JP6043762B2 - 自動車用車室空調装置 - Google Patents
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Description
冷房運転時には、圧縮機により圧縮された熱媒体を第1熱交換器で凝縮させ、膨張弁により減圧して第2熱交換器で気化させて圧縮機に戻す。暖房運転時には、圧縮機により圧縮された熱媒体を第2熱交換器で凝縮させ、膨張弁により減圧して第1熱交換器で気化させて圧縮機に戻す。
第2熱交換器において熱媒体との熱交換により温度調整(冷却または加熱)された空気は、車室前部の吹出口から吹き出され、車室内に供給される。
後部座席の搭乗者の要求を満たすために空気の温度を調整したり吹出量を多くした場合には、車室前部の気温に過不足が生じ、前部座席での快適性が損なわれることがある。
このため、車室の前部および後部の両方を快適な温度に調整するのは難しかった。
この空調装置は、空調ユニットと、床部等に設けられた風路とを備えている。車室の天井の中央部には風路からの空気を供給する上部吹出口が形成され、車室の前部および後部には風路からの空気を供給する下部吹出口が形成されている。
この空調装置は、温度調整された空気を上部吹出口および下部吹出口から車室の前部および後部に供給するため、車室の前部と後部の気温を適正化することができる。
このため、風路の設置スペースは車室の床部等の設計における制約となっており、このような設計上の制約が少ない空調装置が要望されていた。
本発明は、前記事情に鑑み、車室内の広い範囲で気温を適正化することができ、かつ車室の設計の自由度の点で優れた自動車用車室空調装置を提供する。
前記第1送風機は、前記車室の前部から前記第1空調用空気が前記車室に供給されるように設置され、前記第2送風機は、前記車室の後部に前記第2空調用空気が供給されるように設置されていることが好ましい。
さらに、本発明の態様によれば、熱輸送路に、細径とすることが容易なヒートパイプが用いられているため、空調用空気を風路(ダクト)により導く構造の空調装置に比べ、車室の床部等における省スペース化を図ることができる。
ヒートパイプは、曲げ箇所があっても第2熱媒体の流通には支障がないため、風路(ダクト)に比べて曲げの自由度が高い。このため、車室の設計における制約を少なくできる。
従って、車室内の広い範囲の気温を適正化することができ、かつ車室の設計の自由度を高めることができる。
図1(A)は、本発明の一実施形態に係る自動車用車室空調装置(以下、空調装置という)10を備えた自動車20を示す概略図である。図1(B)は、空調装置10を示す概略図である。図2は、空調装置10の第2熱媒体経路2を示す概略図である。図3は、第2熱媒体経路2の熱輸送路15の構造の一例を示す概略図である。
なお、図1(A)、図1(B)および図2では、左方が前方であり、右方が後方である。
圧縮機3は、自動車20の駆動源であるエンジン22によって、第1熱媒体11を吸入し圧縮して吐出することができる。
なお、圧縮機3の駆動源はエンジン22に限らず、モータ等であってもよい。
室外側熱交換器4では、ラジエータ26で冷却または加熱された熱媒体24との熱交換により、第1熱媒体11を冷却または加熱することができる。
膨張弁5は、弁開度の調整により第1熱媒体11を減圧し膨張させることができる減圧手段(圧力調整手段)である。
室内側熱交換器7は、熱媒体配管9の一部である熱媒体配管9Aの外周面に、放熱または吸熱のための複数の薄板状のフィン7aが設けられた構造とすることができる。フィン7aは、アルミニウム、ステンレス鋼、銅などの金属で構成することができる。
なお、室内側熱交換器7の放熱構造(または吸熱構造)は薄板状のフィンに限らない。第1熱媒体11と第1空調用空気31との熱交換が可能であれば、その他の構造(棒状の放熱体を有する構造など)を採用してもよい。
第1〜第3直線部9a〜9cは互いに並列して配置されている。各フィン7aは、直線部9a〜9cに接して形成されている。
室内側熱交換器7では、熱媒体配管9Aが蛇行構造とされているため、フィン7aとの間の熱移動の効率を高めることができる。
なお、室内側熱交換器7の熱媒体配管9Aは蛇行構造に限らず、直線的な構造としてもよい。
熱媒体配管9は、圧縮機3と室外側熱交換器4、室外側熱交換器4と膨張弁5、膨張弁5と室内側熱交換器7、室内側熱交換器7と圧縮機3、をそれぞれ互いに接続している。
なお、伝熱用熱交換器13の放熱構造(または吸熱構造)は薄板状のフィンに限らない。第2熱媒体12と第1空調用空気31との熱交換が可能であれば、その他の構造(棒状の放熱体を有する構造など)を採用してもよい。
伝熱用熱交換器13の熱輸送路15Aは、この例では直線的な構造であるが、蛇行構造としてもよい。
図示例では、伝熱用熱交換器13は、室内側熱交換器7の前面側(第1空調用空気31の流れ方向の前面側)に設置されているため、室内側熱交換器7で温度調整された第1空調用空気31が導入されることにより、第1空調用空気31と第2熱媒体12との間で熱交換がなされる。
このように、伝熱用熱交換器13では、第1空調用空気31を介して、第1熱媒体経路1との間で熱の授受が行われる。
伝熱用熱交換器13は、第1空調ユニット6とともに、車室21の前部、例えばダッシュボード内に設けることができる。
第2空調用熱交換器17は、熱輸送路15のうち他端部15bに近い部分(熱輸送路15B)の外周面に、放熱または吸熱のための複数の薄板状のフィン17aが設けられた構造とすることができる。フィン17aは、アルミニウム、ステンレス鋼、銅などの金属で構成することができる。
なお、伝熱用熱交換器13および第2空調用熱交換器17の放熱構造(または吸熱構造)は薄板状のフィンに限らない。第2熱媒体12と第2空調用空気32との熱交換が可能であれば、その他の構造(棒状の放熱体を有する構造など)を採用してもよい。
図示例の第2空調ユニット14は、前部座席27の下方の床部28に設置されている。第2空調ユニット14は、車室21前部に設置された伝熱用熱交換器13に対して、後方側に離れた位置に設置されている。
図示例の第2空調ユニット14では、第2ファン18は斜め上方に向けられており、後部座席29に向かって斜め上方に第2空調用空気32を吹出させることができる。
熱輸送路15は、管状部材であり、内部には水等の第2熱媒体12が封入されている。熱輸送路15は、内面に、相分離及び相拡散のために毛細管構造を有する溝(図示略)が形成されていてもよいし、後述するウィック構造19(図3参照)が形成されていてもよい。
熱輸送路15は、伝熱用熱交換器13から第2空調用熱交換器17にかけて、車室21の床部28に設置することができる。
ウィック構造19には、毛細管現象により第2熱媒体12を保持できる材料が用いられる。ウィック構造19の材料の例としては、金属極細線ファイバー、金属メッシュ、および金属粉末の焼結体が挙げられる。
液体の第2熱媒体12は毛細管現象によりウィック構造19に浸透し、ウィック構造19を伝わって熱輸送路15の長手方向に移動することができる。気体の第2熱媒体12は、空間16を通って熱輸送路15の長手方向に移動することができる。
このウィック構造19によれば、重力に頼らず毛細管力で液体の第2熱媒体12を被冷却部に輸送できるため,ヒートパイプの姿勢によらず熱を輸送できる。
図1および図2に矢印で示すように、圧縮機3により圧縮された第1熱媒体11は、熱媒体配管9を通して室外側熱交換器4に導入され、熱媒体24との熱交換により冷却され、凝縮する。
次いで、第1熱媒体11は、熱媒体配管9を通して膨張弁5に導入され、減圧される。第1熱媒体11は、熱媒体配管9を通して室内側熱交換器7に導入され、第1空調用空気31との熱交換により加熱され、気化する。
第1熱媒体11は、熱媒体配管9を通して圧縮機3に戻る。
第1熱媒体11は、この過程を繰り返しつつ第1熱媒体経路1内で循環する。
このように、冷房運転時には、室外側熱交換器4は凝縮器として機能し、室内側熱交換器7は蒸発器として機能する。
熱輸送路15がウィック構造19(図3参照)を有する場合には、第2熱媒体12はウィック構造19に浸透し、ウィック構造19を伝わって移動する。
第2空調ユニット14は前部座席27の下方の床部28に設置されているため、冷却された第2空調用空気32は、冷風として、車室21の後部に供給される。
図示例では、第2ファン18は斜め上方に向けられているため、第2空調用空気32は後部座席29に向かって斜め上方に向けて流れる。
暖房運転時には、第1熱媒体11は、図1および図2に示す矢印とは反対の方向に流れる。
圧縮機3により圧縮された第1熱媒体11は、熱媒体配管9を通して室内側熱交換器7に導入され、第1空調用空気31との熱交換により冷却され、凝縮する。
次いで、第1熱媒体11は、熱媒体配管9を通して膨張弁5に導入され、減圧される。第1熱媒体11は、熱媒体配管9を通して室内側熱交換器7に導入され、熱媒体24との熱交換により加熱され、気化する。
第1熱媒体11は、熱媒体配管9を通して圧縮機3に戻る。
第1熱媒体11は、この過程を繰り返しつつ第1熱媒体経路1内で循環する。
このように、暖房運転時には、室外側熱交換器4は蒸発器として機能し、室内側熱交換器7は凝縮器として機能する。
第2空調ユニット14は前部座席27の下方の床部28に設置されているため、加熱された第2空調用空気32は、車室21の後部に供給される。
熱輸送路15がウィック構造19(図3参照)を有する場合には、第2熱媒体12はウィック構造19に浸透し、ウィック構造19を伝わって熱輸送路15に沿って移動する。
第2熱媒体12は、伝熱用熱交換器13において第1空調用空気31との熱交換により加熱され、蒸発する。
このため、車室21の後部に、適正な温度の第2空調用空気32を十分に供給できる。よって、車室21の後部における気温を適正化できる。
さらに、空調装置10では、熱輸送路15に、細径とすることが容易なヒートパイプが用いられているため、第1空調用空気31を風路(ダクト)により車室21の後部に導く構造に比べ、車室21の床部28における省スペース化を図ることができる。
また、ヒートパイプは、曲げ箇所があっても第2熱媒体12の流通には支障がないため、風路(ダクト)に比べ、曲げの自由度が高い。このため、車室の設計における制約が少ない。
従って、空調装置10によれば、車室21内の広い範囲の気温を適正化することができ、かつ車室21の設計の自由度を高めることができる。
例えば、第2熱媒体経路の第2空調ユニットの設置位置は図示例に限定されない。第2空調ユニットは車室内の任意の箇所に設置できる。
例えば、3列の座席を有する自動車においては、2つの第2熱媒体経路(2列目座席用および3列目座席用の第2熱媒体経路)を有する空調装置を使用することができる。
この空調装置では、2列目座席用の第2熱媒体経路の空調ユニットによって、2列目座席を含む空間に空調用空気を供給するとともに、3列目座席用の第2熱媒体経路の空調ユニットによって、3列目座席を含む空間に空調用空気を供給することができる。
また、自動車の駆動源はエンジンに限らず、モータ等であってもよい。
Claims (2)
- 自動車の車室内の空調を行う自動車用車室空調装置であって、
第1熱媒体が流通する第1熱媒体経路と、第2熱媒体が流通する第2熱媒体経路と、を備え、
前記第1熱媒体経路は、前記第1熱媒体を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された前記第1熱媒体が導入される凝縮器と、前記第1熱媒体を減圧し膨張させる膨張弁と、前記膨張弁で膨張された前記第1熱媒体が導入される蒸発器と、を備え、
前記第2熱媒体経路は、前記第1熱媒体経路との間で熱の授受を行う伝熱用熱交換器と、前記伝熱用熱交換器から離れて設置された空調ユニットと、前記伝熱用熱交換器と前記空調ユニットとの間で前記第2熱媒体を導くヒートパイプからなる熱輸送路と、を有し、
前記伝熱用熱交換器は、前記第2熱媒体が、前記凝縮器または前記蒸発器内の第1熱媒体と熱交換可能となるよう構成され、
前記空調ユニットは、前記第2熱媒体が流通する空調用熱交換器と、第2空調用空気を前記空調用熱交換器において前記第2熱媒体と熱交換させて前記車室内に送る第2送風機とを備え、
前記熱輸送路は、長手方向に沿って液体の前記第2熱媒体が毛細管現象により浸透するウィック構造または溝が形成され、かつ、長手方向に沿って気体の前記第2熱媒体が流れる空間が確保され、
前記第1熱媒体経路は、第1空調用空気を、前記凝縮器または前記蒸発器において前記第1熱媒体と熱交換させて前記車室内に送る第1送風機をさらに備え、
前記第1送風機は、前記車室内において、前記第2送風機による前記第2空調用空気の供給箇所とは異なる箇所から前記第1空調用空気が供給されるように設置されている自動車用車室空調装置。 - 前記第1送風機は、前記車室の前部から前記第1空調用空気が前記車室に供給されるように設置され、
前記第2送風機は、前記車室の後部に前記第2空調用空気が供給されるように設置されている請求項1に記載の自動車用車室空調装置。
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