以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る表面形状測定装置の全体構成を示した構成図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る表面形状測定装置1は、ミロー型の干渉計を用いて測定対象物の表面形状等を非接触により3次元測定する所謂、ミロー型の走査型白色干渉計(顕微鏡)であり、測定対象物Pの干渉画像を取得する光学部2と、測定対象物Pが載置されるステージ10と、光学部2の各種制御や光学部2により取得された干渉画像に基づいて各種演算処理を行うパーソナルコンピュータ等の演算処理装置からなる処理部18等を備える。
なお、測定対象物Pが配置される測定空間において、互いに直交する水平方向の2つの座標軸をx軸(紙面に平行する軸)とy軸(紙面に直交する軸)とし、x軸及びy軸に直交する鉛直方向の座標軸をz軸とする。
ステージ10は、x軸及びy軸に略平行する平坦な上面であって測定対象物Pを載置するステージ面10aを有する。
ステージ面10aに対向する位置、即ち、ステージ10の上側には、不図示の筐体により一体的に収容保持された光学部2が配置される。
光学部2は、x軸に平行な光軸L1を有する光源部12と、z軸に平行な光軸L0を有する干渉部14及び撮像部16とを有する。光源部12の光軸L1は、干渉部14及び撮像部16の光軸L0に対して直交し、干渉部14と撮像部16との間において光軸L0と交差する。なお、光軸L1は、必ずしもx軸と平行でなくてもよい。
光源部12は、測定対象物Pを照明する照明光として波長幅が広い白色光(可干渉性の少ない低コヒーレンス光)を出射する光源40と、光源40から拡散して出射された照明光を略平行な光束に変換するコレクタレンズ42とを有する。光源40及びコレクタレンズ42の各々の中心とする軸は光源部12の光軸L1として同軸上に配置される。
また、光源40としては、発光ダイオード、半導体レーザ、ハロゲンランプ、高輝度放電ランプなど、任意の種類の発光体を用いることができる。
この光源部12から出射された照明光は、干渉部14と撮像部16との間に配置され、光軸L1と光軸L0とが交差する位置に配置されたハーフミラー等のビームスプリッタ44に入射する。そして、ビームスプリッタ44(ビームスプリッタ44の平坦な光分割面(反射面))で反射した照明光が光軸L0に沿って進行して干渉部14に入射する。
干渉部14は、周知のミロー型干渉計により構成され、光源部12から入射した照明光を物体光と参照光とに分割し、物体光をz軸方向(第1方向)を光軸として測定対象物Pに照射して測定対象物Pから戻る物体光を参照光により干渉させた干渉光を生成する。
干渉部14は、集光作用を有する対物レンズ50と、光を反射する平坦な反射面を有する参照ミラー52と、光を分割する平坦な光分割面を有するビームスプリッタ54を有する。対物レンズ50、参照ミラー52、及びビームスプリッタ54の各々の中心とする軸は干渉部14の光軸L0として同軸上に配置される。参照ミラー52は例えば対物レンズ50の中心表面部分に設置される。
光源部12からこの干渉部14に入射した照明光は、対物レンズ50により集光作用を受けた後、ビームスプリッタ54に入射する。
ビームスプリッタ54は、例えばハーフミラーであり、ビームスプリッタ54に入射した照明光は、ビームスプリッタ54を透過する物体光と、ビームスプリッタ54の光分割面で反射する参照光とに分割される。
ビームスプリッタ54を透過した物体光は、測定対象物Pの被測定面Sに照射された後、被測定面Sから干渉部14へと戻り、再度、ビームスプリッタ54に入射する。そして、ビームスプリッタ54を透過した物体光が対物レンズ50に入射する。
一方、ビームスプリッタ54で反射した参照光は、参照ミラー52の光反射面で反射した後、再度、ビームスプリッタ54に入射する。そして、ビームスプリッタ54で反射した参照光が対物レンズ50に入射する。
これによって、干渉部14から被測定面Sに照射されて干渉部14に戻る物体光と、参照ミラー52で反射した参照光とが重ね合わされた干渉光が生成され、その干渉光が対物レンズ50により集光作用を受けた後、干渉部14から撮像部16に向けて出射される。
また、ビームスプリッタ54(光分割面)は、対物レンズ50の焦点面(対物レンズ50の焦点を通り、光軸L0に垂直な平面)に対して距離hだけ対物レンズ50側に近くなる位置、即ち、対物レンズ50の焦点面に対して距離hだけ高い位置に配置される。
参照ミラー52(反射面)は、ビームスプリッタ54(光分割面)に対して距離hだけ対物レンズ50側に近くなる位置、即ち、ビームスプリッタ54に対して距離hだけ高い位置に配置される。
したがって、ビームスプリッタ54と参照ミラー52とは、対物レンズ50の焦点面の位置で反射した物体光の光路長と参照光の光路長とが等しくなるように配置される。
なお、対物レンズ50の焦点距離をHsとすると、距離hを2倍した値2h、即ち、対物レンズ50の焦点面から参照ミラー52までの距離2hは、対物レンズ50の焦点距離Hsよりも小さい。
また、照明光が物体光と参照光とに分割された後、物体光と参照光とが重ね合わされるまでの物体光と参照光の各々が通過した光路の光学的距離を、物体光の光路長及び参照光の光路長といい、それらの差を物体光と参照光の光路長差というものとする。
また、干渉部14は、光学部2においてz軸方向に直線移動可能に設けられる。そして、干渉部アクチュエータ56の駆動により干渉部14がz軸方向に移動する。これにより、対物レンズ50の焦点面の位置(高さ)がz軸方向に移動すると共に、被測定面Sとビームスプリッタ54との距離が変化することで物体光の光路長が変化し、物体光と参照光との光路長差が変化する。なお、干渉部アクチュエータ56は、走査手段の一例である。
撮像部16は、干渉部14からの干渉光を受光して干渉光による干渉画像を生成する撮像部であり、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラに相当し、CCD型の撮像素子60と、結像レンズ62とを有する。撮像素子60と結像レンズ62の各々の中心とする軸は撮像部16の光軸L0と同軸上に配置される。なお、撮像素子60は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の撮像素子等、任意の撮像手段を用いる
ことができる。
干渉部14から出射された干渉光は、上述のビームスプリッタ44に入射し、ビームスプリッタ44を透過した干渉光が撮像部16に入射する。
撮像部16に入射した干渉光は、結像レンズ62により撮像素子60の撮像面60aに干渉像を結像する。ここで、結像レンズ62は、測定対象物Pの被測定面Sの光軸L0周辺の領域に対する干渉像を高倍率に拡大して撮像素子60の撮像面60aに結像する。
また、結像レンズ62は、干渉部14の対物レンズ50の焦点面上における点を、撮像素子60の撮像面上の像点として結像する。即ち、撮像部16は、対物レンズ50の焦点面の位置にピントが合うように(合焦するように)設計されている。なお、以下において、測定対象物Pの焦点面のz軸方向の位置を単に「ピント位置」、又は、「撮像部16のピント位置」というものとする。
撮像素子60の撮像面60aに結像された干渉像は、撮像素子60により電気信号に変換されて干渉画像として取得される。そして、その干渉画像は、処理部18に与えられる。
以上のように光源部12、干渉部14、及び撮像部16等により構成される光学部2は、全体が一体的としてz軸方向に直進移動可能に設けられる。例えば、光学部2は、z軸方向に沿って立設された不図示のz軸ガイド部に直進移動可能に支持される。そして、zアクチュエータ70の駆動により光学部2全体がz軸方向に直進移動する。これにより、干渉部14をz軸方向に移動させる場合よりも、撮像部16のピント位置をz軸方向に大きく移動させることができ、例えば、測定対象物Pの厚さ等に応じて撮像部16のピント位置を適切な位置に調整することができる。
処理部18は、測定対象物Pの被測定面Sの表面形状を測定する際に、干渉部アクチュエータ56を制御して光学部2の干渉部14をz軸方向(第1方向)に移動させながら撮像部16の撮像素子60から干渉画像を順次取得する。そして、取得した干渉画像に基づいて被測定面Sの各点ごとのインターフェログラム(以下、「干渉縞曲線」ともいう。)を求め、各点ごとのインターフェログラムに基づいて被測定面の各点のz軸方向に関する位置を求め、被測定面Sの表面形状を示す3次元形状データを取得する。
被測定面Sの3次元形状データを取得する処理について説明すると、撮像部16の撮像素子60は、x軸及びy軸からなるxy平面(水平面)に沿って2次元的に配列された多数の受光素子(画素)からなり、各画素において受光される干渉像の輝度値、即ち、撮像素子60により取得される干渉画像の各画素の輝度値は、各画素に対応する被測定面Sの各点で反射した物体光と参照光との光路長差に応じた干渉光の強度(輝度情報)を示す。
ここで、図2に示すように、干渉画像(撮像素子60の撮像面)のm列目、n行目の画素を(m,n)と表すものとする。そして、画素(m,n)のx軸方向に関する位置(以下、x軸方向に関する位置を「x位置」という)を示すx座標値をx(m,n)と表し、y軸方向に関する位置(以下、y軸方向に関する位置「y位置」という)を示すy座標値をy(m,n)と表すものとする。
また、画素(m,n)に対応する測定対象物Pの被測定面S上の点のx位置を示すx座標値をX(m,n)と表し、y位置を示すy座標値をY(m,n)と表すものとし、また、その点をxy座標値により(X(m,n),Y(m,n))と表すものとする。なお、画素(m,n)に対応する被測定面S上の点とは、ピントが合っている状態において画素(m,n)の位置に像点が結像される被測定面S上の点を意味する。
このとき、撮像素子60により取得される干渉画像の画素(m,n)の輝度値は、画素(m,n)に対応する被測定面S上の点(X(m,n),Y(m,n))に照射された物体光と参照光との光路長差に応じた大きさを示す。そして、その光路長差が0となる場合に最も大きな値を示す。
即ち、図1の干渉部アクチュエータ56により干渉部14をz軸方向に移動させて光学部2(撮像部16)に対する干渉部14の相対的なz軸方向の位置(以下、「z位置」という)を変位させると、撮像部16のピント位置(対物レンズ50の焦点面)もz軸方向に移動し、ピント位置も干渉部14と同じ変位量で変位する。また、ピント位置が変位すると、被測定面Sの各点に照射される物体光の光路長も変化する。
そして、干渉部14をz軸方向に移動させてピント位置を変位させながら、即ち、物体光の光路長を変化させながら、撮像素子60から干渉画像を順次取得して干渉画像の任意の画素(m,n)の輝度値を検出すると、ピント位置のz座標値に対して図3のような干渉縞曲線(インターフェログラム)Qに沿った輝度値が得られる。
ここで、処理部18は、干渉部14の所定の基準位置からの変位量(干渉部14のz位置)を、ポテンショメータやエンコーダなどの不図示の位置検出手段からの検出信号により検出することができ、または、位置検出手段を使用することなく干渉部14のz位置を制御する場合、例えば、干渉部アクチュエータ56に与える駆動信号により一定変位量ずつ干渉部14を移動させる場合には、その総変位量により検出することができる。そして、干渉部14が基準位置のときのピント位置のz位置を測定空間におけるz座標の基準位置(原点位置)として、かつ、干渉部14の基準位置からの変位量をピント位置のz座標値として取得することができる。なお、z座標値は、原点位置よりも高い位置(撮像部16に近づく位置)を正側、低い位置(ステージ面10aに近づく位置)を負側とする。また、干渉部14の基準位置、即ち、z座標の原点位置は任意のz位置に設定、変更することができる。
任意の画素(m,n)における干渉縞曲線Qは、その画素(m,n)に対応する被測定面S上の点(X(m,n),Y(m,n))に照射された物体光と参照光との光路長差が所定値より大きい場合には略一定の輝度値を示し、光路長差がその所定値より小さいときには、光路長差が減少するにつれて輝度値が振動すると共にその振幅が大きくなる。
したがって、干渉縞曲線Qは、物体光と参照光との光路長が一致したときに(光路長差が0のときに)、最大値を示すと共に、その干渉縞曲線Qの包絡線における最大値を示す。
また、被測定面S上の点(X(m,n),Y(m,n))に照射された物体光と参照光との光路長は、撮像部16のピント位置が被測定面S上の点(X(m,n),Y(m,n))のz位置に一致したときに一致する。
したがって、干渉縞曲線Qが最大値を示すとき(又は干渉縞曲線Qの包絡線が最大値を示すとき)のピント位置は、被測定面S上の点(X(m,n),Y(m,n))のz位置に一致しており、そのときのピント位置のz座標値は、被測定面S上の点(X(m,n),Y(m,n))のz座標値を示す。
以上のことから、処理部18は、干渉部アクチュエータ56により干渉部14をz軸方向(第1方向)に移動させてピント位置をz軸方向に移動させながら(物体光の光路長を変化させながら)、撮像素子60から干渉画像を順次取得し、各画素(m,n)の輝度値をピント位置のz座標値に対応付けて取得する。即ち、ピント位置をz軸方向に走査しながら干渉画像の各画素(m,n)の輝度値を取得する。そして、各画素(m,n)について、図3のような干渉縞曲線Qの輝度値が最大値を示すときのピント位置のz座標値を、各画素(m,n)に対応する被測定面S上の点(X(m,n),Y(m,n))のz座標値Z(m,n)として検出する。
なお、Z(m,n)は、画素(m,n)に対応する被測定面S上の点(X(m,n),Y(m,n))のz座標値を示す。
また、干渉縞曲線Qの輝度値が最大値を示すときのピント位置のz座標値を検出する方法は周知であり、どのような方法を採用してもよい。例えば、ピント位置の微小間隔ごとのz座標値において干渉画像を取得することで、各画素(m,n)について、図3のような干渉縞曲線Qを実際に描画することができる程度に輝度値を取得することができ、取得した輝度値が最大値を示すときのピント位置のz座標値を検出することで、干渉縞曲線Qの輝度値が最大値を示すときのピント位置のz座標値を検出することができる。または、ピント位置の各z座標値において取得した輝度値に基づいて最小二乗法等により干渉縞曲線Qを推測し、又は、干渉縞曲線Qの包絡線を推測し、その推測した干渉縞曲線Q又は包絡線に基づいて輝度値が最大値を示すときのピント位置のz座標値を検出することで、干渉縞曲線Qの輝度値が最大値を示すときのピント位置のz座標値を検出することができる。
以上のようにして、処理部18は、干渉画像(撮像素子60の撮像面60a)の各画素(m,n)に対応する被測定面S上の各点(X(m,n),Y(m,n))のz座標値Z(m,n)を検出することで、被測定面S上の各点(X(m,n),Y(m,n))の相対的な高さを検出することができる。そして、被測定面S上の各点のx座標値X(m,n)、y座標値Y(m,n)、及びz座標値Z(m,n)を被測定面Sの3次元形状データ(表面形状を示すデータ)として取得することができる。例えば、図4に示すようにx軸方向に並ぶ3つの画素に対応する被測定面S上の3点におけるz座標値Z1、Z2、Z3が相違する場合に、ピント位置をz軸方向に走査しながら干渉画像のそれらの画素の輝度値を取得すると、それらの画素の各々に関してピント位置がz座標値Z1、Z2、Z3のときに輝度値が最大値を示す干渉縞曲線Q1、Q2、Q3が取得される。したがって、それらの干渉縞曲線Q1、Q2、Q3の輝度値が最大値を示すときのピント位置のz座標値を検出することで、それらの画素に対応する被測定面S上の3点におけるz座標値Z1、Z2、Z3を検出することができる。
ところで、測定対象物Pの被測定面Sが、例えば平面部と斜面部を有するような複雑な形状を有する場合、反射率の大きい箇所で適正となるように白色光の発光量を調整すると、反射率の小さな箇所の干渉縞曲線の波形振幅が小さく、測定が正しく行えない場合がある。逆に反射率の小さい箇所で適正となるように白色光の発光量を調整すると、反射率の大きい箇所の干渉縞曲線が飽和してしまい(即ち、予め設定された測定レンジを超えてしまい)、測定が正しく行えない場合がある。
これに対し、第1の実施の形態の表面形状測定装置1では、上記課題を解決するために、白色光の発光量が互いに異なる測定条件で2回の測定を行い、各々の測定によって第1干渉縞曲線及び第2干渉縞曲線を各点ごとに求め、第1干渉縞曲線及び第2干渉縞曲線の中から各点ごとに適した干渉縞曲線を選択し、選択した各点ごとの干渉縞曲線に基づいて被測定面の各点の相対的な高さ(z座標値)を検出する処理を行う。
このような処理を実現するため、第1の実施の形態の表面形状測定装置1は、図1に示すように、制御手段の一例として光源制御部72を備えている。光源制御部72は、光源40から出射される白色光の発光量(光源光量)を制御する。具体的には、光源制御部72は、処理部18により測定対象物に対する測定条件を互いに異ならせて2回の測定が行われる際、1回目の測定における発光量(第1発光量)と、2回目の測定における発光量(第2発光量)とを決定し、それぞれの測定において決定した発光量となるように光源40の発光量を制御する。第1発光量と第2発光量は互いに異なる発光量である。例えば、第1発光量は被測定面Sの反射率が低い場合に適正な大光量であり、第2発光量は被測定面Sの反射率が高い場合に適正な小光量である。
図5は、第1の実施の形態に係る表面形状測定装置による表面形状測定方法の一例を示したフローチャートである。
ステージ10のステージ面10aに測定対象物Pが載置され、例えば、図1の入力部22により測定開始が指示されると、まず、図5のステップS10の工程(第1測定条件設定工程)として、光源制御部72は、光源40から出射される白色光の発光量が第1発光量(大光量)となるように制御を行う。
次に、ステップS12の工程(第1インターフェログラム取得工程)として、処理部18は、干渉部アクチュエータ56を制御して光学部2の干渉部14をz軸方向に移動させてピント位置をz軸方向に移動させながら撮像素子60から干渉画像を順次取得し、取得した干渉画像に基づいて被測定面Sの各点(即ち、干渉画像の各画素)ごとに第1干渉縞曲線(第1インターフェログラム)を取得する。
次に、ステップS14の工程(第2測定条件設定工程)として、光源制御部72は、光源40から出射される白色光の発光量が第2発光量(小光量)となるように制御を行う。
次に、ステップS16の工程(第2インターフェログラム取得工程)として、ステップS12(第1インターフェログラム取得工程)の工程と同様に、処理部18は、干渉部アクチュエータ56を制御して光学部2の干渉部14をz軸方向に移動させてピント位置をz軸方向に移動させながら撮像素子60から干渉画像を順次取得し、取得した干渉画像に基づいて被測定面Sの各点(即ち、干渉画像の各画素)ごとに第2干渉縞曲線(第2インターフェログラム)を取得する。
次に、ステップS18の工程(第1選択工程)として、処理部18は、第1干渉縞曲線(第1インターフェログラム)及び第2干渉縞曲線(第2インターフェログラム)の中から予め設定された測定レンジ内にある干渉縞曲線を選択し、この処理を全ての点(画素)に対して行う。
図6は、被測定面Sの任意の点(干渉画像における任意の画素)に対する第1干渉縞曲線Qaと第2干渉縞曲線Qbの一例を示した図である。本例において、第1干渉縞曲線Qaは白色光の発光量が第1発光量(大光量)であるときに取得されたものである。そのため、被測定面Sの任意の点における反射率が高い箇所である場合には、図6の(a)に示すように第1干渉縞曲線Qaは予め設定された測定レンジを超えてしまい、第1干渉縞曲線Qaの輝度値が最大値(波形振幅の最大値)を示すときのピント位置のz座標値を検出することが困難となる場合がある。一方、第2干渉縞曲線Qbは、第1干渉縞曲線Qaを取得するときの測定条件とは異なる測定条件、即ち、第1干渉縞曲線Qaを取得するときの白色光の第1発光量(大光量)よりも少ない第2発光量(小光量)で取得されたものであるため、図6の(b)に示すように第2干渉縞曲線Qbは予め設定された測定レンジ内におさまり、第2干渉縞曲線Qbの輝度値が最大値(波形振幅の最大値)を示すときのピント位置のz座標値を安定かつ正確に検出することが可能となる。
そこで、第1の実施の形態においては、被測定面Sの任意の点(干渉画像における任意の画素)に対して得られた第1干渉縞曲線及び第2干渉縞曲線の中から測定レンジ内にある干渉縞曲線を選択し、選択した干渉縞曲線(図6に示した例の場合、第2干渉縞曲線Qb)の輝度値が最大値(波形振幅の最大値)を示すときのピント位置のz座標値を被測定面の点におけるz座標値Zとして検出する。
次に、ステップS20の工程(第2選択工程)として、処理部18は、上述したステップS18(第1選択工程)において被測定面Sの任意の点に対して複数の干渉縞曲線が選択された場合(即ち、第1干渉縞曲線と第2干渉縞曲線がいずれも測定レンジ内である場合)には、これらの干渉縞曲線の中から波形振幅の最大値が最も大きい干渉縞曲線を選択し、この処理を全ての点(画素)に対して行う。
図7は、被測定面Sの任意の点(画素)に対する第1干渉縞曲線Qaと第2干渉縞曲線Qbがいずれも予め設定された測定レンジ内にある場合を示した図である。図7に示した例の場合、ステップS18の工程(第1選択工程)では、第1干渉縞曲線Qaと第2干渉縞曲線Qbがいずれも予め設定された測定レンジ内にあるので、第1干渉縞曲線Qaと第2干渉縞曲線Qbとの両方が選択される。このような場合、干渉縞曲線が測定レンジ内であってもその波形振幅が小さすぎると、輝度値が最大値を示すときのピント位置のz座標値を正確に検出できない場合がある。そこで、第1の実施の形態では、図7に示した例の場合には、ステップS20の工程(第2選択工程)として、測定レンジ内にある第1干渉縞曲線Qaと第2干渉縞曲線Qbの中から波形振幅の最大値が最も大きい干渉縞曲線Qaを選択する。
図8は、干渉画像の各画素(被測定面の各点に相当)に対して選択された干渉縞曲線の分布の一例を示した図である。図8に示した例において、干渉画像の中央部に対応する被測定面Sの部分は反射率の低い箇所であり、この部分に対応する各点(画素)は白色光の発光量が第1発光量(大光量)であるときに取得された第1干渉縞曲線(第1インターフェログラム)Qaが選択される。また、干渉画像の周辺部に対応する被測定面Sの部分は反射率の高い箇所であり、この部分に対応する各点(画素)は白色光の発光量が第1発光量よりも小さい第2発光量(小光量)であるときに取得された第2干渉縞曲線(第2インターフェログラム)Qbが選択される。
次に、ステップS22の工程(検出工程)として、処理部18は、被測定面Sの各点ごとに選択した干渉縞曲線に基づき、被測定面Sの表面形状を示す3次元形状データを取得する。即ち、被測定面S上の各点のx座標値X(m,n)、y座標値Y(m,n)、及びz座標値Z(m,n)を被測定面Sの3次元形状データとして取得する。被測定面Sの3次元形状データを取得する処理については上述のとおりである。
以上の処理が終了すると、測定対象物Pの表面形状の測定が終了となる。
なお、図5に示したステップS10(第1測定条件設定工程)、ステップS12(第1インターフェログラム取得工程)、ステップS14(第2測定条件設定工程)、及びステップS16(第2インターフェログラム取得工程)が本発明の「取得ステップ」に相当する。また、ステップS18(第1選択工程)及びステップS20(第2選択工程)が本発明の「選択ステップ」に相当する。また、ステップS22(検出工程)が本発明の「検出ステップ」に相当する。
このように第1の実施の形態においては、被測定面Sの各点(画素)ごとに、第1干渉縞曲線と第2干渉縞曲線の中から予め設定された測定レンジ内であり、かつ波形振幅の最大値が最も大きい干渉縞曲線が選択される。即ち、被測定面Sの形状、材質などによる反射率の違いに応じて適正な干渉縞曲線が被測定面の各点ごとに選択されるので、被測定面Sが複雑な形状を有する場合等のように反射率が一定でない場合でも、被測定面Sの表面形状(3次元形状)を高感度かつ高精度に測定することが可能となる。
なお、第1の実施の形態では、制御手段の一例として光源制御部72を備える態様を示したが、これに限らず、例えば、図9に示すように、撮像制御部74を備えていてもよい。撮像制御部74は、撮像部16における撮像素子60のゲイン、露光時間、図示しない絞り手段の絞り値などを制御する。この態様においても、第1の実施の形態における態様と同様に、互いに異なる測定条件(即ち、撮像部16のゲイン、露光時間、絞り値など)で取得された第1干渉縞曲線と第2干渉縞曲線の中から被測定面Sの形状、材質などによる反射率の違いに応じて適正な干渉縞曲線を被測定面Sの各点ごとに選択することにより、被測定面Sが複雑な形状を有する場合でも、被測定面Sの表面形状(3次元形状)を高感度かつ高精度に測定することが可能となる。
また、図示は省略するが、制御手段の一例として図1の光源制御部72と図9の撮像制御部74の両方を備える態様であってもよい。この場合、測定対象物Pに対する測定条件として、光源40から出射される白色光の発光量、撮像部16におけるゲイン、露光時間、絞り値などを組み合わせて測定条件を設定することにより、測定対象物Pの被測定面Sの形状、材質などによる反射率の違いに応じて最適化を図ることが可能となる。
また、第1の実施の形態では、測定対象物Pに対する測定条件を変更して2回の測定を行い、測定条件が互いに異なる第1干渉縞曲線と第2干渉縞曲線を各点ごとに取得しているが、測定対象物Pに対する測定回数は3回以上であってもよい。この場合、測定条件が高いに異なる複数(即ち、3つ以上)の干渉縞曲線が取得されるが、複数の干渉縞曲線の中から測定レンジ内であり、かつ波形振幅の最大値が最も大きい干渉縞曲線を選択すればよい。これにより、被測定面Sがより複雑な形状を有する場合でも、被測定面Sの表面形状(3次元形状)を安定かつ確実に測定することが可能となる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、測定対象物Pの被測定面Sが複雑な形状を有する場合等のように反射率が一定でない場合でも、被測定面Sの表面形状(3次元形状)を高感度かつ高精度に測定できるようにしたものであるが、測定対象物Pに対する測定条件(例えば、白色光の発光量)が互いに異なる測定条件で複数回(少なくとも2回)測定する必要があるため、測定時間がかかるという新たな問題が生ずる。また、複数回測定を行うためには、干渉部14をz軸方向に移動させる走査処理を繰り返し行わなければならず、この走査処理の繰り返しによる誤差が大きくなると測定精度に悪影響を及ぼす可能性がある。
第2の実施形態は、第1の実施の形態における課題を解決すべく、測定対象物Pに対して複数回測定を行わなくても一度の測定だけで、第1の実施の形態と同様な効果を得ることができ、さらに、第1の実施の形態に比べて測定時間の短縮化を図ることができるとともに、走査処理の繰り返しによる誤差の影響をなくして測定精度を向上させたものである。以下、第2の実施形態について詳細を説明する。なお、第1の実施の形態と共通する部分については説明を省略し、第2の実施の形態の特徴的部分を中心に説明する。
図10は、第2の実施の形態に係る表面形状測定装置の全体構成を示した構成図である。図10中、図1又は図9と共通又は類似する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図10に示すように、第2の実施の形態に係る表面形状測定装置1Aの光源部12には、パルス状の白色光(パルス光)を周期的に出射するパルス光源からなる光源40を備えている。
また、この表面形状測定装置1Aは、光源制御部72及び撮像制御部74を有するとともに、処理部18には、同期信号生成部80と、発光タイミング信号生成部82と、画像取得タイミング信号生成部84とが設けられている。なお、図10では、同期信号生成部80、発光タイミング信号生成部82、及び画像取得タイミング信号生成部84が処理部18の構成要素の一部である場合を一例として示したが、これに限らず、これらの一部又は全部が処理部18とは別に構成されていてもよい。
同期信号生成部80は、図示しないクロック信号生成部から出力されたクロック信号に基づいて同期信号TG0を生成する。同期信号生成部80で生成された同期信号TG0は、発光タイミング信号生成部82、及び画像取得タイミング信号生成部84に対して出力される。
発光タイミング信号生成部82は、同期信号生成部80から出力された同期信号TG0に同期して所定時間の間(走査処理が行われている間)一定の周期で光源40への発光タイミング信号TG1を出力する。
画像取得タイミング信号生成部84は、同期信号生成部80から出力された同期信号に同期して所定時間の間(走査処理が行われている間)一定の周期で撮像素子60への画像取得タイミング信号TG2を出力する。
光源制御部72は、発光タイミング信号生成部82から出力された発光タイミング信号TG1に基づいて光源40の駆動を制御する。すなわち、光源制御部72は、発光タイミング信号TG1がオンのときに光源40を発光させ、発光タイミング信号TG1がオフのときに光源40の発光を停止させる。これにより、光源40は、同期信号TG0に同期した所定周期(後述する発光周期T1)でパルス光を発光する。
撮像制御部74は、画像取得タイミング信号生成部84から出力された画像取得タイミング信号TG2に基づいて撮像素子60の駆動を制御する。すなわち、撮像制御部74は、画像取得タイミング信号TG2がオンのときに撮像素子60による画像取得(画像読み出し)を実行し、画像取得タイミング信号TG2がオフのときに撮像素子60による画像読み出しを停止する。これにより、撮像素子60は、同期信号TG0に同期した所定周期(後述する画像取得周期T2)で画像取得を行う。
ここで、光源40の発光タイミングと撮像素子60の画像取得タイミングとの関係について図11を参照して説明する。図11は、光源40の発光タイミングと撮像素子60の画像取得タイミングとの関係を示したタイミングチャート図である。図11において、(a)は発光タイミング信号TG1、(b)は画像取得タイミング信号TG2、(c)は1周期あたりの画像取得で得られた干渉画像(1フレームあたりの画像)の露光量をそれぞれ示したものである。なお、図11の(b)においてドットハッチングで示した発光対応領域は光源40が発光しているときに画像取得が行われる領域(時間帯)を表したものである。
第2の実施の形態においては、図11の(a)、(b)に示すように、光源40の発光周期(発光間隔)T1が撮像素子60の画像取得周期(画像読み出し間隔)T2に対して2倍となるように設定されている。また、光源40の1周期あたりの発光時間Taが撮像素子60の1周期あたりの画像取得時間Tbよりも長くなるように設定されている。この関係により、図11の(c)に示すように、相対的に露光量が大きい干渉画像(大光量画像、第1の干渉画像の一例)と、相対的に露光量が小さい干渉画像(小光量画像、第2の干渉画像の一例)とが交互に得られる。すなわち、フレーム番号が0,2,4,6,・・・である偶数フレーム画像は大光量画像となり、フレーム番号が1,3,5,7,・・・である奇数フレーム画像は小光量画像となる。
このように第2の実施の形態では、撮像素子60における画像取得タイミングとの間に一定の相関関係を保って、一定間隔で光源40が発光するようになっている。すなわち、光源40の発光と撮像素子60の画像取得とが一定の相関関係を保ちながらそれぞれ周期的に行われるように制御される。これによって、干渉部14をz軸方向に移動させてピント位置を変位させながら、撮像素子60から干渉画像を順次取得する際、相対的に露光量が大きい(すなわち、画像取得時間に対して光照射時間が相対的に大きい)干渉画像(大光量画像)と、相対的に露光量が小さい(すなわち、画像取得時間に対して光照射時間が相対的に小さい)干渉画像(低光量画像)を交互に取得することが可能となる。したがって、1回の測定で、光量が互いに異なる干渉画像(大光量画像及び小光量画像)を順次取得することができ、各干渉画像から第1干渉縞曲線(第1インターフェログラム)及び第2干渉縞曲線(第2インターフェログラム)を取得することが可能となる。その結果、第1の実施の形態と同様に、測定対象物Pの被測定面Sが複雑な形状を有する場合等のように反射率が一定でない場合でも、被測定面Sの表面形状(3次元形状)を高感度かつ高精度に測定できる。
次に、第2の実施の形態に係る表面形状測定装置1Aによる表面形状測定方法について図12を参照して説明する。図12は、第2の実施の形態に係る表面形状測定装置による表面形状測定方法の一例を示したフローチャートである。なお、図12において、図5に示した処理と共通する処理には同一の符号を付し、その説明を簡略化または省略する。
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様にして測定開始が指示されると、まず、図12のステップS30の工程(制御工程)として、光源40の発光と撮像素子60の画像取得とが同期するように制御を行う。具体的には、光源制御部72は、発光タイミング信号生成部82から出力された発光タイミング信号TG1に基づいて光源40の駆動を制御する。これにより、光源40は同期信号TG0に同期した発光周期T1でパルス光を発光する。また、撮像制御部74は、画像取得タイミング信号生成部84から出力された画像取得タイミング信号TG2に基づいて撮像素子60の駆動を制御する。これにより、撮像素子60は同期信号TG0に同期した画像取得周期T2で画像取得を行う。なお、発光周期T1は画像取得周期T2の2倍となるように設定されている。
次に、ステップS32の工程(画像取得工程)として、処理部18は、干渉部アクチュエータ56を制御して光学部2の干渉部14をz軸方向に移動させてピント位置をz軸方向に移動させながら撮像素子60から干渉画像を順次取得する。これにより、相対的に露光量が大きい(すなわち、画像取得時間に対して光照射時間が相対的に大きい)干渉画像(大光量画像)と、相対的に露光量が小さい(すなわち、画像取得時間に対して光照射時間が相対的に小さい)干渉画像(低光量画像)とが交互に取得される。なお、取得した干渉画像は、大光量画像(偶数フレーム画像)と小光量画像(奇数フレーム画像)とに分けて画像メモリ(不図示)に保存される。
次に、ステップS34の工程(第1インターフェログラム取得工程)として、処理部18は、メモリに保存された複数の大光量画像(偶数フレーム画像)に基づいて被測定面Sの各点(即ち、干渉画像の各画素)ごとに第1干渉縞曲線(第1インターフェログラム)を取得する。
次に、ステップS36の工程(第2インターフェログラム取得工程)として、処理部18は、メモリに保存された複数の小光量画像(奇数フレーム画像)に基づいて被測定面Sの各点(即ち、干渉画像の各画素)ごとに第2干渉縞曲線(第2インターフェログラム)を取得する。その後の処理は第1の実施の形態と同様である。
このように第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態において複数回測定が必要だった測定対象物Pに対して、1回の測定(走査処理)で大光量画像と小光量画像が交互に取得されるので、これらの画像から被測定面Sの各点(画素)ごとに第1干渉縞曲線と第2干渉縞曲線を取得することができ、第1の実施の形態と同様な効果を得ることが可能となり、さらに第1の実施の形態よりも測定時間の短縮化を図ることができるとともに、複数回の測定による走査処理の繰り返しによる誤差も生じないので測定精度を向上させることができる。
なお、第2の実施の形態では、好ましい態様の一例として、光源40の発光周期T1が撮像素子60の画像取得周期T2よりも長く、かつ光源40の1周期あたりの発光時間Taが撮像素子60の画像取得時間Tbよりも長く設定された構成を示したが、本発明の実施に際しては、1回の測定(走査処理)で光量が互いに異なる複数種類の干渉画像が交互に繰り返し取得できるように、光源40の発光と撮像素子60の画像取得とが一定の相関関係を保ちながらそれぞれ周期的に行われるものであればよい。
図13は、第2の実施の形態の変形例を示した図であり、光源40の発光タイミングと撮像素子60の画像取得タイミングとの関係を示したタイミングチャート図である。
図13に示した変形例では、光源40の発光周期T1が撮像素子60の画像取得周期T2の3倍となるように設定されている。また、光源40の1周期あたりの発光時間Taが撮像素子60の1周期あたりの画像取得時間Tbよりも長くなるように設定されている。この関係により、図13の(c)に示すように、相対的に露光量が大きい干渉画像(大光量画像)と、相対的に露光量が小さい干渉画像(小光量画像)とが交互に得られる。すなわち、フレーム番号が0,1,3,4,6,7・・・であるフレーム画像は大光量画像となり、フレーム番号が2,5,・・・であるフレーム画像は小光量画像となる。
したがって、干渉部14をz軸方向に移動させてピント位置を変位させながら、撮像素子60から干渉画像を順次取得する際、大光量画像、大光量画像、小光量画像の順で、各画像が周期的に取得される。すなわち、1回の測定で、光量が互いに異なる干渉画像(大光量画像及び小光量画像)を取得することができ、各干渉画像から第1干渉縞曲線(第1インターフェログラム)及び第2干渉縞曲線(第2インターフェログラム)を取得することが可能となり、これらの干渉縞曲線の中から予め設定された測定レンジ内であり、かつ波形振幅の最大値が最も大きい干渉縞曲線を選択することにより、上述した第2の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
また、第2の実施の形態では、発光タイミング信号TG1と画像取得タイミング信号TG2との位相が一致している場合を示したが、本発明はこれに限らない。すなわち、本発明においては、1回の測定で少なくとも大光量画像と小光量画像が周期的に取得できように、撮像素子60における画像取得タイミングとの間に一定の相関関係を保って、一定間隔で光源40が発光するようになっていればよく、例えば、図示しない位相調整回路により、発光タイミング信号TG1と画像取得タイミング信号TG2との位相がずれるように調整されていてもよい。
図14は、第2の実施の形態の他の変形例を示した図であり、光源40の発光タイミングと撮像素子60の画像取得タイミングとの関係を示したタイミングチャート図である。
図14に示した変形例では、光源40の発光周期T1が撮像素子60の画像取得周期T2の1.5倍となるように設定されている。また、光源40の1周期あたりの発光時間Taが撮像素子60の1周期あたりの画像取得時間Tbよりも長くなるように設定されている。さらに、発光タイミング信号TG1に対して画像取得タイミング信号TG2が遅延時間Tcだけ位相がすれるように設定されている。この関係により、図14の(c)に示すように、相対的に露光量が大きい干渉画像(大光量画像)と、相対的に露光量が小さい干渉画像(小光量画像)と、相対的に露光量が中くらいの干渉画像(中光量画像)とが交互に得られる。すなわち、フレーム番号が0,3,・・・であるフレーム画像は大光量画像となり、フレーム番号が2,5,・・・であるフレーム画像は中光量画像となり、フレーム番号が1,4,・・・であるフレーム画像は小光量画像となる。
したがって、干渉部14をz軸方向に移動させてピント位置を変位させながら、撮像素子60から干渉画像を順次取得する際、大光量画像、小光量画像、中光量画像の順で、各画像が周期的に取得される。すなわち、1回の測定で、光量が互いに異なる干渉画像(大光量画像、中光量画像、及び小光量画像)を取得することができ、各干渉画像から第1干渉縞曲線(第1インターフェログラム)、第2干渉縞曲線(第2インターフェログラム)、及び第3干渉縞曲線(第3インターフェログラム)を取得することが可能となり、これらの干渉縞曲線の中から予め設定された測定レンジ内であり、かつ波形振幅の最大値が最も大きい干渉縞曲線を選択することにより、上述した第2の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
(その他)
上記各実施の形態では、ミロー型の干渉計を用いて測定対象物の被測定面の3次元形状を非接触による構成を一例として示したが、本発明はこれに限らず、例えば、マイケルソン型の干渉計などを採用することも可能である。
また、上記各実施の形態では、測定対象物Pの被測定面Sの反射率が一定でない場合の一例として被測定面Sが複雑な形状を有する場合を示したが、これに限らず、例えば、測定対象物Pからの反射率の変化が激しい光沢部や傾斜部を有する場合、異種材料で構成される場合、あるいはこれらの組み合わせからなる場合に対しても本発明は効果的に用いることができる。