JP2006242853A - 干渉装置及び平面形状の測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】急峻な傾斜を持つ被検体平面〔サンプル〕の計測時に生ずる干渉縞の狭間隔化を解消するようにした干渉装置及び平面形状の測定方法を得る。
【解決手段】従来のマイケルソン型干渉計装置の参照ミラー(参照平面)の代りに、基準のサンプル21を配置した干渉装置16に配設した制御手段を介して駆動手段と遮光手段を制御し自動的にサンプル(被検体平面)1の傾斜の急峻な高さ情報Hを得る干渉装置及び平面形状の測定方法を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、干渉装置及び平面形状の測定方法に係わり、特に、急峻な傾斜を持つ被検体の計測時に生ずる干渉縞の狭間隔化を解消するようにした顕微鏡型の干渉装置及び平面形状の測定方法に関する。
従来から、干渉装置は種々のものが提案されている。例えば、参照ミラーと被検体とに光を入射し、これら反射光を互いに干渉させ、表面の縞模様を分析して表面の粗さを測定する光波干渉顕微鏡が特許文献1に開示されている。
また、測定光を参照光と干渉させて被検体平面と参照平面の表面形状の和と差を測定することで被検体平面の絶対形状を測定する平面形状の測定方法が特許文献2に開示されている。
図7(A)は特許文献2に記載された被検体平面の絶対形状を測定する平面形状の測定方法を説明するための干渉計の光学構成を示すもので、被検体平面と参照平面の表面形状の和を測定する工程を実現するフィゾー干渉計であり、この配置では、被検体平面1と参照平面2とを平行に対向して配置し、被検体平面1と参照平面2との間で、且つ被検体平面1と参照平面2の法線方向と45°で交差するようにビームスプリッター3を配置している。レーザー光源からのレーザー光を第1のビームスプリッター3に入射し、第1のビームスプリッター3のスプリット面3aで反射した測定光を被検体平面1と参照平面2との双方で反射させた後に、第1のビームスプリッター3を透過した参照光は撮像レンズ4を介してCCDカメラ5の受光面上で干渉させて干渉縞を形成している。
この配置のフィゾー干渉計においては、測定光は順に被検体平面1と参照平面2とで反射されるので、受光面上に形成される干渉縞の位相分布は被検体平面1と参照平面2の表面形状の和を含んでいる。したがって、被検体波面をΦ(x,y)、参照波面をΦ′(x,y)とすると、次の数1の(1)式により、被測定平面1と参照平面2の表面形状の和Ψ1(x,y)を測定することが出来る。
[数1]
Ψ1(x,y)=Φ(x,y)+Φ′(x,y)・・・・(1)
図7(B)は被検体平面1と参照平面2の表面形状の差を測定する工程を実現するフィゾー干渉計の配置図を示す。この配置のフィゾー干渉計は、上述の表面形状の和を測定するフィゾー干渉計における被検体平面1を移動させ、この被検体平面1と参照平面2とを略直交する様に配置し、被検体平面1の法線方向と参照平面2の法線方向を2等分するようにビームスプリッター3を配置し、レーザー光源からのレーザー光を第1のビームスプリッター3に入射し、第1のビームスプリッター3で反射した測定光を被検体平面1で反射させ、ビームスプリッター3を透過した参照光を参照平面2で反射させた後に、測定光と参照光は撮像レンズ4を介してCCDカメラ5の受光面上で干渉させて干渉縞を形成している。
上述のフィゾー干渉計においては、測定光は被検体平面1で反射され、参照光は参照平面2で反射されるので、受光面上に形成される干渉縞の位相分布は被検体平面1と参照平面2の表面形状の差を含んでいる。したがって、次の数2の(2)式により、被測定平面1と参照平面2の表面形状の差Ψ2(x,y)を測定することができる。
[数2]
Ψ(x,y)=Φ(x,y)−Φ′(x,y)・・・・(2)
以上より、(1)式及び(2)式よりΨ1(x,y)及び Ψ(x,y)の加算値を平均化して被測定波面Φ(x、y)の絶対測定が可能となる旨の記載がある。
干渉計には上記したフィゾー干渉計の他に様々な種類のものがあり,用途に応じて使い分けられているが,フィゾー干渉計では参照平面1からの反射光と被検体平面2からの反射光には,波長に比べて大きな光路差があり,可干渉性の良い光源,すなわちレーザー光を使用する必要があった。これに比べ、マイケルソン干渉計の場合には2つの光路長を波長オーダーで一致させることができるので,必ずしもレーザー光を使用する必要はなく,白色光や低コヒーレンス光を光源として用いることができる。従来構成の形状測定用の代表的なマイケルソン干渉計ついての構成を図8(A)で簡単に説明する。図8(A)に於いて、光源6から出た光はコリメーターレンズ7により平行光となり,ハーフミラー8により2つの光路に分割(振幅分割)される。2つに分かれた光束は夫々第1のミラー(参照平面〕2、第2のミラー(被検体平面)1で反射し,元の光路を逆戻りしてハーフミラー8により重ね合わせられ,撮像レンズ4や結像レンズ10を介してCCDカメラ5により干渉縞画像が捉えられる。第1のミラー2を高精度に研磨された参照平面とし,第2のミラー1を被検体平面とすれば,被検体の平面の形状を測定することができる。
上述の構成で、光源6として白色光や低コヒーレンス光を用いる場合には,2つの光路長をきちんと一致させる必要があり,ハーフミラー8の厚み分の光路長を補正するための補正板9を反射光路中に挿入する必要がある。また,参照平面2の位置に対して,被検体平面1の位置を,光路長がμmオーダーで一致するように調整する必要があり,調整は非常に難しくなるが、逆に、干渉縞が観察できる被検体平面1の位置は非常に狭い範囲に限定されるため,透明な平行平面ガラス等,フィゾー干渉計ではノイズが重畳してしまう被検体でも,表面形状を正確に測定することができる利点がある。
次に、図8(B)により従来の顕微鏡型の干渉装置の構成を説明する。図8(B)に於いて、干渉対物レンズ11には、駆動ステージ15等で被検体平面1に対し3次元方向に移動可能となされている。対物レンズとしては、マイケルソン型の対物レンズの他に参照平面(反射ミラー)2を対物レンズ14の光軸の同軸上に配置したミロー型の対物レンズがある。作動距離(対物レンズ14先端から被検体平面1までの距離)の充分取れる5X、10Xなどの低倍率の対物レンズ14では、第2のビームスプリッター13や参照平面2を配置しやすいが、10X、20X、50Xなどの高倍率の対物レンズ14では作動距離が狭いため、マイケルソン型の対物レンズの構成は難しく、ミロー型の対物レンズとして市販されている。この様なニコン(日本光学)製ミロー型干渉対物レンズのNAと、入射波長λ=0.55μmとした場合の解像度を下表の表1にまとめた。
ここで、解像度は「見分けることができる最も細かい2点間の距離を解像度」と定義する。
次に、上述の干渉装置で被検体平面1を傾けた場合の干渉縞を考える。図9において、干渉装置16によりXY平面に置かれた被検体平面(以下サンプルと記す)1をZ軸方向に所定角度θ°傾けた場合の干渉観察の光源6からの波長を上記したλ=0,55μmとすると干渉装置16からのサンプル1への入射光が垂直入射の場合、高さ方向でλ/2毎に干渉縞が現れので、干渉縞ピッチは0.55μm/2=0.275μmとなる。傾き角θ°が0の場合、図10(A)の様に干渉縞は現れない。傾き角|θXZ|を少しずつ傾けていくと図10(B)、図10(C)の様に縞が現れ初め、縞の本数が増えていく。干渉装置16で縞画像を写した場合を考えると傾き角|θXZ|が大きくなると、縞の間隔が狭くなり、対物レンズ14の解像度の限界で縞を識別できなくなり、対物レンズ14の倍率が50XDIの解像度の限界値は0.275μmとなる。
ここで、図11に示す様に、サンプル1のXZ平面で1本の干渉縞17を考えるとDは上記した0.275μmで、対物レンズ14の倍率が50XDIでの解像度の限界は、表1の様にD=0.610μmであるから、被検体平面を傾けてよい限界角度θ1は数3の3式で表せることになる。
[数3]
θ1=atan(D/D)=24.27[deg]・・・・(3)
即ち、24.27°以上の傾斜がある場合、対物レンズ14の解像度を超えるため、縞17を識別することはできない。同様に、対物レンズの倍率10XDI、20XDIについても計算すると以下の表2に示す様な値になる。
これら干渉縞の間隔の問題を解決する手段として、(イ)高NA(Numerical Aperture)レンズの採用、(ロ)縞間隔を広げるがあげられる。(イ)の様に高NAレンズを採用した場合NAは、入射ひとみの半径が物点において張る角θ2の正弦と物体空間の絶対屈折率nに対しNA=n×sinθ2で与えられ、NAは1よりも小さい値をとる。仮にNA=1とした場合、対物レンズの倍率が50XDIでの限界角は、39.34°となるが、NAを大きくすると、対物レンズ14の口径が大きくなる、或いはは作動距離が短くなるといった弊害があり、現実的ではない問題を生ずる。
また、(ロ)の様に縞間隔を広げる場合は光源6の波長を長くすれば縞間隔を広げることができる。然し、波長を長くすることにより解像度も大きくなるため、互いに相殺してしまう。ここで可視限界の780μmと仮定すると、対物レンズの倍率が50XDIでの限界角は、24.27 degとλ=0.55μmの場合と同じになり、効果は無いことになる。
特開昭61−202102号公報 特開平10−232116号公報
本発明は上記課題を解決するために成されたもので、本発明が解決しようとする課題は、急峻な傾斜を持つサンプルにおいては、干渉縞の間隔が狭くなり、間隔が対物レンズのNAで決まる水平解像度以下になると、干渉縞を識別することができなくなる問題を解決するために成されたものである。
第1の本発明の干渉装置は、光源からの光を少なくとも光路の異なる2光路に分割する分割手段と、2光路に設けられた参照平面及びサンプル平面と、参照平面及びサンプル平面からの反射光を集合する集合手段と、該集合手段によって合成した干渉縞を検出する検出手段とからなる干渉装置に於いて、前記参照平面を形状が既知の基準のサンプル平面としたものである。
第2の本発明の平面形状の測定方法は、光源からの光を少なくとも光路の異なる2光路に分割し、2光路に設けられた参照平面及びサンプル平面からの反射光を集合し、集合した反射光を合成してサンプル平面の干渉縞を検出する平面形状の測定方法に於いて、参照平面を形状が既知の基準のサンプル平面と成すと共にコンピュータを介し駆動手段を制御して、分割したサンプル又は基準のサンプルへの光を交互に遮光し、サンプル及び基準のサンプルに対して対物レンズのピントを調整し、サンプル及び基準のサンプルの画像を検出するステップと、コンピュータはサンプル及び基準のサンプルの検出した画像のXY平面での偏差を求め、駆動手段を動作させて、偏差を相殺するステップと、2光路の遮光を解除し、干渉縞間隔が最大になるようにX及びY軸の傾き角θx、θを調整し、傾き角θx、θの高周波成分が最小に成るように調整するステップによりサンプルと基準のサンプルの干渉縞の差異から高さ情報を得る様にしたものである。
第1及び第2の本発明によれば、傾斜部に急峻な部位が多数存在し、従来の干渉装置では測定ができない。液晶パネルで使用される導光板等も基準サンプルを予め用意することで、高精度な形状測定が可能な干渉装置及び平面形状の測定方法が得られる効果を生ずる。
以下、本発明の干渉装置及び平面形状の測定方法を図1乃至図6の形態例で説明する。本発明の特徴とするところは、従来のマイケルソン型干渉計の参照ミラーの代りに、基準サンプルを配置し急峻な傾斜を持った干渉縞の観察を可能にした干渉装置を得ようとするものである。
図1乃至図6に於いて、図1は本発明の干渉装置及び平面形状の測定方法の1形態例を示す光学系の配置図、図2は本発明の干渉装置及び平面形状の測定方法の1形態例を示す系統図、図3は本発明の干渉装置及び平面形状の測定方法の1形態例を示すフローチャート、図4は本発明の干渉装置及び平面形状の測定方法でのZ軸走査と干渉縞画像を示す斜視図、図5は本発明の干渉装置及び平面形状の測定方法の他の形態例を示すフローチャート、図6は本発明の干渉装置及び平面形状の測定方法の1形態例での基準被検体平面と測定値のイメージ図である。以下、図1乃至図6に於いて、図7乃至図11で説明した回路構成との対応部分には同一符号を付して説明する。
本発明の干渉装置をマイケルソン型の干渉装置に適用したものについて図1により説明する。従来の図8(A)で説明したレンズが単体では高倍率が不得手であるので、本発明では一般的な明視野用の対物レンズを2本使用したマイケルソン型に顕微鏡を構成した干渉装置例を説明する。
図1に於いて、干渉(計)装置16は、ハロゲンランプなどの白色光源6を用い、狭帯域の透過フィルターで波長拡がりを狭い単色光としたものが一般的に用いられる。これは、ナトリウムランプのλ=590nm前後に急峻なスペクトルをものなどでもよい。又、LED(発光ダイオード)等の比較的拡がりの狭い光源6を用いてもよい。この様な光源6から照射された光は光の分割手段として機能するハーフミラー8で分岐され、入射光の50%が透過し、残り50%が反射する。ハーフミラー8で透過した光は、第2の対物レンズ20を通り図8(A)では参照平面を構成する第1のミラー2に入射するが、本発明に於いては、第1のミラー2の位置に形状が既知の基準のサンプル21を配置する。基準のサンプル21で反射した光は第2の対物レンズ20を通り、ハーフミラー8にて光路を45°変え、結像レンズ10を通り検出手段としてのCCD5カメラにて像を結ぶ。
又、光源6から入射した光はハーフミラー8で反射し、光路の補正板9、第1の対物レンズ22を通り、披検体平面(以下サンプルと記す)に入射する。サンプル1で反射した光は第1の対物レンズ22及び光路の補正板9を通り、ハーフミラー8を透過し結像レンズ10を通り検出手段としてのCCDカメラ5にて像を結ぶ。第1の対物レンズ20と第2の対物レンズ22は同じ倍率性能を持つものを使用する。これらの2つ光路をたどった反射光はハーフミラー8に達したところで重なり合い、カメラで結像した画像は、光路差による干渉縞を伴った画像になる。従って、光の分割手段,光を重ね合わせる重合手段はハーフミラー8が担っている。検出手段はCCDカメラ5が担っているが、接眼レンズを設置して目視観察する様にしてもよい。
図2は上述の平面形状測定を行なうための、干渉装置16の全体的な系統図を示すもので、25は干渉顕微鏡を示し、図1に示した光学機器23や検出手段を構成する撮像装置としてのCCDカメラ5の他に基台に置かれたサンプル1へのピント合わせは、光学系の光学機器23全体を上下する駆動装置24で行う。この駆動装置24として後述する位相シフト法を用いる場合は1nm程度の移動精度が必要である。駆動装置24は粗動用にモータ24a、ステージ24b及び微動用にピエゾアクチュエータ24c並びに遮光手段としてのシャッター24d、24eを用いた2段構成にすることが好ましい。観察時は極力振動を抑えた剛性の高い機械構造が必要である。また被検体としてのサンプル1も周囲の雰囲気で動かない様に基台に強固に支持する必要がある。
干渉顕微鏡25の駆動装置24は駆動系制御ドライバ26で駆動制御される。駆動系制御ドライバ26は画像演算及び機器制御用のコンピュータ(以下CPUと記す)27で駆動制御される。尚、28はCPU27用の表示モニタ等の表示部、29はマウス、キーボード等の操作部であり、30はCCDカメラ5の撮像画像をCPU27等が通常有するメモリ等の記憶装置に取込むためのフレームグラバ等のデータ取込手段である。干渉顕微鏡25のCCDカメラ5で撮像され検出した干渉縞の画像はカメラ表示用モニタ31に表示され、フレームグラバ30でメモリに取り込まれる。
上記した基準サンプル21の表面形状は、SEM(走査型電子顕微鏡)や段差計で表面の高さ情報を予め取得しておく。基準サンプル21は被検体であるサンプル1との形状が似ているものが好ましい。検出手段のCCDカメラ5のモニタ31に表れる干渉縞は、基準のサンプル21と被検体平面であるサンプル1との形状の差異に依る光路差で生じるものであり、本発明では第2のミラー1を平面でない基準サンプル21に置換えたことにより、基準のサンプル21とサンプル(被検体平面)1との間の位置合わせ機構としての上記した駆動装置24が必要になる。基準のサンプル21側に位置、姿勢の6方向に自由度(X、Y、Z、θx、θy、θz軸)を正確に調整する姿勢調整手段を第1及び第2の対物レンズ22、20に設けると共にハーフミラー8と第2の対物レンズ20との間に第2のシャッター24e及びハーフミラー8と光路長の補正板9との間に第1のシャッター24dを配設する。
上述の基準サンプル21の位相合わせ手順を以下、図3のフローチャートに基づいて説明する。第1ステップS1では第1のシャッター24dを開き第2のシャッター24eを閉じる。第2ステップS2では第1の対物レンズ22の図1に示すZA方向と光源6の図1に示すZ0方向のピント合わせを行なう。第3ステップS3ではCCDカメラ5でサンプル1の画像Iaを取込む。
第4ステップS4では第1のシャッター24dを閉じ、第2のシャッター24eを開ける。第5ステップS5では図1及び図4に示すZ軸走査と干渉縞画像33の様に第2の対物レンズ20のZ方向のピント合わせを行った後に第6ステップS6ではCCDカメラ5により基準のサンプル21の画像Ibを取込む。
第7ステップS7に於いて、CPU27は画像処理の正規化相関法等のパターンマッチングにより、CCDカメラ5に取り込んだ画像IaとIbとのXY平面での偏差を求める。この偏差は、X,Y軸とθの座標値で与えられる。第8ステップS8では基準のサンプル21側のX、Y、θ軸を動かし、偏差を相殺する位置へ移動し、平面位置を合わせる。
第9ステップS9では第1のシャッター24dと第2のシャッター24eを開ける。第10ステップS10ではCCDカメラ5に干渉縞を映し出して縞間隔が最大になるように傾きθxを調整する。第11ステップS11ではCPU27は画像処理にて画面のX軸−方向にFFT(Fast Fourier Transform)処理を行い、高周波成分を最小になるようにθxを調整する。尚、この時にCCDカメラ5の画像は、X軸方向に偏差が生ずるため、適宜、パターンマッチングによる位置合わせを行う。同様に、第12ステップS12で高周波成分を最小になるように傾きθyの調整を行う。第13ステップS13では干渉縞から形状の差異の高さ情報を演算により求めて、エンドに至る。
ここで干渉縞が一様になだらかな場合は、位相シフト法により平面の位相情報を求め、位相接続(アンラッピング)が可能である。それができない場合、段差等で一様な縞にならない場合は、白色光源や多波長光源を使った零次縞探索法により高さ情報を得る。演算により得られた高さ情報を、基準サンプル21の表面形状高さ情報に加算することにより、サンプル1の表面形状高さ情報を得ることができる。
上記した、一般的な位相シフト法を用いて高さ情報を取得する方法を以下に説明をする。今、被検体平面のサンプル1の表面から反射された光と、基準のサンプル21表面からの反射光による干渉を考える。両者の光の位相差をΦとし、基準サンプル表面からの高さをHとし光の波長をλとすると、位相差Φ=4πH/λである。位相シフト法では、基準のサンプル21を図4の様にZ軸方向に駆動し、参照光路を既知量だけ変化させた時に得られる複数個の干渉縞画像33から位相差Φを計算し、さらに高さHに換算する。これを行うには一般的に計算が簡単な4ステップ法を用いる。この方法では、位相シフト量単位をπ/2とし、0、(1/2)π、π、(3/2)πの4回変化させる。これは、基準サンプル21をZ軸方向に、0、(1/8)λ、(1/4)λ、(3/8)λだけ移動することを意味する。この時の干渉光強度をそれぞれa、b、c、dとすると、位相Φは次の数4の4式のような簡単な式になる。
[数4]
Φ=tan−1[(a−c)/(b−d)]・・・(4)
これから、次の5式により高さHを求める。
H=φλ/4π・・・(5)
本方法で求められる位相差には、2πN(Nは整数)の任意性があるので、高さが連続的に変化しているという仮定を用いて位相接続(アンラッピング)処理を行なう。
基準のサンプル21ならびに被検体平面であるサンプル1は、高低差を持つ形状であるため、高低差が第1及び第2の対物レンズ22,20で決まる焦点深度を超える場合もある。つまり、地形図で例えると、隣り合う等高線に挟まれる領域でしか高さを得ることができない。第1の対物レンズ22ならびに第2の対物レンズ20には、ピエゾアクチュエータ24bで1nm程度の分解能を持ち、ZA軸及びZ軸方向に駆動する微調用の駆動装置24によりZA軸及びZ軸を焦点深度と同じ距離だけ移動し、再度高さ情報を取得し、得られた高さ情報を重ね合わせることにより、全体の高さ情報を生成することができる。
位相シフトの4ステップ法によるサンプル1の高さ情報取得までの手順を図5により説明する。第1ステップST1では第1のシャッター24d及び第2のシャッター24eを開き、第2ステップST2ではCCDカメラ5で干渉光強度aの画像Iaを取込む。第3ステップST3では図1に示すZ方向に1/8λ分進める様に第2の対物レンズ20を移動させる。第4ステップST4ではCCDカメラ5で干渉光強度bの画像Ibを取込む。第5ステップST5では、Z軸方向に第2の対物レンズ20を1/8λ分進める。
第6ステップST6ではCCDカメラ5で光干渉強度cの画像Icを取込む。第7ステップST7ではZ軸方向に第2の対物レンズ20を1/8λ分進める。第8ステップST8で光干渉強度dの画像Idを取込む。
第9ステップST9では、CCDカメラ5で取込んだIa、Ib、Ic、Idの画像をCPU27は画面間演算を行い画面内全域にて位相差情報の数4の4式Φ=atan([(a−c)/(b−d)]により演算する。第10ステップST10では第9ステッップST9で得た位相差情報の画像において5式H=φλ/4πの演算で高さ情報Hを算出する。第11ステップST11では位相接続処理(アンラッピング)が行われ、第12ステップST12では基準のサンプル21の既知の高さ情報に重ねられる。第13ステップST13ではノイズ処理等のフィルター処理を行いエンドに至る。
次に、急峻な傾斜を有するサンプル1の計測時の問題点として、傾斜面での反射光量の低さがある。一般的に、傾斜面では光軸の同軸方向に反射する光の成分は減少する。入射光軸に対しサンプル1の法線方向との間の入射角が零の時に最大の反射となるが、π/2に近づくほど減少する。反射光量は画像の明るさとして現れる。上記の高さ情報Hの演算を行う場合、取込んだ画像に非線形の成分があると正しい演算ができない。CCDカメラ5側で取込み画像が最大明るさで飽和してしまう場合や、受光量が少なくノイズに埋もれてしまう場合がそれに当たる。入射角が大きい傾斜部と、入射角零の水平面では、反射光量の比が大きい。一般的に使用されるCCDカメラ5は8BitのA/D変換器にて明るさを256階調に数値化しているが、このダイナミックレンジでは狭く、画面全域に渡って干渉縞の明るさの変化を取込むことが出来ない場合がある。
ダイナミックレンジの拡大を図るためには、12BitA/D変換器を使い4096階調にすることが有効である。又、光源6を動的に変化させる方法も考えられる。先ず、CCDカメラ5で明るさが飽和しない程度に光量を下げ、測定を行う。次に光量を上げ、測定できなかった領域を再度測定する。これらを合成することにより全体の高さ情報を得る。或いは、同一位置で複数枚の画像を取込み、その総和を取込み画像として処理する方法によってもCCDカメラ5等の撮像素子固有のノイズは総和されることで相殺される。この方法でも同様にダイナミックレンジの拡大が可能である。
上記した様に急峻な傾斜を持つ被検体のサンプルにおいては、干渉縞の間隔が狭くなる。この間隔が対物レンズのNAで決まる水平解像度以下になると、干渉縞を識別することができなくなる。測定のイメージは図6(A)〜(C)に示す様に例えば、図6(A)に示す波板のようなサンプル1を観察した場合を考える。サンプル1及び基準のサンプル21並びに計算値34の高さ情報Hを階調で表現すると図6(A)〜(C)の上側の平面図のようになり、横方向の断面をグラフ化すると、図6(A)〜(C)の下側の波形図の様にきれいな波形状をしているとする。今、図6(A)と図6(B)に示す被検体のサンプル1の高さ情報Hに基準のサンプル21の高さ情報Hを加算すれば、図6(C)の計算値34に示す様な計算結果を得ることができる。
干渉装置16は、比較的均一な平面の緩やかな高低差がサブナノメートルのオーダーを持つ高精度測定に適している。例えば、カメラレンズ,コピー機用レンズ,ピックアップ用対物レンズをはじめとする光記録光学系用レンズ,光通信用レンズ,コンタクトレンズ,各種ガラス,プラスチックレンズ,ミラー,フィルター,プリズム,液晶用ガラス,ガラスディスク,光記録光学系用ガラス部品,コーナーキューブ,ホログラム素子等,金属或いはセラミック製シール部品表面,金属製電気部品,刃物,ギア,ボールベアリング表面等の各種メカ,電気部品の表面形状測定等である。
近年、光学素子は機能性の高いことが要求され、非球面化や複合化といった複雑な形状になってきている。微細な領域にレンズを格子状に並べたマイクロレンズアレイなどは、傾斜部に急峻な部位が多数存在し、現状の干渉装置ではその平面形状を正確に測定できない。液晶パネルで使用される導光板もいくつかの傾斜部で構成される。本発明では、基準のサンプル21を予め用意する必要があるが、高精度なこのような傾斜部に急峻な部位を有する複雑な形状の被検体測定が可能になる効果を有する。
本発明の干渉装置は観察顕微鏡に適用可能であり、本例の干渉装置は特殊な対物レンズは使用せず。参照光路をシャッターで遮断すれば通常の観察顕微鏡として使用することができるのでSEM、AFM、段差計に比べ、測定の段取り時間が短く済み、測定も短時間で済む効果を有する。
本発明の干渉装置及び平面形状の測定方法の1形態例の光学系配置図である。 本発明の干渉装置及び平面形状の測定方法の1形態例を示す系統図である。 本発明の干渉装置及び平面形状の測定方法の1形態例の基準のサンプルの位置合わせ方法を示すフローチャートである。 本発明の干渉装置及び平面形状の測定方法でのZ軸走査方法と干渉縞画像の関係を示す斜視図である。 本発明の干渉装置及び平面形状の測定方法の他の形態例の位相シフト法による高さ情報の取得方法を示すフローチャートである。 本発明の干渉装置及び平面形状の測定方法の1形態例での基準サンプルとサンプルによる演算値のイメージ図である。 従来の干渉装置の光学系配置図である。 従来の他の干渉装置の光学系配置図である。 従来の干渉装置における被検体平面の傾斜を説明するための斜視図である。 従来の干渉装置における被検体平面の傾斜による干渉縞の出方を説明するための干渉縞図である。 従来の1本縞をZ軸方向に傾けた状態を説明するための線図である。
符号の説明
1・・・サンプル(被検体平面)、5・・・CCDカメラ(検出手段)、6・・・光源、8・・・ハーフミラー(分割手段及び集合手段)、9・・・光路補正板、10・・・結像レンズ、16・・・干渉装置、20・・・第2の対物レンズ、21・・・基準のサンプル、22・・・第1の対物レンズ、24・・・駆動装置、24a・・・モータステージ、24b・・・ピエゾアクチュエータ、24c、24d・・・シャッター、25・・・干渉顕微鏡、26・・・駆動系制御ドライバ、27・・・画像演算機器制御CPU、30・・・画像取込みフレームグラバ、31・・・カメラ表示画像モニタ

Claims (4)

  1. 光源からの光を少なくとも光路の異なる2光路に分割する分割手段と、該2光路に設けられた参照平面及びサンプル平面と、該参照平面及びサンプル平面からの反射光を集合する集合手段と、該集合手段によって合成した干渉縞を検出する検出手段とからなる干渉装置に於いて、
    前記参照平面を形状が既知の基準のサンプル平面と成したことをと特徴とする干渉装置。
  2. 前記基準のサンプル平面と前記集合手段間及び前記サンプル平面と該集合手段間に設けた遮光手段と、
    前記基準のサンプル平面及び前記サンプル平面と対抗する面に姿勢を自由に変化可能な姿勢調整手段と、を配設したことを特徴とする請求項1記載の干渉装置。
  3. 光源からの光を少なくとも光路の異なる2光路に分割し、該2光路に設けられた参照平面及びサンプル平面からの反射光を集合し、集合した該反射光を合成してサンプル平面の干渉縞を検出する平面形状の測定方法に於いて、
    前記参照平面を形状が既知の基準のサンプル平面と成すと共にコンピュータを介し駆動手段を制御して、前記分割した前記サンプル又は前記基準のサンプルへの光を交互に遮光し、該サンプル及び該基準のサンプルに対して対物レンズのピントを調整し、該サンプル及び基準のサンプルの画像を検出するステップと、
    前記コンピュータは前記サンプル及び前記基準のサンプルの検出した前記画像のXY平面での偏差を求め、前記駆動手段を動作させて、該偏差を相殺するステップと、
    前記2光路の遮光を解除し、干渉縞間隔が最大になるようにX及びY軸の傾き角θx、θを調整し、該傾き角θx、θの高周波成分が最小に成るように調整するステップにより前記サンプルと前記基準のサンプルの干渉縞の差異から高さ情報を得ることを特徴とする平面形状の測定方法。
  4. 光源からの光を少なくとも光路の異なる2光路に分割し、該2光路に設けられた参照平面及びサンプル平面からの反射光を集合し、集合した該反射光を合成してサンプル平面の干渉縞を検出する平面形状の測定方法に於いて、
    前記参照平面を形状が既知の基準のサンプル平面と成すと共にコンピュータを介し駆動手段を制御して、前記分割した前記サンプル及び前記基準のサンプルへの光を透過し、該サンプル及び基準のサンプルの複数の画像を取り込む毎にZ軸方向に既知量だけ移動するステップと、
    前記コンピュータは前記サンプル及び前記基準のサンプルの検出した前記複数の画像間演算を行ない、位相差情報を演算するステップと、
    前記位相差情報から高さ情報を演算するステップと、
    位相接続処理を行なうステップと、
    前記基準のサンプルの既知の高さ情報を重ねるステップとより成ることを特徴とする平面形状の測定方法。
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