JP6033108B2 - バリアコーティング樹脂積層体及び該積層体を有するプラスチック容器 - Google Patents
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Description
かかる問題を課題を解決するために種々の発明が提案されてきた。
例えば、以下の特許文献1には、PETボトルにブロー成形されるパソリンに、α―オレフィン単位を0.1〜20モル%含有し、重合度が200〜5000であり、けん化度が90〜100モル%のポリビニルアルコール(以下、PVAと略す。)系樹脂を塗布する方法が提案されている(同書請求項1、請求項5参照)。しかしながら、この方法では、該ポリビニルアルコール系樹脂に耐水性がないため、該樹脂でコーティングされたPETボトルを冷水に浸漬して冷やす場合、短時間でコーティング層が溶解、剥がれてしまう等の問題がある。尚、特許文献1では、耐水性の評価として、ボトルを20℃の水に1分間浸漬し、指でボトル表面をこすって、PVAの溶出の有無を確認しているに過ぎない(同書段落[0025]参照)。
[1]α―オレフィン単位を0.1〜20モル%含有し、重合度が200〜5000であり、けん化度が90〜100モル%であり、かつ、90℃の1.5%アルカリ水溶液中で15分以内に溶解するポリビニルアルコール系樹脂からなる層と、ガラス転移温度が70℃以上103℃以下であり、かつ、水酸基含有量が18重量%以下であるポリビニルアセタール系樹脂からなる層が積層されたガスバリアコーティング樹脂積層体。
そこで、PETボトルのリサイクル処理について説明する。
通常、PETボトルは、PETそのままのものや、ナイロンやスカベンジャーが添加されているもの等あるが、リサイクル処理においてナイロンやスカベンジャーなどは分離されず、通常、繊維や卵パック又はPETボトルにリサイクルされることなる。このように異種材料が入ったものがリサイクルされると、色がついてしまったり(例えば、ナイロンが入ると黄色っぽくなり)、繊維にリサイクルされた場合は切れやすくなったりする傾向がある。また、例えば、PVAが入ったままだと焦げたり、PVBが入ったままだと白くなったりする傾向がある。近年、ケミカルリサイクルやメカニカルリサイクルのようなボトルtoボトルの技術の実用化が開始され、今後はボトルへのリサイクル率が更に高まっていき、リサイクル材に求められる品質も向上していくと予想される。そこで、コーティング樹脂は、リサイクルの工程中に除去できることが望ましい。
α―オレフィン単位を0.1〜20モル%含有し、けん化度が90〜100モル%であり、かつ、85〜90℃の1.5%アルカリ水溶液中で15分以内に完溶するポリビニルアルコール系樹脂からなる層と、ガラス転移温度が70℃以上103℃以下であり、かつ、水酸基含有量が18重量%以下であるポリビニルアセタール系樹脂からなる層が積層されたガスバリアコーティング樹脂積層体;
により構成することによりガスバリア性、耐水性、及び回収性のすべてが満足できるものとなることを見出したものである。
ポリビニルアルコール系樹脂は、冷水に不溶であり、耐水性が高く、かつ、90℃の1.5%アルカリ水溶液に完全に溶解する必要がある。この条件を満たすポリビニルアルコール系樹脂としては、炭素数20以下のα−オレフィン単位を0.1〜20モル%含有するものであることができる。ポリビニルアルコール系樹脂は、重合度200〜5000、けん化度90〜100モル%でることが好ましく、重合度400−3000、けん化度95〜100モル%であることがより好ましく、重合度700−2000、けん化度98〜100モル%であることがさらに好ましい。重合度が200未満では皮膜強度が不足し、5000以上では粘度が高くなり作業性が悪くなる。けん化度90モル%未満では皮膜に耐水性が不足する。炭素数20以下のα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、イソブチレンが生産性の点で好ましい。エチレン変性度(α−オレフィン単位の含有量)は、0.1〜20モル%であり、好ましくは2〜15モル%、より好ましくは3〜10モル%である。α−オレフィン単位が0.1モル%未満の場合は変性の効果が発現せず、20モル%を超えると重合度にもよるが、水溶性が損なわれる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂はα―オレフィンを含有するが、α―オレフィンとしては公知のものが用いられ、例えば、エチレンが挙げられる。
ポリビニルアセタール系樹脂は、ガラス転移温度が70℃以上103℃以下であることが必要である。ガラス転移温度は、好ましくは80℃以上である。ガラス転移温度が70℃より低い場合、糊のようにネチャっとなり、アルカリ洗浄においてPETフレークや撹拌装置等に付着するため回収性が損なわれ、また、103℃を超えると、耐水性が低下する。
水酸基含有量は、18重量%以下であり、好ましくは17重量%以下、より好ましくは16重量%以下である。水酸基含有量が18重量%を超える場合、回収性が損なわれる。
ポリビニルアセタール系樹脂は、公知の方法で製造される。本発明に適したポリビニルアセタールは、ポリビニルブチラール(本明細書中、PVBと略す。)、ポリビニルアセチル-ブチラール共重合体、2種以上のポリビニルブチラール、ポリビニルアセチル-ブチラール共重合体のブレンド物等からなる群から適宜選択されるが、ガラス転移温度が70℃以上103℃以下、水酸基含有量が18重量%以下であればアセタールの種類に制限はない。
プリフォームの表面の接着性を向上させる目的で、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理等が好適に用いられる。
ブルックフィールド粘度計を用い、20℃における粘度を測定した。
常法により測定した。
NMRを用いて測定した。
1.5%NaOH水溶液を90℃に加熱し、各種樹脂10gを投入して目視により完溶時間を測定した。
常法により測定した。
DSCを用いて測定した。
ポリビニルアルコール(PVA1とPVA2)の物性を以下の表1に示す。
ポリビニルブチラール(PVB1〜PVB11)の物性を以下の表2に示す。
表2中、BAは、ブチルアルデヒド単位、AAは、アセトアルデヒド単位、そしてISO-BAは、イソブチルアルデヒド単位を表す。ポリビニルブチラールは、ポリビニルアルコールとBAのアセタール反応により製造され、反応に供するBAを、BAの構造異性体であるISO-BAで一部置き換えることにより種々のPVBを調製した。一般に、PVBの構造が小さくなれば、分子鎖の動くスペースが小さくなるため、ガラス転移温度(Tg)が上昇する。
500ml用PETボトル用プリフォーム(15g)に、表1に示すポリビニルアルコール系樹脂をディップコートにより塗布した。ポリビニルアルコール系樹脂を水/イソプロピルアルコール=9/1溶媒に溶解して濃度10重量%溶液を調製した。
室温でプリフォームを各種ポリビニルアルコール系樹脂溶液に浸漬(ディップ)し、50℃で1〜3時間乾燥して、ポリビニルアルコール系樹脂が塗布されたプリフォームを得た。塗布されたポリビニルアルコール系樹脂の重量、及び膜厚は以下の表3に示すとおりであった。
次に、ポリビニルアルコール系樹脂を塗布したプリフォームに、参考例2で調製したポリビニルアセタール系樹脂を塗布した。ポリビニルアセタール系樹脂をエタノール/水=90/10溶媒に溶解して濃度10重量%溶液を調製した。
室温でポリビニルアルコール系樹脂を塗布したプリフォームに各種ポリビニルアセタール系樹脂をディップし、50℃で1〜3時間乾燥して、ポリビニルアセタール系樹脂を塗布したプリフォームを得た。塗布されたポリビニルアセタール系樹脂の重量、及び膜厚は以下の表3に示すとおりであった。
ポリビニルアルコール系樹脂とポリビニルアセタール系樹脂を積層して塗布したプリフォームを、ブロー成型によりPETボトル(容量500ml)を得た。
酸素透過率測定装置OX-TRAN2/61(Mocon社製)を使用した。測定環境としては、PETボトル内部をドライとし、PETボトル外部を23℃50%とした。酸素透過率(cc/pkg/日)に応じて以下の評価基準に従ってガスバリア性を評価した:
AA:0〜0.025(cc/pkg/日)
A:0.025〜0.05(cc/pkg/日)
B:005〜0.075(cc/pkg/日)
C0.075〜0.1(cc/pkg/日)
結果を以下の表3に示す。
水槽に水道水を入れ、得られたPETボトルを水槽に浸漬し、24時間後に水槽から取り出し、以下の評価基準に従い外観を評価した:
AA:指で擦っても全く剥がれない
A:指で強く擦ると剥がれる
B:指で軽く擦ると剥がれる
C:何もしないでも剥がれる
結果を以下の表4に示す。
得られた500mlPETボトルをハサミで切断して8mm×8mmのフレームを作製した。これをビーカー内の90℃1.5重量%の水酸化ナトリウム溶液に浸漬し、100〜200rpmで撹拌しながら、15分間洗浄し、空気を巻き込んで水酸化ナトリウム溶液に浮遊したPVB塊を回収した。但し、撹拌翼に付着したPVBは回収できないと見なして浮遊PVBから除外した。また、回収したPVB塊に付着したアルカリ溶液を洗い流し、その後水分を、100℃で1時間乾燥させ、PVBの乾燥重量を測定した。回収率を以下の式により求めた:
PVB回収率(%)=回収したPVBの重量(g)/PVB塗布重量(g)×100
以下の評価基準に従い、回収性を評価した:
A:50〜100%
B:25〜50%
C:0〜25%
結果を以下の表5に示す。
Claims (2)
- α―オレフィン単位を0.1〜20モル%含有し、重合度が200〜5000であり、けん化度が90〜100モル%であり、かつ、90℃の1.5%アルカリ水溶液中で15分以内に溶解するポリビニルアルコール系樹脂からなる層と、ガラス転移温度が70℃以上103℃以下であり、かつ、水酸基含有量が18重量%以下であるポリビニルアセタール系樹脂からなる層が積層されたガスバリアコーティング樹脂積層体。
- 請求項1に記載のガスバリアコーティング樹脂組成物を外表面に有するPETボトル。
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