JP6041233B2 - 通信システムおよび通信装置 - Google Patents
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Description
本発明は、一般に、通信システムおよび通信装置に関する。より詳細には、本発明は、通信線に伝送信号を繰り返し送信する親機と、伝送信号に同期するように伝送信号に重畳される重畳信号を用いて互いに通信する複数の子機とが通信線に接続された通信システム、およびそれに用いる通信装置に関する。
従来から、通信線に対して親機および複数の通信端末が接続され、各通信端末と親機との間で通信を行う通信システムが広く普及している。この種の通信システムの一例として、親機が定期的に通信端末の状態を監視し、通信端末の状態に変化があった場合、その状態変化に対応する処理を行うように親機から他の通信端末に信号を送るシステムがある。このような通信システムは、たとえばJP1180690B(以下「文献1」という)、JP1195362B(以下「文献2」という)、JP1144477B(以下「文献3」という)に記載されている。
ただし、上記構成の通信システムは、そもそも照明器具等のオンオフ制御などに使用されるシステムであって通信速度が遅く、たとえばアナログ量のように比較的データ量の多い情報の伝送には不向きである。
そこで、親機から送出される伝送信号を用いて通信を行う通信端末とは別に、伝送信号に重畳される重畳信号を用いてより高速に通信を行う子機(重畳端末)を備えた通信システムが提案されている(たとえば文献4:JP2009−225328A参照)。
文献4に記載のシステムは、通信端末(文献4における「第1通信端末」)と子機(文献4における「第2通信端末」)とが通信線(伝送路)を共用するので、既設の通信システムに子機を増設することで容易に実現できる。文献4においては、通信端末同士は、親機を介して互いに通信し、子機同士は、親機を介すことなくピア・ツー・ピア(P2P)で直接通信する。
ところで、上記通信システムでは、伝送信号のうち親機−通信端末間の通信に使用されていない返信帯(信号返送期間)を重畳信号の重畳に用いることで、子機同士の第2プロトコルの通信が親機−通信端末間の第1プロトコルの通信に干渉することを回避する。文献4には、返信帯手前の割込帯(割込パルス期間)に擬似的な割込信号を発生し、返信帯において第1プロトコルの通信が行われることがないようにして、第2プロトコルの通信用の帯域を確保することの記載がある。
しかし、文献4に記載の通信システムにおいては、子機の台数が増えた場合に各子機が自由に通信を行うと、複数台の子機間で重畳信号の送信タイミングが重複し、通信線上で重畳信号同士の干渉が生じることがある。また、この場合に通信線上の通信トラフィックが増大するという問題もある。
本発明は、上記事由に鑑みて為されており、重畳信号同士の干渉を回避し、且つ通信トラフィックの増大を抑制できる通信システムおよび通信装置を提供することを目的とする。
本発明の通信システムは、第1プロトコルの信号である伝送信号を通信線に繰り返し送信する親機と、前記伝送信号に重畳される第2プロトコルの信号である重畳信号を用いて互いに通信する複数の子機とが前記通信線に接続された通信システムであって、前記伝送信号は、1フレームごとに時間軸方向において複数の区間に分かれており、前記複数の区間は、前記親機から前記第1プロトコルの送信データを伝送するための送信帯と、前記親機にて前記第1プロトコルの返送データを受信するためのタイムスロットである返信帯とを含み、前記複数の子機の各々は、各々に固有の識別子を含む確保要求を前記第2プロトコルに従って前記親機へ送信する要求部を有し、前記親機は、前記確保要求を受信する取得部と、前記送信帯において前記第1プロトコルに従って確保データを送信する確保部とを有し、前記確保データは、当該確保データが送信される前記送信帯後の最初の前記返信帯での前記返送データの送信を禁止することにより、当該返信帯を前記複数の子機同士の通信用に確保するデータであって、前記確保部は、前記取得部にて前記確保要求を受信すると、当該確保要求への応答として前記確保データを送信するように構成されていることを特徴とする。
本発明の通信装置は、第1プロトコルの信号である伝送信号を通信線に繰り返し送信する親機と、前記伝送信号に重畳される第2プロトコルの信号である重畳信号を用いて互いに通信する複数の子機とが前記通信線に接続された通信システムに、前記親機として用いられ、前記伝送信号は、1フレームごとに時間軸方向において複数の区間に分かれており、前記複数の区間は、前記第1プロトコルの送信データを伝送するための送信帯と、前記第1プロトコルの返送データを受信するためのタイムスロットである返信帯とを含んでおり、前記伝送信号を送信する伝送部と、前記複数の子機から、各子機に固有の識別子を含み前記第2プロトコルに従って送信される確保要求を受信する取得部と、前記送信帯において前記第1プロトコルに従って確保データを送信する確保部とを有し、前記確保データは、当該確保データが送信される前記送信帯後の最初の前記返信帯での前記返送データの送信を禁止することにより、当該返信帯を前記複数の子機同士の通信用に確保するデータであって、前記確保部は、前記取得部にて前記確保要求を受信すると、当該確保要求への応答として前記確保データを送信するように構成されていることを特徴とする。
(実施形態1)
本実施形態の通信システム100は、図1に示すように、親機1と、複数の子機2とが通信線10に接続されたシステムである。親機1は、第1プロトコルの信号である伝送信号を通信線10に繰り返し送信する。複数の子機2は、前記伝送信号に重畳される第2プロトコルの信号である重畳信号を用いて互いに通信する。
本実施形態の通信システム100は、図1に示すように、親機1と、複数の子機2とが通信線10に接続されたシステムである。親機1は、第1プロトコルの信号である伝送信号を通信線10に繰り返し送信する。複数の子機2は、前記伝送信号に重畳される第2プロトコルの信号である重畳信号を用いて互いに通信する。
前記伝送信号は、図3に示すように、1フレームごとに時間軸方向において複数の区間に分割されており、これら複数の区間は、送信帯103と返信帯104とを含んでいる。つまり、伝送信号は複数の区間に分割された時分割方式の信号からなる。送信帯103は、親機1から前記第1プロトコルの送信データを伝送するための区間である。返信帯104は、親機1にて前記第1プロトコルの返送データを受信するためのタイムスロットである。
複数の子機2の各々は、各々に固有の識別子を含む確保要求を前記第2プロトコルに従って親機1へ送信する要求部251を有する。
親機1は、前記確保要求を受信する取得部151と、送信帯103において第1プロトコルに従って確保データを送信する確保部152とを有する。前記確保データは、当該確保データが送信される送信帯103後の最初の返信帯104での前記返送データの送信を禁止することにより、当該返信帯104を複数の子機2同士の通信用に確保するデータである。
確保部152は、取得部151にて前記確保要求を受信すると、当該確保要求への応答として前記確保データを送信するように構成されている。
また、本実施形態の通信装置は、上述したように親機1と複数の子機2とが通信線10に接続された通信システム100に、親機1として用いられる。この通信装置(親機1)は、伝送部12と、取得部151と、確保部152とを有する。
伝送部12は、1フレームごとに、送信帯103と返信帯104とを含む複数の区間に分割された時分割方式の信号からなる前記伝送信号を送信する。送信帯103は、前記第1プロトコルの送信データを伝送するための区間である。返信帯104は、前記第1プロトコルの返送データを受信するためのタイムスロットである。
取得部151は、複数の子機2から、各子機2に固有の識別子を含み前記第2プロトコルに従って送信される確保要求を受信する。
確保部152は、上述したように、取得部151にて前記確保要求を受信すると、当該確保要求への応答として前記確保データを送信するように構成されている。
以下、本実施形態の通信システム100について図2を参照して詳しく説明する。
図2に例示する通信システム100は、2線式の通信線10に接続される親機1と、子機2および通信端末3とを備えている。この通信システム100では、基本的に、通信端末3は通信線10を伝送される伝送信号(第1プロトコルの信号)を用いて通信を行い、子機2は伝送信号に重畳される重畳信号(第2プロトコルの信号)を用いて通信を行う。重畳信号は、伝送信号に重畳される信号、つまり伝送信号に重なるように通信線10を伝送される信号であって、通信線10には伝送信号と重畳信号とを合成した信号が生じる。
図2は、オフィスビル等において照明器具(図示せず)を制御するための照明システムに、通信システムが適用された例を示している。図2の例では、親機1は各エリア(たとえば各フロア)に1台ずつ設けられ、各親機1に接続された通信線10に通信端末3および子機2が複数台ずつ接続されている。
また、親機1は、その上位装置となる省エネコントローラ(図示せず)に接続されている。省エネコントローラは、エリア(たとえばフロア)ごとに設けられており、上記通信システムを適用した照明システムの他、空調装置(図示せず)についても統括的に監視および制御を行う。複数のエリアの省エネコントローラは、ブラウザ機能を有したパーソナルコンピュータ(図示せず)にインターネットあるいはLAN(Local Area Network)などのネットワークを介して接続され、パーソナルコンピュータから監視可能に構成されている。
親機1は、いわゆる伝送ユニットであって、伝送信号を用いて各通信端末3と通信する機能、並びに重畳信号を用いて各子機2と通信する機能を有している。
複数の通信端末3は、親機1に対して通信線10を介して並列接続されている。親機1および通信端末3は、親機1から通信端末3へのデータ伝送と通信端末3から親機1へのデータ伝送とが時分割で行われる時分割多重伝送システム(以下、「基本システム」という)を構築する。以下ではまず、基本システムの概略構成について説明する。
基本システムにおいて、通信端末3は、壁スイッチ等のスイッチ(図示せず)から入力される監視入力を監視する監視用の端末と、リレー(図示せず)を有し負荷(ここでは照明器具)のオンオフ制御等を行う制御用の端末との2種類に分類される。本実施形態では、同一の通信線10に対し監視用の通信端末3と制御用の通信端末3とが複数台ずつ接続されている場合を例に説明する。ここで、通信端末3は予め個別に割り当てられた自身のアドレスを、各々のメモリ(図示せず)に記憶している。なお、監視用の通信端末3は、スイッチに限らず、人感センサや明るさセンサ等のセンサで自動的に発生する監視入力を監視する構成であってもよい。
通信装置である親機1は、図1に示すように、第1プロトコルに対応した(第1の)伝送通信部11と、上述したように伝送信号を送信する伝送部12と、通信端末3からデータを受信する受信部13と、記憶部14と、(第1の)制御部15とを備えている。また、本実施形態では、親機1は、通信端末3とだけでなく子機2との間でも通信可能なように、第2プロトコルに対応した(第1の)重畳通信部16をさらに備えている。制御部15は、伝送通信部11、伝送部12、受信部13、重畳通信部16の動作を制御する。本実施形態では、親機1は、マイコン(マイクロコンピュータ)を主構成とし、記憶部14に記憶されたプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。なお、図1では通信端末3の図示を省略している。
親機1は、監視用の通信端末3と制御用の通信端末3とをアドレスによって対応付けた制御テーブルを記憶部14に記憶している。ただし、たとえば監視用の通信端末3が複数回路のスイッチを有する場合、通信端末3に固有の端末アドレスだけでは、この通信端末3における複数回路のスイッチの各々を区別することができない。つまり、通信端末3に固有の端末アドレスには、この通信端末3における複数回路のスイッチが全て該当することになり、端末アドレスだけでは実際に操作された唯一のスイッチを特定することはできない。
そこで、監視用の通信端末3においては、実際に操作された唯一のスイッチを特定できるように、スイッチごとに負荷番号が割り振られ、通信端末3の端末アドレスの後に負荷番号が付加されたアドレスをスイッチ固有のアドレス(識別子)として用いる。同様に、制御用の通信端末3においてはリレーごとに負荷番号が割り振られ、通信端末3の端末アドレスの後に負荷番号が付加されたアドレスをリレー固有のアドレス(識別子)とする。制御テーブルでは、スイッチ固有のアドレスとリレー固有のアドレスとが一対一あるいは一対多に対応付けられる。
続いて、基本システムの動作について説明する。
親機1は、時分割方式の伝送信号を、通信線10に対して繰り返し送信する。伝送信号は、図3に示すように1フレームごとに時間軸方向において複数の区間に分割された形式の電圧波形からなる。すなわち、伝送信号は、予備割込帯101と、予備帯102と、送信帯103と、返信帯104と、割込帯105と、短絡検出帯106と、休止帯107との7つの区間(期間)からなる複極(±24V)の時分割多重信号である。
予備割込帯101は親機1が2次割込の有無を検出するための期間、予備帯102は割込帯105および短絡検出帯106に合わせて設定された期間であり、送信帯103は上述したように親機1が通信端末3にデータを伝送するための期間である。返信帯104は上述したように親機1が通信端末3からの返送データを受信するタイムスロットであり、割込帯105は親機1が後述の割込信号の有無を検出するための期間であり、短絡検出帯106は親機1が短絡を検出するための期間である。休止帯107は処理が間に合わないときのための期間である。
なお、親機1は、割込帯105で割込信号が検出された場合に、その後の最初の送信帯103、返信帯104で割込信号の発生元の通信端末3と通信を行う。そのため、本実施形態では、伝送信号における割込帯105から始まって返信帯104で終わる各期間を1フレーム(F1,F2,・・・)として説明する。ただし、本来、予備割込帯101と予備帯102とはスタートパルス、割込帯105と短絡検出帯106とはエンドパルスとして設定された区間であるので、予備割込帯101から短絡検出帯106までの期間を1フレームとしてもよい。この場合、休止帯107は、伝送信号のフレーム間のインターバルであり、伝送信号は、1フレームにインターバルを加えた期間ごとに、時間軸方向において複数の区間に分かれることになる。
親機1は、通常時は、モードデータが通常モードである伝送信号を送信し、この伝送信号の送信帯103に含まれるアドレスデータをサイクリックに変化させて通信端末3に順次アクセスする常時ポーリングを行う。常時ポーリングの際には、送信帯103に含まれるアドレスデータが自身のアドレスに一致した通信端末3は、この送信帯103に含まれるデータを受信し、その後の最初の(同一フレームの)返信帯104にて返送データを親機1に送信する。ここで、通信端末3は、伝送信号の返信帯104に同期した電流モードの信号(適当な低インピーダンスを介して通信線10を短絡することにより送出される信号)により返送データを送信する。なお、通信端末3の内部回路の電源は、通信線10を介して伝送される伝送信号を各通信端末3で整流し安定化することによって供給される。
一方、監視用の通信端末3は、監視入力を検出すると、伝送信号の割込帯105に同期して割込信号を発生する。以下、図2の通信システムにおいて、監視用の通信端末3で割込信号が発生した場合の基本システムの動作について、図3を参照して説明する。
親機1は、伝送信号の第1フレームF1の割込帯105にて監視用の通信端末3で発生した割込信号を検出すると(図3のS11)、伝送信号の送信帯103に含まれるモードデータを通常モードから割込ポーリングモードに切り替える。割込ポーリングモードにおいては、親機1は、伝送部12にて、アドレスの上位ビットからなる1回目の返送要求データを伝送信号の送信帯103で送信し(S12)、アドレス(上位ビット)をサイクリックに変化させながらアドレスサーチを行う。割込信号を発生した通信端末3は、返送要求データ中のアドレス(上位ビット)が自身のアドレスの上位ビットに一致していれば、第1フレームF1の返信帯104にて自身のアドレスの下位ビットを返送データとして親機1に送信する(S13)。これにより親機1は、第1フレームF1において割込信号を発生した通信端末3のアドレス(下位ビット)を、1回目の返送データとして受信部13にて受信することになる。
親機1は、割込信号を発生した通信端末3のアドレスを取得すると、そのアドレスを指定して、第2フレームF2の送信帯103にて通信端末3に対して伝送部12から2回目の返送要求データを送信する(S14)。通信端末3は、自身のアドレスを含む返送要求データを受信すると、これに応答して、第2フレームF2の返信帯104にて監視入力に対応したスイッチの負荷番号およびオンオフの別を含む監視データを返送データとして親機1に送信する(S15)。
親機1は、受信部13にて監視データからなる2回目の返送データを受信すると、この監視データに制御テーブル上で対応する制御用の通信端末3に対して、第3フレームF3の送信帯103にて制御データを送信する(S16)。制御データを受信した制御用の通信端末3は、制御データに従って照明器具をオンオフ制御する。
上述したように、基本システムでは、ポーリング・セレクティング方式のプロトコル(第1プロトコル)に従い、親機1を介して通信端末3同士(監視用の端末と制御用の端末)が通信を行うこととなる。
ところで、本実施形態に係る通信システムでは、重畳端末である子機2は、上記基本システムと通信線10を共用しつつ、伝送信号に同期するように伝送信号に重畳される重畳信号を用いて通信を行う。
子機2は、図1に示すように、メモリ21と、第2プロトコルに対応した(第2の)重畳通信部22と、第1プロトコルに対応した(第2の)伝送通信部23と、インタフェース部24と、(第2の)制御部25とを備えている。伝送通信部23は、少なくとも親機1からの伝送信号を受信可能である。
インタフェース部24には、後述する計測ユニット6等が接続される。制御部25は、重畳通信部22、伝送通信部23、インタフェース部24の動作を制御する。本実施形態では、子機2は、マイコン(マイクロコンピュータ)を主構成とし、メモリ21に記憶されたプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。
ここにおいて、重畳信号は、伝送信号に比べて、周波数が十分に高い信号であって(伝送信号の)1フレーム当たりに伝送可能なデータ量が十分に多い。そのため、重畳信号による通信は、伝送信号による通信に比べて通信速度を高速化でき、たとえばアナログ量のように比較的データ量の多い情報の伝送に適している。そこで、本実施形態では、子機2は、電圧、電流、電力等を計測する計測ユニット(多回路エネルギーモニタ)6の計測結果の伝送を行う。
具体的には、複数の子機2は、計測ユニット6に電気的に接続された監視用の端末と、計測ユニット6の計測結果を表示する表示パネル(フロア統合パネル)7に電気的に接続された表示用の端末とに分類されている。表示パネル7は、計測ユニット6の計測結果をたとえば表やグラフなどの種々の形式で表示する。以下では、表示用の子機2を第1子機201とし、監視用の子機2を第2子機202として説明する。
なお、本実施形態では、同一の通信線10に対し、第1子機201と第2子機202とが複数台ずつ接続されていると仮定する。ただし、少なくとも第2子機202が複数台あればよく、第1子機201は1台だけであってもよい。また、第1子機201は、ここでは表示パネル7と共通の筐体に収納されることで表示パネル7と一体化されているが、この構成に限らず、表示パネル7とは別の筐体に収納されインタフェース部24に表示パネル7が接続される構成であってもよい。反対に、第2子機202は計測ユニット6と別体であるが、この構成に限らず計測ユニット6と一体化されていてもよい。
上記構成によれば、第2子機202は、重畳信号を用いて計測ユニット6の計測結果をたとえば定期的に第1子機201に伝送し、表示パネル7に計測ユニット6の計測結果を表示させることができる。また、表示パネル7は、タッチパネルディスプレイ(図示せず)を有しており、ユーザからの操作入力を受け付けることで、ユーザの所望する情報を表示するように構成されている。そのため、第1子機201は、表示パネル7に対するユーザの操作入力に応じて要求を出し、この要求の応答として第2子機202から取得した計測ユニット6の計測結果を、表示パネル7に表示させることができる。
ここにおいて、子機2は、予め個別に割り当てられた自身のアドレスを、各々のメモリ21に記憶している。ただし、通信端末3と子機2とでは設定可能なアドレス領域が区別されている。以下では、通信システム全体として「1」〜「128」のアドレスが使用可能であって、そのうち「1」〜「64」までが通信端末3のアドレス領域、「65」〜「128」が子機2のアドレス領域として割り当てられている場合を想定して説明する。
なお、子機2に関しては、1台の子機2に複数台のセンサや負荷が接続されている場合、子機2に固有のアドレスが割り当てられるのではなく、センサあるいは負荷ごとに固有のアドレスが割り当てられている。つまり、たとえば4台のセンサ(計測ユニット6等)が接続された子機2には、「65」、「66」、「67」、「68」というように合計4つのアドレスが割り当てられることになる。
また、本実施形態の子機2は、伝送通信部23により、通信端末3と同様に親機1との間で伝送信号を用いて双方向に通信可能に構成されている。つまり、子機2は、重畳信号を用いた他の子機2との通信だけでなく、伝送信号による親機1との通信も可能である。
また、子機2は、基本システムで用いられる伝送信号を監視し、伝送信号のデータ伝送状況(以下、「ステート」という)を解析する機能を有している。ここでは、子機2は伝送通信部23にて伝送信号を監視する。子機2は、ステートの解析結果から重畳信号の重畳に適した重畳可能帯にあるか否かを判断し、重畳可能帯と判断されたタイミングで、重畳通信部22にて伝送信号に重畳信号を重畳する。すなわち、子機2は、親機1から通信線10に送出される伝送信号に同期して他の子機2と通信するように構成されている。そのため、親機1は、伝送信号を同期信号として利用することができ、重畳信号を用いた通信における同期をとるためだけの同期信号を送出する必要がない。
本実施形態においては、子機2は、伝送信号のうち返信帯104を重畳可能帯として、他の子機2との通信に用いる。返信帯104は、重畳信号が重畳されても第1プロトコルの通信に影響がなく、重畳信号も伝送信号の影響を受けにくい区間である。しかも、返信帯104は、予備割込帯101や予備帯102や休止帯107に比べて、伝送信号の電圧が一定に保たれている時間が長く、伝送信号の1フレームに占める割合が大きいので、重畳信号の重畳に適している。
さらに、詳しくは後述するが、子機2は割込帯105についても重畳可能帯として重畳信号の重畳に用いることがある。
その他の区間(予備割込帯101と予備帯102と送信帯103と短絡検出帯106と休止帯107)は、重畳信号が重畳されると第1プロトコルの通信に影響を与えやすい。また上記他の区間に重畳信号が重畳されると、重畳信号も親機1と通信端末3との間で授受される信号(送信データ)の影響を受けやすい。そのため、本実施形態では、返信帯104および割込帯105以外の区間は、重畳信号の重畳には使用されない区間(以下、「重畳不可帯」という)とする。
なお、伝送信号の立ち上がりおよび立ち下がりの期間も、高調波ノイズの影響や信号の電圧反転に伴う過渡応答の影響などにより、重畳信号を重畳するのに適していない。したがって、伝送信号は、返信帯104および割込帯105の中でも、区間の切り替わり(立ち上がり)後の所定時間(たとえば300μs)については、重畳不可帯となる。
子機2は、伝送信号のステートの解析結果に基づいて重畳可能帯か重畳不可帯かの判断を行い、重畳可能帯と判断されたときに限って重畳信号を送出するように構成されている。子機2は、このように伝送信号に同期して重畳可能帯にのみ重畳信号を重畳させることにより、共通の通信線10を使用する第1プロトコルの通信と第2プロトコルの通信との干渉を回避する。
ここで、子機2は、伝送するデータのデータ量が多く一度の重畳可能帯(返信帯104)内で送信しきれなかった場合には、当該重畳可能帯の終了に合わせて通信を中断し、次回の重畳可能帯に残りのデータを送信する。つまり、子機2は、送信側においては重畳可能帯に重畳できる長さにデータを分割し、受信側においては受信した重畳信号が分割送信されていた場合には結合して1つのデータにする。
なお、子機2への電源供給は、通信端末3と同様に親機1から通信線10を介して伝送される伝送信号を各子機2で整流し安定化することによって供給される方式(集中給電方式)によって為される。ただし、この構成に限らず、子機2への電源供給は、商用電源を各子機2で整流し安定化することによって供給される方式(ローカル給電方式)で為されてもよい。
ところで、本実施形態の通信システム100では、子機2は、上述のように伝送信号の返信帯104を他の子機2との通信に利用するので、返信帯104にて通信端末3から親機1に送信される返送データと重畳信号との干渉を回避する必要がある。
そこで、親機1は、伝送信号の送信帯103において、直後の返信帯104を子機2同士の通信用に確保するための確保データを、第1プロトコルに従って送信するように構成されている。ここでいう確保データは、送信された送信帯103後の最初の返信帯104での返送データの送信を禁止することにより、この返信帯104を子機2同士の通信用に確保するデータであって、たとえば特定の意味を持たない空パケットからなるダミーデータである。
つまり、通信端末3は、送信帯103に自己のアドレス(あるいは上位ビット)が含まれている場合にのみ返送データを送信するので、確保データが送信された送信帯103後の最初の返信帯104には、いずれの通信端末3も返送データを送信しない。したがって、親機1から確保データが送信された送信帯103後の最初の返信帯104は、通信端末3から返送データが送信されることなく、子機2同士の通信用に確保されることになる。
また、親機1が確保データを送信するためのトリガとしては、子機2から送信される確保要求が用いられる。つまり、親機1は、子機2からの確保要求を受信すると、この確保要求への応答として、伝送信号の送信帯103に同期して確保データを伝送通信部11から送信する。ここでいう確保要求は、子機2から第2プロトコルに従って送信されるデータであって、少なくとも送信元の子機2に固有の識別子(ここではアドレスとする)を含んでいる。
確保要求を送信した子機2は、確保データによって確保された返信帯104、つまり確保データが送信された送信帯103後の最初の返信帯104に、他の子機2に対して重畳信号にて制御データを送信する。したがって、この返信帯104においては、通信端末3からの返送データと重畳信号とが干渉することなく、子機2同士で通信することが可能になる。
さらに詳しく説明すると、親機1は、確保要求を検出すると、この確保要求の送信元の子機2用に返信帯104を確保するべく、確保データを送信する。通信端末3は、自ら割込信号を発生し、且つ割込信号発生後に親機1から返送要求データを受信するという条件を満たした場合にのみ、返信帯104での返送データの送信を行う。したがって、子機2が確保要求を発生した場合には、通信端末3は、自ら割込信号を発生する、という返送データの送信に必要な条件を満たさないので、返信帯104で返送データを送信することはない。その結果、返信帯104においては、確保要求を発生した子機2以外の通信端末3からの返送データの送信は禁止される。言い換えれば、返信帯104は、確保要求を発生した子機2での通信用に確保されることになる。
本実施形態に係る通信システム100においては、図1に示すように、親機1は、上述のように確保要求を受けて返信帯104を子機2同士の通信用に確保するために、取得部151および確保部152としての機能を制御部15に有している。取得部151は、子機2からの確保要求を受信するように構成されている。確保部152は、取得部151にて確保要求を受信すると、この確保要求への応答として送信帯103において確保データを第1プロトコルに従って送信するように構成されている。
また、子機2は、各々に固有の識別子を含む確保要求を、第2プロトコルに従って親機1へ送信する要求部251としての機能を、制御部25に有している。
上記構成によれば、要求部251からの確保要求は、送信元の子機2に固有の識別子を含んでいるので、親機1は、取得部151にて確保要求を受信することで、確保要求の送信元の子機2、つまり返信帯104の確保を要求している子機2を特定できる。そのため、親機1は、確保要求の送信元の子機2を特定した上で、この子機2の通信用となる返信帯104を確保データによって確保することができる。よって、子機2は、他の子機2との通信を行う際には、予め親機1に確保要求を送信することにより自身の通信用の返信帯104を確保できる。
また、本実施形態では、子機2は、上述したように伝送するデータのデータ量が多く1回の返信帯104で送信し切れない場合、次回以降の返信帯104に残りのデータを送信する。そこで、複数の子機2の各々は、複数の子機2のうちの他の子機2との通信に必要な伝送信号のフレーム数を表す所定データを、要求部251からの確保要求に含めて送信するように構成されている。
確保部152は、確保要求に含まれる所定データで表されるフレーム数の回数分、送信帯103の度に確保データを送信するように構成されている。つまり、確保部152は、子機2からの確保要求を受けると、この確保要求に含まれている所定データの表すフレーム数に応じて、確保データを送信する回数を決定する。言い換えれば、子機2間で送受信されるデータ量が多いほど確保データによって返信帯104が長く確保されるように、子機2間で送受信されるデータ量に応じて確保データの送信回数が可変となる。
たとえば1回の返信帯104で子機2間の通信が完了する場合には、確保部152は確保データの送信回数を1回とし、2回の返信帯104で子機2間の通信が完了する場合には、確保部152は確保データの送信回数を2回にする。これにより、1回の返信帯104で送信し切れない場合でも、子機2は、返信帯104にて通信端末3から親機1へ送信される返送データと重畳信号との干渉を回避しつつ、他の子機2との間で重畳信号を用いて通信することができる。
あるいは、親機1は、確保要求に含まれるフレーム数を、確保データの送信を開始するタイミングの判断に用いてもよい。つまり、親機1は、確保要求に含まれる所定データで表されるフレーム数によって、子機2同士の通信に占有されるフレーム数を把握できる。そこで、親機1は、子機2同士の通信に占有されるフレーム数よりも少ないフレーム数で完了するタスクがあれば、このタスクを優先的に実行し、タスクの完了後に確保データの送信を開始することで、すぐに終わる処理(タスク)を先に完了させることができる。
次に、本実施形態の通信システム100の動作について図4を参照して説明する。
本実施形態では、要求部251は、割込信号が確保要求を兼ねるように、割込帯105に同期して発生する割込信号を第2プロトコルに従って送信する(図4のS21)。つまり、通信端末3は割込帯105において割込信号を第1プロトコルに従って送信するのに対し、子機2は割込帯105において割込信号を第2プロトコルに従って送信することによって割込信号を確保要求と兼用する。
確保部152は、割込帯105で確保要求(割込信号)を受信すると、この割込帯105後の最初の送信帯103において確保データを送信するように構成されている。すなわち、確保部152は、確保要求を受信した割込帯105と同じ第1フレームF1の送信帯103において、確保データを送信する(S22)。
これにより、確保データが送信された送信帯103の直後の返信帯104は、子機2同士の通信用に確保され、確保要求を送信した子機2は、この(第1フレームF1の)返信帯104に重畳信号を用いて他の子機2と通信する(S23)。
さらに、図4の例では、確保要求の送信元の子機2は、他の子機2との通信に必要な伝送信号のフレーム数として、3フレームを要求するような確保要求を送信している。そのため、確保部152は、確保要求を受信した第1フレームF1と、その後の第2フレームF2および第3フレームF3にかけて、送信帯103ごとに確保データを送信する。要するに、確保部152は、第2フレームF2の送信帯103において確保データを送信し(S24)、子機2は、確保された第2フレームF2の返信帯104において重畳信号を用いて他の子機2と通信する(S25)。同様に、確保部152は、第3フレームF3の送信帯103において確保データを送信し(S26)、子機2は、確保された第3フレームF3の返信帯104において重畳信号を用いて他の子機2と通信する(S27)。
また、本実施形態では、要求部251は、自身の送信した確保要求と他の子機2からの確保要求との衝突の有無を検出し、当該衝突が検出された場合、待機時間経過後に確保要求を再送するように構成されている。具体的には、要求部251は、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)により、確保要求の衝突の検出を行う。要求部251は、確保要求の衝突時には、ランダムな待機時間の経過後に確保要求の送信を再開する。
ここではさらに、要求部251は、子機2ごとに予め割り当てられた優先度を確保要求に含めて送信し、自身の優先度よりも高い優先度を含む確保要求との衝突が検出された場合に、確保要求の再送を中止するように構成されている。ここで、要求部251は、たとえば確保要求の先頭から数ビット分を優先ビットとして用い、この優先ビットにて優先度を表すようにする。
重畳信号は伝送信号に重畳される電流モードの信号であるから、子機2が電流を引き込む状態にある「0」の優先ビットと、子機2が電流を引き込まない状態にある「1」の優先ビットとでは、「0」の優先ビットの方が優先度は高い。つまり、優先ビット「0」の重畳信号と、優先ビット「1」の重畳信号とが同時に通信線10に送出された場合、通信線10上に現れるデータは「1」ではなく「0」となる。そこで、子機2は、確保要求の送信時に、通信線10上の信号を監視し、自身の送信した確保要求との優先ビットの異同を確認し、両者が同じであれば自身の優先度が高いと判断し、確保要求の再送は行わない。
したがって、優先度の異なる複数の子機2が確保要求を同時に送信した場合には、親機1では、優先度の高い方の子機2からの確保要求が優先して採用されることになる。
なお、優先ビットは、確保要求における送信元の子機2の識別子(アドレス)の手前に設定されており、優先度が同じ複数の子機2が同時に確保要求を送信した場合には、識別子の先頭ビットが「0」である方(つまりアドレスが小さい方)の確保要求が優先される。ただし、複数の子機2が確保要求を送信するタイミングが一致していない場合など、優先度が判別不能な場合には、いずれの子機2も、確保要求同士の衝突が起きたと認識して、待機時間の経過後に確保要求を再送する。
以上説明した本実施形態の通信システム100によれば、親機1は、各子機2に固有の識別子を含み第2プロトコルに従って送信される確保要求を受信し、当該確保要求への応答として確保データを送信する。したがって、親機1は、確保要求の送信元の子機2を特定した上で確保データによって返信帯104を子機2同士の通信用に確保でき、結果的に、重畳信号同士の干渉を回避し、且つ通信トラフィックの増大を抑制できる、という利点がある。
すなわち、本実施形態の構成によれば、親機1は、どの子機2が通信を行うかを認識しないままに返信帯104の確保だけを行うのではなく、少なくとも返信帯104の確保を要求している子機2を特定した上で、この子機2のために返信帯104を確保できる。言い換えれば、親機1は、通信システム100内での重畳信号を用いた子機2同士の通信を統制するので、子機2が重畳信号を用いた通信を勝手に行うことはない。したがって、本実施形態の通信システム100は、同一の重畳可能帯(返信帯104)に複数の子機2が一斉にデータ送信を行うことによる重畳信号同士の干渉を回避できる。
言い換えれば、親機1は、子機2同士の通信の交通整理をするので、子機2の台数が増えても通信タイミングや通信の順番を制御できる。つまり、本実施形態では、親機1が通信の交通整理を行うので、子機2によって極端に待ち時間が長くなったり、通信できなかったりする不具合を回避できる。
なお、親機1は、子機2から第2プロトコルに従って送信される確保要求を受信する機能(取得部151)を有するからこそ、確保要求のような比較的長い処理を伝送信号の1フレームで完了することができる。
また、本実施形態の通信装置(親機1)によれば、上述したように、確保要求の送信元の子機2を特定した上で確保データによって返信帯104を子機2同士の通信用に確保できる。したがって、重畳信号同士の干渉を回避し、且つ通信トラフィックの増大を抑制できる、という利点がある。
また、伝送信号における複数の区間は、本実施形態のように、複数の子機2の各々で発生する割込信号の有無を検出するための割込帯105をさらに含むことが好ましい。この場合、要求部251は、割込信号が確保要求を兼ねるように、割込帯105に同期して発生する割込信号を第2プロトコルに従って送信することが望ましい。この構成によれば、子機2は、割込帯105で発生する割込信号が確保要求を兼ねるので、割込信号と確保要求とを別々に送信する場合に比べて、確保要求を迅速に送信することができる。
さらに、本実施形態のように、確保部152は、割込帯105で確保要求を受信すると、当該割込帯105後の最初の送信帯103において確保データを送信するように構成されていることがより望ましい。この構成によれば、子機2が確保要求を送信後すぐに確保データによって返信帯104が確保されるので、子機2で割込信号(確保要求)を発生後、子機2同士の通信を開始するまでに要する時間を短縮できる。
また、本実施形態のように、要求部251は、自身の送信した確保要求と複数の子機2のうちの他の子機2からの確保要求との衝突が検出された場合、待機時間経過後に確保要求を再送するように構成されていることがより望ましい。この構成によれば、偶々同一の割込帯105において複数の子機2が確保要求(割込信号)を送信することがあっても、要求部251は、確保要求同士の衝突(コリジョン)を解消できる。
さらに、要求部251は、複数の子機2について子機2ごとに予め割り当てられた優先度を確保要求に含めて送信し、自身の優先度よりも高い優先度を含む確保要求との衝突が検出された場合に、確保要求の再送を中止するように構成されていること望ましい。これにより、優先度の異なる複数の子機2が確保要求を同時に送信した場合には、親機1では、優先度の高い方の子機2からの確保要求が優先して採用されるので、確保要求が優先される子機2を予め設定することができる。したがって、複数の子機2が確保要求を同時に再送する事態が生じにくくなる。
また、複数の子機2の各々は、複数の子機2のうちの他の子機2との通信に必要な伝送信号のフレーム数を表す所定データを、要求部251からの確保要求に含めて送信するように構成されていることが望ましい。この構成によれば、親機1は、確保要求に含まれる所定データが表すフレーム数に基づいて、確保データの送信を開始するタイミングを判断することができ、たとえば子機2同士の通信よりも先にタスクを完了させることなどが可能になる。
さらにこの場合、確保部152は、確保要求に含まれる前記所定データで表されるフレーム数の回数分、送信帯103の度に確保データを送信するように構成されていることがより望ましい。これにより、子機2間で送受信されるデータ量に応じて確保データの送信回数が調節されるので、1回の返信帯104で送信し切れない場合でも、子機2は、確保データによって確保された返信帯104を用いて他の子機2と通信することができる。
ところで、本実施形態の他の例として、確保部152は、確保データにて確保された返信帯104において複数の子機2間で授受される重畳信号を監視し、重畳信号に含まれるエンドコードを検出するまで、送信帯103の度に確保データを送信する構成でもよい。
すなわち、子機2から他の子機2へ送信される重畳信号においては、送信データの最後にエンドコードが付加されている。親機1は、重畳通信部16にて通信線10上の重畳信号を解読可能であるから、重畳信号に含まれるエンドコードを検出することによって、子機2間で授受されるデータの区切りを判別することができる。確保部152は、エンドコードを検出するまでは、送信帯103の度に確保データを繰り返し送信するので、子機2間の通信が終了するまでは返信帯104は確保データにより子機2同士の通信のために毎回確保されることになる。確保部152は、エンドコードを検出すると確保データの送信を終了する。
この構成によれば、子機2は、他の子機2との通信に必要な伝送信号のフレーム数を表す所定データを、要求部251からの確保要求に含めて送信する必要がないので、確保要求のデータ長を短縮することができる。
(実施形態2)
本実施形態の通信システム100は、要求部251が、確保要求とは別に、割込信号を第1プロトコルに従って割込帯105で送信するように構成されている点で、実施形態1の通信システム100と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態の通信システム100は、要求部251が、確保要求とは別に、割込信号を第1プロトコルに従って割込帯105で送信するように構成されている点で、実施形態1の通信システム100と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
すなわち、子機2は、伝送通信部23にて伝送信号を用いた通信も可能であるから、通信端末3と同様に、割込帯105に同期して第1プロトコルに従って割込信号を発生することによって、その後の最初の返信帯104を自身と親機1との通信用に確保できる。したがって、子機2は、このようにして確保した返信帯104を確保要求の送信に用いることができる。そのため、割込信号は、実施形態1のように確保要求と兼用されるのではなく、確保要求とは別に送信されることになる。
本実施形態では、親機1は、割込帯105で割込信号を検出した場合、この割込帯105後の送信帯103において第1プロトコルに従って複数の子機2の各々へ返送要求を送信する。要求部251は、割込帯105で割込信号を送信後、送信帯103で返送要求を受信すると、この送信帯103後の最初の返信帯104で親機1へ確保要求を送信するように構成されている。
ここで、子機2は、実施形態1で説明したように、少なくとも各子機2に固有の識別子を含む確保要求を第2プロトコルに従って送信する。さらに、子機2は、他の子機2との通信に必要な伝送信号のフレーム数を確保要求に含めて送信するように構成されていてもよい。この場合、確保部152は、確保要求に含まれる前記フレーム数の回数分、送信帯103の度に確保データを送信するように構成されていることが望ましい。
次に、本実施形態の通信システム100の動作について図5を参照して説明する。
親機1は、伝送信号の第1フレームF1の割込帯105にて子機2で発生した割込信号を検出すると(図5のS31)、伝送信号の送信帯103に含まれるモードデータを通常モードから割込ポーリングモードに切り替える。割込ポーリングモードにおいては、親機1は、伝送部12にて、アドレスの上位ビットからなる返送要求データ(返送要求)を伝送信号の送信帯103で送信し(S32)、アドレス(上位ビット)をサイクリックに変化させながらアドレスサーチを行う。割込信号を発生した子機2は、返送要求データ中のアドレス(上位ビット)が自身のアドレスの上位ビットに一致していれば、第1フレームF1の返信帯104にて第2プロトコルに従って確保要求を親機1へ送信する(S33)。
親機1は、子機2から確保要求を取得すると、第2フレームF2の送信帯103にて、確保部152より確保データを送信する(S34)。これにより、確保データが送信された送信帯103の直後の返信帯104は、子機2同士の通信用に確保され、確保要求を送信した子機2は、この(第2フレームF2の)返信帯104に重畳信号を用いて他の子機2と通信する(S35)。
さらに、図5の例では、確保要求の送信元の子機2は、他の子機2との通信に必要な伝送信号のフレーム数として、2フレームを要求するような確保要求を送信している。そのため、確保部152は、第2フレームF2および第3フレームF3にかけて、送信帯103ごとに確保データを送信する。要するに、確保部152は、第3フレームF3の送信帯103においても確保データを送信し(S36)、子機2は、確保された第3フレームF3の返信帯104において重畳信号を用いて他の子機2と通信する(S37)。
また、本実施形態の他の構成例として、確保部152は、確保データにて確保された返信帯104において子機2間で授受される重畳信号を監視し、重畳信号に含まれるエンドコードを検出するまで、送信帯103の度に確保データを送信する構成であってもよい。この構成によれば、子機2は、他の子機2との通信に必要な伝送信号のフレーム数を、要求部251からの確保要求に含めて送信する必要がないので、確保要求のデータ長を短縮することができる。
なお、このように親機1がエンドコードを検出する構成では、子機2は、確保要求の送信を省略することも可能である。この場合、確保部152は、子機2からの割込信号を受けてアドレスサーチを行い、これに対して子機2同士が通信を開始した場合には、その後、エンドコードを検出するまで確保データを送信帯103の度に確保データを送信する。
以上説明した本実施形態の通信システム100によれば、要求部251が、確保要求とは別に、割込信号を第1プロトコルに従って割込帯105で送信するので、親機1は常時は割込信号のみ監視していればよい。つまり、親機1は、割込信号を受信した場合にのみ、第2プロトコルの確保要求を監視する状態に切り替わるように構成されていればよい。
また、本実施形態のように、親機1は、割込帯105で割込信号を検出した場合、この割込帯105後の送信帯103において第1プロトコルに従って子機2へ返送要求を送信することが好ましい。この場合、要求部251は、割込帯105で割込信号を送信後、送信帯103で返送要求を受信すると、この送信帯103後の最初の返信帯104で親機1へ確保要求を送信するように構成されていることが好ましい。
これにより、親機1は、割込信号を受けてすぐに確保要求を送信するのではなく、返送要求を子機2へ送信し、その応答として確保要求を受信することになる。したがって、複数の子機2が一斉に割込信号を発生した場合でも、親機1は、アドレスサーチにより特定の子機2を対象として確保要求を受けることができ、複数の子機2から一斉に確保要求が送信されることを回避できる。
その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
ところで、実施形態1の変形例として、通信システム100は以下のような構成を採用してもよい。
すなわち、変形例では、親機1は、割込帯105において複数の子機2からの確保要求同士の衝突が検出された場合、当該割込帯105後の送信帯103において第1プロトコルに従って複数の子機2へ返送要求を順次送信する。要求部251は、割込帯105で確保要求を発生後、送信帯103で返送要求を受信すると、当該送信帯103後の最初の返信帯104で親機1へ確保要求を再送するように構成されている。
要するに、複数の子機2から第2プロトコルに従って送信される確保要求同士の衝突が生じた場合、この確保要求のデータ(子機2の識別子、フレーム数など)は壊れるものの、親機1は、いずれかの子機2から確保要求が送信されたことは認識できる。そこで、この変形例では、親機1は、まず割込帯105において複数の子機2からの確保要求同士の衝突の有無を検出する機能を有している。そして、親機1は、割込帯105において複数の子機2からの確保要求同士の衝突を検出した場合、この確保要求を第1プロトコルの割込信号と同様に扱い、その後、実施形態2で説明したように返送要求を送信しアドレスサーチを行う。確保要求を送信後、送信帯103で自身宛ての返送要求を受信した子機2は、実施形態2で説明した場合と同様に、この送信帯103後の最初の返信帯104で親機1へ確保要求を送信する。
この変形例によれば、確保要求同士の衝突が生じた場合の措置が親機1によって為されるので、子機2による措置が不要になるという利点がある。
なお、上記各実施形態および変形例で説明した個々の構成は、上述した組み合わせに限らず、適宜組み合わせて適用可能である。
Claims (12)
- 第1プロトコルの信号である伝送信号を通信線に繰り返し送信する親機と、前記伝送信号に重畳される第2プロトコルの信号である重畳信号を用いて互いに通信する複数の子機とが前記通信線に接続された通信システムであって、
前記伝送信号は、1フレームごとに時間軸方向において複数の区間に分かれており、前記複数の区間は、前記親機から前記第1プロトコルの送信データを伝送するための送信帯と、前記親機にて前記第1プロトコルの返送データを受信するためのタイムスロットである返信帯とを含み、
前記複数の子機の各々は、各々に固有の識別子を含む確保要求を前記第2プロトコルに従って前記親機へ送信する要求部を有し、
前記親機は、前記確保要求を受信する取得部と、前記送信帯において前記第1プロトコルに従って確保データを送信する確保部とを有し、前記確保データは、当該確保データが送信される前記送信帯後の最初の前記返信帯での前記返送データの送信を禁止することにより、当該返信帯を前記複数の子機同士の通信用に確保するデータであって、
前記確保部は、前記取得部にて前記確保要求を受信すると、当該確保要求への応答として前記確保データを送信するように構成されている
ことを特徴とする通信システム。 - 前記伝送信号における前記複数の区間は、前記複数の子機の各々で発生する割込信号の有無を検出するための割込帯をさらに含み、
前記要求部は、前記割込信号が前記確保要求を兼ねるように、前記割込帯に同期して発生する前記割込信号を前記第2プロトコルに従って送信するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。 - 前記確保部は、前記割込帯で前記確保要求を受信すると、当該割込帯後の最初の前記送信帯において前記確保データを送信するように構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の通信システム。 - 前記要求部は、自身の送信した前記確保要求と前記複数の子機のうちの他の子機からの前記確保要求との衝突が検出された場合、待機時間経過後に前記確保要求を再送するように構成されている
ことを特徴とする請求項2または3に記載の通信システム。 - 前記要求部は、前記複数の子機について子機ごとに予め割り当てられた優先度を前記確保要求に含めて送信し、自身の前記優先度よりも高い前記優先度を含む前記確保要求との衝突が検出された場合、前記確保要求の再送を中止するように構成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の通信システム。 - 前記親機は、前記割込帯において前記複数の子機からの前記確保要求同士の衝突が検出された場合、当該割込帯後の前記送信帯において前記第1プロトコルに従って前記複数の子機へ返送要求を順次送信し、
前記要求部は、前記割込帯で前記確保要求を発生後、前記送信帯で前記返送要求を受信すると、当該送信帯後の最初の前記返信帯で前記親機へ前記確保要求を再送するように構成されている
ことを特徴とする請求項2または3に記載の通信システム。 - 前記伝送信号における前記複数の区間は、前記複数の子機の各々で発生する割込信号の有無を検出するための割込帯をさらに含み、
前記要求部は、前記確保要求とは別に、前記割込信号を前記第1プロトコルに従って前記割込帯で送信するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。 - 前記親機は、前記割込帯で前記割込信号を検出した場合、当該割込帯後の前記送信帯において前記第1プロトコルに従って前記複数の子機の各々へ返送要求を送信し、
前記要求部は、前記割込帯で前記割込信号を送信後、前記送信帯で前記返送要求を受信すると、当該送信帯後の最初の前記返信帯で前記親機へ前記確保要求を送信するように構成されている
ことを特徴とする請求項7に記載の通信システム。 - 前記複数の子機の各々は、前記複数の子機のうちの他の子機との通信に必要な前記伝送信号のフレーム数を表す所定データを、前記要求部からの前記確保要求に含めて送信するように構成されている
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の通信システム。 - 前記確保部は、前記確保要求に含まれる前記所定データで表されるフレーム数の回数分、前記送信帯の度に前記確保データを送信するように構成されている
ことを特徴とする請求項9に記載の通信システム。 - 前記確保部は、前記確保データにて確保された前記返信帯において前記複数の子機間で授受される前記重畳信号を監視し、当該重畳信号に含まれるエンドコードを検出するまで、前記送信帯の度に前記確保データを送信するように構成されている
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の通信システム。 - 第1プロトコルの信号である伝送信号を通信線に繰り返し送信する親機と、前記伝送信号に重畳される第2プロトコルの信号である重畳信号を用いて互いに通信する複数の子機とが前記通信線に接続された通信システムに、前記親機として用いられ、
前記伝送信号は、1フレームごとに時間軸方向において複数の区間に分かれており、前記複数の区間は、前記第1プロトコルの送信データを伝送するための送信帯と、前記第1プロトコルの返送データを受信するためのタイムスロットである返信帯とを含んでおり、
前記伝送信号を送信する伝送部と、
前記複数の子機から、各子機に固有の識別子を含み前記第2プロトコルに従って送信される確保要求を受信する取得部と、
前記送信帯において前記第1プロトコルに従って確保データを送信する確保部とを有し、
前記確保データは、当該確保データが送信される前記送信帯後の最初の前記返信帯での前記返送データの送信を禁止することにより、当該返信帯を前記複数の子機同士の通信用に確保するデータであって、
前記確保部は、前記取得部にて前記確保要求を受信すると、当該確保要求への応答として前記確保データを送信するように構成されている
ことを特徴とする通信装置。
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