JP6038096B2 - 車体前部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、フロントガラスの前縁とフロントフードの後縁との間に位置しているカウルトップグリルを改良した、車体前部構造に関する。
車体の前部に位置している、車両のフロントガラスの前縁とフロントフードの後縁との間には、車幅方向に細長い雨樋状(側面視略U字状断面)のカウルボックスが設けられている。該カウルボックスの上部の開放端は、カウルトップグリルによって覆われている。該カウルトップグリルには、多数の外気取入れ用孔が形成されている。
該カウルトップグリルのなかには、下方を開放した側面視略逆U字状断面に形成されたものがある。略逆U字状断面のカウルトップグリルは、略平板状のカウルトップグリルに比べて表面積が大きいので、より多数の外気取入れ用孔を設けることができる。このように、側面視略逆U字状に形成されたカウルトップグリルの技術は、特許文献1から知られている。
略逆U字状のカウルトップグリルは、一般に樹脂成形品によって構成されるので、熱変形に対する配慮が求められる。車両の外観性を高める上で、該カウルトップグリルの変形は、極力抑制できることが好ましい。特に、該カウルトップグリルは、車幅方向に細長いので、車幅中央付近での変形を抑制することが、車両の外観性を高める上で重要である。このためには、熱変形を抑制するように、カウルトップグリル全体の強度を高めることが考えられる。例えば、カウルトップグリルの変形し易い部位に、リブを設ける。
しかし、略逆U字状断面のカウルトップグリルは、上方から作用し得る衝撃力に対して、配慮が必要である。例えば、歩行者に対する車両の衝突事故が発生した場合には、衝突された歩行者がフロントフードに当たる、いわゆる二次衝突が発生し得る。該フロントフードに対し、上方から衝撃力が作用する。該衝撃力は、フロントフードの後端部からカウルトップグリルに伝わる。歩行者保護性能を十分に高めるためには、カウルトップグリルを適宜変形させることが好ましい。
一方、カウルボックスなら、前端部と後端部とを補強部材によって繋ぐことにより、全体の強度を高めることができる。しかし、略逆U字状断面のカウルトップグリルは、衝撃エネルギーを吸収する必要があるので、カウルボックスのように前端部と後端部とを、補強部材によって繋ぐことはできない。
このように、カウルトップグリルは、通常時には熱変形を抑制するように強度が高いことが求められ、しかも、車両の衝突時には変形により衝撃力を吸収できることが求められるという、相反することが求められている。
また、カウルトップグリルの後端をフロントガラスの前縁に嵌合することにより、カウルトップグリルはフロントガラスによって支持されている。このような構成において、両者の嵌合力を高めるためには、フロントガラスの前縁に対して、カウルトップグリルの後端の嵌合部材(くわえ爪)を、強く嵌合圧力がかかるようにすればよい。しかし、特に、カウルトップグリルが樹脂成型品によって形成されている場合には、車体の組立時に、該カウルトップグリルの後端がフロントガラスの前縁に嵌合しきれないことが、あり得る。この場合には、カウルトップグリルが車体前方へ変形し得る。
特開2007−223439号公報
本発明は、カウルトップグリルの熱変形を抑制することができるとともに、上からの衝撃力に対して該カウルトップグリルを適宜変形させることができる技術を、提供することを課題とする。
請求項1による発明によれば、フロントガラスの前縁とフロントフードの後縁との間に位置して、車幅方向へ延びたカウルトップグリルを有し、該カウルトップグリルは、下方を開放した側面視略逆U字状断面に形成されている車体前部構造において、前記カウルトップグリルの、前端部の下端と後端部の下端との間に、補強部材が掛け渡され、前記補強部材の前端部は、前記カウルトップグリルに固定され、前記補強部材の後部は、前記カウルトップグリルに係止され、前記カウルトップグリルの前記後端部の後下部には、位置決め用クリップ部が形成され、前記カウルトップグリルの前記後端部と前記位置決め用クリップ部とにより、前記フロントガラスの前端部の両面を挟み込むことによって、前記カウルトップグリルは前記フロントガラスに位置決めされており、前記カウルトップグリルのなかの、前記補強部材の前記後端部を係止される部分は、前記位置決め用クリップ部であることを特徴とする車体前部構造が提供される。
請求項に記載のごとく、好ましくは、前記補強部材の前記後端部は、幅方向に位置する一対の爪部を有し、前記位置決め用クリップ部は、幅方向に位置する一対の係止部を有し、前記一対の爪部が前記一対の係止部に係止されることにより、前記補強部材の前記後端部は、前記位置決め用クリップ部に係止されている。
請求項に記載のごとく、好ましくは、前記補強部材は、車体後方へ向かうにつれて該補強部材の幅方向中央寄りに傾斜した一対のリブを有し、該一対のリブは、前記補強部材の前記後端部と共に、前記位置決め用クリップ部に係止されている。
請求項に記載のごとく、好ましくは、前記補強部材は、前記カウルトップグリルの車幅方向中央に位置している。
請求項1に係る発明では、側面視略逆U字状断面のカウルトップグリルの、前端部の下端と後端部の下端との間に、補強部材が掛け渡されている。この場合に、該補強部材の前端部は、カウルトップグリルに固定され、後端部は、カウルトップグリルに係止される。カウルトップグリルの下端の前端部と後端部との間に、補強部材が掛け渡されているので、該カウルトップグリルの熱変形を抑制することができる。また、衝撃力が、上方からカウルトップグリルへ作用した場合に、補強部材の後端部は、カウルトップグリルに係止されているだけなので、該カウルトップグリルから外れる。この結果、カウルトップグリルの変形による衝撃力の吸収が阻害されないので、歩行者保護性能を十分に高めることができる。このように、カウルトップグリルの熱変形を抑制することができるとともに、上からの衝撃力に対して該カウルトップグリルを適宜変形させることができる。
また、カウルトップグリルをフロントガラスに位置決めするための位置決め用クリップ部が、該カウルトップグリルの後端部の後下部に形成されている。補強部材の前端部はカウルトップグリルに固定される。補強部材の後端部は位置決め用クリップ部に係止される。このため、位置決め用クリップ部を利用して、補強部材の後端部を引っ掛けることができる。簡単な構成によって、カウルトップグリルの熱変形を抑制することができるとともに、上からの衝撃力に対して該カウルトップグリルを適宜変形させることができる。
また、カウルトップグリルの前端部の下端と後端部の下端との間に、補強部材が掛け渡されている。このため、車体の組立時においても、カウルトップグリルを前後方向に変形させることなく、フロントガラスの前縁に対し、該カウルトップグリルの後端部をしっかりと支持されるように、組み付けることができる。
請求項に係る発明では、補強部材の後端部は、幅方向に位置する一対の爪部を有している。位置決め用クリップ部は、幅方向に位置する一対の係止部を有している。一対の爪部を一対の係止部に引っ掛けることにより、補強部材の後端部を位置決め用クリップ部に引っ掛けることができる。このため、位置決め用クリップ部を利用し、該位置決め用クリップ部に一対の係止部を備えるという、最小限の構成を変更するという、簡単な構成によって、カウルトップグリルの熱変形を抑制することができるとともに、上からの衝撃力に対して該カウルトップグリルを適宜変形させることができる。
請求項に係る発明では、補強部材は一対のリブを有する。詳しくは、位置決め用クリップ部は、カウルトップグリルをフロントガラスに位置決めする部材であるから、比較的小型である。一方、補強部材は、カウルトップグリルを補強することが可能な強度が必要であり、しかも、小型の位置決め用クリップ部に係止できる構成とする必要がある。
これに対し、請求項に係る発明では、補強部材は、カウルトップグリルを補強するのに必要な強度を確保するために、一対のリブを有する。該一対のリブは、車体後方へ向かうにつれて該補強部材の幅方向中央寄りに傾斜しているので、後端部の部位では、該補強部材のなかの幅方向中央側に小さくまとまっている。このように、幅方向中央側に小さくまとまった該一対のリブは、補強部材の後端部と共に、位置決め用クリップ部に係止されている。補強部材の後端部と一対のリブとを、小型の位置決め用クリップ部のなかに確実に収めて係止しつつ、補強部材の強度を十分に確保することができる。
請求項に係る発明では、補強部材は、カウルトップグリルの車幅方向中央に位置している。該カウルトップグリルは、車幅方向に細長い部材であって、長手方向の両端を車体に固定されるものである。このため、カウルトップグリルは、車幅方向中央の部位が最も熱変形し易い。これに対し、請求項に係る補強部材は、カウルトップグリルの車幅方向中央を補強する。従って、カウルトップグリルの熱変形を効果的に抑制することができる。
本発明に係る車体前部の斜視図である。 図1の2−2線に沿った断面図である。 図2に示されるカウルトップグリルの車幅方向中央部の底面図である。 図3に示されるカウルトップグリルに補強部材が掛け渡された構成の底面図である。 図4に示されるカウルトップグリルに補強部材が掛け渡された構成を下から見た斜視図である。 図5に示されるカウルトップグリルと補強部材の関係を拡大した斜視図である。
本発明を実施するための形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、Leは左側、Riは右側を示す。
図1及び図2に示されるように、乗用車等の車両10の車体11はモノコックボディから成り、車両10の車幅方向の中心を通って車両前後方向へ延びる車幅中心線CLに対し、実質的に左右対称形に形成されている。
車体11の前部は、左右のフロントピラー12,12と、該左右のフロントピラー12,12間に設けられたフロントガラス13と、該フロントガラス13の前に位置するとともに、該フロントガラス13の下縁に沿いつつ車幅方向へ延びたカウルボックス14(図2参照)と、該カウルボックス14の前に位置して、後端部を左右のヒンジによって上下に開閉可能に支持されるフロントフード15とを含む。
詳しく述べると、該左右のフロントピラー12,12は、上端から前下方へ傾いている。該フロントガラス13は、上縁から前下方へ傾いている。該カウルボックス14は、車幅方向に細長い雨樋状(側面視略U字状断面)の部材である。該カウルボックス14の上部の開放端は、カウルトップグリル20(カウルトップパネル20)によって覆われている。
該カウルトップグリル20は、フロントガラス13の前縁13aとフロントフード15の後縁15aとの間に位置し、車幅方向へ延びている。該カウルトップグリル20の車幅方向の両端部は、例えば左右のフロントピラー12,12に固定される。
以下、該カウルトップグリル20について詳しく説明する。図2〜図6に示されるように、該カウルトップグリル20は、樹脂の一体成形品であって、下方を開放した側面視略逆U字状断面に形成されるとともに、多数の外気取入れ用孔21が形成されている。より詳しく述べると、該カウルトップグリル20は、上端22から前下方へ延びた前板23と、該上端22から後下方へ延びた後板24とからなる。
該前板23(前端部23)は、フロントフード15側を向いた概ね縦板状に形成され、前フランジ23aと前延出部23bとを一体に有している。
該前フランジ23aは、前板23の下端から前方へ延びており、ダッシュボードアッパパネル16の前上フランジ16aに上から重ねられ、且つクリップ等の固定部材17によって固定されている。該ダッシュボードアッパパネル16は、カウルボックス14の底部を構成している。
該前延出部23bは、前板23の高さの途中から前上方へ延びている。該前延出部23bの上端にはシール部材18が設けられている。該シール部材18は、フロントフード15の後端部をシールする部材である。
該後板24(後端部24)は、フロントガラス13側を向いた概ね縦板状に形成され、後フランジ24aと複数の位置決め用クリップ部30とを一体に有している。該後フランジ24aは、後端部24の下端から後方へ延びている。後フランジ24aの先端には、ガラス当接部24bが形成されている。該ガラス当接部24bは、フロントガラス13の外面13bに接する部分であって、柔軟性を有した舌片である。後フランジ24aの裏面、つまり後端部24の後下部には、車幅方向に配列された複数の位置決め用クリップ部30(図5参照)が形成されている。複数の位置決め用クリップ部30のなかの1つは、車幅中央(車幅中心線CL)に位置している。
該それぞれの位置決め用クリップ部30は、側面視略L字状に形成されており、後端部24の後下部から下方へ延びた左右の脚部31,31と、該左右の脚部31,31の下端から後方へ延びた延出部32とからなる。該左右の脚部31,31は、互いに対向し合う縦板状に形成されている。該延出部32は、左右の脚部31,31同士を繋ぐように、前を開放した底面視略U字状に形成され、且つ縦板状に形成されている。該延出部32の後端且つ上端には、前上方へ延びるガラス当接部33が一体に形成されている。該ガラス当接部33は、柔軟性を有した舌片である。
フロントガラス13の下端部13cの両面は、後端部24のガラス当接部24bと、各位置決め用クリップ部30のガラス当接部33とによって挟み込まれている。つまり、フロントガラス13の下端部13cの両面は、後端部24と複数の位置決め用クリップ部30とによって挟み込まれている。この結果、カウルトップグリル20は、フロントガラス13に位置決めされる。
さらに、車幅中央に位置している位置決め用クリップ部30の該左右の脚部31,31には、左右の係止部34,34と、左右の縦リブ35,35とが一体に形成されている。
該左右の係止部34,34は、左右の脚部31,31(一対の脚部31,31)の側面から車幅方向外方へ向かって延びた横板状に形成されている。該左右の係止部34,34は、後端部24の後下部、つまり後フランジ24aから下方へ離間している。このように、樹脂製の位置決め用クリップ部30は、幅方向に位置する一対の係止部34,34を有する。後端部24の後下部24cと、左右の脚部31,31と、左右の係止部34,34とによって、囲まれた、左右の空間36,36のことを、一対の差し込み用空間部36,36という。
該左右の縦リブ35,35は、左右の脚部31,31の側面と、左右の係止部34,34の下面とを繋ぐ縦板状に形成されている。
カウルトップグリル20の、前端部23の下端と後端部24の下端との間には、樹脂製の補強部材40が掛け渡されている。該補強部材40は、カウルトップグリル20の車幅方向中央(車幅中心線CL)に位置している。該補強部材40の前端と後端のいずれか一方41は、カウルトップグリル20に固定される。該補強部材40の前端と後端のいずれか他方42は、カウルトップグリル20に係止されている。
例えば、該補強部材40のなかの、前記一方41は「補強部材40の前端部41」であって、前記他方42は「補強部材40の後端部42」である。カウルトップグリル20のなかの、補強部材40の後端部42が係止される部分は、位置決め用クリップ部30である。
より詳しく述べると、該補強部材40は、車体前後方向に細長い部材であって、車体後方から見て略逆U字状断面に形成されている。つまり、該補強部材40は、平面上の天板51と、該天板51の幅方向両側の縁から下方へ延びた一対の側部フランジ52,52とからなる。
該補強部材40の前端部41は、天板51の前縁から下方へ延びて、車体前方を向いた平板によって構成されている。該前端部41は、一対の側部フランジ52,52の前端にも一体に形成されている。さらに、該補強部材40の前端部41は、カウルトップグリル20の前端部23の下端に対して、後方から重ねられ、且つクリップ、ボルト、ビス、リベット等の固定部材53によって固定されている。なお、カウルトップグリル20の前端部23の下端に対する、補強部材40の前端部41の固定は、接着や溶着であってもよい。
該補強部材40は、一対の爪部54,54と一対のリブ55,55とを有する。該一対の爪部54,54と該一対のリブ55,55とは、補強部材40に一体に形成されている。
該一対の爪部54,54は、補強部材40の後端部42から後方、つまり一対の差し込み用空間部36,36へ向かって延びている。例えば、該一対の爪部54,54は、天板51の後端の左右から後方へ、そのまま延びた、左右の横板によって構成される。このように、該一対の爪部54,54は、後端部42の幅方向、例えば両側に位置する。
該一対の爪部54,54は、位置決め用クリップ部30の一対の差し込み用空間部36,36に嵌め込まれることにより、一対の係止部34,34に係止される。この結果、補強部材40の後端部42は、位置決め用クリップ部30に係止されている。
該一対のリブ55,55は、天板51から下方へ延びた縦板状の部材であって、車体後方へ向かうにつれて該補強部材40の幅方向中央寄りに傾斜している。詳しく述べると、該一対のリブ55,55は、一対の側部フランジ52,52の前後方向の途中から、幅方向中央へ向かって傾きつつ、後方へ延びている。
該一対のリブ55,55の高さは、一対の側部フランジ52,52の高さに対して概ね同じである。補強部材40の前端部41から一対のリブ55,55の後端までの長さは、補強部材40の前端部41から一対の爪部54,54の後端までの長さに対して概ね同じである。該一対のリブ55,55の後端間は、繋ぎリブ56によって一体に繋がれている。
該一対のリブ55,55の後端部は、一対の脚部31,31間に嵌合されている。従って、該一対のリブ55,55は、補強部材40の後端部42と共に、位置決め用クリップ部30に係止されている。図4に示されるように、一対の脚部31,31と一対のリブ55,55の後端部との間には、車幅方向に若干の隙間57,57を有している。
次に、上記構成の作用を説明する。図2及び図4に示されるように、該カウルトップグリル20の前端部23と後端部24とが、互いに接近する方向へ熱変形した場合に、一対のリブ55,55の後端部と、一対の脚部31,31とは、隙間57,57が減少するように、前後方向へ相対的に変位する。該隙間57,57が無くなるまで相対変位した場合には、該一対のリブ55,55は、位置決め用クリップ部30に対し、これ以上の変位が規制される。この結果、該カウルトップグリル20の熱変形を抑制することができる。
図2に示されるように、衝撃力fsが、上方からカウルトップグリル20へ作用した場合に、該カウルトップグリル20は下方へ塑性変形する。このため、カウルトップグリルの前端部23と後端部24とは、互いに相反する方向へ広がろうとする。補強部材40の前端部41が、カウルトップグリル20の前端部23に固定されているので、該補強部材40の一対の爪部54,54は、一対の差し込み用空間部36,36から前方へ抜け出る、又は下方へ折れ曲がる。このため、一対の爪部54,54は、一対の係止部34,34から外れる。この結果、カウルトップグリル20を適宜変形させることができる。
以上の説明をまとめると、次の通りである。該補強部材40の前端部41と後端部42のいずれか一方は、側面視略逆U字状断面のカウルトップグリル20に固定され、他方は、該カウルトップグリル20に係止される。カウルトップグリル20の下端の前端部23と後端部24との間に、補強部材40が掛け渡されているので、該カウルトップグリル20の熱変形を抑制することができる。
また、衝撃力fsが、上方からカウルトップグリル20へ作用した場合に、補強部材40の他方は、カウルトップグリル20に係止されているだけなので、該カウルトップグリル20から外れる。この結果、上からの衝撃力に対して該カウルトップグリル20を適宜変形させることができるので、歩行者保護性能を十分に高めることができる。
このように、カウルトップグリル20の熱変形を抑制することができるとともに、上からの衝撃力fsに対して該カウルトップグリル20を適宜変形させることができる。
さらには、補強部材40の前端部41はカウルトップグリル20に固定される。該補強部材40の後端部42は位置決め用クリップ部30に係止される。このため、位置決め用クリップ部30を利用して、補強部材40の後端部42を引っ掛けることができる。簡単な構成によって、カウルトップグリル20の熱変形を抑制することができるとともに、上からの衝撃力fsに対して該カウルトップグリル20を適宜変形させることができる。
さらには、補強部材40の後端部42は、幅方向に位置する一対の爪部54,54を有している。位置決め用クリップ部30は、幅方向に位置する一対の係止部34,34を有している。一対の爪部54,54を一対の係止部34,34に引っ掛けることにより、補強部材40の後端部42を位置決め用クリップ部30に引っ掛けることができる。このため、位置決め用クリップ部30を利用し、該位置決め用クリップ部30に一対の係止部34,34を備えるという、最小限の構成を変更するという、簡単な構成によって、カウルトップグリル20の熱変形を抑制することができるとともに、上からの衝撃力fsに対して該カウルトップグリル20を適宜変形させることができる。
また、カウルトップグリル20の前端部23の下端と後端部24の下端との間に、補強部材40が掛け渡されている。このため、車体11の組立時においても、カウルトップグリル20を前後方向に変形させることなく、フロントガラス13の前縁13aに対し、該カウルトップグリル20の後端部42、つまり位置決め用クリップ部30をしっかりと支持されるように、組み付けることができる。
さらには、位置決め用クリップ部30は、カウルトップグリル20をフロントガラス13に位置決めする部材であるから、比較的小型である。一方、補強部材40は、カウルトップグリル20を補強することが可能な強度が必要であり、しかも、小型の位置決め用クリップ部30に係止できる構成とする必要がある。
これに対し、本実施例では、補強部材40は、カウルトップグリル20を補強するのに必要な強度を確保するために、一対のリブ55,55を有する。該一対のリブ55,55は、車体後方へ向かうにつれて該補強部材40の幅方向中央寄りに傾斜しているので、後端部42の部位では、該補強部材40のなかの幅方向中央側に小さくまとまっている。このように、幅方向中央側に小さくまとまった該一対のリブ55,55は、補強部材40の後端部42と共に、位置決め用クリップ部30に係止されている。補強部材40の後端部42と一対のリブ55,55とを、小型の位置決め用クリップ部30のなかに確実に収めて係止しつつ、補強部材40の強度を十分に確保することができる。
さらには、該カウルトップグリル20は、車幅方向に細長い部材であって、長手方向の両端を車体11に固定されるものである。このため、カウルトップグリル20は、車幅方向中央の部位が最も熱変形し易い。これに対し、補強部材40は、カウルトップグリル20の車幅方向中央を補強する。従って、カウルトップグリル20の熱変形を効果的に抑制することができる。
本発明の車体前部構造は、乗用車に採用するのに好適である。
10 車両
11 車体
13 フロントガラス
13a 前縁
15 フロントフード
15a 後縁
20 カウルトップグリル
21 外気取入れ用孔
22 上端
23 前端部
24 後端部
24a 後フランジ
24b ガラス当接部
30 位置決め用クリップ部
31 脚部
32 延出部
33 ガラス当接部
34 係止部
36 差し込み用空間部
40 補強部材
41 前端部(補強部材の前端と後端のいずれか一方)
42 後端部(補強部材の前端と後端のいずれか他方)
54 爪部
55 リブ
57 隙間
CL 車幅中心線
fs 衝撃力

Claims (4)

  1. フロントガラスの前縁とフロントフードの後縁との間に位置して、車幅方向へ延びたカウルトップグリルを有し、
    該カウルトップグリルは、下方を開放した側面視略逆U字状断面に形成されている車体前部構造において、
    前記カウルトップグリルの、前端部の下端と後端部の下端との間に、補強部材が掛け渡され、
    前記補強部材の前端部は、前記カウルトップグリルに固定され、
    前記補強部材の後部は、前記カウルトップグリルに係止され
    前記カウルトップグリルの前記後端部の後下部には、位置決め用クリップ部が形成され、
    前記カウルトップグリルの前記後端部と前記位置決め用クリップ部とにより、前記フロントガラスの前端部の両面を挟み込むことによって、前記カウルトップグリルは前記フロントガラスに位置決めされており、
    前記カウルトップグリルのなかの、前記補強部材の前記後端部を係止される部分は、前記位置決め用クリップ部であることを特徴とする車体前部構造。
  2. 前記補強部材の前記後端部は、幅方向に位置する一対の爪部を有し、
    前記位置決め用クリップ部は、幅方向に位置する一対の係止部を有し、
    前記一対の爪部が前記一対の係止部に係止されることにより、前記補強部材の前記後端部は、前記位置決め用クリップ部に係止されていることを特徴とする請求項記載の車体前部構造。
  3. 前記補強部材は、車体後方へ向かうにつれて該補強部材の幅方向中央寄りに傾斜した一対のリブを有し、
    該一対のリブは、前記補強部材の前記後端部と共に、前記位置決め用クリップ部に係止されていることを特徴とする請求項記載の車体前部構造。
  4. 前記補強部材は、前記カウルトップグリルの車幅方向中央に位置していることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の車体前部構造。
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