JP2014149941A - 気密封止パッケージおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】素子基板と封着層との接着強度が高く、気密性の良好な気密封止パッケージを提供する。
【解決手段】気密封止パッケージは、電子素子を有する素子基板と、前記素子基板に対向配置される封止基板と、前記素子基板と前記封止基板との間に前記電子素子を囲むように設けられ、酸化物基準の質量百分率表示でBi2O3を70%以上含む封着ガラスを有する封着層と、前記素子基板と前記封着層との間に前記封着層に接触して設けられる酸化ケイ素層とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】気密封止パッケージは、電子素子を有する素子基板と、前記素子基板に対向配置される封止基板と、前記素子基板と前記封止基板との間に前記電子素子を囲むように設けられ、酸化物基準の質量百分率表示でBi2O3を70%以上含む封着ガラスを有する封着層と、前記素子基板と前記封着層との間に前記封着層に接触して設けられる酸化ケイ素層とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、気密封止パッケージおよびその製造方法に関する。
有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescence Display:OELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶表示装置(LCD)等の平板型ディスプレイ装置(FPD)は、発光素子を有する素子基板と封止基板とが封着された構造を有する。また、有機薄膜太陽電池や色素増感型太陽電池等の太陽電池においても、太陽電池素子(光電変換素子)を有する素子基板と封止基板とが封着された構造を有する。
封着には、封着樹脂、封着ガラスが用いられる。有機EL素子等の電子素子は、水分により劣化しやすいことから、透水性が低い封着ガラスの使用が進められている。封着ガラスによる封着は、例えば、素子基板と封止基板との間に封着ガラスを配置し、この封着ガラスを400〜600℃に加熱して行われる。この際、焼成炉を用いると電子素子を含めた全体が加熱されて電子素子の特性が劣化しやすいことから、封着ガラスの部分にのみレーザ光を照射して加熱するレーザ封着の適用が検討されている。
レーザ封着は、焼成炉を用いた封着に比べて電子素子に対する熱的影響は低減できるが、素子基板や封止基板との接着強度が必ずしも十分でなく、電子素子の信頼性が低下しやすい。レーザ封着用の封着ガラスとして、例えば、PbO系ガラス、Bi2O3−B2O3系ガラス、SnO−P2O5系ガラス、V2O5系ガラス等が知られており、軟化点が低く、また環境や人体に対する影響が少ないことから、Bi2O3−B2O3系ガラスが好適に用いられる。また、特にレーザ封着に用いられるBi2O3−B2O3系ガラスにおいて、接着強度を向上させたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、レーザ封着においては、必ずしも素子基板となるガラス基板等と封着ガラスとが直接接着されるものに限定されない。例えば、素子基板における封着に利用される領域である封着領域には、必要に応じて、絶縁層、保護層等が形成される。すなわち、素子基板と封着ガラスとは、絶縁層、保護層等を介して接着される。絶縁層、保護層等として、例えば、窒化ケイ素層(SiNx層)等の窒化物層が挙げられる(例えば、特許文献2〜4参照)。
しかしながら、素子基板における封着領域の最表面に窒化ケイ素層(SiNx層)等の窒化物層が設けられている場合、封着時に窒化物層と封着ガラスとが反応して封着ガラス中に発泡が発生するために、接着強度が低下するおそれがある。特に、Bi2O3−B2O3系ガラスは、素子基板となるガラス基板等との接着強度は高いが、反応性が高いことから、封着領域の最表面に形成された窒化物層と反応して接着強度が低下しやすい。
接着強度の低下を抑制する方法として、例えば、窒化物層の成膜時に封着領域にマスクをして、封着領域に窒化物層が形成されないようにする方法が挙げられる。また、例えば、窒化物層の成膜後に封着領域に成膜された窒化物層を除去する方法が挙げられる。しかしながら、いずれの方法についても、製造工程が大幅に増えるために好ましくない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、素子基板と封着層との接着強度が高く、気密性の良好な気密封止パッケージの提供を目的とする。また、本発明は、このような気密封止パッケージの製造方法の提供を目的とする。
本発明の気密封止パッケージは、電子素子を有する素子基板と、前記素子基板に対向配置される封止基板と、前記素子基板と前記封止基板との間に前記電子素子を囲むように設けられ、酸化物基準の質量百分率表示でBi2O3を70%以上含む封着ガラスを有する封着層と、前記素子基板と前記封着層との間に前記封着層に接触して設けられる酸化ケイ素層とを有する。
本発明の気密封止パッケージの製造方法は、電子素子を有する素子基板における封着に利用される封着領域に酸化ケイ素層を形成する工程と、封止基板における封着に利用される封着領域に酸化物基準の質量百分率表示でBi2O3を70%以上含む封着ガラスを有する封着材料層を焼成により形成する工程と、前記酸化ケイ素層を有する素子基板と前記封着材料層を有する封止基板とを前記酸化ケイ素層と前記封着材料層とが接触するように積層した後、前記封着材料層にレーザ光を照射して前記素子基板と前記封止基板と封着する工程とを具備する。
本発明によれば、素子基板と封着層との間に酸化ケイ素層を設けることで、素子基板と封着層との接着強度が高く、気密性の良好な気密封止パッケージを提供できる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
図1は、気密封止パッケージの一実施形態を示す断面図である。また、図2は、気密封止パッケージの製造工程の一実施形態を示す断面図である。さらに、図3、4は、気密封止パッケージの製造に用いられる素子基板等を示す平面図および断面図、図5、6は、気密封止パッケージの製造に用いられる封止基板等を示す平面図および断面図である。
図1は、気密封止パッケージの一実施形態を示す断面図である。また、図2は、気密封止パッケージの製造工程の一実施形態を示す断面図である。さらに、図3、4は、気密封止パッケージの製造に用いられる素子基板等を示す平面図および断面図、図5、6は、気密封止パッケージの製造に用いられる封止基板等を示す平面図および断面図である。
図1に示す気密封止パッケージ10は、OELD、PDP、LCD等のFPD、有機EL素子等の発光素子を利用した照明装置、有機薄膜太陽電池や色素増感型太陽電池のような太陽電池等の電子デバイスを構成する。
図1に示すように、気密封止パッケージ10は、素子基板11と、この素子基板11に間隔を設けて対向配置される封止基板12とを有する。素子基板11、封止基板12には、例えば、ソーダライムガラス基板等が用いられる。ソーダライムガラス基板としては、例えば、市販されているAS、PD200(いずれも旭硝子社製)等からなるもの、これらを化学強化したものが使用される。また、無アルカリガラス基板として、例えば、市販されているAN100(旭硝子社製)、EAGEL2000(コーニング社製)、EAGEL GX(コーニング社製)、JADE(コーニング社製)、#1737(コーニング社製)、OA−10(日本電気硝子社製)、テンパックス(ショット社製)等が使用される。
素子基板11の素子領域11aには、電子デバイスの種類に応じた電子素子13、例えば、OELDやOEL照明であればOEL素子、PDPであればプラズマ発光素子、LCDであれば液晶表示素子、太陽電池であれば色素増感型光電変換部のような太陽電池素子等が配置される。なお、電子素子13の具体的構造は、特に制限されず、公知の構造を採用することができる。素子領域11aの周囲には、封着に利用される封着領域11bが枠状に設けられる。
素子基板11には、例えば、素子領域11aおよび封着領域11bの部分を含めた封止基板12との対向面の全体に保護層としての窒化ケイ素層(SiNx層)等の窒化物層14が設けられる。保護層としての窒化物層14は、例えば、電子素子13の保護を目的として設けられる。
なお、素子基板11に設けられる窒化物層14は、必ずしも電子素子13の保護を目的として設けられる保護層に限られない。例えば、窒化物層14は、電子素子13の一部を構成する絶縁層等として設けられるものでもよい。すなわち、素子基板11としては、最上部の酸化ケイ素層15を除いて、何らかの目的で封着領域11bに窒化物層14が露出して設けられるものであればよい。窒化物層14としては、例えば、窒化ケイ素(SiNx)ならびに酸窒化珪素(SiOxNy)からなるものが代表的なものとして挙げられるが、これ以外にも各種元素の窒化物からなるものが挙げられる。
窒化物層14上には、例えば、素子領域11aおよび封着領域11bの部分を含めた封止基板12との対向面の全体に酸化ケイ素層15が形成される。なお、酸化ケイ素層15は、必ずしも素子基板11における封止基板12との対向面の全体に設けられる必要はなく、少なくとも封着領域11bに設けられていればよい。また、封着領域11bの一部にのみ窒化物層14が設けられる場合、封着領域11bの窒化物層14上に酸化ケイ素層15が設けられていればよい。
封止基板12は、素子基板11の封着領域11bに対応する部分に枠状の封着領域12aを有する。すなわち、素子基板11と封止基板12とが対向配置されたときに、素子領域11aと封着領域12aとが対向するように設定される。
素子基板11と封止基板12とは、封着層16により接着される。具体的には、素子基板11の封着領域11bと封止基板12の封着領域12aとが、窒化物層14および酸化ケイ素層15を介して、封着層16により接着される。ここで、封着層16は、酸化物基準の質量百分率表示でBi2O3を70%以上含む封着ガラスを有する。電子素子13は、このような窒化物層14および酸化ケイ素層15を有する素子基板11、封止基板12、ならびに封着層16により気密に封止される。
このような気密封止パッケージ10によれば、素子基板11の封着領域11bの最上部に酸化ケイ素層15が封着層16と接触するように有することから、封着時の窒化物層14と封着ガラスとの反応が抑制され、封着層16における発泡の発生が抑制される。これにより、窒化物層14を有する素子基板11と封着層16との接着強度が低下することなく気密性が良好になり、電子素子13の信頼性が向上する。また、封着時の反応が抑制されることから、封着に用いるレーザ光の出力を大きくでき、これにより接着強度を向上できる。
また、酸化ケイ素層15の場合、窒化物層14と共通の原料ガスを使用して形成できることから生産性に優れる。例えば、窒化物層14としての窒化ケイ素層(SiNx層)は、SiH4ガスと、NH3ガスおよびN2ガスから選ばれる少なくとも1種とを使用してCVD法により形成でき、酸化ケイ素層15は、SiH4ガスとO2ガスとを使用してCVD法により形成できる。主要な原料ガスであるSiH4ガスを共通して使用できることから生産性に優れる。
なお、CVD法としては、特に制限されず、熱CVD、プラズマCVD等を適用できる。また、酸化ケイ素層15は、CVD法以外の方法に形成されたものでもよく、スパッタリング法により形成されたものでもよい。スパッタリング法としては、特に制限されず、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法等を適用できる。CVD法、スパッタリング法のいずれの方法により形成されたものであっても、同様の効果を得ることができる。
酸化ケイ素層15は、封着時の窒化物層14と封着ガラスとの反応を抑制するために素子基板11の最上部に設けられる。ここで、酸化ケイ素層15は、素子基板11の少なくとも封着領域11bに設けられていればよく、封着領域11bの一部分にのみ設けられてもよいし、封着領域11bを含めた素子基板11の電子素子配置面全体に設けられてもよい。また、封着領域11bの一部にのみ窒化物層14が設けられる場合、封着領域11bの窒化物層14上に少なくとも設けられていればよい。
また、酸化ケイ素層15は、必ずしも窒化物層14上に直接積層される必要はなく、他の1種または2種以上の層を介して積層されてもよい。他の層としては、必ずしも限定されないが、低反応性および低透水性を有するものが好ましく、酸化アルミニウム層、酸化イットリウム層、酸化マグネシウム層、酸化チタン層、酸化ジルコニウム層、酸化ニオブ層、酸化タンタル層等の金属酸化物層が好ましい。生産性の観点からは、窒化物層14上に酸化ケイ素層15が直接積層されることが好ましい。
酸化ケイ素層15の膜厚は、封着時の封着ガラスと窒化物層14との反応を抑制する観点から、10nm以上が好ましい。酸化ケイ素層15の膜厚を10nm以上とすることで、封着時の反応を効果的に抑制できる。酸化ケイ素層15の膜厚は、封着時の反応を抑制するとともに、レーザ光の出力を大きくして接着強度を向上させる観点から、30nm以上がより好ましく、50nm以上がさらに好ましい。酸化ケイ素層15の膜厚は、基本的に厚くなるほど封着時の反応を抑制でき、またレーザ光の出力を大きくして接着強度を向上させることができ、その上限は必ずしも制限されないが、500nm以下が好ましく、生産性を考慮すると、200nm以下がより好ましい。
このような酸化ケイ素層15は、上記したように、熱CVD、プラズマCVD等のCVD法、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法等のスパッタリング法により形成される。
封着層16は、図2に示すように、封止基板12上に設けられた封着材料層16aをレーザ光17により溶融させて形成される。封着材料層16aは、封着ガラスを含み、好ましくはレーザ光吸収材および低膨張充填材を含む封着用ガラス組成物を焼成して得られる。なお、封着用ガラス組成物は、必要に応じてこれら以外の成分を含有できる。
封着ガラスには、酸化物基準の質量百分率表示でBi2O3を70%以上含むビスマス系ガラスが用いられる。封着ガラスには、酸化物基準の質量百分率表示で、Bi2O3を70〜90質量%、ZnOを1〜20質量%、B2O3を2〜12質量%を含むビスマス系ガラスが好ましく用いられる。より好ましくは、Na2Oを10〜380ppm含むビスマス系ガラスが用いられる。
封着ガラスは、溶融温度の制御を容易にするためにレーザ光を吸収しないもの、すなわち透明であるものが好ましい。レーザ光吸収材の種類や量等で溶融温度を制御することで、レーザ封着を信頼性よく実施できる。また、封着ガラスは、素子基板11および封止基板12に対する熱衝撃を低減するために、溶融温度の低いものが好ましい。さらに、環境や人体に対する影響の観点から、鉛やバナジウム等を含まないものが好ましい。ビスマス系ガラスはこのような要求に適合するものである。
Bi2O3、ZnO、およびB2O3の3成分により主として構成されるガラスは、透明でガラス転移点が低い等の特性を有することから、低温加熱用の封着材料に適している。このようなガラスには、接着界面に反応層を形成して接着強度を高めるために、1価の軽金属を含有させることが好ましい。
Bi2O3は、ガラスの網目を形成する成分であり、封着ガラス中に好ましくは70〜90質量%の範囲で含有される。Bi2O3の含有量が70質量%未満であると、封着ガラスの軟化温度が高くなり、低温での封着が困難になる。また、封着ガラスを軟化させるためにはレーザ光17の出力を高くする必要があり、結果として素子基板11または封止基板12にクラック等が発生しやすくなる。Bi2O3の含有量が90質量%を超えるとガラス化しにくくなり、ガラスの製造が困難になるとともに、熱膨張係数が高くなりすぎる傾向がある。
ZnOは、熱膨張係数や軟化温度を下げる成分であり、封着ガラス中に好ましくは1〜20質量%の範囲で含有される。ZnOの含有量が1質量%未満であると、ガラス化が困難になる。ZnOの含有量が20質量%を超えると、成形時の安定性が低下し、失透が発生しやすくなって、封着ガラスが得られないおそれがある。ガラス製造の安定性等を考慮して、ZnOの含有量は7〜12質量%の範囲がより好ましい。
B2O3は、ガラス骨格を形成してガラス化の範囲を広げる成分であり、封着ガラス中に好ましくは2〜12質量%の範囲で含有される。B2O3の含有量が2質量%未満であると、ガラス化が困難になるおそれがある。B2O3の含有量が12質量%を超えると、軟化点が高くなり、レーザ光17の出力を高くする必要があり、素子基板11または封止基板12にクラック等が発生しやすくなる。ガラスの安定性やレーザ出力等を考慮して、B2O3の含有量は5〜10質量%の範囲がより好ましい。
Na2Oは、封着層16の接着強度を向上させる成分である。Na2Oの含有量が10ppm未満であると接着強度の向上効果を十分に得られないおそれがある。一方、Na2Oの含有量が380ppmを超えると、レーザ封着時に素子基板11に形成された配線等と反応しやすくなる。
すなわち、素子基板11の封着領域11bには、電子素子13の電極を外部に引き出す配線等が形成される。過剰なNa2Oは、このような配線等との反応を進行させ、配線等に断線等を発生させるおそれがある。さらに、Na2Oの含有量が多すぎると封着ガラスの安定性が損なわれ、失透が発生しやすくなって、封着ガラスが得られなくなるおそれがある。接着強度の向上、配線等への影響、封着ガラスの安定性等を考慮して、Na2Oの含有量は質量割合で10〜100ppmの範囲がより好ましい。
Na2Oと同様に、Li2OやK2Oも接着強度を向上させる成分として機能する。Na2Oの一部は、Li2OおよびK2Oから選ばれる少なくとも1種で置換されてもよい。Li2OおよびK2OによるNa2Oの置換量は、接着界面における反応層の形成性等を考慮して、Na2O量の50質量%以下が好ましい。Li2OまたはK2OによりNa2Oを置換する場合、Na2Oの含有量は10〜190ppmの範囲が好ましい。
上記3ないし4成分で構成される封着ガラスはガラス転移点が低く、低温用の封着材料に適しているが、Al2O3、CeO2、SiO2、Ag2O、WO3、MoO3、Nb2O3、Ta2O5、Ga2O3、Sb2O3、Cs2O、CaO、SrO、BaO、P2O5、およびSnOx(xは1または2である)等の任意成分を含有できる。但し、任意成分の含有量が多すぎると封着ガラスが不安定となって失透が発生したり、ガラス転移点や軟化点が上昇するおそれがあるため、任意成分の合計含有量は10質量%以下が好ましい。任意成分の合計含有量の下限値は特に限定されるものではない。
上記任意成分のうち、Al2O3、SiO2、CaO、SrO、BaO等はガラスの安定化に寄与する成分であり、その含有量は0〜5質量%の範囲が好ましい。Cs2Oは、ガラスの軟化温度を下げる効果を有し、CeO2は、ガラスの流動性を安定化させる効果を有する。Ag2O、WO3、MoO3、Nb2O3、Ta2O5、Ga2O3、Sb2O3、P2O5、SnOx等はガラスの粘性や熱膨張係数等を調整する成分として含有させることができる。これら各成分の含有量は任意成分の合計含有量が10質量%を超えない範囲内で適宜に設定することができる。
封着用ガラス組成物は、低膨張充填材を含有することが好ましい。低膨張充填材としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、コージェライト、リン酸ジルコニウム系化合物、ソーダライムガラス、および硼珪酸ガラスから選ばれる少なくとも1種が好ましい。リン酸ジルコニウム系化合物としては、(ZrO)2P2O7、AZr2(PO4)3(Aは、Na、K、およびCaから選ばれる少なくとも1種)、NbZr2(PO4)3、Zr2(WO3)(PO4)2、これらの複合化合物が挙げられる。低膨張充填材とは封着用ガラス組成物の主成分である封着ガラスより低い熱膨張係数を有するものである。
低膨張充填材の含有量は、封着ガラスの熱膨張係数が素子基板11や封止基板12の熱膨張係数に近づくように適宜設定される。低膨張充填材の含有量は、封着ガラスや素子基板11や封止基板12の熱膨張係数にもよるが、封着用ガラス組成物中、1〜50体積%の範囲が好ましい。
封着用ガラス組成物は、さらにレーザ光吸収材を含有することが好ましい。レーザ光吸収材としては、Fe、Cr、Mn、Co、Ni、およびCuから選ばれる少なくとも1種の金属または該金属を含む酸化物等の化合物が用いられる。レーザ光吸収材の含有量は、封着用ガラス組成物中、0.1〜10体積%の範囲が好ましい。レーザ光吸収材の含有量を0.1体積%以上とすることで、レーザ光照射時に封着材料層16aを十分に溶融させることができる。レーザ光吸収材の含有量を10体積%以下とすることで、レーザ光照射時に素子基板11または封止基板12との界面近傍における局所的な発熱による割れ等を抑制でき、また封着用ガラス組成物の溶融時の流動性が良好となり接着強度が向上する。
封着材料層16aの厚さT2は、素子基板11と封止基板12との要求間隙、すなわち封着層16の厚さT1に応じて設定される。封着材料層16aの厚さT2は、通常、10μm以上が好ましい。このような厚さT2を有する封着材料層16aにレーザ光17を照射して封着することで、接着強度、気密封止性等が良好となる。
封着材料層16aの厚さT2は、素子基板11と封止基板12との間隙T2に応じて設定されるが、この場合においても封着材料層16aの厚さT2と線幅Wとの積で表される断面積は15000μm2以下が好ましい。封着材料層16aの断面積が15000μm2以下になると、封着用ガラス組成物を軟化流動させて接着するためのレーザ出力を低くでき、その結果として、素子基板11、封止基板12、封着層16におけるクラック等を抑制できる。レーザ出力に起因するクラック等の抑制効果を考慮すると、封着材料層16aの断面積は12000μm2以下がより好ましい。
封着材料層16aの線幅Wは、厚さT2および断面積に基づいて適宜設定されるが、封着材料層16aの線幅Wがあまり小さいと封着層16の気密封止性や接着信頼性等が低下するおそれがある。このため、封着材料層16aの線幅Wは、400μm以上が好ましい。また、封着材料層16aの厚さT2については、封着層16の形成性や接着信頼性等を考慮して30μm以下が好ましい。また、厚さT2は、1μm以上が好ましい。
封着材料層16aは、例えば、以下のようにして封止基板12の封着領域12a上に形成される。まず、封着ガラス、レーザ光吸収材、および低膨張充填材を含む封着用ガラス組成物にビヒクルと混合して封着用ペーストを調製する。
ビヒクルとしては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、オキシエチルセルロース、ベンジルセルロース、プロピルセルロース、ニトロセルロース等を、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等の溶剤に溶解したもの、あるいはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロオキシエチルメタアクリレート等のアクリル系樹脂を、メチルエチルケトン、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等の溶剤に溶解したものが用いられる。
封着用ペーストの粘度は、塗布装置に対応した粘度に合わせればよく、樹脂成分(バインダ成分)と溶剤との割合、封着用ガラス組成物とビヒクルとの割合等に応じて調整できる。封着用ペーストには、消泡剤や分散剤のように公知の添加剤を加えてもよい。封着用ペーストの調製には、攪拌翼を備えた回転式の混合機、ロールミル、ボールミル等を用いた公知の方法を採用できる。
封止基板12の封着領域12aに封着用ペーストを塗布し、これを乾燥させて封着用ペーストの塗布層を形成する。封着用ペーストは、例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷法を適用して塗布し、またはディスペンサ等を用いて塗布する。封着用ペーストの塗布層は、例えば、120℃以上の温度で10分以上乾燥させる。乾燥は、塗布層に含まれる溶剤を除去するために実施される。塗布層に溶剤が残留すると、その後の焼成で樹脂成分を十分に除去できないおそれがある。
上記した封着用ペーストの塗布層を焼成して封着材料層16aを形成する。焼成は、封着ガラスのガラス転移点以下の温度に加熱し、塗布層内の樹脂成分を除去した後、封着ガラスの軟化点以上の温度に加熱し、封着用ガラス組成物を溶融して封止基板12に焼き付ける。このようにして、封着用ガラス組成物の焼成層からなる封着材料層16aを形成する。
次に、気密封止パッケージ10の製造方法について説明する。
まず、図2(a)、(b)に示すように、酸化ケイ素層15が設けられた素子基板11(図3、4)と、封着材料層16aが設けられた封止基板12(図5、6)とを、酸化ケイ素層15と封着材料層16aとが接触するように積層する。この状態で、図2(c)に示すように、封止基板12を通して封着材料層16aにレーザ光17を照射する。レーザ光17は、枠状の封着材料層16aに沿って走査しながら照射される。レーザ光17は、特に限定されるものではなく、半導体レーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、YAGレーザ、HeNeレーザ等のレーザ光が使用される。
まず、図2(a)、(b)に示すように、酸化ケイ素層15が設けられた素子基板11(図3、4)と、封着材料層16aが設けられた封止基板12(図5、6)とを、酸化ケイ素層15と封着材料層16aとが接触するように積層する。この状態で、図2(c)に示すように、封止基板12を通して封着材料層16aにレーザ光17を照射する。レーザ光17は、枠状の封着材料層16aに沿って走査しながら照射される。レーザ光17は、特に限定されるものではなく、半導体レーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、YAGレーザ、HeNeレーザ等のレーザ光が使用される。
レーザ光17の出力は封着材料層16aの厚さ等に応じて適宜設定されるが、例えば2〜150Wの範囲が好ましい。レーザ出力が2W以上であると、封着材料層16aを有効に溶融できる。また、150W以下であると、素子基板11、封止基板12におけるクラックや割れ等の発生が抑制される。レーザ光17の出力は、接着強度の観点から、5〜100Wがより好ましく、10〜100Wがさらに好ましい。
封着材料層16aは、レーザ光17が照射された部分から順に溶融し、レーザ光17の照射終了とともに急冷固化されて酸化ケイ素層15に固着する。封着材料層16aの全周にわたってレーザ光17を照射することで、図2(d)に示すように酸化ケイ素層15と封止基板12との間に封着層16が形成される。このようにして、素子基板11、封止基板12、および封着層4により、電子素子13が気密に封止された気密封止パッケージ10が製造される。
気密封止パッケージ10の信頼性は、封着層16の接着強度に依存する。上記したように、素子基板11が基本的に窒化物層14を有するものであり、また封着ガラスがビスマス系ガラスの場合であっても、窒化物層14上に酸化ケイ素層15を設けることで、窒化物層14と封着ガラスとの反応による封着層16の発泡を抑制でき、接着強度を向上できる。これにより、気密性を良好とし、信頼性を向上できる。
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。
なお、以下の説明は本発明を限定するものではく、本発明の趣旨に沿った形での改変が可能である。
なお、以下の説明は本発明を限定するものではく、本発明の趣旨に沿った形での改変が可能である。
(実施例1)
「発泡観察用試験片の作製」
図7、8に示すように、無アルカリガラスであるANガラス(旭硝子社製、厚さ0.7mm)からなる素子基板としてのガラス基板21の表面に、CVD法により膜厚300nmの窒化ケイ素層(SiNx膜)24、およびスパッタリング法により膜厚50nmの酸化ケイ素層(SiO2膜)25を順に形成した。なお、酸化ケイ素層の形成は、Siターゲット(Bドープ)を用いて、ターゲットとガラス基板21との距離を120mm、投入電力を300Wとし、Arガス(22sccm)およびO2ガス(8sccm)を導入しながら行った。
「発泡観察用試験片の作製」
図7、8に示すように、無アルカリガラスであるANガラス(旭硝子社製、厚さ0.7mm)からなる素子基板としてのガラス基板21の表面に、CVD法により膜厚300nmの窒化ケイ素層(SiNx膜)24、およびスパッタリング法により膜厚50nmの酸化ケイ素層(SiO2膜)25を順に形成した。なお、酸化ケイ素層の形成は、Siターゲット(Bドープ)を用いて、ターゲットとガラス基板21との距離を120mm、投入電力を300Wとし、Arガス(22sccm)およびO2ガス(8sccm)を導入しながら行った。
別途、酸化物基準の質量百分率表示で、Bi2O3 81.81%、SiO2 0.70%、B2O3 6.03%、ZnO 10.55%、Al2O3 0.90%の組成を実質的に有するビスマス系ガラスからなる封着ガラス、コージェライト粉末からなる低膨張充填材、および、酸化物基準の質量百分率表示で、Fe2O3 24%、CuO 22%、MnO 34%、Al2O3 20%の組成を有するレーザ光吸収材を用意した。さらに、バインダ成分としての45cpsのエチルセルロース5質量%をジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル95質量%に溶解したビヒクルを用意した。
封着ガラス71体積%、低膨張充填材22体積%、およびレーザ光吸収材7体積%を混合して封着用ガラス組成物を作製した。この封着用ガラス組成物84質量%をビヒクル16質量%と混合して封着用ペーストを調製した。図9、10に示すように、この封着用ペーストを無アルカリガラスであるANガラス(旭硝子社製、厚さ0.7mm)からなるガラス基板22の表面に直線状に複数本を平行に塗布し、120℃×10分の条件で乾燥し、さらに500℃×10分の条件で焼成した。これにより、封止基板としてのガラス基板22の表面に、線幅800μmおよび膜厚5μmの封着材料層26aが複数本設けられたものを用意した。
その後、窒化ケイ素層24および酸化ケイ素層25が設けられたガラス基板21と図9に示された、封着材料層26aが設けられたガラス基板22とを、酸化ケイ素層25と封着材料層26aとが接触するように重ね合わせた。その後、ガラス基板22を通して封着材料層26aに対して、波長940nmのレーザ光(半導体レーザ)を10mm/sの走査速度で照射し、封着材料層26aを溶融および急冷固化した。レーザ出力は、24Wで照射した。なお、放射温度計によるレーザ光照射時の封着材料層26aの温度は700℃であった。これにより、図11に示すように、ガラス基板21とガラス基板22とが封着層26により接着された発泡観察用試験片20を作製した。
(実施例2)
酸化ケイ素層25の膜厚が、100nmであること以外は実施例1と同様にして、窒化ケイ素層24と酸化ケイ素層25との多層膜が成膜されたガラス基板21、ならびにガラス基板22を用い、発泡観察試験片20を作製した。この場合のレーザ出力は、26Wで照射した。なお、放射温度計によるレーザ光照射時の封着材料層26aの温度は730℃であった。これにより、図11に示すように、ガラス基板21とガラス基板22とが封着層26により接着された発泡観察用試験片20を作製した。
酸化ケイ素層25の膜厚が、100nmであること以外は実施例1と同様にして、窒化ケイ素層24と酸化ケイ素層25との多層膜が成膜されたガラス基板21、ならびにガラス基板22を用い、発泡観察試験片20を作製した。この場合のレーザ出力は、26Wで照射した。なお、放射温度計によるレーザ光照射時の封着材料層26aの温度は730℃であった。これにより、図11に示すように、ガラス基板21とガラス基板22とが封着層26により接着された発泡観察用試験片20を作製した。
(実施例3)
酸化ケイ素層25の膜厚が、200nmであること以外は実施例1と同様にして、窒化ケイ素層24と酸化ケイ素層25との多層膜が成膜されたガラス基板21、ならびにガラス基板22を用い、発泡観察試験片20を作製した。この場合のレーザ出力は、24Wで照射した。なお、放射温度計によるレーザ光照射時の封着材料層26aの温度は660℃であった。これにより、図11に示すように、ガラス基板21とガラス基板22とが封着層26により接着された発泡観察用試験片20を作製した。
酸化ケイ素層25の膜厚が、200nmであること以外は実施例1と同様にして、窒化ケイ素層24と酸化ケイ素層25との多層膜が成膜されたガラス基板21、ならびにガラス基板22を用い、発泡観察試験片20を作製した。この場合のレーザ出力は、24Wで照射した。なお、放射温度計によるレーザ光照射時の封着材料層26aの温度は660℃であった。これにより、図11に示すように、ガラス基板21とガラス基板22とが封着層26により接着された発泡観察用試験片20を作製した。
(比較例1)
酸化ケイ素層が成膜されていないこと以外は実施例1と同様にして、窒化ケイ素層が成膜された素子基板としてのガラス基板ならびに封止基板としてのガラス基板を用い、発泡観察試験片を作製した。この場合のレーザ出力は、22Wで照射した。なお、放射温度計によるレーザ光照射時の封着材料層の温度は650℃であった。これにより、素子基板としてのガラス基板と封止基板としてのガラス基板とが封着層により接着された発泡観察用試験片を作製した。
酸化ケイ素層が成膜されていないこと以外は実施例1と同様にして、窒化ケイ素層が成膜された素子基板としてのガラス基板ならびに封止基板としてのガラス基板を用い、発泡観察試験片を作製した。この場合のレーザ出力は、22Wで照射した。なお、放射温度計によるレーザ光照射時の封着材料層の温度は650℃であった。これにより、素子基板としてのガラス基板と封止基板としてのガラス基板とが封着層により接着された発泡観察用試験片を作製した。
(実施例4)
「剥離強度測定用試験片の作製」
図12、13に示すように、無アルカリガラスであるANガラス(旭硝子社製、25mm×15mm×厚さ0.5mm)からなる素子基板としてのガラス基板31の表面に、CVD法により300nmの窒化ケイ素層(SiNx膜)34、およびスパッタリング法により100nmの酸化ケイ素層(SiO2膜)35を順に形成した。なお、酸化ケイ素層の形成は、Siターゲット(Bドープ)を用いて、ターゲットとガラス基板21との距離を120mm、投入電力を300Wとし、Arガス(22sccm)およびO2ガス(8sccm)を導入しながら行った。
「剥離強度測定用試験片の作製」
図12、13に示すように、無アルカリガラスであるANガラス(旭硝子社製、25mm×15mm×厚さ0.5mm)からなる素子基板としてのガラス基板31の表面に、CVD法により300nmの窒化ケイ素層(SiNx膜)34、およびスパッタリング法により100nmの酸化ケイ素層(SiO2膜)35を順に形成した。なお、酸化ケイ素層の形成は、Siターゲット(Bドープ)を用いて、ターゲットとガラス基板21との距離を120mm、投入電力を300Wとし、Arガス(22sccm)およびO2ガス(8sccm)を導入しながら行った。
別途、図14、15に示すように、上記「発泡観察用試験片の作製」で使用したのと同様の封着用ペーストを無アルカリガラスであるANガラス(旭硝子社製、厚さ0.5mm)からなる封止基板としてのガラス基板32の表面に枠状に塗布し、120℃×10分の条件で乾燥し、さらに500℃×10分の条件で焼成した。これにより、封止基板としてのガラス基板32の表面に9mm□の大きさの枠状の封着材料層36aが設けられたものを用意した。なお、封着材料層36aの線幅は500μm、膜厚は5μmである。
その後、窒化ケイ素層34および酸化ケイ素層35を有するガラス基板31と、封着材料層36aを有するガラス基板32とを、酸化ケイ素層25と封着材料層26aとが接触するように重ね合わせた後、波長940nm、出力30Wのレーザ光(半導体レーザ)を10mm/sの走査速度で照射して、封着材料層36aを溶融および急冷固化した。これにより、図16に示すように、ガラス基板31とガラス基板32とが窒化ケイ素層34および酸化ケイ素層35を介して封着層36により接着された剥離強度測定用試験片30を作製した。試験片は、11個作製した。なお、放射温度計によるレーザ光照射時の封着材料層の温度は740℃であった。
(実施例5)
レーザ光の出力を33Wとした以外は実施例4と同様にして、剥離強度測定用試験片を作製した。試験片は、11個作製した。なお、放射温度計によるレーザ光照射時の封着材料層の温度は790℃であった。
レーザ光の出力を33Wとした以外は実施例4と同様にして、剥離強度測定用試験片を作製した。試験片は、11個作製した。なお、放射温度計によるレーザ光照射時の封着材料層の温度は790℃であった。
(比較例2)
酸化ケイ素層を設けないこと以外は実施例4と同様にして、剥離強度測定用試験片を作製した。試験片は、11個作製した。なお、放射温度計によるレーザ光照射時の封着材料層の温度は740℃であった。
酸化ケイ素層を設けないこと以外は実施例4と同様にして、剥離強度測定用試験片を作製した。試験片は、11個作製した。なお、放射温度計によるレーザ光照射時の封着材料層の温度は740℃であった。
(比較例3)
レーザ光の出力を32Wとしたことおよび酸化ケイ素層を設けないこと以外は実施例4と同様にして、剥離強度測定用試験片を作製した。試験片は、11個作製した。なお、放射温度計によるレーザ光照射時の封着材料層の温度は775℃であった。
レーザ光の出力を32Wとしたことおよび酸化ケイ素層を設けないこと以外は実施例4と同様にして、剥離強度測定用試験片を作製した。試験片は、11個作製した。なお、放射温度計によるレーザ光照射時の封着材料層の温度は775℃であった。
次に、実施例1〜3および比較例1の発泡観察用試験片について、図11上の符号26で示される封着層の断面を走査型電子顕微鏡により観察して発泡の有無を評価した。比較例1は、レーザ出力22Wおよび温度650℃の封着条件で、最大径が1μm以上となる発泡がみられた。実施例1は、レーザ出力24Wで照射した際の温度が700℃と比較例1に対して高温になったのにも関わらず、発泡は認められなかった。実施例2では、レーザ出力26Wで照射した際の温度が740℃と比較例1に対して高温になったにも関わらず、発泡は認められなかった。実施例3では、レーザ出力24Wで照射した際の温度が660℃と比較例1に対して高温になったのにも関わらず、発泡は認められなかった。
また、実施例4,5および比較例2,3の剥離強度測定用試験片について剥離強度を測定した。まず、図17、18に示すように、剥離強度測定用試験片30を10mm×5mm×厚さ1.8mmの支持用ガラス基板41、42の間に熱硬化性接着剤43により固定した。なお、支持用ガラス基板41、42は、互いの長手方向が直交するように配置した。その後、ミネベア社製のTCM1000CRを用いて、図19に示すように、上側となる支持用ガラス基板42の両端部を下側から矢印44で示すように支持して固定しつつ、下側となる支持用ガラス基板41の両端部に上側から矢印45で示すように荷重を印加して、剥離強度測定用試験片30の1対のガラス基板31、32が剥離したときの荷重を剥離強度として測定した。結果を表1に示す。表中、剥離強度は、11個作製したもののうち、10個の剥離強度測定用試験片30の剥離強度の平均値を示した。残りの1個の剥離強度測定用試験片は、発泡観察用試験片で行ったのと同様に、図16の封着層36の断面を走査型電子顕微鏡にて観察し、発泡の度合いを判定した。
実施例4に関しては、封着層に発泡が認められず、剥離強度は104Nと十分なものであった。実施例5に関しては、封着層に若干の発泡が認められたものの、酸化ケイ素膜の存在により発泡が抑制され、剥離強度は120Nと十分なものであった。一方、比較例2に関しては、封着層の中に発泡が認められ、強度は84Nと不十分であった。比較例3に関しては、封着層の中に発泡が認められ、強度は84Nと不十分なものとなった。
10…気密封止パッケージ、11…素子基板、11a…素子領域、11b…封着領域、12…封止基板、12a…封着領域、13…電子素子、14…窒化物層、15…酸化ケイ素層、16…封着層、16a…封着材料層、17…レーザ光、20…発泡観察用試験片、21,22… ガラス基板、26…封着層、26a…封着材料層、30…剥離強度測定用試験片、31,32… ガラス基板、36…封着層、36a…封着材料層、41,42…支持用ガラス基板、43…熱硬化性接着剤
Claims (7)
- 電子素子を有する素子基板と、
前記素子基板に対向配置される封止基板と、
前記素子基板と前記封止基板との間に前記電子素子を囲むように設けられ、酸化物基準の質量百分率表示でBi2O3を70%以上含む封着ガラスを有する封着層と、
前記素子基板と前記封着層との間に前記封着層に接触して設けられる酸化ケイ素層と
を有することを特徴とする気密封止パッケージ。 - 前記封着ガラスは、酸化物基準の質量百分率表示で、Bi2O3を70〜90質量%、ZnOを1〜20質量%、B2O3を2〜12質量%含む請求項1記載の気密封止パッケージ。
- 前記封着ガラスは、Al2O3、CeO2、SiO2、Ag2O、WO3、MoO3、Nb2O3、Ta2O5、Ga2O3、Sb2O3、Cs2O、CaO、SrO、BaO、P2O5、およびSnOx(xは1または2である)から選ばれる少なくとも1種を10質量%以下の範囲で含む請求項2記載の気密封止パッケージ。
- 前記酸化ケイ素層は、10nm以上の膜厚を有する請求項1乃至3のいずれか1項記載の気密封止パッケージ。
- 前記素子基板は、前記酸化ケイ素層との間に窒化物層を有する請求項1乃至4のいずれか1項記載の気密封止パッケージ。
- 前記窒化物層は、窒化ケイ素層である請求項5記載の気密封止パッケージ。
- 電子素子を有する素子基板の封着領域に酸化ケイ素層を形成する工程と、
封止基板の封着領域に酸化物基準の質量百分率表示でBi2O3を70%以上含む封着ガラスを有する封着材料層を焼成により形成する工程と、
前記酸化ケイ素層を有する素子基板と前記封着材料層を有する封止基板とを前記酸化ケイ素層と前記封着材料層とが接触するように積層した後、前記封着材料層にレーザ光を照射して前記素子基板と前記封止基板と封着する工程と
を具備することを特徴とする気密封止パッケージの製造方法。
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WO2017094087A1 (ja) * | 2015-11-30 | 2017-06-08 | パイオニア株式会社 | 発光装置 |
JPWO2016208237A1 (ja) * | 2015-06-24 | 2018-04-12 | コニカミノルタ株式会社 | ガスバリアフィルム、透明導電部材、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子、並びに、ガスバリアフィルムの製造方法、透明導電部材の製造方法、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。 |
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2013
- 2013-01-31 JP JP2013016815A patent/JP2014149941A/ja active Pending
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