JP2011011925A - 封着材料層付きガラス部材とそれを用いた電子デバイスおよびその製造方法 - Google Patents

封着材料層付きガラス部材とそれを用いた電子デバイスおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】封着材料層のコーナー部へのレーザ照射に起因するガラス基板や封着層のクラックや割れ、また封着ガラスの発泡による気密性の低下等を抑制することを可能にした封着材料層付きガラス部材およびそれを用いた電子デバイスを提供する。
【解決手段】ガラス基板3は封止領域7を備える。ガラス基板3の封止領域7上には、封着ガラスと低膨張充填材とレーザ吸収材とを含有する封着用ガラス材料からなる封着材料層9が設けられている。枠状の封着材料層9は直線部9aとコーナー部9aとで構成されている。封着材料層9は直線部9aのレーザ吸収材の含有量Aに対するコーナー部9Bのレーザ吸収材の含有量Bの比(B/A)が10〜90%の範囲とされている。
【選択図】図5

Description

本発明は封着材料層付きガラス部材とそれを用いた電子デバイスおよびその製造方法に関する。
有機ELディスプレイ(Organic Electro−Luminescence Display:OELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶表示装置(LCD)等の平板型ディスプレイ装置(FPD)では、発光素子を形成した素子用ガラス基板と封止用ガラス基板とを対向配置し、これら2枚のガラス基板を封着したガラスパッケージで発光素子を封止した構造が適用されている。さらに、色素増感型太陽電池のような太陽電池においても、2枚のガラス基板で太陽電池素子(光電変換素子)を封止したガラスパッケージを適用することが検討されている。
2枚のガラス基板間を封止する封着材料には、耐湿性等に優れる封着ガラスの適用が進められている。ただし、封着ガラスによる封着温度は400〜600℃程度であるため、加熱炉を用いて焼成した場合にはOEL素子や太陽電池素子等の電子素子部の特性が劣化してしまう。そこで、2枚のガラス基板の周辺部に設けられた封止領域間にレーザ吸収材を含む封着用ガラス材料層(封着材料層)を配置し、これにレーザ光を照射し加熱、溶融させて封着層を形成することが試みられている(特許文献1参照)。レーザ照射による封着(レーザ封着)は、電子素子部への熱的影響を抑制できるという利点を有する。
FPD等のガラスパッケージでは素子領域の拡大を図るため、主に矩形枠状の封着層が適用されている。このような封着層の形成にレーザ封着を適用する場合には、レーザ光を矩形枠状の封着材料層に沿って走査しながら連続的に照射するため、コーナー部でレーザ光の走査方向(進行方向)が90度変化することになる。コーナー部ではその直前の直線部での速度を急激に減速することになると共に、その直後には速度零から急激に加速することになる。このため、コーナー部におけるレーザ光の照射時間は直線部に比べて長くなり、封着材料層の主成分となる封着ガラスが過剰に加熱し、ガラス基板や封着層にクラックや割れが生じたり、また封着ガラスが発泡して気密性が低下する等の問題が生じる。
このような点に対して、特許文献1にはコーナー部等の曲線部分でレーザ出力を制御することが記載されている。さらに、特許文献1にはレーザ出力を制御している際に、封着用材料層に適切なレーザエネルギーを与え続けるように、レーザビームの移動速度を変化させることが記載されている。しかしながら、この方法ではレーザビームの照射位置が常に移動しているため、レーザビームの照射条件(出力や速度)を変更した箇所と封着ガラスの加熱状態が変化した箇所とが一致せず、ガラス基板や封着層のクラックや割れ、また封着ガラスの発泡による気密性の低下等を再現性よく抑制することができない。
特表2008−527657号公報
本発明の目的は、封着材料層のコーナー部へのレーザ照射に起因するガラス基板や封着層のクラックや割れ、また封着ガラスの発泡による気密性の低下等を再現性よく抑制することを可能にした封着材料層付きガラス部材とそれを用いた電子デバイスとその製造方法を提供することにある。
本発明の態様に係る封着材料層付きガラス部材は、封止領域を備える表面を有するガラス基板と、前記ガラス基板の前記封止領域上に形成され、封着ガラスと低膨張充填材とレーザ吸収材とを含有する封着用ガラス材料の焼成層からなると共に、直線部とコーナー部とで構成された枠状の封着材料層とを具備する封着材料層付きガラス部材であって、前記封着材料層は前記直線部における前記レーザ吸収材の含有量に対する前記コーナー部における前記レーザ吸収材の含有量の比が10〜90%の範囲とされていることを特徴としている。
本発明の態様に係る電子デバイスは、第1の封止領域を備える表面を有する第1のガラス基板と、前記第1の封止領域に対応する第2の封止領域を備える表面を有し、前記表面が前記第1のガラス基板の前記表面と対向するように配置された第2のガラス基板と、前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間に設けられた電子素子部と、前記電子素子部を封止するように、前記第1のガラス基板の前記第1の封止領域と前記第2のガラス基板の前記第2の封止領域との間に形成され、封着ガラスと低膨張充填材とレーザ吸収材とを含有する封着用ガラス材料の溶融固着層からなると共に、直線部とコーナー部とで構成された枠状の封着層とを具備し、前記封着層は前記直線部における前記レーザ吸収材の含有量に対する前記コーナー部における前記レーザ吸収材の含有量の比が10〜90%の範囲とされていることを特徴としている。
本発明の態様に係る電子デバイスの製造方法は、第1の封止領域を備える表面を有する第1のガラス基板を用意する工程と、前記第1の封止領域に対応する第2の封止領域と、前記第2の封止領域上に形成され、封着ガラスと低膨張充填材とレーザ吸収材とを含有する封着用ガラス材料の焼成層からなると共に、直線部とコーナー部とで構成された枠状の封着材料層とを備える表面を有する第2のガラス基板を用意する工程と、前記第1のガラス基板の前記表面と前記第2のガラス基板の前記表面と対向させつつ、前記封着材料層を介して前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板とを積層する工程と、前記第1のガラス基板または前記第2のガラス基板を通して前記封着材料層にレーザ光を照射し、前記封着材料層を溶融させて前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間に設けられた電子素子部を封止する封着層を形成する工程とを具備する電子デバイスの製造方法であって、前記封着材料層は前記直線部における前記レーザ吸収材の含有量に対する前記コーナー部における前記レーザ吸収材の含有量の比が10〜90%の範囲とされていることを特徴としている。
本発明の態様に係る封着材料層付きガラス部材とそれを用いた電子デバイスおよびその製造方法によれば、封着材料層のコーナー部へのレーザ照射に起因するガラス基板や封着層のクラックや割れ、また封着ガラスの発泡による気密性の低下等を再現性よく抑制することができる。従って、封着性、気密性、それらの信頼性等に優れる電子デバイスを再現性よく提供することが可能となる。
本発明の実施形態による電子デバイスの構成を示す断面図である。 本発明の実施形態による電子デバイスの製造工程を示す断面図である。 図2に示す電子デバイスの製造工程で使用する第1のガラス基板を示す平面図である。 図3のA−A線に沿った断面図である。 図2に示す電子デバイスの製造工程で使用する第2のガラス基板を示す平面図である。 図5のA−A線に沿った断面図である。 図5に示す第2のガラス基板における封着材料層の一構成例を拡大して示す平面図である。 図5に示す第2のガラス基板における封着材料層の他の構成例を拡大して示す平面図である。 図5に示す第2のガラス基板における封着材料層のさらに他の構成例を拡大して示す平面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態による電子デバイスの構成を示す図、図2は本発明の実施形態による電子デバイスの製造工程を示す図、図3および図4はそれに用いる第1のガラス基板の構成を示す図、図5および図6はそれに用いる第1および第2のガラス基板の構成を示す図、図7ないし図9は第2のガラス基板における封着材料層の構成例を示す拡大図である。
図1に示す電子デバイス1は、OELD、PDP、LCD等のFPD、OEL素子等の発光素子を使用した照明装置(OEL照明等)、あるいは色素増感型太陽電池のような太陽電池等を構成するものである。電子デバイス1は第1のガラス基板2と第2のガラス基板3とを具備している。第1および第2のガラス基板2、3は、例えば各種公知の組成を有する無アルカリガラスやソーダライムガラス等で構成される。無アルカリガラスは30〜40×10−7/℃程度の熱膨張係数を有している。ソーダライムガラスは80〜90×10−7/℃程度の熱膨張係数を有している。
第1のガラス基板2の表面2aとそれと対向する第2のガラス基板3の表面3aとの間には、電子デバイス1に応じた電子素子部4が設けられている。電子素子部4は、例えばOELDやOEL照明であればOEL素子、PDPであればプラズマ発光素子、LCDであれば液晶表示素子、太陽電池であれば色素増感型太陽電池素子(色素増感型光電変換部素子)を備えている。OEL素子のような発光素子や色素増感型太陽電池素子等を備える電子素子部4は各種公知の構造を有している。この実施形態の電子デバイス1は電子素子部4の素子構造に限定されるものではない。
図1に示す電子デバイス1において、第1のガラス基板2は素子用ガラス基板を構成しており、その表面にOEL素子やPDP素子等の素子構造体が電子素子部4として形成されている。第2のガラス基板3は第1のガラス基板2の表面に形成された電子素子部4の封止用ガラス基板を構成するものである。ただし、電子デバイス1の構成はこれに限られるものではない。例えば、電子素子部4が色素増感型太陽電池素子等の場合には、第1および第2のガラス基板2、3の各表面2a、3aに素子構造を形成する配線膜や電極膜等の素子膜が形成される。電子素子部4を構成する素子膜やそれらに基づく素子構造体は、第1および第2のガラス基板2、3の表面2a、3aの少なくとも一方に形成される。
電子デバイス1の作製に用いられる第1のガラス基板2の表面2aには、図3および図4に示すように、電子素子部4が形成される素子領域5の外周に沿って第1の封止領域6が設けられている。第1の封止領域6は素子領域5を囲うように設けられている。第2のガラス基板3の表面3aには、図5および図6に示すように、第1の封止領域6に対応する第2の封止領域7が設けられている。第1および第2の封止領域6、7は封着層の形成領域(第2の封止領域7については封着材料層の形成領域)となる。なお、第2のガラス基板3の表面3aにも必要に応じて素子領域が設けられる。
第1のガラス基板2と第2のガラス基板3とは、素子領域5や第1の封止領域6を有する表面2aと第2の封止領域7を有する表面3aとが対向するように、所定の間隙を持って配置されている。第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間の間隙は封着層8で封止されている。すなわち、封着層8は電子素子部4を封止するように、第1のガラス基板2の封止領域6と第2のガラス基板3の封止領域7との間に形成されている。電子素子部4は第1のガラス基板2と第2のガラス基板3と封着層8とで構成されたガラスパネルで気密封止されている。封着層8は例えば5〜200μmの範囲の厚さを有する。
電子素子部4としてOEL素子等を適用する場合、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間には一部空間が残存する。そのような空間はそのままの状態であってもよいし、また透明な樹脂等が充填されていてもよい。透明樹脂はガラス基板2、3に接着されていてもよいし、単にガラス基板2、3と接触しているだけであってもよい。また、電子素子部4として色素増感型太陽電池素子等を適用した場合には、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間の間隙全体に電子素子部4が配置される。
封着層8は第2のガラス基板3の封止領域7に形成された封着材料層9をレーザ光で溶融させて第1のガラス基板2の封止領域6に固着させた溶融固着層からなるものである。すなわち、電子デバイス1の作製に用いられる第2のガラス基板3の封止領域7には、図5および図6に示すように枠状の封着材料層9が形成されている。第2のガラス基板3の封止領域7に形成された封着材料層9を、レーザ光の熱で第1のガラス基板2の封止領域6に溶融固着させることによって、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間の空間(素子配置空間)を封止する封着層8が形成される。
封着材料層9は封着ガラスと低膨張充填材とレーザ吸収材とを含有する封着用ガラス材料の焼成層である。封着用ガラス材料は主成分としての封着ガラスにレーザ吸収材と低膨張充填材とを配合したものである。封着用ガラス材料はこれら以外の添加材を必要に応じて含有していてもよい。封着ガラス(ガラスフリット)には、例えば錫−リン酸系ガラス、ビスマス系ガラス、バナジウム系ガラス、鉛系ガラス等の低融点ガラスが用いられる。これらのうち、ガラス基板2、3に対する封着性(接着性)やその信頼性(接着信頼性や密閉性)、さらには環境や人体に対する影響性等を考慮して、錫−リン酸系ガラスやビスマス系ガラスからなる封着ガラスを使用することが好ましい。
錫−リン酸系ガラス(ガラスフリット)は、20〜68質量%のSnO、0.5〜5質量%のSnO2、および20〜40質量%のP25(基本的には合計量を100質量%とする)の組成を有することが好ましい。SnOはガラスを低融点化させるための成分である。SnOの含有量が20質量%未満であるとガラスの粘性が高くなって封着温度が高くなりすぎ、68質量%を超えるとガラス化しなくなる。
SnO2はガラスを安定化するための成分である。SnO2の含有量が0.5質量%未満であると封着作業時に軟化溶融したガラス中にSnO2が分離、析出し、流動性が損なわれて封着作業性が低下する。SnO2の含有量が5質量%を超えると低融点ガラスの溶融中からSnO2が析出しやすくなる。P25はガラス骨格を形成するための成分である。P25の含有量が20質量%未満であるとガラス化せず、その含有量が40質量%を超えるとリン酸塩ガラス特有の欠点である耐候性の悪化を引き起こすおそれがある。
ここで、ガラスフリット中のSnOおよびSnO2の割合(質量%)は以下のようにして求めることができる。まず、ガラスフリット(低融点ガラス粉末)を酸分解した後、ICP発光分光分析によりガラスフリット中に含有されているSn原子の総量を測定する。次に、Sn2+(SnO)は酸分解したものをヨウ素滴定法により求められるので、そこで求められたSn2+の量をSn原子の総量から減じてSn4+(SnO2)を求める。
上記した3成分で形成されるガラスはガラス転移点が低く、低温用の封着材料に適したものであるが、SiO2等のガラスの骨格を形成する成分やZnO、B23、Al23、WO3、MoO3、Nb25、TiO2、ZrO2、Li2O、Na2O、K2O、Cs2O、MgO、CaO、SrO、BaO等のガラスを安定化させる成分等を任意成分として含有していてもよい。ただし、任意成分の含有量が多すぎるとガラスが不安定となって失透が発生したり、またガラス転移点や軟化点が上昇するおそれがあるため、任意成分の合計含有量は30質量%以下とすることが好ましい。この場合のガラス組成は基本成分と任意成分との合計量が基本的には100質量%となるように調整される。
ビスマス系ガラス(ガスフリット)は、70〜90質量%のBi23、1〜20質量%のZnO、および2〜12質量%のB23(基本的には合計量を100質量%とする)の組成を有することが好ましい。Bi23はガラスの網目を形成する成分である。Bi23の含有量が70質量%未満であると低融点ガラスの軟化点が高くなり、低温での封着が困難になる。Bi23の含有量が90質量%を超えるとガラス化しにくくなると共に、熱膨張係数が高くなりすぎる傾向がある。
ZnOは熱膨張係数等を下げる成分である。ZnOの含有量が1質量%未満であるとガラス化が困難になる。ZnOの含有量が20質量%を超えると低融点ガラス成形時の安定性が低下し、失透が発生しやすくなる。B23はガラスの骨格を形成してガラス化が可能となる範囲を広げる成分である。B23の含有量が2質量%未満であるとガラス化が困難となり、12質量%を超えると軟化点が高くなりすぎて、封着時に荷重をかけたとしても低温で封着することが困難となる。
上記した3成分で形成されるガラスはガラス転移点が低く、低温用の封着材料に適したものであるが、Al23、CeO2、SiO2、Ag2O、MoO3、Nb23、Ta25、Ga23、Sb23、Li2O、Na2O、K2O、Cs2O、CaO、SrO、BaO、WO3、P25、SnOx(xは1または2である)等の任意成分を含有していてもよい。ただし、任意成分の含有量が多すぎるとガラスが不安定となって失透が発生したり、またガラス転移点や軟化点が上昇するおそれがあるため、任意成分の合計含有量は30質量%以下とすることが好ましい。この場合のガラス組成は基本成分と任意成分との合計量が基本的には100質量%となるように調整される。
封着用ガラス材料はレーザ吸収材と低膨張充填材とを含有している。レーザ吸収材としてはFe、Cr、Mn、Co、NiおよびCuから選ばれる少なくとも1種の金属または前記金属を含む酸化物等の化合物が用いられる。また、これら以外の顔料であってもよい。低膨張充填材としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、コージェライト、リン酸ジルコニウム系化合物、ソーダライムガラス、および硼珪酸ガラスから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。リン酸ジルコニウム系化合物としては、(ZrO)227、NaZr2(PO43、KZr2(PO43、Ca0.5Zr2(PO43、NbZr(PO43、Zr2(WO3)(PO42、これらの複合化合物が挙げられる。低膨張充填材とは封着ガラスより低い熱膨張係数を有するものである。
低膨張充填材の含有量は、封着ガラスの熱膨張係数がガラス基板2、3の熱膨張係数に近づくように適宜に設定される。低膨張充填材は封着ガラスやガラス基板2、3の熱膨張係数にもよるが、封着用ガラス材料に対して2〜50体積%の範囲で含有させることが好ましい。ガラス基板2、3を無アルカリガラス(熱膨張係数:35〜40×10−7/℃)で形成する場合には、比較的多量(例えば30〜50体積%の範囲)の低膨張充填材を添加することが好ましい。ガラス基板2、3をソーダライムガラス(熱膨張係数:80〜90×10−7/℃)で形成する場合には、比較的少量(例えば2〜40体積%の範囲)の低膨張充填材を添加することが好ましい。
第2のガラス基板3の封止領域7に形成される封着材料層9は、図5に示すように直線部9aとコーナー部9bとで構成された矩形枠状の形状を有している。なお、封着材料層9の形状は直線部9aとコーナー部9bとで構成された枠状であればよく、矩形枠状に限定されるものではない。封着材料層9は矩形以外の多角形状を有していてもよい。このような封着材料層9に沿って走査しながらレーザ光を照射するにあたって、前述したようにレーザ光の走査方向(進行方向)はコーナー部9bで90度変化することになる。
コーナー部9bではその直前の直線部9aでの速度を急激に減速することになると共に、その直後には急激に加速することになる。このため、コーナー部9bにおけるレーザ光の照射時間は直線部9aに比べて長くなる。ここで、封着材料層9の直線部9aに関しては、レーザ光の照射条件に応じた量のレーザ吸収材を含有している必要がある。直線部9aのレーザ吸収材の含有量自体を減少させてしまうと、封着材料層9によるレーザ封着性が低下してしまうためである。具体的には、直線部9aはレーザ吸収材を0.2〜10体積%の範囲で含んでいることが好ましい。
直線部9aのレーザ吸収材の含有量(封着用ガラス材料に対するレーザ吸収材の配合量)が0.2体積%未満であると、レーザ照射時に封着材料層5を十分に溶融させることができず、第1のガラス基板2に対する接着性が低下する。レーザ吸収材の含有量が10体積%を超えると、レーザ照射時に第2のガラス基板3との界面近傍で局所的に発熱して第2のガラス基板3に割れ等が生じたり、また封着用ガラス材料の溶融時の流動性が劣化して第1のガラス基板2との接着性が低下する。
封着材料層9のコーナー部9bにおけるレーザ吸収材の含有量が上述した直線部9aのレーザ吸収材の含有量と同一であると、言い換えるとレーザ吸収材の含有量が一定の封着用ガラス材料で封着材料層9全体を形成すると、上述したようにコーナー部9bにおけるレーザ光の照射時間が直線部9aに比べて長くなることから、直線部9aでは封着材料層9を適度に加熱できるのに対して、コーナー部9bでは封着材料層9の主成分となる封着ガラスが過剰に加熱されてしまう。このため、ガラス基板2、3や封着層8にクラックや割れが生じたり、また封着ガラスが発泡して気密性が低下する等の問題が生じる。
そこで、この実施形態では封着材料層9のコーナー部9bにおけるレーザ吸収材の含有量を直線部9のレーザ吸収材の含有量より減少させている。具体的には、直線部9aのレーザ吸収材の含有量(体積%)Aに対してコーナー部9bのレーザ吸収材の含有量(体積%)Bを10〜90%の範囲で減少させている。すなわち、直線部9aのレーザ吸収材の含有量Aにするコーナー部9bのレーザ吸収材の含有量Bの比(B/A)を10〜90%の範囲としている。コーナー部9bのレーザ吸収材の含有量Bを直線部9aのレーザ吸収材の含有量Aより減らすことによって、コーナー部9bでレーザ光の照射時間が長くなることに起因する封着材料層9の過剰な加熱を抑制することが可能となる。
直線部9aのレーザ吸収材の含有量Aに対するコーナー部9bのレーザ吸収材の含有量Bの比(B/A)が90%を超えると、直線部9aのレーザ吸収材の含有量との差が不十分になるため、コーナー部9bの過剰加熱を十分に抑制することができない。一方、レーザ吸収材の含有量比(B/A)が10%未満であると、コーナー部9bの封着材料層5を十分に溶融させることができず、コーナー部9bのガラス基板2に対する接着性が低下する。このため、コーナー部9bがガラスパネルの気密性を低下させる要因となる。
レーザ吸収材の含有量比(B/A)は25〜75%の範囲とすることがより好ましく、これによりコーナー部9bの過剰加熱の抑制効果と接着性とを良好に両立させることが可能となる。コーナー部9bのレーザ吸収材の含有量Bは、直線部9aのレーザ吸収材の含有量Aに対して10〜90%の範囲で減少させるものである。すなわち、直線部9aのレーザ吸収材の含有量Aはレーザ光の照射条件等に対応しているため、それよりコーナー部9bのレーザ吸収材の含有量Bが少なくなるように含有量比(B/A)を設定する。
上述したように、封着材料層9の直線部9aのレーザ吸収材の含有量Aにするコーナー部9bのレーザ吸収材の含有量Bの比(B/A)を10〜90%の範囲とすることによって、直線部9aのガラス基板2に対する接着性を良好に維持しつつ、コーナー部9bの過剰加熱を抑制することが可能となる。従って、封着材料層9のコーナー部9bの過剰加熱に起因するガラス基板2、3や封着層8にクラックや割れ、また封着ガラスの発泡による気密性の低下等を再現性よく抑制することができる。これらによって、封着性や気密性等に優れるガラスパネル、並びに電子デバイス1を提供することが可能となる。
封着材料層9のコーナー部9bの形状は、特に限定されるものではない。例えば、図7に示す直角形状、図8に示すR形状、図9に示す面取り形状等、各種の形状を有するコーナー部9bを適用することができる。図7に示す直角形状のコーナー部9bの場合には、コーナー部9bを挟んで隣接する2つの直線部9aの外形線と延長した内形線とで囲まれる領域をコーナー部9bとする。図8に示すR形状のコーナー部9bの場合には、R形状とした部分で囲まれる領域(直線部9aの外形線および内形線のR形状の始点部分を結んだ線で囲まれる領域)をコーナー部9bとする。図9に示す面取り形状のコーナー部9bの場合には、面取りとした部分で囲まれる領域をコーナー部9bとする。
ここで、封着材料層9のコーナー部9bの形状を図8に示すようにR形状とする場合、その曲率半径Rを大きくすることによって、コーナー部9bでのレーザ光の速度変化を低減することができる。ただし、この場合には封着材料層9で囲われる領域の面積、すなわち電子素子部4を形成する素子領域5の面積が大幅に減少してしまう。この実施形態のように、コーナー部9bのレーザ吸収材の含有量Bを直線部9aのレーザ吸収材の含有量Aより減らすことによって、素子領域5の面積を確保しつつコーナー部9bでの過剰加熱を抑制することができる。また、レーザ光の照射条件は一定に保つことができるため、レーザ光の照射条件制御に伴う誤操作や誤作動等を防止することができる。
なお、封着材料層9のコーナー部9bのレーザ吸収材の含有量Bは、直線部9aのレーザ吸収材の含有量Aに対して一律に減少させなければならないものではない。例えば、は、直線部9aからコーナー部9bにかけてレーザ吸収材の含有量を連続的に減少させたり、また段階的に減少させるようにしてもよい。レーザ吸収材の含有量を連続的または段階的に減少させる領域は、直線部9aおよびコーナー部9bのいずれに設けてもよい。
上述した実施形態の電子デバイス1は、例えば以下のようにして作製される。まず、図2(a)、図5および図6に示すように、第2のガラス基板3の封止領域7上に封着材料層9を形成する。封着材料層9の形成にあたっては、まずレーザ光10の照射条件に応じてレーザ吸収材を配合した直線部9a用の封着用ガラス材料を作製する。次いで、直線部9a用の封着用ガラス材料よりレーザ吸収材の含有量を減らしたコーナー部9b用の封着用ガラス材料を作製する。各材料のレーザ吸収材の含有量は上述した通りである。
次に、各封着用ガラス材料をビヒクルと混合することによって、直線部9a用およびコーナー部9b用の封着材料ペーストを調製する。ビヒクルとしては、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、オキシエチルセルロース、ベンジルセルロース、プロピルセルロース、ニトロセルロース等の樹脂を、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等の溶剤に溶解したもの、またメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリテート、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート等のアクリル系樹脂を、メチルエチルケトン、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等の溶剤に溶解したもの等が用いられる。
封着材料ペーストの粘度は、ガラス基板3に塗布する装置に対応した粘度に合わせればよく、樹脂(バインダ成分)と溶剤の割合や封着用ガラス材料とビヒクルの割合により調整することができる。封着材料ペーストには、消泡剤や分散剤のようにガラスペーストで公知の添加物を加えてもよい。封着材料ペーストの調製には、撹拌翼を備えた回転式の混合機やロールミル、ボールミル等を用いた公知の方法を適用することができる。
次に、例えば直線部9a用の封着材料ペーストを用いて、第2のガラス基板3の封止領域7に塗布し、これを乾燥させて直線部9a用封着材料ペーストの塗布層を形成する。次いで、コーナー部9b用の封着材料ペーストを用いて、第2のガラス基板3の封止領域7に塗布し、これを乾燥させてコーナー部9b用封着材料ペーストの塗布層を形成する。直線部9a用封着材料ペーストとコーナー部9b用封着材料ペーストを塗布する順番は特に限定されるものではなく、コーナー部9b用封着材料ペーストを先に塗布してもよい。
直線部9a用封着材料ペーストとコーナー部9b用封着材料ペーストは、例えばスクリーン印刷を適用する場合には直線部9a用のスクリーンとコーナー部9b用のスクリーンを使い分けることによって、それぞれ直線部9aとコーナー部9bとに塗布する。また、ディスペンサ等を用いて塗布する場合には、2ヘッドのディスペンサを用いて直線部9a用封着材料ペーストとコーナー部9b用封着材料ペーストとを塗り分ける。また、直線部9a用封着材料ペーストとコーナー部9b用封着材料ペーストとを塗り分けることができれば、これら以外の方法で塗布してもよい。
封着材料ペーストの塗布層は、例えば120℃以上の温度で10分以上乾燥させる。乾燥工程は塗布層内の溶剤を除去するために実施するものである。塗布層内に溶剤が残留していると、その後の焼成工程でバインダ成分を十分に除去できないおそれがある。この際に、直線部9a用封着材料ペーストの塗布層とコーナー部9b用封着材料ペーストの塗布層との境界にレーザ吸収材の濃度勾配を生じさせることによって、封着材料層9による封着層8の形成性、封着層8による気密性等を高めることができる。また、場合によっては直線部9a用封着材料ペーストとコーナー部9b用封着材料ペーストとを順に塗布した後に、これらの塗布層を一括して乾燥させてもよい。
上述したような封着材料ペーストの塗布層を焼成して封着材料層9を形成する。焼成工程は、まず塗布層を封着用ガラス材料の主成分である封着ガラス(ガラスフリット)のガラス転移点以下の温度に加熱し、塗布層内のバインダ成分を除去した後、封着ガラスの軟化点以上の温度に加熱し、封着用ガラス材料を溶融してガラス基板3に焼き付ける。このようにして、直線部9aのレーザ吸収材の含有量Aに対するコーナー部9bのレーザ吸収材の含有量Bの比(B/A)が10〜90%の範囲の封着材料層9を形成する。
次に、第2のガラス基板3とは別に作製した第1のガラス基板2を用意し、これらガラス基板2、3を用いて、OELD、PDP、LCD等のFPD、OEL素子を用いた照明装置、色素増感型太陽電池のような太陽電池等の電子デバイス1を作製する。すなわち、図2(b)に示すように、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3とを、それらの表面2a、3a同士が対向するように封着材料層6を介して積層する。第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間には、封着材料層6の厚さに基づいて間隙が形成される。
次に、図2(c)に示すように、第2のガラス基板3を通して封着材料層9にレーザ光10を照射する。なお、レーザ光10は第1のガラス基板2を通して封着材料層9に照射してもよい。レーザ光10は枠状の封着材料層9に沿って走査しながら照射される。この際、封着材料層9のコーナー部9bのレーザ吸収材の含有量Bを直線部9aのレーザ吸収材の含有量Aより減らしているため、レーザ光10は出力等を変化させることなく、一定の条件で照射することができる。そして、封着材料層9の全周にわたってレーザ光10を照射することによって、図2(d)に示すように第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間を封止する封着層8を形成する。
このようにして、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3と封着層8とで構成したガラスパネルで、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間に配置された電子素子部4を気密封止した電子デバイス1を作製する。なお、この実施形態のガラスパネルは電子デバイス1の構成部品に限られるものではなく、電子部品の封止体、あるいは真空ペアガラスのようなガラス部材(建材等)にも応用することが可能である。
レーザ光10は特に限定されるものではなく、半導体レーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、YAGレーザ、HeNeレーザ等からのレーザ光が使用される。レーザ光10の出力は封着材料層9の組成や厚さ等に応じて適宜に設定されるものであるが、例えば2〜150Wの範囲とすることが好ましい。レーザ出力が2W未満であると封着材料層9を溶融できないおそれがあり、また150Wを超えるとガラス基板2、3にクラックや割れ等が生じやすくなる。レーザ光の出力は5〜100Wの範囲であることがより好ましい。
この実施形態の電子デバイス1とその製造工程によれば、封着材料層9のコーナー部9bへのレーザ光10の照射に起因するガラス基板2、3や封着層9のクラックや割れ、また封着ガラスの発泡による気密性の低下等が再現性よく抑制される。従って、電子デバイス1(ガラスパネル)のレーザ封着工程の歩留りを高めると共に、電子デバイス1(ガラスパネル)の気密性やその信頼性等を向上させることができる。これらによって、信頼性に優れる電子デバイス1を高歩留りで作製することが可能となる。
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。なお、以下の説明は本発明を限定するものではく、本発明の趣旨に沿った形での改変が可能である。
(実施例1)
まず、SnO59.3質量%、SnO20.8質量%、P2533.3質量%、ZnO6.0質量%、SiO20.6質量%の組成を有する錫−リン酸系ガラスフリット(軟化点:367℃)と、低膨張充填材として平均粒径(D50)が12μmのコージェライト粉末と、Fe23−Cr23−Co23−MnO組成を有し、平均粒径(D50)が6μmのレーザ吸収材とを用意した。
上述した錫−リン酸系ガラスフリット53.0体積%とコージェライト粉末44.0体積%とレーザ吸収材3.0体積%とを混合して直線部用の封着用ガラス材料(熱膨張係数:44×10-7/℃)を作製した。同様に、錫−リン酸系ガラスフリット53.8体積%とコージェライト粉末44.7体積%とレーザ吸収材1.5体積%とを混合してコーナー部用の封着用ガラス材料(熱膨張係数:44×10-7/℃)を作製した。直線部用の封着用ガラス材料のレーザ吸収材の含有量A(3.0体積%)に対するコーナー部用の封着用ガラス材料のレーザ吸収材の含有量B(1.5体積%)の比(B/A)は50%である。
次いで、直線部用の封着用ガラス材料80質量%をビヒクル20質量%と混合して直線部用の封着材料ペーストを調製した。同様に、コーナー部用の封着用ガラス材料80質量%をビヒクル20質量%と混合してコーナー部用の封着材料ペーストを調製した。なお、ビヒクルはバインダ成分としてのニトロセルロース3質量%をブチルカルビトールアセテートからなる溶剤97質量%に溶解したものである。
次に、無アルカリガラス(熱膨張係数:38×10-7/℃)からなる第2のガラス基板(寸法:90×90×0.7mmt)を用意し、このガラス基板の封止領域の直線部に直線部用封着材料ペーストをスクリーン印刷法で塗布した後、130℃×5分の条件で乾燥させた。次いで、封止領域のコーナー部にスクリーンを変えてコーナー部用封着材料ペーストを塗布した後、130℃×5分の条件で乾燥させた。このような塗布層を430℃×10分の条件で焼成して封着材料層を形成した。
封着材料層の形状(封着材料ペーストの塗布層を焼成した後の形状)は、長辺70mm、短辺50mm、線幅1mmの矩形枠状とした。各コーナー部はR形状とした。コーナー部のR形状は、内側の曲率半径Rが2.5mm、外側の曲率半径Rが3.5mmとした。また、封着材料層の膜厚は直線部およびコーナー部共に45μmとした。
上述した封着材料層を有する第2のガラス基板と素子領域(OEL素子を形成した領域)を有する第1のガラス基板(第2のガラス基板と同組成、同形状の無アルカリガラスからなる基板)とを積層した。次いで、第2のガラス基板を通して封着材料層に対して、波長940nm、出力65Wのレーザ光(半導体レーザ)を10mm/sの走査速度で照射し、封着材料層を溶融並びに急冷固化することによって、第1のガラス基板と第2のガラス基板とを封着した。このようにして、素子領域をガラスパネルで封止した電子デバイスを後述する特性評価に供した。
(実施例2〜5)
コーナー部用の封着用ガラス材料の配合割合を表1に示す条件に変更する以外は、実施例1と同様にして、第2のガラス基板に対する封着材料層の形成工程、第1のガラス基板と第2のガラス基板とのレーザ封着工程を実施し、それぞれ素子領域をガラスパネルで封止した電子デバイスを作製した。直線部用の封着用ガラス材料のレーザ吸収材の含有量Aに対するコーナー部用の封着用ガラス材料のレーザ吸収材の含有量Bの比(B/A)は表1に示す通りである。各電子デバイス(ガラスパネル)を後述する特性評価に供した。
(比較例1〜2)
コーナー部用の封着用ガラス材料の配合割合を表1に示す条件に変更する以外は、実施例1と同様にして、第2のガラス基板に対する封着材料層の形成工程、第1のガラス基板と第2のガラス基板とのレーザ封着工程を実施し、それぞれ素子領域をガラスパネルで封止した電子デバイスを作製した。直線部用の封着用ガラス材料のレーザ吸収材の含有量Aに対するコーナー部用の封着用ガラス材料のレーザ吸収材の含有量Bの比は表1に示す通りである。比較例1はB/A比を95%としたものであり、比較例2はB/A比を8%としたものである。各電子デバイス(ガラスパネル)を後述する特性評価に供した。
(比較例3〜5)
実施例1と同一組成の錫−リン酸系ガラスフリット54.6体積%とコージェライト粉末45.25体積%とレーザ吸収材0.15体積%とを混合して封着用ガラス材料を作製した。この封着用ガラス材料を用いて封着材料ペーストを調製した。このような1種類の封着材料ペーストのみを用いる以外は、実施例1と同様にして、第2のガラス基板に対する封着材料層の形成工程、第1のガラス基板と第2のガラス基板とのレーザ封着工程を実施して電子デバイスを作製し、後述する特性評価に供した。
次に、実施例1〜5および比較例1〜5のガラスパネルの外観について、レーザ光の照射終了時点における基板割れや封着層のクラックを評価した。外観は光学顕微鏡を用いて封着層の直線部とコーナー部をそれぞれ観察して評価した。また、各ガラスパネルの気密性を測定した。気密性はヘリウムリークテストを適用して評価した。これらの測定・評価結果をガラスパネルの製造条件と併せて表1および表2に示す。
Figure 2011011925
Figure 2011011925
表1および表2から明らかなように、実施例1〜5によるガラスパネルはいずれも外観や気密性に優れており、コーナー部に起因する不良の発生は認められなかった。これらに対し、レーザ吸収材の含有量比(B/A)が90%を超える比較例1では、コーナー部の過剰加熱に起因するクラックや発泡が認められた。レーザ吸収材の含有量比(B/A)が10%未満の比較例2では、コーナー部で加熱不足に起因して接着不良が生じた。直線部を含めてレーザ吸収材量を減らした比較例3〜5は、レーザ光の照射条件を変えても良好な封着状態を得ることができなった。各比較例ではいずれも気密性が得られなかった。
1…電子デバイス、2…第1のガラス基板、2a…表面、3…第2のガラス基板、3a…表面、4…電子素子部、5…素子領域、6…第1の封止領域、7…第2の封止領域、8…封着層、9…封着材料層、10…レーザ光。

Claims (10)

  1. 封止領域を備える表面を有するガラス基板と、
    前記ガラス基板の前記封止領域上に形成され、封着ガラスと低膨張充填材とレーザ吸収材とを含有する封着用ガラス材料の焼成層からなると共に、直線部とコーナー部とで構成された枠状の封着材料層とを具備する封着材料層付きガラス部材であって、
    前記封着材料層は前記直線部における前記レーザ吸収材の含有量に対する前記コーナー部における前記レーザ吸収材の含有量の比が10〜90%の範囲とされていることを特徴とする封着材料層付きガラス部材。
  2. 前記封着材料層の前記直線部は前記レーザ吸収材の含有量が0.2〜10体積%の範囲であることを特徴とする請求項1記載の封着材料層付きガラス部材。
  3. 前記封着材料層は前記低膨張充填材を2〜50体積%の範囲で含有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の封着材料層付きガラス部材。
  4. 前記レーザ吸収材はFe、Cr、Mn、Co、NiおよびCuから選ばれる少なくとも1種の金属または前記金属を含む化合物からなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の封着材料層付きガラス部材。
  5. 前記低膨張充填材はシリカ、アルミナ、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、コージェライト、リン酸ジルコニウム系化合物、ソーダライムガラスおよび硼珪酸ガラスから選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の封着材料層付きガラス部材。
  6. 前記封着ガラスは錫−リン酸系ガラスまたはビスマス系ガラスからなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の封着材料層付きガラス部材。
  7. 第1の封止領域を備える表面を有する第1のガラス基板と、
    前記第1の封止領域に対応する第2の封止領域を備える表面を有し、前記表面が前記第1のガラス基板の前記表面と対向するように配置された第2のガラス基板と、
    前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間に設けられた電子素子部と、
    前記電子素子部を封止するように、前記第1のガラス基板の前記第1の封止領域と前記第2のガラス基板の前記第2の封止領域との間に形成され、封着ガラスと低膨張充填材とレーザ吸収材とを含有する封着用ガラス材料の溶融固着層からなると共に、直線部とコーナー部とで構成された枠状の封着層とを具備し、
    前記封着層は前記直線部における前記レーザ吸収材の含有量に対する前記コーナー部における前記レーザ吸収材の含有量の比が10〜90%の範囲とされていることを特徴とする電子デバイス。
  8. 前記封着層の前記直線部は前記レーザ吸収材の含有量が0.2〜10体積%の範囲であることを特徴とする請求項7記載の電子デバイス。
  9. 第1の封止領域を備える表面を有する第1のガラス基板を用意する工程と、
    前記第1の封止領域に対応する第2の封止領域と、前記第2の封止領域上に形成され、封着ガラスと低膨張充填材とレーザ吸収材とを含有する封着用ガラス材料の焼成層からなると共に、直線部とコーナー部とで構成された枠状の封着材料層とを備える表面を有する第2のガラス基板を用意する工程と、
    前記第1のガラス基板の前記表面と前記第2のガラス基板の前記表面と対向させつつ、前記封着材料層を介して前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板とを積層する工程と、
    前記第1のガラス基板または前記第2のガラス基板を通して前記封着材料層にレーザ光を照射し、前記封着材料層を溶融させて前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間に設けられた電子素子部を封止する封着層を形成する工程とを具備する電子デバイスの製造方法であって、
    前記封着材料層は前記直線部における前記レーザ吸収材の含有量に対する前記コーナー部における前記レーザ吸収材の含有量の比が10〜90%の範囲とされていることを特徴とする電子デバイスの製造方法。
  10. 前記封着材料層の前記直線部は前記レーザ吸収材の含有量が0.2〜10体積%の範囲であることを特徴とする請求項9記載の電子デバイスの製造方法。
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