JP6029141B2 - セラミックス多孔質積層断熱材およびその製造方法 - Google Patents

セラミックス多孔質積層断熱材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セラミックス多孔質積層断熱材およびその製造方法に関し、より詳しくは、セラミックス製の多孔質材料でありながら、低い熱伝導率を達成でき、しかも、より高い強度の実現がされ、断熱材として十分に実用化が可能なセラミックス多孔質積層断熱材およびその製造方法に関する。
従来より、セラミックス多孔体はセラミックス自体が有する耐熱性と多孔体の高気孔率から高温用断熱材及びその製造方法として種々の提案がされている。それらの中でも、工業的に最も一般的にはセラミックファイバー断熱材が知られている(特許文献1参照)。ファイバー断熱材はセラミックファイバーを編んだフェルトをバインダーなどを用いてブロック化してボード状の断熱材としている。一方、ファイバーを用いない断熱材としては、ゲルキャスティング法の1種であるゲル化凍結法によるセラミックス多孔体が提案されている(特許文献2、3参照)。該セラミックス多孔体はセラミックス原料粉体と、ゲル化剤であるゲル化性水溶性高分子溶液とを含む材料から作製したゲル体を凍結し、凍結時に形成する氷結晶を細孔源とし、凍結体から氷を除去して得られた乾燥体を焼成するゲル化凍結法を用いてセラミックス多孔質断熱材を作製し、高気孔率で、セラミックファイバー断熱材と同等の低熱伝導率を示しながら、ファイバー断熱材に対して約10倍の強度を有する高温用断熱材が提案されている。特に特許文献3については氷結晶由来の筒状のマクロ気孔内部に節状の隔壁を形成してなる隔壁構造を有することで、マクロ気孔内を伝わる対流伝熱を抑制し、更なる断熱性向上が得られると提案されている。
また、2種類以上の異なる組成のセラミックス多孔体を層状に重ね、気孔率が72%以上の多孔性セラミック積層体構造にすることで、層間に剥離やクラック等が発生していない良好なセラミックス積層体としたことについての提案がなされている(特許文献4参照)。
特開2002−275747号公報 特開2008−201636号公報 特開2011−195437号公報 特開2012−166972号公報
しかしながら、上記に挙げたような従来技術では、下記に述べるように様々な課題を有している。例えば、特許文献1のファイバー断熱材は、主に低融点の材料(主にアルミナとシリカ)を用いて安価に簡便に製造できる反面、低融点材料からできているため使用可能温度が低くなってしまうことや、低熱伝導率化するために低比重であり、機械的性質が劣るなどの課題がある。
特許文献2及び3のゲル化凍結法によるセラミックス多孔体は、上記したファイバー断熱材と同様の比重・熱伝導率であっても、細孔がランダムに配置しているのではなく方向性を持って筒状に形成されるため、適切な方向ではファイバー断熱材よりも高強度にできるという利点がある。しかしその反面、強度が弱い方向もあることが課題である。さらに、これらの技術では氷結晶を細孔源としているため、凍結体の構造を維持したまま氷結晶を乾燥除去する必要があり、凍結乾燥法による氷の昇華乾燥が適用されていることによる課題もある。この凍結乾燥法では、試料表面から乾燥していき、さらに乾燥を進行させるためには、先に乾燥した表面付近の乾燥層を経て内部に氷を昇華させるのに必要な熱を伝えなければならない。これに対し、凍結乾燥法は真空下で実施されるため対流伝熱がほとんど起こらず、加えて、上記技術では、乾燥層は断熱性向上を目的とした高気孔率を有する多孔体であるため、乾燥層自身が断熱層として働いてしまい、分厚い試料を乾燥させるためには長時間必要であるという課題がある。さらに、厚い試料になるほど乾燥時に亀裂が発生しやすくなるという課題もある。このため、特許文献2及び3で提案しているセラミックス多孔体では、生産性を落すことなく作製できる厚さがせいぜい20mm以下程度であり、製品として必要な厚さを確保することが非常に困難であるという重大な課題がある。
一方、特許文献4は2種類以上の異なる組成を層状に積層された複合セラミックス多孔体を作製することを目的としており、高温で使用される場合、反応や熱膨張係数の差異により亀裂等の発生が予想され、長期間使用する高温用断熱材としては不適当である。
このため、先に挙げたような細孔が一定の方向性を持つセラミックス多孔体を、実用化が可能な、より高い強度と、より低い熱伝導率を両立した断熱材とするための新たな技術開発が必要であると認識するに至った。
従って、本発明の目的は、簡便な方法で、連続的に(工業的に)得られるセラミックス多孔体を利用したものでありながら、構造材料としての断熱材に求められる強度を十分に達成でき、しかも、優れた断熱材として利用可能な低い熱伝導率を示すセラミックス多孔質断熱材を提供することにある。
上記した目的は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、内部に多数の気孔を有する多孔質板が、接着層を介して積層してなる高強度及び低熱伝導率のセラミックス多孔質積層断熱材であって、上記多孔質板は、厚みが2〜50mmであり、内部に有する多数の気孔のいずれもが一定の方向性を持った、内径が10〜300μmの筒状のマクロ気孔であり、該多孔質板が2枚以上積層されてなり、且つ、上記接着層は、厚みが100〜2000μmの、内径が0.5〜10μmの微細な気孔が分散してなるものであり、上記多孔質板のうちの少なくとも2枚における筒状のマクロ気孔が持つ方向性が同様であり、且つ、接着層を介して積層している上記少なくとも2枚の多孔質板同士のマクロ気孔の方向が、互いに異なる向きになるように配置された構造を有することを特徴とするセラミックス多孔質積層断熱材を提供する。
上記したセラミックス多孔質積層断熱材の好ましい形態としては、下記の要件を更に満たすものが挙げられる。
前記マクロ気孔が持つ方向性が、前記多孔質板の下面とのなす角θが30〜90度であるセラミックス多孔質積層断熱材。
2枚以上の多孔質板が接着層を介して積層している箇所のうち50〜100%の箇所で、接着層を介して積層している2枚の多孔質板同士のマクロ気孔の方向が互いに異なる向きになっているセラミックス多孔質積層断熱材。
前記多孔質板の気孔率が50〜99%であり、前記多孔質板と上記接着層とが同質のセラミックス材料から形成されてなるセラミックス多孔質積層断熱材。
前記多孔質板及び前記接着層が、セラミックス原料粉体と、ゲル化剤溶解液とを含む材料から作製したゲル体を凍結し、凍結時に形成された氷結晶を細孔(マクロ気孔)源とするゲル化凍結法により得られたものであるセラミックス多孔質積層断熱材。
前記多孔質板は、内部に前記ゲル化剤由来の筒状のマクロ気孔を有し、そのマクロ気孔内部に多数の節状の隔壁が形成されてなる隔壁構造を有するセラミックス多孔質積層断熱材。
前記セラミックス材料が、シリカ、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、炭化ホウ素、窒化珪素、窒化硼素、コーディエライト及び炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するセラミックス多孔質積層断熱材。
前記接着層の厚みが100〜1000μmであるセラミックス多孔質積層断熱材。
本発明の別の実施態様は、上記いずれかのセラミックス多孔質積層断熱材の製造方法であって、セラミックス原料粉体とゲル化剤溶解液とを含む材料からなるゲル体を凍結して凍結体を得、得られた凍結体から氷を除去して、一定の方向性を持つ多数の気孔を形成した板状の乾燥体を複数用意し、該乾燥体同士の間に無機接着剤を配置して積層し、得られた積層体を乾燥後、焼成することを特徴とするセラミックス多孔質積層断熱材の製造方法を提供する。セラミックス多孔質積層断熱材の製造方法の好ましい形態としては、前記多孔質板の材質と、前記接着剤に同質のセラミックス材料を用いることが挙げられる。
本発明によれば、簡便な方法で、連続的に(工業的に)得られるセラミックス多孔体を利用しているものでありながら、構造材料としての断熱材に求められる強度を十分に達成でき、しかも低い熱伝導率を発現した優れたセラミックス多孔質積層断熱材が提供される。さらに、本発明によれば、上記優れたセラミックス多孔質積層断熱材が簡便に得られるセラミックス多孔質積層断熱材の製造方法が提供される。
本発明のセラミックス多孔質積層断熱材を模式的に示す断面図である。 本発明のセラミックス多孔質積層断熱材が強度に優れるものとなる理由を模式的に示す図である。 本発明のセラミックス多孔質積層断熱材の接着層の状態を示す、電顕写真を示す図である。 本発明のセラミックス多孔質積層断熱材を構成する多孔質板の一例の電顕写真を示す図である。 本発明のセラミックス多孔質積層断熱材の製造方法の一例のフロー図である。
以下、発明を実施するための好ましい形態を挙げて、本発明をより詳細に説明する。以下の説明は、発明の趣旨をよりよく理解可能とするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明の主たる技術的特徴は、多孔質板を複数枚積層させて断熱材を形成するが、その際に、積層する多孔質板として、その内部に多数の気孔が形成されてなり、且つ、多数の気孔が、同様の方向性を持った筒状の内径が10〜300μmのマクロ気孔が形成されてなるものを用いた点と、このような多孔質板の少なくとも2枚を、多孔質板同士のマクロ気孔の方向が互いに異なる向きになるように配置して積層構造とした点と、さらに、多孔質板同士の間にある接着層を、内径が0.5〜10μmの微細な気孔が分散してなる状態にした点にある。
図1に本発明のセラミックス多孔質積層断熱材を模式的に示す断面図を示した。本発明では、セラミックス多孔質板において、その内部に形成される多数のマクロ気孔に、所望に応じて一定の方向性を持たせることができるようになった近年の技術を巧みに利用し、より機械的特性に優れ、且つ、より高い断熱特性を示す断熱材の提供を可能にする。図2は、本発明のセラミックス多孔質積層断熱材を特徴づける、2枚の多孔質板が有するマクロ気孔の方向が互いに異なるように配置したことによる効果を説明するためのものである。図2に示した例では、図中に4で示したが、多孔質板のマクロ気孔は、その多孔質板の下面とのなす角θ(角度の小さい方を指す)は約45度である。この場合に、多孔質板の上下面から力F(図中の5)がかかった場合は、マクロ気孔には、その骨格部分に沿って弱まったFcos(90−θ)の力(図中の6)がかかる。一方、多孔質板の上下面と水平の方向に力F(図中の7)がかかった場合は、その骨格部分に沿って弱まったFsin(90−θ)の力(図中の8)がかかることになり、しかも、隣接する2枚の多孔質板間で力のかかる方向が逆向きになるので、その強度を高めることができる。さらに、積層全体の構造を、この2枚の多孔質板間におけると同様の関係となる組み合わせにすれば、全体として断熱材の強度をさらに高めることが可能になる。なお、本発明者らの検討によれば、2枚以上の多孔質板が接着層を介して積層している箇所のうちの全てでなくとも、例えば、50%以上の箇所で、接着層を介して隣接して積層している2枚の多孔質板同士のマクロ気孔の方向が互いに異なる向きになっていれば、その強度を十分に高めることができる。
本発明者らの検討によれば、本発明のセラミックス多孔質積層断熱材を構成するそれぞれの多孔質板の有するマクロ気孔は、その多孔質板の下面とのなす角が45度に近いものである場合ほど、高強度の断熱材となる。そして、なす角がこれよりも大きくなるほど、強度の向上効果は小さくなる。
図3は、本発明のセラミックス多孔質積層断熱材を構成する接着層の電顕写真を示す図であるが、図に示されているように、接着層は、内径が0.5〜10μmの微細な気孔が分散しており、マクロ気孔を有する多孔質板の部分よりも緻密な状態になっている。このため、上記に加えて、緻密な接着層の部分の存在によって、断熱材の機械的強度は、より高まることになる。さらに、本発明者らの検討によれば、マクロ気孔を有する多孔質板の間に、この内径が0.5〜10μmの微細な気孔が分散している構造の接着層を介在させることで、マクロ気孔を有する多孔質板が単体の場合よりもより低い熱伝導率を達成したものになることがわかった。特に、接着層を、マクロ気孔を有する多孔質板と同様の材料で構成することがより好ましい。また、接着層の厚みは、積層する多孔質板の厚みにもよるが、100〜2000μmの範囲内とする。また、100〜1000μm、100〜500μm程度であることが好ましい。また、多孔質板の厚みは、方向性を有するマクロ気孔を形成するための製造方法にもよるが、その厚みは2〜50mmである。例えば、先に説明した特殊な形状のマクロ気孔を形成できる特許文献3の技術を利用して多孔質板を製造する場合であれば、その厚みは、2〜20mm程度である。この場合であれば、その接着層の厚みは、多孔質板の厚みの1/5〜1/20の、400〜1000μm程度とすることが好ましい。
本発明のセラミックス多孔質積層断熱材を構成する多孔質板は、セラミックス材料から形成されるが、具体的には、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、炭化ホウ素、窒化珪素、窒化硼素、コーディエライト及び炭素等の材料で形成することができる。中でも、シリカ、アルミナ、シリカとアルミナの化合物であるムライト、ジルコニア、窒化硼素が好ましい。
本発明のセラミックス多孔質積層断熱材を製造する際の、内部に一の方向性を有するマクロ気孔が形成された多孔質板を得る方法としては、先に従来技術として挙げたいずれの方法も使用することができる。特に、特許文献3に記載されている方法によって形成したマクロ気孔は、筒状のマクロ気孔内部に多数の節状の隔壁が形成されてなる隔壁構造を有する多孔質板となり(図4(a)参照)、積層されるそれぞれの多孔質板が他の多孔質板に比較して、その強度と低熱伝導率において優れるのでより好ましい。なお、マクロ気孔の方向は、いずれの方法の場合も、氷の成長方向を所望する方向になるようにすることで適宜に行うことができる。
次に、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。
<実施例1>
特開2008−201636号公報に記載の方法に準じて(図5のフロー参照)、下記のようにして230×114×10mmの大きさのジルコニア製の多孔質板を2枚作製した。具体的には、セラミックス原料として、比表面積7m2/gの、ジルコニア粉体(トーソー製:TZ−8Y、)を用い、ゲル化剤にはゼラチン(和光純薬製)を用いた。このジルコニア粉体は8mol%のイットリアを含有したものである。そして、上記公報の実施例の記載に準じてジルコニア製の多孔質板を得た。得られた多孔質板のマクロ気孔は、内径が100μm程度の傾斜した筒状であり、その下面とのなす角θは約45度であった。
接着剤として、上記で使用したと同様のジルコニア粉体とゼラチンに水を加えてスラリーを用意した。上記で得たジルコニア製の多孔質板の一方の表面に、上記の接着剤スラリーを塗布し、この面で積層して2枚の多孔質板を接着させた。積層する際に、図2に示したように、多孔質板が、接着層を介してそのマクロ気孔の傾斜が互いに逆向きとなり、それぞれ接着層とのなす角が45度となるように配置した。次に、積層させた状態で、凍結乾燥機にて、多孔質板間に介在する接着層の乾燥を行った。最後に、乾燥後に得られた積層体を、1500℃で2時間焼成することで、ジルコニア製の多孔質積層断熱材を得た。
参考として、図3に、マクロ気孔の傾斜角度が実施例1のものとは異なるが、上記のようにして得られるジルコニア製の多孔質積層断熱材の接着層の部分の電顕写真の図を示した。本実施例の断熱材は、内部に、接着層に対して45度傾斜した、気孔径の平均が約100μmのマクロ気孔が多数形成されている、230×114×10mmの大きさの2枚の多孔質板が、約100μmの厚さであって、内在する気孔の径が約0.5μmである図3に示したと同様の状態の接着層を介して積層されたものであった。
<実施例2>
実施例1と同様の材料および作製手順で、230×114×4mmの大きさの5枚の多孔質板を用い、これら5枚の多孔質板が、それぞれ接着層を介して積層した状態にした以外は同様にして、ジルコニア製の多孔質積層断熱材を作製した。具体的には、接着層を介して5枚の多孔質板を積層した後、凍結乾燥機にて接着体の乾燥を行い、その後に焼成を行って、積層断熱材とした。
<比較例1>
実施例1と同様の材料および作製手順で、多孔質板の大きさが230×114×20mmとなるようにし、積層接着を行わず、1枚の多孔質板からなるジルコニア製の多孔質断熱材を作製した。
<評価>
(1)組織・構造
実施例1及び実施例2で得たセラミックス多孔質積層断熱材について、その切断面をSEM写真で確認したところ、図3に示したと同様の状態の接着層を介して強固に接合されていた。
(2)圧縮強さ
実施例1、実施例2、比較例1で得られた各セラミックス断熱材の圧縮強さを、JIS R 2206「耐火れんがの圧縮強さの試験方法」に基づいて評価した。実施例1のセラミックス多孔質積層の圧縮強さ10MPaを基準とし、これを記号で+++と表記し、これと比較して相対的に低強度のものから順に、−<+<++<+++<++++の5段階で評価した。その結果を表1に示した。
(3)熱伝導率
実施例1、実施例2、比較例1で得られた各セラミックス断熱材の熱伝導率は、JIS R 2616「耐火断熱れんがの熱伝導率の試験方法」に準拠し、熱線法を用いて接着層に垂直な方向を測定した。実施例1のセラミックス多孔質積層の熱伝導率0.14W/(m・K)-1を基準の○とし、これと比較して相対的に低熱伝導率のものから順に◎<○<△の3段階で評価した。結果を表1に示した。
<実施例3>
実施例1と同様の材料および作製手順で、接着剤の材料中にさらに、焼失性の気孔形成剤としてカーボン粉末を添加した以外は実施例1と同様にして、2枚の多孔質板が積層してなるジルコニア製の多孔質積層断熱材を作製した。得られた断熱材の接着層に内在する気孔の径は約5μmであった。また、得られた断熱材について、実施例1で行ったと同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。また、表2中に、評価基準とした実施例1の結果も併せて示した。
<実施例4>
実施例1と同様の材料および作製手順で多孔質板を作製したが、接着剤の材料中にさらに焼失性の気孔形成剤としてカーボン粉末を添加した以外は実施例1と同様にして、2枚の多孔質板が積層してなるジルコニア製の多孔質積層断熱材を作製した。得られた断熱材の接着層に内在する気孔の径は約10μmであった。また、得られた断熱材について、実施例1で行ったと同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。
<比較例2>
実施例1と同様の材料および作製手順で、接着剤スラリーに含まれるジルコニア原料粉末の割合を50%増加させた以外は実施例1と同様にして、ジルコニア製の多孔質積層断熱材を作製した。その結果、得られた積層断熱材の接着層に内在する気孔の径は約0.1μmであった。得られた断熱材について、実施例1で行ったと同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。
<比較例3>
実施例1と同様の材料および作製手順で、使用した接着剤スラリーに、焼失性の気孔形成剤としてスチレンビーズを添加した以外は実施例1と同様にして、ジルコニア製の多孔質積層断熱材を作製した。その結果、得られた積層断熱材の接着層に内在する気孔の径は約20μmであった。得られた断熱材について、実施例1で行ったと同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。
<実施例5>
実施例1と同様の材料および作製手順で多孔質板を作製したが、作製途中の凍結体を得る際に、多孔質板に形成されるマクロ気孔の傾斜角度が、その下面とのなす角θが約60度となるように氷の成長方向を調整した。その結果、得られたジルコニア製の多孔質板のマクロ気孔は、その下面とのなす角θが約60度に傾斜した、内径が100μm程度のものであった。このようにして得た2枚のジルコニア製の多孔質板を、実施例1で行ったと同様の方法で、このマクロ気孔の方向が互いに逆向きとなり、それぞれ接着層となす角が60度となるように配置して積層し、ジルコニア製の多孔質積層断熱材を作製した。そして、得られた断熱材について、実施例で行ったと同様の方法で評価し、その結果を表3に示した。また、表3中に、評価基準とした実施例1の結果も併せて示した。なお、実施例5の余角である30度の場合についても同様に検討した結果、実施例5の場合よりも若干劣るものの、強度の向上と熱伝導率の向上効果を同様に得ることができた。
<比較例4>
実施例1と同様の材料および作製手順で多孔質板を作製し、多孔質板に形成されるマクロ気孔の傾斜角度が、その下面とのなす角θが約45度である実施例1で用いたと同様の多孔質板を2枚得た。そして、積層接着する際に、得られた2枚のジルコニア製の多孔質板を、このマクロ気孔の方向が接着層を介して同じ向きとなるように配置して、ジルコニア製の多孔質積層断熱材を作製した。そして、得られた断熱材について、実施例で行ったと同様の方法で評価し、その結果を表3に示した。
<実施例6>
特開2011−195437号公報の実施例1に記載の方法に準じて、下記のようにして230×114×10mmの大きさのジルコニア製の多孔質板を2枚作製した。具体的には、実施例1で使用したと同様のジルコニア粉体(トーソー製:TZ−8Y、)と、ゲル化剤にゼラチン(和光純薬製)を用い、ゲル化剤以外の水溶性高分子としてポリアクリル酸塩を用いたゲル化凍結法で、ジルコニア製のセラミックス多孔質板を作製した。得られた多孔質板の顕微鏡写真を図4(b)に示したが、図からわかるように、ほぼ円筒状のマクロ気孔の内部に、該孔を横断する方向に多数の隔壁が形成された構造をしていた。各マクロ気孔は、内径が100μm程度であり、傾斜しており、その下面とのなす角θは約45度であった。
上記のようにして得られた本実施例の断熱材は、内部に、気孔径の平均が約100μmのマクロ気孔を有し、且つ、その内部に多数の隔壁が形成されている状態の多孔を持つ、230×114×10mmの大きさの2枚の多孔質板が、約100μmの厚さで、層中に内在する気孔の径が約0.5μmの接着層を介して積層されたものであった。得られた断熱材について、実施例1で行ったと同様の方法で評価し、その結果を表4に示した。また、表4中に、評価基準とした実施例1の結果も併せて示した。
<実施例7>
実施例1と同様の作製手順で、セラミックス原料に、ジルコニア粉体に代えて比表面積8.4m2/gのアルミナ粉体(昭和電工製:AL−160SG−3)を用い、さらに、積層体の焼成温度を1600℃にした以外は実施例1と同様にして、アルミナ製の多孔質積層断熱材を作製した。得られた断熱材について、実施例1で行ったと同様の方法で評価し、その結果を表5に示した。また、表5中に、評価基準とした実施例1の結果も併せて示した。
<実施例8>
実施例1と同様の作製手順で、セラミックス原料に、ジルコニア粉体に代えて比表面積5.5m2/gの炭化珪素粉体(太平洋ランダム製:GMF−C)を用い、さらに、積層体の焼成をアルゴン雰囲気で1800℃にて実施した以外は実施例1と同様にして、炭化珪素製の多孔質積層断熱材を作製した。得られた断熱材について、実施例1で行ったと同様の方法で評価し、その結果を表5に示した。
<実施例9>
実施例1と同様の材料および作製手順で、接着層の厚さが約500μmとなるようにした以外は同様にして、ジルコニア製の多孔質積層断熱材を作製した。得られた断熱材について、実施例1で行ったと同様の方法で評価し、その結果を表6に示した。また、表6中に、評価基準とした実施例1の結果も併せて示した。
<比較例5>
実施例1と同様の材料および作製手順で、接着層の厚さが約50μmとなるようにした以外は同様にして、ジルコニア製の多孔質積層断熱材を作製した。得られた断熱材について、実施例1で行ったと同様の方法で評価し、その結果を表6に示した。
<比較例6>
実施例1と同様の材料および作製手順で、接着層の厚さが約4000μmとなるようにした以外は同様にして、ジルコニア製の多孔質積層断熱材を作製した。得られた断熱材について、実施例1で行ったと同様の方法で評価し、その結果を表6に示した。
<評価のまとめ>
上記した表1〜6に示した結果から、比較例1のように積層接着せず一体物であるものや、比較例3のように接着層内の気孔径が大きいもの、比較例4のように積層断熱材のマクロ気孔の方向が接着層を介して同一の向きになっているもの、及び比較例5、6のように接着層の厚みが、本発明で規定するよりも薄い或いは厚いものが低強度の傾向を示すことを確認された。さらに、上記した表1〜6に示した結果から、実施例6のジルコニア製の多孔質積層断熱材ように、多孔質板内に隔壁構造をなすマクロ気孔が存在し、マクロ気孔と接着層がなす角θが45度の積層断熱材が最も高強度であることがわかった。その強度を考慮しなければ、実施例4及び比較例3の多孔質積層断熱材ように、接着層内の気孔径が大きいものも低熱伝導率で断熱性に優れた結果を示したが、特に実施例6の積層断熱材は今回の範囲で、強度と低熱伝導率を両立していた。
1:セラミックス多孔質板
2:マクロ気孔
3:接着層
4:マクロ気孔と多孔質板の下面とのなす角θ
5:多孔質板の上下面に垂直にかかる力F
6:マクロ気孔骨格部分にかかる力Fcos(90−θ)
7:多孔質板の上下面に水平にかかる力F’
8:マクロ気孔骨格部分にかかる力F’sin(90−θ)

Claims (9)

  1. 内部に多数のマクロ気孔を有する多孔質板が、接着層を介して積層してなるセラミックス多孔質積層断熱材であって、
    上記多孔質板は、厚みが2〜50mmであり、内部に有する多数の気孔のいずれもが一定の方向性を持った、内径が10〜300μmの筒状のマクロ気孔であり、該多孔質板が2枚以上積層されてなり、且つ、
    上記接着層は、厚みが100〜2000μmの、内径が0.5〜10μmの微細な気孔が分散してなるものであり、
    上記多孔質板のうちの少なくとも2枚における上記筒状のマクロ気孔が持つ方向性が同様であり、且つ、接着層を介して積層している上記少なくとも2枚の多孔質板同士のマクロ気孔の方向が、互いに異なる向きになるように配置された構造を有することを特徴とするセラミックス多孔質積層断熱材。
  2. 前記マクロ気孔が持つ方向性が、前記多孔質板の下面とのなす角θが30〜90度である請求項1に記載のセラミックス多孔質積層断熱材。
  3. 2枚以上の多孔質板が接着層を介して積層している箇所のうち50〜100%の箇所で、接着層を介して積層している2枚の多孔質板同士のマクロ気孔の方向が互いに異なる向きになっている請求項1又は2に記載のセラミックス多孔質積層断熱材。
  4. 前記多孔質板の気孔率が50〜99%であり、前記多孔質板と上記接着層とが同質のセラミックス材料から形成されてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラミックス多孔質積層断熱材。
  5. 前記多孔質板は、前記マクロ気孔内部に多数の節状の隔壁が形成されてなる隔壁構造を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のセラミックス多孔質積層断熱材。
  6. 前記セラミックス材料が、シリカ、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、炭化ホウ素、窒化珪素、窒化硼素、コーディエライト及び炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する請求項1〜のいずれか1項に記載のセラミックス多孔質積層断熱材。
  7. 前記接着層の厚みが100〜1000μmである請求項1〜のいずれか1項に記載のセラミックス多孔質積層断熱材。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載のセラミックス多孔質積層断熱材の製造方法であって、
    セラミックス原料粉体とゲル化剤溶解液とを含む材料からなるゲル体を凍結して凍結体を得、得られた凍結体から氷を除去して、一定の方向性を持つ多数の気孔を形成した板状の乾燥体を複数用意し、該乾燥体同士の間に無機接着剤を配置して積層し、得られた積層体を乾燥後、焼成することを特徴とするセラミックス多孔質積層断熱材の製造方法。
  9. 前記多孔質板の材質と、前記接着剤とに同質のセラミックス材料を用いる請求項に記載のセラミックス多孔質積層断熱材の製造方法。
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