JP6037707B2 - プラズマ処理装置及びプラズマ処理装置の診断方法 - Google Patents

プラズマ処理装置及びプラズマ処理装置の診断方法 Download PDF

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Description

本発明は、真空容器内部の処理室内に配置した半導体ウエハ等の基板状の試料を処理室内に形成したプラズマを用いて処理するプラズマ処理装置及びその前記処理室内に供給するプロセスガスの流量を調節する流量調節器の動作を診断するプラズマ処理装置の診断方法に関する。
従来より、半導体デバイスを製造する工程において、シリコン等の半導体ウエハやLCD基板などの基板状の試料に所望の加工を施してデバイスの回路の構造を形成するため、真空容器の内部に配置された室である処理室内に導入された反応性の高い単一または複数の種類から構成されたプロセス用ガスを処理室内に供給した電界または磁界により励起してプラズマを形成し、このプラズマ中のイオン等の荷電粒子及び反応性の高い粒子を用いてエッチング等の処理をするプラズマ処理装置が広く利用されている。
このようなプラズマ処理装置における上記処理には、導入する複数のプロセス用ガスの流量を安定して再現性良く供給する必要がある。近年の半導体製造に用いるプロセスガスの種類や流量等の処理に用いられる条件は多様になり、流量についても大流量から小流量までの広い範囲の条件を1つ処理室において実現し試料の処理を行うことが求められており、このため単一の種類や構成の流量制御機器を用いて上記広い範囲の流量(速度)プロセスガスを供給することが行われている。
このような装置においては、微小な値のプロセス用のガスの流量を安定して再現性良く実現するために、微小な流量を高精度に検出する必要が有る。このため、低いガスの圧力の領域を高精度に検出できる圧力計を搭載する、あるいは微小の流量が高精度に検出できる流量検出器を搭載するプラズマ処理装置用のプロセスガスの流量調節器が考えられてきた。
このような従来技術の例としては、例えば、特開2007−214406号公報(特許文献1)のような流体供給路上に質量流量制御装置、開閉弁を有し、末端に排気装置を有する半導体製造装置であって、半導体製造装置が、質量流量制御装置、開閉弁、排気装置等の動作に係る制御を司る制御装置を有し、質量流量制御装置を流量制御の検定機能及び/又は流量校正機能を有した質量流量制御装置としたものが知られている。
特開2007−214406号公報
上記従来技術は、質量流量制御装置を有する半導体制御装置にあって、質量流量の検定動作自動的に行えるようになっているが、コストや配置スペースの点について配慮されておらず、ウエハの大口径化により装置が大型化するうえ更に広いガス供給系の機器設置場所が必要になるという問題があった。
本発明の目的は、省コストで高精度に流量調節器の動作の診断を行うことのできるプラズマ処理装置及びその診断方法を提供することにある。
上記目的は、真空容器内部の処理室内にガスを供給して形成したプラズマを用いてこの処理室内に配置した試料を処理するプラズマ処理装置であって、前記処理室と連結されて並列に配置され内部を前記ガスが通流する3つのガス供給ラインと、これらのガス供給ライン各々の上に配置され通流する前記ガスの流量を検出しこれを設定された値となるように調節する3つの流量調節器を有し、前記3つの流量調節器のうちで最も検出可能な範囲が小さい第一の流量調節器と他の流量調節器のうちの一方である第二の流量調節器とに第三の流量調節器で調節された所定の流量のガスを分岐して供給し、前記第二の流量調節器を通流する前記ガスの流量と前記所定の流量との値に基づいて前記第一の流量調節器による流量の調節の動作を検定する機能を備えたことにより達成される。
本発明によれば、大流量と少流量のプロセスガスが用いられる真空処理装置におけるプロセスガス供給装置の診断方法において、専用の質量流量制御装置を用いることなく現有のN2パージガス及びプロセスガスの供給ラインとそれらの流量制御機器を使用し省コストかつ簡単に小流量の流量制御機器の診断を行うことができる。
本発明の実施例に係るプラズマ処理装置の構成の概略を模式的に示す図である。 図1に示す実施例においてパージガス及びプロセスガス用の流量調節器の仕様を示す表である。 図1に示す実施例において小流量のプロセスガスの流量調節器の流量を診断する動作の流れを示すフローチャートである。 図1に示す実施例において小流量のプロセスガスの流量調節器の流量を診断する動作の流れを示すフローチャートである。 図1に示す実施例においてパージガスを用いてプロセスガスの流量調節器を診断する場合のガスの流れを示す図である。 図1に示す実施例においてパージガスをプロセスガスの流量制御機器に流した場合の流量の設定値の変化に対する検出値の変化を示すグラフである。 図1に示す実施例においてパージガス及びプロセスガスの流量のガスの複数の供給源または種類に対する補正パラメータの値を示す表である。 図1に示す実施例においてパージガスをプロセスガスの流量制御機器に通流させた場合のプロセスガスの流量をパージガスの流量に換算した流量を示すグラフである。 図1に示す実施例においてパージガスを用いて小流量に対応した流量調節器を診断する場合のガスの流れを示す図である。 図1に示す実施例においてパージガスを複数のプロセスガスの流量調節器に通流させて小流量に対応したプロセスガスの流量調節器の流量を診断した結果を示すグラフである。
以下、本願発明の実施の形態を図面を用いて説明する。本発明は、真空ポンプ等の排気装置が連結された真空容器内部の処理室と、この処理室内へ内部のガスをその外部に押し出して置換するパージガスを供給するガス供給源とパージガス供給のガスライン上に配置されその内側の流路を開閉するパージガス用バルブと、このパージガスの流量を検出する検出器と、処理室内へ複数のプロセスガスを供給するガス供給源と、処理室内に向かうこれらプロセスガスが内部を通流するプロセスガス用のガスライン上に配置されこれを開閉するプロセスガス用バルブと、これらのプロセスガスの流量を調節する流量調節器と、パージガス用バルブ及びプロセスガス用バルブ各々及び排気装置、流量調節器の動作を調節する制御部とを備えたプラズマ処理装置において、流量調節器を所定の開度にした状態で前記プロセスガス用のガスラインにパージガスを流した際のパージガスの流量を検出する検出器からの出力に基づいて流量調節器を診断するものである。特に、パージガスとプロセスガスとの間のコンバージョンファクタの違いを制御部において補正して、検出器からの出力からプロセスガスの流量に変換して流量調節器を通流するガスの流量を検出することで、流量調節器の動作を診断する。
以下、本発明の実施例について図1ないし図9を用いて説明する。本実施例のプラズマ処理装置は、真空容器の内部には位置された処理室内にプロセスガスを供給し、処理室内に導入した電界または磁界を用いてプロセスガスを励起して形成したプラズマを用いて処理室内に配置した半導体ウエハ等の基板状の試料をエッチング処理するプラズマエッチング装置である。
図1は、本発明の実施例に係るプラズマ処理装置の構成の概略を模式的に示す図である。本図では、本発明の実施例のプラズマ処理装置のパージガス及びプロセスガスを供給する配管を含む供給ラインと真空容器内部の処理室及びその内部を排気する排気ポンプを含む排気の系統との連結の態様を模式的に示している。
本図において、真空容器内部に配置された処理室6は、その下部において処理室6内を真空排気するための真空ポンプを含む排気手段と連結され、処理室6内にパージガス及びプロセスガスを供給するガス供給ラインと連結されている。排気手段は処理室6内のガスや粒子を排気して内部を減圧し圧力を所定の圧力の範囲にする手段であって、処理室6の部に配置された図示しない排気口に対してこれと連通した排気調節バルブ7を介して排気ポンプ8が連結されている。
ガス供給ラインは本実施例では、パージガス用のガスA供給ラインとプロセスガス用のガスB供給ラインとプロセスガス用のガスC供給ラインとを備えている。パージガス用のガスA供給ラインはパージガス用のガスがプラズマ処理装置が設置された建屋の階の床とは別の階等の離間した箇所に配置されたガスタンク等の貯留部を有して構成されているガスA供給源1−1と、パージ用のガスAのライン内の通流を遮断または開放するガスA遮断バルブ2−1と、ガス流量を検出する機能を有して通流するガスの流量を所定の範囲内の値に調節するためのガスAの流量調節器4−1と、パージ用のガスを処理室に導入するガスA導入バルブ5−1とが配管により順次連結されて処理室6に連結されている。なお、ガス流量の検出機能は流量調節器4−1とは離間した別の箇所、或いは流量調節器4−1と着脱可能な別の部材内に配置してもよい。
また、本実施例は、流量調節器4−1とガスA導入バルブ5−1との間から分岐し、排気調節バルブ7と排気ポンプ8との間に連結されたバイパスライン12を有し、バイパスライン12のガス供給ラインの側にガスラインA排気パージバルブ3−1が配置されて排気ポンプ8の側にガスラインの排気バルブ9を有する。
本実施例のプロセスガス用のガスB供給ラインは、ガスA供給ラインと同様に、プロセス用のガスB供給源1−2と、プロセスガス用のガスBの当該ライン内の通流を遮断または開放するガスB遮断バルブ2−2と、通流するガスの流量を所定の値の範囲内に調節するためのガスBの流量調節器4−2と、このガスBの流量調節器と処理室6との間のガス供給ライン上に配置されプロセスガスが処理室6内へ向かうガスB供給ラインの内部を開放、閉塞するガスB導入バルブ5−2とを備えている。また、ガスB遮断バルブ2−2とガスBの流量調節器4−2との間から分岐しバイパスライン12上でガスラインA排気パージバルブ3−1とバルブ9との間に連結部を有しそのライン上に内部を開放、閉塞するガスラインB排気パージバルブ3−2を有して、ガスB供給ラインの排気あるいはN2パージ用にパージガスを導入するラインが形成されている。
さらに、プロセス用のガスC供給ラインは、プロセス用のガスC供給源1−3と、プロセスガス用の別の種類または組成のガスCの当該ライン内の通流を遮断または開放するガスC遮断バルブ2−3と、ガスC供給ライン内のガスを排出するため或いは任意のパージ用ガス(例えばN2)の供給ラインと連結されたパージガス導入ライン上に配置され開放時にガスC供給ラインへのパージ用ガスの導入し閉塞時には上記導入ラインを閉じるガスラインC排気パージバルブ3−3と、ガスC供給ライン内のガスの流量を所定の範囲内の値に調節に保つためのガスCの流量調節器4−3と、このガスC流量調節器と処理室6との間のガス供給ライン上に配置されプロセスガスが処理室6内へ向かうガスC供給ラインの内部を開放、閉塞するガスC導入バルブ5−3とを備えているまた、ガスC遮断バルブ2−3とガスCの流量調節器4−3との間から分岐しバイパスライン12のガスラインA排気パージバルブ3−1とバルブ9との間に、ガスC供給ラインの排気あるいはN2パージ用にパージガスを導入するガスラインC排気パージバルブ3−3を有するラインが形成されている。
また、ガスA供給ライン、ガスB供給ライン、ガスC供給ライン各々の処理室6側の端部はこれらと処理室6との間で1つのプロセスガス供給ラインとして合流部において合流する。この合流部から処理室6までの間でこれらと連結された配管を有して構成されるプロセスガス供給ライン上には、図示していないが内部のガスの通流を開放、閉塞するバルブを配置しても良い。さらにこのプロセスガス供給ラインが処理室6に連結され、各ライン上に配置されたバルブあるいは流量の調節器の動作により、これらのライン内を通流する別の種類または組成である複数のガスは合流して1種類または組成のガスとして処理室6内に供給されることも、各々のライン内を通流するガスが単独で処理室6内に導入されることも可能に構成されている。
さらに、上記のガスの供給ライン上に配置されたバルブ、流量調節器は、図示していない制御部10に通信可能に接続され、この制御部10からの指令信号に応じてその動作が調節される。制御部10は、内部に半導体デバイスによるCPU等の演算器及びRAM、ROMやハードディスク或いは着脱可能な記憶用媒体を用いて記憶するCD−ROM等の記憶装置を有し、さらに上記バルブや流量調節器との間の通信を可能にする有線または無線による通信手段との間の通信用のインターフェースとともに、演算器、記憶装置、インターフェースとの間を通信可能に接続する有線または無線による通信ラインを備えている。なお、符号11は制御部10で検出されたプラズマ処理装置の動作の状態を表示するための液晶、CRT等の表示モニタ11である。
このようなプラズマ処理装置では、処理用の半導体ウエハ等の試料が図示しないロボットアーム等の搬送用装置上に保持されて処理室6内に搬入されてその内部の試料台や電極等の所定の位置上に配置され静電吸着等を用いて保持される。真空容器内部の処理室6内が密封されプロセスガスが導入されて、処理室6内を所定の処理にて期した圧力値に維持された状態で処理室6内に電界または磁界が供給されプロセスガスを励起させてプラズマが形成され、試料の処理が実施される。処理の終了が検知されると、処理室6内に不活性ガス等パージ用のガスが導入されて処理室6内部のプロセスガスがパージガスにより置換され、処理前の試料が再度処理室6内部に搬入され処理済の試料と交換される。
このようなプラズマ処理が試料の所定の枚数実施されたこと、あるいは所定の時間の実施されたことが、制御部10により検出されると、制御部10は記憶装置に記憶されたソフトウエアのアルゴリズムに基づいて、プラズマ処理装置の試料の処理を停止して、装置の保守、点検(メンテナンス)のための動作(メンテナンスモード)で装置を動作させる。このような保守、点検は、処理室6内を大気圧にして開放し内部に配置された部品の清掃或いは交換が行われる。
本実施例では、このようなメンテナンスの際に、ガス供給ラインの保守、点検も実施する。この際には、まずガスA供給源1−1から供給されるパージ用ガスとしての窒素(N2)ガスが、ガスA遮断バルブ2−1とガスA導入バルブ5−1を開かれて処理室6に導入されその内部の圧力を処理に適した所定の真空度である減圧された状態から大気圧またはこれと見倣せる程度に近似した値の圧力まで上昇させる。本実施例では、この際に排気調節バルブ7は閉塞されている。
また、プロセスガスのガスB遮断バルブ2−2とガスC遮断バルブ2−3を閉じた状態でプロセス用のガス供給ライン内に残ったガスをガスライン排気バルブ9を開いて排気ポンプ8の動作により排気する。また、パージ用のガスラインA排気パージバルブ3−1とガスラインB排気パージバルブ3−2とガスラインC排気パージバルブ3−3を開いて排気されたガス供給ライン内をN2ガスでプロセスガスと置換してパージする。
保守や点検が終了後に、処理室6内で試料の処理を再開する際には、ガスB供給源1−2とガスC供給源1−3から供給されるプロセス用のガスは、ガスB遮断バルブ2−2とガスC遮断バルブ2−3を開いて、ガスBの流量調節器4−2とガスCの流量調節器4−3を経由して所定の流量が処理室6内に導入される。
なお、本実施例では、図2に示すように、それぞれのガス供給ラインの流量調節器4−1はN2ガスで最大20L/min、流量調節器4−2はArガスで最大20L/minが通流させることが出来る。一方、流量調節器4−3は処理室6内で試料の処理のための反応を生起するH2ガス用のものであり、流量調節期4−1,4−2よりも小さい流量の領域でより高い精度の調節が可能であって最大5L/minが流せるものが用いられている。本実施例のガスBであるArは処理室内に供給され励起されてプラズマとなり試料と反応してこれを処理するガスC(H2)を所定の分圧にまで希釈するためのガスであり、ガスCと比べ相対的に大流量で処理室6内に導入される。
上記のように構成されたプラズマ処理装置における、小流量の流量調節器4−3の流量を診断する動作を図3及び図4を用いて説明する。図3は、図1に示す実施例において小流量のプロセスガスの流量調節器の流量を診断する動作の流れを示すフローチャートをである。
本図において、まず、いずれのガス供給ラインにもガスを流していない状態でガス供給ライン及び処理室内を排気ポンプにより排気する(これをステップS1に示す)。次に、図1に示したガス供給ラインの所定の経路にパージ用のN2ガスを流し、まず流量の大きい流量調節器4−2を検定する(ステップS2〜S9)。
このようなパージガスを流して検定する流路は、図5の太線で示されている。すなわち、ガスA供給源1−1からガスA遮断バルブ2−1及び流量調節器4−1、ガスラインA排気バルブ3−1を経由してガスラインB排気バルブを通りガスB供給ラインに入り流量調節器4−2、ガスB導入バルブ5−2からプロセスガス供給ラインから処理室6内に導入された後、排気ポンプ8から排出される。
ステップS2〜S9の工程では、まず、パージ用ガスA(N2)の遮断バルブ2−1を開き、プロセス用ガスB(Ar)及びガスC(H2)の遮断バルブであるガスB遮断バルブ2−2、ガスC遮断バルブ2−3を閉じる(ステップS2)。次に、パージ用ガスA(N2)の流量調節器4−1を最大流量に設定する(ステップS3)。
次に、ガスラインA排気パージバルブ3−1及びガスラインB排気パージバルブ3−2を開きパージ用ガスA(N2)をプロセスガスBの供給ラインに導入する(ステップS4)。次に、プロセスガスB用の流量調節器4−2を検定のために検出したい流量に設定し(ステップS5)、ガスB導入バルブ5−2を開く。
これにより、ガスB供給ラインの流量調節器4−2を通って処理室6にパージガスであるガスA(N2)が流れる。ガスB導入バルブ5−2を開きパージガスA(N2)が処理室6に向かってガスB供給ライン内を流れ始めてから所定の時間経過してガスの流れが定常状態になった後、流量調節器4−1及び4−2において検出される流量の検出値の各々は制御部10に通信手段を介して送信される(ステップS6)。
制御部10は受信した信号から、記憶されたソフトウエアを用いてプロセスガスA用の流量調節器4−1の流量を検出し、さらにその流量をプロセスガスB(本実施例ではAr)の流量に換算して記憶装置内の所定の箇所に記憶し格納する(ステップS7)。本実施例の制御部10では、異なるガスの流量調節器においては、同じ流量に設定しても異なるガスを供給した場合にはガス分子の大きさ等の違いから流れ方が異なり、流量に違いが生じることが知られており、これを補正するための換算であるを行う。
本実施例において、制御部10が受信して検出した補正する前の流量の例を図6に示す。図6は、図1に示す実施例においてパージガスをプロセスガスの流量制御機器に流した場合の流量の設定値の変化に対する検出値の変化を示すグラフである。
本実施例では、プロセス用ガスのArの流量調節器4−2が検出したパージ用ガスであるN2の流量の結果を、N2用の流量調節器4−1の検出結果を用いて補正する。パージ用のN2(ガスA)はプロセス用のAr(ガスB)より流れやすいため、プロセス用ガスBの流量調節器4−2の設定値と比べて、実際にはパージ用ガスAの流量調節器4−1の計測数値に表れているように、より多くの流量が流れているように検出される。
本実施例では、ガスの違いによるこのような見掛け上の流量の違いを補正するために、診断の対象となる流量調節器が検出した流量の値を特定の数値を用いて補正し、流量調節器4−2で検出されたN2の流量をガスB(本実施例ではAr)の流量の値にして取得することが行われる。以下、この補正のためのパラメータの数値を変換比率(コンバージョンファクタ)と呼称し、その一例を図7に示す。図7は、図1に示す実施例においてパージガス及びプロセスガスの流量のガスの複数の供給源または種類に対する補正パラメータの値を示す表である。変換比率はガスAであるN2は1.0であり、より流れ難いガスBのArでは1.4、流れやすさが同等であるガスCのH2では1.0になっている。
本実施例では、上記変換比率の値は流量調節器で予め異なる種類のガスを高精度に調節された流量で通流させて比較した結果得られた値を用いている。また、複数の流量調節器を用いて、繰り返し測定を実施した結果の平均値を求めて変換比率を決定しても良い。次に、ガスB用の流量調節器4−2の検出する流量を変更して複数の設定値での換算した流量を求める。本実施例ではこの動作を繰返して行う(ステップS5〜S7、S8)。
すなわち、ステップS7において、検出したプロセスガスA用の流量調節器4−1の流量をプロセスガスB(本実施例ではAr)の流量に換算して記憶装置内の所定の箇所に記憶し格納した後、ステップS8において異なる流量の値について再度流量調節器4−1,4−2を用いた流量の検出を行うかを判定する。既に、予定された流量の設定値の検出が終了している(NO)と判定された場合にはステップS9に進み、異なる設定値での流量の検出を行う(YES)と判定された場合にはステップS5に戻る。
このようにして複数の設定値において流量の検出を行って求められた流量検出器4−2の検出の結果の一例を図8に示す。図8は、図1に示す実施例においてパージガスをプロセスガスの流量制御機器に通流させた場合のプロセスガスの流量をパージガスの流量に換算した流量を示すグラフである。
ステップS9に移行した後は、制御部10は各設定値毎に検出した流量の値が所定の許容値(例えば±5%)以内であるかを判定する。この判定の結果に基づいてプロセス用ガスBの流量調節器4−2の流量の調節が正常であるかどうかが判断される(ステップS9)。
制御部10がガスB用の流量調節器4−2の流量の調節が正常の範囲内の動作である(YES)と判断した場合はステップSに進む。正常の範囲外である(NO)と判定された場合には異常状態であると判定され、ステップErrorに移行して、プラズマ処理装置に異常の対応のための動作を行わせる。
次に、ステップS9において、正常と判定された場合には、図4に示すステップSからステップS10に進み、図9に太い実線で示すラインを用いてパージ用のN2ガスを流し、流量の小さい流量調節器4−3の検定を行う(ステップS10〜S16)。この図のラインは、図5と比べて、ガスA供給源1−1からのパージガスN2がガスB供給ラインとともにガスC供給ラインにお導入されて処理室6内に供給後排気される点であり、流量調節器4−3において流量が検出される点である。
ステップS10からの工程では、制御部10でガスB用の流量調節器4−2とガスC用の流量調節器4−2の最大流量を合算した流量がガスA用の流量調節器4−1の最大流量以下となるようにガスB用の流量調節器4−2に分流する流量を算出する(ステップS10)。次に、プロセス用のガスB(Ar)の流量調節器4−2に分流する流量を設定する(ステップS11)。
次に、ガスラインC排気パージバルブ3−3を開きパージ用ガスA(N2)をプロセスガスBの供給ラインに導入する(ステップS12)。次に、ガスC用の流量調節器4−3の流量を検出する所定の値に設定し(ステップS13)、ガスC導入バルブ5−3を開く。これにより、ガスC供給ライン上の流量調節器4−3を通って処理室6にパージ用のガスA(N2)が導入される。
また、ガスC導入バルブ5−3を開放してガスA(N2)がガスCの供給ライン内に流れ始めてから所定の時間経過して流れが定常状態になった後、流量調節器4−1,4−2,4−3で検出するそれぞれの流量の値が制御部10に送信され制御部10がこれらの信号を受信する(ステップS14)。制御部10は、受信したガスB用の流量調節器4−2とガスC用の流量調節器4−3の流量値をパージ用ガスA(N2)の流量から各々のガスB,Cのものに換算または補正して格納する(ステップS15)。すなわち、流量調節器4−2での検出の結果からガスB供給ラインを通流するガスA(N2)の流量を検出し、これを流量調節器4−1で所定の値に調節された流量から流量調節器を減じた値からガスC供給ラインを流れるガスAの流量を検出する。さらに、ガスC供給ラインを流れるガスAの流量を変換または補正して流量調節器4−3におけるガスCの流量を検出し、制御部10内の記憶装置内に記憶する。
次に、本実施例では、ガスC用の流量調節器4−3の検出する流量の値を異なるものに変更して、ステップS13〜16を繰り返して、複数のポイント(設定値)での流量調節器4−3における流量の検出を行い、同様に換算した流量を検出する。すなわち、ステップS15において、プロセス用のガスCの流量に換算或いは補正して得られた流量調節器4−3における流量の値を記憶装置内の所定の箇所に記憶し格納した後、ステップS16において異なる流量の値について流量調節器4−1,4−2,4−3を用いた流量の検出を行うかを判定する。既に、予定された流量の設定値の検出が終了している(NO)と判定された場合にはステップS17に進み、異なる設定値での流量の検出を行う(YES)と判定された場合にはステップS13に戻る。ステップS17に移行した場合には、処理室6内とガス供給ラインの内部を排気ポンプ8で排気する(ステップS17)。
複数の流量の設定値について、上記ステップにより求められた流量を図9に示す。図9は、図1に示す実施例においてパージガスを用いて小流量に対応した流量調節器を診断する場合のガスの流れを示す図である。
本図に示した例では、プロセスガスB用の流量調節器4−2の流量は一定にして小流量のプロセスガスC用の流量調節器4−3の設定した流量を変化させた場合において、流量調節器4−3に設定した流量の変化に応じてパージガスA用の流量調節器4−1で検出された流量値が変化する。ここで各ポイント毎に、この場合の許容値である±5%範囲内であるかどうかを判定してプロセス用ガスCの流量調節器4−3の流量値が正常範囲内かどうかを判断することができる。
以上の実施例では、各々が複数種類または組成のガスを通流させる複数のガス供給ラインにおいて、一つのガス供給ライン上に配置された流量調節器の流量の調節の検定を、他のガス供給ライン上に配置された複数の流量調節器での流量の値を用いて検出する。特に、一つのガス供給ライン上の特定の流量調節器が許容される精度で検出できる流量の範囲が他の複数のガス供給ライン各々上の流量調節器の許容される精度で検出できる流量の範囲に対して著しく小さい場合に、他の複数のガス供給ライン上の流量調節器に許容される精度で検出できる範囲の任意の値の流量でガスを通流させるとともに一つのガス供給ライン上の特定の流量調節器にその許容される精度で検出できる範囲の流量のガスを通流させることで、検出の精度を損なわずに特定の流量調節器の動作の診断が行える。
特に、本実施例では、各々が並列に配置され処理室6と連結された3つのガス供給ラインの各々の上に配置された流量調節器4−1,4−2,4−3のうち、流量調節器4−3の許容される精度で検出できる最大流量が5L/minであって、他の2つの流量調節器4−1,4−2が20L/minの1/4である。精度を保って検出可能な流量の範囲、所謂検出可能範囲が大きく異なり少なくともそれらの一部が重なっていない流量調節器同士では、一方の検出可能範囲より大きな検出可能な範囲の他方の流量調節器は他方のもの重なっていない一方の検出可能範囲内では高精度に検出できないことが一般的である。本実施例でも、流量調節器4−3の流量の検出可能範囲の上限は、他の2つの流量調節器4−1,4−2の検出可能範囲の下限値よりも小さいものとなっている。
このような検出可能範囲の異なる流量調節器を備えたガス供給ラインを複数備えたプラズマ処理装置としては、エッチング処理装置等の、処理ガスとして反応性の高いガスを高い真空度にされた処理室内に供給して半導体ウエハ等の試料の処理を行うともに試料が処理室内に配置されておらずプラズマが形成されず処理を行っていない時間にはArやN2等の不活性ガスを処理室内に供給して処理用ガスを置換させるものが挙げられる。処理中に維持される圧力は高い真空度であるため反応性の高い処理用ガスは小流量で処理室内に導入されると共に高精度で導入される個とが必要となり、当該処理用ガスのガス供給ライン上の流量調節器に要求される流量の検出可能な範囲は必然的に小さな値のものになる。
一方で、処理室の内部の処理用ガスを置換するために導入されるガスは、処理を行っていない時間に供給され置換を短時間で終えて処理の効率を高めるために相対的に大流量で処理室内に導入されることから、これらのパージ用ガスのガス供給ライン上の流量調節器の検出可能な流量の範囲も大きなものとなる。上記実施例は、検出可能範囲が大きな値のものである2つの流量調節器とこれらが配置されたガス供給ラインと小さな値の特定の検出可能範囲の流量調節器を備えたガス供給ラインとを連結し、2つの流量調節器のうち所定の流量にされた一方に供給して流量を検出したガスを分岐して2つの流量調節器のうちの他方の流量調節器と特定の流量調節器とに供給して、各々で流量を検出する。この際、一方の流量調節器の流量は、他方の流量調節器と特定の流量調節器との各々の検出可能範囲の最大値の合計よりも小さくされている。
一方の流量調節器が配置されたガス供給ラインに供給され当該一方の流量調節器でその流量が所定の値となるように調節されたガスは、分岐して他方の流量調節器及び特定の流量調節器が各々配置されたガス供給ラインに供給されて、各々で設定された値になるように、その流量が調節される。流量が調節されたガスは処理室6に導入された後排気ポンプ8の動作により処理室6から排出される。
本実施例での特定の流量調節器で設定される流量は、他方の流量調節器で設定される流量の値より小さいものであって、他方の流量調節器の検出可能範囲の下限値より小さい値となっている。この状態で、特定の流量調節器が配置されたガス供給ラインに供給されるガスの流量は、他の2つの流量調節器各々を通流したガスの検出された流量の差として検出される。このため、精度の悪い領域の流量で検定を行わずに、各々が許容される精度を具備できる範囲の流量で各々の流量調節器にガスを供給して、小さな流量の流量調節器でのガスの流量とその設定値とが許容された誤差の範囲内にあるか、つまり流量の調節の動作の検定或いは診断を行うことが出来る。
特に、本実施例では、流量が最も小さいガスCの流量調節器4−3の流量を調節する動作の検定または診断では、まず検出が可能な最大値に流量調節器4−3の流量の設定値を設定することが行われる。また、他の2つの流量調節器が検定がされてその精度が許容範囲内にあることを判定された後に、流量の検定、診断を行う流量調節器4−3は複数の流量に設定されてその検定が実施される。
特定の流量調節器の検定の際に他の2つの流量調節器の各々に設定されるガスの流量は、これら2つの流量調節器各々の検出可能範囲内の値である。ガスAの供給ライン上のガスA流量調節器4−1とガスA導入バルブ5−1との間から分岐して排気調節バルブ7と排気ポンプ8との間に連結されたバイパスライン12は、ガスBの供給ライン上のガスBの流量調節器4−2とガスB遮断バルブ2−2との間のガスBのガス供給ライン上から分岐したライン及びガスC供給ライン上のガスC遮断バルブ2−3と流量調節器4−3との間から分岐したラインと連結されている。個の構成で、排気バルブ9を閉じてガスラインB排気パージバルブ3−2,ガスライン排気パージバルブ3−3の開閉の調節により、バイパスライン12を通流するガスAのガス供給ラインからのガスを分岐させて流量調節器4−2,4−3の各々に所定の流量で供給させることができる。
また、バイパスライン12に供給されたガスAであるN2ガスは、処理室6に導入された後に排気ポンプ8の動作により処理室6外に排出される。検定に用いるガスAが処理室6内に導入されることでバイパスライン12やガス供給ライン12内のガスの圧力の変動が低減され、流量調節器4−1,4−2,4−3による流量の検出の安定性や精度がより高くなる。
以上のような構成により、検出可能範囲が小流量である流量調節器4−3の検定あるいは診断が高い精度で行うことが出来る。
1−1…ガスA供給源
1−2…ガスB供給源
1−3…ガスC供給源
2−1…ガスA遮断バルブ
2−2…ガスB遮断バルブ
2−3…ガスC遮断バルブ
3−1…ガスラインA排気パージバルブ
3−2…ガスラインB排気パージバルブ
3−3…ガスラインC排気パージバルブ
4−1…流量調節器
4−2…流量調節器
4−3…流量調節器
5−1…ガスA導入バルブ
5−2…ガスB導入バルブ
5−3…ガスC導入バルブ
6…処理室
7…排気調節バルブ
8…排気ポンプ
9…排気バルブ
10…制御部
11…表示モニタ
12…バイパスライン。

Claims (10)

  1. 真空容器内部の処理室内にガスを供給して形成したプラズマを用いてこの処理室内に配置した試料を処理するプラズマ処理装置であって、
    前記処理室と連結されて並列に配置され内部を前記ガスが通流する3つのガス供給ラインと、これらのガス供給ライン各々の上に配置され通流する前記ガスの流量を検出しこれを設定された値となるように調節する3つの流量調節器を有し、
    前記3つの流量調節器のうちで最も検出可能な範囲が小さい第一の流量調節器と他の流量調節器のうちの一方である第二の流量調節器とに第三の流量調節器で調節された所定の流量のガスを分岐して供給し、前記第二の流量調節器を通流する前記ガスの流量と前記所定の流量との値に基づいて前記第一の流量調節器による流量の調節の動作を検定する機能を備えたプラズマ処理装置。
  2. 請求項1に記載のプラズマ処理装置であって、
    前記第二の流量調節器を通流する前記ガスの流量を検出した結果と前記所定の流量との差を前記第一の流量調節器の設定値と比較した結果に基づいて調節の動作を検定する機能を備えたプラズマ処理装置。
  3. 請求項1または2に記載のプラズマ処理装置であって、
    前記第一の流量調節器の前記検出可能な範囲が前記第二及び第三の流量調節器の検出可能な範囲よりも小さくかつ重ならない範囲を有し、前記第一の流量調節器の流量の設定値が当該重ならない範囲内にあるプラズマ処理装置。
  4. 請求項1または2の何れかに記載のプラズマ処理装置であって、
    前記第二の流量調節器の設定された流量及び前記第三の流量調節器の前記所定の流量は各々の流量調節器の検出可能な範囲内に属し、前記第一の流量調節器の流量の設定値が前記前記第二の流量調節器の設定された流量及び前記所定の流量との差に等しいプラズマ処理装置。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載のプラズマ処理装置であって、
    前記第一の流量調節器が前記処理室に導入される前記ガスのうち試料と反応してこれを処理するための反応ガスの流量を調節するものであり、前記第二の流量調節器が前記反応ガスとともに前記処理室に供給される希釈ガスの流量、及び第三の流量調節器が処理室内での処理が実施されていない時間に当該処理室内に導入される置換用ガスの流量を調節するプラズマ処理装置。
  6. 真空容器内部の処理室内に配置した処理対象の試料を前記処理室内に流量調節器により流量を調節しつつ供給したガスを用いてプラズマを形成し前記試料を処理するプラズマ処理装置の診断方法であって、
    前記プラズマ処理装置が前記処理室と連結されて並列に配置され内部を前記ガスが通流する3つのガス供給ラインと、これらのガス供給ライン各々の上に配置され通流する前記ガスの流量を検出しこれを設定された値となるように調節する3つの流量調節器を有し、
    前記3つの流量調節器のうちで最も検出可能な範囲が小さい第一の流量調節器と他の流量調節器のうちの一方である第二の流量調節器とに第三の流量調節器で調節された所定の流量のガスを分岐して供給し、前記第二の流量調節器を通流する前記ガスの流量と前記所定の流量との値に基づいて前記第一の流量調節器による流量の調節の動作を検定するプラズマ処理装置の診断方法。
  7. 請求項6に記載のプラズマ処理装置の診断方法であって、
    前記前記第二の流量調節器を通流する前記ガスの流量を検出した結果と前記所定の流量との差を前記第一の流量調節器の流量の設定値と比較した結果に基づいて調節の動作を検定するプラズマ処理装置の診断方法。
  8. 請求項6または7に記載のプラズマ処理装置の診断方法であって、
    前記第一の流量調節器の前記検出可能な範囲が前記第二及び第三の流量調節器の検出可能な範囲よりも小さくかつ重ならない範囲を有し、前記第一の流量調節器の流量の設定値が当該重ならない範囲内にあるプラズマ処理装置の診断方法。
  9. 請求項6または7の何れかに記載のプラズマ処理装置の診断方法であって、
    前記第二の流量調節器の設定された流量及び前記第三の流量調節器の前記処理の流量は各々の流量調節器の検出可能な範囲内に属し、前記第一の流量調節器の流量の設定値が前記第二の流量調節器の設定された流量及び前記所定の流量との差に等しいプラズマ処理装置の診断方法。

  10. 請求項6乃至9の何れかに記載のプラズマ処理装置の診断方法であって、
    前記第一の流量調節器が前記処理室に導入される前記ガスのうち試料と反応してこれを処理するための反応ガスの流量を調節するものであり、前記第二の流量調節器が前記反応ガスとともに前記処理室に供給される希釈ガスの流量、及び第三の流量調節器が処理室内での処理が実施されていない時間に当該処理室内に導入される置換用ガスの流量を調節するプラズマ処理装置の診断方法。
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