JP6108285B2 - 電子デバイスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子デバイスの製造方法に関し、特にレーザー封着(レーザー光による封着処理)により、有機ELデバイスを製造する方法に関する。
近年、フラットディスプレイパネルとして、有機ELディスプレイが注目されている。有機ELディスプレイは、直流電圧で駆動できるため駆動回路を簡略化できると共に、液晶ディスプレイのように視野角依存性がなく、また自己発光のため明るく、更には応答速度が速い等の利点がある。現在、有機ELディスプレイは、主に携帯電話等の小型携帯機器に利用されているが、今後は超薄型テレビへの応用が期待されている。なお、有機ELディスプレイは、液晶ディスプレイと同様にして、薄膜トランジスタ(TFT)等のアクティブ素子を各画素に配置して、駆動させる方式が主流である。
有機ELディスプレイは、2枚のガラス基板、金属等の陰電極、有機発光層、ITO等の陽電極、接着材料等で構成される。従来、接着材料として、低温硬化性を有するエポキシ樹脂、或いは紫外線硬化樹脂等の有機樹脂系接着材料が使用されてきた。しかし、有機樹脂系接着材料では、気体の侵入を完全に遮断できない。このため、有機樹脂系接着材料を用いると、有機ELディスプレイ内部の気密性を保持することができず、これに起因して、耐水性が低い有機発光層が劣化し易くなって、有機ELディスプレイの表示特性が経時的に劣化するという不具合が生じていた。また、有機樹脂系接着材料は、ガラス基板同士を低温で接着できる利点を有するものの、耐水性が低いため、有機ELディスプレイを長期に亘って使用した場合に、ディスプレイの信頼性が低下し易くなる。
一方、ガラス粉末を含む封着材料は、有機樹脂系接着材料に比べて、耐水性に優れると共に、有機ELディスプレイ内部の気密性の確保に適している。
しかし、ガラス粉末は、一般的に、軟化点が300℃以上であるため、有機ELディスプレイへの適用が困難であった。具体的に説明すると、上記の封着材料でガラス基板同士を封着する場合、電気炉に有機ELディスプレイ全体を投入して、ガラス粉末の軟化点以上の温度で焼成し、ガラス粉末を軟化流動させる必要があった。しかし、有機ELディスプレイに用いられるアクティブ素子は、120〜130℃程度の耐熱性しか有していないため、この方法でガラス基板同士を封着すると、アクティブ素子が熱により損傷して、有機ELディスプレイの表示特性が劣化してしまう。また、有機発光材料も耐熱性が乏しいため、この方法でガラス基板同士を封着すると、有機発光材料が熱により損傷して、有機ELディスプレイの表示特性が劣化してしまう。
このような事情に鑑み、近年、有機ELディスプレイを封着する方法として、レーザー封着が検討されている。レーザー封着によれば、封着すべき部分のみを局所加熱できるため、アクティブ素子等の熱劣化を防止した上で、ガラス基板同士を封着することができる。
特開2008−166197号公報
レーザー封着は、例えば、以下の工程により行われる。まず封着材料とビークルを混合して、封着材料ペーストを作製する。ここで、ビークルは、一般的に、有機バインダーと溶剤で構成される。次に、スクリーン印刷機、ディスペンサー等により、封着材料ペーストをガラス基板の外周縁に沿って、額縁状に塗布して、ガラス基板上に塗布層を形成する。続いて、塗布層を焼成して、ガラス基板上に封着材料層を形成すると共に、封着材料層とガラス基板を固着する。更に、得られた封着材料層付きガラス基板と、有機EL素子等が形成されたガラス基板を重ね合わせた後、封着材料層に沿って、レーザー光を照射して、ガラス基板同士をレーザー封着する。
ところで、塗布層を焼成すると、ビークル中の有機バインダーが焼却除去される。
一方、封着材料自身もCO、HO等の微量のガス成分を含んでいるが、これらのガス成分は、塗布層の焼成だけでは、完全に除去することが困難であり、結果として、レーザー封着の際にCOガス、HOガスとして外部に放出されてしまう。これらの放出ガスが有機EL素子に接触すると、有機EL素子の劣化が促進されて、有機ELデバイスの長期信頼性が低下する。この問題を抑制するために、有機ELデバイスの内部にガス成分を吸着する材料を設ける方法もあるが、この方法は、コスト高等になる虞が生じる。
そこで、本発明は、レーザー封着の際に、封着材料層からガス成分が放出され難い方法を創案することにより、有機ELデバイス等の内部にガス成分を吸着する材料を設けなくても、有機ELデバイス等の長期信頼性を高めることを技術的課題とする。
本発明者等は、鋭意検討の結果、レーザー封着温度を塗布層の焼成温度以下に規制することにより、上記技術的課題を解決し得ることを見出し、本発明として、提案するものである。すなわち、本発明の電子デバイスの製造方法は、レーザー封着により電子デバイスを製造する方法において、(1)ガラス基板を用意する工程と、(2)ガラス粉末を含む封着材料と、有機バインダーを含むビークルとを混合して、封着材料ペーストを作製する工程と、(3)前記ガラス基板に前記封着材料ペーストを塗布して、塗布層を形成する工程と、(4)前記塗布層を焼成して、封着材料層付きガラス基板を得る工程と、(5)前記封着材料層を介して、前記封着材料層付きガラス基板と、封着材料層が形成されていないガラス基板とを重ね合わせる工程と、(6)レーザー封着温度が焼成温度以下になるように、レーザー光を照射して、前記封着材料層付きガラス基板と、前記封着材料層が形成されていないガラス基板とを気密封着する工程とを備えることを特徴とする。ここで、「塗布層を焼成」する場合、塗布層に含まれる有機バインダーを焼却除去する工程(脱バインダー工程)と塗布層を焼結させる工程(焼結工程)を分離してもよく、同時に行ってもよい。「封着材料層が形成されていないガラス基板」は、通常、電子デバイスの素子が形成されたガラス基板となる。「レーザー封着温度」は、レーザー封着の際に、封着材料層の温度を放射温度計で測温した値を指す。「焼成温度」は、塗布層を焼成する上記工程(4)において工程中の最も高い温度を指し、塗布層に含まれる有機バインダーを焼却除去する工程と塗布層を焼結させる工程を分離した場合は、何れかの工程の最も高い温度を指す。
ガス放出量は、封着材料の粘度に反比例する。塗布層の焼成温度を上げると、封着材料の粘度が低下して、ガス放出量が多くなるが、ここで放出されるガスは、有機EL素子を劣化させる虞はない。また、レーザー封着温度を下げると、封着材料の粘度が上昇して、ガス放出量が少なくなる。よって、レーザー封着温度を焼成温度以下に規制すると、レーザー封着の際にガス放出量を顕著に抑制することが可能になる。レーザー封着温度を焼成温度以下に規制する方法として、焼成温度を上げる、或いはレーザー封着温度を下げる方法がある。前者の方法の場合、熱的安定性が高いガラス系を選択することが有効である。後者の方法の場合、レーザー光の照射条件を最適化することが有効であり、また封着材料中のレーザー光の吸収成分の含有量を最適化することも有効である。
第二に、本発明の電子デバイスの製造方法は、前記レーザー封着温度が500℃以下であることが好ましい。このようにすれば、レーザー封着の際に、放出ガス量が少なくなる。
第三に、本発明の電子デバイスの製造方法は、前記封着材料が、ガラス粉末を含む無機粉末 97.5〜100質量%と、顔料 0〜2.5質量%とを含有することが好ましい。このようにすれば、レーザー封着により有機ELディスプレイ内部の気密性を確保できるため、有機発光層を劣化させるHOやO等が有機ELディスプレイ内部に侵入する事態を防止でき、結果として、有機ELディスプレイの長期信頼性を高めることができる。
無機粉末の含有量が97.5質量%より少ないと、レーザー封着の際に、封着材料の軟化流動性が乏しくなり、また封着強度を高めることが困難になる。なお、顔料の含有量を0.05質量%以上に規制にすれば、レーザー光を熱エネルギーに効率良く変換できるため、封着すべき部分のみを局所加熱し易くなり、結果として、アクティブ素子等の熱劣化を防止した上で、ガラス基板同士をレーザー封着し易くなる。一方、顔料の含有量を2.5質量%以下に規制すれば、レーザー封着の際に、封着材料層の温度が不当に上昇して、放出ガス量が多くなる事態を防止することが可能になる。更に、ガラスが失透する事態を防止し易くなる。
第四に、本発明の電子デバイスの製造方法は、前記ガラス粉末が、ガラス組成として、下記酸化物換算のモル%で、SnO 35〜70%、P 10〜30%を含有することが好ましい。このようにすれば、ガラス粉末の軟化点が低下するため、封着材料の軟化点も低下する。その結果、短時間でレーザー封着が完了すると共に、レーザー封着の際に封着強度を高めることができる。ここで、「下記酸化物換算」とは、例えば、酸化スズの場合、四価の酸化スズ(SnO)であっても、二価の酸化スズ(SnO)に換算して、「SnO」として表記することを意味する。
第五に、本発明の電子デバイスの製造方法は、前記ガラス粉末が、ガラス組成として、下記酸化物換算のモル%で、Bi 20〜60%、B 10〜35%、ZnO 5〜40%、CuO+Fe 5〜30%を含有することが好ましい。このようにすれば、ガラス粉末の軟化点が低下するため、封着材料の軟化点も低下する。そして、レーザー封着の際に、照射されたレーザー光のエネルギーを直接吸収して、効率良く熱に変換し得ると共に、封着材料とガラス基板の反応を促進することができる。その結果、短時間でレーザー封着が完了すると共に、レーザー封着の際に封着強度を高めることができる。
第六に、本発明の電子デバイスの製造方法は、前記顔料が、C(カーボン)、Co、CuO、Cr、Fe、MnO、SnO、Ti2n−1(nは整数)、スピネル系複合酸化物から選ばれる一種又は二種以上であることが好ましい。
第七に、本発明の電子デバイスの製造方法は、前記無機粉末が、更に耐火性フィラーを0.1〜60体積%を含むことが好ましい。
第八に、本発明の電子デバイスの製造方法は、前記電子デバイスが、有機ELデバイスであることが好ましい。ここで、「有機ELデバイス」には、有機ELディスプレイ、有機EL照明等が含まれる。
第九に、本発明の電子デバイスの製造方法は、前記有機バインダーが、脂肪族ポリオレフィン系カーボネートであることが好ましい。
第十に、本発明の電子デバイスの製造方法は、前記塗布層の焼成を不活性雰囲気で行うことが好ましい。ここで、「不活性雰囲気」には、Nガス雰囲気、Arガス雰囲気等の中性ガス雰囲気、真空雰囲気等の減圧雰囲気が含まれる。
第十一に、本発明の電子デバイスは、上記の電子デバイスの製造方法により作製してなることを特徴とする。
マクロ型DTA装置で測定したときの封着材料の軟化点Tsを示す模式図である。
本発明の電子デバイスの製造方法は、ガラス粉末を含む封着材料と、有機バインダーを含むビークルとを混合して、封着材料ペーストを作製する工程を有する。封着材料とビークルを混合する方法として、均質性の点で、ロールミル、ビーズミル、ボールミル等の混練装置で混合する方法が好ましい。ここで、ロールミルは、3本ロールに代表される凝集粒子の解砕装置及びその応用装置であり、ビーズミルは、駆動されるビーズを媒体とする媒体撹拌ミルである。ボールミルとして、セラミックス製のボール等を容器内で転動させることにより、凝集粒子を解砕する働きをする狭義のボールミルばかりでなく、振動ボールミルや媒体遊星ミル等を含む。
本発明の電子デバイスの製造方法は、ガラス基板に封着材料ペーストを塗布して、塗布層を形成する工程を有する。封着材料ペーストを塗布する方法として、スクリーン印刷機による印刷、ディスペンサーによる塗布が好ましい。このようにすれば、塗布層を効率良く形成することができる。
本発明の電子デバイスの製造方法は、塗布層を焼成して、封着材料層付きガラス基板を得る工程を有する。焼成雰囲気は、不活性雰囲気が好ましく、特にN雰囲気が好ましい。このようにすれば、ガラス粉末、特にSnO−P系ガラス粉末が変質し難くなる。
焼成温度は、好ましくは460℃以上、470℃以上、特に480℃以上である。このようにすれば、レーザー封着の前に、封着材料自身に含まれるガスが放出されるため、レーザー封着の際に、放出ガス量が少なくなる。
有機バインダーを焼却除去する工程を別途に設ける場合、ガラス粉末のガラス転移点より高く、且つ封着材料のガラス転移点未満の温度で焼成することが好ましい。このようにすれば、有機バインダーの分解揮発を促進させることが可能になる。ガラス粉末のガラス転移点より高く、且つ封着材料のガラス転移点未満の温度に保持する時間は、1分間以上、特に5分間以上が好ましく、また2時間以下、特に1時間以下が好ましい。保持時間が短過ぎると、有機バインダーの分解揮発が十分になる虞が生じる。一方、保持時間が長過ぎると、封着材料層付きガラス基板の製造効率が低下する。
本発明の電子デバイスの製造方法において、有機バインダーを焼却除去する工程と塗布層を焼結させる工程を連続して行うことが好ましく、両工程を同時に行うことが更に好ましい。このようにすれば、封着材料層付きガラス基板の製造効率が向上する。
本発明の電子デバイスの製造方法は、レーザー封着温度が焼成温度以下(好ましくは焼成温度より10℃以下、特に焼成温度より20℃以下)になるように、レーザー光を照射して、封着材料層付きガラス基板と、封着材料層が形成されていないガラス基板とを気密封着する工程を有する。このようにすれば、封着すべき部分のみを局所加熱できるため、電子デバイスの素子の熱劣化を防止し得ると共に、電子デバイスの長期信頼性を高めることが可能になる。
レーザー封着温度は、好ましくは500℃以下、490℃以下、480℃以下、470℃以下、特に460℃以下である。このようにすれば、レーザー封着の際に、放出ガス量が少なくなる。
レーザー封着には、種々のレーザーを使用することができる。特に、半導体レーザー、YAGレーザー、COレーザー、エキシマレーザー、赤外レーザー等は、取扱いが容易な点で好ましい。
レーザー封着の雰囲気は、不活性雰囲気が好ましく、特にN雰囲気が好ましい。このようにすれば、レーザー封着の際にガラス粉末、特にSnO−P系ガラス粉末が変質し難くなる。
次に、本発明の電子デバイスの製造方法において、好適な材料構成を以下に説明する。
本発明に係る封着材料において、ガラス粉末を含む無機粉末97.5〜100質量%と、顔料0〜2.5質量%とを含有することが好ましく、ガラス粉末を含む無機粉末99〜99.95質量%と、顔料0.05〜1質量%とを含有することがより好ましい。特に、無機粉末の含有量は99.5〜99.9質量%が好ましい。無機粉末の含有量が97.5質量%より少ないと、レーザー封着の際に封着材料の軟化流動性が乏しくなり、また封着強度を高めることが困難になる。顔料の含有量は0.05〜1質量%、特に0.1〜0.5質量%が好ましい。顔料の含有量が少な過ぎると、レーザー光を熱エネルギーに変換し難くなる。一方、顔料の含有量が多過ぎると、レーザー封着の際に、封着材料が過剰に加熱されて、有機EL素子等の熱劣化が進むと共に、封着材料がレーザー光を吸収し過ぎて、レーザー封着の際に封着材料層の温度が不当に上昇して、結果として放出ガス量が多くなる虞が生じる。更に、ガラスが失透し易くなって、封着強度が低下し易くなる。
本発明に係るガラス粉末は、種々のガラス系が利用可能であるが、熱的安定性や耐水性の観点から、Bi−B系ガラス、SnO−P系ガラス、V系ガラスが好適である。特に、低融点特性の観点から、SnO−P系ガラスが好適である。封着強度の観点から、Bi−B系ガラスが好適である。ここで、「〜系ガラス」とは、明示の成分を必須成分として含み、その合量が20モル%以上のガラスを指す。
本発明に係るガラス粉末は、SnO含有ガラス粉末が好ましく、SnO含有ガラス粉末は、ガラス組成として、下記酸化物換算のモル%で、SnO 35〜70%、P 10〜30%を含有することが好ましい。上記のようにガラス組成範囲を限定した理由を以下に示す。なお、ガラス組成範囲の説明において、%表示は、特に断りがある場合を除き、モル%を指す。
SnOは、ガラスを低融点化する成分である。SnOの含有量は35〜70%、40〜70%、特に50〜68%が好ましい。なお、SnOの含有量が50%以上であれば、レーザー封着の際に、ガラスが軟化流動し易くなる。SnOの含有量が35%より少ないと、ガラスの粘性が高くなり過ぎて、所望のレーザー出力でレーザー封着し難くなる。一方、SnOの含有量が70%より多いと、ガラス化が困難になる。
は、ガラス形成酸化物であり、熱的安定性を高める成分である。Pの含有量は10〜30%、15〜27%、特に15〜25%が好ましい。Pの含有量が10%より少ないと、熱的安定性が低下し易くなる。一方、Pの含有量が30%より多いと、耐候性が低下し、有機ELデバイス等の長期信頼性を確保し難くなる。
上記成分以外にも、以下の成分を添加することができる。
ZnOは、中間酸化物であり、ガラスを安定化させる成分である。ZnOの含有量は0〜30%、1〜20%、特に1〜15%が好ましい。ZnOの含有量が30%より多いと、熱的安定性が低下し易くなる。
は、ガラス形成酸化物であり、ガラスを安定化させる成分であると共に、耐候性を高める成分である。Bの含有量は0〜25%、1〜20%、特に2〜15%が好ましい。Bの含有量が25%より多いと、ガラスの粘性が高くなり過ぎて、所望のレーザー出力でレーザー封着し難くなる。
Alは、中間酸化物であり、ガラスを安定化させる成分であると共に、熱膨張係数を低下させる成分である。Alの含有量は0〜10%、0.1〜10%、特に0.5〜5%が好ましい。Alの含有量が10%より多いと、ガラス粉末の軟化点が不当に上昇して、所望のレーザー出力でレーザー封着し難くなる。
SiOは、ガラス形成酸化物であり、ガラスを安定化させる成分である。SiOの含有量は0〜15%、特に0〜5%が好ましい。SiOの含有量が15%より多いと、ガラス粉末の軟化点が不当に上昇して、所望のレーザー出力でレーザー封着し難くなる。
Inは、熱的安定性を高める成分である。Inの含有量は0〜5%が好ましい。Inの含有量が5%より多いと、バッチコストが高騰する。
Taは、熱的安定性を高める成分である。Taの含有量は0〜5%が好ましい。Taの含有量が5%より多いと、ガラス粉末の軟化点が不当に上昇して、所望のレーザー出力でレーザー封着し難くなる。
Laは、熱的安定性を高める成分であり、また耐候性を高める成分である。Laの含有量は0〜15%、0〜10%、特に0〜5%が好ましい。Laの含有量が15%より多いと、バッチコストが高騰する。
MoOは、熱的安定性を高める成分である。MoOの含有量は0〜5%が好ましい。MoOの含有量が5%より多いと、ガラス粉末の軟化点が不当に上昇して、所望のレーザー出力でレーザー封着し難くなる。
WOは、熱的安定性を高める成分である。WOの含有量は0〜5%が好ましい。WOの含有量が5%より多いと、ガラス粉末の軟化点が不当に上昇して、所望のレーザー出力でレーザー封着し難くなる。
LiOは、ガラスを低融点化する成分である。LiOの含有量は0〜5%が好ましい。LiOの含有量が5%より多いと、熱的安定性が低下し易くなる。NaOは、ガラスを低融点化する成分である。NaOの含有量は0〜10%、特に0〜5%が好ましい。NaOの含有量が10%より多いと、熱的安定性が低下し易くなる。KOは、ガラスを低融点化する成分である。KOの含有量は0〜5%が好ましい。KOの含有量が5%より多いと、熱的安定性が低下し易くなる。
MgOは、熱的安定性を高める成分である。MgOの含有量は0〜15%が好ましい。MgOの含有量が15%より多いと、ガラス粉末の軟化点が不当に上昇して、所望のレーザー出力でレーザー封着し難くなる。
BaOは、熱的安定性を高める成分である。BaOの含有量は0〜10%が好ましい。BaOの含有量が10%より多いと、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。
は、ガラスを低融点化する成分である。Fの含有量は0〜5%が好ましい。Fの含有量が5%より多いと、熱的安定性が低下し易くなる。
熱的安定性と低融点特性を考慮すれば、In、Ta、La、MoO、WO、LiO、NaO、KO、MgO、BaO、及びFの合量は10%以下が好ましい。
上記成分以外にも他の成分(CaO、SrO等)を例えば10%まで添加することができる。
本発明に係るSnO−P系ガラス粉末は、実質的に遷移金属酸化物を含まないことが好ましい。このようにすれば、ガラスがレーザー光を吸収し過ぎて、レーザー封着の際に封着材料層の温度が不当に上昇し、結果として放出ガス量が多くなる事態を防止し得ると共に、ガラスの熱的安定性が低下し難くなる。ここで、「実質的に遷移金属酸化物を含有しない」とは、ガラス組成中の遷移金属酸化物の含有量が3000ppm(質量)以下、好ましくは1000ppm(質量)未満の場合を指す。
本発明に係るガラス粉末は、Bi−B系ガラス粉末も好ましく、Bi−B系ガラス粉末は、ガラス組成として、下記酸化物換算のモル表示%で、Bi 20〜60%、B 10〜35%、ZnO 5〜40%、CuO+Fe 5〜30%を含有することが好ましい。上記のようにガラス組成範囲を限定した理由を以下に示す。なお、以下のガラス組成範囲の説明において、%表示は、特に断りがある場合を除き、モル%を指す。
Biは、軟化点を下げるための主要成分であり、その含有量は20〜60%、好ましくは25〜55%、より好ましくは30〜55%である。Biの含有量が20%より少ないと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。一方、Biの含有量が60%より多いと、ガラスが熱的に不安定になり、溶融時又はレーザー封着時にガラスが失透し易くなる。
は、ビスマス系ガラスのガラスネットワークを形成する成分であり、その含有量は10〜35%、好ましくは15〜30%、より好ましくは15〜28%である。Bの含有量が10%より少ないと、ガラスが熱的に不安定になり、溶融時又はレーザー封着時にガラスが失透し易くなる。一方、Bの含有量が35%より多いと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
ZnOは、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制すると共に、熱膨張係数を低下させる成分であり、その含有量は5〜40%、好ましくは5〜35%、より好ましくは5〜33%である。ZnOの含有量が5%より少ないと、上記効果を得難くなる。一方、ZnOの含有量が40%より多いと、ガラス組成内の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。
CuO+Feは、光吸収特性を有する成分であり、所定の発光中心波長を有するレーザー光を照射すると、レーザー光を吸収して、ガラスを軟化させ易くする成分である。また、CuO+Feは、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。CuO+Feの含有量は5〜30%、好ましくは7〜25%、より好ましくは10〜20%である。CuO+Feの含有量が5%より少ないと、光吸収特性が乏しくなり、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。一方、CuO+Feの含有量が30%より多いと、ガラス組成内の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。
CuOは、光吸収特性を有する成分であり、所定の発光中心波長を有するレーザー光を照射すると、レーザー光を吸収して、ガラスを軟化させ易くする成分であると共に、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。CuOの含有量は、好ましくは0〜25%、5〜25%、10〜25%、特に10〜20%である。CuOの含有量が25%より多いと、ガラス組成内の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。なお、CuOの含有量を5%以上に規制すれば、光吸収特性が向上して、レーザー封着時にガラスが軟化し易くなる。
Feは、光吸収特性を有する成分であり、所定の発光中心波長を有するレーザー光を照射すると、レーザー光を吸収して、ガラスを軟化させ易くする成分であると共に、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。Feの含有量は、好ましくは0〜10%、0.1〜10%、0.2〜10%、特に0.5〜10%である。Feの含有量が10%より多いと、ガラス組成内の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。なお、Feの含有量を0.1%以上に規制すれば、光吸収特性が向上して、レーザー封着時にガラスが軟化し易くなる。
酸化鉄中のFeイオンは、Fe2+又はFe3+の状態で存在する。本発明において、酸化鉄中のFeイオンは、Fe2+又はFe3+の何れかに限定されるものではなく、何れであっても構わない。よって、本発明では、Fe2+の場合でも、Feに換算した上で取り扱うこととする。特に、照射光として赤外レーザーを使用する場合、Fe2+が赤外域に吸収ピークを有するため、Fe2+の割合は大きい方が好ましく、例えば、酸化鉄中のFe2+/Fe3+の割合を0.03以上(望ましくは0.08以上)に規制することが好ましい。
上記成分以外にも、例えば、以下の成分を添加してもよい。
SiOは、耐水性を高める成分である。SiOの含有量は、好ましくは0〜10%、特に0〜3%である。SiOの含有量が10%より多いと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
Alは、耐水性を高める成分である。Alの含有量は、好ましくは0〜5%、特に0〜2%である。Alの含有量が5%より多いと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
MgO+CaO+SrO+BaO(MgO、CaO、SrO及びBaOの合量)は、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分であり、MgO+CaO+SrO+BaOの含有量は、好ましくは0〜20%、特に0〜15%である。MgO+CaO+SrO+BaOの含有量が20%より多いと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
MgO、CaO及びSrOは、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。各成分の含有量は、好ましくは0〜5%、特に0〜2%である。各成分の含有量が5%より多いと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
BaOは、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。BaOの含有量は、好ましくは0〜15%、特に0〜10%である。BaOの含有量が15%より多いと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
CeO及びSbは、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。各成分の含有量は、好ましくは0〜5%、0〜2%、特に0〜1%である。各成分の含有量が5%より多いと、ガラス組成内の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。なお、熱的安定性を高める観点から、Sbの微量添加が好ましく、具体的にはSbを0.05%以上添加することが好ましい。
WOは、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。WOの含有量は、好ましくは0〜10%、特に0〜2%である。WOの含有量が10%より多いと、ガラス組成内の成分バランスが損なわれて、逆にガラスが失透し易くなる。
In+Ga(InとGaの合量)は、溶融時又はレーザー封着時の失透を抑制する成分である。In+Gaの含有量は、好ましくは0〜5%、特に0〜3%である。In+Gaの含有量が5%より多いと、バッチコストが高騰する。なお、Inの含有量は0〜1%がより好ましく、Gaの含有量は0〜0.5%がより好ましい。
Li、Na、K及びCsの酸化物は、軟化点を低下させる成分であるが、溶融時に失透を助長する作用を有するため、合量で1%未満に規制することが好ましい。
は、溶融時の失透を抑制する成分である。しかし、Pの含有量が1%より多いと、溶融時にガラスが分相し易くなる。
La、Y及びGdは、溶融時の分相を抑制する成分であるが、これらの合量が3%より多いと、軟化点が高くなり過ぎて、レーザー光を照射しても、ガラスが軟化し難くなる。
NiO、V、CoO、MoO、TiO及びMnOは、光吸収特性を有する成分であり、所定の発光中心波長を有するレーザー光を照射すると、レーザー光を吸収して、ガラスを軟化させ易くする成分である。各成分の含有量は、好ましくは0〜7%、特に0〜3%である。各成分の含有量が7%より多いと、レーザー封着時にガラスが失透し易くなる。
PbOは、軟化点を低下させる成分であるが、環境的影響が懸念される成分である。よって、PbOの含有量は、好ましくは0.1%未満である。
上記以外の成分であっても、ガラス特性を損なわない範囲で、例えば5%まで添加してもよい。
本発明に係るガラス粉末は、環境的観点から、実質的にPbOを含有しないことが好ましい。ここで、「実質的にPbOを含有しない」とは、ガラス組成中のPbOの含有量が1000ppm(質量)以下の場合を指す。
ガラス粉末の平均粒径D50は15μm未満、0.5〜10μm、特に1〜5μmが好ましい。ガラス粉末の平均粒径D50を15μm未満に規制すると、両ガラス基板間のギャップを狭小化し易くなり、この場合、レーザー封着に要する時間が短縮されると共に、ガラス基板と封着材料の熱膨張係数に差があっても、ガラス基板と封着材料層の界面にクラック等が発生し難くなる。ここで、「平均粒径D50」は、レーザー回折法で測定した値を指し、レーザー回折法により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して50%である粒径を表す(以下同様)。
ガラス粉末の99%粒径D99は30μm以下、20μm以下、特に10μm以下が好ましい。ガラス粉末の99%粒径D99を30μm以下に規制すると、両ガラス基板間のギャップを狭小化し易くなり、この場合、レーザー封着に要する時間が短縮されると共に、ガラス基板と封着材料の熱膨張係数に差があっても、ガラス基板と封着材料層の界面にクラック等が発生し難くなる。ここで、「99%粒径D99」は、レーザー回折法で測定した値を指し、レーザー回折法により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して99%である粒径を表す(以下同様)。
本発明に係る無機粉末は、更に耐火性フィラーを含むことが好ましい。このようにすれば、封着材料の熱膨張係数を低下できると共に、封着材料の機械的強度を高めることができる。無機粉末中のガラス粉末と耐火性フィラーの混合割合は、体積%で40〜100%:0〜60%、40〜99.9%:0.1〜60%、45〜90%:10〜55%、50〜80%:20〜50%、50〜70%:30〜50%、特に50〜65%:35〜50%が好ましい。耐火性フィラーの含有量が60体積%より多いと、ガラス粉末の割合が相対的に少なくなり、レーザー封着の効率が低下し易くなる。なお、耐火性フィラーの含有量が0.1体積%未満であると、耐火性フィラーによる効果を享受し難くなる。
耐火性フィラーとして、ジルコン、ジルコニア、酸化錫、石英、β−スポジュメン、コーディエライト、ムライト、石英ガラス、β−ユークリプタイト、β−石英、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム、NbZr(PO等の[AB(MO]の基本構造をもつ化合物、
A:Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cu、Ni、Mn等
B:Zr、Ti、Sn、Nb、Al、Sc、Y等
M:P、Si、W、Mo等
若しくはこれらの固溶体が使用可能である。
耐火性フィラーの99%粒径D99は20μm以下、15μm以下、特に10μm以下が好ましい。耐火性フィラーの99%粒径D99が20μmより大きいと、封着部分において、30μm以上の厚みを有する箇所が発生し易くなるため、有機ELディスプレイにおいて、ガラス基板間のギャップが不均一になり、有機ELディスプレイを薄型化し難くなる。また、耐火性フィラーの99%粒径D99を20μm以下に規制すると、両ガラス基板間のギャップを狭小化し易くなり、この場合、レーザー封着に要する時間が短縮されると共に、ガラス基板と封着材料の熱膨張係数に差があっても、ガラス基板と封着材料層の界面にクラック等が発生し難くなる。
本発明に係る封着材料において、顔料は、無機顔料が好ましく、カーボン、Co、CuO、Cr、Fe、MnO、SnO、TinO2n−1(nは整数)、スピネル系複合酸化物から選ばれる一種又は二種以上がより好ましく、特にカーボンが好ましい。これらの顔料は、発色性に優れており、レーザー光の吸収性が良好である。また、ガラス粉末として、Bi−B系ガラスを用いる場合、顔料は、適合性の観点から、Cu、Cr、Fe、Mnの一種又は二種以上を含む酸化物系顔料が好ましい。
カーボンとして、種々の材料が使用可能であるが、特に非晶質カーボン、グラファイトが好ましい。これらのカーボンは、一次粒子の平均粒径D50を1〜100nmに加工し易い性質を有している。なお、ガラス粉末のガラス組成中にSnOを含む場合、顔料として、カーボンを添加すれば、焼成時にSnOの酸化を抑制する効果も期待できる。
顔料は、環境的観点から、実質的にCr系酸化物を含有しないことが好ましい。ここで、「実質的にCr系酸化物を含有しない」とは、顔料中のCr系酸化物の含有量が1000ppm(質量)以下の場合を指す。
顔料の一次粒子の平均粒径D50は1〜100nm、3〜70nm、5〜60nm、特に10〜50nmが好ましい。顔料の一次粒子が小さ過ぎると、顔料同士が凝集し易くなるため、封着材料中に顔料を均一に分散し難くなって、レーザー封着の際に、ガラス粉末が局所的に軟化流動しない虞が生じる。また、顔料の一次粒子が大き過ぎても、封着材料中に顔料を均一に分散し難くなり、レーザー封着の際に、ガラス粉末が局所的に軟化流動しない虞が生じる。
本発明に係る封着材料において、軟化点は500℃以下、460℃以下、450℃以下、420℃以下、特に400℃以下が好ましい。軟化点が500℃より高いと、レーザー封着の効率が低下し易くなる。軟化点の下限は特に限定されないが、熱的安定性を考慮すれば、軟化点を300℃以上に規制することが好ましい。ここで、「軟化点」とは、窒素雰囲気下において、マクロ型示差熱分析(DTA)装置で測定した値を指し、DTAは室温から測定を開始し、昇温速度は10℃/分とする。なお、マクロ型DTA装置で測定した軟化点は、図1に示す第四屈曲点の温度(Ts)を指す。
現在、有機ELディスプレイには、駆動方式として、TFT等のアクティブ素子を各画素に配置して駆動させるアクティブマトリクス駆動が採用されている。この場合、ガラス基板には、無アルカリガラス(例えば、日本電気硝子株式会社製OA−10G)が使用される。無アルカリガラスの熱膨張係数は、通常、40×10−7/℃以下である。一方、封着材料の熱膨張係数は、76〜90×10−7/℃であることが多い。よって、封着部分の応力破壊を防止するために、封着材料の熱膨張係数を無アルカリガラスの熱膨張係数に厳密に適合させる必要がある。そこで、封着材料に低膨張の耐火性フィラー、特にNbZr(PO、リン酸ジルコニウム、コーディエライトを添加すると、封着材料の熱膨張係数を顕著に低下させることが可能になる。本発明に係る封着材料において、熱膨張係数は85×10−7/℃以下、75×10−7/℃以下、65×10−7/℃以下、55×10−7/℃以下、特に49×10−7/℃以下が好ましい。このようにすれば、残留応力が小さくなり、封着部分の応力破壊を防止し易くなる。ここで、「熱膨張係数」とは、押棒式熱膨張係数測定(TMA)装置により測定した平均値を指し、例えば、SnO−P系ガラス粉末を用いる場合、30〜250℃の温度範囲で測定した平均値を指し、Bi−B系ガラス粉末を用いる場合、30〜300℃の温度範囲で測定した平均値を指す。
ガラス粉末、耐火性フィラー、顔料以外にも、封着材料中にスペーサーとしてガラスビーズ等を添加してもよい。
本発明に係る封着材料ペーストは、封着材料、ビークル等を含む。また、ビークルは、通常、樹脂バインダー、溶剤を含む。必要に応じて、ビークル中に界面活性剤、増粘剤等を添加してもよい。
有機バインダーとして、脂肪族ポリオレフィン系カーボネート、特にポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネートが好ましい。これらの有機バインダーは、有機バインダーを焼却除去する際にガラス粉末、特にSnO−P系ガラス粉末を変質させ難い性質を有している。
溶剤として、N,N’−ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、ジメチルスルホキサイド、炭酸ジメチル、プロピレンカーボネート、ブチロラクトン、カプロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、フェニルジグリコール(PhDG)、フタル酸ジブチル(DBP)、ベンジルグリコール(BzG)、ベンジルジグリコール(BzDG)、フェニルグリコール(PhG)から選ばれる一種又は二種以上を含むことが好ましい。これらの溶剤は、ガラス粉末を変質させ難い性質を有している。特に、これらの溶剤の内、プロピレンカーボネート、フェニルジグリコール(PhDG)、フタル酸ジブチル(DBP)、ベンジルグリコール(BzG)、ベンジルジグリコール(BzDEG)、フェニルグリコール(PhG)から選ばれる一種又は二種以上が好ましい。これらの溶剤は、沸点が240℃以上である。このため、これらの溶剤を使用すると、スクリーン印刷機等を用いて、封着材料ペーストを塗布する際に、溶剤の揮発を抑制し易くなり、結果として、封着材料ペーストを長期的に安定して使用することが可能になる。更に、フェニルジグリコール(PhDG)、フタル酸ジブチル(DBP)、ベンジルグリコール(BzG)、ベンジルジグリコール(BzDEG)、フェニルグリコール(PhG)は、顔料との親和性が高い。このため、これらの溶剤の添加量が少量でも、封着材料ペースト中で顔料が分離する事態を抑制することができる。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例は単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
表1は、本発明の実施例(試料No.1〜3)及び比較例(試料No.4、5)を示している。また、表2は、本発明の実施例(試料No.6〜8)及び比較例(試料No.9、10)を示している。
次のようにして、SnO−P系ガラス粉末を調製した。まず所定のガラス組成(モル%で、SnO 59%、P 20%、ZnO 5%、B 15%、Al 1%)になるように、原料を調合した後、この調合原料をアルミナ坩堝に入れて、900℃の窒素雰囲気下で1〜2時間溶融した。次に、得られた溶融ガラスを水冷ローラーによりフィルム状に成形した。続いて、得られたガラスフィルムをボールミルで粉砕した後、空気分級して、ガラス粉末を得た。このガラス粉末は、ガラス転移点が301℃、軟化点が385℃、密度が3.88g/cm、平均粒径D50が1.5μm、90%粒径D90が3.5μm、99%粒径D99が5.7μmであった。
次のようにして、Bi−B系ガラス粉末を調製した。まず所定のガラス組成(モル%で、Bi 37%、B 26%、ZnO 17.5%、CuO 14%、BaO 5%Fe 0.5%)になるように、原料を調合した後、この調合原料を白金坩堝に入れて、1000℃の大気雰囲気下で1〜2時間溶融した。次に、得られた溶融ガラスを水冷ローラーによりフィルム状に成形した。続いて、得られたガラスフィルムをボールミルで粉砕した後、空気分級して、ガラス粉末を得た。このガラス粉末は、ガラス転移点が360℃、軟化点が435℃、密度が6.96g/cm、平均粒径D50が1.1μm、90%粒径D90が2.1μm、99%粒径D99が2.9μmであった。
ガラス転移点は、押棒式TMA装置で測定した値である。なお、測定試料として、ガラス粉末を緻密に焼結させた後、所定形状に加工したものを用いた。
軟化点は、マクロ型DTA装置で測定した値である。測定は、SnO−P系ガラス粉末を用いる場合、窒素雰囲気下で行い、Bi−B系ガラス粉末を用いる場合、大気雰囲気下で行った。また、昇温速度10℃/分で室温から測定を開始した。
試料No.1〜5には、耐火性フィラーとして、リン酸ジルコニウムを用いた。リン酸ジルコニウムは、密度が3.80g/cm、平均粒径D50が1.6μm、90%粒径D90が3.3μm、99%粒径D99が5.1μmであった。
試料No.6〜10には、耐火性フィラーとして、コーディエライトを用いた。コーディエライトは、密度が2.63g/cm、平均粒径D50が0.9μm、90%粒径D90が1.8μm、99%粒径D99が2.3μmであった。
顔料として、ケッチェンブラック(グラファイト)を用いた。顔料の一次粒子の平均粒径D50は20nmであった。
平均粒径D50、90%粒径D90、99%粒径D99は、レーザー回折式粒度分布計で測定した値である。
試料No.1〜5では、上記のSnO−P系ガラス粉末60体積%と耐火性フィラー40体積%を混合して、無機粉末を作製した。次に、無機粉末99.75質量%と顔料0.25質量%を混合して、封着材料を作製した。この封着材料は、ガラス転移点が363℃、軟化点が430℃、密度が3.85g/cmであった。
試料No.6〜10では、上記のBi−B系ガラス粉末75体積%と耐火性フィラー25体積%を混合して、封着材料(無機粉末)を作製した。この封着材料は、ガラス転移点が370℃、軟化点が450℃、密度が5.88g/cmであった。
ガラス転移点は、押棒式TMA装置で測定した値である。なお、測定試料として、封着材料を緻密に焼結させた後、所定形状に加工したものを用いた。
軟化点は、マクロ型DTA装置で測定した値である。測定は、SnO−P系ガラス粉末を用いる場合、窒素雰囲気下で行い、Bi−B系ガラス粉末を用いる場合、大気雰囲気下で行った。また、昇温速度10℃/分で室温から測定を開始した。
次のようにして、封着材料ペーストを作製した。まず粘度が約70Pa・s(25℃、Shear rate:4)になるように、上記の封着材料とビークルを混練した後、更に三本ロールミルで均一になるまで混錬し、ペースト化した。ビークル中の樹脂成分として、ポリエチレンカーボネート(MW:129000)を用い、溶剤成分として、プロピレンカーボネートを用いた。なお、プロピレンカーボネート中にポリエチレンカーボネートを25質量%溶解させたビークルを使用した。次に、縦40mm×横50mm×厚み0.5mmのガラス基板(日本電気硝子株式会社製OA−10G)の周縁部(□33mm)に、上記の封着材料ペーストを厚み:約10μm、幅:約0.6mmになるように、スクリーン印刷機で印刷した上で、大気雰囲気下にて、85℃で15分間乾燥した後、試料No.1〜5では、窒素雰囲気下にて、表中に記載の条件(但し、室温から10℃/分で昇温、室温まで10℃/分で降温)で焼成して、封着材料ペースト中の樹脂成分を焼却除去すると共に、ガラス基板上に封着材料層を形成した。また、試料No.6〜10では、大気雰囲気下にて、表中に記載の条件(但し、室温から10℃/分で昇温、室温まで10℃/分で降温)で焼成して、封着材料ペースト中の樹脂成分を焼却除去すると共に、ガラス基板上に封着材料層を形成した。
続いて、封着材料層上に、予め中央部□30mmにCa膜(膜厚:約100nm)を真空蒸着させた縦50mm×横50mm×厚み0.5mmのガラス基板(日本電気硝子株式会社製OA−10G)を窒素雰囲気下で重なるように配置した後、封着材料層が形成されたガラス基板側から封着材料層に沿って、表中に記載の条件で波長808nmのレーザー光を照射することにより、封着材料層を軟化流動させて、ガラス基板同士を気密封着した。
レーザー光の照射の際に、封着材料層の温度を放射温度計で測温して、レーザー封着温度を測定した。
次のようにして、気密性を評価した。レーザー封着後の試料を温度85℃、湿度85%に設定した乾燥機内に、1000時間投入し、Ca膜の変質を観察した。Ca膜内に白点が見られなかったものを「○」、Ca膜内に白点が見られたものを「×」として評価した。なお、Ca膜は無色透明であるが、Ca膜が水分に触れると、白色のCa(OH)になる。よって、Ca膜の変化を観察することにより、試料内の気密性を評価することが可能である。
表1、2から明らかなように、試料No.1〜3及び6〜8は、気密性の評価でCa膜内に白点が見られなかった。一方、試料No.4、5、9及び10は、気密性の評価でCa膜内に0.5mm程度の白点が数点見られた。この事実は、レーザー封着温度が焼成温度より高いため、レーザー封着の際に、HOガスが封着材料層内から発生して、Ca膜と反応し、Ca(OH)が生成したことによると考えられる。
本発明の電子デバイスの製造方法は、有機ELデバイス以外にも、色素増感型太陽電池等の太陽電池、リチウムイオン二次電池、MEMSパッケージ等の製造方法として好適である。

Claims (10)

  1. レーザー封着により電子デバイスを製造する方法において、
    (1)ガラス基板を用意する工程と、
    (2)ガラス粉末を含む封着材料と、有機バインダーを含むビークルとを混合して、封
    着材料ペーストを作製する工程と、
    (3)前記ガラス基板に前記封着材料ペーストを塗布して、塗布層を形成する工程と、
    (4)前記塗布層を焼成して、封着材料層付きガラス基板を得る工程と、
    (5)前記封着材料層を介して、前記封着材料層付きガラス基板と、封着材料層が形成
    されていないガラス基板とを重ね合わせる工程と、
    (6)レーザー封着温度が焼成温度以下になるように、レーザー光を照射して、前記封
    着材料層付きガラス基板と、前記封着材料層が形成されていないガラス基板とを気密封着
    する工程とを備えることを特徴とする電子デバイスの製造方法。
  2. 前記レーザー封着温度が500℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子デ
    バイスの製造方法。
  3. 前記封着材料が、ガラス粉末を含む無機粉末 97.5〜100質量%と、顔料 0〜
    2.5質量%とを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子デバイスの製造
    方法。
  4. 前記ガラス粉末が、ガラス組成として、下記酸化物換算のモル%で、SnO 35〜7
    0%、P 10〜30%を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に
    記載の電子デバイスの製造方法。
  5. 前記ガラス粉末が、ガラス組成として、下記酸化物換算のモル%で、Bi 20
    〜60%、B 10〜35%、ZnO 5〜40%、CuO+Fe 5〜3
    0%を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の電子デバイスの製造
    方法。
  6. 前記顔料が、C(カーボン)、Co、CuO、Cr、Fe、MnO
    、SnO、Ti2n−1(nは整数)、スピネル系複合酸化物から選ばれる一種又
    は二種以上であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の電子デバイスの製
    造方法。
  7. 前記無機粉末が、更に耐火性フィラーを0.1〜60体積%を含むことを特徴とする請
    求項1〜6の何れか一項に記載の電子デバイスの製造方法。
  8. 前記電子デバイスが、有機ELデバイスであることを特徴とする請求項1〜7の何れか
    一項に記載の電子デバイスの製造方法。
  9. 前記有機バインダーが、脂肪族ポリオレフィン系カーボネートであることを特徴とする
    請求項1〜8の何れか一項に記載の電子デバイスの製造方法。
  10. 前記塗布層の焼成を不活性雰囲気で行うことを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に
    記載の電子デバイスの製造方法。
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