JP6045259B2 - 螺旋溝加工方法 - Google Patents

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本発明は、長尺棒状のワーク表面に対して螺旋溝を加工するための方法に関するものである。
長尺棒状のワーク表面に対して螺旋溝を加工するための方法として、従来からワーリング加工なる方法が知られている。このワーリング加工は、主として旋回ねじ切り加工に用いられる方法であり、かかる方法を実現するためのワーリング加工装置は、円環形状をなす工具ホルダーの周囲にバイトホルダーを介して複数のバイトを内周側に向けて取付ける一方、その内周側に加工対象物である長尺棒状のワークを偏心させて位置させ、工具ホルダーをワークよりも高速で同じ方向に回転させつつ、このワークにバイトを当ててねじ切り加工あるいはウォーム加工等を行う構成としたものである(例えば、下記特許文献1参照)。そして、従来公知のワーリング加工方法によれば、高速で精度の良い螺旋溝加工が可能であるとされていた。
特開平10−58233号公報
しかしながら、上述した従来公知のワーリング加工方法では、螺旋溝の有効径とリード角に応じてバイト位置を調整しなければならないので、加工しようとする螺旋溝の形状が変更されるごとに段取り作業が発生してしまうという課題が存在していた。
また、ワーリング加工方法では、バイトホルダーの干渉などの問題によって、大リードの螺旋溝を加工するには種々の制約が存在していた。
一方、ワークに対して外周刃や平形砥石を接触させることで螺旋溝を加工する外周刃切削方法や研削方法が従来から存在しているが、この種の従来から知られる外周刃切削及び研削方法は、ワーリング加工に比べて加工効率が悪かった。また、外周刃や平形砥石とワークは断続接触するが、これら従来の加工方法には、発熱に起因した加工精度の低下などの課題も存在していた。
本発明は、上述した従来技術に存在する課題の存在に鑑みて成されたものであり、その目的は、ワーリング加工方法や外周刃切削方法等の従来技術に比べて加工効率を悪化させることがなく、しかも、段取り性に優れるとともに加工精度が高く、大リードの螺旋溝加工が可能であり、高い加工歩留まりを実現可能な新たな螺旋溝加工方法を提供することにある。また、本発明は、前記目的を実現可能な新たな螺旋溝加工方法によって形成されるねじ軸と、このねじ軸を備える転動体ねじ装置を提供することを目的とするものである。
本発明に係る螺旋溝加工方法は、長尺棒状のワークの軸心線を回転中心として当該ワークを軸心線周りで回転可能とするとともに、前記ワークの軸心線に対して鉛直方向に直交する仮想線を想定し、当該仮想線を前記ワークの軸心線に対して水平方向にシフトさせ、シフト後の仮想線を工具ホルダーの回転中心に設定し、前記工具ホルダーを回転運動させるとともに前記仮想線に沿って前記ワーク方向に移動させることで、前記工具ホルダーに設置された工具が前記ワークの所定深さまで加工を行うように設置し、かかる設置状態から、前記ワークを回転させながら前記工具ホルダーを前記ワークの軸方向と平行方向に相対移動させることで、前記ワークの表面に対して螺旋溝を加工形成する螺旋溝加工方法であって、前記ワークの軸心線に対して鉛直方向に直交する仮想線を想定し、当該仮想線をチルトさせるとともに水平方向にシフトさせ、チルト及びシフト後の仮想線が、前記工具ホルダーの回転中心と重畳するように設定されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、ワーリング加工方法や外周刃切削方法等の従来技術に比べて加工効率を悪化させることがなく、しかも、段取り性に優れるとともに加工精度が高く、大リードの螺旋溝加工が可能であり、高い加工歩留まりを実現可能な新たな螺旋溝加工方法を提供することができる。また、本発明によれば、このような新たな螺旋溝加工方法によって形成されるねじ軸と、このねじ軸を備える転動体ねじ装置を提供することができる。
従来技術に係る外周刃切削方法を説明するための図であり、図中の分図(a)が外周刃切削方法の模式図を、分図(b)がワークの加工状態を説明するための図である。 本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法を説明するための図であり、図中の分図(a)がフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法の模式図を、分図(b)がワークの加工状態を説明するための図である。 本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法の主要な技術思想を説明するための図であり、図中の分図(a)がワークWとフェイスミル20を上方から見た場合の模式図であり、分図(b)がワークWとフェイスミル20を側方から見た場合の模式図である。 本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法を整理した図である。 一刃当たりの切削痕の状態について、従来技術に係る外周刃切削方法と本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法とを比較したシミュレーション結果を示す図である。 工具ホルダーの水平方向でのシフト量である距離dの違いが、加工痕の形状の違いとしてどの様に表われるかを確認したシミュレーション結果を示す図である。 一刃当たりの切削痕を連続して形成することで、どのような螺旋溝が形成されるのかについてのシミュレーション結果を示す図である。 本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法を具体的に実現するための装置構成を示す概念図である。 図8で示した装置構成を具体化した装置の外観図である。 工具ホルダー81に対して設置される工具にカップ砥石91が採用された場合を例示する図である。 本実施形態に係る転動体ねじ装置の一形態を例示する斜視図である。 図11において示した本実施形態に係る転動体ねじ装置の構成部材であるナット部材を示す斜視図である。 図11において示した本実施形態に係る転動体ねじ装置が有するリターンパイプとねじ軸との設置関係を説明するための側面図である。
新たな螺旋溝加工方法を創案するに当たり、背景技術の欄で説明したように、従来技術であるワーリング加工方法や外周刃切削方法等には、段取り性や加工精度、大リードの螺旋溝加工の際の制約、低い加工歩留まり等の課題が存在していた。したがって、これら種々の課題を解決可能な螺旋溝加工方法の実現が求められていた。そして、発明者らは、新たな螺旋溝加工方法を創案するに当たり、種々の検討を行った結果、フェイスカッター方式によって螺旋溝を加工できないか、との着想を得た。まずは、その着想の過程を図1及び図2を用いて説明する。ここで、図1は、従来技術に係る外周刃切削方法を説明するための図であり、図中の分図(a)が外周刃切削方法の模式図を、分図(b)がワークの加工状態を説明するための図である。また、図2は、本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法を説明するための図であり、図中の分図(a)がフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法の模式図を、分図(b)がワークの加工状態を説明するための図である。
図1に示すように、従来技術に係る外周刃切削方法では、ワークWの回転軸心線Xに対して鉛直方向に直交する仮想線Yの位置に外周刃カッタ10を当てることで、ワークWの表面に対する切削加工が行われていた。この場合、ワークWの表面に形成される加工痕は、ワークWと外周刃カッタ10という円弧同士が重なった部分となるので、一刃当たりの切削痕の切削長さLは、比較的短くならざるを得なかった。しかるに、ワーリング工具では内周刃切削となるため、一刃当たりの加工痕長さは大幅に長くなり、結果として一刃当たりの送り量を大きくしても平滑な切削面を形成することができている。これは言い換えれば、平滑な切削面を得るためには、切刃の一刃当たりの送り量を極めて小さくする必要があることを示している。したがって、従来技術に係る外周刃切削方法は、加工効率の悪い方法であると言わざるを得なかった。また、この加工痕は、二つの円弧の重なりによって形成されるものなので、リード角を持って形成される螺旋溝を形成するには加工効率が悪くならざるを得ないものであることが想像できた。さらに、従来技術に係る外周刃切削方法では、外周刃カッタ10が断続的にワークWの表面に接触しながら切削加工を行うので、発熱等の問題から加工精度の向上を阻害する要因が存在していた。
上記した従来技術に係る外周刃切削方法の問題点を整理していく過程で、発明者らは、図2に示すようなフェイスカッター方式に基づく螺旋溝の加工方法が、上述した従来の課題を解決する上で好ましい方法ではないかとの着想を得た。すなわち、フェイスカッター方式による螺旋溝加工方法とは、図2に示すように、ワークWの表面に沿うような方向でフェイスミル20を回転させる方式であり、その加工痕は、図2中の分図(b)で示すように、フェイスミル20の概略矩形平面とワークWの円弧との重なり部分となる。したがって、本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法の場合には、一刃当たりの切削痕の切削長さLが、従来技術に係る外周刃切削方法の場合に比べて非常に長いものとなる。このことから、フェイスカッター方式による螺旋溝加工方法は、加工効率が非常に高い加工方法であることが分かる。
また、発明者らは、加工しようとしている螺旋溝がリード角を持っていることに着目し、フェイスミル20の位置を、ワークWの回転軸心線Xに対して鉛直方向に直交する仮想線Yの位置から水平方向にシフトさせることを創案した。ここで、図3を用いることで、フェイスミル20をワークWに対して水平方向にシフトさせた目的を説明する。なお、図3は、本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法の主要な技術思想を説明するための図であり、図中の分図(a)がワークWとフェイスミル20を上方から見た場合の模式図であり、分図(b)がワークWとフェイスミル20を側方から見た場合の模式図である。
図3中の分図(a)で示すように、ワークWの軸心線Xに対してフェイスミル20の中心位置をワークWに対して水平方向にシフトさせると、フェイスミル20は、その中心位置からずれた位置がワークWの表面と接触することとなる。すると、フェイスミル20によってワークWに形成される加工痕は、見掛けのリード角θを持った傾きを有する加工痕となる。したがって、加工しようとする螺旋溝のリード角に対応するように見掛けのリード角θを設定できれば、非常に効率よく螺旋溝を加工することができる。なお、フェイスミル20を用いて螺旋溝の加工を行う場合には、フェイスミル20の下方外周縁に対して1個又は複数個のフェイスカッターを設けることを想定しているので、図3中の分図(b)で示すように、フェイスミル20の回転軸Yをチルトさせることで、好適に加工を行うことができる。また、このようにフェイスミル20をチルトさせることで、フェイスミル20の周面の一部、すなわちフェイスカッターを一定の間をおいてワークWに接触させることができるので、例えばフェイスミル20の周面に対して複数のバイトを設置すれば、これら複数のバイトが順々に加工を繰り返すことになるので、一部のバイトに加工熱が蓄積されることがない。したがって、本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法によれば、従来技術に比べて加工熱の影響を排除できるので、精度の高い螺旋溝加工が可能となる。
以上の検討から、発明者らは、本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法を完成させた。その内容について図4を用いて整理すると、本実施形態に係る螺旋溝加工方法では、長尺棒状のワークWの軸心線Xを回転中心として当該ワークWを軸心線周りで回転可能とするとともに、このワークWの軸心線Xに対して鉛直方向に直交する仮想線Yを想定し、当該仮想線YをワークWの軸心線Xに対して水平方向(本実施形態では、ワークWの回転方向Rと同一方向)に距離dだけ矢印Iの方向にシフトさせ、シフト後の仮想線Yをさらに角度αだけ矢印IIの方向にチルトさせ、チルト後の仮想線Yが工具ホルダーの回転中心と重畳するように設定する。この工具ホルダーには、複数のフェイスカッターが設置されることで、フェイスミル20が形成される。そして、工具ホルダーを矢印Rの方向に回転運動させるとともに仮想線Yに沿ってワークWに接近するようにワーク方向に移動させることで、工具ホルダーに設置されたフェイスカッターがワークWの所定深さまで加工を行うように設置する。かかる設置状態から、ワークWを矢印Rの方向に回転させながら工具ホルダーをワークWの軸方向(X)と平行方向に(すなわち、矢印Mの方向に)相対移動させることで、ワークWの表面に対して螺旋溝を加工形成することが可能となる。
このようなフェイスカッター方式による螺旋溝加工方法によれば、高い加工効率と高精度の螺旋溝加工が実現できる。また、図1と図2の対比にも表れるように、本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法は、従来技術に係る外周刃切削方法の場合に比べてワークWの広い範囲、すなわちワークWの端部近傍までを加工することが可能であるので、高い加工歩留まりを実現可能であると予想できる。かかる作用効果は、例えばワークWに段差形状が存在するような場合においても、本実施形態によれば当該段差形状の近傍まで加工できることを示しており、本実施形態が従来技術に比べて非常に優れていることを表している。さらに、本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法は、ワークWとフェイスミル20との相対的な位置関係を調整することであらゆる形状の螺旋溝をも加工することが可能である。特に、従来のワーリング加工方法では、バイトホルダーの干渉などの問題によって、大リードの螺旋溝を加工することに種々の制約が存在していたが、本実施形態によれば、ワーリング加工のようにワークWの外周径を基準とせず、ワークWとフェイスミル20との相対的な位置関係の調整によって大リードの螺旋溝を含む所望の螺旋溝が加工形成できるので、加工の自由度が非常に高い加工方法であるということができる。また、ワークWとフェイスミル20との相対的な位置関係の調整によって加工を行うことにより、本実施形態に係る螺旋溝加工方法は、例えば多条溝を容易に加工できる点において優れている。
次に、発明者らは、以上説明した本実施形態を具体的に実現するために、まずはシミュレーションを行うことで本実施形態の方法によって形成される螺旋溝形状の検証を行うこととした。シミュレーションの条件を、表1に示す。
Figure 0006045259
発明者らは、初めに、一刃当たりの切削痕の状態について、従来技術に係る外周刃切削方法と本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法とを比較した。その結果を図5に示す。図5において、紙面左側の切削痕が従来技術に係る外周刃切削方法によるものであり、紙面右側の切削痕が本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法によるものである。なお、本シミュレーションでは、円弧状切刃からなるフェイスカッターを装着して螺旋溝加工を行うことを想定している。そして、図5からも明らかであるが、本実施形態に係るフェイスカッター方式に基づく一刃当たりの切削痕は、湾曲した三日月形の切削痕形状を呈することが判明した。したがって、この湾曲した三日月形状の曲率を利用し、三日月形状をした切削痕を連続して形成すれば、直線状に形成される外周刃切削方法に基づく切削痕よりも、螺旋溝形状を効率良く形成できることが予想できた。
次に、発明者らは、工具ホルダーの水平方向でのシフト量である距離dの違いが、加工痕の形状の違いとしてどの様に表われるかを確認した。その結果を図6に示す。図6に示すように、本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法による切削痕は、工具ホルダーの水平方向でのシフト量である距離dが大きくなるほど、ワークWの軸線方向に対する傾きを増すとともに、その切削痕の面積も大きくなることが明らかとなった。この結果から、工具ホルダーの水平方向でのシフト量については、加工しようとする螺旋溝のリード角等の形状条件に応じて決定すればよいことが判明した。このことは、本実施形態によれば、工具ホルダーの水平方向でのシフト量を変化させることで、種々の螺旋溝を加工形成できることを示している。
最後に、発明者らは、上述した一刃当たりの切削痕を連続して形成することで、どのような螺旋溝が形成されるのかについてのシミュレーションを行った。なお、連続させる加工痕のピッチは、表1に示すように、2mm間隔とした。その結果を図7に示す。ここで、図7では、上段に本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法の場合のシミュレーション結果が示されており、下段に従来技術に係る外周刃切削方法の場合のシミュレーション結果が示されている。また、シミュレーションは、図7の紙面左側に示すように加工痕を5回連続して形成した場合と、紙面中央に示すように加工痕を200回連続して形成した場合とを行った。なお、紙面右側には、シミュレーションで得られた加工溝の形状が拡大して示されている。
図7に示すように、湾曲した三日月形の切削痕形状を連続させることで、好適な螺旋溝形状を形成可能であることが明らかとなった。また、図7の紙面右側に示された加工溝の拡大図に示されるように、本実施形態の加工痕の重なりのピッチは、従来技術の場合に比べて広くなっており、このことからも、本実施形態の方法が効率の良い加工方法であることが示されている。なお、螺旋溝の形状やリード角などの形状については、ワークWと工具ホルダーの相対的な移動条件や回転条件、フェイスカッターの形状等を任意に選択すればよく、本実施形態の方法によれば、あらゆる螺旋溝形状を実現することが可能であることが明白となった。
以上説明したシミュレーション結果から、発明者らは、本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法が有効であることを確認した。そこで、次に、発明者らは、本実施形態の方法を具体的に実現するための装置構成を具体化した。その具体的構成を図8及び図9に示す。ここで、図8は、本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法を具体的に実現するための装置構成を示す概念図である。また、図9は、図8で示した装置構成を具体化した加工装置の外観図である。
図8に示すように、この装置では、フェイスミルが、工具ホルダー81と、この工具ホルダー81の下方外周縁に設置される複数のフェイスカッター82とによって構成されている。フェイスカッター82の形状は、形成される螺旋溝の溝形状に応じて選択される。なお、図8に示す装置では、フェイスカッター82がゴシックアーチ形状をした切刃として形成されており、先に説明したシミュレーションと同様のゴシックアーチ断面を有する螺旋溝の溝形状を形成するようにした。また、工具ホルダー81の傾斜角βは、上述したチルト角度αと同一角度となる。この傾斜角βの存在によって、複数のフェイスカッター82が好適な状態で一定の間隔を空けながら連続的にワークWに対して切削加工を実施できることとなる。
そして、図9に示す装置を用いて実際にワークWに対して螺旋溝を形成したところ、実機による螺旋溝の形状は、上述したシミュレーションの結果と非常によく一致することが確認できた。また、図9に示す実機による螺旋溝加工を行うことで、本実施形態の効果として予想されていた、ワーリング加工方法や外周刃切削方法等の従来技術に比べて加工効率を悪化させることがなく、しかも、段取り性に優れるとともに加工精度が高く、大リードの螺旋溝加工が可能であり、高い加工歩留まりを実現可能であるという効果が、現実に実現可能であることを確認できた。
以上、本発明方法の好適な実施形態について説明したが、本発明方法の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
例えば、上述した本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法では、工具ホルダーの回転中心軸線である仮想線Yのチルト方向は、ワークWに対する工具ホルダーの相対移動方向Mと同一方向であった。また、工具ホルダーの回転中心軸線である仮想線Yのシフト方向は、ワークWの回転方向Rと同一方向であった。しかしながら、仮想線Yのチルト方向やシフト方向については、上述した実施形態とは逆方向であっても本実施形態の方法を実現可能であり、仮想線Yのチルト及びシフト方向については、あらゆる組み合わせを採用することが可能である。
また、上述した本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法では、工具ホルダー81に対して複数のフェイスカッター82を設置した場合を例示したが、フェイスカッター82の個数は1個でもよく、何個であってもよい。また、工具ホルダー81に対して設置される工具はフェイスカッター82には限られず、例えば、図10で例示するように、電着CBN砥石やビト砥石などのカップ砥石91を設置することも可能である。したがって、フェイスミルで螺旋溝を切削加工した後に、フェイスカッター82にカップ砥石91を装着することで、螺旋溝を研削加工することもできる。工具にカップ砥石91を採用することで、フェイスカッター82の場合に比べて工具ホルダー81を高速回転させて加工することや、クーラントを不要とするドライ研削加工などが可能となる。
さらに、図9で示すワークWが工具(フェイスカッター82)から加工を受ける箇所とは逆側の箇所には、ワークWを支持するためのワーク支持手段を設けることが可能である。本実施形態の方法を実現する装置構成であれば、従来技術では不可能であったワークWの加工点に対して振れ止め機能を発揮できるワーク支持手段を設けることが可能となるので、加工中にワークWにビビリ等の不具合が発生することがない。したがって、本実施形態の方法によれば、ワーリング加工方法等の従来技術に比べて非常に高い加工精度を実現することが可能である。
またさらに、上述した本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法では、1条ねじとしての螺旋溝を形成した場合を例示したが、本発明方法によれば、2条ねじ、3条ねじについても切削可能であり、さらに、螺旋溝の方向についても、右ねじ及び左ねじのいずれも切削可能である。
なお、上述した本実施形態に係るフェイスカッター方式での螺旋溝加工方法によって形成された螺旋溝を有するワークWについては、転動体ねじ装置を構成するねじ軸として好適に用いられることが可能である。そこで、次に、上述した本実施形態の方法によって形成された螺旋溝を備えるねじ軸の適用例を、図11、図12及び図13を用いて説明する。
ここで、図11は、本実施形態に係る転動体ねじ装置の一形態を例示する斜視図である。また、図12は、図11において示した本実施形態に係る転動体ねじ装置の構成部材であるナット部材を示す斜視図であり、図13は、図11において示した本実施形態に係る転動体ねじ装置が有するリターンパイプとねじ軸との設置関係を説明するための側面図である。
図11〜図13に例示されるように、本実施形態に係る転動体ねじ装置は、外周面に螺旋状の転動体転走溝61aを有するねじ軸61と、内周面に転動体転走溝61aと対向する螺旋状の負荷転走溝63aを有するナット部材63と、転動体転走溝61aと負荷転走溝63aとによって形成される負荷転走路に転動自在に設置される複数の転動体としてのボール65とを備えている。さらに、本実施形態に係る転動体ねじ装置は、ナット部材63に嵌め込まれたリターンパイプ67によって負荷転走路の一端と他端とを連結する構成を有しており、このリターンパイプ67によって、負荷転走路内を転がる複数のボール65は、無限循環できるようになっている。したがって、本実施形態に係る転動体ねじ装置においては、ねじ軸61のナット部材63に対する相対的な回転運動に伴って、ナット部材63がねじ軸61に対して相対的に往復運動することが可能となっている。
そして、このような転動体ねじ装置を構成するねじ軸61の転動体転走溝61aを、上述した本発明方法で形成することが可能である。本発明方法によれば、ワーリング加工方法や外周刃切削方法等の従来技術に比べて加工精度が高く、大リードの螺旋溝加工が可能であり、高い加工歩留まりを実現可能であるので、案内及び駆動精度が高く、価格競争力の高い転動体ねじ装置を提供することが可能となる。
なお、図11〜図13に例示した本実施形態に係る転動体ねじ装置は、転動体にボール65を用いた場合を例示したが、転動体にはローラやコロなどの他の転動体も適用可能であり、そのようなあらゆる転動体に対して適用可能な転動体転走溝を持つねじ軸を本発明方法で加工形成可能であることは、上述した本実施形態の方法の内容から明らかである。
W ワーク、20 フェイスミル、61 ねじ軸、61a ボール転走溝、63 ナット部材、63a 負荷転走溝、65 ボール、67 リターンパイプ、81 工具ホルダー、82 フェイスカッター。

Claims (4)

  1. 長尺棒状のワークの軸心線を回転中心として当該ワークを軸心線周りで回転可能とするとともに、前記ワークの軸心線に対して鉛直方向に直交する仮想線を想定し、当該仮想線を前記ワークの軸心線に対して水平方向にシフトさせ、シフト後の仮想線を工具ホルダーの回転中心に設定し、
    前記工具ホルダーを回転運動させるとともに前記仮想線に沿って前記ワーク方向に移動させることで、前記工具ホルダーに設置された工具が前記ワークの所定深さまで加工を行うように設置し、
    かかる設置状態から、前記ワークを回転させながら前記工具ホルダーを前記ワークの軸方向と平行方向に相対移動させることで、前記ワークの表面に対して螺旋溝を加工形成する螺旋溝加工方法であって、
    前記ワークの軸心線に対して鉛直方向に直交する仮想線を想定し、当該仮想線をチルトさせるとともに水平方向にシフトさせ、チルト及びシフト後の仮想線が、前記工具ホルダーの回転中心と重畳するように設定されていることを特徴とする螺旋溝加工方法。
  2. 請求項に記載の螺旋溝加工方法において、
    前記仮想線のチルト方向は、前記ワークに対する前記工具ホルダーの相対移動方向と同一方向であることを特徴とする螺旋溝加工方法。
  3. 請求項1又は2に記載の螺旋溝加工方法において、
    前記工具ホルダーは、カップ砥石を設置可能であることを特徴とする螺旋溝加工方法。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の螺旋溝加工方法において、
    前記ワークが前記工具から加工を受ける箇所とは逆側の箇所に、ワーク支持手段が設けられていることを特徴とする螺旋溝加工方法。
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