JP6028663B2 - 液化ガス燃料供給装置 - Google Patents
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Description
この高圧燃料ポンプは、エンジンの出力軸の回転に同期して回転するカムシャフトと、このカムシャフトを回転自在に支持するハウジングと、このハウジングに組み付けられて、カムシャフトの回転軸方向に所定の間隔で並列配置された複数の圧送系統(少なくとも2つのプランジャポンプ:以下第1、第2プランジャポンプ)とを備えている。
第1プランジャポンプ内部の燃料流通経路は、高圧燃料ポンプの燃料入口から第1ギャラリー室に供給された燃料が、第1ギャラリー室で開口する第1プランジャ吸入孔から第1プランジャ室内に吸い込まれる。そして、第1プランジャ室内に吸い込まれた燃料は、第1プランジャの動作により加圧されて高圧化した後に、コモンレールに向かって吐出される。
第2プランジャポンプ内部の燃料流通経路は、第1ギャラリー室から連通路を経て第2ギャラリー室に供給された燃料が、第2ギャラリー室で開口する第2プランジャ吸入孔から第2プランジャ室内に吸い込まれる。そして、第2プランジャ室内に吸い込まれた燃料は、第2プランジャの動作により加圧されて高圧化した後に、コモンレールに向かって吐出される。
ところで、第1、第2プランジャ吸入孔から第1、第2プランジャ室へ吸い込まれない燃料は、高圧燃料ポンプのオーバーフローポートである燃料出口から燃料戻し配管を経て燃料系の低圧側の燃料タンクに回収されるように構成されている。
なお、高圧燃料ポンプの燃料出口は、第1、第2ギャラリー室内の燃料圧力が所定圧力以上に上昇した際に弁体が開弁して燃料出口から流路孔を経て液化ガス燃料を燃料タンクへ流出させることで、複数の第1、第2ギャラリー室内の燃料圧力を所定圧力に維持する逆止弁構造のオーバーフローバルブによって開閉可能となっている。
この液化ガス燃料供給装置に使用される高圧燃料ポンプ101には、複数の第1、第2シリンダを有する複数のプランジャバレル105、106と、これらのプランジャバレル105、106の各第1、第2シリンダ孔内を往復摺動可能な複数の第1、第2プランジャ107、108とが設けられている。
ポンプハウジング104と各プランジャバレル105、106との間には、円環状の第1、第2ギャラリー室111、112が設けられている。また、複数のプランジャバレル105、106には、各第1、第2ギャラリー室111、112から各第1、第2プランジャ室内へ液化ガス燃料をそれぞれ吸入する複数の第1、第2プランジャ吸入孔114、115が設けられている。
そして、燃料温度が比較的高温となって、第1、第2ギャラリー室111、112および連通路113内を流通する液化ガス燃料の圧力が飽和蒸気圧以下に低下すると、液化ガス燃料中に燃料蒸気が大量に発生する。
これにより、高圧燃料ポンプ101の燃料吐出口からコモンレール側へ圧送供給される液化ガス燃料の圧送不良が発生するため、燃料の圧送特性等が変化して、燃料噴射圧力に相当するコモンレール圧の低下が起こり、エンジン110の始動性が悪化したり、エンジン出力が低下したりするという問題がある。
最悪の場合には、エンジンストールを誘発するという問題がある。
また、オーバーフローバルブおよび高圧燃料ポンプの燃料出口を、ハウジングの反エンジン側端面寄りに設け、余剰燃料をオーバーフローバルブから燃料タンク側へ戻すことにより、オーバーフローバルブから燃料タンク側へ回収される余剰燃料の温度の上昇を抑えることができる。これにより、余剰燃料の圧力が飽和蒸気圧以下に低下し難くなり、余剰燃料中に燃料蒸気が発生し難くなる。
したがって、複数のシリンダ内への液化ガス燃料の吸入不良からエンジン側への吐出圧力の低下を防止することができるので、液化ガス燃料の温度の上昇による、エンジンの始動性の悪化、エンジン出力の低下、更にはエンジンストールの誘発という従来装置の課題を解決することができる。
そして、請求項1に記載の発明では、オーバーフローバルブが、弁体を閉弁側に付勢するスプリング、およびハウジングの取付孔に対する捩じ込み量(螺合量)に応じて、オーバーフローバルブの開弁圧力を調整するスクリューを有していることを特徴としている。
また、オーバーフローバルブおよび高圧燃料ポンプの燃料出口を、ハウジングの反エンジン側端面寄りに設け、余剰燃料をオーバーフローバルブから燃料タンク側へ戻すことにより、オーバーフローバルブから燃料タンク側へ回収される余剰燃料の温度の上昇を抑えることができる。これにより、余剰燃料の圧力が飽和蒸気圧以下に低下し難くなり、余剰燃料中に燃料蒸気が発生し難くなる。
したがって、複数のシリンダ内への液化ガス燃料の吸入不良からエンジン側への吐出圧力の低下を防止することができるので、液化ガス燃料の温度の上昇による、エンジンの始動性の悪化、エンジン出力の低下、更にはエンジンストールの誘発という従来装置の課題を解決することができる。
図1ないし図5は、本発明を適用した液化ガス燃料供給装置に使用されるサプライポンプおよびコモンレール式燃料噴射システム(実施例1)を示したものである。
フィードポンプPは、燃料タンクTから吸入した燃料を加圧して吐出する低圧燃料ポンプであって、燃料タンクT内に設置されるインタンク方式の電動燃料ポンプである。
サプライポンプ1には、吸入ポートである燃料入口6、オーバーフローポートである燃料出口7、この燃料出口7を開閉する逆止弁構造のオーバーフローバルブ8、および第1、第2プランジャポンプ内の燃料圧力が開弁圧以上に達したら開弁する逆止弁構造の第1、第2吐出弁9が設けられている。
複数(少なくとも2つ)のプランジャバレル11、21は、ポンプハウジング5に締結固定されている。
複数(少なくとも2つ)の第1、第2プランジャ13、23は、カムシャフト4の回転軸方向に所定の間隔で並列配置されている。
また、サプライポンプ1の内部、特にポンプハウジング5および複数のプランジャバレル11、21には、サプライポンプ1の燃料入口6からオーバーフロー出口である燃料出口7に至るまでの低圧燃料供給経路が設けられている。
なお、サプライポンプ1の詳細は、後述する。
コモンレール2の軸線方向の一端側には、燃料圧力センサであるコモンレール圧センサ30が接続されている。このコモンレール圧センサ30は、コモンレール2の内部圧力(所謂コモンレール圧)を電気信号に変換して圧力検出値としてエンジン制御ユニット(外部制御回路、電子制御装置:以下ECU10)に対して出力する燃料圧力(燃圧)センサである。
なお、コモンレール圧センサ30の代わりに燃料温度(燃温)センサをコモンレール2に搭載しても良い。また、各気筒のインジェクタ3の内部燃料流路(特に燃料溜まり室)内の燃料圧力(燃圧)を検出する燃料圧力(燃圧)センサを各気筒のインジェクタ3にそれぞれ搭載しても良い。
ここで、プレッシャリミッタ31が開弁すると、コモンレール2のリークポートが開放されて、コモンレール2のリークポートから燃料戻し配管33を経て燃料タンクTへ燃料がリターン(戻)される。
なお、プレッシャリミッタ31の代わりに、開弁するとコモンレール圧を降圧(減圧)させる減圧弁をコモンレール2に搭載しても良い。
なお、各気筒の吸気ポート内に燃料を噴射するポート内噴射式のインジェクタを使用しても良い。
なお、複数のインジェクタ3の各燃料噴射ノズル34からのリーク燃料やオーバーフロー燃料等の余剰燃料は、逆止弁36を有する燃料戻し配管37を経て燃料タンクTへリターン(戻)される。
以上のような構成を有する第1〜第6電磁弁35は、ECU10から印加されるインジェクタ駆動信号(インジェクタ駆動電流)によって電子制御されるように構成されている。これにより、各気筒のインジェクタ3の噴孔から燃料噴射される燃料噴射量および噴射時期が制御される。
ECU10には、CPU、メモリ(ROM、RAMおよびEEPROM)、入力回路(入力部)、出力回路(出力部)、電源回路、タイマー回路、インジェクタ駆動回路およびポンプ駆動回路等を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが内蔵されている。
ここで、マイクロコンピュータの入力部には、コモンレール圧センサ30だけでなく、クランク角度センサ、アクセル開度センサ、冷却水温センサ、燃料温度センサおよび排気ガスセンサ(空燃比センサ、酸素濃度センサ)等が接続されている。
ECU10は、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)されると、先ず、エンジンEの運転状況(エンジン情報)または運転条件(状態)を算出するのに必要な各種センサ出力信号を取得(入力)し、エンジンの運転状況または運転条件およびROMに格納されたプログラムに基づいて、複数のインジェクタ3の各第1〜第6電磁弁35およびサプライポンプ1の各第1、第2電磁弁16、26を電子制御するように構成されている。
燃料戻し経路は、燃料戻し配管33、37およびオーバーフロー配管38を備えている。このオーバーフロー配管38は、サプライポンプ1の燃料出口7からオーバーフローバルブ8を経て燃料戻し配管33との合流部まで延びる燃料戻し配管である。
ここで、オーバーフローバルブ8が開弁すると、サプライポンプ1の燃料出口7が開放されて、サプライポンプ1の燃料出口7からオーバーフロー配管38および燃料戻し配管33を経て燃料タンクTへ燃料がリターン(戻)される。
フィードポンプPの燃料吐出口(吐出ポート)より吐出された低圧燃料は、低圧燃料配管40を通ってサプライポンプ1の燃料入口6から複数の第1、第2ギャラリー室14、24内へ供給される。
コモンレール2の蓄圧室内の高圧燃料は、複数の第1〜第6高圧燃料配管46に分配されて、各第1〜第6高圧燃料配管46を通って各気筒のインジェクタ3の燃料入口(インレットポート)から燃料流路内に供給される。
なお、フィードポンプPによってサプライポンプ1の内部(第1、第2ギャラリー室14、24)へ供給される低圧燃料の圧力は、約2.5〜3.0MPaの範囲の所定の燃料供給圧に設定されている。これにより、フィードポンプPからサプライポンプ1へ供給される低圧燃料を、飽和蒸気圧以上に設定することができるので、DMEを液体状態に維持することができる。
なお、フィードポンプPより吐出される燃料の吐出圧力は、燃料の気化を防ぐのに必要な所定のフィード圧よりも高圧の設定値以上となるように設定されている。
サプライポンプ1は、エンジンEのクランクシャフトの回転と同期して回転するカムシャフト4と、このカムシャフト4が回転自在に嵌挿されるポンプハウジング5と、フィードポンプPから吸入した燃料を加圧して高圧化すると共に、各気筒のインジェクタ3に燃料を分配するコモンレール2へ高圧燃料を圧送する第1、第2プランジャポンプとを備えている。
第1カム61は、第1プランジャ13をその移動方向に往復駆動する。また、第2カム61は、第2プランジャ23をその移動方向に往復駆動する。
なお、本実施例のエンジンEは、6気筒型であるので、エンジンEの1サイクル中、つまりクランクシャフトが2回転する間に、エンジンEの気筒に搭載されたインジェクタ3の噴孔から各1回ずつ、合計6回の燃料噴射が行われる。また、エンジンEの1サイクル毎に、カムシャフト4が1回転し、サプライポンプ1からの吐出動作が3回ずつ行われる。
ところで、複数の第1、第2カム61により駆動される各第1、第2プランジャ13、23が、上死点から下死点に至る間に、複数の第1、第2シリンダ孔12、22の軸線方向の一端側に設けられる各第1、第2プランジャ室17、27内に最大量の燃料が吸入され、複数の第1、第2プランジャ13、23が、下死点を過ぎると再び第1、第2プランジャ室17、27から燃料が吐出される。
そして、この燃料の排出は、サプライポンプ1の各第1、第2電磁弁16、26の閉弁時点で停止し、このときの各第1、第2プランジャ室17、27内の燃料量で燃料吐出量(ポンプ吐出量またはポンプ圧送量)が規定される。
なお、圧送開始時期である各第1、第2電磁弁16、26の閉弁時期を下死点側に進角させ、ポンプ圧送期間を長くする程、ポンプ吐出量が多くなる。また、複数の第1、第2電磁弁16、26の閉弁時期が略下死点の時が最大のポンプ吐出量となる(全量圧送)。
また、複数の第1、第2プランジャ13、23が上死点から下死点に至る期間が、複数の第1、第2ギャラリー室14、24から各第1、第2プランジャ吸入孔15、25および各第1、第2電磁弁16、26を経て各第1、第2プランジャ室17、27内に燃料を吸入する吸入期間(ポンプ吸入期間)となる。
また、複数の第1、第2プランジャ13、23が下死点から上死点に至る期間が、複数の第1、第2プランジャ室17、27から吐出ポート41、42を経てコモンレール2側へ燃料が圧送される圧送期間(ポンプ圧送期間)となる。
なお、ポンプ圧送期間は、複数の第1、第2電磁弁16、26の閉弁時期で変わることになるのは言うまでもない。
ポンプハウジング5は、金属材料によって所定の形状に形成されており、内部に潤滑油が充填される複数の第1、第2カム収容室(第1、第2カム室62)を有している。なお液化ガス燃料は、潤滑性が乏しいため、カムシャフト4が挿入される第1、第2カム室62には、潤滑油が各第1、第2カム61に被着または浸漬するように、潤滑油が貯蔵または循環供給されている。
また、ポンプハウジング5には、複数の第1、第2プランジャ13、23をその往復移動方向に摺動可能に支持する複数の第1、第2シリンダを有する複数のプランジャバレル11、21がボルト等により締結固定されている。
複数のプランジャバレル11、21の内部には、複数の第1、第2プランジャ13、23の摺動面が往復摺動可能な複数の第1、第2シリンダ孔12、22が形成されている。 また、複数の第1、第2シリンダ孔12、22の軸線方向の一端側(カムシャフト4の半径方向の外側)には、複数の第1、第2プランジャ13、23の往復運動により燃料を加圧する、複数の第1、第2プランジャ室17、27が形成されている。
また、第1、第2シリンダ孔12、22は、第1、第2嵌合孔63の底部(円環状の段差)の中央部でそれぞれ開口している。これらの第1、第2嵌合孔63には、外部に向けて開口した外側開口部がそれぞれ設けられている。また、第1、第2嵌合孔63は、第1、第2シリンダ孔12、22とそれぞれ同一軸線上に設けられて、サプライポンプ1の各第1、第2電磁弁16、26のバルブボディ(後述する)等によって気密的(液密的)に閉塞されている。
複数の第1、第2プランジャ13、23の図示下端部の外周には、円環状の第1、第2スプリングシート64がそれぞれ連結されている。
複数の第1、第2プランジャ13、23は、複数のプランジャバレル11、21の段差(第1、第2嵌合孔63の底部)と第1、第2電磁弁16、26のバルブボディ(後述する)等との間に挟み込まれた第1、第2バルブストッパ65の板厚方向の他端面に対向するように配設されている。
これにより、カムシャフト4の回転により各第1、第2カム61が回転すると、複数の第1、第2カムローラ67を介して、複数の第1、第2タペット66が図4中の図示上下方向に往復移動(上下動)する。このような各第1、第2タペット66の運動は、複数の第1、第2スプリングシート64を介して、複数の第1、第2プランジャ13、23に伝えられる。これにより、複数の第1、第2プランジャ13、23は、複数の第1、第2シリンダ孔12、22内を往復移動(上下動)する。
また、複数のプランジャバレル11、21の図示下端部には、複数の第1、第2プランジャ13、23の図示下端部の外周に気密的(液密的)に密着するシール部材である各第1、第2オイルシール70が設置されている。
また、複数の第1、第2タペット66は、複数の第1、第2カムローラ67を回転自在に支持している。そして、複数の第1、第2タペット66は、複数の第1、第2プランジャスプリング69の付勢力により常に図示下方に付勢されている。そして、複数の第1、第2タペット66は、複数の第1、第2カムローラ67を介して、常に各第1、第2カム61の外周面に当接している。
ホロースクリュー72とアジャストスクリュー73との間には、ホロースクリュー72に設けられるバルブシート(図示せず)に対して着座、離脱して弁孔51を閉鎖、開放するボールバルブ(弁体)74、およびこのボールバルブ74をバルブシートに押し付ける方向(閉弁側)に付勢するリターンスプリング75等が収容されている。
ニップル71の頭部側の外周には、ポンプハウジング5のバルブ取付孔に結合(接続)する際(締結作業時)に使用される多角形状の工具係合部(六角部)が設けられている。また、ニップル71の脚側の外周には、ポンプハウジング5のバルブ取付孔に形成される雌螺子孔と螺合する雄螺子が設けられている。
また、ホロースクリュー72の脚部の外周には、アジャストスクリュー73の雌螺子孔と螺合する雄螺子が設けられている。
また、アジャストスクリュー73は、ポンプハウジング5のバルブ取付孔に対する捩じ込み量(螺合量)に応じて、リターンスプリング75のバネ荷重(オーバーフローバルブ8の開弁圧)を調整する荷重調整部材である。
ボールバルブ74は、ホロースクリュー72の第2中心孔内に収容されている。
リターンスプリング75は、一端がボールバルブ74に係止され、他端がアジャストスクリュー73の脚部端面(スプリング座)に係止されている。
また、ポンプハウジング5の外壁部には、円管状のインレットパイプ76を取り付けるためのパイプ取付孔が設けられている。このパイプ取付孔は、ポンプハウジング5の外壁面で外部へ向かって開口している。また、パイプ取付孔は、第1ギャラリー室14に連通する燃料入口6を兼ねている。
なお、第2ギャラリー室24には、プラグ77で液密的に閉塞された外部連通孔78が接続している。
複数の第1、第2プランジャ吸入孔15、25は、複数の第1、第2ギャラリー室14、24から吸入した燃料を各第1、第2貯留室79へ導く燃料流路(燃料孔)である。各第1、第2プランジャ吸入孔15、25の燃料取り入れ口(燃料入口)は、複数の第1、第2ギャラリー室14、24で開口している。また、複数の第1、第2プランジャ吸入孔15、25の燃料流出口(出口)は、第1、第2貯留室79で開口している。そして、複数の第1、第2プランジャ吸入孔15、25は、複数のプランジャバレル11、21のエンジン側端面寄りに設置されている。
また、連通孔29は、複数のプランジャバレル11、21に跨がるように図示左右方向(例えば第1、第2ギャラリー室14、24の接線方向)に延伸している。
また、複数の第1、第2ギャラリー室14、24には、燃料入口6を介して、フィードポンプPから低圧燃料が供給されているので、フィードポンプPのフィード圧を受けている。
また、複数の第1、第2ギャラリー室14、24は、第1、第2燃料孔81を介して、円環状のリーク燃料回収溝(以下第1、第2凹溝)82に連通している。これらの第1、第2凹溝82は、複数のプランジャバレル11、21の摺動面と各第1、第2プランジャ13、23の摺動面との間に形成される第1、第2クリアランスの途中、つまり図示上部側の第1、第2クリアランスと図示下部側の第1、第2クリアランスとの中間位置にそれぞれ設けられている。
なお、複数の第1、第2凹溝82は、複数のプランジャバレル11、21の摺動面で開口しており、図示上部側の第1、第2クリアランスから各第1、第2凹溝側に漏洩(リーク)した液体状態のリーク燃料を回収する高圧リーク燃料回収部である。
また、第1、第2シール室83は、図示下部側の第1、第2クリアランスからシール室側に漏洩(リーク)した気体状態のリーク燃料を回収する低圧リーク燃料回収部である。
なお、複数の第1、第2バルブボディ85の図示下端面には、第1、第2電磁弁16、26のバルブリフト量(特に第1、第2弁体84のバルブ全閉位置)を規制するバルブシートが設けられている。
なお、複数の第1、第2電磁弁16、26のバルブリフト量(特に各第1、第2弁体84のバルブ全開位置)は、複数の第1、第2バルブストッパ65により規制される。これらの第1、第2バルブストッパ65には、複数の第1、第2貯留室79と各第1、第2プランジャ室17、27とを連通する第1、第2連通孔がそれぞれ形成されている。
複数の第1、第2電磁アクチュエータは、円筒状の第1、第2バルブボディ85と、これらの第1、第2バルブボディ85をその中心軸線方向に貫通する摺動孔内に摺動可能に支持される磁性体製のアーマチャと、通電されると周囲に磁束を発生するソレノイドコイル86と、このソレノイドコイル86の内周側および外周側に磁路を形成する磁性体製のステータコアと、ソレノイドコイル86と外部回路(ECU10やバッテリ等)との電気接続を行う外部接続用のコネクタ87とを備えている。
また、複数のプランジャバレル11、21の外壁部には、円管状の第1、第2アウトレットパイプ91を取り付けるための第1、第2パイプ取付孔が設けられている。これらの第1、第2パイプ取付孔は、複数のプランジャバレル11、21の外壁面で外部へ向かって開口している。また、複数の第1、第2パイプ取付孔は、第1、第2燃料孔89を介して各第1、第2プランジャ室17、27に連通している。
複数の第1、第2吐出弁9は、複数の第1、第2パイプ取付孔の底部(円環状の段差)と各第1、第2アウトレットパイプ91との間に挟み込まれる円筒状のバルブボディ92、このバルブボディ92を貫通する流路孔(弁孔、燃料孔)を開閉するバルブ(弁体)93、このバルブ93をバルブボディのバルブシートに押し当てる側に付勢するコイルスプリング等によって構成されている。
次に、本実施例の液化ガス燃料供給装置、特にコモンレール式燃料噴射システムの作用を図1ないし図5に基づいて簡単に説明する。
このとき、フィードポンプPより吐出された燃料が、サプライポンプ1の燃料入口6から第1ギャラリー室14内に供給される。
そして、第1ギャラリー室14内に供給された燃料は、プランジャバレル11の外周面にぶつかって分岐し、プランジャバレル11を抱き抱えるように回り込み、第1プランジャ吸入孔15の入口付近で分岐が終わり再度合流する。
また、第1ギャラリー室14内で合流した燃料は、連通孔29を通って第2ギャラリー室24内に供給される。
そして、第2ギャラリー室24内に供給された燃料は、プランジャバレル12の外周面にぶつかって第2プランジャ吸入孔25の入口よりも上流側で分岐し、プランジャバレル21を抱き抱えるように回り込み、サプライポンプ1の燃料出口7付近で分岐が終わり再度合流する。
そして、例えば第1電磁弁16が閉弁し、第1プランジャ13が下死点に達した後に、再び上昇を開始すると、第1プランジャ室17内の燃料圧力が昇圧される。
そして、第1プランジャ13が上昇し、第1プランジャ室17内の燃料圧力が第1吐出弁9の開弁圧以上に上昇すると、第1吐出弁9のバルブが開弁して、第1プランジャ室17から第1燃料孔89→第1吐出弁9→第1吐出ポート41→第1高圧燃料配管43および高圧燃料配管45を経てコモンレール2の燃料入口から蓄圧室内へ高圧燃料が圧送供給される。
そして、コモンレール2の蓄圧室内に蓄圧された高圧燃料は、複数の気筒のインジェクタ3の電磁弁を任意の噴射時期に駆動することで、所定のタイミングで、エンジンEの各気筒内へ噴射供給される。
以上のように、オーバーフローバルブ8のボールバルブ74が開弁すると、サプライポンプ1の燃料出口7およびオーバーフローバルブ8の流路孔(弁孔51を含む)が開放されて、第2ギャラリー室24からサプライポンプ1の燃料出口7、燃料戻し配管53、33を経て燃料タンクTへ燃料が戻される。
以上のように、本実施例の液化ガス燃料供給装置、特にコモンレール式燃料噴射システムにおいては、フィードポンプPから複数の第1、第2ギャラリー室14、24を経て複数の第1、第2プランジャ室17、27内に吸入した燃料を複数の第1、第2プランジャ13、23の往復運動によって加圧してコモンレール2へ吐出するサプライポンプ1の内部(内部燃料流路内)を流れる、サプライポンプ1の燃料入口6から第1ギャラリー室14、連通孔29、第2ギャラリー室24を経てオーバーフロー出口である燃料出口7に至るまでの低圧燃料供給経路を従来装置や比較例1の装置に対して変更している。
これにより、ポンプハウジング5の冷却効果が大となり、エンジンEからの受熱をポンプハウジング5が受けた場合でも、ポンプハウジング5の温度の上昇を抑えることができるので、ポンプハウジング5または複数のプランジャバレル11、21の内部(第1、第2ギャラリー室14、24および連通孔29内)を流通する燃料の圧力が飽和蒸気圧以下に低下し難くなり、燃料中に燃料蒸気が発生し難くなる。
したがって、複数の第1、第2プランジャ室17、27内への燃料の吸入不良からエンジン側への吐出圧力(コモンレール圧)の低下を防止することができるので、燃料の温度の上昇による、エンジンEの始動性の悪化、エンジン出力の低下、更にはエンジンストールの誘発という従来装置の課題を解決することができる。
図6は、本発明を適用した液化ガス燃料供給装置に使用されるサプライポンプ(実施例2)を示したものである。
ここで、実施例1と同じ符号は、同一の構成または機能を示すものであって、説明を省略する。
以上のように、本実施例のサプライポンプ1においては、実施例1と同様な効果を奏する。
図7は、本発明を適用した液化ガス燃料供給装置に使用されるサプライポンプ(実施例3)を示したものである。
ここで、実施例1及び2と同じ符号は、同一の構成または機能を示すものであって、説明を省略する。
また、複数の第1、第2ギャラリー室14、24から複数のプランジャバレル11、21の各第1、第2プランジャ室17、27内へ燃料をそれぞれ吸入する複数の第1、第2プランジャ吸入孔15、25を、複数のシリンダまたはポンプハウジング5の反エンジン側端面寄りに設けたことにより、エンジンEからの受熱をポンプハウジング5が受けた場合でも、ポンプハウジング5の温度の上昇を抑えることができるので、複数のシリンダまたはポンプハウジング5の内部を流通する燃料の圧力が飽和蒸気圧以下に低下し難くなり、燃料中に燃料蒸気が発生し難くなる。
以上のように、本実施例のサプライポンプ1においては、実施例1及び2と同様な効果を奏する。
本実施例では、本発明の液化ガス燃料供給装置を、コモンレール式燃料噴射システムに使用されるサプライポンプ1に適用した例を説明したが、本発明の液化ガス燃料供給装置を、サプライポンプ1の吐出ポート(燃料吐出口)41、42から吐出された超高圧の液化ガス燃料を蓄圧する蓄圧室を有し、エンジンEの各気筒のインジェクタ3に液化ガス燃料を分配するコモンレール2を備えない液化ガス燃料供給装置に使用される分配型燃料噴射ポンプまたは列型燃料噴射ポンプに適用しても良い。
また、高圧燃料ポンプとして、1つの電磁弁(SCV)で、複数の気筒のプランジャポンプ(ポンプエレメント)への吸入燃料量を弁孔の開口面積を調整することで調量するタイプのサプライポンプを採用しても良い。
また、プランジャポンプ(ポンプエレメント)の数、つまりプランジャやシリンダの本数は、少なくとも2つ以上設けられていれば、その数は任意である。
また、複数の第1、第2電磁弁16、26の個数も、プランジャポンプ(ポンプエレメント)の数に応じて、少なくとも2つ以上設けられていれば、その数は任意である。
また、サプライポンプ1は、エンジン本体に直接取り付けられていなくても構わない。エンジンEの側面近傍に設置されていれば良い。例えばサプライポンプ1とエンジンEとの間に空気流路が形成されていても構わない。
P フィードポンプ
T 燃料タンク
1 サプライポンプ(高圧燃料ポンプ)
4 カムシャフト
5 ポンプハウジング
6 燃料入口
7 燃料出口
8 オーバーフローバルブ
29 連通孔(連通路)
Claims (9)
- (a)燃料入口(6)から液化ガス燃料が供給される複数のギャラリー室(14、24)、これらのギャラリー室(14、24)のうち隣設するギャラリー室(14、24)同士を連通する連通路(29)、前記複数のギャラリー室(14、24)よりも燃料流方向の下流側に設けられる燃料出口(7)、エンジン(E)の側面近傍に設置されて、前記連通路(29)および前記燃料出口(7)を形成するハウジング(5)、このハウジング(5)との間に前記複数のギャラリー室(14、24)を形成する複数のシリンダ(11、21)、およびこれらのシリンダ(11、21)内にそれぞれ摺動可能に支持された複数のプランジャ(13、23)を有し、
前記複数のプランジャ(13、23)の往復運動によって、前記複数のギャラリー室(14、24)から前記複数のシリンダ(11、21)内に吸入した液化ガス燃料を加圧して前記エンジン側へ吐出する高圧燃料ポンプ(1)と、
(b)この高圧燃料ポンプ(1)の燃料出口(7)に連通する流路孔(51)を開閉する弁体(74)を有し、
所定圧力を超えると前記弁体(74)が開弁して前記燃料出口(7)から前記流路孔(51)を経て液化ガス燃料を流出させることで、前記複数のギャラリー室(14、24)および前記連通路(29)内の燃料圧力を所定圧力に維持するオーバーフローバルブ(8)と
を備えた液化ガス燃料供給装置において、
前記連通路(29)は、前記ハウジング(5)のエンジン側端面寄りに設けられているとともに、
前記オーバーフローバルブ(8)および前記燃料出口(7)は、前記ハウジング(5)の反エンジン側端面寄りに設けられており、
前記オーバーフローバルブ(8)は、前記弁体(74)を閉弁側に付勢するスプリング(75)、および前記ハウジング(5)の取付孔に対する捩じ込み量(螺合量)に応じて、前記オーバーフローバルブ(8)の開弁圧力を調整するスクリュー(73)を有していることを特徴とする液化ガス燃料供給装置。 - 請求項1に記載の液化ガス燃料供給装置において、
前記複数のシリンダ(11、21)は、前記複数のプランジャ(13、23)がそれぞれ摺動可能に収容される複数のシリンダ孔(12、22)を有していることを特徴とする液化ガス燃料供給装置。 - 請求項2に記載の液化ガス燃料供給装置において、
前記複数のシリンダ(11、21)は、前記複数のギャラリー室(14、24)から前記複数のシリンダ孔(12、22)内へ液化ガス燃料をそれぞれ吸入する複数のプランジャ吸入孔(15、25)を有していることを特徴とする液化ガス燃料供給装置。 - (a)燃料入口(6)から液化ガス燃料が供給される複数のギャラリー室(14、24)、これらのギャラリー室(14、24)のうち隣設するギャラリー室(14、24)同士を連通する連通路(29)、前記複数のギャラリー室(14、24)よりも燃料流方向の下流側に設けられる燃料出口(7)、エンジン(E)の側面近傍に設置されて、前記連通路(29)および前記燃料出口(7)を形成するハウジング(5)、このハウジング(5)との間に前記複数のギャラリー室(14、24)を形成する複数のシリンダ(11、21)、およびこれらのシリンダ(11、21)内にそれぞれ摺動可能に支持された複数のプランジャ(13、23)を有し、
前記複数のプランジャ(13、23)の往復運動によって、前記複数のギャラリー室(14、24)から前記複数のシリンダ(11、21)内に吸入した液化ガス燃料を加圧して前記エンジン側へ吐出する高圧燃料ポンプ(1)と、
(b)この高圧燃料ポンプ(1)の燃料出口(7)に連通する流路孔(51)を開閉する弁体(74)を有し、
所定圧力を超えると前記弁体(74)が開弁して前記燃料出口(7)から前記流路孔(51)を経て液化ガス燃料を流出させることで、前記複数のギャラリー室(14、24)および前記連通路(29)内の燃料圧力を所定圧力に維持するオーバーフローバルブ(8)と
を備えた液化ガス燃料供給装置において、
前記連通路(29)は、前記ハウジング(5)のエンジン側端面寄りに設けられているとともに、
前記オーバーフローバルブ(8)および前記燃料出口(7)は、前記ハウジング(5)の反エンジン側端面寄りに設けられており、
前記複数のシリンダ(11、21)は、前記複数のプランジャ(13、23)がそれぞれ摺動可能に収容される複数のシリンダ孔(12、22)、および前記複数のギャラリー室(14、24)から前記複数のシリンダ孔(12、22)内へ液化ガス燃料をそれぞれ吸入する複数のプランジャ吸入孔(15、25)を有し、
前記複数のプランジャ吸入孔(15、25)は、前記複数のシリンダ(11、21)の反エンジン側端面寄りに設けられていることを特徴とする液化ガス燃料供給装置。 - (a)燃料入口(6)から液化ガス燃料が供給される複数のギャラリー室(14、24)、これらのギャラリー室(14、24)のうち隣設するギャラリー室(14、24)同士を連通する連通路(29)、前記複数のギャラリー室(14、24)よりも燃料流方向の下流側に設けられる燃料出口(7)、エンジン(E)の側面近傍に設置されて、前記連通路(29)および前記燃料出口(7)を形成するハウジング(5)、このハウジング(5)との間に前記複数のギャラリー室(14、24)を形成する複数のシリンダ(11、21)、およびこれらのシリンダ(11、21)内にそれぞれ摺動可能に支持された複数のプランジャ(13、23)を有し、
前記複数のプランジャ(13、23)の往復運動によって、前記複数のギャラリー室(14、24)から前記複数のシリンダ(11、21)内に吸入した液化ガス燃料を加圧して前記エンジン側へ吐出する高圧燃料ポンプ(1)と、
(b)この高圧燃料ポンプ(1)の燃料出口(7)に連通する流路孔(51)を開閉する弁体(74)を有し、
所定圧力を超えると前記弁体(74)が開弁して前記燃料出口(7)から前記流路孔(51)を経て液化ガス燃料を流出させることで、前記複数のギャラリー室(14、24)および前記連通路(29)内の燃料圧力を所定圧力に維持するオーバーフローバルブ(8)と
を備えた液化ガス燃料供給装置において、
前記複数のシリンダ(11、21)は、前記複数のプランジャ(13、23)がそれぞれ摺動可能に収容される複数のシリンダ孔(12、22)、および前記複数のギャラリー室(14、24)から前記複数のシリンダ孔(12、22)内へ液化ガス燃料をそれぞれ吸入する複数のプランジャ吸入孔(15、25)を有し、
前記複数のプランジャ吸入孔(15、25)は、前記複数のシリンダ(11、21)の反エンジン側端面寄りに設けられており、
前記オーバーフローバルブ(8)および前記燃料出口(7)は、前記ハウジング(5)の反エンジン側端面寄りに設けられていることを特徴とする液化ガス燃料供給装置。 - 請求項5に記載の液化ガス燃料供給装置において、
前記連通路(29)は、前記ハウジング(5)のエンジン側端面寄りに設けられていることを特徴とする液化ガス燃料供給装置。 - 請求項6に記載の液化ガス燃料供給装置において、
前記複数のシリンダ(11、21)は、前記複数のギャラリー室(14、24)と前記複数のシリンダ孔(12、22)とを連通する複数の燃料流路(15、25)、およびこれらの燃料流路(15、25)をそれぞれ開閉する複数の電磁弁(16、26)を有していることを特徴とする液化ガス燃料供給装置。 - 請求項7に記載の液化ガス燃料供給装置において、
前記複数のプランジャ(13、23)は、前記複数のシリンダ(11、21)内を往復摺動することで、前記高圧燃料ポンプ(1)の燃料入口(6)から前記複数のギャラリー室(14、24)、前記複数の燃料流路(15、25)を経て前記複数のシリンダ孔(12、22)内に吸入した液化ガス燃料を加圧して高圧化することを特徴とする液化ガス燃料供給装置。 - 請求項4ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載の液化ガス燃料供給装置において、
前記オーバーフローバルブ(8)は、前記弁体(74)を閉弁側に付勢するスプリング(75)、および前記ハウジング(5)の取付孔に対する捩じ込み量(螺合量)に応じて、前記オーバーフローバルブ(8)の開弁圧力を調整するスクリュー(73)を有していることを特徴とする液化ガス燃料供給装置。
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