JP2019027334A - 高圧燃料供給ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】
高い燃料圧力においても、簡便な構造でシリンダをポンプ本体に固定でき、シリンダを確実に固定でき、その結果ポンプ本体を小型、低コスト化できる高圧燃料供給ポンプを提供するものである。
【解決手段】
本発明に係る高圧燃料供給ポンプは、ポンプ本体と、有底筒型形状かつ大径部と小径部を有しかつ当該小径部が前記ポンプ本体に支持されるシリンダと、前記ポンプ本体に固定されるリングと、を備え、前記シリンダは、前記小径部と前記大径部が形成する段差においてプランジャ圧縮方向に面圧着し燃料をシールし、前記リングは、前記シリンダの面圧着部に予圧力を付加しかつ前記シリンダの直径方向を規制する。
【選択図】 図1
高い燃料圧力においても、簡便な構造でシリンダをポンプ本体に固定でき、シリンダを確実に固定でき、その結果ポンプ本体を小型、低コスト化できる高圧燃料供給ポンプを提供するものである。
【解決手段】
本発明に係る高圧燃料供給ポンプは、ポンプ本体と、有底筒型形状かつ大径部と小径部を有しかつ当該小径部が前記ポンプ本体に支持されるシリンダと、前記ポンプ本体に固定されるリングと、を備え、前記シリンダは、前記小径部と前記大径部が形成する段差においてプランジャ圧縮方向に面圧着し燃料をシールし、前記リングは、前記シリンダの面圧着部に予圧力を付加しかつ前記シリンダの直径方向を規制する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、自動車用内燃機関用の高圧燃料供給ポンプのシリンダ構造に関する。
自動車等の内燃機関の内、燃焼室へ直接的に燃料を燃焼室内部へ噴射する直接噴射タイプにおいて、燃料を高圧化するための高圧燃料供給ポンプが広く用いられている。
特許5178676号公報においては、シリンダ外周をシリンダホルダの円筒嵌合部で保持し、一方シリンダホルダの外周に螺刻されたねじを、外周に螺刻されたねじをポンプ本体に螺刻されたねじにねじ込むことによって、一方のシリンダ端面をポンプ本体に密着させ、もう一方のシリンダ端面をポンプ本体に密着させ固定する構造を有した高圧燃料供給ポンプが記載されている。(特許文献1参照)。
しかしながら、上記従来技術においては、シリンダ固定に関してシリンダホルダを介してポンプ本体にねじ締結するため、内燃機関が要求する燃料圧力に応じたねじの締め付け軸力を確保する必要がある。近年、自動車の内燃機関の内、燃焼室へ直接的に燃料を燃焼室内部へ噴射する直接噴射タイプにおいて、燃料の圧力は環境規制対応の観点からより高圧化する方向へ要求が高まっている。上記従来技術において、より高い燃料の圧力に対応するためには、ねじの締め付け軸力を高め、シリンダをポンプ本体に固定する必要があり、結果、ねじサイズの拡大、強いてはポンプ本体の大型化を招き、製造コストの上昇、内燃機関への取り付けに制約が多くなり商品性を損なう恐れがある。
本発明の目的は高い燃料圧力においても、簡便な構造でシリンダをポンプ本体に固定でき、シリンダを確実に固定でき、その結果ポンプ本体を小型、低コスト化できる高圧燃料供給ポンプを提供するものである。
本発明に係る高圧燃料供給ポンプは、ポンプ本体と、有底筒型形状かつ大径部と小径部を有しかつ当該小径部が前記ポンプ本体に支持されるシリンダと、前記ポンプ本体に固定されるリングと、を備え、前記シリンダは、前記小径部と前記大径部が形成する段差においてプランジャ圧縮方向に面圧着し燃料をシールし、前記リングは、前記シリンダの面圧着部に予圧力を付加しかつ前記シリンダの直径方向を規制する。
このように構成した本発明によればシリンダに最も大きな力が作用する加圧工程時、シリンダは、大径部と小径部が形成する段差をより面圧着する方向に押し付けられる。
この時シリンダはカム回転力の分力により径方向に動かされ、結果プランジャ焼き付きが発生する可能性がある。本発明はリングがポンプ本体とシリンダの間に空隙なく固定されることにより、この動きを規制する。結果、簡便な構造でシリンダをポンプ本体に固定でき、信頼性の高いポンプを供給できる。
以下、本発明に係る実施例を説明する。
図4に示すシステムの全体構成図を用いてシステムの構成と動作を説明する。
破線で囲まれた部分が高圧燃料供給ポンプ(以下高圧ポンプと呼ぶ)本体を示し、この破線の中に示されている機構及び部品は高圧ポンプ本体1に一体に組み込まれていることを示す。燃料タンク20の燃料はフィードポンプ21によって汲み上げられ、吸入配管28を通してポンプ本体1の吸入ジョイント10aに送られる。
吸入ジョイント10aを通過した燃料は、圧力脈動低減機構9及び吸入通路10bを介して容量可変機構を構成する電磁吸入弁30の吸入ポート30aに至る。脈動防止機構9については後述する。
電磁吸入弁30は、電磁コイル308を備える。電磁コイル308が通電されていない時は、アンカーばね303の付勢力と弁ばね304の付勢力の差により、吸入弁体301は開弁方向に付勢され、吸入口30dは開けられた状態となっている。尚、アンカーばね303の付勢力と弁ばね304の付勢力は、(アンカーばね303の付勢力)>(弁ばね304の付勢力)となるよう設定されている。
この電磁コイル308が通電されている状態ではアンカー305が図4の左方に移動した状態で、アンカーばね303が圧縮された状態が維持される。アンカー305の先端が同軸で接触するように取り付けられた吸入弁体301は弁ばね304の付勢力により高圧ポンプの加圧室11につながる吸入口30dを閉じている。
以下、高圧ポンプの動作について説明する。
後述するカムの回転により、プランジャ2が図4の下方に変位して吸入工程状態にある時は、加圧室11の容積は増加し加圧室11内の燃料圧力が低下する。この工程で加圧室 11内の燃料圧力が吸入通路10b(吸入ポート30a)の圧力よりも低くなると、燃料は、開口状態にある吸入口30dを通り加圧室11に流入する。
プランジャ2が吸入工程を終了し圧縮工程へと移行した場合、プランジャ2が圧縮工程(図1の上方へ移動する状態)に移る。ここで電磁コイル308は無通電状態を維持したままであり磁気付勢力は作用しない。
よって、吸入弁体301は、アンカーばね303の付勢力により開弁したままである。加圧室11の容積は、プランジャ2の圧縮運動に伴い減少するが、この状態では、一度加圧室11に吸入された燃料が、再び開弁状態の吸入弁体301を通して吸入通路10b(吸入ポート30a)へと戻されるので、加圧室の圧力が上昇することは無い。この工程を戻し工程と称する。
この状態で、エンジンコントロールユニット27(以下ECUと呼ぶ)からの制御信号が電磁吸入弁30に印加されると電磁吸入弁30の電磁コイル308には電流が流れ、磁気付勢力により電磁プランジャ305が図4の左方に移動し、アンカーばね303が圧縮された状態が維持される。
その結果、吸入弁体301にはアンカーばね303の付勢力が作用しなくなり、 弁ばね304による付勢力と燃料が吸入通路10b(吸入ポート30a)に流れ込むことによる流体力が働く。そのため、吸入弁301は閉弁し吸入口30dを閉じる。吸入口30dが閉じると、このときから加圧室11の燃料圧力はプランジャ2の上昇運動と共に上昇する。
そして、加圧室11の燃料圧力が燃料吐出口12の圧力以上になると、吐出弁機構8を介して加圧室11に残っている燃料の高圧吐出が行われ、コモンレール23へと供給される。この工程を吐出工程と称する。すなわち、プランジャ2の圧縮工程(下始点から上始点までの間の上昇工程)は、戻し工程と吐出工程からなる。
そして、電磁吸入弁30の電磁コイル308への通電タイミングを制御することで、吐出される高圧燃料の量を制御することができる。電磁コイル308へ通電するタイミングを早くすれば、圧縮工程中の戻し工程の割合が小さく、吐出工程の割合が大きい。すなわち、吸入通路10b(吸入ポート30a)に戻される燃料が少なく、高圧吐出される燃料は多くなる。
一方、通電するタイミングを遅くすれば圧縮工程中の、戻し工程の割合が大きく吐出工程の割合が小さい。すなわち、吸入通路10bに戻される燃料が多く、高圧吐出される燃料は少なくなる。電磁コイル308への通電タイミングは、ECU27からの指令によって制御される。
以上のように構成することで、電磁コイルへ308への通電タイミングを制御することで、高圧吐出される燃料の量を内燃機関が必要とする量に制御することが出来る。
加圧室11の出口には吐出弁機構8が設けられている。吐出弁機構8は吐出弁シート8a、吐出弁8b、吐出弁ばね8cを備える。加圧室11と燃料吐出口12に燃料差圧が無い状態では、吐出弁8bは吐出弁ばね8cによる付勢力で吐出弁シート8aに圧着され閉弁状態となっている。
加圧室11の燃料圧力が、燃料吐出口12の燃料圧力よりも大きくなった時に始めて、吐出弁8bは吐出弁ばね8cに逆らって開弁し、加圧室11内の燃料は燃料吐出口12を経てコモンレール23へと高圧吐出される。
かくして、吸入ジョイント10aに導かれた燃料はポンプ本体1の加圧室11にてプランジャ2の往復動によって必要な量が高圧に加圧され、燃料吐出口12からコモンレール23に圧送される。
コモンレール23には、直接噴射用インジェクタ24(所謂直噴インジェクタ)、圧力センサ26が装着されている。直噴インジェクタ24は、内燃機関の気筒数に合わせて装着されており、ECU27の制御信号にてしたがって開閉弁して、燃料をシリンダ内に噴射する。
ポンプ本体1にはさらに、吐出弁8bの下流側と加圧室11とを連通する吐出流路110が燃料吐出口12とは別に吐出弁8bをバイパスして設けられている。吐出流路110には燃料の流れを吐出流路110から加圧室11への一方向のみに制限するリリーフ弁102が設けられている。リリーフ弁102は、押付力を発生するリリーフばね105によりリリーフ弁シート101に押付けられており、加圧室内とリリーフ通路内との間の圧力差が規定の圧力以上になるとリリーフ弁102がリリーフ弁シート101から離れ、開弁するように設定している。
直噴インジェクタ24の故障等によりコモンレール23等に異常高圧が発生した場合、吐出流路110と加圧室11の差圧がリリーフ弁102の開弁圧力以上になると、リリーフ弁102が開弁し、異常高圧となった吐出流路110は吐出流路110から加圧室11へと戻され、コモンレール23等の高圧部配管が保護される。
以下に高圧燃料ポンプの構成、動作を図1乃至図4を用いてさらに詳しく説明する。
一般に高圧ポンプは、ポンプ本体1に設けられたフランジ1e(図3参照)を用い内燃機関のシリンダヘッド41(図1及び図2参照)の平面に密着して固定される。シリンダヘッド41とポンプ本体1間の気密保持のためにOリング61(図1及び図2参照)がポンプ本体1に嵌め込まれている。
ポンプ本体1にはプランジャ2の進退運動をガイドし、かつ内部に加圧室11を形成するよう端部が有底筒型状に形成されたシリンダ6が取り付けられている。さらに加圧室11は燃料を供給するための電磁吸入弁30(図1参照)と加圧室11から吐出通路に燃料を吐出するための吐出弁機構8(図3参照)に連通するよう複数個の連通穴11a(11a)が設けられている。
プランジャ2の下端には、内燃機関のカムシャフトに取り付けられたカム5の回転運動を上下運動に変換し、プランジャ2に伝達するタペット3が設けられている。プランジャ2はリテーナ15を介してばね4にてタペット3に圧着されている。これによりカム5の回転運動に伴い、プランジャ2を上下に進退(往復)運動させることができる。
また、シールホルダ7の内周下端部に保持されたプランジャシール13(図1)がシリンダ6の図中下端部においてプランジャ2の外周に摺動可能に接触する状態で設置されている。これによりプランジャ2とシリンダ6との間のブローバイ隙間がシールされ、燃料がポンプ外部に漏れることを防止する。同時に内燃機関内の摺動部を潤滑する潤滑油(エンジンオイルも含む)がブローバイ隙間を介してポンプ本体1の内部に流入するのを防止する。
図4に示されたフィードポンプ21によって汲み上げられた燃料は、吸入配管28と結合された吸入ジョイント10aを介してポンプ本体1に送られる。
ダンパカバー14(図1及び図2)は、ポンプ本体1と結合することにより低圧燃料室10(図2参照)を形成し、吸入ジョイント10aを通過した燃料が流入する。低圧燃料室10の上流には、燃料中に含まれる金属粉等の異物を除去するために燃料フィルタ122が、たとえばポンプ本体1に圧入されるなどして取り付けられている。
低圧燃料室10には高圧ポンプ内で発生した圧力脈動が吸入配管28へ波及するのを低減減させる圧力脈動低減機構9が設置されている。一度、加圧室11に吸入された燃料が、容量制御状態のため再び開弁状態の吸入弁体301を通して吸入通路10b(吸入ポート30a)へと戻される場合、吸入通路10b(吸入ポート30a)へ戻された燃料により低圧燃料室10には圧力脈動が発生する。
しかし、低圧燃料室10に設けた圧力脈動低減機構9は、波板状の円盤型金属板2枚をその外周で張り合わせ、内部にアルゴンのような不活性ガスを注入した金属ダンパ9aで形成されており、圧力脈動はこの金属ダンパ9aが膨張・収縮することで吸収低減される。9bは金属ダンパ9aをポンプ本体1の内周部に固定するための取り付け金具である。
電磁吸入弁30は、電磁コイル308を備え、端子307を介してECU27と接続され、通電と無通電を繰り返すことにより吸入弁の開閉を制御することにより燃料の流量を制御する可変制御機構である。
電磁コイル308が通電されていない時、吸入弁体301には、アンカー305及びアンカー305に一体となるよう形成されたアンカーロッド302を介してアンカーばね303の付勢力が伝達される。吸入弁体301内側に設置された弁ばね304の付勢力は、(アンカーばね303の付勢力)>(弁ばね304の付勢力)となるよう設定されており、結果、吸入弁体301は開弁方向に付勢され吸入口30dは開けられた状態となっている。この時アンカーロッド302と吸入弁体301は302bに示す部位で接触している(図1に示す状態)。
電磁コイル308の通電により発生する磁気付勢力は、アンカー305が固定子306側にアンカーばね303の付勢力に打ち勝って吸引可能な力を有するように設定される。通電時にアンカーばね303は固定子306側に移動(図の左側)し、アンカーロッド302端部に形成されたストッパ302aがアンカーロッド軸受309に当接して係止する。この時アンカーロッド302の移動量と吸入弁体301の移動量は、(アンカーロッド302の移動量)>(吸入弁体301の移動量)、となる様にクリアランスが設定されておりアンカーロッド302と吸入弁体301の接触部302bは開放され、結果、吸入弁体301は、弁ばね304により付勢され吸入口30dは閉じられた状態となる。
電磁吸入弁30は、吸入弁体301が加圧室への吸入口30dを塞ぐことができるよう吸入弁シート310が筒状ボス部1bに機密を保って挿入され、ポンプ本体1に固定される。電磁吸入弁30がポンプ本体1に取り付けられた際、吸入ポート30aと吸入通路10bとが接続される。
吐出弁機構8は、吐出弁8bの摺動軸中心に対し放射状に複数個設けられた吐出通路が穿設され、中心に往復摺動を保持可能なように軸受を設けた吐出弁シート8aと、吐出弁シート8aの軸受けに対し摺動可能な様に中心軸を設け外周部に吐出弁シート部材8aと接触することにより気密保持可能な環状接触面を有する吐出弁8bを有する。さらに吐出弁8bを閉弁方向に付勢する弦巻ばねで構成される吐出弁ばね33が挿入、保持されている。
吐出弁シート8aは、たとえば圧入によりポンプ本体1に保持され、吐出弁8b、吐出弁ばね33が挿入され封止プラグ17によりポンプ本体1に封止されることにより吐出弁機構8を構成している。以上のように構成することで、吐出弁機構8は燃料の流通方向を制限する逆止弁として作用する。
さらに、リリーフ弁機構100の動作を詳細に説明する。リリーフ弁機構100は、図1又は図3に示すように、リリーフ弁ストッパ101、リリーフ弁102、リリーフシート103、リリーフばねストッパ104、リリーフばね105から構成される。
リリーフ弁シート103は、リリーフ弁102が摺動可能なように設けられた軸受を有している。摺動軸を一体に有しているリリーフ弁102は、リリーフ弁シート103に挿入した後、リリーフばね105を所望の荷重になる様にリリーフばねストッパ104の位置を規定、リリーフ弁102に圧入等により固定する。
リリーフ弁102の開弁圧力は、このリリーフばね104による押付力で規定される。また、リリーフ弁ストッパ101は、ポンプ本体1とリリーフ弁シート103の間に挿入されリリーフ弁102の開口量を制限するストッパとして機能する。
こうしてユニット化されたリリーフ弁機構100をポンプ本体1に設けた筒状貫通口1Cの内周壁にリリーフ弁シート103を圧入することによって固定する。ついで燃料吐出出口12をポンプ本体1の筒状貫通口1Cを塞ぐように固定し、燃料が高圧ポンプから外部へ漏れるのを防止すると同時に、コモンレールとの接続を可能とする。
このように、リリーフ弁102の燃料吐出口12側にリリーフばね105を設けることで、リリーフ弁機構100のリリーフ弁102の出口を加圧室11に開口しても加圧室11の容積が増加することはない。
プランジャ2の動きにより加圧室11の容積が減少を始めると、加圧室11内の圧力は容積減少に伴って増大していく。そして、ついに吐出流路110内の圧力よりも加圧室内の圧力が高くなると、吐出弁機構8が開弁し燃料は加圧室11から吐出流路110(図3参照)へと吐出されていく。この吐出弁機構8が開弁する瞬間から直後にかけて、加圧室11内の圧力はオーバーシュートして非常な高圧となる。この高圧が吐出流路110内にも伝播して、吐出流路110内の圧力も同じタイミングでオーバーシュートする。
もしここで、リリーフ弁機構100の出口が吸入流路10bに接続されていたならば、吐出流路110内の圧力オーバーシュートにより、リリーフ弁102の入口・出口の圧力差がリリーフ弁機構100の開弁圧力よりも大きくなってしまい、リリーフ弁102が誤動作してしまう。
これに対し本実施例では、リリーフ弁機構100の出口が加圧室11に接続されているので、リリーフ弁機構100の出口には加圧室11内の圧力が作用し、リリーフ弁機構100の入口には吐出流路110内の圧力が作用する。ここで、加圧室11内と吐出流路110内では同じタイミングで圧力オーバーシュートが発生しているので、リリーフ弁102の入口・出口の圧力差はリリーフ弁102の開弁圧力以上になることがない。すなわち、リリーフ弁102が誤動作することはない。
プランジャ2の動きにより加圧室11の容積が増加を始めると容積増加に伴って加圧室11内の圧力は減少し、吸入通路10b(吸入ポート30a)内の圧力よりも低くなると、燃料は吸入通路10b(吸入ポート30a)から加圧室11に流入する。そして再びプランジャ2の動きにより、加圧室11の容積が減少を始めると上記のメカニズムにより燃料を高圧に加圧して吐出する。
次に、図4に示される直噴インジェクタ24の故障等によりコモンレール23等に異常高圧が発生した場合について詳しく説明する。
直噴インジェクタ24の故障、つまり噴射機能が停止してコモンレール23に送られてきた燃料を内燃機関の燃焼室内に供給できなくなると、吐出弁機構8とコモンレール23間に燃料がたまり、燃料圧力が異常高圧になる。
この場合、緩やかな圧力上昇であれば、コモンレール23に設けた圧力センサ26で異常が検知され、吸入通路吸入通路10b(吸入ポート30a)に設けた容量制御機構であるところの電磁吸入弁30をフィードバック制御して吐出量を少なくする安全機能が動作するが、瞬間的な異常高圧は、この圧力センサ26を使ったフィードバック制御では対処できない。
また、電磁吸入弁30が故障して最大容量時の様態のまま機能しなくなった場合、燃料がそれほど多く要求されていない運転状態では吐出圧力が異常に高圧になる。この場合はコモンレール23の圧力センサ26が異常高圧を検知しても、容量制御機構そのものが故障しているので、この異常高圧を解消することができない。このような異常高圧が発生した場合に実施例のリリーフ弁機構100が安全弁として機能する。
プランジャ2の動きにより加圧室11の容積が増加を始めると容積増加に伴って加圧室11内の圧力は減少し、リリーフ弁機構100の入口すなわち吐出流路110の圧力が、リリーフ弁102の出口すなわち加圧室11の圧力よりもリリーフ弁機構100の開弁圧力以上に高くなると開弁し、コモンレール23内で異常高圧となった燃料を加圧室11内に戻す。これにより、異常高圧発生時でも規定の圧力以上にはならず、コモンレール23等の高圧配管系の保護がなされる。
本実施例のシリンダ構造について詳しく説明する。
シリンダ6は、その外径において大径部6bと小径部6cを有する。小径部6cがポンプ本体1に圧入され、小径部6cに作用する周方向の面圧により吸入通路10bと加圧室11aの圧力を保持する。
具体的には吸入通路10bの圧力は、フィードポンプ21により高圧ポンプに供給される低圧側燃料圧力であり、およそ0.4MPa程度である。一方、加圧室11に生じる圧力は、高圧ポンプで加圧された圧力で、瞬間的な圧力はおよそ30〜50MPa程度になる。この加圧された燃料が加圧室11からシリンダ6の側面に明けられた複数個の連通穴11aを通り、吐出弁機構8(図3及び図4を参照)を通り燃料吐出口12を通り、コモンレール23に供給される。小径部6cの圧入代は、この加圧圧力により燃料が吸入通路10bに漏れることの無いように設定される。
一方、大径部6bとポンプ本体1の内径には空隙を有する。これは、ポンプ動作時の発熱によるシリンダ6及びポンプ本体1の線膨張を吸収するためである。
プランジャ2の圧縮工程時(図1の上方にプランジャが変位するとき)、燃料は加圧室11で加圧され、その加圧力はシリンダ6の内径底面に作用し、その結果、大径部6bと小径部6cの段差6aがポンプ本体1に面圧着する。加圧された燃料がシールホルダ7とシリンダ下端で形成される空間(以下副圧室と呼ぶ)に漏れが無きようにシールする。
この副圧室は吸入通路10bに連通しており、その圧力は低圧側燃料圧力の値に等しい。プランジャ2の圧縮工程時に加圧された燃料圧力が面圧着部に作用するが、このときにシリンダ6の有底部は加圧力を受け、その力は面圧着部をより密着させる漏れを回避する方向に作用する。
高圧ポンプの構造において動作工程中、最も大きな力が作用する圧縮工程中に、シリンダ6がカム5により発生する横力方向分力により動き、その結果プランジャ2とシリンダ6間の摩擦力が過大となりプランジャ焼き付きが発生する恐れがある。
本実施例においては、上記説明のように圧縮工程中にシリンダ6の動きを規制するようリング16がポンプ本体1とシリンダ6の空隙を無くする様に構成されている。
一方、吸入工程時(図1の下方にプランジャ2が変位するとき)、シリンダ6には、吸入通路10bの低圧側燃料圧力による力がシリンダ6をポンプ本体1から離脱させる作用する。前述のように低圧側圧力は0.4MPa程度であり、ここで小径部6cの直径を例えば13mmとすると、シリンダ6に作用する離脱力は53N程度であり小径部6cとポンプ本体1の圧入力で保持可能な値である。
図5(a)は、実施例1のリング16周辺の第2実施例に係る拡大図である。リング16はポンプ本体1にメタルフロー(塑性流動結合)1dで固定される。
ポンプ本体1にシリンダ6を組み込み時に所望の押し付け荷重を得る様にリング16を与圧しつつポンプ本体1に組み込んだ後にリングをメタルフローでリング16をポンプ本体1に固定するものである。
図5(b)は、実施例1のリング16周辺の第3実施例に係る拡大図である。リング16をかしめ1fでリング16をポンプ本体1に固定する事も可能である。
1…ポンプ本体、1b…筒状ボス部、1C…筒状貫通口、1d…メタルフロー、1e…フランジ、1f…かしめ、2…プランジャ、3…タペット、4…ばね、5…カム、6…シリンダ、6a…段差、6b…大径部、6c…小径部、7…シールホルダ、8…吐出弁機構、8a…吐出弁シート、8b…吐出弁、8c…吐出弁ばね、9…圧力脈動低減機構、9a…金属ダンパ、9b…取り付け金具、10…低圧燃料室、10a…吸入ジョイント、10b…吸入通路、11…加圧室、11a…連通穴、12…燃料吐出口、13…プランジャシール、14…ダンパカバー、15…リテーナ、16…リング、17…封止プラグ、20…燃料タンク、21…フィードポンプ、23…コモンレール、24…直噴インジェクタ、26…圧力センサ、27…エンジンコントロールユニット、28…吸入配管、30…電磁吸入弁、30a…吸入ポート、30d…吸入口、33…吐出弁ばね、41…シリンダヘッド、61…Oリング、100…リリーフ弁機構、101…リリーフ弁シート、102…リリーフ弁、103…リリーフシート、104…リリーフばねストッパ、105…リリーフばね、110…吐出流路、122…燃料フィルタ、301…吸入弁体、302…アンカーロッド、302a…ストッパ、302b…接触部、303…アンカーばね、304…弁ばね、305…アンカー、306…固定子、307…端子、308…電磁コイル、309…アンカーロッド軸受、310…吸入弁シート
Claims (3)
- ポンプ本体と、
有底筒型形状かつ大径部と小径部を有しかつ当該小径部が前記ポンプ本体に支持されるシリンダと、
前記ポンプ本体に固定されるリングと、を備え、
前記シリンダは、前記小径部と前記大径部が形成する段差においてプランジャ圧縮方向に面圧着し燃料をシールし、
前記リングは、前記シリンダの面圧着部に予圧力を付加しかつ前記シリンダの直径方向を規制する高圧燃料供給ポンプ。 - 請求項1に記載された高圧燃料供給ポンプであって、
前記リングは、前記ポンプ本体にかしめにより固定される高圧燃料供給ポンプ。 - 請求項1に記載された高圧燃料供給ポンプであって、
前記リングは、当該リングの一部が塑性変形して前記ポンプ本体の一部に嵌め合わされる高圧燃料供給ポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017146047A JP2019027334A (ja) | 2017-07-28 | 2017-07-28 | 高圧燃料供給ポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017146047A JP2019027334A (ja) | 2017-07-28 | 2017-07-28 | 高圧燃料供給ポンプ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2019027334A true JP2019027334A (ja) | 2019-02-21 |
Family
ID=65477952
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2017146047A Pending JP2019027334A (ja) | 2017-07-28 | 2017-07-28 | 高圧燃料供給ポンプ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2019027334A (ja) |
-
2017
- 2017-07-28 JP JP2017146047A patent/JP2019027334A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170731 |