JP6039539B2 - リチウム二次電池及び該リチウム二次電池に使用可能な正極材料の製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池及び該リチウム二次電池に使用可能な正極材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、コスト性に優れたリチウム二次電池に関する。特に本発明は、LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)で表される化合物を正極に用いたコスト性に優れたリチウム二次電池に関する。更に本発明は、LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)の製造方法に関する。
NASICON型硫酸鉄LiFe(SOは、LiCoOやLiNiOのような高価なコバルトやニッケルを含まないため、これらに比べコスト性に優れたリチウム二次電池用正極として魅力的である。更に、600℃まで熱分解が無く安定な構造であることから、安全性の高いリチウム二次電池材料でもある。
特許文献1及び特許文献2は、リチウム源であるヨウ化リチウム(LiI)をアセトニトリル溶媒中で硫酸鉄[Fe(SO]と化学反応させることで、上記NASICON型硫酸鉄LiFe(SOが合成可能であることを報告している。しかしながら、この方法は、反応を溶媒中で行うため、目的物を大量に合成することができない。更に、反応の後処理として、数回にわたって溶媒を洗浄する操作が必要である。これらの理由から、NASICON型硫酸鉄LiFe(SOの合成には、コスト的な課題があると考えられる。また、この材料を正極に用いたリチウム二次電池では、放電電圧が3.6V程度であり、リチウム二次電池に広く用いられているLiCoOと比べると、電圧が低いという課題があった。
特開平9−35717号公報 特開平9−171828号公報
本発明は、リチウム二次電池用の正極材料を、従来に比べてコスト性に優れた方法で合成し、それを用いて高エネルギー密度を有するリチウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明のリチウム電池は、物質の構造中にリチウムイオンを含有するリチウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含む正極、金属リチウム、リチウム含有物質又はリチウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含む負極、及びリチウムイオン導電性を有する電解質を含み、前記リチウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質が、LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)を含む。
本発明では、前記正極は、カーボン粒子を更に含む。
本発明では、電解質は、リチウムイオンを含む有機電解質であることが好ましい。なお、本明細書において、電解質が溶液(液体)である場合を「電解液」とも称する。
更に、本発明は、LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)の製造方法に関する。この製造方法は、硫酸鉄、硫酸マンガン、及び硫酸リチウムを混合する工程と、得られた混合物を100℃以上350℃以下で固相反応させる工程とを含む。
上記製造方法の一実施形態では、固相反応させる工程は、真空中、アルゴン雰囲気中、又は窒素雰囲気中から選択される還元雰囲気下で焼成する工程を含む。
本発明によれば、リチウム二次電池用正極材料を従来に比べてコスト性に優れた方法で合成し、それを用いてリチウム二次電池を提供できる。
本発明のリチウム二次電池の構成を示す概略図である。 本発明の一実施形態のリチウム二次電池の構造を示す概略図である。 図2に示した本発明の実施形態のリチウム二次電池の充放電曲線を示す図である。
本発明は、リチウム二次電池、特に、正極の材料にLixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)[理論放電容量:128mAh/g(x=2、y=0.1の場合)]を含むものに関する。本明細書において、LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)を単に正極活物質とも称する。
本発明は、更に、上記LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)の製造方法に関する。
本発明は、LiFe(SO(0<x≦2)のFe部位の一部をMnに置換することで、リチウム二次電池の放電電圧が高くなることを見出したことに基づく。
本発明のリチウム二次電池及び害二次電池に使用する正極材料の製造方法において、特に好ましくは、LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)は、x=2であり、0<y0.2である。
(I)リチウム二次電池
まず、本発明のリチウム二次電池の実施形態について説明する。
本発明のリチウム二次電池は、正極、負極及び電解質を少なくとも含む。正極はリチウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含むものであり、負極は金属リチウム、リチウム含有物質、若しくはリチウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含むものであり、電解質はリチウムイオン導電性を有するものである。
本発明では、正極は、LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)を材料として含む。LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)は、後述するLixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)の製造方法に記載の手順で得ることができる。本発明において、特に好ましい化合物は、LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)において、x=2、0<y0.2のものである。
本発明のリチウム二次電池の正極は、LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)と、カーボン粉末のようなカーボン材料と混合したものを含むことが好ましい。
上述の正極は、例えば以下のような手段により調製することができるが、本発明はこれらに限定されない。
カーボン粉末(例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック粉末などカーボン類)、結着剤粉末(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)など)、及び、LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)を混合し、得られた混合物を有機溶剤(例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP))等の溶媒中に分散してスラリー状にした後、例えば銅箔又はアルミ箔のような金属箔上に塗布し、乾燥することにより、正極を調製できる。
別法として、前述のカーボン粉末、結着剤粉末、及び、LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)を混合し、次いでロールプレス機により圧延し、所定サイズに切り抜いてペレット状に成型することにより、正極を調製することもできる。
上記カーボン粉末、結着剤等は、例えば市販試薬として入手可能である。
また、LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)、及びカーボン粉末、の割合は、好ましくはLixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2):カーボン粉末=60:35〜90:5である。
本発明では、正極材料中のカーボン粉末と、LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)の均一性及び分散性を向上させ、二次電池の性能を改善するために、正極を製造する際に、カーボン粉末とLixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)を混合し、ボールミル等の粉砕機により粉砕混合し、得られたボールミル(BM)処理混合物に、更に結着剤粉末を混合した後、上記のように圧延成形して正極の電極を形成してもよい。
本発明では、LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)(正極活物質)を含む正極の導電性を向上させるために、正極活物質を導電材料であるカーボン粒子と混合し、ボールミルで粉砕混合するボールミル処理を行うことが好ましい。このようなボールミル処理により、より優れた電池特性を得ることができる。ボールミル処理の時間は20時間以下が好ましい。更に、ボールミル処理の時間は、12〜20時間がより好ましく、12〜18時間が更に好ましく、14〜16時間が特に好ましい。
ボールミル処理を行う場合の正極活物質とカーボン粒子の割合は、好ましくはLixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2):カーボン粒子=60:35〜90:5である。
本発明の正極は、リチウムイオンを含む有機電解質を電解質溶液として用いることができる。
負極は、金属リチウム、リチウム含有合金のようなリチウム含有物質、又はリチウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含むものであれば特に限定されない。例えば、負極の例としては、金属リチウムのシート、又は金属リチウムのシートをチタン等の金属箔に圧着したものなどを挙げることができる。このような金属リチウムのシートの負極は、金属リチウムをプレス機などでシート状に圧延して所望の形状に成形することで調製することができる。また、金属リチウムのシートを金属箔に圧着したものは、前記のように調製した金属リチウムのシートをチタン等の金属箔に圧着して調製することができる。
また、上記のような金属リチウム以外の負極材料には、負極活物質として、リチウムと合金化する金属(例えば、シリコン、スズ、鉛など)、又は、リチウムイオンの挿入及び脱離が可能な活物質材料(例えば、炭素材料、LiTi12など)(リチウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質)などを挙げることができる。これらの負極活物質を含む負極は、例えば、銅箔のような金属箔に、負極活物質とポリフッ化ビニリデン(PVdF)のような結着剤をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)のような有機溶媒に分散させたスラリーを塗布し、乾燥するというような方法で調製することができる。
負極を調製する際の負極活物質と結着剤の割合は、好ましくは負極活物質:結着剤=60:5〜90:2である。
電解質としては、リチウムイオン導電性を有する物質で電子導電性を有しない物質であれば、リチウムイオンを含む有機電解質を使用することができる。
電解質としては、LiAsF、LiBF、LiPF、LiAlCl、LiClOなどのリチウムイオンを含む金属塩を、例えば炭酸エチレン(EC)及び炭酸ジメチル(DMC)(体積比1:1)の混合溶媒、EC及び炭酸ジエチル(DEC)などのような混合溶媒、又は炭酸プロピレン(PC)のような単独溶媒に溶解した有機電解質を挙げることができる。
本発明のリチウム二次電池はまた、セパレータ、電池ケース等の構造材料などの他の要素を含むこともできる。これらの要素についても、従来公知の二次電池に用いられる各種材料が使用でき、特に制限はない。
上記のような正極、負極、電解質等を使用する電池は、コイン形、円筒形、ラミネート形など従来の形状で作製することができる。そして、これらの二次電池の製造方法も従来と同様の方法を用いることができる。
例えば、本発明のリチウム二次電池は、例えば、図1に示すような、正極及び負極と、これら両極に接する電解質からなる。本発明では、正極及び負極の間にセパレータが含まれていてもよい。有機電解質を、例えば、セパレータに電解質を含浸させて使用することもできる。
更に、図1には明記していないが、本発明のリチウム二次電池は、正極、負極、電解質、セパレータ等を被う電池ケース等を含むことができる。本発明では、LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)を正極の材料として用いることが好ましい。本発明では、LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)は、x=2であり、0<y0.2であることが特に好ましい。
より具体的な一実施形態としては、図2に示すようなコインセル型の二次電池として本発明を適用することができる。図2に示されるように、コインセル型の二次電池は、正極1及び負極3を含み、これらの電極の間に電解液を含浸したセパレータ2をさらに含む。さらに二次電池構造体は正極ケース4、ガスケット5、及び負極ケース6を含むことができる。この二次電池は、例えば、上記の正極1、負極3、及び電解液を含浸したセパレータ2を、正極ケース4及び負極ケース6に所望の通りに配置し、各構成要素を配置した両ケースを固定することで調製することができる。
(II)LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)の製造方法
正極活物質であるLixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)の合成方法を説明する。LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)は、以下の方法で得ることができる。
まず、硫酸鉄、硫酸マンガン、及び硫酸リチウムを、所望のリチウム:鉄:マンガンの化学量論比となるように秤量する。次いで、硫酸鉄及び硫酸マンガンを硫酸リチウムと混合する。混合方法は、特に限定されない。例えば乳鉢での混合、一般的な機械的混合などを用いることができる。得られた混合物を、所望の形状(例えばペレット状など)に成形し、真空中、アルゴン雰囲気中、窒素雰囲気中などの還元雰囲気下において、100〜350℃で、3〜20時間焼成する。焼成物を冷却して、LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)粉末を得ることができる。本発明において、LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)は、x=2、0<y0.2であることが特に好ましい。
得られたLixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)は、例えば、X線結晶回折法、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法などにより構造、組成等を確認することができる。
以下に図面を参照して、本発明のリチウム二次電池についての実施例を詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施例に示したものに限定されるものではなく、本発明の趣旨及び範囲を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
下記では、LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)の製造例、及び、実施例1〜9を示す。実施例1〜4は、有機溶媒を用いた有機電解質を使用してリチウム二次電池を作製した例であり、実施例5〜9は、ボールミル処理を施した正極を用いた例である。
(i)LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)の合成
(a)Li2Fe2-yMny(SO43(0<y2)の合成の検討
FeSO4・7H2O(関東化学、99.9%)を90℃で真空乾燥し、FeSO4・H2Oにした。MnSO4・5H2O(関東化学,99.0%)を300℃加熱し、無水のMnSO4にした。また、Li2SO4・H2O(関東化学,99.0%)は加熱して、無水のLi2SO4にした。
FeSO4・H2O、MnSO4及びLi2SO4を化学量論比で、FeSO4・H2O:MnSO4:Li2SO4=(2−y):y:1になるように秤量し、メノウ乳鉢にて30分間混合した。混合した粉末を15MPaにて圧着成形して、ペレットを作製した。作製したペレットを真空ガス置換炉において、大気圧よりマイナス100kPaの減圧下(真空)、50℃、100℃、200℃、300℃、350℃及び400℃のそれぞれの温度で、12時間焼成した。焼成後の粉末をX線回折により測定した。また、焼成後の粉末を高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法により測定し、粉末の元素比(Li:Fe:Mn:S)を求めた。それぞれの温度で得た焼成物が所望の化合物であるかどうかを検討した結果を表1に示す。表1に示す結果から100℃、200℃、300℃及び350℃の焼成温度でLi2Fe2-yMny(SO43(0<y2)の粉末が得られたことが分かる。得られた焼成物の回折ピークは出発原料である硫酸鉄、硫酸マンガン、及び硫酸リチウムに一致しないことを確認し、更に、ICPによりLi:Fe:Mn:Sの比が、目的化合物の比率と合っていることから、Li2Fe2-yMny(SO43粉末が得られたことが分かった。
Figure 0006039539
(実施例1〜4)
本実施例は、LiFe2−yMn(SOにおいて、y=0.1(実施例1)、y=0.15(実施例2)、y=0.2(実施例3)、及びy=0.25(実施例4)である。
以下の各実施例では、300℃で得られた粉末を用いて、リチウム二次電池を作成し、評価した。
(i)リチウム二次電池の作製
リチウム二次電池は、以下の手順で作製した。
正極は、LiFe2−yMn(SO、アセチレンブラック粉末(電気化学工業社製)、ケッチェンブラク(株式会社ライオン製)、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末(ダイキン社製)を70:20:5:5の重量比で、らいかい機を用いて十分に粉砕・混合し、次いで、ロール成形して、シートペレット状の電極(厚さ:0.2mm)を作製した。このシート状電極を直径13mmの円形に切り抜いた。負極は、市販の試薬であるリチウム箔(本城金属株式会社製)を、0.3mmの厚さまでプレスし、直径15mmの円形シート状に成型することによって作製した。電解質は、LiPFを1mol/Lの濃度でエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(EC:DMC=1:1)に溶解した溶液(キシダ化学株式会社製)を用いた。セパレータは、ポリプロピレン製のもの(セルガード社製)を用いた。
性能評価用テストセル(リチウム二次電池)は、図2に示すような2032コイン型のものを製造した。正極は、上記のペレット電極を正極ケース4にセットし、チタンメッシュ(ニラコ製)(図示せず)で覆い、その周縁部をスポット溶接により固定した。負極は、負極ケース6にチタンメッシュ(ニラコ製)(図示せず)をスポット溶接で固定し、その上にリチウムシートを圧着することにより固定して調製した。次に、ペレットを固定した正極ケースに、セパレータ2をセットし、さらにセパレータ2に電解質を注入し、リチウムシートを固定した負極ケースを被せ、コインセルかしめ機で正極ケース4及び負極ケース6をかしめることにより、ポリプロピレン製ガスケット5を含むコインセルを作製した。なお、リチウム二次電池の作製は、露点−50℃以下のドライルーム中で行った。
(ii)充放電試験
リチウム二次電池の充放電試験は、市販の充放電測定システム(北斗電工社製)を用いて、正極活物質重量当たりの電流密度で10mA/gを通電し、充電終止電圧4.4V、放電終止電圧3.0Vの電圧範囲で行った。電池の充放電試験は、25℃の恒温槽内(雰囲気は通常の生活環境下)で測定を行った。
本実施例で作製したリチウム二次電池の充放電曲線を、図3に示す。図より、LiFe1.9Mn0.1(SOは充放電が可能であり,初回放電容量87mAh/g(LiFe1.9Mn0.1(SO粉末重量当たりで規格化)、放電平均電位は4.0V及び3.8Vを示した。4.0Vの電位は、Mn3+/Mn2+に対応し、3.8Vの電位はFe3+/Fe2+に対応していると考えられる。表2に、50サイクル目、100サイクル目の容量維持率を示す。表2より、1サイクル当たり約0.3%程度の容量減少しか見られず、安定したサイクル特性を有していることが分かる。
(実施例5〜9)
実施例2で使用したLiFe1.85Mn0.15(SO粉末、アセチレンブラック粉末、及びケッチェンブラク粉末を、ボールミル(BM)で粉砕・混合すること(ボールミル処理)により、電池性能の改善を試みた。ボールミル(BM)処理の効果の性能評価を以下に示すように行った。
LiFe1.85Mn0.15(SO粉末、アセチレンブラック粉末、及びケッチェンブラク粉末(重量比70:20:5)をミキサー中で数分程度混合した。この混合物に、直径7mmのアルミナ製ボールを加え、12時間(実施例5)、14時間(実施例6)、16時間(実施例7)、18時間(実施例8)及び20時間(実施例9)のBM処理を行った。なお、いずれのBM処理の場合も、LiFe1.85Mn0.15(SO−アセチレンブラック−ケッチェンブラック混合物とボールの混合比率は、重量比で1:10とし、BM処理時の回転速度は300rpmとした。
得られたBM処理後のLiFe1.85Mn0.15(SO−アセチレンブラック−ケッチェンブラック混合物は、PTFEバインダーを更に加え、らいかい機で混合し、実施例1と同様にして作用極ペレットを作製した。このペレットを用いて、実施例1と同様にして、コインセルを作製した。また、充放電試験も、実施例1と同様に行った。
充放電試験の結果を、表2に示す。BM処理時間が、18h(18時間)までは実施例1に比べて特性が著しく改善した。また、16hのBM処理において、100サイクル後の放電容量維持率も95%の高い値を達成した。これは、BM処理により、LiFe1.85Mn0.15(SO粉末と炭素粉末材料との接触性が向上し、粉末間の界面抵抗が減少したためであると推察される。一方、20hのBM処理では、放電容量などの電池性能は16時間のBM処理と比べて低下した。これは、BM処理時の局所的な熱の発生により、LiFe1.85Mn0.15(SOの変性が起こったためであると考えられる。このように、本発明では、正極材料の活物質をBM処理することにより、電池性能が改善することが明らかとなった。
Figure 0006039539
(比較例)
比較例としてLiFe(SO粉末を用いた場合を検討した。
特許文献1の手法でLiFe(SO粉末を合成した。LiFe(SO粉末と、アセチレンブラック粉末及びケッチェンブラック粉末を、ボールミルで16時間粉砕混合(ボールミル処理)した材料を正極に用い、実施例7と比較した。
<LiFe(SOの調製>
まず、Fe(SOは、Fe(NH(SO・6HOを大気中、500℃で10時間熱処理することにより合成した。合成したFe(SOとLiIをモル比1:2となるように秤量し、乳鉢でよく混合した。Fe(SOとLiIの混合物をアセトニトリル溶媒に入れ、82℃で5時間の熱処理を行った。得られた粉末をアセトニトリル溶液で洗浄し、過剰のLiIを除去して、LiFe(SO粉末を得た。得られたLiFe(SO粉末、アセチレンブラック粉末、及びケッチェンブラック粉末を70:20:5の重量比で混合し、ボールミルで16時間粉砕混合(ボールミル処理)した。その混合粉末に、結着剤としてPTFE(ポリテトラフルオチレン)を混合し、ロール成形して正極ペレットを得た。
コインセルは、実施例1と同様にして作製及び評価を行った。その結果を、表3に実施例7と比較して示す。
本比較例による二次電池は、実施例7と比較して、初期特性およびサイクル特性の双方が実施例7の方がよい結果となった。
Figure 0006039539
以上のように、簡便に大量合成できる本発明の正極材料は、リチウム二次電池において優れた電池特性を示すことがわかった。従って、コスト性に優れ、更に充放電サイクル特性を有した高性能電池を提供できることが明らかになった。
本発明により、コスト性に優れたリチウム二次電池を作製することができ、本発明のリチウム二次電池は、様々な電子機器の駆動源等として使用することができる。
1 正極
2 セパレータ(電解質液を含浸)
3 負極
4 正極ケース
5 ガスケット
6 負極ケース

Claims (5)

  1. 物質の構造中にリチウムイオンを含有するリチウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含む正極、
    金属リチウム、リチウム含有物質又はリチウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含む負極、及び
    リチウムイオン導電性を有する電解質
    を含むリチウム二次電池であり、
    前記リチウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質が、LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)を含むことを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 前記正極は、カーボン粒子をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 前記電解質が、リチウムイオンを含む有機電解質であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウム二次電池。
  4. 硫酸鉄、硫酸マンガン、及び硫酸リチウムを混合する工程と、
    得られた混合物を100℃以上350℃以下で固相反応させる工程と
    を含む、LixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)の製造方法。
  5. 前記固相反応させる工程が、真空中、アルゴン雰囲気中、又は窒素雰囲気中から選択される還元雰囲気下で焼成する工程を含むこと特徴とする請求項に記載のLixFe2-yMny(SO43(0<x≦2、0<y2)の製造方法。
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