエチルアクリレートの含有量の和が40〜60質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電着塗料組成物。
  5. 光硬化剤と、重合開始剤と、をさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の電着塗料組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の電着塗料組成物と、
    中和剤と、
    水性溶媒と、を含むことを特徴とする水性電着塗料。
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