JP6038063B2 - 軌跡誤差表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば工作機械やロボットのように、移動対象が設けられる1軸以上の可動軸を有する機械において、移動対象の運動軌跡誤差を測定し表示するための軌跡誤差表示装置に関するものである。
1軸以上の可動軸を有する機械として、この明細書では、例えば複数の可動軸を有する工作機械を取り上げて説明する。すなわち、工作機械では、複数の可動軸を1つずつ、または、その複数の可動軸を同時に動かすことで3次元的に工具または工作物を動かし、加工を行う。その際、工作物に対する工具刃先の運動軌跡(以下、単に「工具の運動軌跡」という)が工作物に転写されることで、加工形状が創成されていく。そのため、工作機械の工具の運動軌跡に誤差が存在すると、工作物にも同じ運動軌跡誤差が転写される。この現象は、「母性原理」と呼ばれている。
ここで、運動軌跡誤差を生じさせる原因としては、可動軸の運動を支持する案内面の外乱力や、駆動機構の幾何学的な精度や摩擦などの外乱力、フィードバック制御に用いるセンサの精度などが知られており、さらには複数の軸を同期させて運動させる場合は、軸間の組み立て精度や軸間の動特性差などが知られている。母性原理によると、工具の運動軌跡の精度以上の加工精度を実現することができないため、工具の運動軌跡の正確な測定と工具の運動軌跡の精度向上は重要な課題である。
工具の運動軌跡を測定することの1次的な目的は、その工作機械が有する誤差が所定の許容誤差内に収まっていることを確認することである。加えて、2次的な目的は、誤差の測定結果をもとに機械的に修正を施したり、各可動軸に対する制御指令を生成する数値制御装置に誤差データを入力して補正を行ったりすることである。特に、近年の数値制御技術の進展に伴い、数値制御装置を用いたより高度な補正が可能になり、工具の運動軌跡の精度は向上している。
工作機械の軌跡誤差を表示するための測定方法には、幾つかの方法が知られている。例えば、最も簡単な軌跡誤差表示方法は、円弧運動軌跡を測定して表示する方法である。この方法では、数値制御装置が、運動条件指令入力部から入力される円弧指令に基づいて正弦波指令と位相が90度遅れた余弦波指令とを生成する。そして、サーボ制御系が、直交する2つの可動軸の一方に正弦波指令を与え他方に余弦波指令を与え、その直交する2つの可動軸に取り付けられた移動対象に円軌跡を描かせる。その移動対象の円運動の軌跡を軌跡誤差表示装置が測定して表示する。
すなわち、軌跡誤差表示装置では、それぞれの可動軸の位置検出器からの位置フィードバック信号を測定し、2次元平面(モニタ画面)において直交2軸の運動軌跡をプロットすることで、円運動を行ったときの運動軌跡誤差を表示する。ただし、一般には、オペレータが目視で誤差量を判別しやすくするために、半径方向における誤差をある倍率で拡大して表示するなどの方法を併用して用いることが多い。
その他に、工作物を設置するテーブルと工具を取り付ける主軸との間の相対変位を直接測定することで、工具の運動軌跡誤差を求めることが可能な測定器が実用化されている。このような測定器の例にはダブルボールバーやグリッドエンコーダと呼ばれているものがある。
しかしながら、上述したダブルボールバーやグリッドエンコーダを用いた運動軌跡誤差の測定、表示方式には、各種の制約が存在する。例えば、ダブルボールバー測定では、測定器ごとに予め決められた半径の円弧形状しか測定できないという問題がある。これに対して、グリッドエンコーダや位置検出器からの位置フィードバック信号を用いると、2次元平面内の任意の運動軌跡を測定することが可能となるが、例えば円弧軌跡を測定する場合は、測定可能な最大円弧半径が可動範囲の短い方の軸に制限されるという問題がある。また、グリッドエンコーダには、直交2軸の軌跡精度しか測定することができないため、回転軸と直進軸とを組み合わせた軌跡の測定を行うことができないという問題や、セットアップが難しいという問題もある。さらに、これらの方法は、単軸の可動軸には適応できないという問題もある。
これらの問題に対し、例えば特許文献1では、単軸の可動軸を正弦波状に駆動したときの位置検出器が出力する位置フィードバック信号と、同じ位置検出器が出力する位置フィードバック信号をある時間差でサンプリングした信号とを用いて、仮想的な円弧運動を行ったときの運動軌跡誤差を計算し、それを表示する方式が提案されている。
この方法を用いれば、正弦波状の運動を指令した時の単軸の位置フィードバック信号と同じ位置フィードバック信号を1/4周期だけずれた時間差でサンプリングした信号とを用いて、仮想的な2次元平面で円弧運動を行った際の軌跡を描画することが可能となる。これによって、直進軸の可動範囲のすべてを使って円弧運動を行う場合の運動軌跡誤差を求めることが可能となる。また、直進軸だけでなく回転軸に対しても円弧軌跡を描くことができるようになる。
つまり、ダブルボールバーやグリッドエンコーダを用いた運動軌跡誤差の測定、表示方式では、直進軸や回転軸などの単一の可動軸の誤差を補正するための補正パラメータを調整するには、オペレータが視覚的に誤差を確認できる必要がある。そのためには、単一の可動軸の運動波形から運動軌跡誤差を推定する方式が必要とされる。
この点、特許文献1に開示された、単一の可動軸に正弦波状の運動指令を与えたときの位置フィードバック信号をある時間差でサンプリングする方式を用いることで、全く同じ可動軸を複数回用いた場合に発生する運動軌跡誤差を模擬することが可能となる。
特開2006−227886号公報(サーボ制御装置及びサーボ系の調整方法)
しかしながら、特許文献1に開示された、全く同じ位置フィードバック信号を周期をずらしてサンプリングする方式では、二次元平面に軌跡を描画する際に、その位置フィードバック信号に含まれる運動軌跡誤差成分や測定ノイズ成分が重畳して描画されてしまうため、誤差が、実際に測定を行った可動軸がもつ誤差よりも大きく表示される可能性があるという問題がある。
一方で、特許文献1に開示された方式のうち、1/4周期ずらしてサンプリングした位置指令を用いることで、誤差が過大に表示されるという問題は解決できるが、一般に位置指令に対して、位置フィードバック信号は、一定の位相遅れと半径減少とが生じるため、円弧軌跡が楕円状に歪む可能性がある。
また、特許文献1に開示された方式では、円弧軌跡しか評価することができないため、例えばコーナ運動軌跡の誤差を表示できないという問題や、位置フィードバック信号と位置指令しか使用できないため、工具先端付近の運動軌跡を測定することができないという問題が存在する。加えて、時間差でサンプリングを実施する必要があるため、通常の1周期の測定に加えて、1/4周期分余分に移動対象を運動させて、測定を行う必要があるため、測定に時間がかかるという問題もある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、移動対象が設けられる1軸以上の可動軸を有する機械における1軸のみの運動軌跡誤差を表示する際に、任意の周期的な運動波形に対して高精度に運動軌跡誤差が表示できる軌跡誤差表示装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる軌跡誤差表示装置は、移動対象が設けられる1軸以上の可動軸を有する機械において運動軌跡誤差を測定する対象可動軸として定められる1軸のみを周期的な運動指令条件に基づき駆動したときの前記対象可動軸から入力される位置フィードバック信号から前記対象可動軸の運動波形を測定する信号取得部と、前記信号取得部にて測定された前記対象可動軸の運動波形から、前記位置フィードバック信号と同一の周期と振幅を持ち規定の位相差で運動誤差を含まない理想的な運動を行う仮想軸の擬似運動波形を生成する擬似信号生成部と、前記信号取得部にて測定された前記対象可動軸の運動波形と前記擬似信号生成部にて生成された前記仮想軸の擬似運動波形とに基づき、前記対象可動軸と前記仮想軸とが同期して運動したときの運動軌跡誤差を算出する運動軌跡演算部と、前記運動軌跡演算部にて算出された運動軌跡誤差を表示する表示部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、移動対象が設けられる1軸以上の可動軸を有する機械における1軸のみの運動軌跡誤差を表示する際に、単一の可動軸だけを駆動したときの運動波形とそれから生成した擬似運動波形とで示される仮想的な平面において軌跡運動を行った際の軌跡誤差を測定して表示することができる。したがって、任意の周期的な運動波形に対して、測定を精度よくかつ短時間で完了して表示することができ、併せて工具先端の運動に対しても同様の仮想的な平面において軌跡誤差を測定し表示することができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態1による軌跡誤差表示装置を含む軌跡誤差表示システムの全体構成を示すブロック図である。 図2は、図1に示す機械が有する1軸以上の可動軸のうちの単一の軸だけを駆動するサーボ制御装置とその単一の軸に適用される軌跡誤差表示装置との関係およびそれらの構成例を示すブロック図である。 図3は、図2に示す擬似信号生成部の具体的な構成例を示すブロック図である。 図4は、図3に示すように構成される図2に示す擬似信号生成部の動作手順を説明するフローチャートである。 図5は、図3に示す擬似波形生成部にて生成された擬似運動波形および測定された運動波形の一例を示す波形図である。 図6は、図5に示す擬似運動波形および運動波形における運動方向反転位置部分の拡大図である。 図7は、図3に示す位相シフト部にて生成された擬似運動波形の一例を示す波形図である。 図8は、図2に示す表示部で表示される運動軌跡誤差の一例を示す波形図である。 図9は、本発明の実施の形態2による軌跡誤差表示装置を含む軌跡誤差表示システムの全体構成を示すブロック図である。 図10は、本発明の実施の形態3による軌跡誤差表示装置を含む軌跡誤差表示システムの全体構成を示すブロック図である。 図11は、図10に示す軌跡誤差表示装置の具体的な構成例を示すブロック図である。 図12は、本発明の実施の形態4として、実施の形態1において、運動指令条件入力部から入力した2回の移動平均フィルタを使用した矩形波信号によって、サーボ制御装置を駆動した場合の位置検出器の位置フィードバック信号を軌跡誤差表示装置に取得させ、擬似信号生成部にて生成させた1/4周期位相が進んだ擬似運動波形の一例を示す波形図である。 図13は、図12に示す擬似運動波形が生成されることにより表示部に表示される運動軌跡誤差の一例を示す波形図である。
以下に、本発明にかかる軌跡誤差表示装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による軌跡誤差表示装置を含む軌跡誤差表示システムの全体構成を示すブロック図である。また、図2は、図1に示す機械が有する1軸以上の可動軸のうちの単一の軸だけを駆動するサーボ制御装置とその単一の軸に適用される軌跡誤差表示装置との関係およびそれらの構成例を示すブロック図である。
図1に示す軌跡誤差表示システムは、本実施の形態1による軌跡誤差表示装置1Aと、1軸以上の可動軸を有する(図1では軌跡誤差表示装置1Aが適用される1つの可動軸のみを示す)機械3と、機械3が有する1軸以上の可動軸のうち軌跡誤差表示装置1Aが適用される1つの可動軸を制御するサーボ制御装置2と、運動指令条件を設定入力する運動指令条件入力部5と、運動指令条件入力部5で入力された運動指令条件からサーボ制御装置2への指令を生成するNC制御装置(数値制御装置)4とを備えている。
なお、図1に示す軌跡誤差表示システムでは、運動指令条件入力部5は、機械3が有する1軸以上の可動軸のうち軌跡誤差表示装置1Aが適用される1つの可動軸に対する運動指令条件を設定入力することになる。それ故、説明を容易にするため、機械3が有する1軸以上の可動軸のうち軌跡誤差表示装置1Aが適用される1つの可動軸を、以降、「可動軸3」と称する。
ここで、図1に示す軌跡誤差表示システムで実施される軌跡誤差表示動作を、可動軸3と運動誤差を生じない理想的な運動を行う仮想軸との2軸を同期させて、仮想的な円弧運動を行う際の軌跡誤差を測定して表示する場合を例に挙げて説明する。
オペレータは、運動指令条件入力部5において、想定する円弧の測定条件を入力する。ここでの測定条件は、円弧の半径と円弧の周速度、円弧周回回数である。そうすると、運動指令条件入力部5では、入力された測定条件から可動軸3に運動を指令する数値制御プログラム(以降「NCプログラム」と記す)aを生成し、数値制御装置(以降「NC装置」と記す)4に出力する。今の例では、NCプログラムaは、正弦波指令を内容としている。
NC装置4では、入力されたNCプログラムaから可動軸3への運動指令波形である正弦波状の位置指令値(以降「周期運動指令」と記す)bを生成しサーボ制御装置2に出力する。
サーボ制御装置2は、例えば図2に示すように、加減算器20と、サーボ制御コントローラ21と、制御対象22とを備えている。なお、制御対象22は、可動軸3に設定されるテーブルなどの移動対象である。可動軸3には、その移動対象の位置を検出する位置検出器(図示せず)が設けられている。サーボ制御装置2が可動軸3の制御を実施している過程における、可動軸3に設定されている移動対象の位置変化が位置検出器から位置フィードバック信号cとして加減算器20に出力される。これによって、サーボ制御装置2が可動軸3の制御を開始した際の位置変化が位置フィードバック信号dとして本実施の形態1による軌跡誤差表示装置1Aに出力される。
加減算器20は、NC装置4から入力される周期運動指令bと制御対象22の制御結果を示す位置フィードバック信号cとの差分を求め、それをサーボ制御コントローラ21に出力する。サーボ制御コントローラ21は、加減算器20から入力される差分が小さくなるように、つまり、制御対象22の位置がNC装置4から入力される周期運動指令bと一致するように制御対象22の位置を制御する。
なお、一般に、工作機械のサーボ制御コントローラには、位置制御ループと速度制御ループとを併用したカスケード型のコントローラや、PID制御コントローラなどが用いられる。
次に、本実施の形態1による軌跡誤差表示装置1Aは、例えば図2に示すように、信号取得部11と、擬似信号生成部12と、運動軌跡演算部13と、表示部14とを備えている。以下、各構成要素について説明する。
信号取得部11は、可動軸3に設けられている位置検出器からの位置フィードバック信号dから、仮想軸の信号を生成するのに必要な、可動軸3を駆動した際の運動波形(今の例では、可動軸3に設定される移動対象の位置が正弦波状に変化するような運動を行った際の運動波形)rを取得(測定)し、それを擬似信号生成部12と運動軌跡演算部13とに出力する。
擬似信号生成部12は、例えば図3に示す構成によって、信号取得部11にて測定された可動軸3の運動波形rから、同じ振幅Rで位相が90度ずれた仮想軸の運動波形である擬似運動波形r’を生成し、それを運動軌跡演算部13に出力する。ここで、角振動数がωであるときの振幅Rの円弧運動の軌跡rは、時間tを以下の式(1)に代入して計算できる。
Figure 0006038063
但し、信号取得部11にて測定された可動軸3の運動波形rは、摩擦などの外乱の影響で振幅Rが時間tに依存して変動するが、運動誤差が存在しない理想的な運動を行う仮想軸での擬似運動波形r’は時間tによって変動しない。
運動軌跡演算部13は、信号取得部11にて測定された可動軸3の運動波形rと、擬似信号生成部12にて生成された仮想軸の擬似運動波形r’とを用いて、振幅Rの円弧運動時に生じる運動軌跡誤差を計算する。そして、運動軌跡演算部13では、その求めた運動軌跡誤差を、円弧の半径方向に対して一定の倍率αで拡大表示させる指令R’を次式(2)により算出し、それらを表示部14に出力する。
Figure 0006038063
但し、振幅Rはノミナルな半径である。拡大倍率αは、可動軸3の運動精度とオペレータが必要とする画面上の誤差の大きさとによって最適な値は異なるが、一般に5〜1000倍程度に拡大する値を用いることが多い。
表示部14は、運動軌跡演算部13から入力される運動軌跡誤差とそれに対する表示指令であるノミナルな半径R’とを用いて、運動軌跡誤差をモニタ画面上に描画する。
次に、図3と図4を参照して擬似信号生成部12の具体的な構成と動作について説明する。なお、図3は、図2に示す擬似信号生成部の具体的な構成例を示すブロック図である。図4は、図3に示すように構成される図2に示す擬似信号生成部の動作手順を説明するフローチャートである。
図3において、図2に示す擬似信号生成部12は、例えば周期情報計算部121と、擬似波形生成部122と、位相シフト部123と、擬似波形出力部124とで構成される。以下、図3を参照しつつ図4に沿って図2に示す擬似信号生成部12の動作について説明する。
図4において、ステップS1では、周期情報計算部121に、信号取得部11から測定された運動波形rの情報(波形種類、振幅、位相、サンプリング周期の各情報)が入力される。
ステップS2では、周期情報計算部121において、信号取得部11から入力された測定波形(運動波形r)の情報から同一波形種類で同一振幅の波形(運動波形r)が生成され、その生成された運動波形rのノミナルな振幅Rと周期Tとが計算され、その生成された運動波形rと計算されたノミナルな振幅Rと周期Tとが擬似波形生成部122に出力される。
ノミナルな振幅Rは、次の式(3)を用いて算出される。また。周期Tについては、一度最大値を取った後で次に最大値を取るまでに要する時間Tを計測する。そのため、仮想的な運動軌跡を描画する際には、最低1周期の位置フィードバック信号dが取得できればよい。
Figure 0006038063
ステップS3では、擬似波形生成部122において、まず、周期情報計算部121から入力された運動波形rとノミナルな振幅Rと周期Tとを用いて、時間tに対する位相差がゼロで、ノミナルな振幅Rと周期Tとを持ち、運動誤差を含まない理想的な正弦波形が生成される。この運動誤差を含まない理想的な正弦波形は次式(4)(5)で表される。
Figure 0006038063
ステップS4では、擬似波形生成部122において、次に、最小二乗法を用いて、測定波形(運動波形r)に対する正弦波関数で示される擬似波形(擬似運動波形rds)の位相差Dωが計算される。ここでは、正弦波関数の位相差を計算するための一般的な定式である次式(6)を用いる。但し、式(6)中の添え字Tは転置行列を表す。
Figure 0006038063
擬似波形生成部122は、以上のようにして、測定波形(運動波形r)と同一種類で位相と振幅が同じ擬似波形(擬似運動波形r)を生成し、それを位相シフト部123に出力する。ここで生成された擬似波形(擬似運動波形r)は、次式(7)で示される。
Figure 0006038063
ここで、図5と図6を参照して、生成された擬似運動波形rおよび測定された運動波形rを具体的に説明する。なお、図5は、図3に示す擬似波形生成部にて生成された擬似運動波形および測定された運動波形の一例を示す波形図である。図6は、図5に示す擬似運動波形および運動波形における運動方向反転位置部分の拡大図である。なお、図5と図6では、生成された擬似運動波形r(Dummy Signal)は破線で示され、測定された運動波形r(Original Signal)は実線で示されている。
図5に示すように、生成された擬似運動波形rと測定された運動波形rは、同じ位相と振幅を持つが、理想的な正弦波運動を行う仮想軸に対して、実際の可動軸3は、摩擦などの外乱の影響を受ける。そのため運動方向反転位置では、図6において、破線で示した擬似運動波形(Dummy Signal)に対して、実線で示した運動波形(Original Signal)に遅れが生じているのがわかる。
ステップS5では、位相シフト部123において、擬似波形生成部122にて生成された擬似運動波形rの位相が波形種類ごとに規定された位相差分だけシフトされる。今の例では、円弧運動であるから、一方の軸に対して他方の軸は90度位相が遅れた波形、あるいは、位相が進んだ波形となる。そこで、位相シフト部123では、擬似運動波形rの位相を90度シフトした擬似運動波形r’を生成する。この90度シフトした擬似運動波形r’は次式(8)で示される。なお、図7に、この90度シフトした擬似運動波形r’の一例を示してある。ここで、図7は、図3に示す位相シフト部にて生成された擬似運動波形の一例を示す波形図である。
Figure 0006038063
最後に、ステップS6では、位相シフト部123にて90度シフトされた擬似波形(擬似運動波形r’)が擬似波形出力部124から図2に示した運動軌跡演算部13へ出力される。
図2にて説明したように、運動軌跡演算部13は、測定された運動波形rと90度シフトされた擬似運動波形r’とを用いた仮想的な平面において、円弧運動時に生じる運動軌跡誤差を計算し、それを拡大倍率αで表示させる指令であるノミナルな半径R’を算出し、それらを表示部14に出力する。
その結果、表示部14では、モニタ画面に、例えば図8に示すように、円弧状の運動軌跡の軌跡誤差が拡大率αで拡大されて表示される。なお、図8は、図2に示す表示部で表示される運動軌跡誤差の一例を示す波形図である。但し、図8では、軌跡誤差は、半径方向に200倍に拡大して表示されている。可動軸3の運動方向の反転時に摩擦による影響で30μm程度の象限突起と呼ばれる運動誤差が生じていることがわかる。また、円弧周回中に小刻みに波打った波形が生じていることが目視で確認できる。
以上のように、実施の形態1によれば、移動対象に対して1軸以上の可動軸を有する機械における1軸のみを運動軌跡誤差を測定する対象である可動軸として設定し、その対象可動軸の運動波形を周期的な運動条件指令を入力したときの1周期分の位置フィードバック信号から測定し、その測定した対象可動軸の運動波形を用いて、その1周期分の位置フィードバック信号と同じ振幅と周期とを持ち、規定の位相差で理想的な運動を行う仮想軸の擬似運動波形を生成し、測定した対象可動軸の実際の運動波形と生成した仮想軸の擬似運動波形とから、その対象可動軸と仮想軸との2軸が同期して運動した時の運動軌跡誤差を算出して表示するので、可動軸が原因で発生する運動軌跡誤差を短時間の測定で精度よく表示することが可能になる。
実施の形態2.
図9は、本発明の実施の形態2による軌跡誤差表示装置を含む軌跡誤差表示システムの全体構成を示すブロック図である。なお、図9では、実施の形態1(図1〜図3)に示した構成要素と同一ないし同等である構成要素には同一の符号が付されている。ここでは、本実施の形態2に関わる部分を中心に説明する。
図9に示すように、本実施の形態2では、軌跡誤差表示システムとしての構成は実施の形態1(図1)と同様であり、軌跡誤差表示装置1Aも、構成要素は実施の形態1(図2,図3)に示した構成と同様であるが、軌跡誤差表示装置1Aの信号取得部11が取得する信号が、可動軸3に設けられる位置検出器からの位置フィードバック信号dではなく、新たに追加した構成「レーザ測長器6、およびミラー62」が出力する、可動軸3に設けられる移動対象の変位量を示す信号、である点が実施の形態1とは異なっている。
すなわち、追加された構成「レーザ測長器6、およびミラー62」は、可動軸3に設けられる移動対象の変位を測定し、それを信号取得部11に取得させる測定装置である。なお、移動対象の変位が測定できる測定装置であれば、レーザ測長器6およびミラー62の代わりに別の測定装置を用いてもよい。
ミラー62は、レーザ測長器6の測定ターゲットとして、可動軸3に設けられる移動対象であるテーブル上に設定されている。レーザ測長器6は、ミラー62にレーザ光を照射してその反射光からミラー62の変位を測定できるように、可動軸3の外周囲の適宜箇所に設けられている。
可動軸3は、実施の形態1と同様に、運動指令条件入力部5から入力された周期的な運動指令条件に基づき動作するNC制御装置4およびサーボ制御装置2によって制御されるが、その過程において、レーザ測長器6は、ミラー62の変位を測定する。レーザ測長器6にて測定された移動対象の変位量(変位信号)が、図2に示した位置フィードバック信号dに代えて、軌跡誤差表示装置1Aの信号取得部11に入力される。
よって、本実施の形態2による軌跡誤差表示装置1Aの各構成要素では、次のような動作が行われる。
信号取得部11は、レーザ測長器6から入力される移動対象の変位量(変位信号)を取り込んで該変位量の変化波形を測定し、それを擬似信号生成部12と運動軌跡演算部13とに出力する。
擬似信号生成部12は、信号取得部11にて測定された移動対象の変位量変化波形から同一の周期と振幅を持ち規定の位相差で運動誤差を含まない理想的な運動を行う仮想軸の擬似運動波形を生成し、それを運動軌跡演算部13に出力する。
運動軌跡演算部13は、信号取得部11にて測定された移動対象の変位量変化波形と擬似信号生成部12にて生成された仮想軸の擬似運動波形とに基づき、可動軸3と仮想軸とが同期して運動したときの運動軌跡誤差を算出し、それを表示部14に出力し、表示させる。
ここで、可動軸3の検出器取り付け位置と実際に加工を行う工具先端位置とが一致しておらず、それらの間に機械要素が存在する場合には、機械要素の動特性によって検出器取り付け位置の変位と工具先端の変位とに差が生じることがある。
この点、本実施の形態2によれば、可動軸3の外部に付加的に設置したレーザ測長器6にて測定された、移動対象であるテーブルに設定したミラー62の変位量(位置情報)を用いて移動対象であるテーブルの先端の軌跡を描くことができる。つまり、工具先端の変位を直接測定することができるので、精度よく工具先端の軌跡誤差が測定でき、表示させることができる。
以上のように、実施の形態2によれば、可動軸とその外周囲に、可動軸に設けられる移動対象(テーブル)の変位を測定できる測定装置を配置し、その測定装置で測定した移動対象の変位量(変位信号)を用いて、可動軸と仮想軸とを用いた仮想的な平面における軌跡運動時の軌跡誤差を表示するので、実施の形態1のように検出器の位置フィードバック信号を用いる場合よりも精度よく、可動軸に設けられる移動対象であるテーブルの先端の運動軌跡誤差を表示することができるという効果がある。
実施の形態3.
図10は、本発明の実施の形態3による軌跡誤差表示装置を含む軌跡誤差表示システムの全体構成を示すブロック図である。図11は、図10に示す軌跡誤差表示装置の具体的な構成例を示すブロック図である。なお、図10,図11では、実施の形態1(図1〜図3)に示した構成要素と同一ないし同等である構成要素には同一の符号が付されている。ここでは、本実施の形態3に関わる部分を中心に説明する。
図10に示すように、本実施の形態3では、図1(実施の形態1)に示した軌跡誤差表示システムの構成において、可動軸3に設けられる移動対象(テーブル)に加速度センサ7が取り付けられ、また、軌跡誤差表示装置1Aに代えて軌跡誤差表示装置1Bが設けられている。
軌跡誤差表示装置1Bは、図2に示した位置検出器の位置フィードバック信号dが入力されるのではなく、加速度センサ7から加速度信号が入力される。加速度信号を用いて軌跡誤差を表示するためには、加速度信号を位置の信号へ積分して変換する必要がある。そこで、図11に示すように、軌跡誤差表示装置1Bでは、位置情報変換部15が、信号取得部11の出力端と、擬似信号生成部12および運動軌跡演算部13の各入力端との間に設けられている。
すなわち、図11において、信号取得部11は、加速度センサ7から入力される可動軸3の加速度信号から加速度の変位量波形を測定しそれを位置情報変換部15に出力する。
位置情報変換部15は、信号取得部11が可動軸3の加速度信号から測定した加速度の変位量波形を2回積分して位置の運動波形へ変換し、それを擬似信号生成部12および運動軌跡演算部13に出力する。
そうすると、擬似信号生成部12は、位置情報変換部15から入力される可動軸3の移動対象の位置の運動波形から運動誤差を含まない仮想軸の擬似運動波形を計算することができるようになる。また、運動軌跡演算部13は、位置情報変換部15から入力される可動軸3の移動対象の位置の運動波形と擬似信号生成部12から入力される仮想軸の擬似運動波形とを用いた仮想的な平面において軌跡運動したときの軌跡誤差を算出し、それを表示部14に表示させることができるようになる。
本実施の形態3によれば、加速度センサ7の信号を用いて、可動軸3に設けられる移動対象である工具の軌跡誤差を表示することが可能になるという効果がある。また、加速度センサ7に代えて、レーザドップラ測定器などの速度を測定する測定器を用いた場合は、位置情報変換部15において、1回の積分操作を行うことで、位置情報を取得することが可能となるので、同様に運動軌跡誤差を表示することが可能となる。
ここで、一般的に、実施の形態2にて示したレーザ測長器6などの変位を測定するセンサ類は、可動軸3に変位を測定するための測定ターゲット面を設定し、その可動軸3の外周囲にセンサのヘッドを配置する必要がある。そのため、セットアップが面倒という問題が存在する。
一方、本実施の形態3による加速度センサ7や図示しない速度センサは、一般的には測定ターゲット面が必要とされず、また測定対象の上にセンサを設置するだけで加速度や速度が測定できるため、セットアップが容易であるという利点がある。
実施の形態4.
本発明の実施の形態4として、(1)運動指令条件と、(2)仮想軸の擬似運動波形が持つ位相差とについて説明する。
(1) まず、運動指令条件について説明する。
運動指令条件入力部5で入力する運動指令条件は、基本的には、運動軌跡誤差を測定する仮想的軌跡運動の種類と、その仮想的軌跡運動の振幅と周期である。これには、周期運動の形式、種類、位相の情報が含まれている。
実施の形態1では、運動指令条件入力部5で円弧指令を入力する場合を示したが、これは、図8に示したように、円弧の軌跡が描画できるようにするものである。この場合の周期運動の形式は、正弦波信号である。その他、周期運動の形式として、矩形波信号を用いると正方形の軌跡が描画でき、また三角波信号を用いると菱形の軌跡が描画できるようになる。
さらに、周期運動の形式としては、正弦波信号、矩形波信号、三角波信号に対して1回以上の移動平均処理を行った信号も用いることができる。この場合には、移動平均フィルタを適切に設定することで、加減速時を考慮した指令波形にすることができる。以下に、その一例として、2回の移動平均フィルタを使用した矩形波信号を用いた場合を示す。
仮想的な正方形のコーナ運動を行った場合の運動軌跡誤差を描画するには、可動軸3には矩形波状の運動を指令することになる。但し、理想的な矩形波信号を位置指令として入力すると、一階微分である速度指令が無限大となってしまう。サーボ制御系において速度指令無限大の入力を行うと制御系が不安定になる可能性がある。そのため、移動平均処理を行う。2回の移動平均処理を行った矩形波信号を入力すると、加速度指令までの連続性を確保することができる。得られた波形の一例を図12(擬似運動波形)と図13(運動軌跡誤差)に示してある。
図12は、本発明の実施の形態4として、実施の形態1において、運動指令条件入力部から入力した2回の移動平均フィルタを使用した矩形波信号によって、サーボ制御装置を駆動した場合の位置検出器の位置フィードバック信号を軌跡誤差表示装置に取得させ、擬似信号生成部にて生成させた1/4周期位相が進んだ擬似運動波形の一例を示す波形図である。図13は、図12に示す擬似運動波形が生成されることにより表示部に表示される運動軌跡誤差の一例を示す波形図である。図13では、可動軸3においては、サーボ制御系のオーバシュートによる軌跡誤差が生じていることが示されている。
本実施の形態4に示す方式を用いることで、円弧運動軌跡だけでなく正方形運動軌跡に対しても軌跡誤差を表示できるという効果がある。また、同様の方式を用いることで、位相が180度異なる矩形波信号を用いた場合は対角線運動の運動軌跡を表示することができ、三角波信号を用いた場合は菱形コーナの運動軌跡の軌跡誤差を表示することが可能となるという効果がある。
(2) 次に、仮想軸の擬似運動波形が持つ規定の位相差について説明する。
擬似信号生成部12は、位相シフト部123において、運動指令条件の周期運動の形式が、正弦波信号である場合は1/4周期、矩形波信号である場合は1/2周期または1/4周期、三角波信号である場合は1/4周期、位相が進んでいる、または、位相が遅れている擬似運動波形を生成する。
そうすると、表示部14には、運動指令条件の周期運動の形式が、正弦波信号である場合は円弧状の運動軌跡誤差が表示され(例えば図8参照)、矩形波信号である場合は正方形状の運動軌跡誤差が表示され(例えば図13参照)、また三角波信号である場合は菱形状の運動軌跡誤差が表示される。
以上4つの実施の形態を示して本発明を説明したが、要するに、本発明によれば、1軸のみの可動軸しか持たない機械や他の軸と直交しないため軌跡誤差を測定するための測定器を用いることができない機械、さらに1方向の測定しかできないセンサしか保有していない機械においても、仮想的な平面において軌跡運動を行った場合の軌跡誤差を表示することが可能となる。
また、設定する仮想軸の運動波形である擬似運動波形には、軌跡誤差の原因となる誤差成分が含まれないため、可動軸の影響のみによって生じる誤差成分を表示することが可能となる。
これによって、オペレータが目視にて誤差の形状や軌跡誤差量を正確に判定することが可能となり、機械の精度検定や機械補正を行うためのパラメータの調整が容易になるという効果を奏する。
以上のように、本発明にかかる軌跡誤差表示装置は、移動対象が設けられる1軸以上の可動軸を有する機械における1軸のみの運動軌跡誤差を表示する際に、任意の周期的な運動波形に対して高精度に運動軌跡誤差が表示できる軌跡誤差表示装置として有用であり、特に、工作機械に用いるのに適している。
1A,1B 軌跡誤差表示装置、2 サーボ制御装置、3 1軸以上の可動軸を有する機械、4 NC装置(数値制御装置)、5 運動指令条件入力部、6 レーザ測長器、7 加速度センサ、11 信号取得部、12 擬似信号生成部、13 運動軌跡演算部、14 表示部、15 位置情報変換部、62 ミラー、121 周期情報計算部、122 擬似波形生成部、123 位相シフト部、124 擬似波形出力部。

Claims (11)

  1. 移動対象が設けられる1軸以上の可動軸を有する機械において運動軌跡誤差を測定する対象可動軸として定められる1軸のみを周期的な運動指令条件に基づき駆動したときの前記対象可動軸から入力される位置フィードバック信号から前記対象可動軸の運動波形を測定する信号取得部と、
    前記信号取得部にて測定された前記対象可動軸の運動波形から、前記位置フィードバック信号と同一の周期と振幅を持ち規定の位相差で運動誤差を含まない理想的な運動を行う仮想軸の擬似運動波形を生成する擬似信号生成部と、
    前記信号取得部にて測定された前記対象可動軸の運動波形と前記擬似信号生成部にて生成された前記仮想軸の擬似運動波形とに基づき、前記対象可動軸と前記仮想軸とが同期して運動したときの運動軌跡誤差を算出する運動軌跡演算部と、
    前記運動軌跡演算部にて算出された運動軌跡誤差を表示する表示部と
    を備えることを特徴とする軌跡誤差表示装置。
  2. 移動対象が設けられる1軸以上の可動軸を有する機械において運動軌跡誤差を測定する対象可動軸として定められる1軸のみを周期的な運動指令条件に基づき駆動したときの前記対象可動軸に設けられる移動対象の変位量の変化波形を測定する信号取得部と、
    前記信号取得部にて測定された前記移動対象の変位量変化波形から、前記移動対象の変位量と同一の周期と振幅を持ち規定の位相差で運動誤差を含まない理想的な運動を行う仮想軸の擬似運動波形を生成する擬似信号生成部と、
    前記信号取得部にて測定された前記移動対象の変位量変化波形と前記擬似信号生成部にて生成された前記仮想軸の擬似運動波形とに基づき、前記対象可動軸と前記仮想軸とが同期して運動したときの運動軌跡誤差を算出する運動軌跡演算部と、
    前記運動軌跡演算部にて算出された運動軌跡誤差を表示する表示部と
    を備えることを特徴とする軌跡誤差表示装置。
  3. 前記移動対象の変位を測定しその測定した変位量を前記信号取得部に出力する変位センサが設けられている
    ことを特徴とする請求項2に記載の軌跡誤差表示装置。
  4. 移動対象が設けられる1軸以上の可動軸を有する機械において運動軌跡誤差を測定する対象可動軸として定められる1軸のみを周期的な運動指令条件に基づき駆動したときの前記対象可動軸に設けられる移動対象の速度信号の変化波形を測定する信号取得部と、
    前記信号取得部にて測定された前記移動対象の速度変化波形に1回の積分操作を施して算出した位置変化波形から、前記移動対象の位置波形と同一の周期と振幅を持ち規定の位相差で運動誤差を含まない理想的な運動を行う仮想軸の擬似運動波形を生成する擬似信号生成部と、
    前記信号取得部にて測定された前記対象可動軸に設けられる移動対象の速度変化波形から算出した位置変化波形と前記擬似信号生成部にて生成された前記仮想軸の擬似運動波形とに基づき、前記対象可動軸と前記仮想軸とが同期して運動したときの運動軌跡誤差を算出する運動軌跡演算部と、
    前記運動軌跡演算部にて算出された運動軌跡誤差を表示する表示部と
    を備えることを特徴とする軌跡誤差表示装置。
  5. 前記移動対象の速度を測定しその測定した速度信号を前記信号取得部に出力する速度センサが設けられている
    ことを特徴とする請求項4に記載の軌跡誤差表示装置。
  6. 移動対象が設けられる1軸以上の可動軸を有する機械において運動軌跡誤差を測定する対象可動軸として定められる1軸のみを周期的な運動指令条件に基づき駆動したときの前記対象可動軸に設けられる移動対象の加速度信号の変化波形を測定する信号取得部と、
    前記信号取得部にて測定された前記移動対象の加速度変化波形に2回の積分操作を施して算出した位置変化波形から、前記移動対象の位置波形と同一の周期と振幅を持ち規定の位相差で運動誤差を含まない理想的な運動を行う仮想軸の擬似運動波形を生成する擬似信号生成部と、
    前記信号取得部にて測定された前記対象可動軸に設けられる移動対象の加速度変化波形から算出した位置変化波形と前記擬似信号生成部にて生成された前記仮想軸の擬似運動波形とに基づき、前記対象可動軸と前記仮想軸とが同期して運動したときの運動軌跡誤差を算出する運動軌跡演算部と、
    前記運動軌跡演算部にて算出された運動軌跡誤差を表示する表示部と
    を備えることを特徴とする軌跡誤差表示装置。
  7. 前記移動対象の加速度を測定しその測定した加速度信号を前記信号取得部に出力する加速度センサが設けられている
    ことを特徴とする請求項6に記載の軌跡誤差表示装置。
  8. 前記運動指令条件は、
    周期運動の形式、振幅、位相の情報を含み、
    前記周期運動の形式は、正弦波信号、矩形波信号、三角波信号である
    ことを特徴とする請求項1,2,4,6のいずれか一つに記載の軌跡誤差表示装置。
  9. 前記運動指令条件は、周期運動の形式、振幅、位相の情報を含み、
    前記周期運動の形式は、正弦波信号、矩形波信号、三角波信号に対して1回以上の移動平均処理を行った信号である
    ことを特徴とする請求項1,2,4,6のいずれか一つに記載の軌跡誤差表示装置。
  10. 前記運動指令条件は、
    運動軌跡誤差を測定する仮想的な平面における軌跡運動の種類と、前記仮想的な平面における軌跡運動の振幅と周期である
    ことを特徴とする請求項1,2,4,6のいずれか一つに記載の軌跡誤差表示装置。
  11. 前記規定の位相差は、
    前記運動指令条件の周期運動の形式が、正弦波信号である場合は1/4周期、矩形波信号である場合は1/2周期または1/4周期、三角波信号である場合は1/4周期、位相が進んでいる、または、位相が遅れている
    ことを特徴とする請求項1,2,4,6のいずれか一つに記載の軌跡誤差表示装置。
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