JP6040575B2 - 車両の側部車体構造 - Google Patents
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Description
すなわち、ホイールハウス部は車輪の近くに位置しており、車両の上下揺動に起因してホイールハウス部の閉断面部が開く方向に断面崩れして、車体剛性が低下しようとするが、上記樹脂製の補強部材により、閉断面部の断面崩れを防止し、車体剛性の低下を抑制することができる。
上記構成によれば、ホイールハウス部の閉断面部において断面変形が大きい上下方向を補強部材の上面部(または傾斜前面部)と下面部(または傾斜後面部)とで接着材を介して接合されたので、閉断面部の断面崩れをより一層良好に防止し、車体剛性の低下をさらに抑制することができる。
図面は車両の側部車体構造を示し、図1はその外観側面図、図2はホイールアーチおよびサイドシルアウタを取外した状態で示す図1の要部拡大側面図、図3は図2のA−A線矢視断面図、図4は図2のB−B線に沿う矢視図である。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車幅方向内方を示し、矢印OUTは車幅方向外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
このヒンジピラー2の上端部には、該上端部から後方かつ上方にスラント状に延びる閉断面構造のフロントピラー3を連結し、このフロントピラー3には、該フロントピラー3に連続して後方に延びる閉断面構造のルーフサイドレール4を設けている。
また、上述のサイドシル1の前後方向中間部とルーフサイドレール4とを上下方向に延びる閉断面構造のセンタピラー5で連結している。
そして、サイドシル1の前部と、ヒンジピラー2と、フロントピラー3と、ルーフサイドレール4の前部と、センタピラー5とで囲繞され、車体の側面部に位置する前席乗員乗降用の開口部6(いわゆるドア開口部)を設け、この開口部6をサイドドアとしてのフロントドア(図示せず)で開閉すべく構成している。
上述のリヤドア9よりも後方側には、車体側壁を構成するホイールハウス部10を設けている。このホイールハウス部10は図1,図2,図4に示すように、ホイールアーチ11とホイールハウスインナ12とにより形成された閉断面部13からなり、車幅方向外方に膨出するものである。
また、乗降用開口部8と後輪(図示せず)との間におけるホイールハウスインナ12は、図4に示すように、その車幅方向の内側から車幅方向の外側にかけて、縦壁部12a、車幅方向に延びる横壁部12b、アール形状の曲率部12c、縦壁部12d、ホイールアーチ11側の接合フランジ部11jに接合される接合フランジ部12eがこの順に一体形成されたものである。
さらに、図2,図3に示すように、上述のサイドシル1は、サイドシルインナ15と、サイドシルアウタレイン16(図2参照)と、サイドシルレイン17と、サイドシルアウタ18とを備え、これらを接合固定して車両の前後方向に延びるサイドシル閉断面19を形成している。
また、図2に示すように、サイドシルアウタレイン16の後端16aと、サイドシルレイン17の前端17aとを車両前後方向に所定量オーバラップさせ、これら両者(サイドシルアウタレイン16とサイドシルレイン17)をスポット溶接にて接合固定している。
同様に、図3に示すように、サイドシル1の下部においては、サイドシルレイン17の下側の接合フランジ部17fをサイドシルインナ15の下端部とサイドシルアウタ18の下端部とで挟持して、これら三者17,15,18をスポット溶接固定している。
また、上述のサイドシルレイン17は、サイドシル1の後端部においてサイドシルインナ15との間で車体の前後方向に延びるサイドシル閉断面19を構成し、ホイールアーチ11の前端部に近接する状態、詳しくは、後側の接合フランジ部17gを介してホイールハウスインナ12に接合固定された状態で設けられている。
さらに、上述のサイドシルアウタ18の後端部はホイールアーチ11の下端部と連続して、車体外板を形成し、サイドシルインナ15の後端部はホイールハウスインナ12の下端部と連続するように構成されている。
上述のリヤサイドフレームアッパ21はその断面が下向きハット形状に形成され、また、上述のリヤサイドフレームロア22はその断面が上向きハット形状に形成されている。上述のリヤサイドフレーム23は車両の前後方向に延びるリヤサイド閉断面24を備えた車体剛性部材である。
また、上述のリヤサイド閉断面24内には、トレーリングリンク取付けブラケット25が横架されており、リヤサイドフレームロア22の下片部中央には、トレーリングリンク取付け用の開口部26が形成されている。
図5は補強部材27単品の斜視図、図6は図5のC−C線矢視断面図であって、図5,図6に示すように、該補強部材27はホイールアーチ11とホイールハウスインナ12による閉断面部13の形状に対応して、ホイールアーチ11の横壁部11d側に位置する上面部27a(または傾斜前面部)と、ホイールハウスインナ12の横壁部12b側に位置する下面部27b(または傾斜後面部)と、これら上面部27aおよび下面部27bの後部上端を連結する上端部27cと、上面部27aおよび下面部27bの前部下端を連結する下端部27dと、補強部材27の車幅方向を二分する位置に設けられたコア部27eと、コア部27eを隔てて車幅方向内外に連続する複数のリブ27f,27f…と、を合成樹脂により一体化したものである。
上述の各リブ27fは各要素27a,27b,27eまたは各要素27a,27d,27eに連結一体化されており、かつ車幅方向に指向すると共に、互に平行になるように形成されている。
この補強部材27の鼓形状により後述する加熱発泡接着材30の発泡時における該補強部材27の位置ずれが防止される。
つまり、補強部材27の上面部27a、下面部27bに予め加熱発泡接着材30を塗布または配置しておき、補強部材27が配設された車体の電着塗装における乾燥工程の熱を利用して、加熱発泡接着材30を加熱発泡させた後に、固化させて、補強部材27をホイールアーチ11およびホイールハウスインナ12に接着接合させて、この補強部材27でホイールハウス部10を補強するものである。
また、図2に示すように、樹脂製の補強部材27の下端部27dは上述のサイドシルレイン17の上面部17cに、上記加熱発泡接着材30を用いる等して、結合されている。
すなわち、ホイールハウス部10は車輪(後輪)の近くに位置しており、車両の上下揺動に起因してホイールハウス部10の閉断面部13が開く方向に断面崩れして、車体剛性が低下しようとするが、上記樹脂製の補強部材27により、閉断面部13の断面崩れを防止し、車体剛性の低下を抑制することができる。
また、上記樹脂製の補強部材27の上面部27aと下面部27bとが上記閉断面部13に接着接合されたものである(図4参照)。
さらに、上記樹脂製の補強部材27の下端部27dが上記サイドシルレイン17の上面部17cに結合されたものである(図2参照)。
上述の軸部27hの車幅方向内側には、図12に示すように、該軸部27hの車幅方向内端から所定量車幅方向外方に延びる孔部27iを形成している。
上述の位置決めピン31のホイールハウスインナ12に対する取付け構造は、図13の(a)または図13の(b)に示すように構成する。
これらのボルト32,32は、図10に示すサイドシルレイン17の上面部17cに形成されたボルト挿通孔33,33から上方に向けて突出するもので、該ボルト32は、図11に示すように、その頭部32aがサイドシルレイン17の上面部17c下面に溶接固定されている。
上述の補強部材27の下端部27dには、図9,図11に示すように、上記ボルト32,32に対応して車幅方向の内端から車幅方向の外方に延びる2条の切込み部27j,27jを形成すると共に、コア部27eのボルト32,32と対応する位置にも切込み部27jと連続する切欠き部27k,27kを形成している。
なお、この実施例2においても、先の実施例1と同様に、樹脂製の補強部材27の上面部27aと下面部27bとが、加熱発泡接着材30を用いて、上述の閉断面部13に接着接合されるものである。
このように、図7〜図13で示した実施例2の車両の側部車体構造は、上記樹脂製の補強部材27の下端部27dが上記サイドシルレイン17の上面部17cに結合されたものである(図7,図11参照)。
また、上記サイドシルレイン17の上面部17cには該上面部17cから上方へ突出するボルト32を設け、上記補強部材27の下端部27dには該ボルト32に対応して車幅方向の内端から車幅方向の外方に延びる切込み部27jを形成し、該切込み部27jを上記ボルト32に装着し、補強部材27の下端部27dから上方に突出したボルト32の突出部にナット34を締結して、サイドシルレイン17と補強部材27とを結合したものである(図11参照)。
図7〜図13で示したこの実施例2においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例1とほぼ同様であるから、図7〜図13において、前図と同一の部分には、同一符号を付してその詳しい説明を省略する。
この発明の乗降用開口部は、実施例の後席乗員乗降用の開口部8に対応し、
以下同様に、
サイドドアは、リヤドア9に対応し、
サイドシルとの間で車体の前後方向に延びる閉断面は、サイドシル閉断面19に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、実施例で示した平行なリブ27f…に代えて、格子状のリブやハニカム形状のリブ構造を採用してもよい。
8…開口部(乗降用開口部)
9…リヤドア(サイドドア)
10…ホイールハウス部
11…ホイールアーチ
12…ホイールハウスインナ
13…閉断面部
17…サイドシルレイン
17c…上面部
19…サイドシル閉断面(閉断面)
27…補強部材
27a…上面部
27b…下面部
27d…下端部
27j…切込み部
30…接着材
32…ボルト
34…ナット
Claims (2)
- 車体の側面部に形成された乗降用開口部を開閉するサイドドアと、
上記サイドドアよりも後方側の車体側壁を構成すると共に、ホイールアーチとホイールハウスインナとにより形成された閉断面部からなり車幅方向に膨出するホイールハウス部と、
車体の側辺部において前後方向に延びると共に、後端部がホイールアーチの下端部に接続されるサイドシルと、
上記サイドシルの後端部に該サイドシルとの間で車体の前後方向に延びる閉断面を構成し、上記ホイールアーチの前端部に近接する状態で設けられたサイドシルレインと、
を備えた車両の側部車体構造であって、
上記ホイールアーチと上記ホイールハウスインナとにより形成された閉断面部内に樹脂製の補強部材が接着材を介して接合され、
上記サイドシルレインの上面部には該上面部から上方へ突出するボルトを設け、
上記補強部材の下端部には該ボルトに対応して車幅方向の内端から車幅方向の外方に延びる切込み部を形成し、
該切込み部を上記ボルトに装着し、補強部材下端部から上方に突出したボルトの突出部にナットを締結して、サイドシルレインと補強部材とを結合した
車両の側部車体構造。 - 上記樹脂製の補強部材の上面部と下面部とが上記閉断面部に接着材を介して接合された
請求項1記載の車両の側部車体構造。
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