JP2014229375A - 電子デバイスとその製造方法、および電子デバイス製造装置 - Google Patents

電子デバイスとその製造方法、および電子デバイス製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】封着層を良好に、かつ効率的に形成できる電子デバイスの製造方法を提供する。【解決手段】電子デバイスの製造方法は、積層工程と、封着工程とを有する。積層工程は、第1の封止領域を有する第1の表面を有する第1の基板と、この第1の封止領域に対応する第2の封止領域を有する第2の表面を有する第2の基板とを、第1の表面と第2の表面とが対向するように、かつ第1の封止領域と第2の封止領域との間に封着ガラスおよびレーザ吸収材を含む封着材料の焼成層である封着材料層を介して積層して組立体とする。封着工程は、封着材料層の1組の対辺の一方の対辺から他方の対辺にかけて、これらの対辺の長さ以上の長さを有するレーザ光を走査しながら照射して、封着材料層を溶融させて第1の基板と第2の基板との間に封着層を形成する。【選択図】図6

Description

本発明は、電子デバイスとその製造方法、および電子デバイス製造装置に関する。
有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescence Display:OELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)等の平板型ディスプレイ装置(FPD)は、1対のガラス基板が封着されたガラスパッケージにより発光素子が封止された構造を有する。また、液晶表示装置(LCD)についても、1対のガラス基板間に液晶が封止された構造を有する。さらに、有機薄膜太陽電池や色素増感型太陽電池等の太陽電池においても、1対のガラス基板間に太陽電池素子(光電変換素子)が封止された構造を有する。
封着には、封着ガラスが好適に用いられる。封着ガラスによる封着は、例えば、1対のガラス基板を封着ガラスを含む封着材料層を介して積層してガラス組立体とした後、封着材料層を400〜600℃に加熱して行う。この際、焼成炉を用いてガラス組立体の全体を加熱すると、加熱により発光素子等の電子素子部が損傷しやすい。このため、レーザ光を用いて、封着材料層のみを加熱するレーザ封着の適用が検討されている。
レーザ封着は、例えば以下のように行われる。まず、封着ガラスをビヒクルと混合して封着材料ペーストを調製する。この封着材料ペーストを電子素子部が搭載されない一方のガラス基板の枠状の封止領域に塗布して枠状塗布層とし、この枠状塗布層を封着ガラスの焼成温度(封着ガラスの軟化温度以上の温度)まで加熱する。これにより、封着ガラスが溶融し、ガラス基板に焼き付けられて封着材料層が形成される。次いで、この封着材料層を有するガラス基板と、電子素子部が搭載された他方のガラス基板とを封着材料層を介して積層してガラス組立体とした後、ガラス基板を通して封着材料層にレーザ光を照射して封着材料層を加熱および溶融させる。これにより、1対のガラス基板が封着ガラスからなる封着層により接合される。
従来、レーザ光として封着材料層の幅と同程度か僅かに大きい点状の照射形状を有するものを用いて、封着材料層に沿って1周するように走査しながら照射して封着層を形成している(例えば、特許文献1参照)。
また、封着材料層を1周するようにレーザ光を走査しながら照射した場合、照射開始位置付近または照射終了位置付近の残留応力により損傷等が発生することから、照射開始位置付近または照射終了位置付近でレーザ光の出力を低減することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、封着時の過度な加熱による電子素子部の損傷等を抑制するために、封着材料層に対応する部分にスリット状の透明領域を有するマスクを介してレーザ光を照射することが知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2006−524419号公報 特開2008−527655号公報 特開2008−532207号公報
しかしながら、封着材料層を1周するようにレーザ光を走査しながら照射する場合、照射開始位置付近または照射終了位置付近に繋ぎ目が発生しやすく、気密性、接着強度、製造歩留等が低下しやすい。照射開始位置付近または照射終了位置付近でレーザ光の出力を低減することも知られているが、必ずしも調整が容易でなく、調整が適切に行われないと溶融状態の異なる領域が発生して、気密性、接着強度、製造歩留等が低下する。
また、封着材料層を1周するようにレーザ光を走査しながら照射する場合、封着層の形成に時間がかかる。特に、1対のガラス基板間に多数の封着材料層が形成される場合、多数の封着材料層について順次1周するようにレーザ光を走査しながら照射する必要があり、多くの時間を要する。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、封着層を良好に、かつ効率的に形成できる電子デバイスの製造方法の提供を目的とする。また、このような製造方法により製造された電子デバイス、このような製造方法に用いられる電子デバイス製造装置の提供を目的とする。
本発明の電子デバイスの製造方法は、積層工程と、封着工程とを有する。積層工程は、第1の封止領域を有する第1の表面を有する第1の基板と、この第1の封止領域に対応する第2の封止領域を有する第2の表面を有する第2の基板とを、第1の表面と第2の表面とが対向するように、かつ第1の封止領域と第2の封止領域との間に封着ガラスおよびレーザ吸収材を含む封着材料の焼成層である封着材料層を介して積層して組立体とする。封着工程は、封着材料層の1組の対辺の一方の対辺から他方の対辺にかけて、これらの対辺の長さ以上の長さを有するレーザ光を走査しながら照射して、封着材料層を溶融させて第1の基板と第2の基板との間に封着層を形成する。
本発明の電子デバイスは、第1の封止領域を有する第1の表面を有する第1の基板と、第1の封止領域に対応する第2の封止領域を有する第2の表面を有し、第1の表面と第2の表面とが対向するように配置された第2の基板と、第1の封止領域と第2の封止領域との間に配置された封着層とを有し、本発明の電子デバイスの製造方法により製造される。
本発明の電子デバイス製造装置は、試料台と、レーザ光源と、レーザ照射ヘッドと、出力制御部と、移動機構と、走査制御部とを有する。試料台は、組立体が載置される。組立体は、第1の封止領域を有する第1の表面を有する第1の基板と、この第1の封止領域に対応する第2の封止領域を有する第2の表面を有する第2の基板とが、第1の表面と第2の表面とが対向するように、かつ第1の封止領域と第2の封止領域との間に封着ガラスおよびレーザ吸収材を含む封着材料の焼成層である封着材料層を介して積層される。
レーザ光源は、レーザ光を出射する。レーザ照射ヘッドは、レーザ光源から出射されたレーザ光を封着材料層の1組の対辺の長さ以上の長さを有する形状に照射する光学系を有する。出力制御部は、レーザ照射ヘッドから封着材料層に照射されるレーザ光の出力を制御する。移動機構は、試料台とレーザ照射ヘッドとの位置を相対的に移動させる。走査制御部は、上記した1組の対辺の一方の対辺から他方の対辺にかけてレーザ光を走査するように移動機構を制御する。
本発明によれば、封着層を良好に、かつ効率的に形成できる電子デバイスの製造方法を提供できる。また、このような製造方法により製造された電子デバイス、およびこのような製造方法に用いられる電子デバイス製造装置を提供できる。
電子デバイスの製造工程を示す断面図である。 電子素子部を有する第1の基板を示す平面図である。 図2に示す第1の基板のA−A線断面図である。 封着材料層を有する第2の基板を示す平面図である。 図4に示す第2の基板のB−B線断面図である。 レーザ光の照射方法の一例を示す外観図である。 図6に示すレーザ光の照射方法の平面図である。 レーザ光の照射方法の第1の変形例を示す平面図である。 レーザ光の照射方法の第2の変形例を示す平面図である。 レーザ光の照射方法の第3の変形例を示す平面図である。 図10に示すレーザ光の照射方法の断面図である。 レーザ光の照射方法の第4の変形例を示す断面図である。 電子デバイス製造装置の一実施形態を示す平面図である。 図13に示す製造装置の正面図である。 レーザ照射ヘッドの一実施形態を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
図1〜6は、電子デバイスの製造工程の一実施形態を示す図である。
電子デバイスとしては、例えば、OELD、FED、PDP、LCD等のFPD、OEL素子等の発光素子を使用した照明装置、色素増感型太陽電池、薄膜シリコン太陽電池、化合物半導体系太陽電池等の封止型の太陽電池が挙げられる。
電子デバイスは、例えば以下のようにして製造される。まず、図1(a)に示すように、第1の基板1と第2の基板2とを用意する。そして、第1の基板1に電子素子部4を搭載するとともに、第2の基板2に封着材料層7を形成した後、図1(b)に示すように、第1の基板1と第2の基板2とを、表面1a、2aが対向するように封着材料層7を介して積層して組立体10とする(積層工程)。
さらに、図1(c)に示すように、組立体10の第2の基板2を通して、封着材料層7にレーザ光11を照射する。これにより、図1(d)に示すように、第1の基板1と第2の基板2との間に封着層12を形成して、第1の基板1と第2の基板2との間に電子素子部4が気密封止された電子デバイス13を製造する(封着工程)。
以下、電子デバイスの製造工程について具体的に説明する。
第1および第2の基板1、2には、例えば、公知の組成を有する無アルカリガラスやソーダライムガラス等からなるガラス基板が用いられる。また、第1および第2の基板1、2には、必要に応じて、ガラス中にセラミックス粉末が分散されたガラスセラミックスからなるガラスセラミックス基板等が用いられる。
無アルカリガラスは30〜50×10−7/K程度の熱膨張係数を有する。ソーダライムガラスは80〜90×10−7/K程度の熱膨張係数を有する。無アルカリガラスの代表的なガラス組成としては、質量%表示で、SiO 50〜70%、Al 1〜20%、B 0〜15、MgO 0〜30%、CaO 0〜30%、SrO 0〜30%、BaO 0〜30%を含有するものが挙げられる。ソーダライムガラスの代表的なガラス組成としては、質量%表示で、SiO 55〜75%、Al 0.5〜10%、CaO 2〜10%、SrO 0〜10%、NaO 1〜10%、KO 0〜10%を含有するものが挙げられる。なお、ガラス組成は、これらに限定されない。また、第1および第2の基板1、2の少なくとも一方は化学強化ガラス等でもよい。
図2、3に示すように、第1の基板1は、素子形成領域3が設けられた表面1aを有する。素子形成領域3には対象物である電子デバイスに応じた電子素子部4が設けられる。電子素子部4は、例えば、OELDやOEL照明であればOEL素子、FEDであれば電子放出素子、PDPであればプラズマ発光素子、LCDであれば液晶表示素子、太陽電池であれば太陽電池素子を備える。電子素子部4は、公知の素子構造を有し、その素子構造は特に限定されない。第1の基板1の表面1aの周辺部には、素子形成領域3の外周に沿って矩形枠状または円形枠状の第1の封止領域5が設けられる。
本明細書で使用する「矩形枠状」とは、四角形を形成する4本の直線を交差して得られるものだけでなく、4本の直線の交差部に湾曲部が形成されるものも含む。また、長円形状のものや、対向する2本の直線の両端をそれぞれ湾曲部で接合したものも含む。
図4、5に示すように、第2の基板2は、第1の基板1の表面1aと対向する表面2aを有する。表面2aの周辺部には、第1の封止領域5に対応する枠状の第2の封止領域6が設けられる。第1の封止領域5および第2の封止領域6は、封着層の形成領域となる。第2の封止領域6は、さらに封着材料層7の形成領域となる。
電子素子部4は、第1の基板1の表面1aと第2の基板2の表面2aとの間に封止される。図1に示す電子デバイスの製造工程では、第1の基板1は、その表面1aに電子素子部4が設けられる素子用ガラス基板である。第2の基板2は、第1の基板1の表面1aに形成された電子素子部4を封止する封止用ガラス基板である。ただし、電子素子部4の構成はこれに限られるものではない。
例えば、電子素子部4が色素増感型太陽電池素子等の場合、第1および第2の基板1、2の各表面1a、2aに素子構造体を構成する配線膜や電極膜等の素子膜が形成される。電子素子部4を構成する素子膜やそれらに基づく素子構造体は、第1および第2の基板1、2の表面1a、2aの少なくとも一方に形成される。さらに、封止用ガラス基板を構成する第2の基板2の表面2aには、必要に応じて、カラーフィルタ等の有機樹脂膜が形成される。
第2の基板2の封止領域6には、図1(a)、図4、および図5に示すように、第2の基板2の周辺部の全周に封着材料層7が形成される。封着材料層7は、封着ガラスとレーザ吸収材とを含む封着材料の焼成層である。封着材料は、必要に応じて低膨張充填材等の無機充填材を含み、さらにこれら以外の充填材や添加材を含む。
封着ガラスには、例えば錫−リン酸系ガラス、ビスマス系ガラス、バナジウム系ガラス、鉛系ガラス等の低融点ガラスが用いられる。これらのうち、第1および第2の基板1、2に対する封着性(接着性)やその信頼性(接着信頼性や密閉性)、さらには環境や人体に対する影響性等を考慮して、錫−リン酸系ガラスやビスマス系ガラスからなる低融点の封着ガラスが好ましい。
錫−リン酸系ガラスは、55〜68モル%のSnO、0.5〜5モル%のSnO、および20〜40モル%のP(基本的には合計量を100モル%とする)を含む組成が好ましい。
上記した3成分で形成されるガラスは、ガラス転移点が低く、低温用の封着材料に適したものであるが、SiO等のガラスの骨格を形成する成分やZnO、B、Al、WO、MoO、Nb、TiO、ZrO、LiO、NaO、KO、CsO、MgO、CaO、SrO、BaO等のガラスを安定化させる成分等を任意成分として含有していてもよい。ただし、任意成分の含有量が多すぎると、ガラスが不安定となって失透が発生し、またガラス転移点や軟化点が上昇するおそれがあるため、任意成分の合計含有量は30モル%以下が好ましい。この場合のガラス組成は、基本成分と任意成分との合計量が基本的には100モル%となるように調整される。
ビスマス系ガラスは、70〜90質量%のBi、1〜20質量%のZnO、および2〜12質量%のB(基本的には合計量を100質量%とする)の組成を有することが好ましい。
上記した3成分で形成されるガラスはガラス転移点が低く、低温用の封着材料に適したものであるが、Al、CeO、SiO、AgO、MoO、Nb、Ta、Ga、Sb、LiO、NaO、KO、CsO、CaO、SrO、BaO、WO、P、SnOx(xは1または2である)等の任意成分を含有してもよい。ただし、任意成分の含有量が多すぎるとガラスが不安定となって失透が発生し、またガラス転移点や軟化点が上昇するおそれがあるため、任意成分の合計含有量は30質量%以下が好ましい。この場合のガラス組成は、基本成分と任意成分との合計量が基本的には100質量%となるように調整される。
封着材料はレーザ吸収材を含有する。レーザ吸収材として、例えば、Fe、Cr、Mn、Co、Ni、およびCuから選ばれる少なくとも1種の金属、および/または上記金属を含む酸化物等の金属化合物の少なくとも1種が用いられる。また、これら以外の顔料、例えば、バナジウムの酸化物(具体的にはVO、VOおよびV)でもよい。
レーザ吸収材の含有量は、封着材料に対して0.1〜40体積%の範囲が好ましい。レーザ吸収材の含有量が0.1体積%未満であると封着材料層7を十分に溶融させることができないおそれがある。レーザ吸収材の含有量が40体積%を超えると第2の基板2との界面近傍で局所的に発熱するおそれがあり、また封着材料の溶融時の流動性が劣化して第1の基板1との接着性が低下するおそれがある。レーザ吸収材の含有量は、好ましくは37体積%以下である。
封着ガラス、レーザ吸収材、および低膨張充填材は、それぞれ粉末状、または粒子状である。以下、封着ガラス粉末を単に封着ガラスと、レーザ吸収材粒子またはレーザ吸収材粉末を単にレーザ吸収材と、また低膨張充填材粒子または低膨張充填材粉末を単に低膨張充填材と記す場合がある。
封着材料は、必要に応じて、封着ガラスより低い熱膨張係数を有する低膨張充填材を含有する。低膨張充填材としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、チタン酸アルミニウム、ムライト、コージェライト、ユークリプタイト、スポジュメン、リン酸ジルコニウム系化合物、石英固溶体、ソーダライムガラス、および硼珪酸ガラスから選ばれる少なくとも1種が好ましい。リン酸ジルコニウム系化合物としては、(ZrO)、NaZr(PO、KZr(PO、Ca0.5Zr(PO、NbZr(PO、Zr(WO)(PO、またはこれらの複合化合物が挙げられる。
低膨張充填材の含有量は、封着ガラスの熱膨張係数が第1および第2の基板1、2の熱膨張係数に近づくように設定することが好ましい。具体的には、封着ガラス、第1および第2の基板1、2の熱膨張係数にもよるが、封着材料に対して0.1〜50体積%の範囲が好ましい。含有量は、封着材料層7の厚さ等によっても適宜変更できる。ただし、含有量が50体積%を超えると、封着材料の溶融時の流動性が劣化して第1の基板1との接着性が低下するおそれがある。好ましくは45体積%以下である。レーザ吸収材との合計含有量として封着材料の特性に影響するため、これらの合計含有量は0.1〜50体積%が好ましい。
封着ガラスにレーザ吸収材や低膨張充填材等を配合して封着材料とする。また、封着材料をビヒクルと混合して封着材料ペーストを調製する。
ビヒクルは、有機バインダを溶剤に溶解して調製する。有機バインダとしては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、オキシエチルセルロース、ベンジルセルロース、プロピルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等のアクリル系モノマーの1種以上を重合して得られるアクリル系樹脂等の有機樹脂が用いられる。溶剤としては、セルロース系樹脂の場合は、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等の溶剤が、アクリル系樹脂の場合は、メチルエチルケトン、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等の溶剤が用いられる。
封着材料ペーストの粘度は、塗布装置に対応した粘度に合わせればよく、有機バインダと溶剤との割合や、封着材料とビヒクルとの割合により調整できる。封着材料ペーストには、消泡剤や分散剤のように公知のガラスペーストにおける添加物を加えてもよい。封着材料ペーストの調製には、攪拌翼を備えた回転式の混合機やロールミル、ボールミル等を用いた公知の方法を適用できる。
その後、第2の基板2の周辺部に設けられた枠状の封止領域6の全周に渡って封着材料ペーストを塗布し、乾燥させて、枠状塗布層を形成する。封着材料ペーストは、例えば、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法を適用して塗布し、またはディスペンサ等を用いて塗布する。枠状塗布層は、例えば120℃以上の温度で10分以上乾燥させることが好ましい。乾燥は、枠状塗布層内の溶剤を除去するために実施される。枠状塗布層内に溶剤が残留すると、その後の焼成で有機バインダを十分に除去できないおそれがある。
枠状塗布層の厚さは、焼成後の厚さが1μm以上となるもの、すなわち封着材料層7の厚さが1μm以上となるものが好ましい。このような厚さの場合、枠状塗布層の形成条件や焼成条件等の調整により、封着材料層7を良好に焼成できる。枠状塗布層の厚さは、焼成後の厚さが150μm以下となるものがより好ましい。均一な焼成の観点から、枠状塗布層の厚さは、焼成後の厚さが20μm以下となるものが特に好ましい。また、枠状塗布層の幅は、焼成後の幅が0.1〜5.0mmとなるものが好ましい。
その後、枠状塗布層中の有機バインダを除去しつつ、封着材料を焼成して封着材料層7を形成する。焼成は、例えば、焼成炉を用いて、封着ガラスの軟化点以上の温度(例えば軟化点より10〜100℃高い温度)に加熱する。これにより、枠状塗布層内のバインダを除去するとともに、第2の基板2に枠状塗布層を焼き付けて封着材料層7を形成する。
さらに、図1(b)に示すように、第1の基板1と第2の基板2とを表面1a、2aが対向するように封着材料層7を介して積層して組立体10とする(積層工程)。また、図1(c)に示すように、封着材料層7にレーザ光11を照射して、図1(d)に示すように、第1の基板1と第2の基板2との間に封着層12を形成して電子デバイス13とする(封着工程)。
図6は、封着工程におけるレーザ光11の照射方法の一例を示す外観図である。また、図7は、図6の照射方法を示す平面図である。本発明では、封着材料層7の1組の対辺の一方の対辺から他方の対辺にかけて、これらの対辺の長さ(L)以上の長さ(L)を有する矩形形状のレーザ光11を走査しながら照射する。本明細書で使用する「矩形形状」とは、長方形等の四角形だけでなく、角部が曲線になっているものや、長円形のものも含む。
なお、ここでのレーザ光11の長さ(L)は、同図からも明らかなように、1組の対辺の長手方向の長さ、すなわちレーザ光11の走査方向11aに垂直な方向の長さである。また、レーザ光11の長さ(L)は、ビーム強度がビーム最大強度の13.5%となる領域で定義する。
具体的には、まず1組の対辺の一方の対辺の全体(長手方向の全体)について同時にその幅方向にレーザ光11を徐々に走査しながら照射した後、この対辺の両端から延びる他の1組の対辺についてその長手方向にレーザ光11を徐々に走査しながら照射し、最後に他方の対辺の全体(長手方向の全体)について同時にその幅方向にレーザ光11を徐々に走査しながら照射して溶融させる。
本発明では、このような照射方法を採用することで、封着材料層7の1組の対辺とこの1組の対辺に直交する他の1組の対辺との溶融および急冷固化を1方向のレーザ光11の走査により行って封着層12を形成する。
ここで、図6、7は、1組の対辺として1組の短辺を採用し、一方の短辺である図中左側の短辺から他方の短辺である図中右側の短辺へとレーザ光11を走査する場合、すなわち走査方向11aが図中右方向である場合を示している。この場合、対辺の長さ(L)は、短辺の長さとなる。また、レーザ光11の長さ(L)は、この短辺の長さ以上となる。
本発明の照射方法によれば、封着材料層7の一方の対辺から他方の対辺にかけて、これらの対辺の長さ(L)以上の長さ(L)を有する矩形形状のレーザ光11を走査しながら照射する。従って、照射開始位置付近または照射終了位置付近におけるレーザ光の繰り返しの照射がなくなり、これらの付近における繋ぎ目が発生しない。
また、本発明の照射方法によれば、レーザ光の繰り返しの照射が抑制されることから、照射途中でのレーザ光11の出力の調整が必要なく、これにより封着材料層7の溶融状態が全体として均一になることから、気密性、接着強度、製造歩留等が良好となる。
さらに、本発明の照射方法によれば、封着材料層7の一方の対辺から他方の対辺にかけて1方向のレーザ光11の走査で済むので、従来の封着材料層に沿って1周させる照射方法に比べて、封着材料層7の大きさや個数が同程度の場合、処理時間が半分以下となる。特に、封着材料層7が正方形状の場合、従来の照射方法に比べて処理時間が1/4程度となる。
レーザ光11は、特に限定されるものではないが、半導体レーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、YAGレーザ、HeNeレーザ等から所望のレーザ光が使用される。
レーザ光11の走査方向11aの長さ(L)、すなわち長さ(L)に垂直な方向の長さは、1方向のレーザ光11の走査により封着材料層7の全体を溶融できれば必ずしも限定されないが、0.5mm以上が好ましい。なお、レーザ光11の長さ(L)についても、ビーム強度がビーム最大強度の13.5%となる領域で定義する。長さ(L)が0.5mm以上の場合、1方向のレーザ光11の走査により封着材料層7の全体を良好に溶融できる。長さ(L)の上限は、必ずしも制限されないが、3mm以下が好ましい。長さ(L)が3mm以下になると、レーザ光の総出力を低減できることや枠内部に伝わる熱量が少なくなる点で好ましい。
レーザ光11の走査速度は、1方向のレーザ光11の走査により封着材料層7の全体を溶融できればよく、レーザ光11の走査方向11aの長さ(L)等によっても異なるが、20mm/s以下が好ましい。走査速度が20mm/s以下の場合、封着材料層7が十分に溶融して、第1の基板1と第2の基板2との接合強度が良好となる。また、走査速度は、1mm/s以上が好ましい。走査速度が1mm/s以上の場合、封着層12を効率的に形成できる。
レーザ光11の照射強度についても、1方向のレーザ光11の走査により封着材料層7の全体を溶融できればよく、レーザ光11の走査速度等によっても異なるが、100〜1100W/cmが好ましい。照射強度が100W/cm以上の場合、1方向のレーザ光11の走査により封着材料層7の全体を十分に溶融できる。また、照射強度が1100W/cm以下の場合、第1の基板1および第2の基板2の過剰な加熱によるクラックや割れ等の発生を抑制できる。
なお、レーザ光11の走査は、必ずしも図6、7に示されるような封着材料層7の一方の短辺から他方の短辺にかけて行われるものに限られず、図示しないが封着材料層7の一方の長辺から他方の長辺にかけて行われるものでもよい。また、封着材料層7の形状は、必ずしも長方形状に限られず、正方形状であってもよい。正方形状の場合についても、レーザ光11の走査が開始および終了される1組の辺は特に限定されない。
また、レーザ光11の照射が行われる走査封着材料層7の大きさ(走査方向11aに対して垂直方向の大きさ)は、1方向のレーザ光11の走査により照射できる範囲内の大きさであればよい。通常、このような大きさは主としてレーザ光11を出射するレーザ光源の出力により制限され、40cm以下が好ましい。一方、走査封着材料層7の走査方向11aの大きさは、第1の基板1および第2の基板2の範囲内であれば特に制限されない。なお、本発明の照射方法は、小型の走査封着材料層7が多数設けられている場合に、特に処理時間が短くなり有効である。したがって、走査封着材料層7としては、1辺の大きさが50mm以下であるものが好ましく、30mm以下であるものがより好ましい。
また、レーザ光11は、一般的には封着材料層7が形成された第2の基板2を通して封着材料層7に照射することが好ましいが、これとは反対に第1の基板1を通して封着材料層7に照射してもよいし、または第1の基板1と第2の基板2との両側から照射してもよい。
次に、レーザ光11の照射方法の変形例について説明する。
図8は、レーザ光11の照射方法の第1の変形例を示す平面図である。
組立体10としては、必ずしも1個の封着材料層7を有するものに限られず、第1の基板1と第2の基板2との間に2個の封着材料層7が並列して配置されたものでもよい。この場合、レーザ光11として、2個の並列する封着材料層7を同時に照射する長さ(L)を有するものを用い、これら2個の並列する封着材料層7の一方の対辺から他方の対辺にかけてレーザ光11を同時に走査しながら照射する。
具体的には、2個の封着材料層7の対辺(封着材料層7の並列方向に垂直な方向に配置された対辺)の長さ(L)と、2個の封着材料層7の間の長さ(L)との長さの合計(2L+L)以上の長さ(L)を有するレーザ光11を用いて、組立体10の1組の対辺の一方の対辺付近から他方の対辺付近にかけてレーザ光11を走査する。これにより、2個の並列する封着材料層7について一方の対辺から他方の対辺にかけてレーザ光11を同時に走査しながら照射する。
なお、長さ(L)以外のレーザ光11の特性、例えば、長さ(L)、走査速度、および照射強度等は、封着材料層7が1つの場合と同様にできる。すなわち、1方向のレーザ光11の走査により2個の並列する封着材料層7を溶融できれば必ずしも限定されないが、長さ(L)は0.5〜3mm、走査速度は1〜20mm/s、および照射強度は100〜1100W/cmがそれぞれ好ましい。
図9は、レーザ光11の照射方法の第2の変形例を示す平面図である。
組立体10としては、第1の基板1と第2の基板2との間に3個の封着材料層7が並列して配置されてもよい。この場合、レーザ光11として、3個の並列する封着材料層7を同時に照射する長さ(L)を有するものを用い、これら3個の封着材料層7の一方の対辺から他方の対辺にかけてレーザ光11を同時に走査しながら照射する。また、レーザ光11の走査方向11aに封着材料層7が複数段ある場合、同様にして初段の封着材料層7から後段の封着材料層7にかけて、順次、レーザ光11を走査しながら照射する。
具体的には、3個の封着材料層7の対辺(封着材料層7の並列方向に垂直方向の対辺)の長さ(L)と、個々の封着材料層7の間の長さ(L)との長さの合計(2L+L)以上の長さ(L)を有するレーザ光11を用いて、組立体10の1組の対辺の一方の対辺付近から他方の対辺付近にかけてレーザ光11を走査する。これにより、3個の並列する封着材料層7の一方の対辺から他方の対辺にかけてレーザ光11を同時に走査しながら照射し、その後段の3個の並列する封着材料層7についても同様にして、順次、レーザ光11を同時に走査しながら照射する。
第2の変形例についても、長さ(L)以外のレーザ光11の特性、例えば、長さ(L)、走査速度、および照射強度等は、封着材料層7が1つの場合と同様にできる。すなわち、1方向のレーザ光11の走査により3個の並列する封着材料層7を溶融できれば必ずしも限定されないが、長さ(L)は0.5〜3mm、走査速度は1〜20mm/s、および照射強度は100〜1100W/cmがそれぞれ好ましい。
なお、第1の変形例(図8)、第2の変形例(図9)では、いずれも組立体10の一方の短辺から他方の短辺にかけてレーザ光11を走査しながら照射する例を図示したが、レーザ光11の照射形状等が条件を満たす場合には、組立体10の一方の長辺から他方の長辺にかけてレーザ光11を走査しながら照射してもよい。
また、第1の変形例(図8)、第2の変形例(図9)では、複数の並列する封着材料層7の全てについてレーザ光11を同時に走査しながら照射する例を図示したが、封着材料層7が複数並列する場合であっても個別にレーザ光11を走査しながら照射してもよい。
例えば、第1の変形例(図8)の場合、図中上側の封着材料層7についてレーザ光11を走査しながら照射した後、図中下側の封着材料層7についてレーザ光11を走査しながら照射してもよい。すなわち、封着材料層7が複数ある場合、個々の封着材料層7について、1方向のレーザ光11の走査により照射を行ってもよい。
さらに、走査封着材料層7の列数および段数についても、個々の封着材料層7が1方向のレーザ光11の走査により照射できるものであればよく、全体としての列数および段数は第1の基板1および第2の基板2の範囲内であれば特に制限されない。なお、列数は、走査方向11aに対して垂直方向の封着材料層の個数、段数は、走査方向11aにおける封着材料層7の個数を示す
図10は、レーザ光11の照射方法の第3の変形例を示す平面図である。また、図11は、図10に示すレーザ光11の照射方法のC−C線断面図である。
封着工程では、組立体10に対してレーザ光11の照射側に、組立体10の第1の基板1と第2の基板2との間に荷重を印加し、かつレーザ光11を透過する透光基板14を配置してもよい。透光基板14としては、組立体10の第1の基板1と第2の基板2との間に有効に荷重を印加でき、かつレーザ光11を透過するものであれば特に制限されず、公知の組成を有する無アルカリガラスやソーダライムガラス等からなるガラス基板等が用いられる。
また、透光基板14には、レーザ光11の照射による電子素子部4の損傷等を抑制するために、電子素子部4に対応する領域に、この電子素子部4へのレーザ光11の照射を抑制する遮蔽材15を配置してもよい。遮蔽材15としては、電子素子部4へのレーザ光11の照射を抑制するものであれば特に制限されず、例えば、吸収膜、反射膜等が挙げられるが、耐久性が良好なことから反射膜が好ましい。
図12は、レーザ光11の照射方法の第4の変形例を示す断面図である。
レーザ光11の照射方向は、組立体10の表面に対して垂直方向の他、図12に示すように、組立体10の表面に対して斜め方向でもよい。この場合、電子デバイス13の製造にかかわる作業者が安全に作業を行えるように、組立体10の表面で反射されたレーザ光11を遮蔽するために、レーザ光11の反射先にレーザビームダンパー16を配置してもよい。
レーザビームダンパー16としては、レーザ光11の反射形状等に応じて、公知のレーザビームダンパーを適宜選択して使用できる。このようなレーザビームダンパーとしては、例えば、レーザ光11が内部に入射する筒状部を有するものであって、その内面に無反射コーティングが施されたもの、さらにはレーザ光11のビーム強度が高いときのための水冷部を有するものが挙げられる。
以上の説明では、封着材料層7の外形が矩形状の場合について説明したが、封着材料層7の外形は、円形状、長円形状等の対辺が明確に規定できない形状でもよい。本発明の封着工程は、封着材料層7の外形に関係なく、レーザ光11を1方向に走査して封着材料層7の全体を照射する。従って、レーザ光11の長さ(L)等は、このような1方向の走査により封着材料層7の全体を照射できればよい。
次に、電子デバイス13の製造に用いられる電子デバイス製造装置について説明する。ここで、電子デバイス製造装置は、特に、レーザ光11の照射により封着層12を形成する封着工程に用いられる。
図13、14に電子デバイス製造装置の一実施形態を示す。
電子デバイス製造装置21は、例えば、組立体10が載置される試料台22と、レーザ光11を出射するレーザ光源23と、レーザ光源23から出射されたレーザ光11を封着材料層7に照射するレーザ照射ヘッド24とを具備する。
図示を省略したが、レーザ照射ヘッド24はレーザ光源23から出射されたレーザ光11を所定のビーム形状に整形して封着材料層7に照射する光学系を有する。光学系については後述する。レーザ光源23から出射されたレーザ光11は、レーザ照射ヘッド24に送られる。このときのレーザ光11の出力は、出力制御部25により制御される。出力制御部25は、例えばレーザ光源23に入力される電流を制御することによりレーザ光11の出力を制御する。また、出力制御部25はレーザ光源23から出射されたレーザ光11の出力を制御する出力変調器を有していてもよい。
レーザ照射ヘッド24から照射されるレーザ光11は、封着材料層7の1組の対辺の一方の対辺から他方の対辺にかけて走査しながら照射される。すなわち、レーザ照射ヘッド24は、Xステージ26によりX方向(すなわち、図13の紙面において横方向)に移動する。Xステージ26は2個のYステージ27A、27BによりY方向に移動する。Xステージ26は固定された試料台22の上方をY方向(すなわち、図13の紙面において縦方向)に移動する。レーザ照射ヘッド24と試料台22との位置関係は、Xステージ26とYステージ27A、27Bとにより調整される。Xステージ26とYステージ27A、27Bとにより移動機構が構成される。なお、移動機構は、例えば、レーザ照射ヘッド24をX方向に移動させるXステージ26と、試料台22をY方向に移動させるYステージとで構成してもよい。
Xステージ26とYステージ27A、27Bとは走査制御部28により制御される。走査制御部28は、上記したように封着材料層7の1組の対辺の一方の対辺から他方の対辺にかけてレーザ光11を走査しながら照射するようにXステージ26およびYステージ27A、27B(移動機構)を制御する。
電子デバイス製造装置21は、さらに出力制御部25や走査制御部28を総合的に制御する主制御系29を具備する。また、電子デバイス製造装置21は、封着材料層7の加熱温度を測定する図示しない放射温度計を備える。また、電子デバイス製造装置21は、図10、11に示したように、第1の基板1と第2の基板2との間に荷重を印加し、かつレーザ光11を透過する透光基板14を備えてもよい。さらには、同図に示したように、レーザ光11の照射による電子素子部4の損傷等を抑制するために、この電子素子部4へのレーザ光11の照射を抑制する遮蔽材15を備えてもよい。また、図12に示したように、組立体10の表面で反射されたレーザ光11を遮蔽するためのレーザビームダンパー16を備えてもよい。
レーザ照射ヘッド24は、例えば図15に示すように、レーザ光源23から出射されたレーザ光11を伝送する光ファイバ31と、レーザ光11を所望の矩形形状のビーム形状に整形するビーム形状整形部32と、レーザ光11の照射部分を観察するための撮像レンズ33およびCCD撮像素子34と、レーザ光11の照射部分からのレーザ光11以外の光を反射(レーザ光11は透過)してCCD撮像素子34へ導くダイクロイックミラー35および反射ミラー36とで構成される。また、レーザ光11の照射部分の温度を測定する放射温度計37が設置される。レーザ光11を所望の矩形形状のビーム形状に整形するビーム形状整形部32としては、例えば、フライアイレンズを用いたビームホモジナイザー等が用いられる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態においては、封着材料層7を溶融させて封着層12を形成するために矩形形状のレーザ光11を用いることに加えて、枠状塗布層を焼成して封着材料層7を形成するために同様な矩形形状のレーザ光11を用いてもよい。すなわち、上記した実施形態の説明では、焼成炉を用いて枠状塗布層を焼成して封着材料層7を形成する方法を示したが、このような焼成炉を用いる方法に代えて、枠状塗布層の1組の対辺の一方の対辺から他方の対辺にかけて、これらの対辺の長さ以上の長さを有する矩形形状のレーザ光11を走査しながら照射して封着材料層7を形成してもよい。
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。
なお、以下の説明は本発明を限定するものではく、本発明の趣旨に沿った形での改変が可能である。
(実施例1)
Bi 83質量%、B 5質量%、ZnO 11質量%、Al 1質量%の組成を有し、平均粒径が1μmのビスマス系封着ガラス(軟化温度:410℃)と、低膨張充填材として平均粒径が4.3μm、比表面積が1.6m/gのコージェライト粉末と、Fe−Al−MnO−CuO組成を有し、平均粒径が1.2μm、比表面積が6.1m/gのレーザ吸収材とを用意した。
コージェライト粉末およびレーザ吸収材の粒度分布は、粒度分析計(日機装社製、マイクロトラックHRA)を用いて測定した。測定条件は、測定モード:HRA−FRAモード、Particle Transparency:yes、Spherical Particles:no、Particle Refractive index:1.75、Fluid Refractive index:1.33とした。測定は、測定対象を水に分散させたスラリーを超音波で分散させた後に測定した。
コージェライト粉末およびレーザ吸収材の比表面積は、BET比表面積測定装置(マウンテック社製、装置名:Macsorb HM model−1201)を用いて測定した。測定条件は、吸着質:窒素、キャリアガス:ヘリウム、測定方法:流動法(BET1点式)、脱気温度:200℃、脱気時間:20分、脱気圧力:Nガスフロー/大気圧、サンプル質量:1gとした。
上記したビスマス系封着ガラス66.8体積%とコージェライト粉末32.2体積%とレーザ吸収材1.0体積%とを混合して封着材料(熱膨張係数(50〜350℃):66×10−7/℃)を作製した。封着材料83質量%を、バインダ成分としてエチルセルロース5質量%をジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル95質量%に溶解して作製したビヒクル17質量%と混合して封着材料ペーストを調製した。
次に、無アルカリガラス(熱膨張係数:38×10−7/K)からなるガラス基板(寸法:90mm×90mm×0.7mmt、第2の基板)を用意し、メッシュサイズが325、乳剤厚が20μmのスクリーン版を使用したスクリーン印刷法により封着材料ペーストを塗布して枠状塗布層を形成した。ここで、枠状塗布層は、図9に示すような3列3段(合計9個)の封着材料層が得られる配置に形成した。個々の枠状塗布層は、外形が3mm×3mm、線幅が0.15mm、コーナー部の曲率半径Rが0.5mmである。また、枠状塗布層どうしの間隔は1mmである。
このようにして枠状塗布層が形成されたガラス基板を120℃×10分の条件で乾燥させた後、480℃×10分の条件で焼成することによって、膜厚が15μm、線幅が0.15mmの封着材料層を形成した。
その後、他のガラス基板(寸法:90mm×90mm×0.7mmt、第1の基板)と、封着材料層が形成されたガラス基板とを積層して組立体とした。次いで、封着材料層が形成されたガラス基板上に152mm角で厚み6mmの合成石英基板を配置した状態で、合成石英基板および封着材料層が形成されたガラス基板を通して、封着材料層にレーザ光を照射して評価用ガラスパッケージを作製した。
レーザ光は、波長1040nmの半導体レーザー(レーザーライン社製、装置名:LDF)を用い、照射光学系の内部に1軸のホモジナイザー(レーザーライン社製)を配置して、ビーム強度がピーク値の13.5%となる長軸方向の長さ(L)が13mm、短軸方向の長さ(L)が2mm、短軸方向の強度分布が長軸方向に一定である矩形形状の照射形状に調整し、かつ照射強度を450W/cmに調整した。
また、レーザ光の走査および照射は、図9に示すように、組立体の1組の対辺の一方の対辺から他方の対辺にかけて行った。なお、レーザ光の走査および照射は、図示するように、走査方向に長軸が直交するとともに、この長軸の中心部が図中上下方向の3列に配置された封着材料層の中心部を通るようにして行った。これにより、図中上下方向の3列に配置された封着材料層に同時に照射を行いながら、図中左側の第1段の封着材料層から、図中右側の後段の封着材料層、すなわち第2段の封着材料層および第3段の封着材料層の順に照射を行って、1方向の走査により3列3段(合計9個)の封着材料層の全てにレーザ光を照射して1対のガラス基板を封着層により封着して評価用ガラスパッケージを作製した。この3列3段(合計9個)の封着材料層を封着するのに要した時間は2.2秒で、1個あたりに換算すると0.2秒であった。
その後、評価用ガラスパッケージにおける各ガラス基板や封着層の状態を観察したところ、クラックや割れの発生は認められず、1対のガラス基板が良好に封着されていることが確認された。また、評価用ガラスパッケージの気密性をレッドチェック試験で評価したところ、良好な気密性を有することが確認された。
また、評価用ガラスパッケージにおける封着層の各部の幅(封着幅)を側長顕微鏡で測定したところ、最大値(最大封着幅)0.15mm、最小値(最小封着幅)0.14mmであり、幅の分布(封着幅分布)、すなわち(最大値−最小値)/(最大値+最小値)は4.3%と小さく、均一な幅を有する封着層が形成されることが確認された。なお、封着幅分布は10%以下が好ましい。
(実施例2〜5)
封着材料層の配列、レーザ光の照射強度、および基板の材質を表1に示す条件に変更する以外は、実施例1と同様に封着を行って評価用ガラスパッケージを製造した。なお、個々の封着材料層の大きさは、実施例1の封着材料層の大きさと同一とした。また、表中、列数は、走査方向に対して垂直方向の封着材料層の個数、段数は、走査方向の封着材料層の個数を示す。その結果、いずれも、外観や接合強度等が良好となることが確認された。また、いずれも封着幅分布が小さく、均一な幅を有する封着層が形成されることが確認された。
(比較例)
実施例1と同様の3mm×3mmの封着材料層をガラス基板(第2の基板)に1個形成した。その後、他のガラス基板(第1の基板)と、封着材料層が形成されたガラス基板とを積層して組立体とした。次いで、封着材料層が形成されたガラス基板上に合成石英基板を配置した状態で、波長808nm、スポット径1.50mm、照射強度379W/cmのレーザ光(LIMO製半導体レーザー)を4mm/sの走査速度で封着材料層に沿って周方向に1周するように走査しながら照射するとともに、照射開始点の2mm手前から照射開始点に到達するまで照射強度を190W/cmに落として封着材料層の溶融および急冷固化を行って、1対のガラス基板を封着して評価用ガラスパッケージを製造した。
この封着に要した時間は3.3秒であった。また、評価用ガラスパッケージの状態を確認したところ、照射開始点の手前でレーザ光の照射強度を落としたことから封着層の幅が一部で細くなり、封着幅分布が15.0%と大きくなるとともに、封着層の接着強度が実施例1〜5に比べて劣ることが確認された。
比較例の評価用ガラスパッケージでは、封着材料層に沿って周方向に1周するようにレーザ光を走査しながら照射することから、レーザ光が複数回照射される領域、すなわち複数回加熱される領域がある。このような領域とそれ以外の領域とでは、封着幅が異なることから封着幅分布が大きくなり、また封着状態が異なることから強度低下が発生する。なお、比較例の評価用ガラスパッケージでは、照射開始点手前で照射強度を落としたが、照射強度を落とさずに一定の強度とした場合、照射開始点近傍にクラックが発生して気密性が不十分となる。一方、実施例の評価用ガラスパッケージでは、レーザ光が複数回照射される領域、すなわち複数回加熱される領域がないことから、封着幅分布が小さくなり、良好な接着強度が得られる。
Figure 2014229375
1…第1の基板、1a…表面、2…第2の基板、2a…表面、3…素子形成領域、4…電子素子部、5…第1の封止領域、6…第2の封止領域、7…封着材料層、10…組立体、11…レーザ光、13…電子デバイス、14…透光基板、15…遮蔽材、16…レーザビームダンパー、21…電子デバイス製造装置、22…試料台、23…レーザ光源、24…レーザ照射ヘッド、25…出力制御部、26…Xステージ、27A,27B…Yステージ、31…光ファイバ、32…ビーム形状整形部、33…撮像レンズ、34…CCD撮像素子、35…ダイクロイックミラー、36…反射ミラー、37…放射温度計

Claims (14)

  1. 第1の封止領域を有する第1の表面を有する第1の基板と、前記第1の封止領域に対応する第2の封止領域を有する第2の表面を有する第2の基板とを、前記第1の表面と前記第2の表面とが対向するように、かつ前記第1の封止領域と前記第2の封止領域との間に封着ガラスおよびレーザ吸収材を含む封着材料の焼成層である封着材料層を介して積層して組立体とする積層工程と、
    前記封着材料層の1組の対辺の一方の対辺から他方の対辺にかけて、前記対辺の長さ以上の長さを有するレーザ光を走査しながら照射して、前記封着材料層を溶融させて前記第1の基板と前記第2の基板との間に封着層を形成する封着工程と
    を有する電子デバイスの製造方法。
  2. 前記組立体は、前記第1の基板と前記第2の基板との間に前記封着材料層が2個以上並列して配置され、前記レーザ光として、これらの封着材料層を同時に照射する長さを有するものを用い、これらの封着材料層の一方の対辺から他方の対辺にかけて前記レーザ光を同時に走査しながら照射する請求項1記載の電子デバイスの製造方法。
  3. 前記封着工程において、前記組立体に対して前記レーザ光の照射側に、前記第1の基板と前記第2の基板との間に荷重を印加し、かつ前記レーザ光を透過する透光基板を介して、前記レーザ光の走査および照射を行う請求項1または2記載の電子デバイスの製造方法。
  4. 前記透光基板は、前記第1の基板と前記第2の基板との間に封止される電子素子部に対応する領域に、前記電子素子部への前記レーザ光の照射を抑制する遮蔽材を有する請求項1乃至3のいずれか1項記載の電子デバイスの製造方法。
  5. 前記レーザ光の走査速度が1〜20mm/sである請求項1乃至4のいずれか1項記載の電子デバイスの製造方法。
  6. 前記封着材料は、前記レーザ吸収材の含有量が0.1〜40体積%、かつ前記レーザ吸収材と低膨張充填材との合計した含有量が0.1〜50体積%である請求項1乃至5のいずれか1項記載の電子デバイスの製造方法。
  7. 前記封着材料層は20μm以下の厚さを有する請求項1乃至6のいずれか1項記載の電子デバイスの製造方法。
  8. 前記第1の基板および前記第2の基板はガラス基板である請求項1乃至7のいずれか1項記載の電子デバイスの製造方法。
  9. 第1の封止領域を有する第1の表面を有する第1の基板と、
    前記第1の封止領域に対応する第2の封止領域を有する第2の表面を有し、前記第1の表面と前記第2の表面とが対向するように配置された第2の基板と、
    前記第1の封止領域と前記第2の封止領域との間に配置された封着層と
    を有する電子デバイスであって、
    請求項1乃至8のいずれか1項記載の電子デバイスの製造方法により製造された電子デバイス。
  10. 第1の封止領域を有する第1の表面を有する第1の基板と、前記第1の封止領域に対応する第2の封止領域を有する第2の表面を有する第2の基板とが、前記第1の表面と前記第2の表面とが対向するように、かつ前記第1の封止領域と前記第2の封止領域との間に封着ガラスおよびレーザ吸収材を含む封着材料の焼成層である封着材料層を介して積層された組立体が載置される試料台と、
    レーザ光を出射するレーザ光源と、
    前記レーザ光源から出射されたレーザ光を前記封着材料層の1組の対辺の長さ以上の長さを有する形状に照射する光学系を有するレーザ照射ヘッドと、
    前記レーザ照射ヘッドから前記封着材料層に照射されるレーザ光の出力を制御する出力制御部と、
    前記試料台と前記レーザ照射ヘッドとの位置を相対的に移動させる移動機構と、
    前記1組の対辺の一方の対辺から他方の対辺にかけて前記レーザ光を走査するように前記移動機構を制御する走査制御部と
    を具備する電子デバイス製造装置。
  11. 前記組立体に対して前記レーザ光の照射側に配置され、前記第1の基板と前記第2の基板との間に荷重を印加し、かつ前記レーザ光を透過する透光基板を有する請求項10記載の電子デバイス製造装置。
  12. 前記透光基板は、前記第1の基板と前記第2の基板との間に封止される電子素子部に対応する領域に、前記電子素子部への前記レーザ光の照射を抑制する遮蔽材を有する請求項11記載の電子デバイス製造装置。
  13. 前記遮蔽材は、反射膜である請求項12記載の電子デバイス製造装置。
  14. 前記レーザ照射ヘッドは、前記組立体の表面に前記レーザ光を斜めから照射し、前記電子デバイス製造装置は、さらに前記組立体から反射される前記レーザ光を遮蔽するレーザビームダンパーを有する請求項10乃至13のいずれか1項記載の電子デバイス製造装置。
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CN107352504A (zh) * 2017-06-07 2017-11-17 扬中市华瑞通讯仪器有限公司 一种微流控mems芯片封装方法

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