本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
本発明に係る放電ユニット(20)は、空気調和装置(10)に搭載されている。空気調和装置(10)は、室内空間(S)の空気の温度を調節する。
〈空気調和装置の構成〉
図1に示すように、空気調和装置(10)は、天井(C)の裏面に設置されている。空気調和装置(10)は、横長の箱形の空調用ケーシング(11)を備えている。空調用ケーシング(11)の長手方向の一方の側面には、内気ダクト(12)が接続されている。空調用ケーシング(11)の長手方向の他方の側面には、給気ダクト(13)が接続されている。空調用ケーシング(11)の内部には、空気通路(11a)が形成されている。内気ダクト(12)は、流入端が室内空間(S)に連通し、流出端が空気通路(11a)に連通している。給気ダクト(13)は、流入端が空気通路(11a)に連通し、流出端が室内空間(S)に連通している。
空気通路(11a)には、空気流れの上流側(内気ダクト(12)側)から下流側(給気ダクト(13)側)に向かって順に、プレフィルタ(14)、放電ユニット(20)、触媒フィルタ(15)、熱交換器(16)、およびファン(17)が配置されている。プレフィルタ(14)は、空気中の比較的大きな塵埃を捕集する。放電ユニット(20)は、放電に伴い活性種を生成し、この活性種で空気中の有害成分や臭気成分を分解する。
触媒フィルタ(15)は、例えばハニカム構造の基材の表面に触媒を担持させたものである。この触媒には、マンガン系の触媒や貴金属系の触媒が用いられる。触媒フィルタ(15)は、放電によって生成する活性種を更に活性化し、空気中の有害成分や臭気成分の分解を促進する。触媒フィルタ(15)には、空気中の有害成分や臭気成分を吸着する吸着剤(例えば活性炭)が担持されている。
熱交換器(16)は、空気通路(11a)を流れる空気の加熱と冷却とを行う。具体的に、熱交換器(16)は、図示を省略した冷媒回路に接続されている。冷媒回路では、充填された冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。熱交換器(16)は、その内部を流れる低圧冷媒によって空気を冷却する蒸発器として機能する。また、熱交換器は、その内部を流れる高圧冷媒によって空気を加熱する凝縮器として機能する。ファン(17)は、空気通路(11a)の空気を搬送する。
〈放電ユニットの構成〉
放電ユニット(20)は、ストリーマ放電式に構成されている。つまり、放電ユニット(20)は、ストリーマ放電を行うことで低温プラズマを生成し、これに伴い空気中で反応性の高い活性種(高速電子、イオン、ラジカル、オゾン等)を生成する。放電ユニット(20)は、ケーシング(21)と、このケーシング(21)に収容される電圧供給部(30)と、ケーシング(21)に収容される放電処理部(40)とを備えている。
〔ケーシング〕
図2および図3に示すように、ケーシング(21)は、横長の箱形の略直方体形状に形成されている。ケーシング(21)は、絶縁性の樹脂材料で構成される。ケーシング(21)は、下側ケース部(22)と、この下側ケース部(22)の上部に取り付けられる上側ケース部(23)とで構成されている。ケーシング(21)の内部には、該ケーシング(21)の長手方向(左右方向)の中間部に仕切部(24)が設けられている。仕切部(24)は、ケーシング(21)の内部を左右の2つの空間に仕切っている。これらの空間のうち右側の空間が、収容室(26)を構成し、左側の空間が処理室(27)(通風路)を構成する。
仕切部(24)は、上部仕切壁(23a)と下部仕切壁(51)とによって構成されている。上部仕切壁(23a)は、上側ケース部(23)の内部に一体に形成されている(図4を参照)。下部仕切壁(51)は、詳細は後述する絶縁部材(41)に一体に形成されている。仕切部(24)では、上部仕切壁(23a)の下面と下部仕切壁(51)の上面とが互いに接するように両者の仕切壁(23a,51)が上下に隣接して配置される。
図2に示すように、ケーシング(21)の前面には、第1通気口(28)が形成されている。第1通気口(28)は、左右方向に長い矩形状の開口であって、処理室(27)と連通するようにケーシング(21)の左側寄りの部位に配置されている。第1通気口(28)の奥側、すなわち放電処理部(40)(具体的には、放電電極(70)の放電針(73))と第1通気口(28)との間には、第1遮蔽板(28a)が設けられている。第1遮蔽板(28a)は、第1通気口(28)を側面視で覆うことにより、第1通気口(28)の外側から放電電極(70)の放電針(73,74)等を見えなくしている。第1遮蔽板(28a)は遮蔽部材を構成している。
図4に示すように、第1遮蔽板(28a)は、上側支持脚部(23b)を介して上側ケース部(23)と一体に形成されると共に、第1通気口(28)の開口面よりも全体的に僅かに大きな矩形平板状に形成されている。第1遮蔽板(28a)は、ケーシング(21)の前面に略平行に沿うように設けられている。第1遮蔽板(28a)の周縁部分は、ケーシング(21)の外側から第1通気口(28)を見たときに、ケーシング(21)のうち第1通気口(28)の周囲の部分と重なり合っている。また、第1遮蔽板(28a)は、ケーシング(21)の内面から離れて配置されている。
第1遮蔽板(28a)の上縁部は、その左右両側端部において、上側ケース部(23)の前端部の内面に突設された上側支持脚部(23b)に支持されている。第1遮蔽板(28a)の上縁部と上側ケース部(23)の内面との間には隙間が形成されている。また、第1遮蔽板(28a)の下縁部は、上側ケース部(23)を下側ケース部(22)に取り付けたときに、この下側ケース部(22)の前端部の内面に突設された下側支持脚部(22b)に当接して支持される。2つの下側支持脚部(22b)は、第1遮蔽板(28a)の下縁部の中間部分をそれぞれ支持している。第1遮蔽板(28a)の下縁部と下側ケース部(22)の内面との間には隙間が形成されている。また、第1遮蔽板(28a)の左縁部とケーシング(21)の内面との間、および第1遮蔽板(28a)の右縁部とケーシング(21)の内面との間には、それぞれ隙間が形成されている。つまり、第1通気口(28)の開口縁部と第1遮蔽板(28a)との間には、この第1遮蔽板(28a)の全周に亘って隙間(空気流入路)が形成されている。第1通気口(28)に流入した空気は、この隙間を通過して処理室(27)の内部へ流れていく。つまり、第1遮蔽板(28a)は、第1通気口(28)を介したケーシング(21)への空気の流入を許容している。
図3に示すように、ケーシング(21)の後面には、第2通気口(29)が形成されている。第2通気口(29)は、左右方向に長い矩形状の開口であって、処理室(27)と連通するようにケーシング(21)の左側寄りの部位に配置されている。第2通気口(29)の奥側、すなわち放電処理部(40)(具体的には、放電電極(70)の放電針(74))と第2通気口(29)との間には、第2遮蔽板(29a)が設けられている。第2遮蔽板(29a)は、第2通気口(29)を側面視で覆うことにより、第2通気口(29)の外側から放電電極(70)の放電針(73,74)等を見えなくしている。第2遮蔽板(29a)は遮蔽部材を構成している。
図4に示すように、第2遮蔽板(29a)は、上側支持脚部(23b)を介して上側ケース部(23)と一体に形成されると共に、第2通気口(29)の開口面よりも全体的に僅かに大きな矩形平板状に形成されている。第2遮蔽板(29a)は、ケーシング(21)の後面に略平行に沿うように設けられている。第2遮蔽板(29a)の周縁部分は、ケーシング(21)の外側から第2通気口(29)を見たときに、ケーシング(21)のうち第2通気口(29)の周囲の部分と重なり合っている。また、第2遮蔽板(29a)は、ケーシング(21)の内面から離れて配置されている。
第2遮蔽板(29a)の上縁部は、その左右両側端部において、上側ケース部(23)の後端部の内面に突設された上側支持脚部(23b)に支持されている。第2遮蔽板(29a)の上縁部と上側ケース部(23)の内面との間には隙間が形成されている。また、第2遮蔽板(29a)の下縁部は、上側ケース部(23)を下側ケース部(22)に取り付けたときに、この下側ケース部(22)の後端部の内面に突設された下側支持脚部(22b)に当接して支持される。2つの下側支持脚部(22b)は、第2遮蔽板(29a)の下縁部の中間部分をそれぞれ支持している。第2遮蔽板(29a)の下縁部と下側ケース部(22)の内面との間には隙間が形成されている。また、第2遮蔽板(29a)の左縁部とケーシング(21)の内面との間、および第2遮蔽板(29a)の右縁部とケーシング(21)の内面との間には、それぞれ隙間が形成されている。つまり、第2通気口(29)の開口縁部と第2遮蔽板(29a)との間には、この第2遮蔽板(29a)の全周に亘って隙間(空気流出路)が形成されている。処理室(27)の内部の空気は、この隙間を通過してケーシング(21)の外部へ流れていく。つまり、第2遮蔽板(29a)は、第2通気口(29)を介したケーシング(21)からの空気の流出を許容している。
なお、第1遮蔽板(28a)および第2遮蔽板(29a)は、ケーシング(21)と同じ樹脂材料で構成されていてもよいし、ケーシング(21)よりも難燃性の高い樹脂材料で構成されていてもよい。
図1および図2に示すように、上側ケース部(23)の右端の前後方向の中間には、スライドカバー(25)が設けられている。スライドカバー(25)は、ケーシング(21)の本体に着脱可能に構成される。スライドカバー(25)を外すと、電圧供給部(30)のコネクタ(32)(図5を参照)がケーシング(21)の外部に露出される。
〔電圧供給部〕
図5に示すように、電圧供給部(30)は、収容室(26)に配置されている。電圧供給部(30)は、外部の電源から供給された電源電圧を放電処理部(40)へ供給するように構成される。電圧供給部(30)は、基板(31)と、コネクタ(32)と、電源トランス(33)と、アース端子部(34)とを備えている。基板(31)は、収容室(26)の底部近傍に設置されている。基板(31)は、左右に横長の板状に形成され、収容室(26)の全域に亘るように配置されている。
コネクタ(32)は、基板(31)の右端部の上面に設置されている。コネクタ(32)は、上述したスライドカバー(25)を取り外すことで、ケーシング(21)の外部に露出される。コネクタ(32)には、外部電源と電気的に繋がる配線が接続される。
電源トランス(33)は、基板(31)の左側寄りの上面に設置されている。電源トランス(33)は、コネクタ(32)を経由して供給された電圧を昇圧するように構成される。電源トランス(33)の左端部には、給電端子部(35)が設けられる。給電端子部(35)には、放電電極(70)の給電板(75)が締結部材(ビス(36))を介して固定される。
アース端子部(34)は、基板(31)の左端寄り且つ後端寄りの上面に設置される。アース端子部(34)には、対向電極(60)のアース板(68)が締結部材(ビス(37))を介して固定される。
電源トランス(33)には、給電端子部(35)の周囲に内周壁部(38)が形成される。内周壁部(38)は、上方および左方が開放された絶縁性の樹脂材料で構成される。内周壁部(38)の横断面は、左側が開放したコの字(Uの字)状に形成される。
内周壁部(38)の周囲には、外周壁部(39)が形成される。外周壁部(39)は、上方および右方が開放された絶縁性の樹脂材料で構成される。外周壁部(39)の横断面は、右側が開放されたコの字(Uの字)状に形成される。内周壁部(38)と外周壁部(39)との間には、全域に亘って隙間が形成される。
このように、給電端子部(35)の周囲に内周壁部(38)および外周壁部(39)を設けることで、給電端子部(35)とアース端子部(34)との間の沿面距離が長くなる。
〔放電処理部〕
図5および図6に示すように、放電処理部(40)は、概ね処理室(27)に配置されている。放電処理部(40)は、ストリーマ放電を生起し、空気を浄化するように構成される。放電処理部(40)は、絶縁部材(41)、対向電極(60)、放電電極(70)、およびスタビライザ(80)を備えている。
絶縁部材(41)は、絶縁性の樹脂材料から成り、放電電極(70)と対向電極(60)とを絶縁しながら支持する支持部材を構成している。対向電極(60)および放電電極(70)は、導電性の金属材料で構成される。対向電極(60)は、アース接続部(69)と電気的に接続され、接地状態となっている。放電電極(70)は、電圧供給部(30)と電気的に接続され、高電圧(例えば7.0kV)が供給される。電圧供給部(30)から放電電極(70)に電圧が供給されると、両者の電極(60,70)の間でストリーマ放電が行われる。スタビライザ(80)は、導電性の樹脂材料から成り、放電電極(70)と同電位になっている。スタビライザ(80)は、放電電極(70)の近傍で安定した電界を形成するための導電性部材(固定部材)を構成している。
[絶縁部材]
図5に示すように、絶縁部材(41)は、下側ケース部(22)の底部に設置される。図6、図7、および図10にも示すように、絶縁部材(41)は、埋設部(42)と、基台部(44)と、支持部(47)と、下部仕切壁(51)と、沿面距離拡大部(55)とを備えている。
埋設部(42)は、処理室(27)において下部仕切壁(51)の左側に設置されている。埋設部(42)は、本体部(43)と連接部(45)とを有している。本体部(43)は、下側ケース部(22)の前縁から後縁に亘って延びる直方体状に形成される。連接部(45)は、本体部(43)の右側面の後端部と下部仕切壁(51)との間に連続して形成される。
基台部(44)は、本体部(43)の左側面の前後方向の中間部から左方に向かって延出している。基台部(44)の先端には、横断面が円弧状の円弧部(44a)が形成される。絶縁部材(41)では、基台部(44)から本体部(43)の中間部に亘って長円溝(46)(凹部)が形成される。長円溝(46)は、左右に横長の長円柱状の溝であり、その下側が閉塞され、その上側が開放されている。
支持部(47)は、長円溝(46)の左右方向および前後方向の中間部に配置されている。支持部(47)は、支持部本体(48)と、支持部本体(48)から上方に突出する突起部(49)とを有している。支持部本体(48)は、左右に横長の長円形状の横断面を有する柱状に形成される。支持部本体(48)の内部には、支持部本体(48)の下端から上方に向かって延びる中空穴(48a)が形成される(図10を参照)。支持部本体(48)では、中空穴(48a)の周囲に左右に横長の長円形状の内周面(48b)が形成される。
突起部(49)は、支持部本体(48)の左右方向および前後方向の中間部に配置されている。突起部(49)は、支持部本体(48)と同様、左右に横長の長円形状の横断面を有する柱状に形成される。突起部(49)の高さ、左右の幅、前後の厚みは、いずれも支持部本体(48)のそれらより短い。これにより、支持部本体(48)の上端面には、突起部(49)の周囲に横長の長円形環状の設置面(50)が形成される。この設置面(50)は、略水平な平面状に形成される。支持部(47)には、詳細は後述する放電電極(70)およびスタビライザ(80)が支持される。
下部仕切壁(51)は、下側ケース部(22)の前縁から後縁に亘って延びている。下部仕切壁(51)は、下側ケース部(22)の前側寄りに配置される第1横壁部(52)と、下側ケース部(22)の後側寄りに配置される第2横壁部(53)と、これらの横壁部(52,53)の間から右方向に突出する突出壁部(54)とを有している。第1横壁部(52)および第2横壁部(53)は、前後に延びる板状に形成される。突出壁部(54)は、左側が開放される横断面がコの字(Uの字)状に形成され、第1横壁部(52)の後部と第2横壁部(53)の前部とに連続して形成される。第1横壁部(52)と第2横壁部(53)との間には、縦長の隙間が形成され、この隙間が突出壁部(54)の内部に連通している。
沿面距離拡大部(55)は、複数の水平板(56)と複数の鉛直板(57)とが互いに交差するように組み合わされて構成され、これらの一部が下部仕切壁(51)と連続している。このように、下部仕切壁(51)および沿面距離拡大部(55)は、鉛直ないし水平な面を有する複数の絶縁板が複雑に組み合わされることで、いわゆるラビリンス構造を構成している。この結果、放電電極(70)と対向電極(60)との沿面距離が長くなる。
[対向電極]
図5〜図8、図10に示すように、対向電極(60)は、絶縁部材(41)と一体に成形される。具体的には、対向電極(60)と絶縁部材(41)とは、インサート成型により一体的なユニットとして構成される。対向電極(60)は、全体が同一面上(水平面上)に位置するような平板状に形成される。対向電極(60)は、矩形枠状の対向電極本体(60a)と、対向電極本体(60a)の右辺後部から右方向に延びるアース板(68)とを備えている。
対向電極本体(60a)は、第1対向板(61)、第2対向板(62)、第1連結板(63)、および第2連結板(64)が組み合わされて構成される。第1対向板(61)は、対向電極本体(60a)の前側に位置し、左右方向に延びている。第2対向板(62)は、対向電極本体(60a)の後側に位置し、左右方向に延びている。第1対向板(61)と基台部(44)の前面との間には、横長の矩形状の第1空隙部(65)が形成される。第2対向板(62)と基台部(44)の後面との間には、横長の矩形状の第2空隙部(66)が形成される。
第1連結板(63)は、対向電極本体(60a)の左側に位置し、前後方向に延びている。第1連結板(63)は、第1対向板(61)の左端と第2対向板(62)の左端とを連結している。第1連結板(63)の内縁(右辺)には、基台部(44)の円弧部(44a)が嵌合する円弧溝(63a)が形成される。第2連結板(64)は、対向電極本体(60a)の右側に位置し、前後方向に延びている。第2連結板(64)は、第1対向板(61)の右端と第2対向板(62)の右端とを連結している。第2連結板(64)は、本体部(43)の上部に埋設されている。
アース板(68)のほとんどの部位は、絶縁部材(41)の埋設部(42)および水平板(56)の内部に埋設されている。アース板(68)の先端部は、水平板(56)から更に右方に延出し、絶縁部材(41)の外部に露出している。このアース板(68)の先端部は、アース接続部(69)を構成している。アース接続部(69)は、略正方形の板状に形成され、その中央にビス(37)が挿通される挿通穴(69a)が形成される。アース接続部(69)は、アース端子部(34)の上面に重なるように配置され、ビス(37)を介してアース端子部(34)に接続される。
[放電電極]
図5、図6、図8〜図10、図12に示すように、放電電極(70)は、絶縁部材(41)の上方に配置される。放電電極(70)は、全体が同一面上(水平面上)に位置するような薄板状に形成される。放電電極(70)の厚みは、対向電極(60)の厚みと比較して極めて小さい。放電電極(70)は、電極支持板(71)と、この電極支持板(71)の側縁部に支持される複数の放電針(73,74)と、電極支持板(71)の右側辺の前端部から右方向に延出する給電板(75)とを備えている。
電極支持板(71)は、基台部(44)の上方に配置される。電極支持板(71)は、基台部(44)に沿うように左右方向に延びている。電極支持板(71)の中央(電極支持板(71)の長手方向および幅方向の中間部)には、支持部(47)の突起部(49)が嵌まり込む位置決孔(72)が形成される。位置決孔(72)は、突起部(49)の外形に対応するように、左右に横長の長円形状に形成される。位置決孔(72)に突起部(49)が嵌まり込むと、電極支持板(71)が設置面(50)に設置される。これにより、電極支持板(71)の平面度が保たれる。即ち、電極支持板(71)は、設置面(50)によって水平な状態に支持される。また、放電電極(70)と絶縁部材(41)の相対的な位置関係が決定され、ひいては放電電極(70)と対向電極(60)の相対的な位置関係が決定される。
電極支持板(71)の前縁には、細長い針状ないし棒状の複数の第1放電針(73)が支持されている。複数の第1放電針(73)は、電極支持板(71)の前縁に沿って等間隔を置きながら配列され、電極支持板(71)から前方に向かって(第1通気口(28)に向かって)真っ直ぐ水平に伸びている。各第1放電針(73)は、互いに平行に配置される。電極支持板(71)の後縁には、細長い針状ないし棒状の複数の第2放電針(74)が支持されている。複数の第2放電針(74)は、電極支持板(71)の後縁に沿って等間隔を置きながら配列され、後方に向かって(第2通気口(29)に向かって)真っ直ぐ水平に伸びている。各第2放電針(74)は、互いに平行に配置される。電極支持板(71)は、複数の放電針(73,74)の配列方向に延びている。これにより、電極支持板(71)の前後の側縁部に多数の放電針(73,74)を設けることができる。
本実施形態の放電電極(70)には、10本の第1放電針(73)と、10本の第2放電針(74)とが設けられている。これらの放電針(73,74)の本数は、単なる例示である。各第1放電針(73)と各第2放電針(74)とは、前後方向において概ね同軸となっている。なお、各第1放電針(73)と各第2放電針(74)とを左右にずらして配置してもよい。
第1放電針(73)は、第1対向板(61)と平行となり、第2放電針(74)は、第2対向板(62)と平行になっている。第1放電針(73)の先端下部は、第1対向板(61)に対向し、第2放電針(74)の先端下部は、第2対向板(62)に対向している。
給電板(75)は、左側から右側に向かって順に、第1給電部(76)と、第2給電部(77)と、給電接続部(78)とを備えている。第1給電部(76)は、電極支持板(71)の右側辺の前端部から右方に延びている。第2給電部(77)は、第1給電部(76)の先端前縁部に連結し、右方に延びている。第2給電部(77)の一部は、第1横壁部(52)の凹溝(52a)の底部に支持される。第2給電部(77)の先端部は、給電接続部(78)を構成している。給電接続部(78)は、略正方形の板状に形成され、その中央にビス(36)が挿通される挿通穴(78a)が形成される。給電接続部(78)は、給電端子部(35)の上面に重なるように配置され、ビス(36)を介して給電端子部(35)に接続される。
[スタビライザ]
スタビライザ(80)は、支持部(47)および放電電極(70)の上方に配置されている。図6、図9〜図12に示すように、スタビライザ(80)は、筒状の筒壁部(81)と、この筒壁部(81)の上端部から左右前後に張り出した庇部(86)とを備えている。
筒壁部(81)は、左右に横長の長円筒状に形成されている。筒壁部(81)の内周下端部には、長円形の環状凸部(82)が形成されている(図6および図9を参照)。環状凸部(82)は、筒壁部(81)の下端内周面から中心側に向かって突出している。筒壁部(81)の下面と環状凸部(82)の下面とは面一となって水平な平面を構成している。
環状凸部(82)の内部には、左右に横長の長円開口(84)が形成されている。長円開口(84)には、絶縁部材(41)の突起部(49)が嵌まり込む。これにより、スタビライザ(80)は、電極支持板(71)の上側に設置され、スタビライザ(80)、電極支持板(71)、および対向電極(60)の相対的な位置関係が決定される。長円開口(84)に突起部(49)が嵌まり込んだ状態では、突起部(49)と筒壁部(81)の内周面との間に長円筒状の隙間が形成される。
庇部(86)は、外形が左右に横長の矩形板状に形成されている。筒壁部(81)に突起部(49)が嵌まり込んだ状態では、庇部(86)が略水平な状態となる。庇部(86)の前縁は、第1放電針(73)の先端よりも前方まで張り出している。庇部(86)の後縁は、第2放電針(74)の先端よりも後方まで張り出している。つまり、庇部(86)は、第1放電針(73)および第2放電針(74)の全域を上側から覆っている。庇部(86)の下面は、水平な平面を構成しており、各放電針(73,74)に沿うようにして該各放電針(73,74)と平行になっている。
−運転動作−
空気調和装置(10)の運転動作について説明する。図1に示す空気調和装置(10)は、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行う。空気調和装置(10)のファン(17)が運転されると、室内空間(S)の空気が、内気ダクト(12)を介して空気通路(11a)へ吸引される。この空気は、プレフィルタ(14)を通過する。プレフィルタ(14)では、空気中の比較的大きな塵埃が捕集される。
プレフィルタ(14)を通過した空気は、放電ユニット(20)を通過する(図2を参照)。具体的に、この空気は、ケーシング(21)の第1通気口(28)より処理室(27)へ流入する。図13および図14に示すように、第1通気口(28)より処理室(27)へ空気が流入する際には、第1遮蔽板(28a)の上縁部とケーシング(21)の内面との間、第1遮蔽板(28a)の下縁部とケーシング(21)の内面との間、第1遮蔽板(28a)の左縁部とケーシング(21)の内面との間、および、第1遮蔽板(28a)の右縁部とケーシング(21)の内面との間を空気が通過する。つまり、第1遮蔽板(28a)の全周に亘ってこの第1遮蔽板(28a)の周りを空気が通過する。
放電ユニット(20)では、電圧供給部(30)の電源トランス(33)から放電電極(70)へ高電圧が供給される。この結果、放電電極(70)の各放電針(73,74)の先端から対向板(61,62)に向かってストリーマ放電が進展する(図12を参照)。また、高電圧は、放電電極(70)と接続するスタビライザ(80)にも供給される。これにより、放電針(73,74)から対向板(61,62)へ向かうストリーマ放電が安定する。
放電処理部(40)でストリーマ放電が行われると、これに伴い空気中で活性種が生成される。この結果、空気中の有害成分や臭気成分が活性種により酸化・分解され、空気が浄化される。
処理室(27)の空気は、活性種とともに第2通気口(29)からケーシング(21)の外部へ流出する(図3を参照)。図13および図14に示すように、第2通気口(29)からケーシング(21)の外部へ空気が流出する際には、第2遮蔽板(29a)の上縁部とケーシング(21)の内面との間、第2遮蔽板(29a)の下縁部とケーシング(21)の内面との間、第2遮蔽板(29a)の左縁部とケーシング(21)の内面との間、および、第2遮蔽板(29a)の右縁部とケーシング(21)の内面との間を空気が通過する。つまり、第2遮蔽板(29a)の全周に亘ってこの第2遮蔽板(29a)の周りを空気が通過する。
ケーシング(21)の外部へ流出した空気は触媒フィルタ(15)を通過する。触媒フィルタ(15)では、空気中の臭気成分等が吸着される。吸着された臭気成分は、活性種によって分解されることで、吸着剤が再生される。
このようにして浄化された空気は、熱交換器(16)で加熱または冷却された後、給気ダクト(13)を介して室内空間(S)へ供給される。これにより、室内空間(S)の暖房や冷房が行われるとともに、室内空気の清浄化が行われる。
−放電ユニットの製造工程−
次いで、放電ユニット(20)の製造工程について説明する。この製造工程では、放電処理部(40)を製造する工程と、放電処理部(40)および電圧供給部(30)をケーシング(21)内にセットする設置工程とが行われる。
〈放電処理部の製造工程〉
放電処理部(40)の製造工程について、図6を参照しながら説明する。放電処理部(40)の製造工程では、絶縁部材(41)、放電電極(70)、およびスタビライザ(80)が下から順に組み立てられる。
第1工程では、絶縁部材(41)と対向電極(60)とがインサート成型によって一体的なユニットとして構成される。
第2工程では、放電電極(70)の位置決孔(72)に絶縁部材(41)の突起部(49)を嵌め込む。これにより、電極支持板(71)が設置面(50)に設置され、放電電極(70)の位置決め、および仮固定がなされる。
第3工程では、スタビライザ(80)の筒壁部(81)に絶縁部材(41)の突起部(49)を嵌め込む。これにより、スタビライザ(80)の筒壁部(81)が電極支持板(71)の上側に設置される。この状態では、設置面(50)と筒壁部(81)の間に電極支持板(71)が挟まれる。
第4工程では、突起部(49)がスタビライザ(80)および電極支持板(71)に固定される。具体的に、この固定は、溶音波溶着によって行われる。つまり、超音波によって突起部(49)の先端が溶融され、溶融した樹脂が環状凸部(82)の上側や長円開口(84)の隙間に流れ込む。溶融した樹脂が固化すると、スタビライザ(80)と突起部(49)や、突起部(49)と電極支持板(71)が互いに固定される。この結果、スタビライザ(80)と絶縁部材(41)との間に放電電極(70)が固定ないし支持される。
なお、この第4工程において、スタビライザ(80)と突起部(49)の固定方法は、必ずしも超音波溶着でなくてもよく、例えば熱溶着・振動溶着・接着等の他の固定方法であってもよい。
〈設置工程〉
次いで、ケーシング(21)内に放電処理部(40)および電圧供給部(30)を組み立てる工程について説明する。この設置工程では、全ての部品が全て下側ケース部(22)の上方から組み付けられる。
まず、上側が開放された状態の下側ケース部(22)の右側寄りの底部(即ち、収容室(26)の底部)に電圧供給部(30)を組み付ける。
次いで、上述のように組み立てられた放電処理部(40)を下側ケース部(22)の左側寄りの底部(即ち、処理室(27)の底部)に組み付ける。この際、図5に示すように、アース接続部(69)はビス(37)を介してアース端子部(34)に接続され、給電接続部(78)はビス(36)を介して給電端子部(35)に接続される。これにより、電圧供給部(30)から放電電極(70)へ電圧の供給が可能となる。
次いで、下側ケース部(22)の上側に上側ケース部(23)を組み付ける。これにより、図2および図3に示す放電ユニット(20)が得られる。
−実施形態の効果−
本実施形態の放電ユニット(20)では、第1遮蔽板(28a)により、第1通気口(28)の外側から放電電極(70)の放電針(73,74)が見えなくなっている。また、第2遮蔽板(29a)により、第2通気口(29)の外側から放電電極(70)の放電針(73,74)が見えなくなっている。このため、各通気口(28,29)の外側から放電針(73,74)に向かって異物が接近しても、当該異物が各遮蔽板(28a,29a)よりも放電針(73,74)側へ近づくことがない。つまり、第1および第2遮蔽板(28a,29a)を設けることにより、各通気口(28,29)の外側から放電電極(70)の放電針(73,74)に異物が接触することを防止することができる。
また、第1および第2遮蔽板(28a,29a)は、それぞれ矩形平板状の部材であって、ケーシング(21)の前面ないし後面に略平行に沿うように設けられている。このため、各遮蔽板(28a,29a)は、ケーシング(21)内において大きなスペースを占めず、放電電極(70)や対向電極(60)等の配置スペースを十分に確保することができる。また、矩形平板状の第1および第2遮蔽板(28a,29a)は安価に製造できるので、放電ユニット(20)の低コスト化を図ることができる。
また、各遮蔽板(28a,29a)は、対応する通気口(28,29)と略同じ形状でありかつ略同じ大きさに形成されている。このため、通気口(28,29)の外側から放電針(73,74)を見えなくするという効果を奏しつつ、ケーシング(21)の内面と遮蔽板(28a,29a)との間を通過する空気流れを十分に確保することができる。
また、各通気口(28,29)の開口縁部と対応する遮蔽板(28a,29a)との間には、当該遮蔽板(28a,29a)の全周に亘って空気が通過するための隙間が形成されている。このため、ケーシング(21)内を流れる空気量を増やして、ストリーマ放電により生成される活性種をより多く拡散させることができる。つまり、放電ユニット(20)の空気浄化性能を高めることができる。
また、図13に示すように、第1遮蔽板(28a)は、空気流れ方向(前側から後側への方向)において、基台部(44)および支持部(47)とオーバーラップしている。第1通気口(28)に流入する空気中の塵埃等は、第1遮蔽板(28a)の表面にも付着する。このため、空気中の塵埃等が長円溝(46)の内壁に付着するのを未然に防止できる。したがって、絶縁部材(41)に塵埃等が付着して当該絶縁部材(41)の絶縁抵抗が低下するのを防いで、放電電極(70)と対向電極(60)との間の電位差を十分確保することができる。つまり、所望とするストリーマ放電を行うことができる。
また、図13に示すように、第1通気口(28)に流入した空気の一部は、第1遮蔽板(28a)の左右外方に回り込むようにして処理室(27)に流入する。また、処理室(27)の空気の一部は、第2遮蔽板(29a)の左右外方から第2通気口(29)へと流れる。このため、第1および第2遮蔽板(28a,29a)を設けることにより、処理室(27)では、基台部(44)の長手方向外方の風量が比較的多くなる。この結果、空気中の塵埃等が支持部本体(48)に付着するのを回避でき、絶縁部材(41)の絶縁抵抗が低下するのを防ぐことができる。このため、放電電極(70)と対向電極(60)との間の電位差を十分確保して、所望とするストリーマ放電を行うことができる。
−参考例1−
参考例1について説明する。本参考例1では、ケーシング(21)の対向する側面、すなわちケーシング(21)の前面および後面のそれぞれに第1通気口(28)または第2通気口(29)が複数ずつ形成されている。
図15に示すように、ケーシング(21)の前面には、複数(本参考例1では、2つ)の第1通気口(28)が形成されている。各第1通気口(28)は、矩形状の開口であって、処理室(27)と連通するようにケーシング(21)の左側寄りの部位に左右に並べて配置されている。各第1通気口(28)の奥側、すなわち放電処理部(40)(具体的には、放電電極(70)の放電針(73))と第1通気口(28)との間には、第1遮蔽板(28a)が設けられている。第1遮蔽板(28a)は、各第1通気口(28)に1つずつ設けられている。第1遮蔽板(28a)は、第1通気口(28)を側面視で覆うことにより、第1通気口(28)の外側から放電電極(70)の放電針(73,74)等を見えなくしている。
ここで、本参考例1に係る2つの第1通気口(28)の開口縁部の全周長さ(上縁部、下縁部、左縁部、および右縁部の長さの和)の和は、上記実施形態に係る第1通気口(28)の開口縁部の全周長さよりも長い。また、本参考例1に係る第1遮蔽板(28a)とケーシング(21)の内面との間隔(前後方向距離)は、上記実施形態に係る第1遮蔽板(28a)とケーシング(21)の内面との間隔と略同じである。これらより、本参考例1に係る放電ユニット(20)では、上記実施形態に係る放電ユニット(20)に比べて、ケーシング(21)内へ空気が流入するための流路面積が大きくなっている。
図15に示すように、ケーシング(21)の後面には、複数(本参考例1では、2つ)の第2通気口(29)が形成されている。各第2通気口(29)は、矩形状の開口であって、処理室(27)と連通するようにケーシング(21)の左側寄りの部位に左右に並べて配置されている。各第2通気口(29)の奥側、すなわち放電処理部(40)(具体的には、放電電極(70)の放電針(74))と第2通気口(29)との間には、第2遮蔽板(29a)が設けられている。第2遮蔽板(29a)は、各第2通気口(29)に1つずつ設けられている。第2遮蔽板(29a)は、第2通気口(29)を側面視で覆うことにより、第2通気口(29)の外側から放電電極(70)の放電針(73,74)等を見えなくしている。
ここで、本参考例1に係る2つの第2通気口(29)の開口縁部の全周長さの和は、上記実施形態に係る第2通気口(29)の開口縁部の全周長さよりも長い。また、本参考例1に係る第2遮蔽板(29a)とケーシング(21)の内面との間隔(前後方向距離)は、上記実施形態に係る第2遮蔽板(29a)とケーシング(21)の内面との間隔と略同じである。これらより、本参考例1に係る放電ユニット(20)では、上記実施形態に係る放電ユニット(20)に比べて、ケーシング(21)外へ空気が流出するための流路面積が大きくなっている。
なお、第1通気口(28)および第2通気口(29)は、それぞれ3つ以上形成されていてもよいし、互いの数が異なっていてもよい。
−参考例1の効果−
本参考例1の放電ユニット(20)では、ケーシング(21)の前面に複数の第1通気口(28)が形成されると共に、ケーシング(21)の後面に複数の第2通気口(29)が形成されている。このため、ケーシング(21)の前面および後面のそれぞれに通気口(28,29)が1つずつ形成されている場合に比べて、各遮蔽板(28a,29a)と各通気口(28,29)との間の隙間の数、すなわち空気の流れる経路の数が多くなる。したがって、ケーシング(21)内を流れる空気量を増やして、ストリーマ放電により生成される活性種をより多く拡散させることができる。つまり、放電ユニット(20)の空気浄化性能を高めることができる。
また、ケーシング(21)内へ空気が流入するための流路面積、およびケーシング(21)外へ空気が流出するための流路面積の両方が、上記実施形態に比べて大きくなっている。このため、ケーシング(21)内を流れる空気量を増やして、ストリーマ放電により生成される活性種をより多く拡散させることができる。つまり、放電ユニット(20)の空気浄化性能を高めることができる。
−参考例2−
実施形態の参考例2について説明する。本参考例2では、遮蔽部材の構成が上記実施形態のものと異なっている。
図16に示すように、第1通気口(28)には、複数(本参考例2では、7つ)の第1屈曲板(28b)が設けられている。第1屈曲板(28b)は、断面がV字状に形成されて上下方向に延びる板状部材である。複数の第1屈曲板(28b)は、互いに所定の間隔をおいて左右方向に並ぶように第1通気口(28)に配置されている。各第1屈曲板(28b)は、そのV字状断面の先端が左方を向いている。なお、各第1屈曲板(28b)は、そのV字状断面の先端が右方を向いていてもよい。複数の第1屈曲板(28b)は遮蔽部材を構成している。
最も左寄りに配置された第1屈曲板(28b)の左側端は、左右方向において、第1通気口(28)の左縁部と略同じ位置にある。最も右寄りに配置された第1屈曲板(28b)の右側端は、左右方向において、第1通気口(28)の右縁部と略同じ位置にある。各第1屈曲板(28b)の左側端は、左右方向において、その左隣に配置された第1屈曲板(28b)の右側端と略同じ位置にある。これらにより、複数の第1屈曲板(28b)は、第1通気口(28)を側面視で覆うことにより、第1通気口(28)の外側から放電電極(70)の放電針(73,74)等を見えなくしている。なお、各第1屈曲板(28b)の左側端は、左右方向において、その左隣に配置された第1屈曲板(28b)の右側端よりも左側に位置していてもよい。
図16に示すように、第2通気口(29)には、複数(本参考例2では、7つ)の第2屈曲板(29b)が設けられている。第2屈曲板(29b)は、断面がV字状に形成されて上下方向に延びる板状部材である。複数の第2屈曲板(29b)は、互いに所定の間隔をおいて左右方向に並ぶように第2通気口(29)に配置されている。各第2屈曲板(29b)は、そのV字状断面の先端が左方を向いている。なお、各第2屈曲板(29b)は、そのV字状断面の先端が右方を向いていてもよい。複数の第2屈曲板(29b)は遮蔽部材を構成している。
最も左寄りに配置された第2屈曲板(29b)の左側端は、左右方向において、第2通気口(29)の左縁部と略同じ位置にある。最も右寄りに配置された第2屈曲板(29b)の右側端は、左右方向において、第2通気口(29)の右縁部と略同じ位置にある。各第2屈曲板(29b)の左側端は、左右方向において、その左隣に配置された第2屈曲板(29b)の右側端と略同じ位置にある。これらにより、複数の第2屈曲板(29b)は、第2通気口(29)を側面視で覆うことにより、第2通気口(29)の外側から放電電極(70)の放電針(73,74)等を見えなくしている。なお、各第2屈曲板(29b)の左側端は、左右方向において、その左隣に配置された第2屈曲板(29b)の右側端よりも左側に位置していてもよい。
第1屈曲板(28b)の前側端は、ケーシング(21)の前面と略面一になっている。第2屈曲板(29b)の後側端は、ケーシング(21)の後面と略面一になっている。したがって、ケーシング(21)の外側に第1および第2屈曲板(28b,29b)が突出することがなく、第1および第2屈曲板(28b,29b)を設けても放電ユニット(20)が大型化しない。
−参考例2の効果−
本参考例2の放電ユニット(20)では、複数の第1屈曲板(28b)の間の隙間を通って、ケーシング(21)内に空気が流入する。また、複数の第2屈曲板(29b)の間の隙間を通って、ケーシング(21)外へ空気が流出する。屈曲板(28b,29b)同士の間の隙間は複数存在するので、ケーシング(21)内を流れる空気の流路を十分に確保できる。このため、ケーシング(21)内を流れる空気量を増やして、ストリーマ放電により生成される活性種をより多く拡散させることができる。つまり、放電ユニット(20)の空気浄化性能を高めることができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態では、第1および第2遮蔽板(28a,29a)は、上側支持脚部(23b)および下側支持脚部(22b)により支持されている。しかし、例えば、第1および第2遮蔽板(28a,29a)は、その上縁部の全体に亘って上側ケース部(23)の内面に連続するように、当該上側ケース部(23)と一体に形成されていてもよい。
上述した実施形態の空気調和装置(10)は、天井(C)裏に設置されるものである。しかし、例えば壁掛式、天井埋込式、天井吊式等の他の方式の空気調和装置に本発明に係る放電ユニット(20)を適用してもよい。また、本実施形態に係る放電ユニット(20)を空気清浄機に適用してもよい。