JP6031846B2 - 封着材料層付きガラス基板及びこれを用いた有機elデバイス - Google Patents

封着材料層付きガラス基板及びこれを用いた有機elデバイス Download PDF

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Description

本発明は、封着材料層付きガラス基板及びこれを用いた有機ELデバイスに関し、具体的にはレーザーによる封着処理(以下、レーザー封着)に好適な封着材料層付きガラス基板及びこれを用いた有機ELデバイスに関する。
近年、フラットディスプレイパネルとして、有機ELディスプレイが注目されている。有機ELディスプレイは、直流電圧で駆動できるため駆動回路を簡略化できると共に、液晶ディスプレイのように視野角依存性がなく、また自己発光のため明るく、更には応答速度が速い等の利点がある。現在、有機ELディスプレイは、主に携帯電話等の小型携帯機器に利用されているが、今後は超薄型テレビへの応用が期待されている。なお、有機ELディスプレイは、液晶ディスプレイと同様にして、薄膜トランジスタ(TFT)等のアクティブ素子を各画素に配置して、駆動させる方式が主流である。
有機ELディスプレイは、2枚のガラス基板、金属等の陰電極、有機発光層、ITO等の陽電極、接着材料等で構成される。従来、接着材料として、低温硬化性を有するエポキシ樹脂、或いは紫外線硬化樹脂等の有機樹脂系接着材料が使用されてきた。しかし、有機樹脂系接着材料では、気体の侵入を完全に遮断できない。このため、有機樹脂系接着材料を用いると、有機ELディスプレイ内部の気密性を保持することができず、これに起因して、耐水性が低い有機発光層が劣化し易くなって、有機ELディスプレイの表示特性が経時的に劣化するという不具合が生じていた。また、有機樹脂系接着材料は、ガラス基板同士を低温で接着できる利点を有するものの、耐水性が低いため、有機ELディスプレイを長期に亘って使用した場合に、ディスプレイの信頼性が低下し易くなる。
一方、ガラス粉末を含む封着材料は、有機樹脂系接着材料に比べて、耐水性に優れると共に、有機ELディスプレイ内部の気密性の確保に適している。
しかし、ガラス粉末は、一般的に、軟化温度が300℃以上であるため、有機ELディスプレイへの適用が困難であった。具体的に説明すると、上記の封着材料でガラス基板同士を封着する場合、電気炉に有機ELディスプレイ全体を投入して、ガラス粉末の軟化温度以上の温度で焼成し、ガラス粉末を軟化流動させる必要があった。しかし、有機ELディスプレイに用いられるアクティブ素子は、120〜130℃程度の耐熱性しか有していないため、この方法でガラス基板同士を封着すると、アクティブ素子が熱により損傷して、有機ELディスプレイの表示特性が劣化してしまう。また、有機発光材料も耐熱性が乏しいため、この方法でガラス基板同士を封着すると、有機発光材料が熱により損傷して、有機ELディスプレイの表示特性が劣化してしまう。
米国特許第6416375号明細書 特開2006−315902号公報
このような事情に鑑み、近年、有機ELディスプレイを封着する方法として、レーザー封着が検討されている。レーザー封着によれば、封着すべき部分のみを局所加熱できるため、アクティブ素子等の熱劣化を防止した上で、ガラス基板同士を封着することができる。
特許文献1、2には、フィールドエミッションディスプレイのガラス基板同士をレーザー封着することが記載されている。しかし、特許文献1、2には具体的な材料構成、封着材料層(焼成膜)の状態について記載がなく、どのような材料構成、封着材料層の状態がレーザー封着に好適であるのか不明であった。なお、レーザーの出力を上げると、材料構成、封着材料層の状態を適正化しなくても、レーザー封着が可能になるが、この場合、アクティブ素子等が加熱されて、有機ELディスプレイの表示特性が劣化する虞がある。
そこで、本発明は、レーザー封着に好適な封着材料層付きガラス基板を創案することにより、有機ELディスプレイ等の信頼性を高めることを技術的課題とする。
本発明者等は、鋭意検討の結果、少なくとも無機粉末を含む封着材料を用い、無機粉末中の耐火性フィラーの含有量を所定範囲に規制すると共に、封着材料層の表面平滑性を高めることにより、上記技術的課題を解決し得ることを見出し、本発明として、提案するものである。すなわち、本発明の封着材料層付きガラス基板は、封着材料を焼結させた封着材料層を備える封着材料層付きガラス基板において、封着材料が少なくとも無機粉末を含み、無機粉末がガラス粉末と耐火性フィラーを含み、ガラス粉末が、ガラス組成として、下記酸化物換算のモル%表示でBi 20〜60%、B 10〜35%、ZnO 5〜17.5%、CuO+Fe 12.5〜30%を含有し、無機粉末中の耐火性フィラーの含有量が10〜35体積%であり、封着材料層の表面粗さRMSが1.0μm未満であり、且つ封着材料層の平均厚みが10μm未満であることを特徴とする。ここで、「無機粉末」は、顔料以外の無機材料粉末を指し、通常、ガラス粉末と耐火性フィラーの混合物を指す。「表面粗さRMS」は、非接触型レーザー膜厚計で測定した値を指す。「表面粗さRa」は、非接触型レーザー膜厚計で測定した値を指す。
本発明に係る封着材料は、無機粉末が、ガラス粉末と耐火性フィラーを含み、無機粉末中の耐火性フィラーの含有量が10〜35体積%である。耐火性フィラーの含有量を10体積%以上に規制すれば、封着材料層の熱膨張係数を低下できると共に、封着材料層の機械的強度を高めることができる。また、耐火性フィラーの含有量を35体積%以下に規制すれば、封着材料の軟化流動性が阻害され難くなり、封着材料層の表面平滑性を高め易くなる。
本発明に係る封着材料層は、表面粗さRaが0.5μm未満であるが好ましい。このようにすれば、ガラス基板同士の密着性が向上し、レーザー封着性が顕著に向上する。
発明の封着材料層付きガラス基板は、封着材料層の表面粗さRMSが1.0μm未満である。
発明の封着材料層付きガラス基板は、封着材料層の平均厚みが10μm未満である。
発明の封着材料層付きガラス基板は、封着材料層の表面が未研磨であることが好ましい。
発明の封着材料層付きガラス基板は、ガラス粉末がBi含有ガラス粉末である。このようにすれば、ガラス粉末の軟化点が低下し、封着材料の軟化点も低下する。また、Bi含有ガラス粉末は、耐水性や封着強度に優れるため、短時間でレーザー封着を完了させることが可能であり、また長期に亘り、封着強度を確保することができる。ここで、「Bi含有ガラス粉末」は、ガラス組成として、Biを10モル%以上含むガラス粉末を指す。
本発明の封着材料層付きガラス基板は、ガラス粉末が、ガラス組成として、下記酸化物換算のモル表示%でBi 20〜60%、B 10〜35%、ZnO 5〜17.5%、CuO+Fe 12.5〜30%を含有することが好ましい。このようにすれば、ガラスの低融点特性を維持した上で、ガラスの耐水性を高め易くなる。更に、封着強度を高め易くなる。ここで、「CuO+Fe」は、CuOとFeの合量を指す。
発明の封着材料層付きガラス基板は、耐火性フィラーの平均粒径D50が5μm以下であることが好ましい。このようにすれば、封着材料層の表面平滑性が向上するため、レーザー光を熱エネルギーに変換し易くなり、低出力、高速度でガラス基板をレーザー封着し易くなると共に、封着材料層の厚みを狭小化し易くなる。ここで、「平均粒径D50」は、レーザー回折法で測定した値を指し、レーザー回折法により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して50%である粒径を表す。
発明の封着材料層付きガラス基板は、耐火性フィラーの最大粒径D99が10μm未満であることが好ましい。このようにすれば、封着材料層の表面平滑性が向上するため、レーザー光を熱エネルギーに変換し易くなり、低出力、高速度でガラス基板をレーザー封着し易くなると共に、封着材料層の厚みを狭小化し易くなる。ここで、「最大粒径D99」は、レーザー回折法で測定した値を指し、レーザー回折法により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して99%である粒径を表す。
発明の封着材料層付きガラス基板は、耐火性フィラーが、コーディエライト、ジルコン、酸化錫、酸化ニオブ、リン酸ジルコニウム系セラミック、NbZr(POから選ばれる一種又は二種以上であることが好ましい。
発明の封着材料層付きガラス基板は、封着材料が更に顔料を含むことが好ましく、その顔料がカーボンであることが好ましい。このようにすれば、顔料により、レーザー光が熱エネルギーに変換されるため、レーザー封着性を高めることが可能になる。また、カーボンは、発色性に優れており、レーザー光の吸収性が良好である。
発明の封着材料層付きガラス基板は、封着材料中の顔料の含有量が0.2〜0.7質量%であることが好ましい。顔料の含有量を0.2質量%以上に規制にすれば、レーザー光を熱エネルギーに効率良く変換できるため、封着すべき部分のみを局所加熱し易くなり、結果として、アクティブ素子等の熱劣化を防止した上で、ガラス基板同士をレーザー封着し易くなる。一方、顔料の含有量を1質量%以下に規制すれば、レーザー照射時の過剰加熱を抑制できると共に、レーザー封着の際に、ガラスが失透する事態を防止し易くなる。
発明の封着材料層付きガラス基板は、有機ELデバイスの封着に用いることが好ましい。ここで、「有機ELデバイス」には、有機ELディスプレイ、有機EL照明等が含まれる。
発明の封着材料層付きガラス基板は、レーザー封着に用いることが好ましい。なお、上記の通り、レーザー封着によれば、封着すべき部分のみを局所加熱できるため、アクティブ素子等の熱劣化を防止した上で、ガラス基板同士を封着することができる。
レーザー封着には、種々のレーザーを使用することができる。特に、半導体レーザー、YAGレーザー、COレーザー、エキシマレーザー、赤外レーザー等は、取扱いが容易な点で好ましい。
発明の封着材料層付きガラス基板は、不活性雰囲気におけるレーザー封着に用いることが好ましい。ここで、「不活性雰囲気」には、Nガス雰囲気、Arガス雰囲気等の中性ガス雰囲気、真空雰囲気等の減圧雰囲気が含まれる。
発明に係る有機ELデバイスは、上記の封着材料層付きガラス基板を用いて、作製されてなることが好ましい
マクロ型DTA装置で測定したときの軟化点を示す模式図である。
本発明に係る無機粉末は、Bi 含有ガラス粉末と耐火性フィラーを含む。ガラス粉末、耐火性フィラーの好適な構成は下記の通りである。
Bi含有ガラス粉末は、ガラス組成として、下記酸化物換算のモル表示%で、Bi 20〜60%、B 10〜35%、ZnO 5〜17.5%、CuO+Fe 12.5〜30%を含有することが好ましい。上記のようにガラス組成範囲を限定した理由を以下に示す。なお、以下のガラス組成範囲の説明において、%表示は、特に断りがある場合を除き、モル%を指す。
Biは、軟化点を下げるための主要成分であり、その含有量は20〜60%、好ましくは25〜55%、より好ましくは30〜55%である。Biの含有量が20%より少ないと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。一方、Biの含有量が60%より多いと、ガラスが熱的に不安定になり、溶融時又はレーザー封着時にガラスが失透し易くなる。
は、ビスマス系ガラスのガラスネットワークを形成する成分であり、その含有量は10〜35%、好ましくは15〜30%、より好ましくは15〜28%である。Bの含有量が10%より少ないと、ガラスが熱的に不安定になり、溶融時又はレーザー封着時にガラスが失透し易くなる。一方、Bの含有量が35%より多いと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
ZnOは、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制すると共に、熱膨張係数を低下させる成分であり、その含有量は5〜17.5%である。ZnOの含有量が5%より少ないと、上記効果を得難くなる。一方、ZnOの含有量が多いと、ガラス組成内の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。
CuO+Feは、光吸収特性を有する成分であり、所定の発光中心波長を有するレーザー光を照射すると、レーザー光を吸収して、ガラスを軟化させ易くする成分である。また、CuO+Feは、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。CuO+Feの含有量は12.5〜30%、好ましくは12.5〜25%、より好ましくは12.5〜20%である。CuO+Feの含有量が少ないと、光吸収特性が乏しくなり、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。一方、CuO+Feの含有量が30%より多いと、ガラス組成内の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。
CuOは、光吸収特性を有する成分であり、所定の発光中心波長を有するレーザー光を照射すると、レーザー光を吸収して、ガラスを軟化させ易くする成分であると共に、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。CuOの含有量は、好ましくは0〜25%、5〜25%、10〜25%、特に10〜20%である。CuOの含有量が25%より多いと、ガラス組成内の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。なお、CuOの含有量を5%以上に規制すれば、光吸収特性が向上して、レーザー封着時にガラスが軟化し易くなる。
Feは、光吸収特性を有する成分であり、所定の発光中心波長を有するレーザー光を照射すると、レーザー光を吸収して、ガラスを軟化させ易くする成分であると共に、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。Feの含有量は、好ましくは0〜10%、0.1〜10%、0.2〜10%、特に0.5〜10%である。Feの含有量が10%より多いと、ガラス組成内の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。なお、Feの含有量を0.1%以上に規制すれば、光吸収特性が向上して、レーザー封着時にガラスが軟化し易くなる。
酸化鉄中のFeイオンは、Fe2+又はFe3+の状態で存在する。本発明において、酸化鉄中のFeイオンは、Fe2+又はFe3+の何れかに限定されるものではなく、何れであっても構わない。よって、本発明では、Fe2+の場合でも、Feに換算した上で取り扱うこととする。特に、照射光として赤外レーザーを使用する場合、Fe2+が赤外域に吸収ピークを有するため、Fe2+の割合は大きい方が好ましく、例えば、酸化鉄中のFe2+/Fe3+の割合を0.03以上(望ましくは0.08以上)に規制することが好ましい。
上記成分以外にも、例えば、以下の成分を添加してもよい。
SiOは、耐水性を高める成分である。SiOの含有量は、好ましくは0〜10%、特に0〜3%である。SiOの含有量が10%より多いと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
Alは、耐水性を高める成分である。Alの含有量は、好ましくは0〜5%、特に0〜2%である。Alの含有量が5%より多いと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
MgO+CaO+SrO+BaO(MgO、CaO、SrO及びBaOの合量)は、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分であり、MgO+CaO+SrO+BaOの含有量は、好ましくは0〜20%、特に0〜15%である。MgO+CaO+SrO+BaOの含有量が20%より多いと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
MgO、CaO及びSrOは、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。各成分の含有量は、好ましくは0〜5%、特に0〜2%である。各成分の含有量が5%より多いと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
BaOは、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。BaOの含有量は、好ましくは0〜15%、特に0〜10%である。BaOの含有量が15%より多いと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
CeO及びSbは、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。各成分の含有量は、好ましくは0〜5%、0〜2%、特に0〜1%である。各成分の含有量が5%より多いと、ガラス組成内の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。なお、熱的安定性を高める観点から、Sbの微量添加が好ましく、具体的にはSbを0.05%以上添加することが好ましい。
WOは、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。WOの含有量は、好ましくは0〜10%、特に0〜2%である。WOの含有量が10%より多いと、ガラス組成内の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。
In+Ga(InとGaの合量)は、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。In+Gaの含有量は、好ましくは0〜5%、特に0〜3%である。In+Gaの含有量が5%より多いと、バッチコストが高騰する。なお、Inの含有量は0〜1%がより好ましく、Gaの含有量は0〜0.5%がより好ましい。
Li、Na、K及びCsの酸化物は、軟化点を低下させる成分であるが、溶融時に失透を助長する作用を有するため、合量で1%未満に規制することが好ましい。
は、溶融時の失透を抑制する成分である。しかし、Pの含有量が1%より多いと、溶融時にガラスが分相し易くなる。
La、Y及びGdは、溶融時の分相を抑制する成分であるが、これらの合量が3%より多いと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
NiO、V、CoO、MoO、TiO及びMnOは、光吸収特性を有する成分であり、所定の発光中心波長を有するレーザー光を照射すると、レーザー光を吸収して、ガラスを軟化させ易くする成分である。各成分の含有量は、好ましくは0〜7%、特に0〜3%である。各成分の含有量が7%より多いと、レーザー封着時にガラスが失透し易くなる。
PbOは、軟化点を低下させる成分であるが、環境的影響が懸念される成分である。よって、PbOの含有量は、好ましくは0.1%未満である。
上記以外の成分であっても、ガラス特性を損なわない範囲で、例えば5%まで添加してもよい。
本発明に係る封着材料において、ガラス粉末の平均粒径D50は15μm未満、0.5〜10μm、特に1〜5μmが好ましい。ガラス粉末の平均粒径D50を15μm未満に規制すると、両ガラス基板間のギャップを狭小化し易くなり、この場合、レーザー封着に要する時間が短縮されると共に、封着材料層の熱膨張係数とガラス基板の熱膨張係数に差があっても、封着部分やガラス基板にクラック等が発生し難くなる。
本発明の封着材料において、ガラス粉末の最大粒径D99は15μm以下、10μm以下、特に7μm以下が好ましい。ガラス粉末の最大粒径D99を15μm以下に規制すると、両ガラス基板間のギャップを狭小化し易くなり、この場合、レーザー封着に要する時間が短縮されると共に、封着材料層の熱膨張係数とガラス基板の熱膨張係数に差があっても、封着部分やガラス基板にクラック等が発生し難くなる。
本発明に係る無機粉末は、耐火性フィラーを含むことを特徴とする。このようにすれば、封着材料層の熱膨張係数を低下できると共に、封着材料層の機械的強度を高めることができる。無機粉末中のガラス粉末と耐火性フィラーの混合割合は、体積%で65〜90%:10〜35%、特に67〜80%:20〜33%が好ましい。耐火性フィラーの含有量が35体積%より多いと、封着材料の軟化流動性が阻害されて、封着材料層の表面平滑性が低下し易くなる。その結果、レーザー封着の効率が低下し易くなる。なお、耐火性フィラーの含有量が10体積%未満であると、耐火性フィラーによる上記効果を享受し難くなる。
耐火性フィラーの平均粒径D50は2μm以下、1.7μm以下、特に0.1〜1.5μmが好ましい。耐火性フィラーの平均粒径D50が大き過ぎると、封着材料層の厚みが局所的に大きくなり易く、ガラス基板間のギャップが不均一になって、レーザー封着の信頼性が低下し易くなる。
耐火性フィラーの最大粒径D99は5μm以下、4μm以下、特に0.2〜3μmが好ましい。耐火性フィラーの最大粒径D99が大き過ぎると、封着材料層の厚みが局所的に大きくなり易く、ガラス基板間のギャップが不均一になって、レーザー封着の信頼性が低下し易くなる。
耐火性フィラーとして、ジルコン、ジルコニア、酸化錫、石英、β−スポジュメン、コーディエライト、ムライト、石英ガラス、β−ユークリプタイト、β−石英、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム、NbZr(PO等の[AB(MO]の基本構造をもつ化合物、
A:Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cu、Ni、Mn等
B:Zr、Ti、Sn、Nb、Al、Sc、Y等
M:P、Si、W、Mo等
若しくはこれらの固溶体が使用可能である。
上記の耐火性フィラーの内、リン酸ジルコニウム、コーディエライト、リン酸タングステン酸ジルコニウムが好ましい。これらの耐火性フィラーは、熱膨張係数が低く、機械的強度が高い性質を有し、しかもB含有ガラス粉末との適合性が良好である。
本発明に係る封着材料において、無機粉末の含有量は97.5〜100質量%、99.3〜99.8質量%、特に99.4〜99.7質量%が好ましい。無機粉末の含有量が少な過ぎると、レーザー封着の際に封着材料層の軟化流動性が乏しくなり、また封着強度を高めることが困難になる。
本発明に係る封着材料において、顔料を添加する場合、顔料の含有量は0.2〜2.5質量%、0.2〜0.7質量%、特に0.3〜0.6質量%が好ましい。顔料の含有量が少な過ぎると、レーザー光を熱エネルギーに変換し難くなる。一方、顔料の含有量が多過ぎると、レーザー封着の際に、封着材料層が過剰に加熱されて、素子の熱劣化を進むと共に、ガラス封着が失透し易くなって、封着強度が低下し易くなる。
顔料の一次粒子の平均粒径D50は1〜100nm、3〜70nm、5〜60nm、特に10〜50nmが好ましい。顔料の一次粒子が小さ過ぎると、顔料同士が凝集し易くなるため、封着材料中に顔料を均一に分散し難くなって、レーザー封着の際に、ガラス粉末が局所的に軟化流動しない虞がある。また、顔料の一次粒子が大き過ぎても、封着材料中に顔料を均一に分散し難くなり、レーザー封着の際に、ガラス粉末が局所的に軟化流動しない虞がある。
顔料として、無機顔料が好ましく、カーボン、Co、CuO、Cr、Fe、MnO、SnO、Ti2n−1(nは整数)から選ばれる一種又は二種以上がより好ましく、特にカーボンが好ましい。これらの顔料は、発色性に優れており、レーザー光の吸収性が良好である。なお、ガラス粉末として、Bi含有ガラス粉末を用いる場合、顔料は、適合性の観点から、Cu、Cr、Fe、Mnの一種又は二種以上を含む酸化物系顔料が好ましい。
カーボンとして、非晶質カーボン、グライファイトが好ましい。これらのカーボンは、一次粒子の平均粒径D50を1〜100nmに加工し易い性質を有している。
顔料は、環境的観点から、実質的にCr系酸化物を含有しないことが好ましい。ここで、「実質的にCr系酸化物を含有しない」とは、顔料中のCr系酸化物の含有量が1000ppm(質量)未満の場合を指す。
本発明に係る封着材料において、軟化点は500℃以下、470℃以下、450℃以下、420℃以下、特に400℃以下が好ましい。軟化点が500℃より高いと、レーザー封着性が低下し易くなる。軟化点の下限は特に限定されないが、ガラス粉末の熱的安定性を考慮すれば、軟化点を300℃以上に規制することが好ましい。ここで、「軟化点」とは、窒素雰囲気下において、マクロ型示差熱分析(DTA)装置で測定した値を指し、DTAは室温から測定を開始し、昇温速度は10℃/分とする。なお、マクロ型DTA装置で測定した軟化点は、図1に示す第四屈曲点の温度(Ts)を指す。
本発明に係る封着材料とビークルを混練し、封着材料ペーストに加工することが好ましい。このようにすれば、塗布作業性等を高めることができる。なお、ビークルは、通常、樹脂バインダーと溶剤を含む。
樹脂バインダーとして、脂肪族ポリオレフィン系カーボネート、特にポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネートが好ましい。これらの樹脂バインダーは、脱バインダー又はレーザー封着の際に、ガラス粉末を変質させ難い特徴を有する。
溶剤として、N,N’−ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、ジメチルスルホキサイド、炭酸ジメチル、プロピレンカーボネート、ブチロラクトン、カプロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、フェニルジグリコール(PhDG)、フタル酸ジブチル(DBP)、ベンジルグリコール(BzG)、ベンジルジグリコール(BzDG)、フェニルグリコール(PhG)から選ばれる一種又は二種以上が好ましい。これらの溶剤は、脱バインダー又はレーザー封着の際に、ガラス粉末、特にSnO含有ガラス粉末を変質させ難い特徴を有する。特に、これらの溶剤の内、プロピレンカーボネート、フェニルジグリコール(PhDG)、フタル酸ジブチル(DBP)、ベンジルグリコール(BzG)、ベンジルジグリコール(BzDG)、フェニルグリコール(PhG)から選ばれる一種又は二種以上が好ましい。これらの溶剤は、沸点が240℃以上である。このため、これらの溶剤を使用すると、スクリーン印刷等の塗布作業の際に、溶剤の揮発を抑制し易くなり、結果として、封着材料ペーストを長期的に安定して使用することが可能になる。更に、フェニルジグリコール(PhDG)、フタル酸ジブチル(DBP)、ベンジルグリコール(BzG)、ベンジルジグリコール(BzDG)、フェニルグリコール(PhG)は、顔料との親和性が高い。このため、これらの溶剤の添加量が少量でも、封着材料ペースト中で顔料が分離する事態を抑制することができる。
本発明の封着材料ペーストは、不活性雰囲気におけるレーザー封着に供されることが好ましく、特にN雰囲気におけるレーザー封着に供されることが好ましい。このようにすれば、レーザー封着の際にガラス粉末が変質する事態を防止し易くなる。
本発明の封着材料層付きガラス基板において、封着材料層の表面粗さRaは0.5μm未満、0.3μm以下、0.2μm以下、特に0.01〜0.15μm以下が好ましい。このようにすれば、ガラス基板同士の密着性が向上し、レーザー封着性が顕著に向上する。
本発明の封着材料層付きガラス基板において、封着材料層の表面粗さRMSは1.0μm未満、0.7μm以下、0.5μm以下、特に0.05〜0.3μm以下が好ましい。このようにすれば、ガラス基板同士の密着性が向上し、レーザー封着性が顕著に向上する。
本発明の封着材料層付きガラス基板において、封着材料層の平均厚みは10μm未満、7μm未満、0.1〜5.5μm、特に1〜5μm未満が好ましい。このようにすれば、封着材料層の熱膨張係数とガラス基板の熱膨張係数に差があっても、ガラス基板や封着部分にクラック等が発生し難くなる。結果として、耐火性フィラーの含有量を低下させることが可能になるため、封着材料の軟化流動性が向上して、封着材料層の表面平滑性を高めることが可能になる。
本発明の封着材料層付きガラス基板において、封着材料層の厚みバラツキは2μm以下、特に1μm以下が好ましい。このようにすれば、ガラス基板同士の密着性が向上する。
封着材料層の表面を研磨して、封着材料層の表面平滑性を高めてもよいが、封着材料層の表面は未研磨であることが好ましい。このようにすれば、研磨工程が不要になるため、製造コストを低廉化し易くなる。
現在、有機ELディスプレイには、駆動方式として、TFT等のアクティブ素子を各画素に配置して駆動させるアクティブマトリクス駆動が採用されている。この場合、有機ELディスプレイ用ガラス基板には、無アルカリガラス(例えば、日本電気硝子株式会社製OA−10G)が使用される。無アルカリガラスの熱膨張係数は、通常、40×10−7/℃以下である。一般的に、封着材料の熱膨張係数は、ガラス基板の熱膨張係数に整合させる必要があるが、封着材料層の厚みが10μm未満、特に5μm未満の場合、熱膨張係数差による熱歪み量が小さくなるため、封着材料の熱膨張係数がある程度高くても、良好に気密封着を行うことができる。そして、封着材料の熱膨張係数を高めると、耐火性フィラーの含有量を低下させることが可能になるため、封着材料の軟化流動性が向上して、封着材料層の表面平滑性を高めることが可能になる。よって、本発明に係る封着材料において、熱膨張係数は60×10−7/℃以上85×10−7/℃以下が好ましい。ここで、「熱膨張係数」とは、押棒式熱膨張係数測定(TMA)装置により、30〜250℃の温度範囲で測定した平均値を指す。
本発明に係る有機ELデバイスは、上記の封着材料層付きガラス基板を用いて、作製されてなることを特徴とする。本発明に係る有機ELデバイスの技術的特徴(好適な材料構成、好適な特性)は、本発明の封着材料層付きガラス基板の説明の欄に既に記載済みである。ここでは、便宜上、その記載を省略する。
実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。但し、以下の実施例は単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
表1は、SnO含有ガラス粉末(試料No.1〜7)を示している。また、表2は、Bi含有ガラス粉末(試料No.8〜14)を示している。なお、試料No.1〜7は参考例である。
次のようにして、SnO含有ガラス粉末を調製した。まず表1に記載のガラス組成になるように、原料を調合した後、この調合原料をアルミナ坩堝に入れて、窒素雰囲気下において、900℃で1〜2時間溶融した。次に、得られた溶融ガラスを水冷ローラーによりフィルム状に成形した。続いて、ボールミルによりガラスフィルムを粉砕した後、分級し、SnO含有ガラス粉末を得た。得られたSnO含有ガラス粉末の粒度は、平均粒径D50:1.7μm、最大粒径D99:5.0μmであった。
次のようにして、Bi含有ガラス粉末を調製した。まず表2に記載のガラス組成になるように、原料を調合した後、この調合原料を白金坩堝に入れて、大気雰囲気下において、1000〜1100℃で1〜2時間溶融した。次に、得られた溶融ガラスを水冷ローラーによりフィルム状に成形した。続いて、ボールミルによりガラスフィルムを粉砕した後、分級し、Bi含有ガラス粉末を得た。得られたBi含有ガラス粉末の粒度は、平均粒径D50:1.2μm、最大粒径D99:4.0μmであった。
試料No.1〜14につき、ガラス転移点、軟化点、熱膨張係数を評価した。その結果を表1、2に示す。
ガラス転移点は、押棒式TMA装置で測定した値である。
軟化点は、マクロ型DTA装置で測定した値である。測定は、SnO含有ガラス粉末を含む場合、窒素雰囲気下、Bi含有ガラス粉末を含む場合、大気雰囲気下で行い、昇温速度10℃/分で室温から測定を開始した。
熱膨張係数は、押棒式TMA装置で測定した値である。なお、SnO含有ガラス粉末を用いる場合、測定温度範囲を30〜250℃、Bi含有ガラス粉末を用いる場合、測定温度範囲を30〜300℃とした。
表1から明らかなように、試料No.1〜7は、ガラス転移点が295〜334℃、軟化点が364〜405℃、熱膨張係数が96×10−7〜125×10−7/℃であった。
表2から明らかなように、試料No.8〜14は、ガラス転移点が350〜365℃、軟化点が419〜435℃、熱膨張係数が98〜107×10−7/℃であった。
次に、表3、4に記載の混合割合になるように、表1、2に記載のガラス粉末と、耐火性フィラーと、必要に応じて顔料とを混合して、封着材料(試料A〜N)を作製した。なお、試料A〜Gは参考例である。
耐火性フィラーとして、SnO含有ガラス粉末を用いる場合、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウムを用い、Bi含有ガラス粉末を用いる場合、コーディエライトを用いた。リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウムの粒度は、それぞれ平均粒径D50:1.1μm、最大粒径D99:2.4μmであった。コーディエライトの粒度は、平均粒径D50:0.9μm、最大粒径D99:2.1μmであった。
SnO含有ガラス粉末を用いる場合、顔料として、ケッチェンブラック(グラファイト)を用いた。一次粒子の平均粒径D50は20nmであった。
試料A〜Nにつき、ガラス転移点、軟化点、熱膨張係数、封着材料層の厚み、封着材料層の表面粗さ、レーザー封着性を評価した。その結果を表3、4に示す。
ガラス転移点は、押棒式TMA装置で測定した値である。
軟化点は、マクロ型DTA装置で測定した値である。測定は、SnO含有ガラス粉末を含む場合、窒素雰囲気下で行い、Bi含有ガラス粉末を含む場合、大気雰囲気下で行い、昇温速度10℃/分で室温から測定を開始した。
熱膨張係数は、押棒式TMA装置で測定した値である。なお、SnO含有ガラス粉末を用いた場合、測定温度範囲を30〜250℃、Bi含有ガラス粉末を用いた場合、測定温度範囲を30〜300℃とした。
次のようにして、封着材料ペーストを作製した。まず粘度が約70Pa・s(25℃、Shear rate:4)になるように、封着材料とビークルを混練した後、更に三本ロールミルで均一になるまで混錬し、ペースト化した。ビークル中の樹脂成分として、ポリエチレンカーボネート(MW:129000)を用い、溶剤成分として、プロピレンカーボネートを用いた。なお、プロピレンカーボネート中にポリエチレンカーボネートを25質量%溶解させたビークルを使用した。次に、縦40mm×横50mm×厚み0.5mmのガラス基板(日本電気硝子株式会社製OA−10G)の周縁部に、上記の封着材料ペーストを厚み:約5μm、幅:約0.6mmになるように、スクリーン印刷機で印刷した上で、大気雰囲気下にて、85℃で15分間乾燥した後、窒素雰囲気下にて、各試料の軟化点+50℃の温度で10分間焼成して、封着材料ペースト中の樹脂成分の焼却(脱バインダー処理)、及び封着材料の固着を行い、表中に記載の平均厚み、表面粗さ(Ra、RMS)を有する封着材料層付きガラス基板を得た。
封着材料層の平均厚みは、非接触型レーザー膜厚計で測定した値である。
封着材料層の表面粗さ(Ra、RMS)は、表面粗さ計で測定した値である。
続いて、封着材料層上に、縦50mm×横50mm×厚み0.5mmのガラス基板(日本電気硝子株式会社製OA−10G)を窒素雰囲気下で配置した後、封着材料層が形成されたガラス基板側から封着材料層に沿って、表3、4に記載の条件にて、波長808nmのレーザーを照射することにより、封着材料層を軟化流動させて、ガラス基板同士を気密封着した。
レーザー封着性は、高温高湿高圧試験:HAST試験(Highly Accelerated Temperature and Humidity Stress test)後の封着部分における剥離の有無を観察することで評価した。なお、HAST試験の条件は、121℃、湿度100%、2atm、24時間である。
表3、4から明らかなように、試料A〜E及びH〜Lは、封着材料層の表面粗さRaが0.15μm以下、RMSが0.30μm以下であり、表面平滑性に優れていた。その結果、試料A〜E及びH〜Lは、すべてのレーザー照射条件でガラス基板同士を接合することができた。
一方、試料Fは、封着材料層の表面粗さRa、RMSが大きく、15W以下の低出力条件において、HAST試験後に、封着部分に剥離が認められた。この事実は、耐火性フィラーの含有量が多いため、封着材料層の表面平滑性が乏しくなり、封着材料の軟化流動性が阻害されたことに起因するものと考えられる。また、試料Gは、耐火性フィラーの含有量が少ないため、被封着物の熱膨張係数に整合させることが困難であると考えられる。なお、試料Gは、高出力のレーザーを用いると、ガラス基板同士を接合可能であると考えられるが、接合直後に封着界面にクラックが発生し易いと考えられる。
試料Mは、封着材料層の表面粗さRa、RMSが大きく、15W以下の低出力条件において、HAST試験後に、封着部分に剥離が認められた。この事実は、耐火性フィラーの含有量が多いため、封着材料層の表面平滑性が乏しくなり、封着材料の軟化流動性が阻害されたことに起因するものと考えられる。なお、試料Mは、ガラス粉末中のCuOとFeの合量が少ないため、照射されたレーザー光のエネルギーを十分に吸収できない虞がある。また、試料Nは、耐火性フィラーの含有量が少ないため、被封着物の熱膨張係数に整合させることが困難であると考えられる。なお、試料Nは、高出力のレーザーを用いると、ガラス基板同士を接合可能であると考えられるが、接合直後に封着界面にクラックが発生し易いと考えられる。

Claims (10)

  1. 封着材料を焼結させた封着材料層を備える封着材料層付きガラス基板において、
    封着材料が少なくとも無機粉末を含み、
    無機粉末がガラス粉末と耐火性フィラーを含み、
    ガラス粉末が、ガラス組成として、下記酸化物換算のモル%表示でBi 20〜60%、B 10〜35%、ZnO 5〜17.5%、CuO+Fe 12.5〜30%を含有し、
    無機粉末中の耐火性フィラーの含有量が10〜35体積%であり、
    封着材料層の表面粗さRMSが1.0μm未満であり、
    且つ封着材料層の平均厚みが10μm未満であることを特徴とする封着材料層付きガラス基板。
  2. 封着材料層の表面粗さRaが0.5μm未満であることを特徴とする請求項1に記載の封着材料層付きガラス基板。
  3. 封着材料層の平均厚みが0.1〜5.5μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の封着材料層付きガラス基板。
  4. 封着材料層の表面が未研磨であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の封着材料層付きガラス基板。
  5. 耐火性フィラーの平均粒径D50が5μm以下であることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の封着材料層付きガラス基板。
  6. 耐火性フィラーの最大粒径D99が10μm未満であることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の封着材料層付きガラス基板。
  7. 耐火性フィラーが、コーディエライト、ジルコン、酸化錫、酸化ニオブ、リン酸ジルコニウム系セラミック、NbZr(POから選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の封着材料層付きガラス基板。
  8. 有機ELデバイスの封着に用いることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の封着材料層付きガラス基板。
  9. レーザー封着に用いることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の封着材料層付きガラス基板。
  10. 不活性雰囲気におけるレーザー封着に用いることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の封着材料層付きガラス基板。
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