第1の発明は、水を貯める貯水室と、前記貯水室内の水を加熱して蒸気を発生させる少なくとも1つの加熱部と、前記貯水室内に水を給水する給水装置と、前記貯水室内に設けられた複数のフィンとを備え、前記貯水室には、前記加熱部によって発生された蒸気を噴出する蒸気噴出口が設けられており、前記蒸気噴出口の下方において、前記複数のフィンは、蒸気発生方向に沿って形成されるとともに、前記加熱部を横切るように互いに離間して配置される、蒸気発生装置である。これにより、特に温度の高い加熱部付近の熱が、熱の伝わりにくい貯水室内の水の内部にまでフィンによって伝わり、また、フィンにより貯水室と水との接触面積が増えるため、加熱部からの熱を効率的に水に伝えることができる。これにより、貯水室と水とが接触する部分の温度が下がり、温度の高い部分で発生しうる大きな気泡が少なくなる。よって、大きな気泡が水面に上昇して破裂することによる沸騰水の駆け上がりを少なくし、沸騰水が蒸気噴出口から噴出することを防ぐことができる。また、大きな気泡の発生を少なくすることで、気泡の破裂音を抑えることができる。また、貯水室と水との接触部分の温度が下がるため、高温になるほど付着しやすいスケールの付着を抑制することができる。また、フィンによって貯水室を細かく区切ることにより、沸騰時の気泡を物理的に小さくすることができ、大きな気泡の発生をさらに少なくすることができる。また、フィンを蒸気発生方向に沿って設けることにより、蒸気の流れを妨げることがないため、蒸気量及び蒸気流速を向上させることができる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、蒸気発生方向に垂直な断面における前記貯水室と前記フィンで形成される空間の断面積は、前記蒸気噴出口の断面積以上である。これにより、蒸気の流路において断面積が減少することとなるため、断面積が増加する場合よりも、蒸気に生じる流路圧損を低減することができ、蒸気量の低下を抑制することができる。すなわち、蒸気量の低下を抑制しながら、沸騰水の駆け上がりを少なくし、沸騰水が蒸気噴出口から噴出することを防ぎ、さらに気泡の破裂音を抑えることができる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、前記フィンは前記貯水室の第1の側面から延出されるとともに、第1の側面と対向する第2の側面に対して前記フィンの先端が離間している。これにより、フィンと第2の側面の間にも水が回り込むため、貯水室と水との接触面積が増大する。よって、水の対流が促進されることで、貯水室内における水の温度分布がより均一となる。これにより、大きな気泡の発生を少なくすることで、沸騰水の駆け上がりを少なくし、沸騰水が蒸気噴出口から噴出することを防ぎ、さらに気泡の破裂音を抑えることができる。
第4の発明は、特に、第1から第3のいずれか1つの発明において、前記加熱部は、加熱時における貯水室内の水面の上側と下側に少なくとも1つずつ設けられる。これにより、沸騰時に発生する気泡が水面で破裂して駆け上がろうとしても、水面の上側にある加熱部によって加熱されて蒸気になるため、沸騰水が蒸気噴出口から噴出することを防ぐことができる。
第5の発明は、水を貯める貯水室と、前記貯水室内の水を加熱して蒸気を発生させる加熱部と、前記貯水室内に水を給水する給水装置とを備え、前記貯水室には、前記加熱部によって発生された蒸気を噴出する蒸気噴出口が設けられており、前記加熱部は、加熱時における貯水室内の水面の上側と下側に少なくとも1つずつ設けられる、蒸気発生装置である。これにより、沸騰時に発生する気泡が水面で破裂して駆け上がろうとしても、水面の上側にある加熱部によって加熱されて蒸気になるため、沸騰水が蒸気噴出口から噴出することを防ぐことができる。
第6の発明は、第1から第5のいずれか1つの発明の蒸気発生装置を備える加熱調理器である。
以下、本発明の実施の形態1について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態1によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る実施の形態1の蒸気発生装置を備えた加熱調理器の正面断面図を示す。
図1において、実施の形態1の加熱調理器は、アルミメッキ鋼板の表面をフッ素塗装して構成され、被加熱物である食品5を収納する加熱室1を有している。加熱室1内には、食品5を載置し加熱室1に出し入れ可能な載置皿4と、載置皿4を保持するレール12と、加熱室1に固定され食品5を載置する結晶化ガラスで形成された載置台3と、加熱室1の天面付近に3本平行に設けられた加熱室ヒータ2とを備えている。加熱室ヒータ2の3本のうち中央部に配置された加熱室ヒータ2の波長のピーク値は他の2本の加熱室ヒータ2の波長のピーク値よりも短く設定されている。
加熱室1を構成する壁面は、アース線(図示せず)に接続されて接地されており、加熱室1と一体成型されたレール12も接地状態である。
実施の形態1における加熱室1を構成する壁面は、汚れを拭き取りやすいフッ素塗装を行った例で説明するが、ホーロー塗装や他の耐熱性のある塗装を行ってもよい。また、加熱室1の材質としてはアルミメッキ鋼鈑を用いた例で説明するが、他の金属を用いてもよく、例えばステンレスを用いることもできる。
載置皿4は、アルミメッキ鋼鈑で形成されており、載置皿4上の食品5を加熱した時に食品5からの油脂分が流れ出やすいようにプレスで凹凸加工されている。
また、載置皿4の表面はフッ素塗装され、裏面にはマイクロ波を吸収して発熱する発熱体が備えられている。このように、載置皿4の裏面に発熱体を備えることにより、食品5の上方に設けられた加熱室ヒータ2と、載置皿4の裏面の発熱体との組み合わせにより、食品5の両面を加熱することができる。なお、載置皿4とレール12との接触部分には加熱室1と絶縁するためにPPS樹脂の成型品が備えられている。
実施の形態1において、載置皿4の表面は汚れを拭き取りやすいフッ素塗装を行った例で説明するが、ホーロー塗装や他の耐熱性のある塗装を行ってもよい。また、載置皿4の材質としてはアルミニウムの例で説明したが、他の金属、例えばステンレスを用いることもできる。
加熱室1の奥である背面側には加熱室1内の空気を撹拌、循環させる循環ファン7と、加熱室1内を循環する空気を加熱する室内加熱ヒータであるコンベクションヒータ8が循環ファン7を取り囲むように設けられている。
加熱室1の背面中央付近には加熱室1側から循環ファン7側に吸気を行う複数の吸気用通風孔16が形成されている。逆に、循環ファン7側から加熱室1側に送風を行う複数の送風用通風孔17が、加熱室1の背面におけるコンベクションヒータ8の外周領域の特定区域に形成エリアを区別して形成されている。吸気用通風孔16及び送風用通風孔17は多数のパンチング孔で形成されている。
実施の形態1の加熱調理器には、図1に示すように、加熱室1を構成する右方の壁面(右壁面)に検出用孔46が形成されており、この検出用孔46を通じて加熱室1内の食品5の温度が赤外線センサ15により検出される。また、加熱室1の庫内温度は、加熱室1の上部に設けられた庫内サーミスタ9により検出される。
図1に示す実施の形態1の加熱調理器において、加熱室1の下方における左壁面の下にはマイクロ波発生手段であるマグネトロン6が水平方向に出力端が導出するよう設けられている。実施の形態1において用いられているマグネトロン6は、図1における左方から見て約80mm×80mm角である。マグネトロン6は、加熱室1の底面直下において、アルミメッキ鋼鈑を曲げて略L字状の内部通路を有する導波管14に接続されている。水平方向に導出するマグネトロン6の出力端は、導波管14の内部に導出されており、マグネトロン6からのマイクロ波が導波管14の内部通路を伝送する。
加熱室1の底面における中央付近にはアルミニウムで構成された回転アンテナ11が設けられており、回転アンテナ11は加熱室1の底面直下の導波管14の内部から開口を通って加熱室1内に突設されている。回転アンテナ11は、モータ18により回動されて、導波管14から加熱室1内に放射されるマイクロ波を攪拌する電波撹拌手段としての機能を有する。
なお、実施の形態1の構成においては、マグネトロン6、回転アンテナ11、モータ18、および導波管14を、加熱室1の下部側に設けているが、本発明はこの構成に限定されない。これらの要素を加熱室1の上部側、または側面側に設けることも可能であり、それぞれの要素の設置方向も各要素に対応してあらゆる方向に設定することが可能である。
上記のように構成された実施の形態1の加熱調理器は、蒸気発生装置20を備える。図1に示すように、加熱調理器を正面から見たとき、加熱室1の左側には、蒸気を発生させるための水を貯める貯水室19と、貯水室19の開口にパッキン(図示せず)を挟んで対向して設けられた貯水室カバー34とが設けられている。貯水室19と貯水室カバー34はともにアルミダイキャストで形成されている。
また、実施の形態1における蒸気発生装置20は、貯水室19の高さ方向に対して中央付近に略水平方向に設けられた第1の蒸気発生ヒータ40と、第1の蒸気発生ヒータ40の上方に略水平方向に設けられた第2の蒸気発生ヒータ41とを備える。第1の蒸気発生ヒータ40及び第2の蒸気発生ヒータ41はともに、貯水室19内の水を加熱して蒸気を発生させるものであり、貯水室19のアルミダイキャストに鋳込まれている。第1の蒸気発生ヒータ40は出力650Wの直線状のシーズヒータであり、第2の蒸気発生ヒータ41は出力350Wの直線状のシーズヒータである。
実施の形態1においては、貯水室19内の水を加熱して蒸気を発生させる加熱部である第1の蒸気発生ヒータ40及び第2の蒸気発生ヒータ41として、出力が異なる直線状のシーズヒータを2本用いて、合計の出力を1000Wとしている(下方が650W、上方が350W)。このような場合に限らず、必要な蒸気量等に応じて、所望の出力を有するヒータを設けるようにしても良い。例えば、出力合計1000W以外となるヒータや、出力が同じ複数本のヒータや、3本以上や1本だけのヒータを用いても良い。また、ヒータの形状としては、直線状のヒータ以外の各種形状のヒータを用いることが可能であり、例えばU字形状やL字形状のヒータ等を用いることができる。また、上方に位置するヒータの出力を、下方に位置するヒータの出力よりも大きくしても良い。
また、貯水室19の天面には、上方向に導出するように蒸気導入路23が接合されている。蒸気導入路23は、貯水室19から上方向に導出した後、加熱室1の外面を沿うようにL字形状に曲げられて、加熱室1の側面の上方部分に蒸気噴出口21を介して接続されている。蒸気導入路23は、内径φ10mmのシリコーンチューブで形成されている。蒸気導入路23と接続された蒸気噴出口21から、加熱室1内に蒸気が吹出される。
また、第2の蒸気発生ヒータ41の上方には、貯水室19内の温度を検知する貯水室サーミスタ42が設けられる。
また、実施の形態1の蒸気発生装置20において、貯水室19の天面から上方向に導出する蒸気導入路23及び蒸気噴出口21の断面が円形状である例で説明するが、楕円形状や矩形状でもよい。また、蒸気噴出口21は加熱室1の側面の上方に1つだけ設けた例で説明するが、加熱室1の天面や底面等の加熱室1内に蒸気を供給できればよく、1つだけでなく複数個備えてもよい。
なお、蒸気噴出口21の孔の最長内寸は、加熱室1内のマイクロ波が漏れないように、マイクロ波の波長の1/2以下が好ましい。実施の形態1においては、マイクロ波の波長が約120mmであるため、蒸気噴出口21の孔の最長内寸は60mm以下が望ましい。
また、スケール付着を減らすために、貯水室19の内面または貯水室カバー34の内面をフッ素やシリコーン等でコーティングしてもよい。
また、貯水室サーミスタ42のような温度検知手段を用いることにより、水位を検知する水位検知手段を用いる場合と異なり、検知部にスケールが付着してもより長く継続的に検知を行うことができる。これにより、スケールに対する信頼性を高くすることができる。
実施の形態1の加熱調理器においては、導波管14の下方に制御手段10が設けられている。制御部10は、ユーザの調理メニューの選択に応じて、マグネトロン6、モータ18、循環ファン7、加熱室ヒータ2、第1の蒸気発生ヒータ40、第2の蒸気発生ヒータ41、コンベクションヒータ8、庫内サーミスタ9、貯水室サーミスタ42、赤外線センサ15、給水ポンプ28、操作表示部39等を制御している。
図2は、本発明に係る実施の形態1の蒸気発生装置20を備えた加熱調理器の外観を示す斜視図である。
実施の形態1の加熱調理器の前面には、扉45が設けられている。扉45は、底面側を支点として手前側に開くことができ、これにより、加熱室1内に対して被加熱物である食品5を出し入れすることができる。また、加熱調理器の前面には、ユーザが調理メニューや調理時間を設定するための操作表示部39が備えられている。また、実施の形態1の加熱調理器には、扉45を開いた時にマグネトロン6や各ヒータの動作を停止することができる安全スイッチ(図示せず)が備えられている。
図3は、本発明に係る実施の形態1の加熱調理器における蒸気発生装置20を模式的に示す縦断面図である。
貯水室19の内壁の中央付近には、複数のフィン22が設けられている。フィン22は、第1の蒸気発生ヒータ40と第2の蒸気発生ヒータ41を略垂直に横切るように、水平方向に約5mm間隔で並べられている。フィン22は貯水室19と一体的であり、実施の形態1ではそれぞれの厚みが約2mmである。また、フィン22の長手方向は、蒸気発生方向と略同一方向に設定されている。すなわち、フィン22は、蒸気発生方向に沿って形成されている。なお、蒸気発生方向とは、水中で発生した蒸気が水面に向かう方向、又は水面から出た蒸気が向かう方向のことであり、本実施の形態1では、貯水室19内の水面に垂直な方向、又は貯水室19内での上下方向のことである。
なお、フィン22の厚み、長さ及び間隔は、貯水室19の形状や、第1の蒸気発生ヒータ40と第2の蒸気発生ヒータ41の出力及び形状等に応じて、適宜決定してもよい。
貯水室19の内面における底面は、その中央部が最下端となるように水平面に対して角度約5°の傾斜を有する傾斜面24である。すなわち、貯水室19の底面は、いわゆる漏斗状に形成されており、その中央部である最下点に排水口37が設けられている。また、貯水室19へ水を給水するための給水口36は、貯水室19の傾斜面24に形成されている。給水口36は排水口37の図3における左方側に設けられており、給水口36と排水口37は貯水室19の底面における別々の位置に設けられている。
実施の形態1における傾斜面24の傾斜角度は、水平面に対して約5°としたが、排水路30の形状や排水時の給水量等により水の流れが異なるため、当該加熱調理器の仕様において必要とする水流等に応じて適宜決定される。
図3において、給水口36の下方となる上流側には半透明で弾性体のシリコーンで形成された内径φ6の給水路27の一端が接続されている。この給水路27の他端は、給水装置である給水ポンプ28を介して給水タンク29に接続されている。このように、貯水室19に設けられた給水口36及び給水路27を通じて、貯水室内に水を給水する給水装置として給水ポンプ28が設けられている。
一方、排水口37の下方となる下流側には第1の排水路25と第2の排水路35が連続する排水路30が備えられている。第1の排水路25は半透明で弾性体のシリコーンで形成され、内径がφ6の管状である。第1の排水路25はチューブ等の別部品を用いることなく排水口37に接続されている。図3に示すように、第1の排水路25は、排水口37から下方(略鉛直方向)に延設されており、排水口37から所定の長さで略水平方向に屈曲し、さらに所定の長さで上方(略垂直方向)に屈曲している。即ち、第1の排水路25は、所謂、下方に凸となるU字状の形状を有している。
なお、実施の形態1における第1の排水路25としては、シリコーンを用いた例で説明したが、フッ素、ポリプロピレン、ポリエチレン等を用いることもできる。また、第1の排水路25として金属パイプを用いるとともに、少なくともその内面をフッ素、シリコーン等でコーティングしてもよい。
第1の排水路25の下流側には、内径φ6の銅パイプを曲げて形成された第2の排水路35がチューブ等の別部品を用いることなく接続されている。第2の排水路35は、第1の排水路25との接合部分から第1の蒸気発生ヒータ40及び第2の蒸気発生ヒータ41の水平位置を超えて上方に延設されている。第2の排水路35は、貯水室19の内面における天面の頂点と略同一高さである排水路頂点32を頂点として180°屈曲しており、排水路頂点32より下流側は鉛直方向の下方に延設されている。即ち、第2の排水路35は、所謂、上方に凸となる逆U字状の形状を有している。このように形成された第2の排水路35は、第1の排水路25から流れてきた水を、排水路出口33を通して排水タンク31に流す。第2の排水路35の排水路出口33は、貯水室19の底面より下方の位置に設けられている。
実施の形態1においては、第2の排水路35を銅パイプを用いた例で説明したが、アルミ、鉄等の材質のパイプを用いることもできる。
給水タンク29は、容器部と蓋部の2つの部品で構成されており、それぞれが透明な非晶性のプラスチックであるAS樹脂で形成されている。給水タンク29の容器部と蓋部は、パッキン(図示せず)を挟んで水が漏れないように密閉されている。給水タンク29の側面には排水ライン26と満水ライン38がシルク印刷により表示されている。給水タンク29の排水ライン26まで注水すると約100mlとなり、貯水室19内の内容積より10ml程多い容量となる。給水タンク29の満水ライン38まで注水すると約400mlとなる。なお、図3に示す貯水室19、給水タンク29および排水タンク31は、実際の相対的な容量を示しておらず、貯水室19は、給水タンク29および排水タンク31に比べて容量を誇張して示している。
実施の形態1においては、排水ライン26と満水ライン38をシルク印刷により表示した例で説明したが、このようなシルク印刷に限るものではなく、給水タンク29に刻印を付けたり、給水タンク29に凹凸部を設けて表示してもよい。
図4は、本発明に係る実施の形態1の蒸気発生装置20を模式的に示す横断面図である。
フィン22は、貯水室19の第1の側面19Aから延出されるとともに、第1の側面19Aと対向する貯水室カバー34で形成された第2の側面19Bに対してフィン22の先端が離間している。本実施の形態1では、貯水室19から延出されたフィン22の先端と貯水室カバー34との間隔は約2mmである。また、蒸気発生方向に垂直な断面における貯水室19、フィン22及び貯水室カバー34で形成される空間の断面積(図4で貯水室19、フィン22及び貯水室カバー34で囲まれた白抜き部分の全体)は、蒸気噴出口21の断面積以上に設定されている。
なお、本実施の形態1では、貯水室19から延出されたフィン22の先端と貯水室カバー34との間隔は約2mmであるが、フィン22と貯水室カバー34との間に隙間が存在して水が侵入できるのであれば、この間隔を大きく又は小さくしても良い。
次に、上記のように構成された実施の形態1の蒸気発生装置20を備えた加熱調理器について、その動作および作用について説明する。
まず、使用者により、マイクロ波加熱モードが選択されて、起動スイッチがON状態にされた場合には、マグネトロン6からマイクロ波が放出される。マグネトロン6から放出されたマイクロ波は、導波管14内を伝搬し、回転アンテナ11を照射する。モータ18によって回転する回転アンテナ11により、マイクロ波が加熱室1内に撹拌されながら供給される。加熱室1内に供給されたマイクロ波は、被加熱物である食品5に直接吸収されるものもあれば、加熱室1の壁面を反射しながら食品5に吸収されて、食品5を加熱するものもある。また、自動加熱時においては、主に赤外線センサ15や庫内サーミスタ9を用いて食品や庫内の状態を検知し、検知された状態に応じて、出力やマイクロ波の放出方向を制御する。なお、このマイクロ波加熱モードの動作時においては、加熱室1の内部から載置皿4が取り外されており、載置台3の上に食品5が載置されて加熱される。
一方、使用者により、オーブン加熱モードが選択されて、起動スイッチがON状態にされた場合には、加熱室ヒータ2またはコンベクションヒータ8が通電されて発熱し、循環ファン7によって加熱室1内を熱風が循環して、食品5が加熱される。また、自動加熱時においては、主に赤外線センサ15や庫内サーミスタ9を用いて食品や庫内の状態を検知し、検知された状態に応じて、加熱室ヒータ2とコンベクションヒータ8の切り替えや、出力の制御を行う。
使用者が加熱室1内に載置皿4をセットし、グリル加熱モードを選択して、起動スイッチをON状態とすると、マイクロ波加熱モードと同様にマイクロ波が加熱室1内に供給され、載置皿4の裏面の発熱体が発熱する。発熱した発熱体の熱が熱伝導により載置皿4の全体が高温度となり、食品5を下方から加熱する。
このとき同時に、マイクロ波が載置皿4と加熱室1の壁面との隙間から回り込み、食品5が加熱させられる。また、グリル加熱モードにおいては、加熱室ヒータ2に通電されて発熱し、その輻射熱により食品5を上方から加熱する。このグリル加熱モードにおいては、使用者による設定内容に応じて、マイクロ波による加熱とともに加熱室ヒータ2による輻射加熱を同時に行う場合と、マイクロ波による加熱または加熱室ヒータ2による輻射加熱のそれぞれを単独で行う場合が自動的に選択される。
また、自動加熱時においては、主に赤外線センサ15や庫内サーミスタ9を用いて食品や庫内の状態を検知し、検知した状態に応じて、マイクロ波と加熱室ヒータ2との切り替えや、出力の制御を行う。
図5は、本発明に係る実施の形態1の蒸気発生装置20におけるスチーム加熱モードのフローチャートを示す。図6は、本発明に係る実施の形態1の蒸気発生装置20が備える貯水室サーミスタの温度と時間の関係を示すグラフである。
まず、ユーザによって、給水タンク29の満水ライン38まで水が補充された後、スチーム加熱モードが選択・決定される(ステップS10)。そうすると、制御手段10は、第1の蒸気発生ヒータ40と第2の蒸気発生ヒータ41を起動(ON)して発熱させる(ステップS11)。
次に、図6のA1に示すように、貯水室サーミスタ42が検知する貯水室19の温度が、通電開始から30秒間で60℃以上上昇した場合(ステップS12)、制御手段10は、給水ポンプ28に給水命令を出し、約40mlの給水を行う(ステップS13)。給水ポンプ28による給水により、給水タンク29の水が、給水ポンプ28から給水路27及び給水口36を通じて貯水室19に給水される。所定量の給水が完了すると、給水ポンプ28の動作が停止される。一方で、図6のA2に示すように、貯水室19の温度上昇値が30秒間で60℃以下かつ50℃を超える場合(ステップS14)、制御手段10は、給水ポンプ28に給水命令を出し、約20mlの給水を行う(ステップS15)。
図6のA3に示すように、貯水室19の温度上昇値が50℃以下の場合には、貯水室19に十分な水が溜まっていると判断され、給水を行わない(ステップS16)。
S13やS15において給水ポンプ28による給水が行われたときに、給水後の5秒間で貯水室19の温度上昇値が7℃を超えることがある(ステップS17)。この場合には、制御手段10は、給水ポンプ28に給水命令を出し、約10mlの給水を行う(ステップS18)。前述した5秒間での貯水室19の温度上昇値が7℃を下回るまで、S18による給水が繰り返される。
こうして貯水室19に給水されると、第2の蒸気発生ヒータ41の下方まで水位が上昇するとともに、水がフィン22に接触するように満たされる。この状態で第1の蒸気発生ヒータ40と第2の蒸気発生ヒータ41による加熱を行うことで、直接的に又はフィン22を介して貯水室19内の水が加熱され、加熱された水が蒸発することで蒸気が発生する。貯水室19で発生した蒸気は、蒸気導入路23を通って蒸気噴出口21から加熱室1内に放出される。加熱室1内に放出された蒸気によって食品5が加熱される。
なお、貯水室19と排水路30は連通しているため、貯水室19内の水位が上昇すると、排水路30の水位も同時に上昇する。なお、給水ポンプ28による給水量は、貯水室19内の水位が第2の蒸気発生ヒータ41を超えないように調整されている。
また、自動加熱時においては、主に赤外線センサ15や庫内サーミスタ9を用いて食品や庫内の状態を検知し、検知した状態に応じて、第1の蒸気発生ヒータ40と第2の蒸気発生ヒータ41との切り替えや、出力の制御、及び給水ポンプ28の制御を行う。
上述した制御によれば、貯水室19に少量の水を供給して瞬時に蒸発させるのではなく、貯水室19に水を貯えた状態で蒸発させている。これにより、蒸発が進んでも貯水室19内の水が残りやすくなるため、スケールの析出を抑えることができる。すなわち、信頼性が高い蒸気発生装置20を提供することができる。
さらに本実施の形態1では、水面(通常水位)の近傍に第1の蒸気発生ヒータ40と第2の蒸気発生ヒータ41を配置している。これにより、貯水室19内における下方の水を温める前に水面付近の水だけを蒸発させることができ、速く蒸気を発生させることができる。すなわち、初期段階における蒸気発生が速い蒸気発生装置20を提供することができる。また、第1の蒸気発生ヒータ40と第2の蒸気発生ヒータ41を複数のフィン22を横切るように配置することで、フィン22を介して水を加熱することができ、均一な加熱を行うことができる。
また本実施の形態1では、水面の下方に第1の蒸気発生ヒータ40を配置するとともに、水面の上方に第2の蒸気発生ヒータ41を配置している。このような配置によれば、下側にある第1の蒸気発生ヒータ40で主に水を加熱して蒸気を発生させつつ、上側にある第2の蒸気発生ヒータ41で主に蒸気や沸騰水を加熱する。第2の蒸気発生ヒータ41により沸騰水を加熱することで沸騰水を蒸気に変えることができるため、沸騰水の駆け上がりを防止することができる。また本実施の形態1では、主に水を加熱する第1の蒸気発生ヒータ40の出力を、主に蒸気や沸騰水を加熱する第2の蒸気発生ヒータ41の出力よりも大きく設定している。このように、求められる加熱量に応じてヒータの出力を設定することで、効率的に蒸気を発生させることができる。
なお、本実施の形態1では、満水ライン38まで水を補充した例で説明したが、満水ライン38まで水を補充しなくても、スチーム加熱を行うことができる。
また、本実施の形態1では、第1の蒸気発生ヒータ40と第2の蒸気発生ヒータ41を同時に通電した例で説明したが、選択された調理メニューや出力によっては、どちらか一方のヒータを単独で通電する場合もある。
第1の蒸気発生ヒータ40と第2の蒸気発生ヒータ41の加熱による蒸発を続けると、貯水室19及び排水路30での水位が下がるとともに、貯水室19の温度が上昇する。
その後、予め設定されたスチーム加熱時間が終了したこと、又はスチーム加熱が取り消されたことが判定される(S19)。その判定結果がいずれもNOである場合に、貯水室サーミスタ42が検知する温度が110℃以上になると(S20)、制御手段10は給水ポンプ28に給水命令を出し、約20mlの給水を自動で行う(S21)。
S21で給水ポンプ28による給水を行うと、貯水室19の温度が下がる。一度給水を行った後も水の蒸発を続けるが、水位が下がり温度が上昇するまで次の給水は行わない。このような制御により、貯水室19内の水位を一定の水位以上に維持することができる。すなわち、水位センサを用いなくとも、簡易的に水位を検出して給水を行うことができる。
一方で、給水ポンプ28に給水命令を出しても、貯水室19の温度上昇が止まらない場合には、給水タンク29内の水がなくなった、又は給水ポンプ28等が故障したと判定する。そのように判定された場合には、スチーム加熱を終了するとともに、ブザー音を鳴らし、給水タンク29への注水を促す内容を操作表示部39に表示して、ユーザに報知する。
最終的に、S19において、スチーム加熱時間が終了したこと、又はスチーム加熱が取り消されたことの判定結果がYESである場合には、第1の蒸気発生ヒータ40と第2の蒸気発生ヒータ41への通電を停止して(S22)、調理を終了する(S23)。
なお、図5に示すフローで使用される貯水室19の温度上昇の閾値や、給水を行うタイミングは、第1の蒸気発生ヒータ40と第2の蒸気発生ヒータ41の出力や、貯水室19の形状によって大きく異なるため、給水量も考慮して適宜決定しても良い。
図7Aは、本発明に係る実施の形態1におけるサイフォンの原理による排水工程時の蒸気発生装置20における第1の動作を示す断面図である。図7Bは、本発明に係る実施の形態1におけるサイフォンの原理による排水工程時の蒸気発生装置20における第2の動作を示す断面図である。図7Cは、本発明に係る実施の形態1におけるサイフォンの原理による排水工程時の蒸気発生装置20における第3の動作を示す断面図である。図7Dは、本発明に係る実施の形態1におけるサイフォンの原理による排水工程時の蒸気発生装置20における第4の動作を示す断面図である。
図7Aに示すように、通常加熱時は貯水室19内の第2の蒸気発生ヒータ41の上方となる水位まで給水ポンプ28からの給水によって水が貯められ、同時に排水路30内の水位も上昇する。貯水室19内において蒸気が発生していないとき、貯水室19内の水位と排水路30の水位は同じである。一方、貯水室19内において蒸気が発生しているとき、貯水室19内部の圧力が高まり排水路30の水位が上昇するため、貯水室19内の水位と排水路30の水位は必ずしも同一ではない。
図7Bに示すように、スチーム加熱が終了すると、貯水室19内の水位が通常加熱時の水位よりも上方である排水路頂点32に達するまで、自動的に給水ポンプ28を動作させて給水を行う。排水路頂点32まで水位が上昇すると、貯水室19内での水位と排水路30内との水位に高低差aができる。図7Bに示すように、貯水室19内の水位と排水路30内の水位に高低差aができると、図7Cに示すように、サイフォンの原理により貯水室19内および第1の排水路25内のスケール凝縮水および析出したスケールが、排水口37、排水路30、および排水路出口33を通って排水タンク31に向かって流れる。
なお、貯水室19内の水位と排水路30内の水位に高低差aが発生すると排水が始まり、排水流量より給水流量が少ない場合には、給水しても貯水室19内の水位は上昇せず、給水ポンプ28によって排水に必要な給水量より若干多く給水しても、貯水室19を溢れたりすることはない。このため、実施の形態1の蒸気発生装置20においては、給水ポンプ28の動作バラツキを考慮して、排水に必要な給水量より少し多めの給水量となるように駆動時間を設定している。このため、実施の形態1の蒸気発生装置20の構成においては、排水時の貯水室19内の水位を検知する検知手段は省略することができる。
最終的に、図7Dに示すように貯水室19内および排水路30の水は空になり、排水タンク31に排水された水が蓄えられる。排水タンク31はユーザによって当該加熱調理器から取り出され、排水タンク31に蓄えられた水が捨てられる。なお、この排水工程では、給水ポンプ28に接続された上流側および下流側である給水ポンプ28の前後の給水路27の水は排水されない。
このような排水路30の構成を採用するとともに、排水路頂点32まで給水することにより、貯水室19内に析出するスケールをクリーニングしている。これにより、給水を行うだけで、サイフォンの原理による排水を行うことができる。よって、単純な構成を用いながら、スケールおよびスケール凝縮水の排出を行うことができる。すなわち、信頼性が高く、安価で、かつユーザの負担を軽減した蒸気発生装置20を提供することができる。
なお、実施の形態1における蒸気発生装置20においては、スチーム加熱の都度自動排水を行う例で説明したが、使用者が当該蒸気発生装置20を洗浄したいと考えたとき、サイフォンの原理により排水できる手動排水モードを設けてもよい。
図8Aは、本発明に係る実施の形態1における給水路の水の排水工程時の蒸気発生装置20における第1の動作を示す断面図である。図8Bは、本発明に係る実施の形態1における給水路の水の排水工程時の蒸気発生装置20における第2の動作を示す断面図である。図8Cは、本発明に係る実施の形態1における給水路の水の排水工程時の蒸気発生装置20における第3の動作を示す断面図である。図8Dは、本発明に係る実施の形態1における給水路の水の排水工程時の蒸気発生装置20における第4の動作を示す断面図である。
使用者により給水タンク29の排水ライン26まで水が補充された後、排水モードが選択されて、起動スイッチがON状態とされると、図8Aに示すように、給水タンク29の水が給水ポンプ28により給水路27および給水口36を通じて貯水室19に給水される。
さらに給水を続けると、図8Bに示すように、貯水室19および排水路30の水位は、排水路頂点32に達する。給水タンク29には貯水室19内の内容積より10ml程多い容量しか蓄えられていないため、給水タンク29内の水はほとんどなくなる。
そして、図8Cに示すように、排水口37、排水路30、および排水路出口33を通って排水タンク31に対してサイフォンの原理による排水が行われる。このように排水タンク31に対して排水が行われている間においてもさらに給水ポンプ28は動作を続ける。給水ポンプ28が動作を続けることにより、給水タンク29内の水は空になり、給水ポンプ28が水ではなく空気を給水路27に送り込むようになる。この結果、給水ポンプ28は給水路27内の水を貯水室19内に空気で押し出して、排水路30から排水する。給水ポンプ28は所定時間経過後に動作を停止する。
最終的には、図8Dに示すように、貯水室19内に押し出された水がサイフォンの原理による排水と合流して、同時に排水タンク31に向かって排水される。これにより、給水タンク29、給水路27、貯水室19、および排水路30の水は完全に空になる。
なお、実施の形態1における蒸気発生装置20においては、給水タンク29に排水ライン26を設けたが、操作表示部39に排水に必要量である100mlを表示し、使用者に水を補充してもらってもよい。また、水の代わりにクエン酸等の洗浄剤を用いると、貯水室19内のスケール、水垢等の汚れも落としやすくなり、より清潔な蒸気発生装置20を提供することができる。
このように、給水タンク29に所定量の水を入れた状態にて、給水ポンプ28を動作させて排水路頂点32まで水位を押し上げることで、サイフォンの原理による排水を行う。さらにサイフォンの原理による排水を行っている間にも、給水ポンプ28を動作させ、給水を継続している。このような制御によれば、給水タンク29の水が空になった場合にも、給水ポンプ28が水ではなく空気を給水路27に送り込むため、給水路27内に残った水を空気で押し出して排水することができる。このように排水された水は、サイフォンの原理による排水に合流して同時に排水される。よって、サイフォンの原理では排水できない、給水ポンプ28の上流及び下流に位置する給水路27及び給水ポンプ28内の水を排水することができる。すなわち、安価に排水を行う蒸気発生装置20を提供することができる。
上記のように、実施の形態1における蒸気発生装置20では、水を貯める貯水室19と、貯水室19内の水を加熱して蒸気を発生させる少なくとも1つの加熱部(例えば、第1の蒸気発生ヒータ40又は第2の蒸気発生ヒータ41)と、貯水室19内に水を給水する給水装置(例えば、給水ポンプ28)と、貯水室19内に設けられた複数のフィン22とを備え、貯水室19には、加熱部によって発生された蒸気を噴出する蒸気噴出口21が設けられており、蒸気噴出口21の下方において、複数のフィン22は、蒸気発生方向に沿って形成されるとともに、加熱部を横切るように互いに離間して配置される。これにより、特に温度の高い加熱部付近の熱が、熱の伝わりにくい貯水室19内の水の内部にまでフィン22によって伝わり、また、フィン22により貯水室19と水との接触面積が増えるため、加熱部からの熱を効率的に水に伝えることができる。これにより、貯水室19と水とが接触する部分の温度が下がり、温度の高い部分で発生しうる大きな気泡が少なくなる。よって、大きな気泡が水面に上昇して破裂することによる沸騰水の駆け上がりを少なくし、沸騰水が蒸気噴出口21から噴出することを防ぐことができる。また、大きな気泡の発生を少なくすることで、気泡の破裂音を抑えることができる。また、貯水室19と水との接触部分の温度が下がるため、高温になるほど付着しやすいスケールの付着を抑制することができる。
また、実施の形態1における蒸気発生装置20においては、フィン22によって貯水室19を細かく区切っている。これにより、沸騰時の気泡を物理的に小さくすることができ、大きな気泡の発生をさらに少なくすることができる。また、実施の形態1における蒸気発生装置20においては、フィン22が蒸気発生方向に沿って設けている。これにより、蒸気の流れを妨げることがないため、蒸気量及び蒸気流速を向上させることができる。
また、実施の形態1における蒸気発生装置20においては、蒸気発生方向に垂直な断面における貯水室19とフィン22で形成される空間の断面積は、蒸気噴出口21の断面積以上である。これにより、蒸気の流路において断面積が減少することとなるため、断面積が増加する場合よりも、蒸気に生じる流路圧損を低減することができ、蒸気量の低下を抑制することができる。すなわち、蒸気量の低下を抑制しながら、沸騰水の駆け上がりを少なくし、沸騰水が蒸気噴出口21から噴出することを防ぎ、さらに気泡の破裂音を抑えることができる。
さらに、実施の形態1における蒸気発生装置20では、フィン22は貯水室19の第1の側面19Aから延出されるとともに、第1の側面19Aと対向する第2の側面19Bに対してフィン22の先端が離間している。これにより、フィン22と第2の側面19Bの間にも水が回り込むため、貯水室19と水との接触面積が増大する。よって、水の対流が促進されることで、貯水室19内における水の温度分布がより均一となる。これにより、大きな気泡の発生を少なくすることで、沸騰水の駆け上がりを少なくし、沸騰水が蒸気噴出口21から噴出することを防ぎ、さらに気泡の破裂音を抑えることができる。
また、実施の形態1における蒸気発生装置20では、加熱部は、加熱時における貯水室内の水面の上側と下側に少なくとも1つずつ設けられる。これにより、沸騰時に発生する気泡が水面で破裂して駆け上がろうとしても、水面の上側にある加熱部によって加熱されて蒸気になるため、沸騰水が蒸気噴出口21から噴出することを防ぐことができる。
また、実施の形態1における蒸気発生装置20では、水を貯める貯水室19と、貯水室19内の水を加熱して蒸気を発生させる加熱部(例えば、第1の蒸気発生ヒータ40又は第2の蒸気発生ヒータ41)と、貯水室19内に水を給水する給水装置とを備え、貯水室19の内壁には、加熱部によって発生された蒸気を噴出する蒸気噴出口21が設けられており、加熱部は、加熱時における貯水室19内の水面の上側と下側に少なくとも1つずつ設けられる。これにより、沸騰時に発生する気泡が水面で破裂して駆け上がろうとしても、水面の上側にある加熱部によって加熱されて蒸気になるため、沸騰水が蒸気噴出口21から噴出することを防ぐことができる。
また、実施の形態1における蒸気発生装置20では、水を貯める貯水室19と、貯水室19内の水を加熱して蒸気を発生させる第1の蒸気発生ヒータ40及び第2の蒸気発生ヒータ41と、貯水室19に設けられた給水口36および給水路27を通じて水を送る給水ポンプ28と、貯水室19内で発生した蒸気を噴出する蒸気噴出口21と、貯水室19の温度を検知する貯水室サーミスタ42とが設けられている。さらに、運転開始後、制御手段10は第1の蒸気発生ヒータ40と第2の蒸気発生ヒータ41による貯水室19の加熱を開始するとともに、貯水室サーミスタ42で検知した貯水室19の所定時間における温度上昇率に応じて、初期給水量を決定する。このような初期給水量の決定により、貯水室19内に水を貯えて蒸気を発生させることで、スケールに対して信頼性の低い水位検知手段を用いることなく、貯水室19から水があふれることを防ぐとともに、貯水室19が空焚きになることを防ぐことができる。したがって、第1の蒸気発生ヒータ40と第2の蒸気発生ヒータ41における過加熱による故障や、蒸気発生効率の低下を防ぐことができる。すなわち、信頼性及び安全性の高い蒸気発生装置20を提供することができる。
また、実施の形態1における蒸気発生装置20では、貯水室サーミスタ42で検知した貯水室19の温度上昇が30秒間で50℃以下である場合(図6のA3)には、給水ポンプ28による給水は行わない。一方で、貯水室19の温度上昇が30秒間で50℃を超える場合(図6のA2)には、給水ポンプ28を用いて貯水室19に約20mlの水を給水する。すなわち、貯水室19の温度上昇が30秒間で50℃以下である場合には、貯水室19内の水位が高いと推定して、給水を行わないようにしている。これにより、貯水室19から水があふれることを防ぐことができる。また、貯水室19の温度上昇が30秒間で50℃を超える場合には、貯水室19内の水位が低いと推定して、所定量の給水を行うようにしている。これにより、貯水室19の温度を下げることで、貯水室19が空焚きになることを防止することができる。よって、第1の蒸気発生ヒータ40と第2の蒸気発生ヒータ41における過加熱による故障や、蒸気発生効率の低下を防ぐことができる。すなわち、信頼性及び安全性の高い蒸気発生装置20を提供することができる。
さらに、実施の形態1における蒸気発生装置20では、貯水室19の温度上昇が30秒間で60℃を超える場合(図6のA1)の給水量を、貯水室19の温度上昇が30秒間で60℃以下でかつ50℃を超える場合(図6のA2)の給水量よりも多くしている。すなわち、貯水室19の温度上昇率がより高い場合には、貯水室19での水位がより低いと推定し、温度上昇率が低い場合よりも、多量の水を給水している。これにより、貯水室19の温度を下げ、貯水室19から水があふれることを防ぐことができる。さらに、所定量の給水を行うことで、貯水室19が空焚きになることを防止することができるため、第1の蒸気発生ヒータ40と第2の蒸気発生ヒータ41における過加熱による故障や、蒸気発生効率の低下を防ぐことができる。すなわち、信頼性及び安全性の高い蒸気発生装置20を提供することができる。
また、実施の形態1における蒸気発生装置20では、貯水室19に設けられた排水口37から、貯水室19内で通常加熱時に貯められている水面(図3や図7Aに示す通常水位H)より上方を経由して延びる排水路30が設けられている。この排水路30における水位を、給水ポンプ28による給水により排水路頂点32を超えるように押し上げることによって、サイフォンの原理により、貯水室19に貯まっていた水を排水口37及び排水路30を通じて排水することができる。これにより、貯水室19の水位が高いにもかかわらず多量の水が給水された場合であっても、排水路30での水位が排水路頂点32に到達するまで排水は行われない。したがって、排水の誤動作を防ぐことができる。
また、本実施の形態1における蒸気発生装置20においては、排水路30の第1の排水路25がシリコーンで構成しているため、スケールとの結合が弱く、スケールと第1の排水路25との間で固着することがなくなり、サイフォンの原理により排水した時に第1の排水路25から容易に、且つ確実にスケールを排出することができる。この結果、実施の形態1における蒸気発生装置20においては、長期間使用し続けても蒸気発生性能が低下しない、信頼性の高い蒸気発生装置20を提供することができる。
さらに、実施の形態1における蒸気発生装置20においては、排水路30における第1の排水路25を非金属で構成し、第2の排水路35を金属で構成することにより、特にスケールの溜まりやすい第1の排水路25にスケールが固着することがなくなり、また第2の排水路35は金属製のパイプを曲げて構成することにより固定しやすく安価に構成することができる。
また、第1の排水路25の非金属部分を弾性体によって構成することより、第1の排水路25と貯水室19とを接続する排水口37、および第1の排水路25と第2の排水路35との接続部分をチューブ等の別部品を用いることなく構成することができる。このため、実施の形態1における蒸気発生装置20は、部品数が増えることによる水漏れ等を防止することができ、信頼性が高く安価に構成することができる。
さらに、排水路30における少なくとも第1の排水路25の内面を非金属のコーティングを施して非金属のコーティング層を形成することにより、例えば耐熱性等の理由により金属製の第1の排水路25を用いる必要がある場合であっても、第1の排水路25におけるスケールの固着を簡単な構成で防止することができる。勿論、非金属の第1の排水路25の内面に上記のようなコーティング層が形成することにより、耐熱性や信頼性をより高めることが可能な構成とすることもできる。
なお、実施の形態1における蒸気発生装置20においては、1つの貯水室サーミスタ42を貯水室19に設けて簡易的に貯水室19の水位を推定したが、貯水室サーミスタ42を貯水室に複数設けたり、水位センサを用いて貯水室19または排水路30の水位を測定したりすることにより、より正確に給水量を調整することができる。
さらに、実施の形態1における蒸気発生装置20においては、給水タンク29と排水タンク31を別々に形成した例で説明したが、一体に形成することにより、排水タンク31の付け忘れを防止し、排水が床面にこぼれることを防ぐことができる。また、このように給水タンク29と排水タンク31を一体に形成することにより、給水タンク29への注水時に排水タンク31を取り出すことになるため、排水タンク31の取り出し忘れによる水の捨て忘れを防止することができるとともに、排水タンク31が満水になり溢れることを防止することができる。
なお、排水タンク31が所定の位置に装着されているか否かを検知する排水タンク検知装置を設けることにより、排水タンク31が付け忘れているときには少なくとも排水工程を実行できないように構成することが可能であり、排水路30に蓄えられた水が流れて、床面にこぼれることを防止することができる。
また、実施の形態1の構成においては、スチーム加熱が終了後、サイフォンの原理による排水を行うために給水を行った際に同時に貯水室19内の水の温度を下げることができるため、すぐに排水工程に移ったとしても、貯水室19内の水の温度が所定温度以下となるまでしばらく自然冷却を行った後に排出を行うように構成してもよい。これはスケールの一種である炭酸カルシウムは温度が低いほど溶解度が大きく、また排水された直後の水にユーザが触れたとしても火傷を起こさないためである。なお、排出される水の温度としては低いほうが好ましいが、排水温度を低くするほど自然冷却の時間が長くなるため、排水温度は冷却時間とのバランスを考慮して適宜設定される。
なお、本発明に係る実施の形態1の加熱調理器においては、マイクロ波加熱モード、オーブン加熱モード、グリル加熱モード、スチーム加熱モードは、それぞれ単独で動作させることもできるが、それぞれの加熱方式を組み合わせて手動もしくは自動で加熱を行うこともできる。
本発明に係る蒸気発生装置は、蒸気を使用する調理器具としての電子レンジ、オーブン電子レンジ、電気オーブン、炊飯器、業務用の解凍装置等の各種用途に適用でき、有用性の高い装置である。