以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる電池トレイ1の概略構成を示す分解斜視図である。電池トレイ1は、第1部材11、第2部材12、第3部材13、第4部材14、および第5部材15を備えている。
第1部材11は、概略板状であり、厚さ方向に貫通した貫通孔111を複数含んでいる。第2部材12も同様に、概略板状であり、厚さ方向に貫通した貫通孔121を複数含んでいる。
第3部材13は、概略直方体であり、開口部131を多数含んでいる。なお、本実施形態では、開口部131は第3部材13を貫通している。
第1部材11、第2部材12、および第3部材13は、貫通孔111、貫通孔121、および開口部131が部分的に重なるように組み立てられる。詳細は後述するが、第1部材11および第2部材12は、例えばネジ等によって第3部材13に固定される。
第4部材14は、シート形状であり、貫通孔141を多数含んでいる。
第5部材15は、板状の底面の周縁に周壁155が形成された形状を有する。第5部材15は、底面を貫通する貫通孔151を多数含んでいる。
第5部材は、周壁155に囲まれた空間に、第3部材13および第4部材14が嵌合するように形成されている。この構成により、第3部材13、第4部材14、および第5部材15の相対的な位置関係を正確に規制することができる。貫通孔141と貫通孔151とは、平面視において中心が一致するように形成されている。さらに、貫通孔141と貫通孔151とは、その中心が、平面視において開口部131の中心と一致するように形成されている。
第1部材11、第2部材12、第3部材13、および第5部材15の材料および製造方法は、特に限定されない。これらは例えば、樹脂の成形品である。
第4部材14は、第1部材11、第2部材12、第3部材13、および第5部材15よりも難燃性の優れた材料で形成される。第4部材14は、例えば金属板、ガラス繊維のシート等である。電池トレイ1は、後述するように、開口部131に電池を収納して使用される。第4部材14は、電池が過加熱になって溶融するといった異常事態が発生した際に、設備機器の損傷を防ぐ目的で配置される。
第4部材14は、第5部材15の下側に配置されても良い。また、電池トレイ1の使用目的によっては、第4部材14はなくても良い。これらの場合、電池トレイ1は、第3部材13と第5部材15とが一体的に形成されたものを備えていていも良い。
図2は、第1部材11の平面図である。第1部材11は、複数の貫通孔111と、複数の位置決め用孔112と、複数の固定用孔113とを含んでいる。位置決め用孔112、および固定用孔113も、貫通孔である。
貫通孔111は、平面内の一方向である方向DRに沿って延びた形状を有している。位置決め用孔112および固定用孔113も、同じ方向DRに沿って延びた形状を有している。
図3は、貫通孔111の一つを抜きだして示す平面図である。貫通孔111は、方向DRの一方側の内周面に配置された規制部111aを含んでいる。
図4は、図3のA−A線に沿った断面図である。貫通孔111の規制部111aが配置されている側の内周面の端部には、テーパー111bが形成されている。
図5は、第2部材12の平面図である。第2部材12も、第1部材11と同様に、複数の貫通孔121と、複数の位置決め用孔122と、複数の固定用孔123とを含んでいる。位置決め用孔122、および固定用孔123も、貫通孔である。
貫通孔121は、貫通孔111と同じ方向DRに沿って延びた形状を有している。位置決め用孔122および固定用孔123も、同じ方向DRに沿って延びた形状を有している。
図6は、貫通孔121の一つを抜きだして示す平面図である。貫通孔121は、方向DRの他方側、すなわち、貫通孔111の場合とは反対側の内周面に配置された規制部121aを含んでいる。
図7は、図6のA−A線に沿った断面図である。貫通孔121の、規制部121aが配置されている側の内周面の端部には、テーパー121bが形成されている。
図8は、第3部材13の平面図である。図9は、図8のA−A線に沿った断面図である。第3部材13は、複数の開口部131と、複数の位置決め用孔132と、複数の固定用孔133とを含んでいる。開口部131、位置決め用孔132、および固定用孔133は、貫通孔である。ただし、位置決め用孔132は、貫通孔でなくても良い。
開口部131は、貫通孔111と同じ方向DRに沿って延びた形状を有している。一方、位置決め用孔132および固定用孔133は、円形である。位置決め用孔132の口径は、位置決め用孔112および122の口径よりも小さい。同様に、固定用孔133の口径は、固定用孔113および123の口径よりも小さい。
図10は、貫通孔111および121、ならびに開口部131を重ねて図示した平面図である。図10に示すように、貫通孔111と貫通孔121とは、平面視において部分的に重なるように配置される。また、貫通孔111と貫通孔121との重複部分は、平面視において開口部131と部分的に重なるように配置される。
本実施形態では、規制部111aと規制部121aとは、平面視において点C0を中心として点対称に配置されている。換言すれば、点C0は平面視における規制部111aと規制部121aとの対称中心である。さらに、点C0は、平面視において開口部131の中心と一致している。
本実施形態ではさらに、規制部111aは、点C0を通って方向DRと平行な基準線CLに対して対称に形成された形状を有する。規制部121aも同様に、基準線CLに対して対称に形成された形状を有する。
図11は、図10の基準線CLに沿った断面図である。既述のように、貫通孔141と貫通孔151とは、その中心が、平面視において開口部131の中心と一致するように配置されている。これによって、貫通孔111および121、開口部131、ならびに貫通孔141および151によって構成される一連の孔が、電池トレイ1を貫通している。
次に、電池トレイ1の使用方法を説明する。
図12は、電池トレイ1に収納される電池9の概略構成を模式的に示す斜視図である。電池9は、互いに平行に形成された一対の主面91と、一対の側面92と、上面93と、底面94とを備えている。上面93には、上部端子95が形成され、底面94には下部端子96が形成されている。
電池9は、主面91同士間の距離に比べて側面92同士間の距離が長い偏平形状である。以下、上面93および底面94に平行で、かつ、主面91に平行な方向を、電池9の幅方向と呼んで参照する。また、この方向の寸法を電池9の幅Lと呼んで参照する。同様に、主面91と垂直な方向を電池9の厚さ方向と呼び、この方向の寸法を電池9の厚さtと呼んで参照する。
図12の電池9の側面92は、半円筒形状である。しかし、電池トレイ1が収容できる電池は、このような形状の電池に限定されない。
電池9は、貫通孔111と貫通孔121との重複部分から開口部131に挿入されて、電池トレイ1に収納される。このとき、貫通孔111に形成されたテーパー111bおよび貫通孔121に形成されたテーパー121bによって、微妙な位置のずれが修正され、電池9をスムーズに挿入することができる。
図13は、電池トレイ1に電池9を収納した状態を示す平面図である。図13では、見易くするために、電池9にハッチングを付して示している。後述する図15、図16、図17、図22、図23、図24、図41、図43、図44、図54、図56、図57、および図58においても同様である。
図13に示すように、貫通孔111と貫通孔121との重複部分は、平面視において電池9と4点で接している。より具体的には、貫通孔111は、規制部111aにおいて電池9と点P1および点P2で接している。貫通孔121は、規制部121aにおいて電池9と点P3および点P4で接している。これによって、電池9の平面内での移動が規制されるため、電池9を安定に収納することができる。
すなわち、点P1は電池9の幅方向の一方側および厚さ方向の一方側への移動を規制し、点P2は電池9の幅方向の一方側および厚さ方向の他方側への移動を規制している。点P3は電池9の幅方向の他方側および厚さ方向の他方側への移動を規制し、点P4は電池9の幅方向の他方側および厚さ方向の一方側への移動を規制している。これによって、電池9は幅方向および厚さ方向のどちらへも移動することができない。
本実施形態では、規制部111aと規制部121aとは、平面視において点C0を中心として点対称に配置されており、電池9の平面形状は対称であるため、点C0から点P1〜点P4への距離はすべて等しくなる。この構成によれば、平面視において点C0と電池9の中心とを一致させることができる。
本実施形態ではさらに、規制部111aおよび121aは、平面視においてそれぞれ基準線CLに対称に形成された形状を有する。したがって、点P1から基準線CLへの距離と、点P2から基準線CLへの距離とが一致する。同様に、点P3から基準線CLへの距離と、点P4から基準線CLへの距離とが一致する。この構成によれば、電池9の幅方向と、基準線CLの方向(方向DR)とを一致させることができる。
次に、図14を参照して、化成工程について説明する。図14は、図13の基準線CLに沿った断面図である。図14(a)に示すように、化成工程では設備機器から電極901および902が、電池トレイ1に収納された電池9の上下から近づく。電極902は、貫通孔141および151を通って電池9の下部端子96に接する。電極901は、電池9の上部端子95に接する。図14(b)に示すように、電池9は上方に持ち上げられ、この状態で充電される。充電が終了すると、電極901および電極902は反対方向に移動し、電池9は再び電池トレイ1に収納される。
電池トレイ1は、第1部材11および第2部材12をスライドさせて規制部111aと規制部121aとの間隔を変えることにより、任意の寸法の電池9を収納することができる。図15〜図17は、互いに寸法の異なる電池を、電池トレイ1に収納した状態を示す平面図である。なお、図15〜図17では、比較しやすいように、基準線CLを水平にして示している。
図15は、図13の場合と同じ幅L、厚さtの電池9を、電池トレイ1に収納した状態を示す平面図である。既述のように、貫通孔111と貫通孔121との重複部分は、電池9と平面視において4点P1〜P4で接している。このときの第1規制部111aと第2規制部121aとの間隔をS1とする。
図16は、電池9とは異なる幅L1(L1<L)を有する電池9Aを、電池トレイ1に収納した状態を示す平面図である。この場合、規制部111aと規制部121aとの間隔を方向DRに沿って変えることによって、貫通孔111と貫通孔121との重複部分が、電池9と平面視において4点P5〜P8で接するようにすることができる。具体的には、第1規制部111aと第2規制部121aとの間隔はS2(S2<S1)になる。
図17は、電池9とは異なる厚さt1(t1>t)を有する電池9Bを、電池トレイ1に収納した状態を示す平面図である。この場合も、規制部111aと規制部121aとの間隔を方向DRに沿って変えることによって、貫通孔111と貫通孔121との重複部分が、電池9と平面視において4点P9〜P12で接するようにすることができる。具体的には、第1規制部111aと第2規制部121aとの間隔はS3(S3>S1)になる。
いずれの場合も、平面視において、点C0と、電池9(9Aまたは9B)の中心とが一致している。したがって、平面視において点C0と貫通孔141および151の中心とが一致するように各部材を配置すれば、任意の寸法の電池9に対して、図14で説明した化成工程を行うことができる。既述のように、貫通孔141および151の中心は、平面視において開口部131の中心と一致している。したがって、平面視において点C0と開口部131の中心とが一致するように、第1部材11および第2部材12を第3部材13に固定できることが好ましい。以下、このような位置調整方法および固定方法の一例を説明する。
図18は、第1部材11および第2部材12の構成を簡略化して模式的に示した平面図である。図18では、図を見易くするため、第2部材12を一点鎖線で示している。図18は、第1部材11と第2部材12とを、方向DRに沿って互いに距離Δだけずらして配置している。既述のように、位置決め用孔112および122は、方向DRに沿って延びた形状を有している。そのため、位置決め用孔112と位置決め用孔122の重複部分の幅w1は、距離Δによらず一定である。同様に、固定用孔113と固定用孔123の重複部分の幅w2も、距離Δによらず一定である。一方、位置決め用孔112と位置決め用孔122の重複部分の方向DRに沿った長さgは、距離Δによって変化する。
図19は、位置調整に用いる調製用治具99の概略構成を示す斜視図である。調製用治具99は、胴部991と軸部992とを備えている。胴部991は、位置決め用孔112と位置決め用孔122との重複部分に嵌合する形状を有している。すなわち、方向DRと平行な寸法がgであり、これと垂直な方向の寸法がw1である。軸部992は先端にテーパーが形成された円筒形状で、第3部材13の位置決め用孔132と嵌合するように形成されている。胴部991と軸部992とは、中心軸が一致している。
図20は、図18のA−A線、およびB−B線に沿った断面図である。まず、調整用治具99の軸部992を位置決め用孔132に差し込む。この状態で、第1部材11と第2部材12とを、方向DRに沿って互いに反対方向にスライドさせる。そして、位置決め用孔112の内周面、および位置決め用孔122の内周面を調整用治具99の胴部991に接触させる。
なお、複数の位置決め用孔112、122、および132に調整用治具99を差し込むことで、ゆがみをなくすことができる。
この方法によれば、第1部材11と第2部材12とを、第3部材13の位置決め用孔132の中心軸を基準として、方向DRに沿って互いに反対方向に等距離だけ移動させることができる。これによって、平面視において点C0と開口部131の中心とが一致した状態を保ったまま、規制部111aと規制部121aとの間隔を所定の値にすることができる。
図21は、図18のA−A線、およびB−B線に沿った断面図であって、寸法の異なる調整用治具99Aを使用した場合を示す図である。調製用治具99Aは、より具体的には、胴部991の方向DRと平行な方向の寸法が調整用治具99と異なり、g1である。調製用治具99Aを使用することで、平面視において点C0と開口部131の中心とが一致した状態を保ったまま、規制部111aと規制部121aとの間隔を図20の場合とは異なる所定の値にすることができる。このように、電池9の品種に応じて調整用治具99を用意しておけば、品種ごとの位置調整を、簡易かつ正確に行うことができる。
第1部材11、第2部材12、および第3部材13の固定は、例えば図20および図21に示すような、締結部材97とネジ98とを用いて行うことができる。締結部材97は、頭部971と軸部972とを備えている。軸部972は、第3部材13の固定用孔133に嵌合するように形成されている。軸部972の先端にはネジ穴972aが形成されており、ネジ98を締結できる。締結部材97の頭部971の径は固定用孔133の口径よりも大きく、ネジ98の頭部981の径は固定用孔113の幅w2(図18)よりも大きい。したがって、間に第1部材11、第2部材12、および第3部材13を挟んで、締結部材97とネジ98とを締結すれば、締結部材97の頭部971とネジ98の頭部981とによって、これらの部材を挟持することができる。なお、締結部材97の頭部971が突出しないように、固定用孔133のまわりにはザグリ133aが形成されている。同様に、ネジ98の頭部981が突出しないように、固定用孔113のまわりにはザグリ113aが形成されている。ザグリ113aの幅は、固定用孔113の径よりも大きい。
以上、本発明の第1の実施形態にかかる電池トレイ1の構成および使用方法について説明した。電池トレイ1の構成によれば、簡易な調整によって、多品種の電池を収納することができる。これによって、品種ごとに電池トレイを用意する必要がなくなる。なお、高さ寸法(図12で、上面93と底面94との間の距離)が大きく異なる品種の電池に対しては、第3部材13だけを交換することで対応が可能である。
本実施形態では、貫通孔141および151の中心を、平面視において開口部131の中心と一致させている。そのため、平面視において点C0が開口部131の中心と一致するように、第1部材11および第2部材12を第3部材13に固定する。しかし、貫通孔141および151の中心は、平面視において、開口部131の中心になくても良く、開口部131の内側の任意の点にあれば良い。この場合、第1部材11および第2部材12は、平面視において点C0が、この任意の点と一致するように第3部材13に固定されれば良い。
第1部材11と第2部材12とは、互いに対称な形状にすることができる。図2と図5とを比較すれば分かるように、第1部材11を平面内で180°回転させると、第2部材12の形状と一致する。この構成によれば、第1部材11と第2部材12とを、同一の金型で製造することができる。
[第1の実施形態の変形例]
貫通孔111および121は、種々の形状を取り得る。電池を安定して保持するためには、貫通孔111と貫通孔121との重複部分が、平面視において電池と4点以上で接すれば良い。以下、図22〜図24を参照して、第1の実施形態の変形例を説明する。
図22は、貫通孔111および121、ならびに開口部131のバリエーションの一つである貫通孔111Aおよび121A、ならびに開口部131Aを重ねて示す平面図である。電池トレイ1では、貫通孔111および121を電池9の幅方向にスライドさせて接触させるのに対し、この例では、貫通孔111Aおよび121Aを電池9の厚さ方向にスライドさせて接触させる。この場合も、貫通孔111Aおよび121Aの重複部分は、平面視において電池9と4点P13〜P16で接している。
図23は、貫通孔111および121、ならびに開口部131のバリエーションの一つである貫通孔111Bおよび121B、ならびに開口部131Bを重ねて示す平面図である。この例では、貫通孔111Bおよび121Bを、電池9の幅方向と厚さ方向との両方にスライドさせて、電池9に接触させる。この場合も、貫通孔111Bおよび121Bの重複部分は、平面視において電池9と4点P17〜P20で接している。なお、この例では、電池9の主面91と、貫通孔11Bおよび121Bの内周面とが一部平行になっている。そのため、貫通孔111Bおよび121Bの重複部分は、平面視において電池9と線状に接している。このように、貫通孔111Bおよび121Bとの重複部分が、平面視において電池と線状に接する態様であっても良い。
図24は、貫通孔111および121、ならびに開口部131のバリエーションの一つである貫通孔111Cおよび121C、ならびに開口部131Cを重ねて示す平面図である。貫通孔111Cおよび121C、ならびに開口部131Cは、扁平形状の電池9に代えて、円筒形状の電池9Cを収納できるように形成されている。この場合も、貫通孔111Cおよび121Cの重複部分は、平面視において電池9Cと4点P21〜P24で接している。
なお、いずれの例においても、貫通孔111および121の電池9と接する内周面は平面でなくても良く、曲面であっても良い。
[第2の実施形態]
図25は、本発明の第2の実施形態にかかる電池トレイ2の構成の一部を示す斜視図である。電池トレイ2は、電池トレイ1の第1部材11および第2部材12に代えて、第1部材21および第2部材22を備えている。
第1部材21は、第1部材11の構成に加えて、突部115をさらに含んでいる。突部115は、規制部111aに連続して形成され、貫通孔121に向かって突出している。第2部材22は、第2部材12の構成に加えて、突部125をさらに含んでいる。突部125は、規制部121aに連続して形成され、貫通孔111に向かって突出している。第2部材22では、第2部材12のテーパー121bに代えて、突部125の端部にテーパー125bが形成されている。
図26は、図25のA−A線に沿った断面図である、図26と図11とを比較すれば分かるように、突部115および125によって、第1部材21と第2部材22とによる段差をなくすことができる。これによって、電池9の底面がこの段差にあたることがなくなり、電池9をよりスムーズに収納することができる。
本実施形態においても、第1部材21と第2部材22とは、互いに対称な形状にすることができる。この場合、第1部材21と第2部材22とを、同一の金型で製造することができる。
[第3の実施形態]
図27は、本発明の第3の実施形態にかかる電池トレイ3の構成の一部を示す断面図である。電池トレイ3は、電池トレイ1の第3部材13に代えて、第3部材33を備えている。
第3部材33は、第3部材13の構成に加えて、底面部135をさらに含んでいる。底面部135には、貫通孔141および151と連続する貫通孔135aが形成されている。また、底面部135は、図26の断面において、開口部131の中心側に向かって厚さが薄くなっている。すなわち、底面部135は傾斜面である。
電池9は貫通孔111と貫通孔121の重複部分によって規制されているため、電池9の幅が開口部131の幅に比べて小さい場合、または、電池9の高さ寸法が大きい場合、電池9の底部近傍が安定しない場合がある。本実施形態の構成によれば、電池9の底面近傍が底面部135によって挟まれる。これによって、電池9をより安定に保持することができる。
底面部135を傾斜させる方向は、電池9の幅方向であっても良いし、厚さ方向であっても良い。また、底面部135は、曲面であっても良い。
[第3の実施形態の変形例1]
図28は、第3の実施形態の変形例にかかる電池トレイ3Aの構成の一部を示す断面図である。電池トレイ3Aは、第3部材33に代えて、第3部材13と、第3部材13とは独立した第1底部部材31および第2底部部材32を備えている。
第1底部部材31および第2底部部材32は、第3部材13の開口部131の内部に、互いに対向して配置されている。第1底部部材31および第2底部部材32は、第1底部部材31と第2底部部材32とが対向する方向において、外側に向かって直線状に高さが高くなっている。第1底部部材31および第2底部部材32は、第1底部部材31と第2底部部材32との対向方向にスライド可能に構成されている。
なお、第1底部部材31と第2底部部材32とを対向させる方向は、電池9の幅方向であっても良いし、電池9の厚さ方向であっても良い。また、第1底部部材31および第2底部部材32の傾斜面は、曲面であっても良い。
電池トレイ3Aによっても、電池トレイ3と同じ効果が得られる。すなわち、電池9の底面近傍が第1底部部材31および第2底部部材32によって挟まれることによって、電池9をより安定に保持することができる。さらに、電池トレイ3Aによれば、次のような効果が得られる。
図29は、電池トレイ3Aに電池9を収納した状態を示す断面図である。ここで、電池9の高さ(z方向の寸法)をhとし、電池9の上面が第1部材11の上面から突出している量をΔhとする。
図30は、電池9と異なる高さh1(h1<h)を有する電池9Dを、電池トレイ3Aに収納した状態を示す断面図である。図30に示すように、第1底部部材31と第2底部部材32との間隔を調整することによって、突出量Δhを図29の場合と同一に保つことができる。
このように、本変形例によれば、高さ方向の寸法が異なる電池を収納しても、電池9の基準面からの突出量(例えば、図29および図30のΔh)を一定にすることができる。
[第3の実施形態の変形例2]
図31は、第3の実施形態の他の変形例にかかる電池トレイ3Bの構成の一部を示す断面図である。電池トレイ3Bは、第1底部部材31および第2底部部材32に代えて、高さ調整部材35を備えている。
高さ調整部材35は、第1部材11および第2部材12の周縁部の外側と、第3部材13の周縁部の内側との間に配置されている。高さ調整部材35は、電池トレイ3Bの外側に向かって高さが高くなっている。第2部材12は、第2部材12の底面が高さ調整部材35の傾斜面に接触するように配置されている。
図32は、電池トレイ3Bに電池9を収納した状態を示す断面図である。電池トレイ3Aの場合と同様に、電池9の高さをhとし、電池9の上面が第1部材11の上面から突出している量をΔh1とする。
図33は、電池9と異なる高さh2(h2>h)を有する電池9Eを、電池トレイ3Aに収納した状態を示す断面図である。図33に示すように、高さ調整部材35の位置を調整することによって、突出量Δh1を図32の場合と同一に保つことができる。
本変形例によっても、高さ方向の寸法が異なる電池を収納しても、電池9の基準面からの突出量(例えば、図32および図33のΔh1)を一定にすることができる。
[第4の実施形態]
図34は、本発明の第4の実施形態にかかる電池トレイ4の構成の一部を示す断面図である。電池トレイ4は、電池トレイ1の第1部材11に代えて第1部材41を、第2部材12に代えて第2部材42を、第3部材13に代えて第3部材43を備えている。電池トレイ4は、これらに加えて、ばね451および452をさらに備えている。
第1部材41は、第1部材11の構成に、傾斜面410を加えたものである。第2部材42は、第2部材12の構成に、傾斜面420を加えたものである。第3部材43は、第3部材13の構成に、傾斜面430aおよび430bを加えたものである。
傾斜面430aおよび430bは、第3部材43の周縁部の内側に形成されている。傾斜面430aおよび430bは、第3部材43の中心から外側に向かって高さが高くなっている。
傾斜面410は、傾斜面430aと平行に、第1部材41の底面の一方側(規制部111aが形成されている側と反対側)に形成されている。第1部材41は、傾斜面410によって、第3部材43の傾斜面430aの上をスライドできるように構成されている。
ばね451は、第1部材41と第3部材43との間に配置されている。ばね451は、第1部材41を、方向DRの一方側(規制部111aが形成されている側と反対側)に押し出すように配置されている。
傾斜面420は、傾斜面430bと平行に、第2部材42の底面の一方側(規制部121aが形成されている側と反対側)に形成されている。第2部材42は、傾斜面420によって、第3部材43の傾斜面430bの上をスライドできるように構成されている。
ばね452は、第2部材42と第3部材43との間に配置されている。ばね452は、第2部材42を、方向DRの他方側(規制部121aが形成されている側と反対側)に押し出すように配置されている。
次に、図35および図36を参照して、電池トレイ4の使用方法を説明する。以下では、規制部111aと規制部121aの中心から規制部111aへ向かう方向を方向DRのマイナス側、規制部121aへ向かう方向を方向DRのプラス側と呼んで参照する。
まず、図35に示すように、設備機器のシリンダ903によって、第1部材41および第2部材42を下方向へ押さえ付ける。これによって、第1部材41は、斜面430aをスライドして方向DRのマイナス側に移動する。また、第2部材42は、斜面430bをスライドして方向DRのプラス側に移動する。
このとき、規制部111aと規制部121aとの間隔は最も広い状態になっている。この状態で、貫通孔111と貫通孔121との重複部分から電池9を挿入する。このとき、電池9の中心と、貫通孔141および151の中心とは、平面視において一致していなくても良い。
電池9を挿入した後、図36に示すように、シリンダ903を上方に移動させる。このとき、ばね451の作用により、第1部材41は方向DRのプラス側に移動する。また、ばね452の作用により、第2部材42は方向DRのマイナス側に移動する。
そして、第1部材41の規制部111aは電池9と当接し、第2部材42の規制部121aは電池9と当接する。ばね451からの力とばね452からの力とが均衡した地点で、第1部材41および第2部材42は静止する。
規制部111aおよび規制部121aが、貫通孔141および151の中心に対して互いに対称であれば、電池9の中心と、貫通孔141および151の中心とを、平面視において一致させることができる。
本実施形態によれば、第1部材41および第2部材42を、あらかじめ第3部材に固定しておく必要がなく、品種ごとの調製が不要になる。さらに、電池9を挿入するときに、電池9の位置がずれても、自動で修正することができる。
なお、上記の例では、整備機器のシリンダ903によって自動化された工程を説明したが、手作業によって行うことも可能である。
[第5の実施形態]
図37は、本発明の第5の実施形態にかかる電池トレイ5の概略構成を示す分解斜視図である。電池トレイ5は、第1部材51と、第2部材52と、第3部材53とを備えている。
第3部材53は、開口部531を備えている。後述するように、第3部材53は、開口部531に電池を収納できるように構成されている。第1部材51および第2部材52は、第3部材53の開口部531の上側に、互いに対向するように配置される。本実施形態では、第1部材51と第2部材52とは、平面視において重ならない。第1部材51と第3部材53とは、ネジ591およびナット592によって固定される。同様に、第2部材52と第3部材53とは、ネジ591およびナット592によって固定される。
図38は、電池トレイ5の平面図である。図39は、図38のA−A線に沿って電池トレイ5を切断した図である。第1部材51は、第1部材51をz方向に貫通する固定用孔513を備えている。同様に、第2部材52は、第2部材52をz方向に貫通する固定用孔523を備えている。図39に示すように、固定用孔513および523には、ネジ591の頭部が突出しないようにザグリ加工がされている。
第3部材53は、x方向に沿って延びて形成された固定用孔533を備えている。固定用孔533のy方向の幅は、ネジ591の径よりも大きく、ナット592の径よりも小さい。固定用孔513および533にネジ591を挿入し、ネジ591とナット592とを締結することによって、第1部材51を第3部材53に固定することができる。第2部材52も、同様にして第3部材53に固定することができる。
固定用孔533はx方向に沿って延びた形状をしているため、第1部材51および第2部材52を、x方向の位置を変えて固定することができる。これによって、第1部材51と第2部材52との間隔S4を、任意に調整することができる。
図40は、図38のB−B線に沿って電池トレイ5を切断した図である。第1部材51は、電池トレイ1の第1部材11と同様に、規制部511aおよびテーパー511bを備えている。同様に、第2部材52は、規制部521aおよびテーパー521bを備えている。
第3部材53は、開口部531を備えている。開口部531のx方向中央付近には、底面部535が形成されている。底面部535は、y方向外側に向かって高さが高くなる傾斜面である。底面部535以外の箇所では、開口部531は、第3部材53をz方向に貫通している。
図41は、幅L、厚さtの電池9を電池トレイ5に収納した状態を示す平面図である。
電池9は、規制部511aと規制部521aとの間から、開口部531に挿入される。このとき、テーパー511bおよび521bによって、挿入をスムーズに行うことができる。
本実施形態においても、規制部511aは、電池9と点P31および点P32の2点で接している。また、規制部521aは、電池9と点33および点P34の2点で接している。これによって、電池9の平面内での移動が規制されるため、電池9を安定して収納することができる。
なお、このときの第1部材51と第2部材52との間隔をS4とする。
図42は、図41のA−A線に沿った断面図である。電池9は、底面部535によって支持されている。既述のように、底面部535は、y方向外側に向かって高さが高くなる傾斜面である。電池9が底面部535の傾斜面を滑ることによって、電池9がy方向においてセンタリングされる。また、電池9が開口部531のy方向の中心に配置された後は、電池9は、底面部535に挟まれることによってより安定する。
電池トレイ5も、電池トレイ1と同様に、第1部材51および第2部材52をx方向にスライドさせて規制部511aと規制部521aとの間隔を変えることによって、任意の寸法の電池9を収納することができる。図43および図44は、図41の場合とそれぞれ寸法の異なる電池を、電池トレイ5に収納した状態を示す平面図である。
図43は、電池9とは異なる幅L1(L1<L)を有する電池9Aを、電池トレイ5に収納した状態を示す平面図である。この場合も、規制部511aは、電池9と点P35および点P36の2点で接し、規制部521aは、電池9と点P37および点P38の2点で接する。具体的には、第1部材51と第2部材52との間隔はS5(S5<S4)になる。
図44は、電池9とは異なる厚さt1(t1>t)を有する電池9Bを、電池トレイ5に収納した状態を示す平面図である。この場合も、規制部511aは、電池9と点P39および点P40の2点で接し、規制部521aは、電池9と点41および点P42の2点で接する。具体的には、第1部材51と第2部材52との間隔はS6(S6>S4)になる。
なお、本実施形態では、規制部511aと規制部521aとは、第3部材53の中心に対して平面視において対称な形状を有している。また、図41、図43、および図44では、いずれも第1部材51および第2部材52を、第3部材53の中心に対して平面視において対称に配置している。この構成によれば、電池9の中心と、第3部材53の中心とを、平面視において一致させることができる。
しかし、第1部材51と第2部材52とは、対称に配置されていなくても良い。例えば、第1部材51および第2部材52の一方を固定して、他方だけを動かすことによって、第1部材51と第2部材52との間隔を調整しても良い。また、規制部511aと規制部521aとは、互いに非対称な形状を有していても良い。
[第6の実施形態]
図45は、本発明の第6の実施形態にかかる電池トレイ6の概略構成を示す平面図である。電池トレイ6は、電池トレイ5の第3部材53に代えて、第3部材63を備えている。電池トレイ6はさらに、第1底部部材61および第2底部部材62を備えている。
図46は、図45のA−A線に沿って電池トレイ6を切断した図である。第3部材63は、第3部材53の構成から、底面部535を削除したものである。第3部材63の開口部631は、第3部材63をz方向に貫通している。
第1底部部材61および第2底部部材62は、第3部材63の開口部631に、互いに対向して配置されている。第1底部部材61および第2底部部材62はそれぞれ、開口部631の内壁面に沿って、x方向にスライドできるように構成されている。
第1底部部材61および第2底部部材62は、第1底部部材61と第2底部部材62とが対向する方向において、中心から外側に向かって高さが高くなっている。すなわち、第1底部部材61は、開口部631の中心からx方向外側に向かって高さが高くなる傾斜面610を備えている。同様に、第2底部部材62は、開口部631の中心からx方向外側に向かって高さが高くなる傾斜面620を備えている。
図47は、図45のA−A線に沿った断面図であって、電池トレイ6に電池9を収納した状態を示す図である。図46に示すように、電池9は、傾斜面610および傾斜面620によって支持されている。ここで、電池9の高さをhとし、第1部材51および第2部材52の上面からの電池9の突出量をΔh2とする。さらに、第1底部部材61と第2底部部材62との間隔をS7とする。
図48は、電池トレイ6に、電池9とは異なる高さh1(h1<h)を有する電池9Dを収納した状態を示す図である。図48に示すように、第1底部部材61と第2底部部材62との間隔を調整することによって、突出量Δh2を図47の場合と同一に保つことができる。具体的には、第1底部部材61と第2底部部材62との間隔はS8(S8<S7)である。
本実施形態によれば、高さ方向の寸法が異なる電池を収納しても、電池9の基準面からの突出量(例えば、図47および図48のΔh2)を一定にすることができる。
図46〜図48では、傾斜面610および620は平面である。しかし、傾斜面610および620は、開口部631の中心からx方向外側に向かって高さが高くなっていれば良く、曲面であっても良い。
[第7の実施形態]
図49は、本発明の第7の実施形態にかかる電池トレイ7の概略構成を示す図であって、電池トレイ7をy方向の中央で切断して示す図である。電池トレイ7は、電池トレイ6の第1底部部材61に代えて第1底部部材71を、第2底部部材62に代えて第2底部部材72を備えている。
図50は、電池トレイ7の構成から、第1底部部材71および第2底部部材72を抜き題して示す斜視図である。第1底部部材71は、傾斜面710を備える。傾斜面710は、第1底部部材61の傾斜面610と同様に、開口部631の中心からx方向外側に向かって高さが高くなっている。傾斜面710はさらに、第1底部部材61の中心からy方向外側に向かって高さが高くなっている。すなわち、傾斜面710は、x方向外側に向かって高さが高くなっているとともに、y方向外側に向かって高さが高くなっている。
第2底部部材72も同様に、x方向外側に向かって高さが高くなるとともに、y方向外側に向かって高さが高くなる傾斜面720を備えている。
本実施形態によれば、電池9が傾斜面710および720を滑ることによって、電池9がx方向およびy方向においてセンタリングされる。また、電池9が第1底部部材71および第2底部部材72のy方向の中心に配置された後は、電池9は、傾斜面710および720に挟まれることによってより安定する。
[第8の実施形態]
図51は、本発明の第8の実施形態にかかる電池トレイ8の概略構成を示す分解斜視図である。電池トレイ8は、第1部材81と、第2部材82と、第3部材83とを備えている。
第3部材83は、上部が開口した箱型形状を有する。後述するように、第3部材83は、この開口した部分に電池を収納できるように構成されている。第1部材81および第2部材82は、第3部材83のこの開口部分の内部に、互いに対向するように配置される。本実施形態では、第1部材81と第2部材82とは、平面視において重ならない。第1部材81と第3部材83とは、ネジ891およびナット892によって固定される。同様に、第2部材82と第3部材83とは、ネジ891およびナット892によって固定される。
図52は、電池トレイ8の平面図である。図53は、図52のA−A線に沿った断面図である。第1部材81は、第1部材81をz方向に貫通する固定用孔813を備えている。同様に、第2部材82は、第2部材82をz方向に貫通する固定用孔823を備えている。図53に示すように、固定用孔813および823には、ネジ891の頭部が突出しないようにザグリ加工がされている。
第3部材83は、y方向に沿って延びて形成された固定用孔833を備えている。固定用孔833のx方向の幅は、ネジ891の径よりも大きく、ナット892の径よりも小さい。固定用孔813および833にネジ891を挿入し、ネジ891とナット892とを締結することによって、第1部材81と第3部材83とを固定することができる。第2部材82と第3部材83とも同様にして固定することができる。
固定用孔833はy方向に沿って延びた形状をしているため、第1部材81および第2部材82を、y方向の位置を変えて固定することができる。これによって、第1部材81と第2部材82の間隔S9を、任意に調整することができる。
図54は、電池トレイ8に電池9を収納した状態を示す平面図である。図54に示すように、電池トレイ8は、複数(図54の例では8つ)の電池9を収納することができる。
図55は、図54のA−A線に沿った断面図である。図55に示すように、第3部材83は、複数の底面部835を備えている。複数の底面部835のそれぞれは、底面部835の中心からx方向の外側に向かうにつれて高さが高くなる傾斜面である。電池9が底面部835の傾斜面を滑ることによって、電池9がx方向においてセンタリングされる。また、電池9が底面部835のx方向の中心に配置された後は、電池9は、底面部835に挟まれることによってより安定する。
なお、第3部材83には、後述する位置決め用治具を挿入するための位置決め用孔834が形成されている。
図56は、電池トレイ8の構成から、一つの電池9の近傍を抜き出して示す図である。第1部材81は、電池トレイ1の第1部材11と同様に、規制部811aおよびテーパー811bを備えている。同様に、第2部材82は、規制部821aおよびテーパー821bを備えている。
テーパー811bおよび821bによって、電池9をスムーズに挿入することができる。
電池トレイ8も、電池トレイ1と同様に、第1部材81および第2部材82をy方向にスライドさせて規制部811aと規制部821aとの間隔を変えることによって、任意の寸法の電池9を収納することができる。図56、図57および図58は、互いに寸法の異なる電池を、電池トレイ8に収納した状態を示す平面図である。
図56は、幅L、厚さtの電池9を、電池トレイ8に収納した状態を示す平面図である。規制部811aは、電池9と点P43および点P44の2点で接し、規制部821aは、電池9と点45および点P46の2点で接している。このときの第1部材81と第2部材82との間隔をS9とする。
図57は、電池9とは異なる幅L1(L1<L)を有する電池9Aを、電池トレイ9に収納した状態を示す平面図である。この場合も、規制部811aは、電池9と点P47および点P48の2点で接し、規制部821aは、電池9と点49および点P50の2点で接する。具体的には、第1部材81と第2部材82との間隔はS10(S10<S9)になる。
図58は、電池9とは異なる厚さt1(t1>t)を有する電池9Bを、電池トレイ8に収納した状態を示す平面図である。この場合も、規制部811aは、電池9と点P51および点P52の2点で接し、規制部821aは、電池9と点P53および点P54の2点で接する。具体的には、第1部材81と第2部材82との間隔はS11(S11>S9)になる。
第1部材81および第2部材82の位置調整は、以下に説明するような、調整用治具88を用いて行うことができる。図59は、電池トレイ8に調整用治具88を配置した状態を示す平面図である。図59では、調整用治具88にハッチングを付して示している。図60は、図59のA−A線に沿った断面図である。
調製用治具88は、本体部881と、接続部882と、接続部882に形成された2つの突部883とを備えている。本体部881の平面形状は、電池トレイ8に収納する電池9の平面形状と概略等しくなるように形成されている。
まず、2つの突部883を、第3部材83の隣接する2つの位置決め用孔834に差し込む。これによって、調整用治具88を、第3部材83に、位置規制された状態で固定することができる。
次に、規制部811aを本体部881に当接させた状態で、第1部材81を第3部材83に固定する。同様に、規制部821aを本体部881に当接させた状態で、第2部材82を第3部材83に固定する。第1部材81および第2部材82を第3部材83に固定した後、調整用治具88を撤去する。
このように、電池9の品種に応じて調整用治具881を用意しておけば、品種ごとの位置調整を、簡易かつ正確に行うことができる。
なお、上記の例では、第1部材81と第2部材82とは、第3部材83の中心に対して対称となるように配置されている。しかし、第1部材81と第2部材82とは、対称に配置されなくても良い。例えば、第1部材81および第2部材82の一方を固定して、他方だけを動かすことによって、第1部材81と第2部材82との間隔を調整しても良い。また、規制部811aと規制部821aとは、互いに非対称な形状を有していても良い。
[第8の実施形態の変形例]
図61は、第8の実施形態の変形例にかかる電池トレイ8Aの概略構成を示す断面図である。電池トレイ8Aは、電池トレイ8の構成に加えて、高さ調整部材87をさらに備えている。
高さ調整部材87は、第1部材81と第3部材83との間、および第2部材82と第3部材83との間に配置される。高さ調整部材87は、y方向において、第3部材83の中心から外側に向かって高さが高くなっている。第1部材81は、第1部材81の底面が高さ調整部材87の傾斜面に接触するように配置されている。同様に、第2部材82は、第2部材82の底面が高さ調整部材87の傾斜面に接触するように配置されている。
本変形例によれば、高さ調整部材87のy方向の位置を変えることによって、第1部材81および第2部材82の高さを調整することができる。これによって、電池トレイ3Bと同様に、第1部材81および第2部材82の上面から電池9の上面が突出する量を調整することができる。
[電池の製造方法]
以下、電池の製造方法の概略を説明する。本発明の各実施形態にかかる電池トレイは、下記の各工程間における、電池の搬送および保管に使用することができる。また、電池を電池トレイに収納したままで、下記の各工程を実施することもできる。このとき、工程ごとに異なる電池トレイに移し替えてもよいし、一つの電池トレイに収納した状態で複数の工程を実施しても良い。
図62は、本発明の一実施形態にかかる電池の製造方法の概略を示すフローチャートである。まず、発電要素を外装体となる缶体に挿入する(ステップS1)。発電要素は例えば、シート状の正極と負極とを、セパレータを介して積層させた電極積層体である。発電要素はあるいは、帯状の正極と負極とを、セパレータを介して重ねて捲回させた電極捲回体である。本発明において、正極、負極、およびセパレータの種類は特に限定しない。
次に、缶体の蓋を溶接し、電池をシールする(ステップS2)。続いて、缶体の注液口から電解液を注液する(ステップS3)。その後、電解液を発電要素に十分に浸透させるためにエージングを行う(ステップS4)。
エージング後、予備充電を行う(ステップS5)。予備充電は、例えば最大容量の20%程度の容量になるように充電する。予備充電の後、再びエージングを行う(ステップS6)。その後、放電を行い、必要に応じて缶体内に発生した分解ガスを放出する。最後に、最大容量まで充電を行う(ステップS7)。
以上、本発明の一実施形態にかかる電池の製造方法の概略を説明した。本発明の各実施形態にかかる電池トレイは、上記の工程のうち、注液工程(ステップS3)、予備充電工程(ステップS5)、および/または充電工程(ステップS7)において、特に好適に用いることができる。本発明の各実施形態にかかる電池トレイは、既述のように、寸法の異なる多品種の電池を、基準点に対して位置規制された状態で保持することが可能であるからである。これによって、例えば注液工程では、設備機器の注液ノズルの位置と電池の注液口の位置とを一致させることができる。また、(予備)充電工程では、設備機器の充電用電極と、電池の電極の位置とを一致させることができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明についての実施形態を説明したが、本発明は上述の各実施形態にのみ限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。
上記の各実施形態において例示したように、電池トレイは、第1部材に形成された第1規制部と、第2部材に形成された第2規制部とによって、電池を規制する。第1規制部は平面視において電池と2点以上で接し、第2規制部は平面視において電池と2点以上で接する。これによって、電池を安定して収納することができる。第1部材と第2部材との相対的な配置を変更することによって、寸法の異なる多品種の電池を収納することができる。
したがって、本発明の一実施形態にかかる電池トレイは、少なくとも以下の構成を備えていれば良い。電池トレイは、電池を収納する電池トレイであって、平面視において電池と2点以上で接する第1規制部を含む第1部材と、平面視において電池と2点以上で接する第2規制部を含む第2部材とを備え、第1部材と第2部材との間隔を変えることによって、寸法の異なる多品種の前記電池を収納する。
好ましくは、第1規制部と第2規制部とは、平面視において点対称に配置される。この構成によれば、第1規制部と第2形成部と中心と、電池の中心とを一致させることができる。
好ましくは、第1規制部は、平面視において前記第1規制部と前記第2規制部との対称中心を通る基準線に対称に形成された形状を有し、第2規制部は、平面視において基準線に対称に形成された形状を有する。この構成によれば、扁平形状の電池において、基準線と、電池の幅方向または厚さ方向とを一致させることができる。
また、本発明の一実施形態にかかる電池トレイは、第1貫通孔を含む第1部材と、第2貫通孔を含み、第1貫通孔と第2貫通孔とが部分的に重なるように配置される第2部材とを備える。第1貫通孔と第2貫通孔との重複部分は、平面視において電池と4点以上で接する。換言すれば、第1規制部および第2規制部は、第1貫通孔と第2貫通孔との重複部分に面して配置される。
また、本発明の一実施形態にかかる電池トレイは、第1部材と第2部材とが、平面視において重ならず、第1規制部と第2規制部とが対向するように配置される。