図1〜図7は、本発明に係る車両のドア構造の一実施形態を示すものである。本実施形態においては自動車の右側のフロントサイドドアについて説明するが、左側のフロントサイドドアにおいても左右対称である以外、構成は同じである。
図1は、フロントサイドドア1の前側上部をドアインナパネル2側から見たものであり、固定ガラスである略三角形ないし略台形状のパーティションガラス3の周囲が合成ゴムや熱可塑性エラストマ製の弾性のパーティションウェザストリップ4で覆われ、パーティションウェザストリップ4は、前下がりに傾斜した傾斜辺部5と、傾斜辺部5の下端側から略垂直に続く短い前辺部6と、傾斜片部5の上端側から少し前下がりに傾斜して続く長い後辺部7と、前辺部6の下端側と後辺部7の下端よりも少し上側の部分とを連結するやや前上がりの下辺部8と、後辺部7の下端側に延設された延設部9とを備えている。
パーティションウェザストリップ4の後辺部7はセンタサッシュ10の前半側に嵌合され、センタサッシュ10の上端部がサイドドア1の金属製の窓枠11の前側の前下がりのウィンドシールド傾斜辺部12にねじ締め等で固定され(ねじ挿通用の孔を符号13で示す)、パーティションウェザストリップ4の下辺部8よりも少し下側においてセンタサッシュ10に金属製のL字状のブラケット14が溶接等で固定されている。ブラケット14はパーティションウェザストリップ4の下辺部8に沿って少し前上がりに傾斜し、前端部にねじ締め固定用の円形の孔部15を有し、ブラケット14の基端(付根)側の基板部16の上端はサイドドア1のベルトライン18の前向きの延長線上にほぼ位置している。
パーティションウェザストリップ4の前側の傾斜辺部5はサイドドア1の窓枠11のウィンドシールド傾斜辺部12に嵌合し、パーティションウェザストリップ4の前辺部6は窓枠11の前辺部19に嵌合し、パーティションウェザストリップ4の下辺部8は金属製のドアパネル本体(窓枠11を除く部分)20のアウトサイドミラー取付部21の上縁に嵌合している。アウトサイドミラー取付部21の上縁はベルトライン18よりも高く位置し、アウトサイドミラー取付部21はベルトライン18よりも上方に突出している。
図2(a)に図1のA−A断面図、図2(b)に図1のB−B断面図をそれぞれ示す如く、ブラケット14(図2(a))は、一枚の金属板を直角に折り曲げて、短い基板部16と長い突出板部17とで横断面L字状に形成され、突出板部17の突出先端側に固定用の丸孔15を有している。基板部16と突出板部17との上下方向幅は同じである。
センタサッシュ10は、一枚の金属板を幅方向に折り曲げて横断面略H型状に形成され、後半の左右一対の二枚重ねの側壁22と、前半における前端側を折り返した左右一対の側壁23,24と、後半の左右の側壁22を前後方向略中央で連結する区画壁25とで構成され、ブラケット14の基板部16を区画壁25の前面に溶接等で固定するために、前半の左側(車両内側)の側壁23がブラケット14の上下方向幅よりも大きな幅で切り欠かれている(切欠部を符号26で示す)。切欠部26の上下においてセンタサッシュ10の前半の左側の側壁23は図2(a)に鎖線で示す如く続いている。切欠部26は図1のパーティションウェザストリップ4の後述の大きな蓋状(リブ状)のシールリップ27(図4)で覆われて防水される。
図3は、フロントサイドドア1にセンタサッシュ10(図1)やパーティションウェザストリップ4(図1)やアウトサイドミラー28を組み付ける前のドア構造を示すものである。ドアインナパネル本体(窓枠11を除く部分)2’は前側上部において上向きに略矩形状に延設されてアウトサイドミラー取付壁29をなしている。ドアインナパネル本体2’のアウトサイドミラー取付壁29の車両外側に金属板状の補強用の第一のミラーリインフォース30が対向して平行に配設され、第一のミラーリインフォース30の車両外側に金属板状の補強用の第二のミラーリインフォース31が対向して平行に配設されている。
アウトサイドミラー取付壁29の上縁は車両外側に向けて略水平に折り曲げられ、その折り曲げ部29aの先端側が上向きにフランジ状に折り曲げられ(フランジ部を符号29bで示す)、第一のミラーリインフォース30の上縁はアウトサイドミラー取付壁29の折り曲げ部29aよりも車両外側に向けて長く折り曲げられ、その折り曲げ部30aの先端側がアウトサイドミラー取付壁29のフランジ部29bと平行に上向きにフランジ状に折り曲げられて(フランジ部を符号30bで示す)、図1のパーティションウェザストリップ4の下辺部8の不図示の溝部に嵌合する部分となっている。第二のミラーリインフォース31は上縁の折り曲げ部を有していない。
第一のミラーリインフォース30の後端部は車両外側に向けて折り曲げられて車両外側に向かうフランジ部30cをなしている。フランジ部30cは第二のミラーリインフォース31の高さ(上下方向幅)とほぼ同じ長さで上下方向に延設されている。フランジ部30cに図1のパーティションウェザストリップ4の後述の小さなシールリップ32(図6)が当接する。
アウトサイドミラー取付壁29と第一のミラーリインフォース30と第二のミラーリインフォース31とを板厚方向(車両幅方向)に貫通してミラーベース取付用の三つの孔部33が設けられている。アウトサイドミラー取付壁29と第一及び第二のミラーリインフォース30,31とでアウトサイドミラー取付部21が構成されている。
図3において、図1のパーティションガラス3とパーティションウェザストリップ4とのパーティションガラス組立体34(図4)と、センタサッシュ10とがサイドドア1に組み付けられた後、アウトサイドミラー28がアウトサイドミラー取付部21に組み付けられる。アウトサイドミラー28は、ミラーベース35と、ミラーベース35に車両幅方向回動可能に取り付けられたミラーハウジング36と、ミラーハウジング36内に設けられたミラー37とを備え、ミラーベース35は車両内側を向く略垂直な取付面35aを有し、取付面35aに上側の二つと下側の一つの計三つの略水平な取付孔38が設けられ、取付孔38の内部にねじ締め用の不図示のナットが固定されるか又はタッピングスクリュねじ込み用の下穴が形成されている。
図4は、パーティションガラス3の周囲に装着したパーティションウェザストリップ4の車両上下方向に沿う後辺部7にセンタサッシュ10の前半側を矢印方向に組み付け、センタサッシュ10の後半側にガラスラン39を矢印方向に組み付ける状態を示すものである。
パーティションウェザストリップ4の後辺部7は、前下がりの傾斜状の上辺部5の上端と略水平な車両前後方向に沿う下辺部8の後端とを連結する幅狭な後辺主体部7aと、後辺主体部7aから下向きに突出延長された延設部9とで成り、延設部9の幅広な板状壁40の後面に、センタサッシュ10の中間の切欠部26を塞ぐ蓋状(リブ状)のシールリップ27が車両後方に向けて突出形成されている。切欠部防水用のシールリップ27は下辺部8の下面から延設部9の板状壁40の下端にかけて上下方向に長く形成されている。また、下辺部8の後端側において幅狭な後辺主体部7aから幅広な延設部9にかけて、切欠部防水用シールリップ27よりも幅広で(後方への突出長さが長く)且つ上下方向に少し短い板状の外側のリブ壁41が車両後方に向けて突出形成されている。
切欠部防水用シールリップ27は、センタサッシュ10の区画壁25(図2)の前面に固定されたブラケット14の車両幅方向に沿う基板部16の前面と、ブラケット14の基板部16(図2)の上側と下側における切欠部26の上側部分26aと下側部分26bすなわちセンタサッシュ10の区画壁25の前面と、好ましくは車両内側の側壁23(図2)の車両外側の面とに弾性的に且つ柔軟に密着して、切欠部26を封止する。外側のリブ壁41の車両内側の面はセンタサッシュ10の車両外側の面に当接密着する。
センタサッシュ10は長手方向中間部に切欠部26を有し、切欠部26の上下方向長さはブラケット14の上下方向幅よりも広く形成され(センタサッシュ10の下部側にもブラケット固定用の不図示の切欠部が形成され、不図示の下部側の切欠部と同じ形状に中間部の切欠部26を型抜きしているため)、切欠部26の上端寄りにブラケット14が配置され、サイドドア1(図1)のベルトライン18よりも上側に位置(露出)する上端側の切欠部分26aが狭く規定されている。
センタサッシュ10は上端に上部ブラケット42とキャップ43を有し、上部ブラケット42は図1のサイドドア1の窓枠11のウィンドシールド傾斜辺部12の孔部13にねじ締め等で固定され、キャップ43はガラスラン39の前端上部と係合してセンタサッシュ10の上部からの水の浸入を防ぐ(この構成は既存のものである)。ガラスラン39は略垂直な前辺部44と湾曲状の上辺部45と不図示の後辺部とで構成され、前辺部44の後側の内部と不図示の後辺部の前側の内部とに沿って不図示の窓ガラスが昇降し、上辺部45の下側の内部に窓ガラスの上端部が嵌合する。
図4のパーティションガラス3及びパーティションウェザストリップ4と、センタサッシュ10とガラスラン39とが、図5の如くサイドドアパネル1’に組み付けられた後、図3のアウトサイドミラー28のミラーベース部35が、図5の如くサイドドアパネル1’のミラー取付部21に車両内側からの三本のボルト締め作業で組み付け固定され、ミラーハウジング36とその内部のミラー37はドアベルトライン18よりも上方に配置されて良好な視認性が確保される。
ミラーベース部35を組み付け固定する際、センタサッシュ10の中間のブラケット14の突出板部17の円孔15からサイドドアパネル1’のミラー取付部21の上側の二つの孔部33のうちの後側の孔部33a(図3)にボルト又はタッピングスクリュを挿通(螺挿)して、ブラケット14がミラー取付部21に共締めされる。これによって、図3におけるミラー取付部21の後側の自由端部21aがブラケット14とパーティションウェザストリップ4の後辺部7を介してセンタサッシュ10に固定され、ミラー取付部21の剛性がアップする。
図3のミラー取付部21の上側の自由端部(符号29b,30bで代用)は、パーティションウェザストリップ4の下辺部8が嵌合することで固定されて剛性アップする。ミラー取付部21の前側と下側の各端部はサイドドアパネル1’に一体に続いているので、剛性は高い。特にセンタサッシュ10をブラケット14を介してミラー取付部21の後端部21aに連結することで、ミラー取付部21全体の剛性がアップする。
図6は、図5の矢視C−C横断面図、図6の円内は要部拡大図をそれぞれ示すものである。
図6の如く、ドアインナパネル2の車両外側の面に第一のミラーリインフォース30が板厚方向に重合され、第一のミラーリインフォース30の車両外側の面に第二のミラーリインフォース31が板厚方向に重合され、ドアインナパネル2と各ミラーリインフォース30,31を貫通してブラケット固定用の孔部33aが設けられ、ドアインナパネル2と各ミラーリインフォース30,31とでミラー取付部21が構成され、ドアインナパネル2の車両内側の面にセンタサッシュ10の中間のブラケット14の突出板部17が板厚方向に重合され、固定用の孔部33aと同心に突出板部17の円孔15が配置され、第二のミラーリインフォース31の車両外側の面にアウトサイドミラーベース35のねじ締め用の孔部38の開口端縁38aが当接され、その状態で不図示のボルト又はタッピングスクリュを車両内側から孔部38に挿通してアウトサイドミラーベース35の孔部38内の不図示のナット又は下穴に螺合させることで、センタサッシュ10側のブラケット14がミラー取付部21に共締めされる。
ブラケット14の基板部16はセンタサッシュ10の前半の車両内側の側壁23(図2)の切欠部26を通って区画壁25の前面に前面の幅の2/3程度の長さで接合固定され、第一のミラーリインフォース30は後端側に車両外側に向けて鍔状に突出したフランジ部30cを有し、第二のミラーリインフォース31は後端側に車両外側に向けて長く突出した後壁31aを有して、それぞれ各ミラーリインフォース30,31の剛性がアップされている。
センタサッシュ10の区画壁25の前側に区画壁25と平行にパーティションウェザストリップ4の後辺部7(図5)が配置され、センタサッシュ10とパーティションガラス3(図5)との間の防水が行われる。そして、パーティションウェザストリップ4の下辺部8よりも下向きに延長された車両幅方向に幅広の延設部9の車両内側の端部寄りにおいて、延設部9の板状壁40の後面から後方に突出された切欠部防水用のシールリップ27がセンタサッシュ10の車両内側の側壁23(図2)の切欠部26を覆って、切欠部26から車室内への水46の浸入を防止する。
すなわち、切欠部防水用のシールリップ27は自由状態(ブラケット14付きのセンタサッシュ10を装着しない状態)において、図6に鎖線で示す如く、突出先端27aに向かうにつれて漸次先細に形成され、且つ突出先端27aが突出基端(付根)27bよりも少し車両外側に位置し、突出基端27bから突出先端27aにかけて車両外側に少し湾曲し、且つ突出先端27aがブラケット14の基板部16の後面を通過してセンタサッシュ10の後半の車両内側の側壁22の車両内側の面に接する位置まで長く突出する。
ブラケット14付きのセンタサッシュ10を装着した状態において、図6に実線で示す如く、切欠部防水用のシールリップ27がブラケット14の基板部16の前面に当接して車両内側に向けて自由状態におけるよりも大きく湾曲し(図6の例)、あるいは自由状態とほぼ同じ位置にて前向きに圧縮されつつ湾曲して(図示せず)、シールリップ27の突出先端部27aがブラケット14の基板部16の前面に隙間なく少し面接触で密着する。ブラケット14がないところでは、シールリップ27の突出先端部27aがセンタサッシュ10の区画壁25の前面あるいはセンタサッシュ10の切欠部26の周縁に密着する。それと同時に、センタサッシュ10の切欠部26におけるブラケット14の基板部16よりも上側部分26a(図4)と下側部分26bにおいて、切欠部防水用のシールリップ27の車両内側の面27cが切欠部26の上縁(周縁)と下縁(周縁)すなわちセンタサッシュ10の前半の車両内側の側壁23(図2)の車両外側の面に密着して、切欠部26のなす隙間を完全に封止する。このように、センタサッシュ10の上端側からセンタサッシュ10の前半部内に浸入した水46は切欠部防水用のシールリップ27で確実に防水されて、切欠部26から車室内への水46の浸入が確実に防止される。切欠部16の下縁がドアインナパネル本体2’の上縁よりも下方に位置する場合には、切欠部26の下縁部から車室内へ水46が浸入することはないので、シールリップ27を切欠部26の下縁に密着させる必要はない。
また、図6の如く、切欠部防水用のシールリップ27とはほぼ前後反対側において(正確にはシールリップ27よりも少し車両内側において)、パーティションウェザストリップ4の幅広の延設部9の前面から前向きに切欠部防水用のシールリップ27よりも小さな弾性の第二のシールリップ32が突出形成されており、第二のシールリップ32の突出先端部32aがミラー取付部21の第一のミラーリインフォース30の後端側のフランジ部30cの後面に当接密着して、パーティションウェザストリップ4の延設部9を車両後方に弾性的に押圧することで、切欠部防水用のシールリップ27の接触反力で延設部9が前方へ押されて移動してシールリップ27の接触圧力が低下することが防止され、切欠部防水用のシールリップ27がブラケット14の基板部16とセンタサッシュ10の切欠部26の周縁とにさらに確実に密着する。第二のシールリップ32は延設部9の板状壁40と第一のミラーリインフォース30との間からブラケット14の突出板部17側への水の浸入を防止する。第二のシールリップ32は延設部9における第一のシールリップ27とは反対側の部分を構成する。
図6においては、切欠部防水用のシールリップ27を車両外側に湾曲状に撓ませて、センタサッシュ10の前半の車両内側の側壁23(図2)の車両外側の面にシールリップ27の車両内側の面27cを密着させることで切欠部26を塞いだ例で説明したが、例えば、図6に鎖線で示す如く、センタサッシュ10の前半の車両内側の側壁23(図2)の車両内側の面に切欠部防水用のシールリップ27の車両外側の面27dを当接密着させて、切欠部26を切欠部防水用のシールリップ27でまさに蓋をするように覆って封止することも可能である。この例によれば、図2(a)の例のセンタサッシュ10の前半の車両内側の側壁23の車両外側への折り返し部分23aを避けて、側壁23の車両内側の面に切欠部防水用のシールリップ27の上下部分をスムーズに密着させることができる。この例でシールリップ27の高さ方向中間部分は図6の鎖線で示す位置でブラケット14の基板部16の前面に当接密着して前向きに圧縮される。
パーティションウェザストリップ4の延設部9の後面には、切欠部防水用のシールリップ27よりも車両外側において一対のリブ47が平行に縦方向に設けられ、各リブ47は車両後方に向けて切欠部防水用のシールリップ27よりも短く突出し、各リブ47の突出先端側に例えば発泡体等のシール部材48が面状に貼り付けられて、ブラケット14の基板部16の前面及びセンタサッシュ10の区画壁25の前面と各リブ47の突出先端47aとの間が防水あるいは防音される。
パーティションウェザストリップ4の延設部9の板状壁40の前面には、第二のシールリップ32よりも車両外側(延設部9の幅方向ほぼ中央)において第二のシールリップ32と同程度の大きさのリブ49が突出形成され、リブ49の車両外側の溝形状50に沿ってパーティションウェザストリップ4の後辺部7の上側から不図示の水が案内されてドアインナパネル2と不図示のドアアウタパネルとの間を経てドアパネル1’の下端側から外部に排出される。ドアパネル1’はドアインナパネル2とドアアウタパネルとインナ側ないしアウタ側の不図示の各リインフォースとで成る。
センタサッシュ10の車両外側の側壁22,24(図2)の車両外側の面には図4のパーティションウェザストリップ4の下辺部8から後方に突出した板状のリブ壁41の車両内側の面が密着する。図6でセンタサッシュ10の後半内部にはガラスラン39が装着されている。
図7〜図9は、パーティションウェザストリップ4の一実施形態における延設部9とその近傍部分を詳細に示すものである。
図7の如く、パーティションウェザストリップ4の後辺部7の下側部分が下辺部8の後端面8aに沿って下方に延長形成され、下辺部8よりも下側の幅広の延設部9の後面に車両内側から切欠部防水用のシールリップ27と、延設部9の補強を兼ねるシール部材貼り付け用の左右上下の枠状のリブ47とが設けられ、延設部9の車両外側の端部の上半側において板状のリブ壁41が下辺部8の上端側にかけて形成されている。板状のリブ壁41の車両内側の面41aにセンタサッシュ10の車両外側の側壁22,24(図6)が接触し、リブ壁41の車両外側の面にはアウトサイドミラーベース35(図6)の外側の不図示のアウトサイドミラーカバーが車両外側から押接する。
切欠部防水用のシールリップ27の下端27eは延設部9の板状壁40の下端と同一面に自由状態で位置し、切欠部防水用のシールリップ27の上端27fは、下辺部8の後端面8aの下部に周設された略水平なフランジ壁51の車両外側の終端51aに交差(直交)して一体に続いて自由を拘束されている。これにより、切欠部防水用のシールリップ27には厚み方向の強い復元力すなわちセンタサッシュ10(図6)の切欠部26の周縁への強い密着力が付与される。切欠部防水用のシールリップ27は突出先端27aに向かうにつれて車両外側すなわち板状のリブ壁41に向けて湾曲している。
図8(車両外側から見た図)の如く、切欠部防水用のシールリップ27の車両外側の面27dには突出先端27a側と突出基端27b側とにそれぞれ縦方向の線27gが形成されて、両線27gの間におけるシールリップ27の肉厚が若干薄く形成されている。シールリップ27の突出先端27aは縦方向に線状の先細形状となっている。シールリップ27の上端部27fは厚肉の状態で下辺部8の下端の水平なフランジ壁51の終端51aに一体に続いている。なお、シールリップ27の上端27fを下辺部8の下端の水平なフランジ壁51とは不図示のスリットで分離して自由状態とすることも可能である。但しこの場合は、センタサッシュ10の切欠部26へのシールリップ27の密着力は少し低下する。
延設部9の幅広の板状壁40の車両外側の端部の上半側にリブ壁41が車両内側の切欠部防水用のシールリップ27と段違い平行に設けられ、リブ壁41の上端41aは下辺部8の上端よりも少し下側に位置している。リブ壁41の上端側においてパーティションウェザストリップ4の下辺部8の後端側から後辺主体部7aが立ち上げ形成されている。
図9(車両前側から見た図)の如く、延設部9の板状壁40の前面に小さな第二のシールリップ32が設けられ、第二のシールリップ32の車両外側に隣接してリップ状の水滴ガイドリブ49が設けられている。板状壁40はパーティションウェザストリップ4の下辺部8に直交し、交差部に三角状の補強リブ52が設けられている。板状壁40の後面の車両内側の端部寄りに切欠部防水用のシールリップ27が設けられている。
以下に、本発明の車両のドア構造の特徴部分を簡単にまとめて説明する。
本発明は、センタサッシュ10の切欠部26からの水の浸入に対し、センタサッシュ10内への水の入り口であるセンタサッシュ上部の完全な水密性を達成するのではなく、センタサッシュ内を伝わり落ちる水46を切欠部26から車室内に浸入させない構造としたものである。
既存の構成部品であるパーティションウェザストリップを用いてセンタサッシュ10の切欠部26を覆う構成とするために、パーティションウェザストリップ4のセンタサッシュ辺部(後辺部)7を下方に延長し、その延設部9に突出長さの長いリブ状のシールリップ27を設け、センタサッシュ10の切欠部26をシールリップ27で蓋のように覆う構成とした。切欠部26にはL字状のブラケット14が溶接等で固定されているので、シールリップ27は突出先端27a側を薄くしてブラケット14の形状に追従して隙間をなくすようにする。また、センタサッシュ10に対しシールリップ27を車両外側に向けて撓ませるようにラップさせた形状とすることで、水密性を確保すると共に、組付時にシールリップ27が反ったりしないように安定させる。
シールリップ27の効果をさらに高めるために、パーティションウェザストリップ4の後辺部7におけるシールリップ27とは反対側の部分(本例では第二のシールリップ32)をミラーリインフォース30と接触させることで、切欠部防水用のシールリップ27が車両前方に逃げないようにする。アウトサイドミラー取付部21におけるミラーリインフォース30の端末にL字状に曲げたフランジ部30cを設定することで、後辺部7におけるシールリップ27とは反対側(裏側)の部分に接触させる。後辺部7におけるシールリップ27とは反対側の部分を塊のままミラーリインフォース30に接触させてもよいが、組付性や寸法ばらつきを考慮して、小さなリブ状の第二のシールリップ32による干渉設定とすることが好ましい。
また、サイドドア1のベルトライン18上に露出するセンタサッシュ10の切欠部分26aを最小限にするために、ブラケット14は切欠部26の可能な限り上側に溶接等で固定し、それでもブラケット14の上部に露出する切欠部分26aは上記シールリップ27で覆って防水する。
上記実施形態によって、以下の効果が奏される。すなわち、フロントサイドドア1のセンタサッシュ10のブラケット固定用の切欠部26を、パーティションウェザストリップ4に設けたリブ状のシールリップ27で蓋のようにした覆うことで、センタサッシュ10内を伝う水46が車室内に浸入する恐れがなくなり、サイドドア1のベルトライン18上にセンタサッシュ10の切欠部26と締付固定用のブラケット14を設定することができ、レイアウトの自由度が向上する。また、水漏れのリスクを伴わず、切欠部26(26a)をベルトライン18の上部に露出させて、センタサッシュ10をブラケット14でアウトサイドミラー取付部21に締結させることができ、アウトサイドミラー取付部21の剛性アップをコスト増なしで達成することができる。