JP6038709B2 - 船外機の制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は船外機の制御装置に関し、より詳しくは船体に対するトリム角を調整可能なトリム角調整機構を備えた船外機の制御装置に関する。
従来より、船体に対するトリム角を調整可能なトリム角調整機構を備え、船舶が最高速度まで加速する場合に船体速度やエンジン回転数等に基づいてトリム角を制御することにより効率よく加速することが可能な船外機の制御装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許第3957137号公報
しかしながら、加速中にトリムアップを行うとプロペラ周辺にキャビテーション(空洞現象)が発生することがあり、これが加速性能に悪影響を及ぼすことがあった。
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、加速中にトリムアップを行ってもキャビテーションを可能な限り抑制し、加速性能を悪化させないようにした船外機の制御装置を提供することにある。
上記した課題を解決するために、請求項1にあっては、船体に取り付け可能であると共に、内燃機関で駆動されるプロペラと、前記船体に対するトリム角を調整可能なトリム角調整機構とを備えた船外機の制御装置において、前記内燃機関のスロットル開度の変化量を算出するスロットル開度変化量算出手段と、前記算出されたスロットル開度の変化量に基づいて前記船体が加速状態にあるか否か判断する加速状態判断手段と、前記船体の理論速度と実速度に基づいて前記プロペラのスリップ率を算出するスリップ率算出手段と、前記加速状態判断手段によって前記船体が加速状態にあると判断された場合、前記算出されたスリップ率が所定スリップ率未満となったとき前記トリム角が増加するように前記トリム角調整機構の動作を制御するトリム角制御手段とを備える如く構成した。
請求項に係る船外機の制御装置にあっては、前記スリップ率算出手段は、予め設定された前記船体のトローリング時の所定スリップ率に基づいてプロペラピッチを推定するプロペラピッチ推定手段と、前記推定されたプロペラピッチに基づいて前記船体の理論速度を算出する理論速度算出手段とを備えると共に、前記算出された理論速度と実速度に基づいて前記プロペラのスリップ率を算出する如く構成した。
請求項1にあっては、船体に対するトリム角を調整可能なトリム角調整機構を備えた船外機の制御装置において、内燃機関のスロットル開度の変化量を算出し、算出されたスロットル開度の変化量に基づいて船体が加速状態にあるか否か判断すると共に、船体が加速状態にあると判断された場合、船体の理論速度と実速度に基づき算出されたプロペラのスリップ率が所定スリップ率未満となったときトリム角が増加するようにトリム角調整機構の動作を制御する如く構成、即ち、プロペラのスリップ率に基づいてトリムアップを開始するようにしたので、加速中にトリムアップを行ってもキャビテーションを可能な限り抑制することができる。
請求項に係る船外機の制御装置にあっては、予め設定された船体のトローリング時の所定スリップ率に基づいてプロペラピッチを推定し、推定されたプロペラピッチに基づいて船体の理論速度を算出すると共に、算出された理論速度と実速度に基づいてプロペラのスリップ率を算出する如く構成したので、上記した効果に加え、船外機ごとにプロペラピッチを設定する必要がなく、また船外機が船体に搭載されて既に市場に出ているような場合であっても後からスリップ率を用いた制御を組み込むことも可能となる。即ち、スリップ率を算出するためにはプロペラピッチの値が必要となるが、プロペラピッチは船外機(船舶)ごとに異なるため、船外機ごとに予めプロペラピッチが分かっていなければならない。このため、スリップ率を用いた制御を組み込む場合には船外機ごとにプロペラピッチを設定する必要があると共に、既に船外機が船体に搭載されて例えば市場に出ている場合には後からスリップ率を用いた制御を組み込むことは困難である。しかしながら、プロペラピッチを推定することができれば、船外機ごとにプロペラピッチを設定する必要がなく、また船外機が船体に搭載されて既に市場に出ているような場合であっても後からスリップ率を用いた制御を組み込むことも可能となる。
この発明の実施例に係る船外機の制御装置を船体も含めて全体的に示す概略図である。 図1に示す船外機の部分断面拡大側面図である。 図1に示す船外機の拡大側面図である。 図1に示す電子制御ユニットのトリム角制御動作を示すフロー・チャートである。 図4フロー・チャートのトリム制御開始判定処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。 図4フロー・チャートのトリム制御処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。 図4から図6フロー・チャートの処理を説明するタイム・チャートである。 図4から図6フロー・チャートの他の処理を説明するタイム・チャートである。
以下、添付図面に即してこの発明に係る船外機の制御装置を実施するための形態について説明する。
図1はこの発明の実施例に係る船外機の制御装置を船体も含めて全体的に示す概略図である。
図1において符号1は船体(艇体)10と、船体10に搭載される船外機12とからなる船舶を示す。船外機12はスターンブラケット14およびチルティングシャフト16を介して船体10の後尾(船尾)10aに取り付けられる。
船外機12は内燃機関(以下「エンジン」という(図1では見えず))と、エンジンで駆動されるプロペラ18と、エンジンを覆うエンジンカバー20と、エンジンカバー20の内部空間であるエンジンルームに配置され、船外機12の動作を制御する電子制御ユニット(Electronic Control Unit。以下「ECU」という)22とを備える。ECU22はCPUやROM,RAMなどを備えたマイクロ・コンピュータからなる。
船体10の操縦席24付近には操船者(図示せず)によって回転操作自在なステアリングホイール26が配置される。また、同じく操縦席24付近には操船者の操作自在に配置されるシフト・スロットルレバー28が設けられる。シフト・スロットルレバー28は初期位置から前後方向に揺動操作自在とされ、操船者からの前進/後進指示と、エンジンに対する加速/減速指示を含むエンジン回転数の調節指示を入力する。
船体10の適宜位置にはGPS(Global Positioning System)信号を受信するGPS受信装置30が配置される。GPS受信装置30はGPS信号から得られる船舶1の位置情報を示す信号をECU22に対して出力する。
図2は船外機12の部分断面拡大側面図であり、図3は船外機12の拡大側面図である。
図2に示すように、船外機12にはスイベルケース40の内部に鉛直軸回りに回転自在に収容されるシャフト部42と、減速ギヤ機構46とマウントフレーム48を介してシャフト部42を駆動する転舵用電動モータ44が配置される。従って、転舵用電動モータ44でシャフト部42を回転させることによって船外機12はシャフト部42を転舵軸として左右(鉛直軸回り)に転舵される。
スイベルケース40の付近には船外機12の船体10に対するチルト角またはトリム角をチルトアップ/ダウンまたはトリムアップ/ダウンによって調整可能なパワーチルトトリムユニット(トリム角調整機構)50が配置される。パワーチルトトリムユニット50はチルト角調整用の油圧シリンダ50aとトリム角調整用の油圧シリンダ50bを一体的に備え、油圧シリンダ50a,50bを伸縮させることで、スイベルケース40がチルティングシャフト16を回転軸として回転させられ、船外機12はチルトアップ/ダウンまたはトリムアップ/ダウンさせられる。尚、油圧シリンダ50a,50bは船外機12に配置された図示しない油圧回路に接続され、作動油の供給を受けて伸縮させられる。
船外機12の上部にはエンジン52が搭載される。エンジン52は火花点火式の水冷ガソリンエンジンであり、排気量2200ccを備える。エンジン52は水面上に位置し、エンジンカバー20によって覆われる。
エンジン52の吸気管54にはスロットルボディ56が接続される。スロットルボディ56は内部にスロットルバルブ58を備えると共に、スロットルバルブ58を開閉駆動するスロットル用電動モータ60が一体的に取り付けられる。
スロットル用電動モータ60の出力軸は減速ギヤ機構(図示せず)を介してスロットルバルブ58に接続されるため、スロットル用電動モータ60を動作させることでスロットルバルブ58が開閉され、エンジン52の吸気量が調量されてエンジン回転数(機関回転数)が調節される。
エンジン52には可変バルブタイミング機構62(図3参照)が設けられる。可変バルブタイミング機構62は運転状態に応じて吸気バルブと排気バルブの開閉タイミングとリフト量を切り換えるものであり、ECU22からの駆動信号によって作動する。詳細な説明は省略するが、可変バルブタイミング機構62はECU22からの駆動信号によりエンジン回転数と負荷が高い高負荷運転時にはバルブタイミングとリフト量を比較的大きい値に切り換える一方、エンジン回転数と負荷が低い低負荷運転時にはバルブタイミングとリフト量を比較的小さい値に切り換える。これにより低回転域と高回転域それぞれにおいてバルブタイミングおよびリフト量を最適化し、低回転域のトルクと高回転域のパワーを両立させることができる。
船外機12は水平軸回りに回転自在に支持され、一端にプロペラ18が取り付けられてエンジン52からの動力をプロペラ18に伝達するプロペラシャフト64と、エンジン52とプロペラシャフト64の間に介挿され、1速、2速等の複数の変速段を有する変速機66を備える。
プロペラシャフト64の軸線64aはパワーチルトトリムユニット50の初期状態(トリム角が初期角度の状態)のときに船体10の進行方向に対して略平行となるように配置される。また、変速機66は複数の変速段を切り換え自在な変速機構68と、シフト位置を前進位置(フォワード位置)、後進位置(リバース位置)およびニュートラル位置に切り換え自在なシフト機構70からなる。
変速機構68はエンジン52のクランクシャフト(図示せず)に接続されるインプットシャフト72と、インプットシャフト72にギヤを介して接続されるカウンタシャフト74と、カウンタシャフト74に複数のギヤを介して接続されるアウトプットシャフト76とが平行に配置された平行軸式の有段式の変速機構である。
カウンタシャフト74には変速用の油圧クラッチや潤滑部に作動油(潤滑オイル)を圧送する油圧ポンプ78が接続される。インプットシャフト72、カウンタシャフト74、アウトプットシャフト76および油圧ポンプ78はケース80に収容されると共に、ケース80の下部は作動油を受けるオイルパン80aを構成する。
シフト機構70は変速機構68のアウトプットシャフト76に接続されると共に、鉛直軸と平行に配置されて回転自在に支持されるドライブシャフト70aと、ドライブシャフト70aに接続されて回転させられる前進ベベルギヤ70bおよび後進ベベルギヤ70cと、プロペラシャフト64を前進ベベルギヤ70bと後進ベベルギヤ70cのいずれかに係合自在とするクラッチ70dとからなる。
エンジンカバー20の内部にはシフト機構70を駆動するシフト用電動モータ82が配置され、その出力軸は減速ギヤ機構84を介してシフト機構70のシフトロッド70eの上端に接続自在とされる。従って、シフト用電動モータ82を駆動することによりシフトロッド70eとシフトスライダ70fが適宜に変位させられ、クラッチ70dが動作してシフト位置が前進位置、後進位置およびニュートラル位置の間で切り換えられる。
シフト位置が前進位置または後進位置のとき、変速機構68のアウトプットシャフト76の回転はシフト機構70を介してプロペラシャフト64に伝達されるため、プロペラ18は回転させられ、船体10を前進または後進させる方向の推力(推進力)を生じる。尚、船外機12はエンジン52に取り付けられたバッテリなどの電源(図示せず)を備え、この電源から各電動モータ44,60,82などに動作電源が供給される。
図3に示すように、スロットルバルブ58の付近にはスロットル開度センサ(スロットル開度変化量算出手段)90が配置され、スロットルバルブ58の開度(スロットル開度)THを示す出力を生じる。また、エンジン52のクランクシャフトの付近にはクランク角センサ94が取り付けられ、所定のクランク角度ごとにパルス信号を出力する。エンジン52の吸気管54の適宜位置には吸気圧センサ96が配置され、吸気管54内の絶対圧(エンジン負荷)を示す信号を出力する。
チルティングシャフト16の付近にはトリム角センサ(具体的にはロータリエンコーダなどの回転角センサ)98が配置され、船外機12のトリム角(船体10に対する船外機12のピッチ軸回りの回転角)に応じた出力を生じる。
尚、ECU22と各センサやGPS受信装置30とはNMEA(National Marine Electronics Association。米国船舶用電子機器協会)で規格された通信方式(例えばNMEA2000。具体的にはCAN(Controller Area Network))で通信自在に接続される。
また、ECU22は入力されたセンサ出力などに基づいて各電動モータ44,60,82の動作を制御すると共に、変速機66の変速制御とパワーチルトトリムユニット50でトリム角を調整するトリム角制御を行う。このように、この実施例に係る船外機12の制御装置は操作系(ステアリングホイール26やシフト・スロットルレバー28)と船外機12の機械的な接続が断たれたDBW(Drive By Wire)方式の装置である。
図4はECU22のトリム角制御動作を示すフロー・チャートである。図示のプログラムはECU22によって所定の周期ごとに実行される。
以下説明すると、先ずS10においてプロペラピッチを推定する。プロペラピッチとはプロペラ18が1回転するときに船体10の進むことのできる理論上の距離を示す値である。
プロペラピッチの推定はエンジン始動時に毎回行われるが、具体的には船体10のトローリング時、即ち、エンジン始動後の低速、低回転時の船体10の速度、エンジン回転数および減速比(いずれも実測値)と、予め実験等によって計測(設定)されたトローリング時の所定スリップ率に基づいて行われる。
プロペラピッチはプロペラ18の回転状態を示すスリップ率(滑り率)εを算出する式と船体10の理論速度Vaを算出する式に基づいて推定することができる。
スリップ率(滑り率)εは船体10の理論速度Vaと実速度Vに基づいて以下の式(1)により算出され、理論速度Vaはエンジン52や変速機66の運転状態、プロペラ18の仕様に基づき以下の式(2)により算出される。
スリップ率ε=(理論速度Va(km/h)−実速度V(km/h))/理論速度Va(km/h) ・・・式(1)
理論速度Va(km/h)=(エンジン回転数NE(rpm)×プロペラピッチ(インチ)×60×2.54×10−5)/(変速段の減速比) ・・・式(2)
従って、式(1)および(2)からプロペラピッチは以下の式(3)により算出(推定)することができる。
プロペラピッチ=(減速比×実速度V(km/h))/(エンジン回転数NE(rpm)×60×2.54×10−5×(1−スリップ率ε) ・・・式(3)
ここで、式(3)のスリップ率εは予め実験等によって計測されたトローリング時における所定スリップ率であり、例えば65%とされる。トローリング時のスリップ率は船外機12のタイプやサイズ等に関係なくほぼ一定であることが実験等によって確認されており、どの船外機12等であってもこのトローリング時のスリップ率を適用することができる。従って、エンジン始動後のトローリング時であれば、この所定スリップ率を用いてプロペラピッチを推定することができる。換言するとトローリング時のスリップ率が分かっているので、同じくトローリング時の船体10の実速度Vとエンジン回転数NE等が分かれば式(3)を用いてプロペラピッチを推定することができる。
具体的には例えばトローリング時、実速度Vが4km/h、エンジン回転数NEが650rpm、減速比が2.0のとき、プロペラピッチは式(3)に基づき23インチ(所定スリップ率65%)と推定される。尚、上記の通り、プロペラピッチの推定は毎回エンジン始動時に行われるが、より具体的にはエンジン始動後、ギヤインしてから船体10の速度が所定速度(例えば6km/h)またはエンジン回転数NEが所定回転数(例えば800rpm)に達するまでの平均値で算出し、この平均値を用いてプロペラピッチを推定する。換言すると船体10の速度が所定速度(例えば6km/h)を超えたとき、またはエンジン回転数NEが所定回転数(例えば800rpm)を超えたときはプロペラピッチの推定は終了する。
尚、式(1)で実速度VはGPS受信装置30の出力値(位置情報)から算出され、式(2)で変速段の減速比は変速機66において現在選択されている変速段の減速比であって例えば2速のときの減速比は1.9となる。また、60なる数値は1分間当たりのエンジン回転数NEを1時間当たりの値に換算するためのものであり、2.54×10−5なる数値はプロペラピッチをインチからキロメートルに換算するためのものである。
次いでS12に進み、トリム制御を開始すべきか否か、具体的にはトリムアップまたはトリムダウンを開始すべきか否かを判定するトリム制御開始判定処理を行う。
図5はトリム制御開始判定処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。先ずS100においてクランク角センサ94の出力値に基づきエンジン回転数NEを検出し、検出されたエンジン回転数NEが所定回転数NE1(例えば2500rpm)以上か否か判断する。
S100で否定されるときはS102に進み、トリムダウンフラグのビットを1にセットする。トリムダウンフラグはトリムダウンを開始するときに1にセットされるフラグであるため、S100とS102はエンジン回転数NEが所定回転数NE1未満のいわゆる低回転時はトリムダウンを開始させる処理である。
一方、S100で肯定されるときはS104に進み、スロットル開度センサ90の出力値に基づきスロットル開度THの所定時間当たりの変化量ΔTHを算出し、算出された変化量ΔTHが所定値ΔTH1以上か否か判断する。
S104は船体10が減速状態にないか否かを判断するための処理であるため、所定値ΔTH1は負値(例えば−2度)とされる。従って、S104で否定、即ち、変化量ΔTHが所定値ΔTH1未満と判断されるときは船体10は減速状態にあるため、S106に進んで船体10が加速状態でないことを示す加速中フラグのビットを0にリセットする。
一方、S104で肯定されるときはS108に進み、加速中フラグのビットが1か否か、即ち、船体10が加速状態か否か判断する。最初のプログラムルーでは通例加速中フラグのビットは0であるため、S108で否定されてS110に進み、スロットル開度THの変化量ΔTHが第2所定値ΔTH2以上かつスロットル開度THが所定開度TH1以上か否か判断する。S110は船体10が加速状態にあるか否かを判断するための処理であるため、例えば第2所定値ΔTH2は5度/ms、所定開度TH1は65度とされる。
S110で否定、即ち、船体10が加速状態にないと判断されるときはS114に進んで可変バルブタイミング機構62が作動したか否か判断する。可変バルブタイミング機構62を作動させるときはECU22から可変バルブタイミング機構62に対して駆動信号が出力されるので、この駆動信号の有無によって可変バルブタイミング機構62が作動したか否かを判断することができる。
S114で否定されるときは処理を終了する一方、肯定、即ち、船体10が加速状態にないとき(S110で否定)に可変バルブタイミング機構62が作動したときはS116に進んでトリムアップフラグのビットを1にセットする。トリムアップフラグはトリムアップを開始させるときに1にセットされるフラグである。
また、S110で肯定、即ち、スロットル開度変化量ΔTHが第2所定値ΔTH2以上かつスロットル開度THが所定開度TH1以上で船体10が加速状態と判断されたときはS112に進んで船体10が加速状態であることを示す加速中フラグのビットを1にセットする。
また、S108で肯定、即ち、加速中フラグのビットが1にセットされているとき、換言すると船体10が加速状態のときはS118に進み、プロペラ18のスリップ率εを算出すると共に、算出されたスリップ率εが所定スリップ率ε1以上か否か判断する。尚、スリップ率εは式(1)により算出されるが、このときS10の処理で算出(推定)されたプロペラピッチが用いられる。また、所定スリップ率ε1はスリップ率がそれ以上のときにプロペラ18のグリップ力が弱いと判断できるような値に設定され、例えば0.5(50%)とされる。
S118で否定、即ち、スリップ率εが所定スリップ率ε1未満、換言するとプロペラ18のグリップ力が比較的強い(スリップがそれ程発生していない)と判断されるときはS120に進んでトリムアップフラグのビットを1にセットする。即ち、S108,S118,S120は船体10が加速中であってもスリップ率εが所定スリップ率ε1未満のときはトリムアップを開始する処理である。
このように船体10が加速中であってもスリップ率εが所定スリップ率ε1未満のときに限ってトリムアップを開始するようにしているため、キャビテーションの発生を抑制することができる。
一方、S118で肯定されるときはS122に進んでエンジン回転数NEの所定時間当たりの変化量ΔNEを算出し、算出された変化量ΔNEが第1所定値ΔNE1(例えば200rpm/s)以下か否か判断する。
S122で否定されるときは処理を終了する一方、肯定されるときはS124に進み、吸気圧センサ96の出力値に基づき検出されたエンジン52の吸気圧PBの所定時間当たりの変化量ΔPBを算出し、算出された変化量ΔPBが既定値ΔPB1(例えば1kPa/s)以下か否か判断する。
S124で否定されるときは処理を終了する一方、肯定されるときはS126に進み、トリムアップフラグのビットを1にセットする。即ち、船体10が加速状態にあり(S108)、プロペラ18のスリップ率εが所定リップ率ε1以上(S118)であってもエンジン回転数NEの変化量ΔNEが第1所定値ΔNE1以下であり(S122)、吸気圧PBの変化量ΔPBが既定値ΔPB1以下のときはトリムアップフラグのビットを1にセットして、トリムアップを開始する。
図4フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS14に進み、トリム制御処理を行う。
図6はトリム制御処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。図6に示すように、先ずS200においてトリム状態フラグが停止か否か判断する。トリム状態フラグとはトリムの状態が停止状態、アップ状態またはダウン状態のいずれであるかを判定するためのフラグであり、停止、アップ、ダウンのいずれかに相当する値が入力される。
最初のプログラムループではトリム状態フラグは停止であるのでS200で肯定されてS202に進み、トリムアップフラグのビットが1か否か判断する。
S202で否定されるときはS204とS206の処理をスキップしてS208の処理へ進む一方、肯定されるときはS204に進んでトリム状態フラグをアップとした後、S206に進み、トリムダウンフラグのビットを0にリセットする。
次いでS208ではトリムダウンフラグのビットが1か否か判断し、否定されるときは以降の処理をスキップして処理を終了する一方、肯定されるときはS210に進んでトリム状態フラグをダウンとした後、S212に進み、トリムアップフラグのビットを0にリセットする。
また、S200で否定、即ち、トリム状態フラグが停止でないときはS214に進み、トリム状態フラグがアップか否か判断する。
S214で肯定されるときはS216に進み、トリム角θが所定角度θ1未満かつエンジン回転数NEが第2所定回転数NE2未満か否か判断する。尚、所定角度θ1はトリム角θの最大角度またはそれに近い値であって例えば15度とされる。また、第2所定回転数NE2はエンジン52の最大回転数近傍の値に設定され、例えば6000rpmとされる。
最初のプログラムループではS216の処理は通例肯定されてS218に進み、トリムアップ開始判定フラグのビットが0か否か判断する。トリムアップ開始判定フラグとはトリムアップが開始されたか否かを判定するためのフラグであり、1にセットされたときはトリムアップが開始されたことを意味する。
S218で肯定、即ち、トリムアップ開始判定フラグのビットが0であり、トリムアップがまだ開始されていないときはS220に進み、トリムアップを開始(図で「トリムアップON」と示す)すると共に、S222に進んでトリムアップ開始判定フラグのビットを1にセットする。
トリムアップ開始判定フラグのビットが1にセットされると、S218の処理で否定されてS224に進み、VTECオン後再トリムアップフラグが0か否か判断する。VTECオン後再トリムアップフラグとは可変バルブタイミング機構62が作動してトリムアップが停止した後、再びトリムアップが開始したか否かを判定するためのフラグであり、1にセットされたときは可変バルブタイミング機構62が作動した後、再びトリムアップが開始したことを意味する。
S224で肯定されるときはS226に進み、VTECオン後トリムアップ停止フラグが0か否か判断する。VTECオン後トリムアップ停止フラグとは可変バルブタイミング機構62が作動した後、トリムアップが停止したか否かを判定するためのフラグであり、1にセットされたときは可変バルブタイミング機構62が作動した後、トリムアップが停止したことを意味する。
S226で肯定されるときはS228に進み、可変バルブタイミング機構62が作動していない状態か否か判断し、肯定されるときはS230に進んでエンジン回転数NEの所定時間当たりの変化量ΔNEを算出し、算出された変化量ΔNEが第2所定値ΔNE2(例えば500rpm/s)未満か否か判断する。S230で肯定されるときはS232に進んでトリムアップを開始する一方、否定されるときはS234に進んでトリムアップを停止(図で「トリムアップOFF」と示す)する。
即ち、S218,S228からS234はトリムアップが開始された後(S218)、可変バルブタイミング機構62が作動しておらず(S228)、エンジン回転数NEの変化量ΔNEが第2所定値ΔNE2未満のときはトリムアップをそのまま継続する(S230,S232)が、可変バルブタイミング機構62が作動していない場合(S228)であってもエンジン回転数NEの変化量ΔNEが第2所定値ΔNE2以上のときはトリムアップを停止する(S230,S234)処理である。このような処理を行うことによってトリムアップ中にエンジン回転数NEの変化量ΔNEが第2所定値ΔNE2以上になったことによって発生し得るキャビテーションを抑制することができる。
また、S228で否定、即ち、可変バルブタイミング機構62が作動したと判断されるときはS236に進んでトリムアップを停止すると共に、S238に進み、VTECオン後トリムアップ停止フラグのビットを1にセットする。トリムアップ中に可変バルブタイミング機構62が作動すると、急激なエンジン出力の上昇によりプロペラ18がキャビテーションを起こす可能性があるが、トリムアップ中に可変バルブタイミング機構62が作動したらトリムアップを停止することによってキャビテーションを抑制することができる。
VTECオン後トリムアップ停止フラグのビットが1にセットされるとS226の処理で否定されてS240の処理に進み、加速中フラグのビットが1か否か判断する。S240で否定、即ち、船体10が加速状態でないと判断されるときはS242に進んでトリムアップを開始する一方、肯定、即ち、船体10が加速状態と判断されるときはS244に進み、エンジン回転数NEの変化量ΔNEが第3所定値ΔNE3(例えば300rpm/s)以上か否か判断する。
S244で否定されるときは処理を終了する一方、肯定されるときはS246に進み、VTECオン後再トリムアップフラグのビットを1にセットすると共に、S248に進んでトリムアップを開始する。
即ち、S226,S240からS248は可変バルブタイミング機構62が作動してトリムアップが停止された後(S228,S236,S238,S226)、船体10が加速状態でないか、または加速状態であってもエンジン回転数NEの変化量ΔNEが第3所定値ΔNE3以上のときは再びトリムアップを開始する処理である(S240〜S248)。
また、S246にてVTECオン後再トリムアップフラグのビットが1にセットされるとS224の処理で否定されてS250の進み、エンジン回転数NEの変化量ΔNEが第4所定値ΔNE4(例えば500rpm/s)以下か否か判断し、肯定されるときはS252に進んでトリムアップを開始する一方、否定されるときはS254に進んでトリムアップを停止する。
また、S216で否定、即ち、トリム角θが所定角度θ1に達したか、またはエンジン回転数NEが第2所定回転数NE2以上のときはS256に進んでトリム状態フラグを停止とする。即ち、S216はトリムアップが開始された後、もうこれ以上トリム角を増加できない最大角度(例えば15度)に達したか、またはエンジン回転数NEが高回転域(例えば6000rpm)に達した場合にトリムアップを停止させる処理である。
次いでS258に進んでトリムアップ開始判定フラグ、VTECオン後トリムアップ停止フラグ、VTECオン後再トリムアップフラグ、トリムアップフラグのすべてのビットを0にリセットすると共に、S260に進んでトリムアップを停止する。
また、S214で否定、即ち、トリム状態フラグが停止でもアップでもないと判断されるとき、換言するとトリム状態フラグがダウンのときはS262に進み、トリムアップフラグのビットが0か否か判断する。トリム状態フラグがダウンのときは通例トリムアップフラグのビットは0であるため(S210,S212)、S262で肯定されてS264に進み、トリム角θが初期角度(例えば0度)か否か判断する。
S264で否定されるときはS266に進んでトリムダウンを継続(図で「トリムダウンON」と示す)する一方、肯定されるときはS268に進み、トリム状態フラグを停止にし、S270に進んでトリムダウンフラグのビットを0にリセットすると共に、S272に進み、トリムダウンを停止(図で「トリムダウンOFF」と示す)する。
また、S262で否定、即ち、トリムアップフラグのビットが1のときはS274に進み、スリップ率εを算出すると共に、算出されたスリップ率εが所定スリップ率ε1以上か否か判断する。
S274で肯定されるときは処理を終了する一方、否定されるときはS276に進み、トリム状態フラグをアップにし、S278に進んでトリムダウンフラグのビットを0にリセットすると共に、S280に進み、トリムダウンを停止する。
図7,8は上記した処理の一部を説明するタイム・チャートである。
先ず図7に基づき船体10が加速状態、より具体的には急加速状態のときの処理について説明すると、時刻t1からt2においてスロットル開度THの変化量ΔTHが第2所定値ΔTH2(例えば5度/ms)以上かつスロットル開度THが所定開度TH1(例えば65度)以上となったため、船体10が加速状態と判断する(S110,S112)。
その後、時刻t3においてエンジン回転数NEの変化量ΔNEが第1所定値ΔNE1(例えば200rpm/s)以下になると共に、吸気圧PBの変化量ΔPBが既定値ΔPB1(例えば1kPa/s)以下になったため、トリムアップを開始する(S122,S124,S126)。また、スリップ率εも所定スリップ率ε1(例えば0.5)未満になったためトリムアップを開始する(S118,S120)。
尚、図示の例ではエンジン回転数NEの変化量ΔNEが第1所定値ΔNE1以下、吸気圧PBの変化量ΔPBが既定値ΔPB1以下およびスリップ率εが所定スリップ率ε1未満という条件が時刻t3ですべて満たされているが、これは便宜上そのようにしたものであり、トリムアップを開始するために必ずしも3つの条件がすべて満たされている必要はない。つまり、スリップ率εが所定スリップ率ε1以上の場合であってもエンジン回転数NEの変化量ΔNEが第1所定値ΔNE1以下で吸気圧PBの変化量ΔPBが既定値ΔPB1以下であればトリムアップは開始され、逆にスリップ率εが所定スリップε1以下であればエンジン回転数NEの変化量ΔNEや吸気圧PBの変化量ΔPBの値にかかわらずトリムアップは開始される。
次に時刻t4においてエンジン回転数NEの変化量ΔNEが第2所定値ΔNE2(例えば500rpm/s)以上のとき、トリムアップを停止する(S230,S234)。また、時刻t5に示すように、可変バルブタイミング機構62の作動を検知した場合もトリムアップを停止する(S228,S236)。
次いで時刻t6においてエンジン回転数NEの変化量ΔNEが第3所定値ΔNE3(例えば300rpm/s)以上になったとき、停止していたトリムアップを再び開始する(S244,S248)。
また、時刻t7に示すように、エンジン回転数NEが第2所定回転数NE2(例えば6000rpm)以上またはトリム角θが所定角度θ1(例えば15度)になったときはトリムアップを停止する(S216,S260)。
次いで時刻t8において加速が終了し、減速状態(スロットル開度THの変化量ΔTHが第1所定値ΔTH1(例えば−2度/ms)未満かつエンジン回転数NEが所定回転数NE1(例えば2500rpm))になるとトリムダウンを開始し(S100,S102,S104,S266)、その後、時刻t9においてトリム角θが初期角度(例えば0度)になったときトリムダウンを停止する(S264,S272)一方、スリップ率εが所定スリップ率ε1以下となったときトリムアップを開始する(S274,S280)。
次に図8に基づき船体10が緩やかな加速状態(以下「徐加速」という)のときの処理について説明する。先ず時刻t1’以降スロットル開度THの変化量ΔTHが所定値(例えば5度/ms)以下であるとき、船体10は徐加速であると判断し、次いで時刻t2’において可変バルブタイミング機構62の作動を検知するとトリムアップを開始する(S114,S116)。
次に時刻t3’においてエンジン回転数NEが第2所定回転数NE2以上またはトリム角θが所定角度θ1になったときトリムアップを停止する(S216,S260)。
以上の如く、この発明の実施例にあっては、船体10に取り付け可能であると共に、内燃機関(エンジン)52で駆動されるプロペラ18と、前記船体に対するトリム角θを調整可能なトリム角調整機構(パワーチルトトリムユニット)50とを備えた船外機12の制御装置において、前記内燃機関のスロットル開度THの変化量ΔTHを算出するスロットル開度変化量算出手段(スロットル開度センサ90,ECU22。S12,S110)と、前記算出されたスロットル開度の変化量に基づいて前記船体が加速状態にあるか否か判断する加速状態判断手段(スロットル開度センサ90,ECU22。S12,S110)と、前記船体の理論速度Vaと実速度Vに基づいて前記プロペラのスリップ率εを算出するスリップ率算出手段(ECU22。S10,S12,S14,S118,S274)と、前記加速状態判断手段によって前記船体が加速状態にあると判断された場合、前記算出されたスリップ率に基づいて前記トリム角が増加するように前記トリム角調整機構の動作を制御するトリム角制御手段(ECU22。S12,S108,S118,S120)とを備える如く構成、即ち、プロペラ18のスリップ率εに基づいてトリムアップを開始するようにしたので、加速中にトリムアップを行ってもキャビテーションを可能な限り抑制することができる。
また、前記トリム角制御手段は、前記加速状態判断手段によって前記船体が加速状態にあると判断された場合、前記算出されたスリップ率が所定スリップ率ε1以下となったとき、前記トリム角が増加するように前記トリム角調整機構の動作を制御する如く構成した(ECU22。S12,S118,S120)ので、加速中にトリムアップを行ってもキャビテーションを一層抑制することができる。
また、前記スリップ率算出手段は、予め設定された前記船体のトローリング時の所定スリップ率に基づいてプロペラピッチを推定するプロペラピッチ推定手段(ECU22。S10。式(3))と、前記推定されたプロペラピッチに基づいて前記船体の理論速度を算出する理論速度算出手段(ECU22。式(2))とを備えると共に、前記算出された理論速度と実速度に基づいて前記プロペラのスリップ率を算出する如く構成した(ECU22。S10,S12,S14,S118,S274。式(1))ので、船外機12ごとにプロペラピッチを設定する必要がなく、また船外機12が船体10に搭載されて既に市場に出ているような場合であっても後からスリップ率εを用いた制御を組み込むことも可能となる。即ち、スリップ率εを算出するためにはプロペラピッチの値が必要となるが、プロペラピッチは船外機12(船舶1)ごとに異なるため、船外機12ごとに予めプロペラピッチが分かっていなければならない。このため、スリップ率εを用いた制御を組み込む場合には船外機12ごとにプロペラピッチを設定する必要があると共に、既に船外機12が船体10に搭載されて例えば市場に出ている場合には後からスリップ率εを用いた制御を組み込むことは困難である。しかしながら、プロペラピッチを推定することができれば、船外機12ごとにプロペラピッチを設定する必要がなく、また船外機12が船体10に搭載されて既に市場に出ているような場合であっても後からスリップ率εを用いた制御を組み込むことも可能となる。
尚、上記においては、船外機12を例にとって説明したが、船内外機についても本発明を適用することができる。
また、図5フロー・チャートのS124や図7タイム・チャートの時刻t3において吸気圧PBの変化量ΔPBを判断しているが、吸気圧PBの変化量ΔPBの代わりに吸気圧PBそのものを判断するようにしても良い。即ち、吸気圧PBが所定の値(例えば80kPa)以下となったとき、トリムアップを開始するようにしても良い。
また、実施例では所定回転数NE1、第2所定回転数NE2、第1から第4所定値ΔNE1〜ΔNE4、第1、第2所定値ΔTH1,ΔTH2、所定開度TH1、既定値ΔPB1、所定スリップ率ε1、所定角度θ1等について具体的な数値で示したが、それらは例示であって限定されるものではない。
10 船体、12 船外機、18 プロペラ、22 ECU(電子制御ユニット)、50 パワーチルトトリムユニット(トリム角調整機構)、52 エンジン(内燃機関)、90 スロットル開度センサ(スロットル開度変化量算出手段)

Claims (2)

  1. 船体に取り付け可能であると共に、内燃機関で駆動されるプロペラと、前記船体に対するトリム角を調整可能なトリム角調整機構とを備えた船外機の制御装置において、前記内燃機関のスロットル開度の変化量を算出するスロットル開度変化量算出手段と、前記算出されたスロットル開度の変化量に基づいて前記船体が加速状態にあるか否か判断する加速状態判断手段と、前記船体の理論速度と実速度に基づいて前記プロペラのスリップ率を算出するスリップ率算出手段と、前記加速状態判断手段によって前記船体が加速状態にあると判断された場合、前記算出されたスリップ率が所定スリップ率未満となったとき前記トリム角が増加するように前記トリム角調整機構の動作を制御するトリム角制御手段とを備えることを特徴とする船外機の制御装置。
  2. 前記スリップ率算出手段は、予め設定された前記船体のトローリング時の所定スリップ率に基づいてプロペラピッチを推定するプロペラピッチ推定手段と、前記推定されたプロペラピッチに基づいて前記船体の理論速度を算出する理論速度算出手段とを備えると共に、前記算出された理論速度と実速度に基づいて前記プロペラのスリップ率を算出することを特徴とする請求項1記載の船外機の制御装置。
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