JP5370192B2 - 燃料供給装置 - Google Patents
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従来より、ジメチルエーテル(DME)を内燃機関の燃料とする燃料供給装置として、概ねディーゼルエンジン用のコモンレール式燃料噴射システムが適用できる。
DMEは、軽油(ディーゼル油)と比較して低粘度であるため、高圧燃料ポンプのプランジャとシリンダとの間に形成されるクリアランス(隙間)からカム室側へのリーク燃料が非常に多い。例えばDMEの場合には、常温でも軽油の10倍のリーク燃料量となる。 したがって、DMEを燃料として使用するコモンレール式燃料噴射システムにおいては、高圧燃料ポンプのプランジャに設けられる摺動面とシリンダに設けられる摺動面との間のクリアランスから溢流するリーク燃料の処理方法が問題となっている。
このような高圧燃料ポンプは、図10に示したように、図示しないフィードポンプからギャラリ室101を経て燃料加圧室102内に吸入した燃料を加圧するプランジャ103と、このプランジャ103を往復移動可能に支持するシリンダ104と、このシリンダ104の外周との間にギャラリ室101を形成するポンプハウジング(図示せず)と、このポンプハウジングに回転自在に支持されるカムシャフト105と、ギャラリ室101と燃料加圧室102とを連通する燃料孔106を開閉する電磁弁107とを備えている。なお、カムシャフト105の外周には、2つのカム山を有するカムが一体的に組み付けられている。
また、プランジャ103の外周面とシリンダ104の内周面との間には、リーク燃料回収溝112よりもカム室側のクリアランス(隙間)114をシールするシール部材115が設けられている。
なお、リーク燃料回収溝112内には、ギャラリ室101に連通するリーク燃料孔113からフィード圧(フィードポンプの吐出圧力)が作用している。このため、リーク燃料の圧力は、リーク燃料を液体状態のまま回収可能となるフィード圧まで低下する。これにより、リーク燃料回収溝112で回収された液体状態のリーク燃料は、リーク燃料孔113を通ってギャラリ室101に戻される。
ところが、特許文献1に記載の高圧燃料ポンプを備えた燃料噴射システムにおいては、高圧燃料ポンプの吐出ポートから内燃機関側に吐出される燃料の吐出圧力が高圧になるに従って、ギャラリ室101内の圧力と燃料加圧室102内の圧力との間の差圧が大きくなるので、燃料加圧室102からクリアランス111に漏洩するリーク燃料量(漏れ量)が増える。これにより、高圧燃料ポンプの吐出ポートから内燃機関側に吐出される燃料の吐出流量が減少するので、高圧燃料ポンプの吐出効率が悪化するという問題が生じている。
これによって、高圧燃料ポンプの燃料圧送時において、クリアランスから漏洩するリーク燃料量を減らすことができる。これにより、高圧燃料ポンプの吐出流量を増加することができるので、高圧燃料ポンプの吐出効率の悪化を抑制できるという効果を得ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、クリアランスは、燃料回収部よりも加圧室側に設けられる第1クリアランス、および燃料回収部よりもカム室側に設けられる第2クリアランスを有している。
請求項5に記載の発明によれば、燃料回収部は、第1クリアランスから漏洩した燃料を回収する高圧リーク燃料回収部、および第2クリアランスから漏洩した燃料を回収する低圧リーク燃料回収部を有している。
請求項6に記載の発明によれば、シリンダは、第2クリアランスをシールするシール部材を有している。ここで、高圧リーク燃料回収部から低圧リーク燃料回収部に漏洩する燃料の大部分は、シール部材により塞き止められて低圧リーク燃料回収部に到達し難くなる。
請求項8に記載の発明によれば、第2クリアランスから低圧リーク燃料回収部へ漏洩した燃料を高圧燃料ポンプの外部に排出する燃料排出経路を備えている。ここで、プランジャの外周面とシリンダの内周面との間の第2クリアランス(隙間)から漏洩し、低圧リーク燃料回収部で回収された燃料(例えば気体状態のリーク燃料)は、燃料排出経路を通って高圧燃料ポンプの外部に排出される。
請求項10に記載の発明によれば、燃料戻し経路は、ギャラリ室内の圧力が所定値以上に上昇した際に開弁するオーバーフローバルブを有している。これにより、オーバーフローバルブが開弁すると、ギャラリ室から燃料が燃料タンクに戻されるため、ギャラリ室内の圧力が所定値未満となる。
本発明は、高圧燃料ポンプの吐出効率の悪化を抑制するという目的を、燃料回収部とギャラリ室とを連通する連通流路に、燃料回収部内の圧力とギャラリ室内の圧力との間に圧力差を生じさせる圧力差付与手段を設置して、プランジャの外周面とシリンダの内周面との間のクリアランス(隙間)から漏洩(リーク)するリーク燃料量を減らすことで実現した。
なお、以下に説明する3つの実施例のうち、実施例1、3は本発明が適用されてない参考例としての燃料供給装置であり、実施例2は本発明が適用されている燃料供給装置の具体例である。
図1ないし図3は本発明の実施例1を示したもので、図1はコモンレール式燃料噴射システムを示した図で、図2は高圧燃料ポンプを示した図で、図3は高圧燃料ポンプの主要構造を示した図である。
このコモンレール式燃料噴射システムは、例えばDME(ジメチルエーテル)とディーゼル油(軽油)とを任意の割合で混合した高濃度DME混合燃料、DME100%燃料等の低粘度で、しかも大気圧下で気化する成分が含まれた燃料を、エンジンの燃料として使用する燃料供給装置である。なお、燃料として、低濃度DME混合燃料、LPG(液化石油ガス)、ディーゼル油等を用いても良い。
高圧燃料ポンプ3は、ポンプ駆動軸(カムシャフト)6を回転自在に支持するポンプハウジング7と、燃料を加圧圧送する複数のプランジャ8と、各プランジャ8を往復摺動可能に嵌挿支持する複数のシリンダ9とを備え、このシリンダ9のプランジャ摺動孔(シリンダ孔)内をプランジャ8が往復移動することで、フィードポンプ2からギャラリ室10および電磁弁11を経て燃料加圧室12内に吸入した燃料を加圧圧送するサプライポンプである。
周方向凹溝17は、シリンダ9の摺動面(内周面)で開口しており、第1クリアランス15から凹溝側に漏洩(リーク)した液体状態のリーク燃料を回収する高圧リーク燃料回収部である。また、周方向凹溝17は、プランジャ8の軸線方向の中間部の周囲を外周方向に取り囲むように形成された凹状の周方向溝である。
なお、周方向凹溝17で回収された液体状態のリーク燃料は、連通流路(小径孔18、中径孔19、貫通孔20、大径孔22)を通ってギャラリ室10に戻される。
なお、連通流路(小径孔18、中径孔19、貫通孔20、大径孔22)および逆止弁の詳細は後述する。
また、シリンダ9の図示下端部には、プランジャ8の図示下端部の外周に気密的(液密的)に密着するシール部材29が設置されている。このシール部材29は、断面X字状のゴムシール(Xリング)である。
複数のインジェクタ5は、エンジンの各気筒毎の燃焼室内への燃料噴射を行う燃料噴射ノズル36と、この燃料噴射ノズル36の弁体であるノズルニードルおよびこのノズルニードルに連結するコマンドピストンを開弁作動方向に駆動する電磁弁37とにより構成された電磁式燃料噴射弁である。
ECU38には、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラムおよび制御データを保存する記憶装置(ROM、RAM等のメモリ)、入力回路(入力部)、出力回路(出力部)等を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが内蔵されている。
なお、マイクロコンピュータは、クランク角度センサより出力されるNE信号パルスの間隔時間を計測することによってエンジン回転速度(NE)を検出する回転速度検出手段としての機能も有している。
低圧燃料配管は、フィードポンプ2の吐出ポートから高圧燃料ポンプ3の吸入ポートへ低圧燃料(燃料が気化しない所定のフィード圧以上の燃料圧力の燃料)を供給する供給配管等を有している。なお、フィードポンプ2の吐出ポートと高圧燃料ポンプ3の吸入ポートとの間に燃料フィルタを設置しても良い。
高圧燃料配管は、高圧燃料ポンプ3の吐出ポートからコモンレール4のインレットポートへ高圧燃料を供給する供給配管、およびコモンレール4の各アウトレットポートから複数個のインジェクタ5のインレットへ高圧燃料を供給する供給配管(燃料分配管、分岐管)等を有している。
燃料戻し配管は、燃料供給機器(高圧燃料ポンプ3、コモンレール4および複数個のインジェクタ5等)からオーバーフローした燃料(摺動部のクリアランスから漏洩(リーク)したリーク燃料を含む)を燃料タンク1に戻すオーバーフロー配管(オーバーフローパイプ)である。
なお、流路管41の途中には、流路管40との合流部側からインジェクタ側への燃料の逆流を防止する逆止弁41aが設置されている。
スクリュー47の外周には、ホロースクリュー43の開口端側の内周に形成された内周ねじに螺合する外周ねじが形成されている。
ブッシュ48は、ホロースクリュー43の外周とポンプハウジング7の取付孔壁面との間をシールする円筒部を有している。また、ブッシュ48の円筒部の外周には、ポンプハウジング7の取付孔壁面に形成された内周ねじに螺合する外周ねじが形成されている。
また、ホロースクリュー43の内部には、ボールバルブ44が着座可能なバルブシートが設けられている。なお、ボールバルブ44とスクリュー47との間には、ボールバルブ44をバルブシートに押し当てる側に付勢するコイルスプリング49が設置されている(図9参照)。
なお、フィードポンプ2によって高圧燃料ポンプ3の内部(ギャラリ室10)へ供給される低圧燃料の圧力は、約2.5〜3.0MPaの範囲の所定の燃料供給圧に設定されている。これにより、フィードポンプ2から高圧燃料ポンプ3へ供給される低圧燃料を、飽和蒸気圧以上に設定することができるので、DMEを液体状態に維持することができる。
コモンレール4のインレットポートは、供給配管を介して、高圧燃料ポンプ3の吐出ポートに接続されている。また、コモンレール4の各アウトレットポートは、供給配管を介して、各インジェクタ5のインレットポートに接続されている。また、コモンレール4のリークポートは、オーバーフロー配管(流路管40等)を介して、燃料タンク1に接続されている。
なお、コモンレール4のリークポートにプレッシャリミッタを取り付けても良い。このプレッシャリミッタは、コモンレール4の内部圧力が限界設定圧力を超えた際に開弁してコモンレール4の内部圧力を限界設定圧力以下に抑えるための圧力安全弁である。
燃料噴射ノズル36は、コモンレール4より分岐する複数の供給配管の燃料流方向の下流端に接続されており、複数の噴射孔を開閉するノズルニードル、このノズルニードルの軸線方向の後端部(図示上端部)に連結されたコマンドピストン、ノズルニードルを摺動自在に支持する摺動孔を有するノズルボディ、およびコマンドピストンを摺動自在に支持する摺動孔を有するインジェクタボディ(ロアボディ)等によって構成されている。
また、複数のインジェクタ5の各燃料噴射ノズル36には、インレットポートおよびアウトレットポートが設けられている。複数のインジェクタ5の各インレットポートは、供給配管を介して、コモンレール4の各アウトレットポートに接続されている。また、複数のインジェクタ5の各アウトレットポート(リークポート)は、オーバーフロー配管(流路管41等)を介して、燃料タンク1に接続されている。
オリフィスプレートには、通過する燃料流量を制限する入口側、出口側オリフィスが形成されている。
電磁アクチュエータは、バルブボディ、このバルブボディの摺動孔内に摺動自在に支持されるアーマチャ、バルブとアーマチャを閉弁作動方向に付勢するコイルスプリング、およびアーマチャを引き寄せる電磁力を発生する電磁石を有している。この電磁石は、コイルボビンに巻装されたソレノイドコイル、このソレノイドコイルに接続される外部接続端子(ターミナル)、およびソレノイドコイルへの通電により磁化されるステータ等によって構成されている。
高圧燃料ポンプ3は、上述したように、エンジンのクランクシャフトにより回転駆動されるカムシャフト6と、このカムシャフト6が回転自在に嵌挿されるポンプハウジング7と、燃料加圧室12内に吸入した燃料を加圧して高圧化するプランジャ8と、ポンプハウジング7の内周面との間にギャラリ室10を区画形成すると共に、プランジャ8との間に燃料加圧室12を区画形成するシリンダ9と、ギャラリ室10からオーバーフローしたリーク燃料(オーバーフロー燃料)を燃料タンク1に戻す燃料戻し経路とを備えている。
また、燃料戻し経路は、ポンプハウジング7内の流路孔→取付孔46→OFVのホロースクリュー43内の燃料孔45等よりなる燃料流路と、流路管42、40等に形成される燃料流路とによって構成された第1燃料リターン経路である。
また、カムシャフト6の先端部(ポンプハウジング7の外壁面から外部に向けて突き出した部分)の外周には、エンジンのクランクシャフトのクランクプーリとベルトを介して駆動連結されるドライブプーリ(図示せず)が取り付けられている。
プランジャ8は、シリンダ9のシリンダ孔13の軸線方向の一端側(図示上端側、開口端側)に形成された燃料加圧室12内に吸入された燃料を加圧して高圧化するもので、シリンダ9を伴ってポンプエレメントを構成する。このプランジャ8の図示下端部の外周には、円環板状のスプリングシート52が連結されている。
これにより、カムシャフト6の回転によりカム51が回転すると、カムローラ55を介してタペット54が図3中の図示上下方向に往復移動する。このようなタペット54の運動は、スプリングシート52を介してプランジャ8に伝えられ、プランジャ8はシリンダ9内を往復移動する。なお、プランジャ8の往復ストロークは、カム51の工程差により決定される。
また、スプリングシート52は、タペット54に係合している。このタペット54は、ポンプハウジング7に対して図示上下方向に摺動自在に配設されている。また、タペット54は、カムローラ55を回転自在に支持している。そして、タペット54は、プランジャスプリング57の付勢力により常に図示下方に付勢されている。そして、タペット54は、カムローラ55を介して常にカム51の外周面に当接している。
また、ギャラリ室10には、取付孔および燃料孔を介して、フィードポンプ2から低圧燃料が供給されているので、フィードポンプ2のフィード圧を受けている。また、複数のシリンダ9にそれぞれ形成される断面円環状のギャラリ室10は、複数のシリンダ9に跨がるように横方向に延びる連通孔(図示せず)を介して連通している。
なお、燃料孔および連通孔は、ギャラリ室10と取付孔の孔壁面(孔底面)とを連通する燃料流路であって、高圧燃料ポンプ3の吸入ポートからギャラリ室10へ燃料を供給する第1燃料供給経路を構成する。
また、高圧燃料ポンプ3のシリンダ9は、燃料吐出経路を形成する燃料孔66、燃料加圧室12よりも燃料流方向の下流側に設置される逆止弁構造の燃料吐出弁67、および供給配管に接続するアウトレット(ホロースクリュー)68を取り付けるための取付孔を有している。この取付孔は、燃料孔66を介して燃料加圧室12に連通している。また、アウトレット68の内部には、燃料孔69、燃料孔70および吐出ポート(高圧燃料ポンプ3の吐出ポート)71が形成されている。
なお、プランジャ8の往復移動に伴って燃料加圧室12の内容積が拡縮することで加圧圧縮された高圧燃料は、燃料加圧室12から燃料孔66、燃料吐出弁67、燃料孔69、70および吐出ポート71を経由してコモンレール側へ圧送供給されるように構成されている。これによって、燃料孔66、燃料吐出弁67(の流路孔(弁孔))、燃料孔69、70および吐出ポート71は、高圧燃料ポンプ3の燃料加圧室12からコモンレール側へ高圧燃料を吐出する燃料吐出経路を構成する。
なお、バルブボディ73の図示下端面には、電磁弁11のバルブリフト量(特にスプールバルブ72のバルブ全閉位置)を規制するバルブシートが設けられている。
ここで、燃料孔61は、ギャラリ室10と嵌合孔14の内部(燃料貯留室62)とを連通するようにシリンダ9の内部に形成された燃料供給流路(燃料供給経路)である。また、燃料貯留室62は、バルブボディ73の周囲を取り囲むように設けられて、嵌合孔14の孔壁面とバルブボディ73の外周面との間に形成された燃料供給流路(燃料供給経路)である。また、燃料孔63は、バルブ収容室64内に燃料を導入する燃料供給流路(燃料供給経路)であって、バルブ収容室64の半径方向の外方側に放射状に設けられて、バルブ収容室64およびバルブ摺動孔と十字状に交差している。燃料孔63は、例えば2〜4本設けられている。
また、電磁弁11は、シリンダ孔13よりもシリンダ9の軸線方向の一方側(図示上方側)に配設された常開型(ノーマリオープンタイプ)の電磁式制御弁であって、スプールバルブ72を開弁作動方向に付勢するコイルスプリングと、通電されると磁力を発生するコイル74(図9参照)を有する電磁石と、この電磁石の電磁力によって電磁石の磁極面側に吸引されるアーマチャ75と、内部に電磁石およびアーマチャ75を収容するバルブハウジング76とを備えている。
電磁弁11のスプールバルブ72は、バルブハウジング76に内蔵された電磁石のコイル74の電磁力によってバルブ全開位置(デフォルト位置)とバルブ全閉位置(フルリフト位置)との2位置に駆動されるように構成されている。そして、スプールバルブ72は、電磁石のコイル74への通電を停止している状態では、コイルスプリングの付勢力によって開弁し、また、電磁石のコイル74を通電すると、コイルスプリングの付勢力に抗して閉弁する。
また、アウトレット79には、ユニオン81を介してパイプ82が接続されている。アウトレット79は、内部に流路孔(第2リークポート)83が形成されたホロースクリューである。アウトレット79には、ユニオン81内の流路を介して、第2リークポート83とパイプ82内の流路孔(燃料孔)84とを連通する複数の連通孔(貫通孔、円形孔)85が形成されている。なお、アウトレット79の第2リークポート83は、取付孔80および流路孔77、78を介して、シール室32に連通している。
そして、アウトレット79は、ユニオン81およびパイプ82を介して、ガス燃料パイプ(図示せず)に接続されている。このガス燃料パイプは、エンジンの吸気管またはパージタンクに接続されている。
第2燃料排出経路は、プランジャ8の摺動面とシリンダ9の摺動面との間の第2クリアランス16から漏洩したリーク燃料をエンジンの吸気管またはパージタンクに導くための第2燃料リターン経路である。この第2燃料排出経路は、シール室32→流路孔77→流路孔78→取付孔80→第2リークポート83→連通孔85→流路孔84等よりなる燃料流路と、ガス燃料パイプ等に形成される燃料流路とによって構成されている。
本実施例の連通流路は、周方向凹溝17に連通すると共に、周方向凹溝17の溝底面で開口した小径孔(逆止弁の弁孔)18と、この小径孔18に連通すると共に、小径孔18よりも大きい内径(流路孔径)を有する中径孔(バルブ収容室、スプリング収容室)19と、この中径孔19に連通すると共に、中径孔19よりも小さい内径(流路孔径)を有する貫通孔20と、この貫通孔20に連通すると共に、中径孔19よりも大きい内径(流路孔径)を有する大径孔(ばね座収容室、ガスケット収容室)22とにより構成されている。
また、小径孔18、中径孔19、貫通孔20、大径孔22は、プランジャ8の往復移動方向およびシリンダ9のシリンダ孔13の軸線方向に対して傾斜してほぼストレートに延びる傾斜通路である。
また、シリンダ9の内部、特に小径孔18と中径孔19との間には、バルブシートが設けられている。また、シリンダ9の内部、特に中径孔19と大径孔22との間には、ガスケット27をスプリングシート25との間に挟み込む円環状の段差が設けられている。
また、シリンダ9の大径孔22の孔壁面(シリンダ9の内周面)には、スプリングシート25の外周ねじに螺合する内周ねじが形成されている。
また、逆止弁の開弁圧力は、ギャラリ室10内の燃料圧力よりも所定値以上高く設定されている。
また、逆止弁は、シリンダ9の内部に設けられるバルブシートに着座、離脱して小径孔18を閉鎖、開放するバルブ(逆止弁の弁体)23を有している。このバルブ23は、小径孔18よりも燃料流方向の下流側に設けられる中径孔19の内部に収容されている。
ここで、逆止弁の開弁圧力は、開弁前のコイルスプリング24のスプリング荷重(バネ荷重)により規定される。なお、逆止弁の開弁圧力は、シール部材29の耐圧を確保することのできる範囲内で極力大きく設定することが望ましい。
また、スプリングシート25の内部には、このスプリングシート25の中央部を板厚方向に貫通するように貫通孔20が形成されている。この貫通孔20は、中径孔19と大径孔22とを連通する燃料流路として使用される。なお、貫通孔20は、後述する実施例2の絞り孔21よりも流路断面積が大きく、連通流路の流路断面積を絞るオリフィスではない。
ここで、本実施例では、逆止弁の開弁時に、周方向凹溝17からギャラリ室10に向かうリーク燃料の圧力が1段階以上減圧してギャラリ室10に回収されるように構成されている。
次に、本実施例の内燃機関の燃料供給装置(コモンレール式燃料噴射システム)の作用を図1ないし図3に基づいて簡単に説明する。
このとき、電磁石のコイル74への通電が停止(OFF)されており、電磁石のコイル74の電磁力が消磁されている。このため、コイルスプリングの付勢力によってスプールバルブ72が、バルブストッパ53に押し付けられている。すなわち、スプールバルブ72がバルブ全開位置に付勢されているため、スプールバルブ72によってギャラリ室10と燃料加圧室12とを連通する燃料流路(燃料孔61→燃料貯留室62→燃料孔63→バルブ収容室64→連通孔65)が開放(全開)状態となる。
そして、プランジャ8がシリンダ9のシリンダ孔13内を下降から上昇に移行するタイミングで、電磁石のコイル74への通電が実施(ON)されると、電磁石のコイル74に電磁力が発生して、アーマチャ75やステータ等の複数の磁性体が磁化される。
これにより、アーマチャ75が電磁石の吸引部に吸引され、これに伴いスプールバルブ72が閉弁作動方向に移動してバルブボディ73のバルブシートに着座する。この結果、スプールバルブ72によってギャラリ室10と燃料加圧室12とを連通する燃料流路が閉塞(全閉)状態となる。
これによって、燃料加圧室12内に導入された燃料がプランジャ8の上昇に伴い加圧されて高圧化される。このとき、燃料加圧室12内の燃料圧力が燃料吐出弁67の開弁圧よりも高くなると燃料吐出弁67が開弁して、燃料加圧室12から燃料孔66→燃料吐出弁67→燃料孔69→燃料孔70→吐出ポート71→供給配管を経由してコモンレール4に高圧燃料が圧送供給される。高圧燃料の圧送後には、電磁弁11のコイル74への通電が停止(OFF)されてスプールバルブ72がバルブ全開位置に戻り、燃料加圧室12内に再び燃料が吸入される。
すなわち、周方向凹溝17内の燃料圧力は、フィードポンプ2のフィード圧よりも高圧力が作用しており、例えばDMEのように気化し易い燃料であっても液体状態のまま周方向凹溝17で回収される。この周方向凹溝17で回収された液体状態のリーク燃料は、周方向凹溝17から連通流路(大径孔22→貫通孔20→中径孔19→小径孔18)を通ってギャラリ室10に戻される。つまり第1クリアランス15から周方向凹溝17内に漏洩したリーク燃料は、逆止弁を通過する際に1段階分だけ減圧してギャラリ室10に回収される。
また、プランジャ8の摺動面とシール部材29との間からカム室31側に漏洩したリーク燃料は、シリンダ9の図示下端面とプランジャ8の図示下端部の外周とオイルシール33とにより気密的に取り囲まれたシール室32に到達する。
また、第2クリアランス16から漏洩したリーク燃料は、第2クリアランス16を通過する際にフィード圧よりも低い圧力に減圧するため、シール室32に到達する段階で、リーク燃料は気体状態となる。
このように、リーク燃料の圧力は、燃料加圧室12内の高圧状態からフィード圧よりも所定値以上高い中間圧まで一旦下がった後に、中間圧からシール室32内の低圧状態まで下がる。つまり第2クリアランス16からシール室32内に漏洩したリーク燃料は、2段階に減圧して回収される。これにより、段階的な減圧を行うことで、リーク燃料の大部分を液体状態で回収可能とすると共に、リーク燃料の気化量を減少できるので、リーク燃料量を低減できる。
なお、ガス燃料パイプ等から吸気管内に流入した気体状態のリーク燃料は、吸入空気と共にエンジンの各気筒の燃焼室内に吸い込まれる。つまり気体状態のリーク燃料は、エンジンの燃料として使用される。
また、パージタンク内に回収された気体状態のリーク燃料は、再液化コンプレッサ(圧縮機)やコンデンサ(凝縮器)等で再度液化された後に、燃料タンク1に戻される。
以上のように、本実施例の内燃機関の燃料供給装置(コモンレール式燃料噴射システム)に使用される高圧燃料ポンプ3においては、ギャラリ室10と周方向凹溝17とを連通する連通流路(小径孔18、中径孔19、貫通孔20、大径孔22)に、この連通流路を流通する燃料の逆流を防止すると共に、開弁圧力がギャラリ室10内の燃料圧力よりも高く設定される逆止弁を設置している。これによって、高圧燃料ポンプ3の吐出圧力が高圧側に移行した場合であっても、燃料加圧室12内の燃料圧力(P1)と周方向凹溝17内の燃料圧力(P3)との間の圧力差が小さくなる。
ここで、燃料加圧室12から第1クリアランス15を通って周方向凹溝側に漏洩するリーク燃料量(本実施例のリーク燃料量)は、燃料加圧室12内の燃料圧力(P1)と周方向凹溝17内の燃料圧力(P3)との間の圧力差(差圧)により決まる。これに対し、従来の技術のリーク燃料量は、燃料加圧室102内の燃料圧力(P1)とギャラリ室101内の燃料圧力(フィード燃料圧:P2)との圧力差(差圧)により決まる。
つまり周方向凹溝17内の燃料圧力(P3)>ギャラリ室10内の燃料圧力(P2)であるため、高圧燃料ポンプ3の燃料圧送時において、第1クリアランス15から漏洩するリーク燃料量を現状よりも減らすことができる。これにより、高圧燃料ポンプ3の吐出流量を増加することができるので、高圧燃料ポンプ3の吐出効率の悪化を抑制できる。
また、液体状態のまま第1クリアランス15からリーク燃料を回収できるので、第1クリアランス15から漏洩するリーク燃料の回収率を向上できる。これにより、リーク燃料量を低減することができる。
オリフィス部材26の内部には、オリフィス部材26の中央部を板厚方向に貫通するように絞り孔21が形成されている。この絞り孔21は、小径孔18と大径孔22とを連通すると共に、連通流路の流路断面積を絞り、且つ連通流路を流通する燃料の流量を制限すると共に、周方向凹溝(燃料回収部)17内の燃料圧力をギャラリ室10内の燃料圧力よりも高く設定する絞り部(オリフィス)として使用される。
絞り孔21は、燃料加圧室12内の燃料圧力と周方向凹溝17内の燃料圧力との間の第1圧力差を、燃料加圧室12内の燃料圧力とギャラリ室10内の燃料圧力との間の第2圧力差よりも小さくする。すなわち、周方向凹溝17内の燃料圧力は、連通流路(小径孔18、絞り孔21、大径孔22)の流路断面積を絞るオリフィス(絞り孔21)によって、ギャラリ室10内の燃料圧力よりも所定値以上大きくなる。
ここで、本実施例では、周方向凹溝17からギャラリ室10に向かうリーク燃料が絞り孔21を通過する際に、その圧力が1段階以上減圧してギャラリ室10に回収される。
これによって、高圧燃料ポンプ3の燃料圧送時において、第1クリアランス15から漏洩するリーク燃料量を現状よりも減らすことができる。これにより、高圧燃料ポンプ3の吐出流量を増加することができるので、高圧燃料ポンプ3の吐出効率の悪化を抑制できる。
また、実施例1と同様な効果を達成することができる。
逆止弁は、周方向凹溝17内の燃料圧力とギャラリ室10内の燃料圧力との間に圧力差を生じさせる圧力差付与手段として使用される。この逆止弁は、燃料加圧室12内の燃料圧力と周方向凹溝17内の燃料圧力との間の第1圧力差を、燃料加圧室12内の燃料圧力とギャラリ室10内の燃料圧力との間の第2圧力差よりも小さくする。
バルブ23は、シリンダ9の内部に設けられるバルブシートに着座、離脱して小径孔18を閉鎖、開放する弁体(逆止弁の弁体)として使用される。また、バルブ23は、小径孔18よりも燃料流方向の下流側に設けられる中径孔19の内部に収容されている。
ここで、逆止弁の開弁圧力は、開弁前のコイルスプリング24のスプリング荷重(バネ荷重)により規定される。なお、逆止弁の開弁圧力は、シール部材29の耐圧を確保することのできる範囲内で極力大きく設定することが望ましい。
シリンダ9は、小径孔18と中径孔19との間に、燃料流方向の下流側に向けて次第に拡径したテーパー状(円錐台形状)の段差面を有している。この段差面の内周部に設けられるエッジ部は、バルブ23が着座可能なバルブシートとして使用される。
また、本実施例の高圧燃料ポンプ3は、プランジャ8の図示下端部の外周とシリンダ9の図示下端部の内周との間に、フッ素樹脂製のシールリングおよび断面O字状のゴムシール(Oリング)よりなるシール部材29が装着されている。なお、シールリングは、プランジャ8の周囲を取り囲むように、プランジャ8の外周に密着状態で摺動可能に嵌め込まれている。また、Oリングは、シールリングの周囲を取り囲むように、シールリングの外周に半径方向に圧縮した状態で嵌め込まれている。
ここで、本実施例では、逆止弁の開弁時に、周方向凹溝17からギャラリ室10に向かうリーク燃料の圧力が1段階以上減圧してギャラリ室10に回収されるように構成されている。
これによって、高圧燃料ポンプ3の燃料圧送時において、第1クリアランス15から漏洩するリーク燃料量を現状よりも減らすことができる。これにより、高圧燃料ポンプ3の吐出流量を増加することができるので、高圧燃料ポンプ3の吐出効率の悪化を抑制できる。
また、本実施例では、実施例1と異なり、流路孔77、78、アウトレット79、取付孔80、ユニオン81およびパイプ82を廃止できるので、部品点数および組付工数を低減でき、製品コストを削減することができる。
本実施例では、高圧燃料ポンプを、コモンレール式燃料噴射システムに使用される高圧燃料ポンプ3に適用した例を説明したが、高圧燃料ポンプを、内燃機関用燃料噴射装置に使用される分配型燃料噴射ポンプまたは列型燃料噴射ポンプに適用しても良い。また、図2、図4、図6のカム51のカム山の数は1つ以上の任意の数で良い。なお、ポンプエレメントの数、つまりプランジャ8やシリンダ9の本数は、1つでも、2つ以上でも良く、その数は任意である。また、電磁弁11の個数も、ポンプエレメントの数に応じて、1つでも、2つ以上でも良く、その数は任意である。
また、OFVの代わりに、燃料タンク1へ戻る燃料流量を調整するリリーフバルブを使用しても良い。この場合には、燃料戻し経路と燃料排出経路との合流部を、リリーフバルブよりも燃料流方向の上流側または下流側に設置する。
2 フィードポンプ(低圧燃料ポンプ)
3 高圧燃料ポンプ
4 コモンレール
5 インジェクタ
6 カムシャフト(ポンプ駆動軸)
7 ポンプハウジング
8 プランジャ
9 シリンダ
10 ギャラリ室
11 電磁弁
12 燃料加圧室
13 シリンダ孔
15 第1クリアランス(環状隙間)
16 第2クリアランス(環状隙間)
17 周方向凹溝(燃料回収部、高圧リーク燃料回収部)
18 小径孔(連通流路)
19 中径孔(連通流路)
20 貫通孔(連通流路)
21 絞り孔(連通流路、絞り部、オリフィス)
22 大径孔(連通流路)
23 逆止弁(圧力差付与手段)のバルブ(ボールバルブ)
24 逆止弁のコイルスプリング(バルブ付勢手段)
25 逆止弁のスプリングシート(ばね座)
26 オリフィス部材(圧力差付与手段)
29 シール部材
31 カム室
32 シール室(低圧リーク燃料回収部)
33 オイルシール
Claims (10)
- (a)燃料タンクから吸入した燃料を加圧して吐出するフィードポンプと、
(b)燃料を加圧して吐出するプランジャ、このプランジャを往復摺動可能に支持し、前記プランジャとの間に加圧室を区画形成するシリンダ、およびこのシリンダの外周面との間にギャラリ室を区画形成するポンプハウジングを有する高圧燃料ポンプと
を備え、
前記シリンダ内を前記プランジャが往復移動することで、前記フィードポンプから前記ギャラリ室を経て前記加圧室に燃料を吸入すると共に、前記加圧室に吸入した燃料を加圧して吐出する燃料供給装置において、
前記プランジャは、前記シリンダの内周面との間にクリアランスを形成する外周面を有し、
前記高圧燃料ポンプは、前記クリアランスを介して前記加圧室に連通すると共に、前記クリアランスから漏洩した燃料を回収する燃料回収部、前記ギャラリ室と前記燃料回収部とを連通する連通流路、およびこの連通流路に設置されて、前記燃料回収部内の圧力と前記ギャラリ室内の圧力との間に圧力差を生じさせる圧力差付与手段を有しており、
前記圧力差付与手段は、前記連通流路の流路断面積を絞る、あるいは前記連通流路を流通する燃料の流量を制限すると共に、前記燃料回収部内の圧力を前記ギャラリ室内の圧力よりも高く設定する絞り部を有していることを特徴とする燃料供給装置。 - 請求項1に記載の燃料供給装置において、
前記燃料回収部は、前記プランジャの周囲を周方向に取り囲むように形成された凹状の周方向溝であることを特徴とする燃料供給装置。 - 請求項1または請求項2に記載の燃料供給装置において、
前記高圧燃料ポンプは、前記シリンダ内で前記プランジャを往復移動させるカムシャフトを有し、
前記ポンプハウジングは、前記カムシャフトが挿入されると共に、内部に潤滑油が充填されるカム室を有していることを特徴とする燃料供給装置。 - 請求項3に記載の燃料供給装置において、
前記クリアランスは、前記燃料回収部よりも前記加圧室側に設けられる第1クリアランス、および前記燃料回収部よりも前記カム室側に設けられる第2クリアランスを有していることを特徴とする燃料供給装置。 - 請求項4に記載の燃料供給装置において、
前記燃料回収部は、前記第1クリアランスから漏洩した燃料を回収する高圧リーク燃料回収部、および前記第2クリアランスから漏洩した燃料を回収する低圧リーク燃料回収部を有していることを特徴とする燃料供給装置。 - 請求項5に記載の燃料供給装置において、
前記シリンダは、前記第2クリアランスをシールするシール部材を有していることを特徴とする燃料供給装置。 - 請求項5または請求項6に記載の燃料供給装置において、
前記高圧リーク燃料回収部は、前記連通流路を介して前記ギャラリ室に連通していることを特徴とする燃料供給装置。 - 請求項5ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載の燃料供給装置において、
前記第2クリアランスから前記低圧リーク燃料回収部へ漏洩した燃料を前記高圧燃料ポンプの外部に排出する燃料排出経路を備えていることを特徴とする燃料供給装置。 - 請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載の燃料供給装置において、
前記ギャラリ室からオーバーフローした燃料を前記燃料タンクに戻す燃料戻し経路を備えていることを特徴とする燃料供給装置。 - 請求項9に記載の燃料供給装置において、
前記燃料戻し経路は、前記ギャラリ室内の圧力が所定値以上に上昇した際に開弁するオーバーフローバルブを有していることを特徴とする燃料供給装置。
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