JP6032703B2 - 音響信号処理装置及び音響信号処理方法 - Google Patents

音響信号処理装置及び音響信号処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えばデジタルオーディオ機器や携帯電話端末装置等に使用して好適な音響信号処理装置及び音響信号処理方法に関する。
近年、ノートパソコン用の機能拡張ユニットであるドッキングステーションや、スマートフォンと称される多機能携帯電話端末、携帯電話端末等の筐体に、スピーカを内蔵させることが行われている。このような小型の筐体に内蔵されるスピーカは、おのずとそのサイズも小さくなってしまう。しかし、スピーカが小型化すると、十分な低音感を得ることが難しくなるという状況が発生する。また、MP3(MPEG Audio Layer-3)等の圧縮技術を用いた圧縮が行われることによっても、低音域の周波数が失われることが知られており、このような場合にも、十分な低音感を得ることが困難となる。
例えば特許文献1には、スピーカが再生可能な最低周波数以下の低音成分から高調波成分を生成し、その高調波成分を原音に加算することで、その高調波成分によって低音成分が聴こえるように錯覚させる技術が記載されている。この技術は、“Missing fundamental(失われた基底音)”と称される現象を利用している。“Missing fundamental”とは、ある音から基本周波数を含む周波数域を取り除いた場合でも、元の音と同じ音高として認識してしまう現象である。この現象は、脳が音高を基本周波数だけでなく、倍音の比率も援用して音を知覚しているために起こることが知られている。
また、近年では、音声データを、インターネット等のネットワークを介して配信したり、ポータブルの音声再生装置や携帯端末装置に記録したりして利用することが盛んになっている。このように、ネットワークで配信されたり記録媒体に記録されたりする音声データでは、帯域が過度に広くなることによるデータ量の増大や占有帯域幅の広がりを避けるため、一般に、供給する対象の音楽等のうち一定の周波数以上の成分が除去される。例えば、MP3(MPEG1 audio layer 3)形式の音声データでは、約16キロヘルツ以上の周波数成分が除去されて、ATRAC3(Adaptive TRansformAcoustic Coding 3)形式の音声データでは、約14キロヘルツ以上の周波数成分が除去される。このように高域の周波数成分が完全に除去された信号では、音質が微妙に変化し、オリジナルの音楽等に比べて音質が劣化してしまう。
例えば特許文献2には、ホワイトノイズ発生器からの信号の高域成分の抽出を行って原信号に加算することによって、高域信号の補間を行う技術が記載されている。
特開2005−318598号公報 特開平2−311006号公報
特許文献1に記載の低域補間技術では、スピーカが再生可能な最低周波数以下の低音成分をピークホールド及び整流することで低音成分の倍音を生成し、生成した倍音を原信号に加算することにより、低域信号の補間を行っている。しかし、特許文献1に記載の技術では、入力信号が正から負、又は負から正に遷移するタイミングで、ホールドされているピーク値がリセットされる。ホールドされたピーク値がリセットされる瞬間には高調波が大きく発生するため、この部分の波形は、原信号の波形と大きく乖離したものとなる。そして、このように原信号の波形と異なる波形を有する倍音が原信号に加算された場合には、再生される音響信号の音質が劣化してしまう。
また、特許文献2に記載の高域補間技術では、ホワイトノイズ発生器でされた信号から高域成分を抽出しているため、抽出された高域成分は、原信号と相関のない信号となってしまう。したがって、補間後の音響信号の音質が、原信号の音質と比較して劣化してしまう。
本発明は、上記状況を鑑みなされたものであり、良好な音響信号の補間を行えるようにすることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の音響信号処理装置は、歪波形生成部と、高調波抽出部と、加算器とを備える構成とする。そして、歪波形生成部では、入力端子に供給される原信号の波形の傾斜が上向きである期間は原信号の波形に追従する信号を出力し、原信号の波形の傾斜が下向きである期間は、原信号のうちの所定の高い周波数を含まない信号を出力することにより歪波形を生成する。高調波抽出部では、歪波形生成部で生成された歪波形から所定の周波数帯域の信号を前記原信号の高調波として抽出する。加算器では、高調波抽出部で取り出された高調波を、入力端子に供給される原信号に加算する。
また、本発明の音響信号処理方法は、まず、入力端子に供給される原信号の波形の傾斜が上向きである期間は原信号の波形に追従する信号を出力し、原信号の波形の傾斜が下向きである期間は、原信号のうちの所定の高い周波数を含まない信号を出力することによって歪波形を生成する。続いて、歪波形から所定周波数帯域の信号を原信号の高調波として抽出する。そして、抽出された高調波を、入力端子に供給される原信号に加算する。
以上のように音響信号処理装置を構成し、音響信号処理を行うことで、原信号の波形の傾きに応じた波形を有する歪波形から、所定周波数帯域の信号が原信号の高調波として抽出される。すなわち、抽出される高調波も、原信号の波形に応じた波形を有するものとなる。そして、このような高調波が原信号に加算されることにより、補間が行われた音響信号の音質が、原信号に近い、より自然で良好なものとなる。
本発明の音響信号処理装置及び音響信号処理方法によれば、良好な音響信号の補間を行えるようになる。
本発明の一実施の形態例による音響信号処理装置の構成例を示すブロック図である。 本発明の一実施の形態例による歪波形生成部によって生成された歪波形を、入力信号の波形に重畳して示したグラフである。 本発明の一実施の形態例によるBPFを通過した信号の波形を入力信号の波形に重畳して示したグラフである。 本発明の一実施の形態例による歪波形生成部の構成例を示すブロック図である。 本発明の一実施の形態例による歪波形生成部の構成例を示すブロック図であり、図5AはLPFとして動作時の構成例を示し、図5BはAPFとして動作時の構成例を示す。 ヒルベルト変換を用いて検出されたエンベロープを、入力信号の波形に重畳して示したグラフである。 本発明の一実施の形態例による歪波形生成部で生成された歪波形を、入力信号の波形に重畳して示したグラフである。 本発明の一実施の形態例による歪波形生成部で生成された歪波形を、入力信号の波形に重畳して示したグラフである。
本開示の一実施形態に係る受信装置の一例を、図面を参照しながら下記の順で説明する。ただし、本開示は下記の例に限定されない。
[1.音響信号処理装置の構成例]
まず、本開示の一実施形態例に係る音響信号処理装置について、図1を参照して説明する。図1は音響信号処理装置10の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、本実施の形態例の音響信号処理装置10は、入力端子1と、歪波形生成部2と、高調波抽出部としてのバンドパスフィルタ(以下、「BPF」と称する)3と、遅延回路4と、加算器5と、出力端子6とからなる。
図1において、入力端子1には、例えばMP3やATRAC3のような圧縮処理を伴う機器から再生されたデジタルの音響信号が、原信号として供給される。この入力端子1に供給された原信号は、歪波形生成部2、及び遅延回路4に供給される。歪波形生成部2は、入力される原信号の波形の傾斜が上向きのときにはオールパスフィルタ(以下、「APF」と称する)として動作し、下向きの時にはローパスフィルタ(以下、「LPF」と称する)として動作することにより、包絡状の波形を含んだ歪波形を生成する。なお、歪波形生成部2は、例えばDSP(Digital Signal Processor)等で構成することができ、ソフトウェア上で音響信号の歪波形を生成することができる。
BPF3は、歪波形生成部2から入力される包絡状の波形を含んだ歪波形から、所定の周波数帯域の信号を抽出して、加算器5に供給する。BPF3の通過帯域は、補間したい対象の周波数に応じた値に設定することができる。例えば、低域の周波数を補間する場合、スピーカの最低再生周波数から2倍あるいは3倍までの帯域を設定することで、BPF3によって、補間したい対象となる低域信号の高調波のみを取り出すことが可能となる。高域の周波数を補間する場合は、圧縮処理等によってカットされた周波数から、ナイキスト周波数の手前までの帯域を設定することで、補間したい対象となる高域信号の高調波のみを取り出すことが可能となる。なお、高域の周波数を補間する場合は、BPF3はHPF(ハイパスフィルタ)であってもよい。この場合は、圧縮処理等によってカットされた周波数より高い周波数域の高調波のみを取り出すことが可能となる。
図2に、歪波形生成部2で生成される歪波形の一波形例を示す。図2中の実線で示す波形が入力端子1から入力される原信号の波形(入力波形)であり、破線で示す波形が歪波形生成部2で生成される歪波形(出力波形)である。図2の横軸は時間を示し、縦軸は信号の振幅のレベルを示す。例えば、図2に「区間P1」として示した区間では、実線で示した原信号の大きさが時間に伴って増加しており、その波形の傾きは上向きとなっている。したがって、歪波形生成部2はAPFとして動作する。これにより、歪波形生成部2からは、入力される原信号の波形に追従した波形が出力される。
一方、「P2」として示した区間では、実線で示した原信号の大きさが時間に伴って減少しており、その波形の傾きは下向きとなっている。したがって、歪波形生成部2はLPFとして動作する。これにより、歪波形生成部2からは、入力される原信号のうちの、所定の高周波成分がカットされた信号が出力される。LPFを通して得られる波形は、原信号の波形の傾きよりも緩やかな傾きで下降する。
このような処理が行われることにより、APFが適用される区間P1から、LPFが適用される区間P2に切り替わった時点で、歪波形生成部2で生成される歪波形の傾きが変化する。APFが適用される区間P1とLPFが適用される区間P2を足した区間は、入力信号の周波数の1周期分とほぼ一致するため、この波形の傾きの変化方向で、異なった伝達特性を施された信号が生成され原信号の高調波が発生する。つまり、本実施の形態例では、入力される原信号の波形の傾斜に応じてAPFとLPFとを切り換えることで、入力信号の波形の歪波を生成し、入力信号の高調波を発生させている。
従来のように、入力信号を絶対値回路にかけて歪ませたり、特許文献1に記載されるように保持したピーク値をゼロクロス点でリセットする処理を行う場合には、生成されるひずみ波と入力信号の波形との相関が低くなってしまう。これに対して、本実施の形態例では、APFとLPFとを切り換えることでひずみ波を生成させているため、生成されるひずみ波は、入力信号に応じた周波数応答を示したものとなる。
また、LPFが適用される区間P2においては、原信号の波形の傾きよりも緩やかな傾きの波形を有する包絡状の波形が生成される。すなわち、原信号に含まれる高周波成分が除去された波形が生成される。したがって、この区間では余分な高調波が生成されなくなるため、補間を行いたい対象の低い周波数の高調波を、容易に精度良く生成することが可能となる。
歪波形生成部2で生成されて、BPF3によって所定の高周波成分(音響信号の高調波以外の成分)が除去された信号は、加算器5によって原信号に加算され、出力端子6に出力される。出力端子6に出力される信号は、原信号に、原信号の高調波が重畳された信号となる。つまり、出力端子6からは、所定の帯域の信号が補間された信号が出力される。
図3は、BPF3を通過後の信号と、入力端子1に入力される原信号を一緒に表示したグラフである。図3中の細線で示す波形が入力端子1から入力される原信号の波形であり、太線で示す波形がBPF3を通過した信号の波形である。図3の横軸は周波数(Hz)を示し、縦軸は信号の大きさ(dB)を示す。細線で示す入力信号においては、0Hzから100Hzまでの間は−30dBから−80dBである大きさが、100Hz以上では急激に減少し−130dB程度に下がっている。すなわち、入力信号は100MHz以上の周波数の信号がカットされた音源であることが分かる。また、100Hzから200Hzの間では、歪波形生成部2で生成された高調波信号からBPF3で取り出した帯域の周波数が出力されている。
そして、加算器5によってこの2つの信号が加算されることにより、入力信号は太い線と細い線を合成する事になり、100Hzから200Hzまでの帯域の信号が追加され生成される。すなわち、この部分が強調された信号である。入力信号は、図3に細線で示したように100Hzまでの音源であり、例えば100Hz以下を再生できないスピーカであれば、その音を聴くことはできない。しかし、図3に太線で示すBPF3の出力(100Hzから200Hzの高調波)を追加(加算)することによりスピーカで音を聴くことが可能となる。
特に高域補間においては、入力信号の振幅の変化が激しい箇所を補間によって強調することで、生成される音声がより自然なものとなることが知られており、本実施の形態例によれば、高域補間も良好に行うことが可能となる。また、本実施の形態例では、入力信号の波形の傾きが変化する箇所からはLPFが機能するため、生成される歪波形はその変化点を境に緩やかな下向きの包絡状の波形になる。これにより、ピークホールドにより矩形波を得る場合のように、得られる高調波が奇数倍に限定されなくなる。すなわち、2倍、3倍、4倍等の細かい倍数の高調波も得ることが可能となるため、よりきめ細かい音が得られるようになる。
[2.歪波形生成部の構成及び処理の例]
続いて、本実施の形態例による歪波形生成部2の構成及び処理の例について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、歪波形生成部2の構成例を示すブロック図である。本実施の形態例では、歪波形生成部2を、1次のIIRフィルタで構成している。なお、IIRフィルタの次数は1次に限定されるものではなく、2次等の他の次数で校正してもよい。歪波形生成部2は、第1の加算器としての加算器21と、第1の乗算器としての乗算器22と、第2の乗算器としての乗算器23と、遅延素子24と、第3の乗算器としての乗算器25と、第4の乗算器としての乗算器26とを有する。また、歪波形生成部2は、第2の加算器としての加算器27と、比較器28と、選択部29とを有する。
加算器21は、歪波形生成部2に入力される値Xの入力信号と、第1の係数としての係数a1が設定された乗算器22からの出力信号を加算して出力する。乗算器23は、入力信号にc1を乗算した信号を、遅延素子24、及び/又は乗算器22と乗算器26に供給する。遅延素子24は、入力された信号に1周期分の遅延を加えて出力する。遅延素子24には、加算器21から出力された信号、又は乗算器23から出力された信号が入力される。
選択部29は、遅延素子24に入力させる信号を切り換えるスイッチ291と、乗算器22及び乗算器26に入力させる信号を切り換えるスイッチ292とよりなる。スイッチ291は、乗算器23から出力される信号の伝送ラインに接続された接点C1aと、加算器21から出力される信号の伝送ラインと接続された接点C1bと、遅延素子24に接続された共通接点C1cとを有する。スイッチ292は、乗算器23から出力される信号の伝送ラインに接続された接点C2aと、遅延素子24に接続された接点C2bと、乗算器22と乗算器26に信号を供給する伝送ラインに接続された共通接点C2cとを有する。
乗算器22は、入力された信号に係数a1を乗算して加算器21に出力する。乗算器26は、入力された信号に係数b1を乗算して加算器27に出力する。乗算器25は、加算器21の出力先に設けられており、加算器21から出力された信号に係数b1を乗算して加算器27に出力する。加算器27は、乗算器25から出力された信号と乗算器26から出力された信号とを加算して、出力信号Yとして出力するとともに、出力信号Yを比較器28にも入力する。
比較器28は、入力信号の値Xと出力信号の値Yとを比較し、比較結果に応じて選択部29の選択先を切り換える。より詳細には、X≧Yの場合は、スイッチ291の共通接点C1cを接点C1aに接続させ、スイッチ292の共通接点C2cを接点C2aに接続させる。すなわち、遅延素子24に入力させる信号として、乗算器23から出力された信号を選択するとともに、乗算器22及び乗算器26に入力させる信号として、乗算器23から出力された信号を選択する。一方、X<Yの場合は、スイッチ292の共通接点C1cを接点C1bに接続させ、スイッチ292の共通接点C2cを接点C2bに接続させる。すなわち、遅延素子24に入力させる信号として、加算器21から出力された信号を選択するとともに、乗算器22及び乗算器26に入力させる信号として、遅延素子24から出力された信号を選択する。
図5は、比較器28の比較結果に応じて切り替わる歪波形生成部2の機能を、分かりやすく説明するための図である。図5において、図4と対応する箇所には同一の符号を付してあり、重複する説明は省略する。図5Aは、X≧Yの場合に動作するフィルタの構成を示し、図5Bは、X<Yの場合に動作するフィルタの構成を示す。
図5Aに示す構成は、一般的な1次のIIRフィルタ(LPF)の構成と同一である。ここで、係数a1,b1は一般的な変換、例えばSZ変換によりLPFのカットオフ周波数から計算される値である。遅延素子24には、初回は入力信号の値Xが保持され、それ以降は、遅延素子24で遅延が加えられて係数a1が乗算された入力信号Xと、入力信号Xとを加算した値が保持される。遅延素子24で遅延が加えられた信号を“d”とすると、このLPFからの出力信号Yは、以下の式1で算出することができる。
Y=(X+d×係数a1)×係数b1+d×係数b1…式1
すなわち、X<Yの場合、つまり、歪波形生成部2に入力される原信号の波形の傾斜が下向きの場合には、係数a1と係数b1の値によって定まるフィルタ特性に応じて、所定の高周波成分がカットされる。
これに対して、図5Bに示す、X≧Yの場合に動作するフィルタの構成では、乗算器22及び乗算器26と、遅延素子24に対して、乗算器23によって入力信号Xに係数c1が乗算された値が供給される。つまり、上記式1に示す“d”に、X×係数c1が代入される。以下の式2は、式1の“d”の箇所を“d”を使わずに示した式である。
Y=(X+X×係数c1×係数a1)×係数b1+係数c1×係数b1…式2
ここで、X=Yとおくと、係数c1は以下の式3で表される。
係数c1=(1−係数b1)/(係数a1×係数b1+係数b1)…式3
すなわち、歪波形生成部2を図5に示すように構成し、係数c1を式3に示す値に設定することで、出力信号Yを入力信号Xに追従させることが可能となる。つまり、歪波形生成部2をAPFとして機能させることができる。
また、乗算器23で乗算が行われる都度、その結果の値を遅延素子24に入力することで、遅延素子24にその時点の値が保持される。これにより、アナログ回路のLPFにおける、コンデンサに電圧をチャージする機能が実現される。
歪波形生成部2をこのように構成し、演算を行うことにより、非常に単純な計算で、かつ4回程度の非常に少ない乗算回数で出力信号Yを得ることが可能となる。
また、本実施の形態例では、上述したように、入力信号の値Xが出力信号の値Yに等しいか大きい(X≧Y)場合にはAPFが適用され、入力信号の値Xが出力信号の値Yより小さい(X<Y)場合にはLPFが適用される。これにより、入力信号の波形の傾きが上向きの場合には入力信号の波形に追従した波形が出力され、下向きの場合に緩やかな下向きの包絡状の波形になる。すなわち、入力信号の波形に応じた波形を有する歪波形が生成される。
ここで、他の手法で入力信号の波形に応じた波形を有する歪波形を生成する場合と、本実施の形態例による手法で歪波形を生成する場合とを比較する。他の手法としては、ピークホールド処理によって入力信号の歪波形を検出する例を検討してみる。ピークホールド処理をデジタル信号処理で実現する手段としては、一般に「ヒルベルト変換」がよく知られている。
図6は、ヒルベルト変換を用いて検出された入力信号の歪波形を、入力信号の波形に重畳して示した図である。図6中の実線で示す波形が入力信号の波形(入力波形)であり、破線で示す波形が生成された歪波形の波形(出力波形)である。図6の横軸は時間を示し、縦軸は信号の振幅のレベルを示す。
図6に示すように、ヒルベルト変換を用いて生成された歪波形は、入力信号の高い周波数成分にも追従していることが分かる。この高い周波数成分の中には、音響信号の補間には必要のない成分も含まれており、このような不要な高周波成分を用いて音響信号の補間を行った場合には、その部分が異音として認知される。すなわち、再生される音声の音質が劣化してしまうことになる。
一方、図7に示すように、本実施の形態例による手法で検出された歪波形においては、下向きの包絡線が出力される区間では、楕円で囲った部分に現れているような高い周波数成分が除去される。これにより、音響信号の補間の対象に余分な高い周波数成分が含まれてしまうことがなくなり、音響信号の補間に必要な高調波のみを容易に効率よく取り出せるようになる。
また、本実施の形態例では、入力信号の波形の傾きに応じてAPFとLPFを切り替えることによって、異なった伝達特性のフィルタを交互に施した信号を生成している。よって、この波形が下向きの場合、包絡している箇所においても、入力信号の波形に応じた周波数応答を示した歪波形が出力される。例えば、図7において破線の楕円で囲った2つの箇所においては、対応する入力信号の振幅が増大していることを受けて、歪波形もそれと連動した波形となっていることが分かる。
なお、図7は入力信号の周波数が低い場合の歪波形を示したグラフであるが、高い周波数の入力信号が入力された場合にも、入力信号の波形に応じた周波数応答を示した歪波形が出力される。図8に、高い周波数の入力信号から生成した歪波形(出力波形)を入力信号の波形(入力波形)に重畳して示した図を示す。図8中の実線で示す波形が入力端子1から入力される原信号の波形(入力波形)であり、破線で示す波形が歪波形生成部2で生成される歪波形(出力波形)である。図2の横軸は時間を示し、縦軸は信号の振幅のレベルを示す。図8に示す、高い周波数を有する信号を処理する場合の例においても、入力信号の値が増加している区間では入力信号に追従し、入力信号の値が減少する区間では緩やかに下向きに包絡する歪波形が生成されることが分かる。
上述した本実施の形態例によれば、入力信号の波形の傾きに応じてAPFとLPFを切り替えるという単純な手法で、入力信号の高調波を生成することができる。このとき生成される高調波は、入力信号にフィルタを通して得られるものであるため、入力信号に応じた周波数応答を示したものとなる。したがって、このようにして生成された高調波から抽出された信号が原信号に加算されることで、より自然な音響信号の補間が実現される。
また、上述した本実施の形態例によれば、下向きの包絡線が出力される区間では、原信号が有する高い周波数成分が除去されるため、音響信号の補間の対象に余分な高い周波数成分が含まれてしまうことがなくなる。すなわち、音響信号の補間に必要な高調波のみを容易に効率よく取り出せるようになる。
また、上述した本実施の形態例によれば、一次のIIRフィルタを用いた非常に簡単なロジックで入力信号の歪波形を生成することができるため、演算量を4回程度の非常に少ない量とすることができる。これに対して、例えば、上述したヒルベルト変換によって入力信号の歪波形を検出する場合には、本発明で得られる結果と同様の結果を得るためには、約80次の演算が必要となる。ヒルベルト変換が、FIRフィルタをベースとしたフィルタであるためである。
このため、特に小型の機器において、処理回路(CPU)を同機器が行う他の機能(映像表示等)と併用する場合などに、処理回路の負荷が増大する問題が生じる。また、処理回路の負荷が増大することで、消費電力も増大してしまう。さらに、このような問題を解消するための対策を講じることで、製造コストも増大する。本実施の形態例によれば、非常に少ない演算量で音響信号補間用の高調波を生成できるため、製造コスト及び消費電力の削減が可能となり、組み込み機器等への搭載も行い易くなる。
なお、本実施の形態例のように歪波形生成部2をDSPで構成した場合には、上述した歪波形の生成処理はソフトウェア上で実現することができるが、本発明は、これに限定されない。上述した歪波形の各算出工程の処理回路をハードウェア(アナログ回路)で構成してもよい。
1…入力端子、2…歪波形生成部、3…バンドパスフィルタ(BPF)、4…遅延回路、5…加算器、6…出力端子、10…音響信号処理装置、21…加算器、22,23…乗算器、24…遅延素子、25,26…乗算器、27…加算器、28…比較器、29…選択部

Claims (7)

  1. 入力端子に供給される原信号の波形の傾斜が上向きである期間は前記原信号の波形に追従する波形を出力し、前記原信号の波形の傾斜が下向きである期間は、前記原信号のうちの所定の高い周波数を含まない信号による波形を出力することによって、歪波形を生成する歪波形生成部と、
    前記歪波形生成部で生成された歪波形から所定の周波数帯域の信号を前記原信号の高調波として抽出する高調波抽出部と、
    前記高調波抽出部で取り出された前記高調波を、前記入力端子に供給される原信号に加算する加算器とを有する
    音響信号処理装置。
  2. 前記歪波形生成部は、
    オールパスフィルタとローパスフィルタの両方のフィルタ特性を備える
    請求項1に記載の音響信号処理装置。
  3. 前記ローパスフィルタは、IIRフィルタで構成される
    請求項2に記載の音響信号処理装置。
  4. 前記オールパスフィルタは、前記IIRフィルタに、前記歪波形生成部からの出力信号の値を前記歪波形生成部への入力信号の値に追従させる係数が設定された乗算器を足して構成される
    請求項3に記載の音響信号処理装置。
  5. 前記歪波形生成部は、
    当該歪波形生成部に入力される入力信号と、入力される信号に第1の係数を乗算する第1の乗算器から出力された信号とを加算する第1の加算器と、
    当該歪波形生成部に入力される入力信号に第2の係数を乗算する第2の乗算器と、
    前記第2の乗算器から出力された信号、又は前記第1の加算器から出力された信号に所定の遅延を加える遅延素子と、
    前記第1の加算器から出力された信号に第3の係数を乗算する第3の乗算器と、
    前記第1の加算器から出力されて前記遅延素子によって遅延が加えられた信号、又は前記第2の乗算器から出力された信号に第3の係数を乗算する第4の乗算器と、
    第4の乗算器から出力された信号と、前記第3の乗算器から出力された信号とを加算する第2の加算器と
    前記第2の加算器から出力された出力信号の値と、当該歪波形生成部に入力される入力信号の値とを比較する比較器と、
    前記遅延素子から出力された信号と、前記第2の乗算器から出力された信号のうちいずれか一方の信号を選択して、前記第1の乗算器と、前記第4の乗算器の両方に出力する選択部とを備える
    請求項3に記載の音響信号処理装置。
  6. 前記比較器によって前記入力信号の値が前記出力信号の値以上であると判定された場合は、前記第2の乗算器から出力された信号を前記選択部が選択され、前記第2の乗算器から出力された信号が前記遅延素子に記憶され、前記比較器によって前記入力信号の値が前記出力信号の値より未満であると判定された場合は、前記選択部によって、前記遅延素子から出力された信号が選択され、
    前記第2の乗算器に設定される前記第2の係数は、以下の式で表される
    第2の係数=(1−第3の係数)/(第1の係数×第3の係数+第3の係数)
    請求項3に記載の音響信号処理装置。
  7. 入力端子に供給される原信号の波形の傾斜が上向きである期間は前記原信号の波形に追従する波形を出力し、前記原信号の波形の傾斜が下向きである期間は、前記原信号のうちの所定の高い周波数を含まない信号による波形を出力することによって、歪波形を生成するステップと、
    前記歪波形から所定周波数帯域の信号を抽出するステップと、
    前記抽出された信号を、前記入力端子に供給される原信号に加算するステップとを含む
    音響信号処理方法。
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