JP6033996B1 - 密封装置 - Google Patents

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Abstract

互いに摺動可能に接触するシールリップおよびシールフランジの組み合わせを備えるとともにシールフランジの軸方向端面にネジ溝を設けた密封装置において、静止漏れが発生するのを抑制する。この目的を達成するため、非回転のハウジング側に装着されるシールリップが回転軸側のシールフランジの軸方向端面に摺動可能に接触する構造を備え、シールフランジの軸方向端面に回転時、流体ポンピング作用を発揮するネジ溝を設けた密封装置において、ネジ溝は、その内面の一部として内周側斜面を備える。そしてシールリップの先端部がネジ溝に入り込んだ状態で、シールリップの先端部内周面と内周側斜面とがなす角度を0°±3°の範囲に設定したことを特徴とする。

Description

本発明は、シール技術に係る密封装置に関する。本発明の密封装置は例えば、自動車関連の分野または汎用機械の分野等において回転用オイルシールとして用いられる。
従来から図8(A)に示すように、非回転のハウジング51側に装着されるシールリップ102が回転軸61側のシールフランジ103の軸方向端面103aに摺動可能に接触する構造を備える密封装置101が知られている。シールフランジ103の軸方向端面103aには図8(B)に示すように、回転軸61の回転時に遠心力による流体ポンピング作用を発揮するネジ溝104が設けられており、このネジ溝104を設けた軸方向端面103aに対しシールリップ102が摺動可能に接触している。
上記密封装置101は回転軸61の回転時、回転軸61と共に回転するシールフランジ103が遠心力による流体振り切り作用を発揮するとともにネジ溝104が遠心力による流体ポンピング作用を発揮するため、機内側Aの密封流体がシールリップ102およびシールフランジ103の接触部を通過して機外側Bへ漏洩するのを抑制することが可能とされる。
特開2014−137129号公報
しかしながら上記従来の密封装置101に対しては、以下の点について更なる機能向上が求められる。
すなわち上記密封装置101においては上記したように回転軸61の回転時、回転軸61と共に回転するシールフランジ103が遠心力による流体振り切り作用を発揮するとともにネジ溝104が遠心力による流体ポンピング作用を発揮するため、機内側Aの密封流体が機外側Bへ漏洩するのを抑制することが可能とされるが、回転軸61の回転が停止すると遠心力が消失し上記両作用が消失するため、密封流体がネジ溝104を伝って接触部を通過し、機外側Bへ漏洩する可能性がある(いわゆる静止漏れの発生の可能性)。
上記密封装置101においては図9(A)に拡大して示すように、ネジ溝104の断面形状が、溝開口部を底辺とする二等辺三角形とされ、ネジ溝104はその内面として内周側斜面104aおよび外周側斜面104bを備えている。そして図9(B)に示すように、このネジ溝104に対しシールリップ102が組み合わされてシールリップ102の先端部102aがネジ溝104に入り込むと、この入り込んだ状態でシールリップ102の先端部102a内周面と内周側斜面104aとの間に比較的大きな角度θが形成され、これに伴ってシールリップ102の先端部102a内周面とネジ溝104の内面との間に断面積が比較的大きなスキマcが形成される。したがってこの比較的大きなスキマcを漏れ流路として、静止漏れが発生することになる。断面二等辺三角形状のネジ溝104の溝開角度θは113°前後であることが多く、シールリップ102の先端部102a内周面と内周側斜面104aとの間の角度θは10°以上であることが多い。
本発明は以上の点に鑑みて、互いに摺動可能に接触するシールリップおよびシールフランジの組み合わせを備えるとともにシールフランジの軸方向端面にネジ溝を設けた密封装置において、静止漏れが発生するのを抑制することができる密封装置を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するため、以下の手段を採用した。
すなわち第1の発明(以下、本願第1発明とも称する)は、非回転のハウジング側に装着されるシールリップが回転軸側のシールフランジの軸方向端面に摺動可能に接触する構造を備え、前記シールフランジの軸方向端面に回転時、流体ポンピング作用を発揮するネジ溝を設けた密封装置において、前記ネジ溝は、その内面の一部として内周側斜面を備え、前記シールリップの先端部が前記ネジ溝に入り込んだ状態で、前記シールリップの先端部内周面と前記内周側斜面とがなす角度を0°±3°の範囲に設定したことを特徴とする密封装置である。
上記構成の密封装置においては、流体ポンピング作用を発揮するネジ溝に対しシールリップの先端部が入り込んだ状態でシールリップの先端部内周面とネジ溝の内周側斜面とがなす角度が0°±3°の範囲に設定されているため、シールリップの先端部内周面とネジ溝の内面との間にスキマが形成されず、またはスキマが形成される場合でも上記角度の縮小に伴って上記図8〜図9の従来技術と比較してスキマの大きさ(開口断面積)が縮小される。したがって漏れ流路が消滅し、または漏れ流路の大きさが縮小されるため、密封流体が流れにくくなり、静止漏れが抑制される。
ネジ溝は、その内面の一部として内周側斜面を備えていれば、その断面形状を特に限定されず、例えば溝開口部を底辺とする不等辺三角形や二等辺三角形などであっても良い。
第2の発明(以下、本願第2発明とも称する)は、非回転のハウジング側に装着されるシールリップが回転軸側のシールフランジの軸方向端面に摺動可能に接触する構造を備え、前記シールフランジの軸方向端面に回転時、流体ポンピング作用を発揮するネジ溝を設けた密封装置において、前記ネジ溝は、複数本が設けられ、または加工目レベルの大きさに形成されたネジ溝が多数設けられていることを特徴とする密封装置である。
上記構成の密封装置においては、ネジ溝が複数本設けられ、または加工目レベルの大きさに形成されたものが多数設けられているため、上記図8〜図9の従来技術と比較してネジ溝1本当たりの断面積が小さく設定される。したがってシールリップの先端部内周面とネジ溝の内面との間にスキマが形成されてもスキマの大きさ(開口断面積)が縮小され、漏れ流路の大きさが縮小されるため、密封流体が流れにくくなり、静止漏れが抑制される。
第3の発明(以下、本願第3発明とも称する)は、非回転のハウジング側に装着されるシールリップが回転軸側のシールフランジの軸方向端面に摺動可能に接触する構造を備え、前記シールフランジの軸方向端面に回転時、流体ポンピング作用を発揮するネジ溝を設けた密封装置において、前記シールリップの先端が前記ネジ溝の溝底部に位置するときの前記シールリップの内周側当接角をφin、外周側当接角をφoutとするとともに前記ネジ溝の内周側角度をθin、外周側角度θoutとして、
θin≦φin かつ θout≦φout・・・・(イ)式
の関係を充足することを特徴とする密封装置である。
上記構成の密封装置においては、上記(イ)式の関係が成立しているため、シールリップの先端部内周面とネジ溝の内周側斜面との間にスキマが形成されないことになる。したがって漏れ流路が消滅するため、密封流体が流れにくくなり、静止漏れが抑制される。
本発明においては、互いに摺動可能に接触するシールリップおよびシールフランジの組み合わせを備えるとともにシールフランジの軸方向端面にネジ溝を設けた密封装置において、静止漏れが発生するのを抑制することができ、回転軸が回転している時のみならず静止している時にも密封流体が漏洩するのを抑制することができる。
本願第1発明の第1実施例に係る密封装置の要部断面図 同密封装置に備えられるネジ溝の説明図 (A)は同ネジ溝の拡大断面図、(B)は同ネジ溝に対しシールリップを組み合わせた状態の拡大断面図 本願第1発明の第2実施例に係る密封装置に備えられるネジ溝の説明図であって、(A)は同ネジ溝の断面図、(B)は同ネジ溝に対しシールリップを組み合わせた状態の断面図 (A)は本願第2発明の第3実施例に係る密封装置に備えられるネジ溝に対しシールリップを組み合わせた状態の断面図、(B)は本願第2発明の第4実施例に係る密封装置に備えられるネジ溝に対しシールリップを組み合わせた状態の断面図 本願第3発明の第5実施例に係る密封装置に備えられるネジ溝に対しシールリップを組み合わせた状態の断面図 比較例に係る密封装置示す図であって、(A)は第1比較例に係る密封装置に備えられるネジ溝に対しシールリップを組み合わせた状態の断面図、(B)は第2比較例に係る密封装置に備えられるネジ溝に対しシールリップを組み合わせた状態の断面図、(C)は第3比較例に係る密封装置に備えられるネジ溝に対しシールリップを組み合わせた状態の断面図 従来例に係る密封装置示す図であって、(A)は従来例に係る密封装置の要部断面図、(B)は同密封装置に備えられるネジ溝の説明図 (A)は同ネジ溝の拡大断面図、(B)は同ネジ溝に対しシールリップを組み合わせた状態の拡大断面図
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
第1実施例・・・
第1実施例は、本願第1発明についての実施例である。
図1は、本発明の実施例に係る密封装置1の要部断面を示している。
当該実施例に係る密封装置1は、非回転のハウジング51側に装着されるシールリップ24が回転軸61側のシールフランジ13の軸方向端面13aに摺動可能に接触する構造を備える密封装置であって、ハウジング(シールハウジング)51とこのハウジング51に設けた軸孔52に挿通する回転軸61との間で機内側(油側)Aの密封流体(油)が機外側(大気側)Bへ漏洩しないようにシールする密封装置(エンジン用オイルシール)である。またこの密封装置1は、ハウジング51の軸孔52内周に装着されるリップシール部材21と、回転軸61の外周に装着されるスリンガー11との組み合わせよりなり、リップシール部材21に、請求項1に記載したシールリップ24が備えられるとともに、スリンガー11に、請求項1に記載したシールフランジがフランジ部13として備えられている。
スリンガー11は、金属等の剛材製であって、回転軸61の外周面に固定(嵌合)されるスリーブ部12と、このスリーブ部12の軸方向一方の端部(機内側端部)に設けられた外向きのフランジ部13とを一体に有し、フランジ部13の軸方向他方の端面である機外側端面13aに図2に示すような、回転軸61の回転時に遠心力による流体ポンピング作用を発揮することにより密封流体を外周側(機内側A)へ向けて押し戻す作用を発揮するネジ溝15が設けられている。矢印eは回転軸61の回転方向を示している。
一方、リップシール部材21は、ハウジング51の軸孔52内周面に固定(嵌合)される金属等の剛材よりなる取付環22と、この取付環22に被着(加硫接着)されたゴム状弾性体23とを有し、このゴム状弾性体23によって、スリンガー11におけるフランジ部13の機外側端面13aに摺動可能に接触するシールリップ(端面リップ)24と、スリンガー11に対し非接触の油回収リップ25が一体に設けられ、またこのゴム状弾性体23に対し、スリンガー11におけるスリーブ部12の外周面に摺動可能に接触するダストリップ26が組み付けられている。油回収リップ25はシールリップ24の機外側Bに配置され、ダストリップ26は油回収リップ25の更に機外側Bに配置されている。
シールリップ24は、その基端部24aから先端部24bへかけて漸次拡径するよう機内側Aであってかつ径方向外方へ向けて斜めに設けられており、その先端部24bの内周面にて、フランジ部13の機外側端面13aに接触している。またこの接触については所定の締め代(接触面圧)が設定され、よってシールリップ24はその先端部24bの内周面にてフランジ部13の機外側端面13aに対し所定の締め代をもって弾性的に接触している。
上記流体ポンピング作用を発揮するネジ溝15の詳細については図3(A)に示すように、ネジ溝15の長手直角方向の断面形状が、溝開口部を底辺とする不等辺三角形とされ、すなわちネジ溝15は、不等辺三角形の長辺をなす断面直線状の内周側斜面15aおよび不等辺三角形の短辺をなす同じく断面直線状の外周側斜面15bを備え、このうち内周側斜面15aの機外側端面13aに対する傾斜角度θのほうが外周側斜面15bの機外側端面13aに対する傾斜角度θよりも小さく設定され、これにより図3(B)に示すように、ネジ溝15に対しシールリップ24の先端部24bが入り込んだ状態で、シールリップ24の先端部24b内周面とネジ溝15の内周側斜面15aとがなす角度θが0°±3°の範囲に設定されている。したがって上記図9に示した断面二等辺三角形のネジ溝104と比較して、溝幅w一定(または溝深さd一定)および溝開角度θ一定(例えば、113°)の条件のもとで、図9のネジ溝104よりも図3のネジ溝15のほうが、シールリップ24の先端部24b内周面とネジ溝15の内面との間に形成されるスキマcの大きさ(開口断面積)が小さく設定されている。
上記構成の密封装置1においては、シールリップ24がその先端部24bにてフランジ部13の機外側端面13aに接触しており、この状態で回転軸61が回転してフランジ部13が従動回転すると、回転軸61と共に回転するフランジ部13が遠心力による流体振り切り作用を発揮するとともにネジ溝15が遠心力による流体ポンピング作用を発揮するため、機内側Aの密封流体がシールリップ24およびフランジ部13間の接触部を通過して機外側Bへ漏洩するのを抑制することが可能とされる。
また、回転軸61が静止している時には、密封流体がネジ溝15を伝って漏れようとするが、上記したようにネジ溝15に対してシールリップ24の先端部24bが入り込んだ状態でシールリップ24の先端部24b内周面とネジ溝15の内周側斜面15aとがなす角度θが0°±3°の範囲に設定されることにより、シールリップ24の先端部24b内周面とネジ溝15の内面との間に形成されるスキマcの大きさが小さく設定されているため、漏れ流路の断面積が小さく設定され、これにより密封流体は漏れにくい。また当該実施例でもネジ溝15の内面とシールリップ24との間に微小なスキマc(図3(B))が形成されるので、ここを通って密封流体が漏れる懸念があるが、微小なスキマcでは密封流体(油)が表面張力によりスキマc周辺に貼り付くため、密封流体がネジ溝15内を流れることは殆どない。したがって静止漏れをほぼ完全に防止することが可能とされる。
したがって以上説明したところにより、回転時のシール性を維持しつつ、静止漏れが発生するのを抑制することができる。
第2実施例・・・
第2実施例は、本願第1発明についての実施例である。
上記第1実施例では、ネジ溝15の溝開角度θを従来と同様の113°前後に維持したうえで、シールリップ24の先端部24b内周面とネジ溝15の内周側斜面15aとがなす角度θが0°±3°の範囲に設定されるように、ネジ溝15の断面形状を不等辺三角形としたが、ネジ溝15の溝開角度θを従来と同様の113°前後よりも拡大するならば、ネジ溝15の断面形状を二等辺三角形としたうえで、シールリップ24の先端部24b内周面とネジ溝15の内周側斜面15aとがなす角度θを0°±3°の範囲に設定することも可能である。
このような例として、第2実施例として示す図4では、ネジ溝15の断面形状が二等辺三角形とされるとともにネジ溝15の溝開角度θが従来よりも大きな例えば130°に設定され、これによりシールリップ24の先端部24b内周面とネジ溝15の内周側斜面15aとがなす角度θが0°±3°の範囲に設定されている。
したがってこの図4の例でも、シールリップ24の先端部24b内周面とネジ溝15の内面との間に形成されるスキマcの大きさが小さく設定されるため、漏れ流路の断面積が小さくなり、よって密封流体が漏れにくくなる。
また、この実施例でもネジ溝15の内面とシールリップ24との間に微小なスキマc(図4(B))が形成されるので、ここを通って密封流体が漏れる懸念があるが、微小なスキマcでは密封流体(油)が表面張力によりスキマc周辺に貼り付くため、密封流体がネジ溝15内を流れることは殆どない。したがって静止漏れをほぼ完全に防止することが可能とされる。
したがって以上説明したところにより、回転時のシール性を維持しつつ、静止漏れが発生するのを抑制することができる。
密封流体(油)がその表面張力によりスキマc周辺に貼り付く作用を大きくするには、このスキマc周辺を構成するネジ溝15の内面やシールリップ24の表面にショットブラスト法等による梨地加工部を設けることにより表面積を大きくすることも考えられる。
第3実施例・・・
第3実施例は、本願第2発明についての実施例である。
シールリップ24の先端部24b内周面とネジ溝15の内面との間に形成されるスキマcの大きさを小さく設定するには、上記第1および第2実施例のほかに、ネジ溝15の本数を増やすとともにネジ溝15一本当たりの断面積を小さくすることも考えられ、このようにネジ溝15の本数を増やすとともにネジ溝15一本当たりの断面積を小さくした場合にも、密封流体の表面張力が発生しやすくなり、密封流体がネジ溝15内を流れにくくなるため、静止漏れが発生するのを抑制することができる。
第3実施例として示す図5(A)の例では、ネジ溝15の本数が上記第1および第2実施例における1本から3本に増やされ、その代わりとしてネジ溝15一本当たりの溝深さd、溝幅wおよび断面積が小さく設定されている。シールリップ24の先端部24bは3本のうちの何れかのネジ溝15に入り込んでスキマcを形成するため、スキマcの断面積が小さくなる。
第4実施例・・・
第4実施例は、本願第2発明についての実施例である。
第4実施例として示す図5(B)の例では、ネジ溝15が加工目レベルに形成されることによりその本数が上記実施例における1本から多数に増やされ、その代わりとしてネジ溝15一本当たりの溝深さd、溝幅wおよび断面積が小さく設定されている。シールリップ24の先端部24bは多数のうちの何れかのネジ溝15に入り込んでスキマcを形成するため、スキマcの断面積が小さくなる。
したがってこれらの例においても、密封流体がネジ溝15内を流れにくくなるため、静止漏れが発生するのを抑制することができる。
また、ネジ溝15の本数を増やすとともにネジ溝15一本当たりの断面積を小さくしたうえで、シールリップ24の先端部24b内周面とネジ溝15の内周側斜面15aとがなす角度を0°±3°の範囲に設定するようにしても良い。
第5実施例・・・
第5実施例は、本願第3発明についての実施例である。
静止漏れを抑制するには、ネジ溝15の角度を以下のように設定するのも有効である。
すなわち、シールリップの先端がネジ溝の溝底部に位置するときのシールリップの内周側当接角(スリンガー端面となす角度)をφin、外周側当接角をφoutとするとともにネジ溝の内周側角度(スリンガー端面となす角度)をθin、外周側角度をθoutとして、
θin≦φin かつ θout≦φout・・・・(イ)式
の関係を充足するように設定する。
そして、これによれば、スリンガーのネジ溝部で従来と同等のポンプ量を維持しつつ、静止漏れを防ぐことができ、これにより長期間に亙って安定したシール性を確保することができる。
この例として第5実施例として示す図6の例では、シールリップ24の先端部24bの内周側角部24e(シールリップ24の内周面24cと先端面(厚み面)24dが交差する部位)が断面三角形状のネジ溝15の溝底部15c(ネジ溝15の内周側斜面15aと外周側斜面15bが交差する部位)の位置にあるときのシールリップ24の内周側当接角(スリンガー端面13aとなす角度)をφin、外周側当接角をφoutとするとともにネジ溝15の内周側角度(スリンガー端面13aとなす角度)をθin、外周側角度をθoutとして、
θin≦φin かつ θout≦φout・・・・(イ)式
の関係を成立するように設定されている。
上記(イ)式の関係を成立しない比較例と比較すると、以下のとおりである。
上記図6に示す第5実施例ならびに、図7(A)に示す第1比較例、図7(B)に示す第2比較例および図7(C)に示す第3比較例ではいずれも、φinは約20°、φoutは約70°である。θinおよびθoutは以下の表1のとおりとされている。
Figure 0006033996
図6に示す第5実施例では、シールリップ24の先端部24bが内周側から外周側に向かってネジ溝15の内周側斜面15aおよび外周側斜面15bをなぞるように円周上途切れることなく連続的に接触するため、シールリップ24の内周側に密封流体(油)がまわり込む可能性がない。
これに対し、図7(A)に示す第1比較例は、θout≦φoutが不成立の場合である。この溝形状では、シールリップ24の先端部24bがネジ溝15の外周側斜面15bに接触しないため、スキマが発生する。
図7(B)に示す第2比較例は、θin≦φinが不成立の場合である。この溝形状では、シールリップ24の先端部24bがネジ溝15の内周側斜面15aに接触しないため、スキマが発生する。
図7(C)に示す第3比較例は、θout≦φoutが不成立で、かつθin≦φinも不成立の場合である。この溝形状では、シールリップ24の先端部24bがネジ溝15の内周側斜面15aおよび外周側斜面15bの双方に接触しないため、スキマが発生する。
したがって、上記(イ)式が成立する場合に限って、静止漏れを十分に抑制することができる。
また、当該第5実施例では、上記(イ)式を成立させたうえで、シールリップ24の先端部24bの内周面24cとネジ溝15の内周側斜面15aとがなす角度を0°±3°の範囲に設定するようにしても良い。
1 密封装置
11 スリンガー
12 スリーブ部
13 フランジ部(シールフランジ)
13a 機外側端面(軸方向端面)
15 ネジ溝
15a 内周側斜面
15b 外周側斜面
15c 溝底部
21 リップシール部材
22 取付環
23 ゴム状弾性体
24 シールリップ
24a 基端部
24b 先端部
24c 内周面
24d 先端面
24e 内周側角部
25 油回収リップ
26 ダストリップ
51 ハウジング
52 軸孔
61 回転軸
c スキマ
A 機内側
B 機外側

Claims (2)

  1. 非回転のハウジング側に装着されるシールリップが回転軸側のシールフランジの軸方向端面に摺動可能に接触する構造を備え、前記シールフランジの軸方向端面に回転時、流体ポンピング作用を発揮するネジ溝を設けた密封装置において、
    前記ネジ溝は、その内面の一部として内周側斜面を備え、
    前記シールリップの先端部が前記ネジ溝に入り込んだ状態で、前記シールリップの先端部内周面と前記内周側斜面とがなす角度を0°±3°の範囲に設定したことを特徴とする密封装置。
  2. 請求項1記載の密封装置において、
    前記ネジ溝は、その断面形状が不等辺三角形または二等辺三角形とされていることを特徴とする密封装置。
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