以下の記述において、様々な実施形態に対する完全な理解を可能にするために、ある特定の詳細が記載される。しかし、当業者であれば、本発明がこれらの詳細を用いずに実施されてもよいことを理解すると思われる。他の例では、実施形態の記述を不必要に曖昧にするのを避けるため、周知の構造は図示も説明もされていない。文脈により別の必要性がない限り、本明細書およびそれに続く特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という単語ならびに「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」などのその変形は、オープンで包括的な意味、すなわち、「〜を含むがこれらに限定されない」として解釈されるべきである。さらに、本願において記載される表題は便宜的なものにすぎず、特許請求される発明の範囲または意味を説明するものではない。
本明細書全体にわたり、「一実施形態」または「実施形態」に対する言及は、その実施形態と関連して記載される特定の特徴、構造または特質が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、「一実施形態では」または「実施形態では」という語句の本明細書全体にわたる様々な場所での登場は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているのではない。さらに、特定の特徴、構造、または特質は、1つ以上の実施形態において任意の好適な様式で組み合わされてもよい。また、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈により明確に別の指示がなされない限り、複数の指示物を包含する。また、「または」という用語が、文脈により明確に別の指示がなされない限り、一般に「および/または」を含めたその意味で用いられる点にも留意すべきである。
[定義]
本願において使用される場合、そして、文脈により明確に別の指示がなされない限り、以下の用語は、以下で特定される意味を有する。
「酸飽和二次相」とは、酸を二次相または担体流体中に移行させるのに十分な条件下で、酸が二次相または担体流体中に、それ以上吸収される、組み合わせられる、または添加されることができない状態になるまで酸と接触させられた、二次相または担体流体を指す。
「炭素材料」とは、炭素から実質的になる(例えば、重量基準で90%超、95%超、99%超または99.9%超)材料または物質を指す。炭素材料には、アモルファスおよび結晶性炭素材料に加えて、超高純度炭素材料が含まれる。一部の炭素材料は、以下でより詳細に記載されるように、機器性能を改変させる(例えば、向上させる)ために、電気化学改変剤(例えばSiまたはN)を含んでいてもよい。炭素材料の例には、活性炭、熱分解乾燥ポリマゲル、熱分解ポリマクリオゲル、熱分解ポリマキセロゲル、熱分解ポリマエアロゲル、活性化乾燥ポリマゲル、活性化ポリマクリオゲル、活性化ポリマキセロゲル、活性化ポリマエアロゲル等が含まれるが、これらに限定されない。
「電気化学改変剤(electrochemical modifier)」とは、炭素材料の電気化学性能を改変させる(例えば、向上させるまたは低下させる)、任意の化学元素、化学元素を含む化合物、または異なる化学元素および化合物の任意の組合せを指す。電気化学改変剤は、炭素材料の抵抗、容量、電力性能、安定性および他の特性を変化させる(増加または低下させる)ことができる。電気化学改変剤は、一般に、所望の電気化学効果を付与する。対照的に、炭素材料中の不純物は、一般に望ましくなく、炭素材料の電気化学性能を向上させるのではなく、低下させる傾向がある。本開示の状況における電気化学改変剤の例には、周期表の12〜15族の元素、ならびに周期表の12〜15族の元素を含む化合物または酸化物、硫黄、タングステンおよび銀などの他の元素、ならびにこれらの組合せまたは混合物が含まれ得るが、これらに限定されない。例えば、電気化学改変剤には、鉛、スズ、アンチモン、ビスマス、ヒ素、タングステン、銀、亜鉛、カドミウム、インジウム、ケイ素、これらの組合せ、またはこれらの混合物、ならびにこれらの酸化物およびこれらを含む化合物が含まれ得るが、これらに限定されない。
「12族」元素には、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)、およびコペルニシウム(Cn)が含まれる。
「13族」元素には、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)およびタリウム(Tl)が含まれる。
「14族」元素には、炭素(C)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)および鉛(Pb)が含まれる。
「15族」元素には、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)およびビスマス(Bi)が含まれる。
「アモルファス」とは、構成要素である原子、分子、またはイオンが、規則的な反復パターンを有さずランダムに配置されている材料、例えば、アモルファス炭素材料を指す。アモルファス材料は、幾分の局在化した結晶性(すなわち、規則性)を有していてもよいが、原子の位置の長距離秩序を欠く。熱分解炭素材料および/または活性炭材料は、一般にアモルファスである。
「結晶性」とは、構成要素である原子、分子、またはイオンが、秩序立った反復パターンで配置されている材料を指す。結晶性炭素材料の例には、ダイヤモンドおよびグラフェンが含まれるが、これらに限定されない。
「合成」とは、天然源由来ではなく、化学的手段によって調製された物質を指す。例えば、合成炭素材料は、前駆体材料から合成され、天然源から単離されない炭素材料である。
「不純物」または「不純物元素」とは、基礎となる材料の化学組成と異なる、意図せずして添加された、基礎となる材料中における外来物質(例えば、化学元素)を指す。例えば、炭素材料中の不純物とは、炭素材料中に存在する、炭素以外の任意の元素または炭素以外の元素の組合せを指す。不純物レベルは、典型的には、百万分率(ppm)で表現される。
「PIXE不純物」または「PIXE元素」は、11から92まで(すなわち、ナトリウムからウランまで)の範囲の原子番号を有する、任意の不純物元素である。「総PIXE不純物含有量」および「総PIXE不純物レベル」という語句は、いずれも、試料、例えば、ポリマゲルまたは炭素材料中に存在するすべてのPIXE不純物の合計を指す。PIXE不純物の濃度および種類(identity)は、光子誘起X線放出(PIXE)によって決定することができる。
「超高純度」とは、0.050%未満の総PIXE不純物含有量を有する物質を指す。例えば、「超高純度炭素材料」は、0.050%(すなわち、500ppm)未満の総PIXE不純物含有量を有する炭素材料である。
「灰分含有量」とは、物質を高温の分解温度に供した後に残存する、非揮発性無機物を指す。本願において、炭素材料の灰分含有量は、非揮発性元素が予測される燃焼生成物(すなわち、酸化物)に完全に変換されると仮定して、光子誘起X線放出によって測定した場合の総PIXE不純物含有量から計算される。
「ポリマ」とは、1つ以上の構造反復単位からなる巨大分子を指す。
「合成ポリマ前駆体材料」または「ポリマ前駆体」とは、合成ポリマの調製において使用される化合物を指す。ポリマ前駆体は、一般に、他の化合物と組み合わせて(すなわち、反応させて)、ポリマ、例えば、縮合ポリマを形成することができる化合物である。ポリマ前駆体には、モノマおよび部分的に重合したモノマ(すなわち、ダイマー、オリゴマ等)が含まれる。一般に、ポリマ前駆体は、芳香族もしくは脂肪族アルコールまたはアミンおよびカルボニル含有化合物(例えば、カルボン酸、ケトン、アルデヒド、イソシアネート、尿素、アミド、酸ハロゲン化物、エステル、活性化カルボニル含有化合物等)から選択される。本願において開示される調製のある特定の実施形態において使用することができるポリマ前駆体の例には、アルデヒド(すなわち、HC(=O)R[式中、Rは、有機基である])、例えば、メタナール(ホルムアルデヒド);エタナール(アセトアルデヒド);プロパナール(プロピオンアルデヒド);ブタナール(ブチルアルデヒド);フルフラール(フルフルアルデヒド)、グルコース、ベンズアルデヒド、およびシンナムアルデヒドなどが含まれ得るが、これらに限定されない。他の例示的なポリマ前駆体には、フェノールならびにジヒドロキシベンゼンまたはトリヒドロキシベンゼンなど、例えば、レゾルシノール(すなわち、1,3−ジヒドロキシベンゼン)、カテコール、ヒドロキノン、およびフロログルシノールなどのポリヒドロキシベンゼンなどのフェノール性化合物が含まれるが、これらに限定されない。メラミンなどのアミンおよび/または尿素も使用してもよい。2つ以上のポリヒドロキシベンゼンの混合物もまた、ポリマ前駆体の意味に含まれることが想定されている。
「縮合ポリマ」は、1つ以上のポリマ前駆体の反応から小分子(例えば、水)を取り除くことによって生じるポリマである。例示的な縮合ポリマには、アルコールまたはアミンとカルボニル含有化合物との反応から形成されるポリマが含まれるが、これらに限定されない。
「モノリシック(monolithic)」とは、本質的に粒子状でない、固体の三次元構造を指す。
「ゾル」とは、前駆体粒子(例えば、ポリマ前駆体)のコロイド状懸濁液を指し、「ゲル」という用語は、前駆体粒子の縮合または反応によって得られる、湿潤した三次元多孔質網目状構造を指す。
「ポリマゲル」とは、網目状構造成分がポリマであるゲルを指し、一般にポリマゲルは、合成前駆体またはポリマ前駆体から形成されたポリマからなる、湿潤した(水系または非水系)三次元構造である。
「ゾルゲル」とは、ポリマが、ポリマ前駆体の反応によって得られる湿潤した三次元多孔質網目状構造を形成するコロイド状懸濁液である、ポリマゲルのサブクラスを指す。
「ポリマヒドロゲル」または「ヒドロゲル」とは、合成前駆体またはモノマのための溶媒が、水または水と1つ以上の水混和性溶媒との混合物である、ポリマゲルまたはゲルのサブクラスを指す。
「RFポリマヒドロゲル」とは、ポリマが、水または水と1つ以上の水混和性溶媒との混合物中におけるレゾルシノールとホルムアルデヒドとの触媒反応によって形成された、ポリマゲルのサブクラスを指す。
「連続相」とは、重合成分(すなわち、ポリマ前駆体、触媒、酸等)が溶解、懸濁および/または乳化させられる液相を指す。連続相は、親水性であっても疎水性であってもよく、様々な粘度を有していていもよい。2つ以上の異なる連続相の混合物もまた想定されている。数多くの異なる液体(例えば、溶媒)を、本願においてより詳細に記載される本発明の状況において用いてもよい。
「酸」とは、溶液のpHを低下させることが可能な任意の物質を指す。酸には、アレニウス酸、ブレンステッド酸およびルイス酸が含まれる。「固体酸」とは、溶媒中に溶解させたときに酸性溶液を生ずる、乾燥または顆粒状化合物を指す。「酸性」という用語は、酸の特性を有することを意味する。
「塩基」とは、溶液のpHを上昇させることが可能な任意の物質を指す。塩基には、アレニウス塩基、ブレンステッド塩基およびルイス塩基が含まれる。「固体塩基」とは、溶媒中に溶解させたときに塩基性溶液を生ずる、乾燥または顆粒状化合物を指す。「塩基性」という用語は、塩基の特性を有することを意味する。
「混合溶媒系」とは、2つ以上の溶媒、例えば、2つ以上の混和性溶媒からなる溶媒系を指す。二元溶媒系(すなわち、2つの溶媒を含有する混合溶媒)の例には、水と酢酸;水とギ酸;水とプロピオン酸;および水と酪酸等が含まれるが、これらに限定されない。三元溶媒系(すなわち、3つの溶媒を含有する)には、水と酢酸とエタノール;水と酢酸とアセトン;水と酢酸とギ酸;水と酢酸とプロピオン酸等が含まれるが、これらに限定されない。本発明は、2つ以上の溶媒を含むすべての混合溶媒系を想定している。
「混和性」とは、混合物がある特定の温度、圧力、および組成の範囲にわたって単一の相を形成する、混合物の特性を指す。
「触媒」とは、化学反応の速度を変化させる物質である。触媒は、触媒が周期的に再生されるような周期的様式で反応に関与する。本開示は、ナトリウムを含有しない触媒を想定している。本願において記載されるポリマゲル(例えば、超高純度ポリマゲル)の調製において使用される触媒は、ポリマ前駆体の重合を促進して超高純度ポリマゲルを形成させる、任意の化合物とすることができる。「揮発性触媒」は、大気圧以下で気化する傾向を有する触媒である。例示的な揮発性触媒には、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、およびこれらの組合せなどのアンモニウム塩が含まれるが、これらに限定されない。
「溶媒」とは、反応物質(例えば、超高純度ポリマ前駆体)を溶解または懸濁させ、反応が生じ得る媒体となる物質を指す。本願において開示されるゲル、超高純度ポリマゲル、超高純度合成炭素材料および超高純度合成アモルファス炭素材料の調製において有用な溶媒の例には、水、アルコールおよびこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。例示的なアルコールには、エタノール、t−ブタノール、メタノールおよびこれらの混合物が含まれる。このような溶媒は、合成超高純度ポリマ前駆体材料の溶解、例えば、フェノール性化合物またはアルデヒド化合物の溶解にとって有用である。加えて、一部の工程では、このような溶媒は、ポリマヒドロゲル中での溶媒交換(凍結および乾燥の前の)のために用いられ、この場合、前駆体、例えば、レゾルシノールとホルムアルデヒドとの重合に由来する溶媒が、純粋なアルコールと交換される。本出願の一実施形態では、溶媒交換を含まない工程によってクリオゲルが調製される。「パーセント固形物」とは、系に添加されるポリマ形成剤(例えば、レゾルシノール、フェノール、ホルムアルデヒド、尿素等)の総量を、モノマ形成剤と液体(例えば、水、酢酸等)との総量で除したものを指す。この計算には、いずれの触媒もそれ以外のものも含まれない。
「添加された水」とは、系に独立に添加された(予備混合物または主溶液の一部分のいずれかとして)水を指し、所定のモノマを形成するために不可欠な水はまったく含まない。
「乾燥ゲル」または「乾燥ポリマゲル」とは、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥、溶媒抽出などの当技術において公知の方法により、溶媒、一般的には水、または水と1つ以上の水混和性溶媒との混合物が実質的に除去された、ゲルまたはポリマゲルをそれぞれ指す。
「熱分解乾燥ポリマゲル」とは、熱分解されたがまだ活性化されていない乾燥ポリマゲルを指し、一方、「活性化乾燥ポリマゲル」とは、活性化された乾燥ポリマゲルを指す。
「クリオゲル(cryogel)」とは、凍結乾燥によって乾燥させられた乾燥ゲルを指す。
「RFクリオゲル」とは、ゲルがレゾルシノールとホルムアルデヒドとの触媒反応から形成された、凍結乾燥によって乾燥させられた乾燥ゲルを指す。
「熱分解クリオゲル」は、熱分解されたがまだ活性化されていないクリオゲルである。
「活性化クリオゲル」は、活性炭材料を得るために活性化されたクリオゲルである。
「キセロゲル(xerogel)」とは、例えば、大気圧以下で空気乾燥によって乾燥させられた乾燥ゲルを指す。
「熱分解キセロゲル」は、熱分解されたがまだ活性化されていないキセロゲルである。
「活性化キセロゲル」は、活性炭材料を得るために活性化されたキセロゲルである。
「エアロゲル(aerogel)」とは、例えば、超臨界二酸化炭素を使用した超臨界乾燥によって乾燥させられた乾燥ゲルを指す。
「熱分解エアロゲル」は、熱分解されたがまだ活性化されていないエアロゲルである。
「活性化エアロゲル」は、活性炭材料を得るために活性化されたエアロゲルである。
「有機抽出溶媒」とは、ポリマ前駆体の重合が開始した後、一般には、ポリマヒドロゲルの重合が完了した後、ポリマヒドロゲルに添加される有機溶媒を指す。
「高速多方向凍結(rapid multi−directional freezing)」とは、モノリシックなポリマゲルからポリマゲル粒子を作り出し、前記ポリマゲル粒子を好適に低温である媒体に供することによる、ポリマゲルを凍結させる工程を指す。低温である媒体は、例えば、液体窒素、窒素ガス、または固体二酸化炭素とすることができる。高速多方向凍結中は、氷の核生成が氷の結晶成長を支配する。好適に低温である媒体は、例えば、約−10℃未満の温度を有する気体、液体、または固体であり得る。あるいは、好適に低温である媒体は、約−20℃未満の温度を有する気体、液体、または固体であり得る。あるいは、好適に低温である媒体は、約−30℃未満の温度を有する気体、液体、または固体であり得る。
「活性化させる」および「活性化」とは、それぞれ、原材料または炭化/熱分解された物質を、酸化雰囲気(例えば、二酸化炭素、酸素、蒸気またはこれらの組合せ)への曝露中に活性化滞留温度で加熱することで、「活性化された」物質(例えば、活性化クリオゲルまたは活性炭材料)を生成する工程を指す。活性化工程は、一般に、粒子の表面を剥ぎ取り、表面積の増加をもたらす。あるいは、活性化は、化学的な手段、例えば、炭素含有前駆体材料に、リン酸などの酸または水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの塩基、または塩化亜鉛などの塩などの化学物質を含浸し、その後炭化することによってなすことができる。「活性化された」とは活性化工程を受けた材料または物質、例えば、炭素材料を指す。
「炭化させる(carbonizing)」、「熱分解させる(pyrolyzing)」、「炭化(carbonization)」および「熱分解(pyrolysis)」とは、それぞれ、炭素含有物質を、工程の最後で回収される標的材料が主に炭素となるように、不活性雰囲気(例えば、アルゴン、窒素またはこれらの組合せ)または真空中において、熱分解滞留温度で加熱する工程を指す。「熱分解された」とは、熱分解工程を受けた材料または物質、例えば、炭素材料を指す。
「滞留温度(dwell temperature)」とは、相対的に一定の温度を維持する(すなわち、温度を上昇させることも低下させることもしない)ために確保されている工程の一部における、炉の温度を指す。例えば、熱分解滞留温度とは、熱分解中における、炉の相対的に一定の温度を指し、活性化滞留温度とは、活性化中における、炉の相対的に一定の温度を指す。
「細孔」とは、例えば、活性炭、熱分解乾燥ポリマゲル、熱分解ポリマクリオゲル、熱分解ポリマキセロゲル、熱分解ポリマエアロゲル、活性化乾燥ポリマゲル、活性化ポリマクリオゲル、活性化ポリマキセロゲル、活性化ポリマエアロゲルなどの炭素材料における、表面の開口もしくは陥没、またはトンネルを指す。細孔は、単一のトンネルであってもよく、構造全体にわたる連続的網目状構造において他のトンネルと連結していてもよい。
「細孔構造」とは、活性炭材料などの炭素材料中における、内部細孔の表面の構成を指す。細孔構造の構成要素には、細孔サイズ、細孔体積、表面積、密度、細孔サイズ分布および細孔長さが含まれる。一般に、活性炭材料の細孔構造は、ミクロ細孔およびメソ細孔を含む。例えば、ある特定の実施形態では、ミクロ細孔のメソ細孔に対する比は、電気化学性能の向上のために最適化される。
「メソ細孔」とは、一般に、2ナノメートルから50ナノメートルまでの範囲の直径を有する細孔を指し、一方、「ミクロ細孔」という用語は、2ナノメートル未満の直径を有する細孔を指す。
「表面積」とは、BET技法によって測定可能な、物質の総比表面積を指す。表面積は、典型的には、m2/gの単位で表現される。BET(Brunauer/Emmett/Teller)技法は、不活性ガス、例えば窒素を用いて材料上に吸着された気体の量を測定するものであり、当技術においては、材料の露出面積(accessible surface area)を決定するために一般的に使用される。
メソ細孔およびミクロ細孔に言及する際に使用される場合、「連結された」とは、このような細孔の空間的な方向性を指す。
「有効長さ(effective length)」とは、塩イオンを電解質から受容することが可能であるような十分な直径を有する細孔の、長さの一部分を指す。
「電極」とは、それによって電気が物体、物質または領域を出入りする、導体を指す。
「結合剤」とは、結合剤と粒子とを一緒に混合した後で、得られた混合物をシート、ペレット、円盤または他の形状に成形することができるように、物質(例えば、炭素材料)の個々の粒子を保持することが可能な材料を指す。ある特定の実施形態では、電極は、開示される炭素材料および結合剤を含んでいてもよい。結合剤の非排他的な例には、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン、Teflon(登録商標))、PFA(ペルフルオロアルコキシポリマ樹脂、Teflon(登録商標)としても知られる)、FEP(フッ化エチレンプロピレン、Teflon(登録商標)としても知られる)、ETFE(ポリエチレンテトラフルオロエチレン、TefzelおよびFluonとして販売されている)、PVF(ポリフッ化ビニル、Tedlarとして販売されている)、ECTFE(ポリエチレンクロロトリフルオロエチレン、Halarとして販売されている)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン、Kynarとして販売されている)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン、Kel−FおよびCTFEとして販売されている)、トリフルオロエタノール、これらの組合せ、およびこれらの混合物などのフルオロポリマが含まれる。
「不活性」とは、電気エネルギ貯蔵機器の電解質中において活性でない材料を指し、すなわち、この材料は、顕著な量のイオンを吸収せず、化学的に変化、例えば、劣化もしない。
「導電性」とは、緩く保持された価電子の伝達によって電子を伝導する、材料の能力を指す。
「集電体」とは、電気的接続をもたらすことで機器を出入りする電気の流れを促進する、電気エネルギの貯蔵および/または分配機器の部品を指す。集電体は、多くの場合、金属および/または他の導電性材料を含み、電極を出入りする電気の流れを促進するために、電極の下地として使用され得る。
「電解質」とは、物質が電気的に導電性となるような、遊離イオンを含有する物質を意味する。電解質は、電気エネルギの貯蔵機器において一般的に用いられる。電解質の例には、TEA TFB(テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム)、MTEATFB(テトラフルオロホウ酸メチルトリエチルアンモニウム)などのテトラアルキルアンモニウム塩、EMITFB(テトラフルオロホウ酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム)、テトラエチルアンモニウムに基づく塩、トリエチルアンモニウムに基づく塩、またはこれらの混合物などの溶質と組み合わせた、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸メチルエチル、炭酸ジエチル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、またはこれらの混合物などの溶媒が含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、電解質は、弱い水性硫酸または水性水酸化カリウムなどの、水性酸または水性塩基の電解質とすることができる。
「アミン」は、−NH2などの、窒素原子を含む化合物である。
「アルコール」は、−OH部分を含む化合物である。
「カルボニル」は、酸素に二重結合した炭素(C=O)を含む化合物である。
「フェノール類」とは、1つ以上のアルコール部分が結合した芳香族環(例えば、ベンゼン)を指す。フェノールとレゾルシノールはいずれも「フェノール類」である。
「多価アルコール」とは、1つより多くのアルコール部分を有する任意の化合物を指す。
「糖」は、グルコース、フルクトース、ラクトースなどの多価アルコールである。
「アルキルアミン」とは、アミン部分を含むアルキル基(すなわち、飽和または不飽和の、任意選択で置換された炭化水素化合物)を指す(例えば、メチルアミン等)。
「芳香族アミン」とは、アミン基を含む芳香族基(すなわち、ベンゼンなどの、共役されたπ結合の環状列を有する環状の不飽和炭化水素)を指す(例えば、アニリン等)。
「アルデヒド」は、−C(=O)H部分を含む化合物である。
「ケトン」は、−C(=O)−部分を含む化合物である。
「カルボン酸」は、−C(=O)OH部分を含む化合物である。
「エステル」は、−C(=O)O−部分を含む化合物である。
「酸ハロゲン化物」は、−C(=O)X部分[式中、Xは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素またはアスタチンである]を含む任意の化合物である。
「イソシアネート」とは、−N=C=O部分を含む化合物である。
「担体流体」とは、懸濁液流体、溶媒、希釈剤、分散流体、エマルジョン流体、ならびに/または懸濁液および/もしくはエマルジョンの連続相を指し得る。1つ以上の実施形態では、「連続相」という用語は、「担体流体」と同じ定義を有する。1つ以上の実施形態では、担体流体という用語は、「連続相」と同じ定義を有する。1つ以上の実施形態では、「担体流体」という用語は、「溶媒」と同じ定義を有する。1つ以上の実施形態では、「溶媒」という用語は、「担体流体」と同じ定義を有する。
「懸濁液工程」、「懸濁液重合工程」、「分散工程」、および「分散重合工程」は互換的に使用され、反応物質混合物を、炭化水素および/または水などの担体または「連続相」流体中で混合するが、反応物質混合物相と担体または連続相流体とが混和性でない、不均一重合工程を指す。一部の実施形態では、反応物質混合物を、担体流体または連続相中に液滴として懸濁液または分散させることができ、ここで、モノマ成分が重合してポリマの粒子を形成する、および/または硬化してポリマの硬化粒子を形成する。一部の実施形態では、反応混合物をかき混ぜる(agitate)ことができる。一部の実施形態では、反応混合物をかき混ぜない。
「エマルジョン工程」および「エマルジョン重合工程」とは、「通常の」エマルジョンと「逆」エマルジョンの両方を指す。エマルジョンは、1つ以上の側面において懸濁液と異なる。1つの違いは、エマルジョンは通常、エマルジョン(非常に小さいサイズの液滴)を作り出すまたは形成する、界面活性剤の使用を伴う。担体または連続相流体が水などの親水性流体であり、反応物質混合物相が疎水性化合物である場合、担体または連続相流体中でモノマの液滴が界面活性剤の補助によって乳化した、通常のエマルジョン(例えば、水中油型)が形成される。モノマは、これらの小さいサイズの液滴中で反応する。これらの液滴は、各粒子が界面活性剤に取り囲まれ、界面活性剤上の電荷が静電的に他の粒子を反発することにより、粒子が互いに凝集することが妨げられるため、典型的にはサイズが小さい。一方、懸濁液重合は、通常、エマルジョン重合によって作製されるよりもはるかに大きい粒子を作り出す。担体または連続相流体が油などの疎水性流体であり、反応物質混合物相が親水性化合物である場合、逆エマルジョン(例えば、油中水型)が形成される。
本願において使用される場合、「懸濁液および/またはエマルジョン工程」および「懸濁液および/またはエマルジョン重合」という用語は、慣例的な重合に限定されない、または必ずしもそれを指すとは限らない。そうではなく、「懸濁液および/またはエマルジョン工程」および「懸濁液および/またはエマルジョン重合」という用語は、硬化工程または慣例的な重合と硬化工程との組合せを指し得るが、必ずしもそれを指すとは限らない。本願において論じられ記載されるように、1つ以上の実施形態では、モノマ成分は、単独のモノマ混合物に加え、またはその代わりに、プレポリマおよび/またはポリマであってもよく、それらを含んでいてもよい。硬化工程とは、モノマ混合物の重合と比較して、ポリマをさらに架橋させることまたは固化させることを指す。したがって、プレポリマが存在する場合、懸濁液/エマルジョン工程は、重合に加え、またはその代わりに、硬化工程を含むこともできる。本願において使用される場合、「硬化させる」という用語は、ポリマ鎖の架橋度を増加させることにより、ポリマを堅固にするまたは固化させることを指す。架橋とは、例えば、共有結合性化学反応、イオン性の相互作用もしくはクラスター形成、相変化もしくは相反転、および/または水素結合による、プレポリマおよび/またはポリマ中で発生する構造的および/または形態的変化を指す。
本願において使用される場合、「ゲル形態のポリマ微粒子」および「ゲル形態のポリマ粒子」という用語は互換的に使用され、1つ以上の細孔または空隙をその中に有し、その1つ以上の細孔または空隙を、液体が少なくとも部分的に占めるか、または充填している、ポリマ鎖の網目状構造を指す。本願において使用される場合、「乾燥ポリマ微粒子」および「乾燥ポリマ粒子」という用語は互換的に使用され、1つ以上の細孔または空隙をその中に有し、その1つ以上の細孔または空隙を、気体が少なくとも部分的に占めるか、または充填している、ポリマ鎖の網目状構造を指す。空隙を少なくとも部分的に占めるかまたは充填している液体が水である場合、ポリマ粒子を、「ヒドロゲルポリマ粒子」と称することができる。
「モノマ成分」には、1つ以上のフェノール性化合物および/もしくは1つ以上の架橋性化合物;ならびに/またはプレポリマが含まれ得るが、これらに限定されない。フェノール性化合物がそれ自体と重合および架橋することができる場合、架橋性化合物の使用は任意選択とすることができる。別の例では、フェノール性化合物と架橋性化合物のすべてまたは一部分とを互いに重合させて、ゲル形態のポリマ粒子を形成することができる。別の例では、フェノール性化合物と架橋性化合物とを互いに反応または架橋させて、ゲル形態のポリマ粒子を生成することができる。別の例では、フェノール性化合物と架橋性化合物とを互いに重合および/または互いに架橋させて、ゲル形態のポリマ粒子を生成することができる。
1つ以上の実施形態では、「ポリマ相」という用語は、本願において定義された「モノマ成分」という用語と同じものを意味する。1つ以上の実施形態では、「ポリマ前駆体」という用語は、本願において定義された「モノマ成分」という用語と同じものを意味する。
本願において使用される場合、「プレポリマ」という用語は、1つ以上のフェノール性化合物と1つ以上の架橋性化合物とが反応したモノマ化合物;ならびに/または1つ以上のフェノール性化合物および/もしくは1つ以上の架橋性化合物を重合させることによって形成されたポリマ(ポリマが液体形態であり続ける場合に限る)を指す。
「反応物質混合物(reactant mixture)」は、本願において記載される方法による重合を達成する成分を含む。反応物質混合物の成分、例えば、モノマ成分、触媒、および担体流体を、任意の順番または順序で、互いに組み合わせることができる。例えば、モノマ成分を担体流体に添加することもでき、担体流体をモノマ成分に添加することもでき、モノマ成分と担体流体とを同時に互いに組み合わせることもできる。次いで、触媒をモノマ成分と担体流体との混合物に添加することができる。
本願において使用される場合、「粒度」とは、個々の粒子の目視による計数および測定か、または懸濁液流体中における粒子のレーザー光散乱のいずれかによって測定された場合の、体積平均粒度(Dv,50)を指す。体積平均粒度は、直径が0.1mm超の粒子に対して、デジタルカメラおよびImageJフリーウェアを使用した画像キャプチャーを行うことによって決定される。0.1mm未満の粒度は、水中の希薄分散液を用いて、Malvern MASTERSIZER(登録商標)3000を使用し、光散乱によって決定される。0.1mm未満の試料を、推奨される不明瞭度レベルが得られるまで、Malvern分析装置に添加する。
本願において使用される場合、「スパン(span)」は、((Dv,90)−(Dv,10))/(Dv,50)として定義され、式中、Dv,10およびDv,50およびDv,90は、それぞれ、サイズ分布の10%、50%および90%において測定された体積粒度であり、ここで粒度分布は、個々の粒子の目視による計数および測定か、または懸濁液流体中における粒子のレーザー光散乱のいずれかによって測定される。
本願において使用される場合、「規格化F/cc」または「最大理論F/cc」は、炭素粒子の見かけの体積(envelope volume)(炭素の骨格体積と炭素の細孔体積との和)当たりで表現される静電容量として定義される(ただし、この見かけの体積は、いずれの粒子間体積をも含まない)。
本願において使用される場合、「CMC」は臨界ミセル濃度であり、その濃度を上回ると界面活性剤がミセルを形成し、系に添加されるさらなる界面活性剤のすべてがミセル化する濃度として定義される。
本願において使用される場合、「半金属イオン」は、伝導帯の底部と価電子帯の頂部との間に非常に小さい重なりを有する元素からなる、任意のイオンとして定義される。例示的な半金属イオンには、ヒ素、アンチモン、ビスマス、モリブデンおよびウランが含まれるが、これらに限定されない。
本願において使用される場合、「ゲラメータ(gerameter)」または「GM」という用語は、炭素試料の、相対的なミクロ多孔度、メソ多孔度およびマクロ多孔度の測定値である。ゲラメータまたはGMは、以下の等式:GM=[BET比表面積(m2/g)]/[100*細孔体積(Pore Volume:PV)(cc/g)]に従って計算され、式中、PVは、P/Po=0.96における、直径530.559Å未満の細孔の一点脱着による総細孔体積(total pore volume)であり、BETは上記で定義された通りであり、Pは圧力であり、Poは飽和圧力である。一般に、GMの単位は報告されない。
本願において使用される場合、「pHabs」または「ユニバーサルpH」(universal pH)または「絶対pH」(absolute pH)は、ヒンメルら、Angewandte Chemie, 49(38):6885-6888, 2010によって定義されている。
[A.ポリマゲルおよび炭素材料の調製]
炭素材料は、慣例的に、ポリマ前駆体を混合し、これらを重合させてポリマモノリスにすることによって作製されている。次いで、モノリスを単離し、小さい粒子になるまで磨砕または粉砕しなければならず、その後、モノリスを熱分解および/または活性化して炭素材料にすることができる。このような手順には、いくつかの欠点がある。例えば、大規模の場合、先に記載されたモノリスの調製は、材料の取扱いにおける顕著な問題ならびに、不均一な重合および/または制御できない発熱反応の可能性を呈する。さらに、典型的な製造装置(例えば、オーブン等)が公知のモノリス前駆体と適合していないなどの他の懸案事項により、これらの手順の規模拡大を困難で経済的に難しいものにしている。
本方法は、これらの限界を克服し、他の多くの改善を示す。炭素材料およびポリマゲルの様々な物理特性および化学特性は、以下の章で記載される通りであり、同時係属中の米国特許出願第12/748,219号;同第12/897,969号;同第12/829,282号;同第13/046,572号;同第12/965,709号;同第13/336,975号;および同第61/585,611号、および同第61/597,121号に開示されている通りであり、これらの各々について、その全体をあらゆる目的のために本願に引用して援用する。
(1.ポリマゲルの調製)
上記で述べたように、本開示の一実施形態は、ポリマゲルおよび炭素材料を調製する方法を提供する。例えば、一実施形態では、本出願は、エマルジョンまたは懸濁液工程によって縮合ポリマゲルを調製する方法であって、
a)連続相と、1つ以上のポリマ前駆体および任意選択の溶媒を含むポリマ相とを含む混合物を調製すること;
b)担体相が酸を含むこと;ならびに
c)1つ以上のポリマ前駆体が互いに反応して縮合ポリマゲルを形成するのに十分な温度および時間で、混合物をエージングすること、
を含む方法を提供する。
別の実施形態では、開示される方法は、乾燥縮合ポリマゲルを調製することを含み、この方法は、縮合ポリマゲルを乾燥させることを含み、縮合ポリマゲルは、
a)連続相と、1つ以上のポリマ前駆体および任意選択の溶媒を含むポリマ相とを含む混合物を調製すること;ならびに
b)担体相が酸を含むこと;ならびに
c)1つ以上のポリマ前駆体が互いに反応して縮合ポリマゲルを形成するのに十分な温度および時間で、混合物をエージングすること、
を含むエマルジョンまたは懸濁液工程によって調製されている。
さらに他の実施形態では、本発明は、縮合ポリマゲル粒子を熱分解させて熱分解炭素材料を得ることを含む、熱分解炭素材料を調製する方法であって、縮合ポリマゲル粒子が、
a)連続相と、1つ以上のポリマ前駆体および任意選択の溶媒を含むポリマ相とを含む混合物を調製すること;ならびに
b)担体相が酸を含むこと;ならびに
c)1つ以上のポリマ前駆体が互いに反応して縮合ポリマゲルを形成するのに十分な温度および時間で、混合物をエージングすること、
を含む工程によって調製されている方法を提供する。
さらに他の実施形態では、本発明は、縮合ポリマゲル粒子に由来する熱分解炭素を活性化させることを含む、活性炭材料を調製する方法であって、縮合ポリマゲル粒子が、
a)連続相と、1つ以上のポリマ前駆体および任意選択の溶媒を含むポリマ相とを含む混合物を調製すること;ならびに
b)担体相が酸を含むこと;ならびに
c)1つ以上のポリマ前駆体が互いに反応して縮合ポリマゲルを形成するのに十分な温度および時間で、混合物をエージングすること、
を含む工程によって調製されている方法を提供する。
酸の二次流体または担体相への導入は、飽和によってなされ得る。理論に束縛されるものではないが、二次流体を酸と接触させることができ、所定の条件で飽和限界まで酸を二次相に移行させることができる。一実施形態では、飽和は、二次流体を過剰な酸に曝露することによってなされる。曝露は、酸の二次流体への移行量が、対象とする系に対する最大許容量と本質的に同じになるまで継続される。この段階は、二次相への酸の取込み速度の低下(本質的にゼロへの)として表現することもできる。例えば、飽和時、二次流体中の酸の増加レベルは10%/min未満である。例えば、飽和時、二次流体中の酸の増加レベルは10%/h未満である。例えば、飽和時、二次流体中の酸の増加レベルは1%/時間未満である。例えば、飽和時、二次流体中の酸の増加レベルは0.1%/時間未満である。例えば、飽和時、二次流体中の酸の増加レベルは0.10%/時間未満である。
一実施形態では、所望の二次相中の所望の酸の飽和レベルは既知であり、この場合、飽和は、規定量の酸を連続相に添加することによって達成される。
一部の実施形態では、二次相は、2つ以上の異なる混和性の溶媒の混合物である。一部の実施形態では、二次相に添加される酸は、2つ以上の酸の混合物からなる。一部の実施形態では、二次相は、2つ以上の異なる混和性の溶媒の混合物であり、二次相に添加される酸は、2つ以上の酸の混合物からなる。この後者の実施形態では、酸による飽和は、各二次相の溶媒に対して個別に(次いでその後、酸で飽和した溶媒を混合して、最終的な二次相を形成する)、または二次相の溶媒を組み合わせた混合物に対して行うことができる。上記の実施形態のすべてにおいて、飽和は、飽和に達するまで二次相の溶媒を酸に曝露することによって、または酸を既知の飽和限界まで二次相の溶媒に直接添加することによってなされ得る。
一部の実施形態では、二次相中における酸の飽和または添加は、室温において実施される。一部の実施形態では、二次相中における酸の飽和または添加は、高温において実施される。一部の実施形態では、二次相中における酸の飽和または添加は、予備反応条件と同じ温度で実施される。一部の実施形態では、二次相中における酸の飽和または添加は、反応条件と同じ温度で実施される。
理論に束縛されるものではないが、二次相または担体相において酸を飽和させることにより、酸がポリマ相に逆移行されるのを最小限ないしゼロにすることができる。ある特定の実施形態では、この同じ現象は、油相中への溶解度が小さいまたは最小限である酸を選択することによってなされ得る。一部の実施形態では、親水性の酸が、疎水性の酸と比較して油相と会合しにくいため、好ましい。親水性の酸の例には、水と水素結合を形成することが可能なさらなる部分を含む酸、例えば、クエン酸、粘液酸、乳酸などのヒドロキシ酸が含まれるが、これらに限定されない。
他の実施形態では、油相を、用いられる酸に対してゼロないし最小限の溶解度をもたらす油相となるように選択することができる。当業者は、所望の組合せを得るために、様々な酸および油をスクリーニングすることができる。
なおさらなる実施形態では、水性ポリマ相のpHabs(または絶対pHまたはユニバーサルpH)と二次相のpHabsとは合致している、例えば、1pH単位以内で合致している、例えば、0.5pH単位以内で合致している、例えば、0.1pH単位以内で合致している、例えば、0.01pH単位以内で合致している。水性相および有機相(すなわち、ポリマ相および二次相)におけるpHabsの測定は、当技術に従ってなされ得る。ある特定の実施形態では、二次油相のpHabsを、水性ポリマ相のpHabs未満に調整する。この後者の実施形態は、プロトン化種を油相から水性相へと移動させる駆動力を与える。理論に束縛されるものではないが、油相のpHabsをより低くすることにより、水性相中のpHを調節する(この実施形態では、低下させる)ことが可能になる。ある特定の実施形態では、油相のpHabsは水性ポリマ相のpHabsより高く、この場合、水性相中のpHを調節する(この実施形態では、上昇させる)ことも可能になる。乳化/懸濁液重合中にポリマ相のpHを調節できることにより、ポリマゲルの細孔形成をさらに調節することが可能になる。これらの実施形態、すなわち、乳化/懸濁中に水性相のpHを調節する新規の方法は、広範な懸濁液/エマルジョン重合工程に適用することができる。
縮合ポリマゲルを乾燥させずに使用してもよく、方法は、縮合ポリマゲルを乾燥させることをさらに含んでいてもよい。上述の方法のある特定の実施形態では、ポリマゲルを凍結乾燥によって乾燥させて、クリオゲルを作り出す。一部の実施形態では、縮合ポリマゲルはミクロ多孔質であってもよく、他の実施形態では、縮合ポリマゲルはメソ多孔質であってもよい。他のある特定の実施形態では、縮合ポリマゲルは、ミクロ多孔質細孔とメソ多孔質細孔との混合物を有する細孔構造を有する。
関連する実施形態では、炭素材料はミクロ多孔質であってもよく、炭素材料はメソ多孔質であってもよい。他の実施形態では、炭素材料は、ミクロ多孔質細孔(例えば、約2nm未満の直径を有する細孔)とメソ多孔質細孔(例えば、約2nmから50nmの間の直径を有する細孔)との混合物を有する細孔構造を有する。
さらに他の実施形態では、炭素材料はマクロ多孔質であってもよい。他の実施形態では、炭素材料は、ミクロ多孔質細孔(例えば、約2nm未満の直径を有する細孔)とマクロ多孔質細孔(例えば、約50nm超の直径を有する細孔)との混合物を有する細孔構造を有する。他の実施形態では、炭素材料は、メソ多孔質細孔(例えば、約2nmから50nmの間の直径を有する細孔)とマクロ多孔質細孔(例えば、約50nm超の直径を有する細孔)との混合物を有する細孔構造を有する。他の実施形態では、炭素材料は、ミクロ多孔質細孔(例えば、約2nm未満の直径を有する細孔)とメソ多孔質細孔(例えば、約2nmから50nmの間の直径を有する細孔)とマクロ多孔質細孔(例えば、約50nm超の直径を有する細孔)との混合物を有する細孔構造を有する。
ミクロ多孔質炭素は、21超のゲラメータまたはGMを有し得る。ある特定の実施形態では、ミクロ多孔質炭素は、22超、23超、または24超のGMを有し得る。少なくとも1つの実施形態では、ミクロ多孔質炭素は、21超、22超、23超、または24超、または25超、または26超のGMを有し得る。
ポリマ相を、1つ以上のポリマ前駆体と任意選択の溶媒とを混合することによって調製してもよく、一部の例では、連続相とポリマ相とを混合することによって反応物質混合物を調製することができる。方法は、混合物がエマルジョンである特定の実施形態を含んでいてもよいが、他の実施形態では、混合物は懸濁液である。
例えば、一部の実施形態では、連続相とポリマ相とは互いに混和性でなく、混合物はエマルジョンである。一方、他の例示的な方法では、連続相とポリマ相とは互いに可溶性でなく、混合物は懸濁液である。他の例では、ポリマ相は、混合物を調製する前にエージングされ、混合物は、連続相とポリマ相とを組み合わせたときにエマルジョンおよび/または懸濁液である。
他の異なる態様では、連続相とポリマ相とは、いずれも互いに可溶性(すなわち、混和性)である。この実施形態の一部の変形では、連続相とポリマ相とは最初は混和性であるが、ポリマ相はエージングされ、その結果、ポリマ相は連続相と非混和性になり、混合物はエージング時に懸濁液になる。
ポリマ相を、1つ以上のポリマ前駆体と任意選択の溶媒および/または任意選択の触媒とを混合して、プレポリマ組成物を形成することによって調製してもよい。一部の実施形態では、ポリマ前駆体が少なくとも部分的に重合するように、ポリマ相を連続相と混合する前に「予備反応」させる。他の実施形態では、ポリマ前駆体を予備反応させない。他のある特定の実施形態では、方法は、連続工程である。例えば、ポリマ前駆体を連続的に連続相と混合してもよく、最終的な縮合ポリマゲルを混合物から連続的に単離してもよい。
一部の実施形態では、ポリマ相を予備反応させる条件は、最終的なゲルおよび/または炭素材料の特性に寄与し得る。例えば、得られるゲルおよび/または炭素材料の粒度は、変動するある特定の予備反応条件、例えば、予備反応温度、予備反応時間および/またはプレポリマ組成物の組成によって変動し得る。予期せぬことに、ある特定の実施形態では、粒度の変動は、ゲルおよび/または炭素材料の細孔構造に、付随する変化を生じさせない。したがって、これらのパラメータの変動は、最終的な生成物(例えば、ゲルおよび/または炭素材料)の所望の細孔構造を維持しながら最適な加工条件に到達するための、柔軟性を与える。
反応物質混合物の成分、例えば、モノマ成分、触媒、および担体流体を、任意の順番または順序で、互いに組み合わせることができる。例えば、モノマ成分を担体流体に添加することもでき、担体流体をモノマ成分に添加することもでき、モノマ成分と担体流体とを同時に互いに組み合わせることもできる。次いで、触媒をモノマ成分と担体流体との混合物に添加することができる。別の例では、触媒をモノマ成分に添加して(逆も可)、モノマ成分と触媒との混合物を形成することができ、モノマ成分と触媒との混合物を担体流体と組み合わせる、例えば、担体流体に添加することができる。別の例では、触媒を担体流体に添加して(逆も可)、担体流体と触媒との混合物を形成することができ、担体流体と触媒との混合物をモノマ成分と組み合わせる、例えば、モノマ成分に添加することができる。
反応物質混合物の個々の成分、例えば、フェノール性化合物、架橋性化合物、および触媒を、それぞれ独立に、任意の順番または順序で、担体流体と混合し、ブレンドし、接触させ、これと共に位置させ、置き、これに向け、添加し、これと共に配置し、またはさもなければこれと組み合わせて、懸濁液および/またはエマルジョンを生成することができる。言い換えると、モノマ成分を構成する1つまたはすべてより少ない成分を担体流体と組み合わせて、中間体懸濁液および/またはエマルジョンを形成または生成することができる。例えば、フェノール性化合物および触媒を担体流体と組み合わせて、中間体懸濁液および/またはエマルジョンを形成または生成することができ、架橋性化合物を中間体懸濁液および/またはエマルジョンと組み合わせて、反応物質混合物と担体流体との懸濁液および/またはエマルジョンを形成または生成することができる。別の例では、担体流体をモノマ成分の1つ以上の成分、例えば、フェノール性化合物と組み合わせて、中間体懸濁液および/またはエマルジョンを形成することができ、1つ以上の他の成分、例えば、架橋性化合物を中間体懸濁液および/またはエマルジョンに添加して、第2の中間体懸濁液および/またはエマルジョンを生成することができる。第2の中間体懸濁液および/またはエマルジョンに触媒を添加して、最終的な懸濁液および/またはエマルジョンを生成することができる。言い換えると、フェノール性化合物、架橋性化合物、触媒、および/もしくは担体流体を、任意の順番または順序で互いに組み合わせる、ならびに/または2つ以上の成分を同時に互いに組み合わせて、懸濁液および/またはエマルジョンを生成することができる。
懸濁液および/またはエマルジョンは、モノマ成分と担体流体とを合わせた重量に対して、約1wt%という少なさから約90wt%までの範囲のモノマ成分濃度を有し得る。例えば、懸濁液および/またはエマルジョンは、モノマ成分と担体流体とを合わせた重量に対して、約1wt%、約3wt%、約5wt%、約10wt%、約15wt%、約20wt%、または約25wt%という少なさから、約40wt%、約45wt%、約50wt%、約55wt%、約60wt%、約65wt%、約70wt%、約75wt%、約80wt%、または約85wt%という多さまでの範囲のモノマ成分濃度を有し得る。別の例では、懸濁液および/またはエマルジョン中のモノマ成分は、モノマ成分と担体流体とを合わせた重量に対して、約25wt%から約35wt%まで、約20wt%から約45wt%、約30wt%から約50wt%、約10wt%から約25wt%、または約15wt%から約50wt%までの範囲であり得る。
ポリマ相のpHは変動し得る。例えば、ポリマ相のpHは、酸性、例えば、7未満、6未満、5未満、4未満、4未満、3未満、または2未満のpHを呈し得る。ある特定の実施形態では、ポリマ相のpHは、pH2からpH6の間、例えば、pH3からpH5の間、例えば、pH3からpH4の間であり得る。他の実施形態では、ポリマ相のpHは、塩基性、例えば、7超、例えば8超、9超、10超のpHを呈し得る。ある特定の実施形態では、ポリマ相のpHは、pH7からpH10の間、例えば、pH8からpH10の間、pH8からpH9の間であり得る。1つ以上の実施形態では、ポリマ相のpHは、約2.5、約3.5、約4.5、約5.5、または約6.5という低さから、約7.5、約8.5、約9.5、約10.5、または約11.5という高さまでであり得る。
プレポリマのpHは変動し得る。例えば、プレポリマのpHは、酸性、例えば、7未満、6未満、5未満、4未満、3未満、または2未満のpHを呈し得る。ある特定の実施形態では、プレポリマのpHは、pH2からpH6の間、例えば、pH3からpH5の間、例えば、pH3からpH4の間であり得る。他の実施形態では、プレポリマのpHは、塩基性、例えば、7超、例えば8超、9超、10超のpHを呈し得る。ある特定の実施形態では、プレポリマのpHは、pH7からpH10の間、例えば、pH8からpH10の間、pH8からpH9の間であり得る。1つ以上の実施形態では、プレポリマのpHは、約2.5、約3.5、約4.5、約5.5、または約6.5という低さから、約7.5、約8.5、約9.5、約10.5、または約11.5という高さまでであり得る。
ある特定の実施形態では、プレポリマおよびポリマ相のpHは異なり得る。ある特定の実施形態では、プレポリマのpHは塩基性(pH7超)であり得、ポリマ相のpHは酸性(pH7未満)であり得る。他のある特定の実施形態では、プレポリマのpHは7未満であり得、ポリマ相のpHは7超であり得る。ある特定の実施形態では、プレポリマおよびポリマ相のpHおよびpH範囲は異なり得、先の2つの段落において明らかにされた境界によって表される。
モノマ成分のpHは変動し得る。例えば、モノマ成分のpHは、酸性、例えば、7未満、6未満、5未満、4未満、4未満、3未満、または2未満のpHを呈し得る。ある特定の実施形態では、モノマ成分のpHは、pH2からpH6の間、例えば、pH3からpH5の間、例えば、pH3からpH4の間であり得る。他の実施形態では、モノマ成分のpHは、塩基性、例えば、7超、例えば8超、9超、10超のpHを呈し得る。ある特定の実施形態では、モノマ成分のpHは、pH7からpH10の間、例えば、pH8からpH10の間、pH8からpH9の間であり得る。1つ以上の実施形態では、モノマ成分のpHは、約2.5、約3.5、約4.5、約5.5、または約6.5という低さから、約7.5、約8.5、約9.5、約10.5、または約11.5という高さまでであり得る。
懸濁液/エマルジョン工程を、広範な範囲のpH値で実施することができる。例えば、懸濁液/エマルジョン工程を、約1、約2、または約3という低さから、約7、約8、約9、約10、約11、または約12という高さまでの範囲のpHにおいて実施することができる。1つ以上の実施形態では、懸濁液/エマルジョン工程を酸性条件下で実施することができる。例えば、反応物質混合物または少なくともモノマ成分のpHは、7未満、6.5未満、6未満、5.5未満、5未満、4.5未満または4未満であり得る。別の例では、反応物質混合物または少なくともモノマ成分のpHは、約1から約6.5まで、約1.5から約5.5、約2から約5、約1.5から約4.5、約1から約4、約2から約4、約1から約3.5、または約2から約4.5の範囲であり得る。
プレポリマをエージングすることができる温度は、本方法の範囲になお留まりつつ変動し得る。方法のある特定の実施形態は、プレポリマ組成物を調製し、プレポリマ組成物を、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約50℃、または約60℃という低さから、約100℃、約110℃、約125℃、約135℃、約150℃、約175℃、約200℃、約225℃、または約250℃という高さまでの温度で反応させることを提供する。少なくとも1つの具体的な実施形態では、プレポリマ組成物を、連続相と組み合わせる前に、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約50℃、または約60℃という低さから、プレポリマ組成物の沸点未満の温度および/またはプレポリマ組成物の最低沸点成分の沸点未満の温度までの温度で反応させることができる。より高い反応温度は、より高い沸点の化学物質を使用するか、または高圧下でプレポリマを調製することのいずれかによって実現することができる。より具体的な実施形態は、プレポリマ組成物を、連続相と組み合わせる前に、約50℃から約90℃まで、または約60℃から約85℃まで、または約65℃から約80℃までの範囲の温度でエージングすることを含む。別の実施形態では、プレポリマ組成物を、少なくとも20℃、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、少なくとも45℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、または少なくとも85℃の温度でエージングすることができる。一部の場合では、容器の圧力を上昇させること、および/またはより高い沸点の溶媒を使用して、反応物質中の相変化を伴うことなくより高い温度での反応を可能にすることができる。他の場合では、外部凝縮器を使用して、より高い温度での反応を可能にすることができる。
プレポリマ相を連続相との混合の前に反応させる時間もまた、方法の様々な実施形態にわたって変動し、異なる温度により、得られるゲルおよび/または炭素材料に異なる粒度がもたらされ得る。この点における例示的な反応時間には、約5分、約30分、約1時間、約2時間、約4時間、約8時間、約16時間、約24時間、または約30時間という短さから、約40時間、約44時間、約48時間、約56時間、約60時間、約66時間、または約72時間という長さまでの時間が含まれる。
プレポリマを形成する場合、プレポリマの重合を、液体プレポリマの屈折率に基づく終点まで実施することができる。例えば、プレポリマが、約1.1000、約1.2000、約1.3000、または約1.3200という低さから、約1.4500、約1.4800、約1.5000、約1.5500、約1.6000、約1.6500、約1.7000、約1.7500、または約1.8000という高さまでの屈折率を有するまで、プレポリマを重合させることができる。別の例では、プレポリマを生成するためのモノマ混合物の重合を、約1.3500から約1.4500、約1.3800から約1.4400、約1.3900から約1.4350、約1.3900から約1.45000、約1.1000から約1.7000、約1.3000から約1.6000、約1.4200から約1.5500、約1.4800から約1.6400、または約1.3700から約1.4300の屈折率まで実施することができる。
懸濁液および/またはエマルジョンをかき混ぜて、担体流体内もしくは担体流体中における反応物質混合物の均一もしくは実質的に均一な分布(懸濁液および逆エマルジョン)、または反応物質混合物内もしくは反応物質混合物中における担体流体の均一もしくは実質的に均一な分布(懸濁液および通常のエマルジョン)を改善および/または維持することができる。懸濁液および/またはエマルジョンの成分を、1つ以上のミキサ中で組み合わせることができる。ミキサは、2つ以上の成分、例えば、フェノール性化合物と架橋性成分とを、またはモノマ成分と担体流体とを含む懸濁液および/もしくはエマルジョンを、バッチ式、間欠式、および/または連続式で混合、ブレンド、接触、またはさもなければ組み合わせることが可能な、任意の機器、システム、または機器および/もしくはシステムの組合せであってもよく、これらを含んでいてもよい。例示的なミキサには、メカニカルミキサによるかき混ぜ、エジェクター、スタティックミキサ、メカニカル/パワーミキサ、剪断ミキサ、超音波ミキサ、振動混合、例えば、ミキサ自体の運動、またはこれらの組合せが含まれ得るが、これらに限定されない。ミキサは、内部の温度を調節するために、1つ以上の加熱ジャケット、加熱コイル、内部加熱構成要素、冷却ジャケット、冷却コイル、内部冷却構成要素等を備えていてもよい。ミキサは、開放容器であっても密閉容器であってもよい。懸濁液および/またはエマルジョンの成分を、ミキサ中で、真空下、大気圧、または大気圧より大きい圧力で組み合わせることができる。1つ以上の実施形態では、懸濁液および/またはエマルジョンの成分を、ミキサ中で、約0℃、約10℃、約20℃、約30℃、約40℃、約50℃、約60℃、または約70℃という低さから、約90℃、約100℃、約110℃、約130℃、約150℃、約175℃、約200℃、約225℃、または約250℃という高さまでの温度で組み合わせることができる。ミキサは、均一な懸濁液および/またはエマルジョンを生成することが可能であり得る。言い換えると、ミキサは、モノマ成分の分布が担体流体全体にわたって実質的に同じである懸濁液および/またはエマルジョンを生成することができる。エマルジョンは、そのエマルジョンを形成および/または維持するために必ずしもかき混ぜを必要としないが、このようなかき混ぜを使用して、エマルジョン内の成分の均一な分布を加速および/または改善することができる点には留意すべきである。したがって、エマルジョン単独が形成される場合、エマルジョンは、そのエマルジョンを形成および/または維持するために、機械的および/または超音波エネルギなどの外部エネルギを必ずしも必要としない。
懸濁液および/またはエマルジョンをかき混ぜるために使用される特定の方法または方法の組合せを、少なくとも一部分、ゲル形態のポリマ粒子のサイズおよび/または形態に影響を与えるために制御または調整することができる1つの変数として、使用することができる。例えば、撹拌パドルまたはブレードが、懸濁液および/またはエマルジョン内で回転することによって懸濁液および/またはエマルジョンをかき混ぜる場合、撹拌パドルまたはブレードが回転する速度は、ゲル形態のポリマ粒子のサイズに影響し得る。撹拌パドルまたはブレードの特定の形状または構成も、ゲル形態のポリマ粒子のサイズに影響し得る。
懸濁液および/またはエマルジョンが形成されたら、モノマ成分を重合させて、ゲル形態のポリマ粒子を生成することができる。上記で論じられ記載されたように、懸濁液および/またはエマルジョン工程はまた、慣例的な重合に加えて、またはその代わりに、硬化させることを含んでいてもよい。モノマ成分は、懸濁液および/またはエマルジョン中で、小さい液滴またはミセルを形成し得る。液滴またはミセル中に含まれるモノマ成分、例えば、フェノール性化合物、架橋性化合物、プレポリマ、および/またはポリマは、重合および/または硬化して、ゲル形態のポリマ粒子を生成し得る。ポリマゲル粒子中のいずれかの細孔または空隙を少なくとも部分的に充填することができる液体は、反応混合物中に存在し得、および/またはモノマ成分の重合中に形成され得る。
モノマ成分は、ミキサ中で懸濁液および/またはエマルジョン重合し得る。モノマ成分をミキサから取り出し、内部で懸濁液および/またはエマルジョンが懸濁液および/またはエマルジョン重合することができる、別の容器または容器型「反応器」(container reactor)に導入することができる。例示的なミキサ/反応器には、バッチ式、間欠式および/または連続式のミキサまたは反応器が含まれ得る。連続式のミキサまたは反応器は、例えば、「ループ」反応器であってもよい。懸濁液および/またはエマルジョンを、上記で論じられ記載された1つ以上のミキサに加え、他のシステム、機器、および/またはこれらの組合せの中で形成することができる。例えば、好適な懸濁液および/またはエマルジョン重合工程を、気相条件下で実施することもできる。例えば、モノマ成分、担体流体、および/または任意選択の触媒は、気相であってもよい。別の例では、モノマ成分および担体流体は気相であってもよく、触媒は固相および/または液相であってもよい。したがって、1つ以上の実施形態では、反応物質混合物または反応物質混合物の少なくとも1つ以上の成分を、反応器に気相で導入することができる。1つ以上の実施形態では、反応物質混合物またはその少なくとも1つ以上の成分は、液相であってもよい。1つ以上の実施形態では、反応物質混合物またはその少なくとも1つ以上の成分は、固相であってもよい。
他の好適な懸濁液および/またはエマルジョン工程を、連続工程および/またはバッチ工程で実施することができる。例示的な工程には、連続撹拌タンク式反応器(CSTR)、ループ反応器、および/またはプラグフロー反応器が含まれ得るが、これらに限定されない。懸濁液および/またはエマルジョン工程を、1つの反応器または1つより多くの反応器中で実施することができる。2つ以上の反応器が使用される場合、2つ以上の反応器は、同じであっても異なっていてもよい。2つ以上の反応器が使用される場合、2つ以上の反応器は、直列および/または並列で動作させてもよい。これらの反応器は、内部冷却または内部加熱を有していても有していなくてもよい。
ループ反応器についてより詳細に言及すると、ループ反応器は、担体流体中で成長しつつあるポリマ粒子の、循環するスラリまたは混合物を含み得る。ループ反応器は、約50kPa、約101kPa、約120kPa、約200kPa、約400kPa、約800kPa、約1,200kPa、約1,700kPa、または約2,100kPaの低さから、約3,200kPa、約3,600kPa、約4,100kPa、約4,700kPa、約5,100kPa、または約5,500kPaという高さまでの圧力で維持することができる。担体流体中で成長しつつあるポリマ粒子の循環するスラリまたは混合物は、約30℃、約45℃、約60℃、約70℃、約80℃、または約90℃の低さから、約95℃、約99℃、約110℃、約120℃、約130℃、約140℃、約150℃、約175℃、約200℃、約225℃、または約250℃の高さまでの温度とすることができる。ループ壁を通じて反応熱を除去および/または投入することができる。ループ壁は、二重被覆管の形態であり得る。スラリまたは混合物を、規則的な間隔で、または連続的に反応器から出して、ポリマ粒子を担体流体から分離することが可能な1つ以上のシステム、機器、ならびに/またはシステムおよび/もしくは機器の組合せに送ることができる。担体流体の少なくとも一部分を、ループ反応器へとリサイクルすることができる。加えて、任意の重合していないモノマ成分を、ループ反応器へとリサイクルすることができる。ループ反応器を、単一ループ反応器として、または2つ以上の並列および/または直列構成のループ反応器として使用して、懸濁液および/またはエマルジョン工程を実施することができる。例えば、ループ反応器は、直列および/または並列で動作する、1、2、3、4、5、10、20またはそれより多くのループを含んでいてもよい。反応物質混合物を、任意の所定のループ反応器の1つ以上の位置に導入することができる。モノマ成分またはモノマ成分の別々の化合物を、任意の所定のループ反応器の同じ位置、または互いに異なる位置に導入することができる。例えば、フェノール性化合物および触媒を所定のループ反応器の第1の位置に導入することができ、架橋性化合物をこのループ反応器の第2の位置に導入することができ、第1の位置と第2の位置とは反応器上の同じ位置にあるか、または第1の位置と第2の位置とは反応器上の異なる位置にある。
1つ以上の実施形態では、ゲル形態のポリマ粒子がループ反応器(または他の任意の反応器)中で生成される場合、その生成後であるが完全な硬化の前に、相対的に短い時間の間、相対的に短い時間で、および/または相対的に短い時間内でポリマ粒子を取り出すことができる。例えば、ポリマ粒子を、何分かのうちに、および/または数分またはさらには数時間後に形成することができ、この場合、ポリマ粒子は十分な完全性を有しており、その結果、互いに「粘着」もしくは「接着」しないか、または実質的に「粘着」もしくは「接着」しないが、完全には硬化していない。分離されたポリマ粒子を、第2の容器(vessel)、反応容器(container)、または他のシステム、機器、および/もしくはこれらの組合せに導入することができ、そこでポリマ粒子をさらに硬化させることができる。ループ反応器中でのポリマ粒子の形成を、第1の担体流体中で実施することができ、ポリマ粒子がループ反応器から取り出されるとき、これらを第1の担体流体中に保つこと、および/または第1の担体流体から分離して第2の担体流体と組み合わせることができる。例えば、ループ反応器中の担体流体(第1の担体流体)は、1つ以上の炭化水素であっても、これらを含んでいてもよく、第2の反応容器中の担体流体(第2の担体流体)は水であってもよい。分離された第1の担体流体および/または任意の重合していないモノマの少なくとも一部分を、反応器へとリサイクルすることができる。したがって、ゲル形態のポリマ粒子の形成を、単一の容器もしくは反応器、または複数の反応器もしくは容器中で実施することができる。加えて、ゲル形態のポリマ粒子の形成は、異なる工程条件、例えば、温度および/もしくは圧力、担体流体(第2の容器と比較した場合のループ反応器)中のポリマ粒子濃度等の使用またはこれらの組合せを含んでいてもよい。
液体成分を利用する際、懸濁液/エマルジョン工程を、約50kPa、約101kPa、約120kPa、約200kPa、約400kPa、約800kPa、約1,200kPa、約1,700kPa、または約2,100kPaの低さから、約3,200kPa、約3,600kPa、約4,100kPa、約4,700kPa、約5,100kPa、または約5,500kPa、またはさらにはそれを超える高さまでの圧力で実施することができる。懸濁液/エマルジョン工程を、約0℃、約20℃、約40℃、または約50℃という低さから、約70℃、約80℃、約90℃、約100℃、約120℃、約150℃、約175℃、約200℃、約225℃、または約250℃という高さまでの範囲の温度で実施することもできる。例えば、懸濁液および/またはエマルジョンの温度を、懸濁液および/またはエマルジョン重合、すなわち、フェノール性化合物と架橋性化合物との間の重合が所望の重合の程度またはレベルに達するまで、例えば、約80℃から約99℃までに維持することができる。別の例では、懸濁液および/またはエマルジョンの温度を、懸濁液および/またはエマルジョン重合が所望の重合および/または硬化の程度またはレベルに達するまで、約80℃以上、約83℃以上、約85℃以上、約87℃以上、約90℃以上、約93℃以上、約95℃以上、約97℃以上、約98℃以上、約99℃以上、約100℃以上、約103℃以上、約105℃以上、約107℃以上、約110℃以上、約112℃以上、または約115℃以上の温度に維持することができる。上記で述べたように、懸濁液および/エマルジョン工程を、酸性および/または塩基性条件下で実施することができる。懸濁液および/またはエマルジョン重合を、ポリマ粒子がその完全性を維持し、その結果、ポリマ粒子が互いに「粘着」もしくは「接着」しないか、または実質的に「粘着」もしくは「接着」しなくなるまで実施することができる。懸濁液および/またはエマルジョンおよび/またはゲル形態のポリマ粒子の温度を低下させることにより、重合を低減または停止させることができる。冷却された懸濁液および/またはエマルジョンおよび/またはゲル形態のポリマ粒子を、さらなる加工のために貯蔵することができる。
ゲルおよび/または炭素材料の細孔構造(例えば、メソ多孔度、ミクロ多孔度等)および/または粒度を制御するために有用な組成物は、以下でより詳細に記載される。粒度に関して、本発明者らは、より高い固形分が、より大きなゲルの粒度、および連続相または分散相のいずれかのより高い粘度に寄与する可能性があることを発見した。プレポリマ組成物の様々な実施形態が、以下でより詳細に記載される。
単一のポリマ前駆体を使用してもよく、方法は、2つ以上の異なるポリマ前駆体の使用を含んでいてもよい。ポリマ前駆体の構造は、ポリマ前駆体が別のポリマ前駆体または第2のポリマ前駆体と反応してポリマを形成することが可能である限り、特に限定されない。ポリマ前駆体には、アミン含有化合物、アルコール含有化合物およびカルボニル含有化合物が含まれ、例えば、一部の実施形態では、ポリマ前駆体は、アルコール、フェノール類、多価アルコール、糖、アルキルアミン、芳香族アミン、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、尿素、酸ハロゲン化物およびイソシアネートから選択される。ポリマ前駆体としてレゾルシノールおよびホルムアルデヒドを使用する一部の実施形態は、1から2.5までの範囲の様々なレゾルシノールに対するホルムアルデヒドのモル比を有し得る。より具体的な実施形態は、2のレゾルシノールに対するホルムアルデヒドのモル比を有する。別の具体的な実施形態では、レゾルシノールに対するホルムアルデヒドのモル比は1.5であり得る。
一実施形態では、方法は、第1および第2のポリマ前駆体の使用を含み、一部の実施形態では、第1または第2のポリマ前駆体は、カルボニル含有化合物であってもよく、第1または第2のポリマ前駆体の他方は、アルコール含有化合物であってもよい。一部の実施形態では、第1のポリマ前駆体はフェノール性化合物であってもよく、第2のポリマ前駆体はアルデヒド化合物(例えば、ホルムアルデヒド)であってもよい。方法の一実施形態では、フェノール性化合物は、フェノール、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、フロログルシノール、またはこれらの組合せであってもよく;アルデヒド化合物は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、またはこれらの組合せであってもよい。さらなる実施形態では、フェノール性化合物は、レゾルシノール、フェノールまたはこれらの組合せであってもよく、アルデヒド化合物はホルムアルデヒドであってもよい。なおさらなる実施形態では、フェノール性化合物はレゾルシノールであってもよく、アルデヒド化合物はホルムアルデヒドであってもよい。なおさらなる実施形態では、フェノール性化合物はフェノールであってもよく、アルデヒドはホルムアルデヒドであってもよい。一部の実施形態では、ポリマ前駆体は、アルコールおよびカルボニル化合物(例えば、レゾルシノールおよびアルデヒド)である。1つ以上の実施形態では、アルコールおよびカルボニル化合物を含有するポリマ前駆体において、カルボニル化合物に対するアルコールのモル比は、約0.2:1から約1:1まで、約0.3:1から約0.8:1、約0.4:1から約0.6:1、約0.5:1.0から約0.7:1、約0.4:1から約0.5:1、または約0.3:1から約0.7:1であり得る。
1つ以上の実施形態では、好適なフェノール性化合物は、式I:
式I
[式中、R1およびR2は、水素(H)、ヒドロキシ基、C1〜5アルキル、およびOR3から独立に選択され、ここでR3は、C1〜5アルキルまたはC1〜5アリールであり、R1およびR2のうちの少なくとも1つは、ヒドロキシ基である]によって表すことができる。他の好適なフェノール性化合物は、式II:
式II
[式中、Ra、Rb、Rc、およびRdのそれぞれは、水素(H);ヒドロキシ;ハロゲン、例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素;ニトロ;ベンゾ;カルボキシ;ホルミル、アルキル−カルボニル、例えば、アセチル、アリールカルボニル、例えば、ベンゾイルなどのアシル;メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどのアルキル;非置換もしくは置換ビニルおよびアリル;非置換もしくは置換メタクリレート、非置換もしくは置換アクリレート;シリルエーテル;シロキサニル;フェニルおよびナフチルなどのアリール;ベンジルなどのアラルキル;またはアルキルフェニルなどのアルカリールから独立に選択され、Ra、Rc、およびRdのうちの少なくとも2つは、水素である]によって表すことができる。
他の好適なフェノール性化合物は、フェノール自体(すなわち、モノヒドロキシベンゼン)であり得、またはこれが含まれ得る。置換フェノールの他の好適な例には、クレゾールおよびキシレノールなどのアルキル置換フェノール;シクロヘキシルフェノールなどのシクロアルキル置換フェノール;アルケニル置換フェノール;p−フェニルフェノールなどのアリール置換フェノール;3,5−ジメトキシフェノールなどのアルコキシ置換フェノール;p−フェノキシフェノールなどのアリールオキシフェノール;ならびにp−クロロフェノールなどのハロゲン置換フェノールが含まれ得るが、これらに限定されない。カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ビスフェノールAおよびビスフェノールFなどの二価フェノールも使用することができる。特に、フェノール成分は、フェノール;クレゾールおよびキシレノールなどのアルキル置換フェノール;シクロヘキシルフェノールなどのシクロアルキル置換フェノール;アルケニル置換フェノール;p−フェニルフェノールなどのアリール置換フェノール;3,5−ジメトキシフェノールなどのアルコキシ置換フェノール;p−フェノキシフェノールなどのアリールオキシフェノール;p−クロロフェノールなどのハロゲン置換フェノール;カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールAならびにビスフェノールFからなる群から選択することができる。さらなる他の好適なフェノール性化合物は、レゾルシノール、フェノール、カテコール、ヒドロキノン、ピロガロール、5−メチルレゾルシノール、5−エチルレゾルシノール、5−プロピルレゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、4−エチルレゾルシノール、4−プロピルレゾルシノール、モノ安息香酸レゾルシノール、レゾルシノールモノシネート(resorcinol monosinate)、レゾルシノールジフェニルエーテル、レゾルシノールモノメチルエーテル、モノ酢酸レゾルシノール、レゾルシノールジメチルエーテル、フロログルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、ロジン酸レゾルシノール、アルキル置換レゾルシノール、アラルキル置換レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、フロログルシノール、1,2,4−ベンゼントリオール、3,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、4−エチルレソルシノール、2,5−ジメチルレソルシノール、5−メチルベンゼン−1,2,3−トリオール、3,5−ジヒドロキシベンジルアルコール、2,4,6−トリヒドロキシトルエン、4−クロロレソルシノール、2’,6’−ジヒドロキシアセトフェノン、2’,4’−ジヒドロキシアセトフェノン、3’,5’−ジヒドロキシアセトフェノン、2,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2,4,6−トリヒドロキシベンズアルデヒド、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2’,4’−ジヒドロキシプロピオフェノン、2’,4’−ジヒドロキシ−6’−メチルアセトフェノン、1−(2,6−ジヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタノン、3−メチル3,5−ジヒドロキシベンゾエート、メチル2,4−ジヒドロキシベンゾエート、ガルアセトフェノン、2,4−ジヒドロキシ−3−メチル安息香酸、2,6−ジヒドロキシ−4−メチル安息香酸、メチル2,6−ジヒドロキシベンゾエート、2−メチル−4−ニトロレソルシノール、2,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、2,3,4−トリヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸、2−ニトロフロログルシノールまたはこれらの組合せであり得、またはこれらが含まれ得る。別の好適なフェノール性化合物は、フロログルシノールであり得、またはこれが含まれ得る。
少なくとも1つの例では、フェノール性化合物は、フェノール、レゾルシノール、すなわち、1,3−ジヒドロキシベンゼン、またはこれらの組合せ(これらに限定されない)であり得、またはこれらが含まれ得る。別の例では、フェノール性化合物は、レゾルシノールまたは任意のレゾルシノール誘導体から得られる、任意の化合物または化合物の組合せ(これらに限定されない)であり得、またはこれらが含まれ得る。別の例では、フェノール性化合物は、ポリヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、またはこれらの任意の組合せであってもよい。フェノール性化合物には、互いに組み合わされた、および/または反応物質混合物に互いに独立に添加された、2つ以上のフェノール性化合物の任意の組合せが含まれ得る。
レゾルシノールを、白色/オフホワイト色の固体もしくはフレークとして準備すること、および/または、レゾルシノール成分を加熱し、液体として供給することができる。液体モノマ成分の固体成分、例えば、レゾルシノール−ホルムアルデヒドコポリマ、フェノール−ホルムアルデヒドコポリマ、および/またはフェノール−レゾルシノール−ホルムアルデヒドコポリマは、約5wt%から約95wt%までであり得る。例えば、液体モノマ成分の固体成分は、約5wt%、約10wt%、約15wt%、約20wt%、約25wt%、または約20wt%という少なさから、約50wt%、約55wt%、約60wt%、約65wt%、約70wt%、または約75wt%という多さまでであり得る。別の例では、液体モノマ成分の固体成分は、約10wt%から約75wt%まで、約10wt%から約40wt%、約30wt%から約80wt%、約45wt%から約75wt%、または約15wt%から約70wt%であり得る。液体モノマ成分は、広範に変動する、25℃におけるブルックフィールド粘度を有し得る。例えば、液体モノマ成分は、約5cP、約50cP、約100cP、約200cP、約400cP、または約600cPという低さから、約1,000cP、約2,500cP、約5,000cP、約10,000cP、約15,000cP、または約20,000cPという高さまでの、25℃におけるブルックフィールド粘度を有し得る。液体レゾルシノールコポリマは、典型的には、暗琥珀色を有する。
1つ以上の実施形態では、フェノール性化合物はまた、1つ以上のタンニンであり得、またはこれらが含まれ得る。本願において使用される場合、「タンニン」という用語は、加水分解性タンニンと縮合型タンニンの両方を指す。したがって、フェノール性化合物は、加水分解性タンニン、縮合型タンニン、または加水分解性タンニンと縮合型タンニンとの組合せであり得、またはこれらが含まれ得る。好適なタンニンを得ることができる低木および/または樹木の例示的な属は、Acacia属、Castanea属、Vachellia属、Senegalia属、Terminalia属、Phyllanthus属、Caesalpinia属、Quercus属、Schinopsis属、Tsuga属、Rhus属、Juglans属、Carya属、およびPinus属、またはこれらの任意の組合せが含まれ得るが、これらに限定されない。別の例では、好適なタンニンを得ることができる属には、Schinopsis属、Acacia属、またはこれらの組合せが含まれ得るが、これらに限定されない。別の例では、好適なタンニンを得ることができる属には、Pinus属、Carya属、またはこれらの組合せが含まれ得るが、これらに限定されない。
加水分解性タンニンは、ピロガロールなどの単純なフェノール類とエラグ酸との混合物、ならびに糖、例えばグルコースと没食子酸および二没食子酸とのエステルの混合物である。例示的な加水分解性タンニンの例には、Castanea sativa(例えば、クリ)、Terminalia属およびPhyllanthus属(例えば、カシ樹木種)、Caesalpinia coriaria(例えば、ジビジビ)、Caesalpinia spinosa(例えば、タラ)、アルガロビラ(algarobilla)、バロニア(valonea)、およびQuercus属(例えば、オーク)から回収された抽出物が含まれ得るが、これらに限定されない。縮合型タンニンは、フラバンの縮合によって形成されたポリマである。縮合型タンニンは、直鎖状または分枝状分子であり得る。例示的な縮合型タンニンには、Acacia mearnsii(例えば、アカシアまたはミモザの樹皮抽出物)、Schinopsis属(例えば、ケブラチョ木材抽出物)、Tsuga属(例えば、ツガ樹皮抽出物)、Rhus属(例えば、ウルシ抽出物)、Juglans属(例えば、クルミ)、Carya illinoinensis(例えば、ペカン)、およびPinus属(例えば、ラジアータマツ、フランスカイガンショウ、樹皮抽出物種)が含まれ得るが、これらに限定されない。
縮合型タンニンは、約70wt%から約80wt%の活性フェノール性構成成分(「タンニン画分」)を含み、残りの構成成分(「非タンニン画分」)は、炭水化物、ハイドロコロイドガムならびにアミノ酸および/またはイミノ酸画分を含み得るが、これらに限定されない。縮合型タンニンを、有機物からの回収物または抽出物として使用することができ、縮合型タンニンを約95wt%以上の活性フェノール性構成成分となるまで精製することもできる。加水分解性タンニンおよび縮合型タンニンを、十分に確立された工程を使用して、出発材料、例えば、樹木および/または低木から抽出することができる。タンニンについてのより詳細な解説は、Handbook of Adhesive Technology, Second Edition, CRC Press, 2003, chapter 27, "Natural Phenolic Adhesives I: Tannin, "およびMonomers, Polymers and Composites from Renewable Resources, Elsevier, 2008, chapter 8, "Tannins: Major Sources, Properties and Applications"にて論じられ、記載されている。
縮合型タンニンは、2つの大きなカテゴリ、すなわち、レゾルシノール単位を含むものとフロログルシノール単位を含むもののうちの1つに、分類またはグループ分けされ得る。レゾルシノール単位を含む例示的なタンニンには、モリシマアカシアタンニンおよびケブラチョタンニンが含まれるが、これらに限定されない。フロログルシノール単位を含む例示的なタンニンには、ペカンタンニンおよびマツタンニンが含まれるが、これらに限定されない。
本願において開示されるポリマ前駆体材料は、(a)アルコール、フェノール性化合物、および他のモノヒドロキシ化合物またはポリヒドロキシ化合物、ならびに(b)アルデヒド、ケトン、およびこれらの組合せを含む。この状況における代表的なアルコールには、直鎖状および分枝状の飽和および不飽和アルコールが含まれる。好適なフェノール性化合物には、ジヒドロキシベンゼンまたはトリヒドロキシベンゼンなどの、ポリヒドロキシベンゼンが含まれる。代表的なポリヒドロキシベンゼンには、レゾルシノール(すなわち、1,3−ジヒドロキシベンゼン)、カテコール、ヒドロキノン、およびフロログルシノールが含まれる。2つ以上のポリヒドロキシベンゼンの混合物を使用することもできる。フェノール(モノヒドロキシベンゼン)を使用することもできる。代表的なポリヒドロキシ化合物には、グルコース、スクロース、キチン、およびマンニトールなどの他のポリオールなどの、糖が含まれる。この状況におけるアルデヒドには、メタナール(ホルムアルデヒド)、エタナール(アセトアルデヒド)、プロパナール(プロピオンアルデヒド)、ブタナール(ブチルアルデヒド)などの直鎖状飽和アルデヒド;エテノンおよび他のケテン、2−プロペナール(アクリルアルデヒド)、2−ブテナール(クロトンアルデヒド)、3−ブテナールなどの、直鎖状不飽和アルデヒド;分枝状飽和および不飽和アルデヒド;ならびにベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ヒドロシンナムアルデヒドなどの芳香族型アルデヒドが含まれる。好適なケトンには、プロパノンおよび2−ブタノンなどの直鎖状飽和ケトン;プロペノン、2−ブテノンおよび3−ブテノン(メチルビニルケトン)などの直鎖状不飽和ケトン;分枝状飽和および不飽和ケトン;ならびにメチルベンジルケトン(フェニルアセトン)、エチルベンジルケトンなどの芳香族型ケトンが含まれる。ポリマ前駆体材料はまた、上記で記載された前駆体の組合せであってもよい。
一部の実施形態では、一方のポリマ前駆体はアルコール含有種であり、もう一方のポリマ前駆体はカルボニル含有種であり、例えば、アルデヒドとフェノールである。カルボニル含有種(例えば、アルデヒド、ケトンまたはこれらの組合せ)と反応するアルコール含有種(例えば、アルコール、フェノール性化合物およびモノヒドロキシ化合物もしくはポリヒドロキシ化合物、またはこれらの組合せ)の相対量は、実質的に変動し得る。一部の実施形態では、アルコール含有種のアルデヒド種に対する比は、アルコール含有種中の反応性アルコール基の総モル数が、アルデヒド種中の反応性カルボニル基の総モル数と概ね同じになるように選択される。同様に、アルコール含有種のケトン種に対する比は、アルコール含有種中の反応性アルコール基の総モル数が、ケトン種中の反応性カルボニル基の総モル数と概ね同じになるように選択されてもよい。カルボニル含有種がアルデヒド種とケトン種との組合せを含む場合、同じおよそ1:1のモル比が有効である。
架橋性化合物は、非置換アルデヒド化合物および/または置換アルデヒド化合物(これらに限定されない)であり得、またはこれらが含まれ得る。架橋性化合物として使用するのに適したアルデヒド化合物は、式RCHO[式中、Rは、水素または炭化水素基である]によって表すことができる。例示的な炭化水素基は、1から約8個までの炭素原子を含み得る。別の例では、好適なアルデヒド化合物には、アセタールまたはヘミアセタールなどの、いわゆるマスクアルデヒド(masked aldehyde)またはアルデヒド等価物も含まれ得る。例示的なアルデヒド化合物には、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、フルフルアルデヒド、ベンズアルデヒド、グルタルアルデヒド、またはこれらの任意の組合せが含まれ得るが、これらに限定されない。グリオキサールなどの1つ以上の他のアルデヒドを、ホルムアルデヒドおよび/または他のアルデヒドの代わりに、またはこれらと組み合わせて使用することができる。少なくとも1つの例では、アルデヒド化合物には、ホルムアルデヒド、UFC、またはこれらの組合せが含まれ得る。
アルデヒド化合物を、固体、液体、および/または気体として使用することができる。特にホルムアルデヒドについて考えると、ホルムアルデヒドは、パラホルム(固体の、重合したホルムアルデヒド)、ホルマリン溶液(37パーセント、44パーセント、または50パーセントのホルムアルデヒド濃度のホルムアルデヒド水溶液であり、メタノールを含む場合もある)、尿素−ホルムアルデヒド濃縮物(「UFC」)であり得、またはこれらが含まれ得、および/または、ホルムアルデヒドガスを他の形態のホルムアルデヒドの代わりに、もしくはそれらに加えて使用することもできる。別の例では、アルデヒドは、約1:2から約1:3の尿素のホルムアルデヒドに対する重量比を有する、予備反応させた尿素−ホルムアルデヒド混合物であり得、またはこれが含まれ得る。
架橋性化合物は、1つ以上の多官能性アルデヒド化合物(これに限定されない)であり得、またはこれが含まれ得る。本願において使用される場合、「多官能性アルデヒド化合物」および「多官能性アルデヒド」は互換的に使用され、少なくとも2つの官能基を有し、官能基のうちの少なくとも1つがアルデヒド基である化合物を指す。例えば、多官能性アルデヒドは、2つ以上のアルデヒド官能基を含み得る。別の例では、多官能性アルデヒドは、少なくとも1つのアルデヒド基と、少なくとも1つのアルデヒド官能基以外の官能基とを含み得る。本願において使用される場合、「官能基」とは、多官能性アルデヒド化合物中の反応性基を指し、これにはアルデヒド基、カルボン酸基、エステル基、アミド基、イミン基、エポキシド基、アジリジン基、アゼチジニウム基、およびヒドロキシル基が含まれ得るが、これらに限定されない。
多官能性アルデヒド化合物は、2個以上の炭素原子を含み、かつ、2つ以上のアルデヒド官能基を有し得る。例えば、多官能性アルデヒド化合物は、2個、3個、4個、5個、6個またはそれより多くの炭素原子を含み、かつ、2つ以上のアルデヒド官能基を有し得る。多官能性アルデヒド化合物は、2個以上の炭素原子を含み、かつ、少なくとも1つのアルデヒド官能基と、カルボン酸基、エステル基、アミド基、イミン基、エポキシド基、アジリジン基、アゼチジニウム基、および/またはヒドロキシル基などの、少なくとも1つのアルデヒド基以外の官能基とを有し得る。例えば、多官能性アルデヒド化合物は、2個、3個、4個、5個、6個またはそれより多くの炭素原子を含み、かつ、少なくとも1つのアルデヒド官能基と、カルボン酸基、エステル基、アミド基、イミン基、エポキシド基、アジリジン基、アゼチジニウム基、および/またはヒドロキシル基などの、少なくとも1つのアルデヒド基以外の官能基とを有し得る。
3個以上の炭素原子を含み、かつ、2つのアルデヒド官能基(−CHO)を有する、好適な二官能性(bifunctional or difunctional)アルデヒドは、以下の式:
[式中、Rは、1から12個までの炭素原子を有する、二価の脂肪族基、脂環式基、芳香族基、または複素環基である]で表すことができる。例示的な多官能性アルデヒドには、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、2−ヒドロキシグルタルアルデヒド、β−メチルグルタルアルデヒド、アジポアルデヒド、ピメルアルデヒド、スベルアルデヒド、マレアルデヒド、フマルアルデヒド、セバクアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、環置換芳香族アルデヒド、またはこれらの任意の組合せが含まれ得るが、これらに限定されない。2個の炭素原子を含み、かつ、2つのアルデヒド官能基を有する、好適な二官能性(bifunctional or difunctional)アルデヒドは、グリオキサールである。
アルデヒド基とアルデヒド基以外の官能基とを含む例示的な多官能性アルデヒド化合物には、グリオキシル酸、グリオキシル酸エステル、グリオキシル酸アミド、5−(ヒドロキシメチル)フルフラール、またはこれらの任意の組合せが含まれ得るが、これらに限定されない。多官能性アルデヒド化合物中のアルデヒド基は、他の形態、例えば、水和物として存在し得る。したがって、特定の多官能性アルデヒド化合物の任意の形態または誘導体を使用して、本願において論じられ記載される結合剤組成物を調製することができる。例えば、グリオキシル酸の場合、グリオキシル酸、グリオキシル酸一水和物、および/またはグリオキシレートを、タンニンおよびルイス酸と組み合わせて、結合剤組成物を生成することができる。架橋性化合物には、互いに組み合わされた、および/または互いに独立に反応物質混合物に添加された、2つ以上の架橋性化合物の任意の組合せが含まれ得る。
1つ以上の実施形態では、フェノール性化合物および架橋性化合物のモノマ成分は、メイラード反応物質の混合物と、部分的にまたは完全に置き換えることができる。同様に、プレポリマは、部分的に反応させたまたは予備反応させたメイラード反応物質の混合物であり得、またはこれが含まれ得る。言い換えると、反応物質混合物のモノマ成分のすべてまたは一部分は、メイラード反応物質の混合物、予備反応させたメイラード反応物質の混合物またはこれらの組合せであってもよい。メイラード反応物質の混合物は、炭水化物源(炭水化物反応物質)と、炭水化物反応物質とのメイラード反応に関与することが可能なアミン反応物質とを含み得るが、これらに限定されない。
炭水化物源には、1つ以上の還元糖を有する1つ以上の反応物質、熱硬化条件下で1つ以上の還元糖を生じる1つ以上の反応物質、またはこれらの組合せが含まれ得る。還元糖は、アルデヒド基を含むか、または異性化、すなわち、互変異性化した結果、アルデヒド基を含むことができる糖であり得る。このようなアルデヒド基は、メイラード反応条件下で、アミノ基(アミン反応物質)と反応性である。通常、このようなアルデヒド基はまた、例えば、Cu2+によって酸化されて、カルボン酸を生じ得る。炭水化物反応物質は、ヒドロキシ、ハロ、アルキル、アルコキシなどの他の官能基で任意選択で置換されていてもよい。炭水化物源はまた、1つ以上のキラル中心を有していてもよい。炭水化物源はまた、各キラル中心でそれぞれ生じ得る光学異性体を含んでいてもよい。ラセミ混合物を含めた様々な混合物、またはそのような炭水化物源のいずれかの様々な光学異性体からなる、他のジアステレオマ混合物、およびこれらの様々な幾何異性体を使用することができる。
炭水化物源は非揮発性であってもよい。非揮発性炭水化物源は、炭水化物反応物質の、メイラード反応条件下でアミン反応物質と反応が可能であり続ける能力を、増強または最大化することができる。炭水化物源とアミン反応物質との混合物を予備反応させることにより、好適な炭水化物源のリストが拡大し得る。炭水化物源は、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、またはヘプトースを含めた、アルドース形態またはケトース形態の単糖;もしくは多糖、またはこれらの組合せであってもよい。
トリオースが炭水化物源の役割を果たす場合、または他の還元糖および/もしくは多糖と組み合わせて使用される場合、それぞれグリセルアルデヒドおよびジヒドロキシアセトンなどの、アルドトリオース糖またはケトトリオース糖を利用することができる。テトロースが炭水化物源の役割を果たす場合、または他の還元糖および/もしくは多糖と組み合わせて使用される場合、エリスロースおよびトレオースなどのアルドテトロース糖;ならびにエリスルロースなどのケトテトロースを利用することができる。ペントースが炭水化物源の役割を果たす場合、または他の還元糖および/もしくは多糖と組み合わせて使用される場合、リボース、アラビノース、キシロース、およびリキソースなどのアルドペントース糖;ならびにリブロース、アラブロース(arabulose)、キシルロース、およびリキスロースなどのケトペントース糖を利用することができる。ヘキソースが炭水化物源の役割を果たす場合、または他の還元糖および/もしくは多糖と組み合わせて使用される場合、グルコース(すなわち、デキストロース)、マンノース、ガラクトース、アロース、アルトロース、タロース、グロース、およびイドースなどのアルドヘキソース糖;ならびにフルクトース、プシコース、ソルボースおよびタガトースなどのケトヘキソース糖を利用することができる。ヘプトースが炭水化物源の役割を果たす場合、または他の還元糖および/もしくは多糖と組み合わせて使用される場合、セドヘプツロースなどのケトヘプトース糖を利用することができる。天然に存在することが知られていない、このような炭水化物源の他の立体異性体もまた、結合剤組成物を調製する際に有用であると想定される。多糖が炭水化物源の役割を果たす場合、または単糖と組み合わせて使用される場合、スクロース、ラクトース、マルトース、デンプン、およびセルロースを利用することができる。
炭水化物反応物質を、非炭水化物ポリヒドロキシ反応物質と組み合わせて使用することもできる。非炭水化物ポリヒドロキシ反応物質の例には、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル、完全に加水分解されたポリ酢酸ビニル、およびこれらの混合物が含まれ得るが、これらに限定されない。非炭水化物ポリヒドロキシ反応物質は、硬化中に他の結合剤成分との反応が可能であり続けるその能力を最大化するように、十分に非揮発性であってもよい。炭水化物源(炭水化物反応物質)とアミン反応物質との混合物を部分的に予備反応させることにより、好適な非炭水化物ポリヒドロキシ反応物質のリストが拡大し得る。非炭水化物ポリヒドロキシ反応物質の疎水性は、結合剤組成物の物理特性を決定する要因となり得る。
炭水化物源とのメイラード反応に関与することが可能なアミン反応物質は、アミノ基を有する化合物であり得る。化合物は、アミノ酸の形態で存在し得る。遊離アミノ基はタンパク質からも由来し得るが、この場合、遊離アミノ基は、例えば、リシン残基のε−アミノ基、および/または末端アミノ酸のα−アミノ基の形態で利用可能である。アミン反応物質を、ポリカルボン酸アンモニウム塩反応物質を使用することにより、別個にまたはインサイチュ(in situ)で形成することもできる。ポリカルボン酸のアンモニウム塩は、ポリカルボン酸の酸基をアミン塩基で中和し、これにより、ポリカルボン酸アンモニウム塩基を生成することによって生じさせることができる。当量に基づいて計算される、完全な、すなわち約100%の中和により、ポリカルボン酸中の酸基を滴定または部分的に中和する、あらゆる必要性を排除することができる。しかし、完全までいかない中和であっても、十分なメイラード反応物質の混合物が得られると推測される。
ある特定の実施形態では、ポリマ前駆体は、ホルムアルデヒドとレゾルシノール、またはホルムアルデヒドとフェノール、またはフェノールとレゾルシノールとの混合物と組み合わせた、ホルムアルデヒドを含む。他の実施形態では、ポリマ前駆体は、ホルムアルデヒドと尿素とを含む。
他の実施形態では、ポリマ前駆体は、尿素またはアミン含有化合物である。例えば、一部の実施形態では、ポリマ前駆体は、尿素またはメラミンである。他の実施形態は、イソシアネートまたは酸ハロゲン化物などの他の活性化カルボニル化合物から選択されるポリマ前駆体を含む。
開示される方法の一部の実施形態は、電気化学改変剤を含むポリマゲル(および炭素材料)を調製することを含む。電気化学改変剤には、当技術において公知の電気化学改変剤、およびその全内容を先に本願に引用して援用した、同時係属中の米国特許出願第12/965,709号に記載される電気化学改変剤が含まれる。このような電気化学改変剤は、一般に、得られる炭素材料またはポリマゲルの電気化学特性を改変するのに有用な元素から選択され、一部の実施形態では、窒素またはケイ素を含む。他の実施形態では、電気化学改変剤は、窒素、鉄、スズ、ケイ素、ニッケル、アルミニウムまたはマンガンを含む。電気化学改変剤を、任意のステップにおいて調製手順に含めることができる。例えば、一部では、電気化学改変剤を、混合物、ポリマ相または連続相と混合する。
ポリマ形成前のゲル配合物(すなわち、モノマ成分)中の全固形分は、変動し得る。この全固形分は、一般に非揮発性である成分の重量分率(揮発性成分と非揮発性成分との総重量と比較した場合の)である。
モノマ成分の溶媒(例えば、水、酸等)に対する重量比は、約0.05対3から約0.70対2までであり得る。あるいは、モノマ成分の溶媒に対する比は、約0.15対1から約0.6対1.5までであり得る。あるいは、モノマ成分の溶媒に対する比は、約0.15対1から約0.35対1までであり得る。あるいは、モノマ成分の溶媒に対する比は、約0.25対1から約0.5対1までであり得る。あるいは、モノマ成分の溶媒に対する比は、約0.3対1から約0.6対1までであり得る。
一部の実施形態では、モノマ成分の固形分は、約10%、約15%、約20%、約25%、約35%、約40%、または約45%からという低さから、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、または約90%という高さまで変動し得る。他の実施形態では、モノマ成分の固形分は、約35%から約70%まで、約40%から約60%、または約45%から約55%であり得る。1つ以上の実施形態では、モノマ成分の固形分は、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、または45%超から約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、または約90%であり得る。
一部の実施形態では、ゲル重合工程は、触媒条件下で実施される。したがって、一部の実施形態では、方法は、触媒を、混合物、ポリマ相および/または連続相と混合することを含む。一部の実施形態では、触媒は、塩基性揮発性触媒を含む。例えば、一実施形態では、塩基性揮発性触媒は、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、またはこれらの組合せを含む。さらなる実施形態では、塩基性揮発性触媒は、炭酸アンモニウムであってもよい。別のさらなる実施形態では、塩基性揮発性触媒は、酢酸アンモニウムであってもよい。
触媒は、1つ以上の酸、1つ以上の塩基、またはこれらの任意の組合せであり得、またはこれらが含まれ得る。例示的な塩基性触媒は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、ヘキサメチレンテトラミン、またはこれらの任意の組合せ(これらに限定されない)であり得、またはこれらが含まれ得る。例示的な酸性触媒には、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、亜リン酸、スルホン酸(モノスルホン酸、ジスルホン酸、トリスルホン酸、トルエンスルホン酸、およびアルカンスルホン酸が含まれるが、これらに限定されない)、没食子酸、シュウ酸、ピクリン酸、またはこれらの任意の組合せが含まれ得るが、これらに限定されない。
一実施形態では、触媒は塩基であり、二次相中での塩基の飽和は、二次相中での酸の飽和に関して本願において記載されたのと類似の様式でなされる。触媒が酸と塩基の両方を含む関連する実施形態では、二次相中での塩基および酸の飽和は、二次相中での酸の飽和に関して本願において記載されたのと類似の様式でなされる。
触媒のポリマ前駆体に対するモル比は、ポリマゲルの最終的な特性、および炭素材料の最終的な特性に影響を有し得る。よって、一部の実施形態では、このような触媒を、約1:1、約3:1、約5:1、約7:1、約10:1、約15:1、約20:1、約25:1、約30:1、約40:1、または約50:1という低さから、約100:1、約150:1、約200:1、約300:1、約400:1、約600:1、約800:1、約1,000:1、約1,200:1、約1,400:1、約1,600:1、約1,800:1、または約2000:1という高さまでのポリマ前駆体:触媒のモル比で使用することができる。一部の実施形態では、このような触媒を、10:1から400:1のポリマ前駆体:触媒のモル比で使用することができる。例えば、他の実施形態では、このような触媒を、5:1から100:1のポリマ前駆体:触媒のモル比で使用することができる。例えば、一部の実施形態では、ポリマ前駆体の触媒に対するモル比は、約400:1であってもよい。他の実施形態では、ポリマ前駆体の触媒に対するモル比は、約100:1であってもよい。他の実施形態では、ポリマ前駆体の触媒に対するモル比は、約50:1であってもよい。他の実施形態では、ポリマ前駆体の触媒に対するモル比は、約25:1であってもよい。他の実施形態では、ポリマ前駆体の触媒に対するモル比は、約10:1であってもよい。1つ以上の実施形態では、ポリマ前駆体の触媒に対するモル比は、約5:1から約15:1まで、約5:1から約25:1、約3:1から約12:1、約7:1から約13:1、約10:1から約20:1、約15:1から約40:1、約20:1から約30:1、約8:1から約12:1、約6:1から約15:1、約18:1から約32:1、約25:1から約50:1、または約7:1から約11:1であってもよい。上述の実施形態のある特定の実施形態では、ポリマ前駆体は、レゾルシノールおよび/またはフェノールなどのフェノール性化合物を含む
ポリマ前駆体のうち1つがレゾルシノールであり、もう1つのポリマ前駆体がホルムアルデヒドである特定の実施形態において、レゾルシノールの触媒に対する比率を変えて、結果的なポリマゲルおよび炭素材料における所望の特性を得ることができる。本明細書に記載の方法の一部の実施形態において、レゾルシノールの触媒に対するモル比は低くは約1:1、約3:1、約5:1、約7:1、約10:1、約15:1、約20:1、約25:1、約30:1、約40:1、または約50:1から高くは約100:1、約150:1、約200:1、約300:1、約400:1、約600:1、約800:1、約1,000:1、約1,200:1、約1,400:1、約1,600:1、約1,800:1、または約2,000:1であってもよい。他の実施形態において、レゾルシノールの触媒に対するモル比は約5:1から約2,000:1の範囲、もしくはレゾルシノールの触媒に対するモル比は約10:1から約400:1の範囲であってもよい。さらなる実施形態において、レゾルシノールの触媒に対するモル比は約5:1から約100:1の範囲であってもよい。さらなる実施形態において、レゾルシノールの触媒に対するモル比は約25:1から約50:1の範囲であってもよい。さらなる実施形態において、レゾルシノールの触媒に対するモル比は約15:1から約50:1の範囲であってもよい。さらなる実施形態において、レゾルシノールの触媒に対するモル比は約10:1から約50:1の範囲であってもよい。前記の実施形態の一部において、触媒は酢酸アンモニウムであってもよい。
ポリマ前駆体のうち1つがフェノールであり、もう1つのポリマ前駆体がホルムアルデヒドである特定の実施形態において、フェノールの触媒に対する比率を変えて、結果的なポリマゲルおよび炭素材料における所望の特性を得ることができる。本明細書に記載の方法の一部の実施形態において、フェノールの触媒に対するモル比は低くは約1:1、約3:1、約5:1、約7:1、約10:1、約15:1、約20:1、約25:1、約30:1、約40:1、または約50:1から高くは約100:1、約150:1、約200:1、約300:1、約400:1、約600:1、約800:1、約1,000:1、約1,200:1、約1,400:1、約1,600:1、約1,800:1、または約2,000:1であってもよい。他の実施形態において、フェノールの触媒に対するモル比は約5:1から約2,000:1の範囲、もしくはフェノールの触媒に対するモル比は約10:1から約400:1の範囲であってもよい。さらなる実施形態において、フェノールの触媒に対するモル比は約5:1から約100:1の範囲であってもよい。さらなる実施形態において、フェノールの触媒に対するモル比は約25:1から約50:1の範囲であってもよい。さらなる実施形態において、フェノールの触媒に対するモル比は約25:1から約50:1の範囲であってもよい。さらなる実施形態において、フェノールの触媒に対するモル比は約100:1から約5:1の範囲であってもよい。前記の実施形態の一部において、触媒は酢酸アンモニウムであってもよい。
ポリマ前駆体のうち1つがフェノール レゾルシノールとホルムアルデヒドの混合物である特定の実施形態において、フェノール/レゾルシノールの触媒に対する比率を変えて、結果的なポリマゲルおよび炭素材料における所望の特性を得ることができる。本明細書に記載の方法の一部の実施形態において、フェノール/レゾルシノールの触媒に対するモル比は低くは約1:1、約3:1、約5:1、約7:1、約10:1、約15:1、約20:1、約25:1、約30:1、約40:1、または約50:1から高くは約100:1、約150:1、約200:1、約300:1、約400:1、約600:1、約800:1、約1,000:1、約1,200:1、約1,400:1、約1,600:1、約1,800:1、または約2,000:1であってもよい。他の実施形態において、フェノール/レゾルシノールの触媒に対するモル比は約5:1から約2,000:1の範囲、もしくはフェノール/レゾルシノールの触媒に対するモル比は約10:1から約400:1の範囲であってもよい。さらなる実施形態において、フェノール/レゾルシノールの触媒に対するモル比は約5:1から約100:1の範囲であってもよい。さらなる実施形態において、フェノール/レゾルシノールの触媒に対するモル比は約25:1から約50:1の範囲であってもよい。さらなる実施形態において、フェノール/レゾルシノール対触媒のモル比は約25:1から約50:1の範囲であってもよい。さらなる実施形態において、フェノール/レゾルシノールの触媒に対するモル比は約100:1から約5:1の範囲であってもよい。前記の実施形態の一部において、触媒は酢酸アンモニウムであってもよい。
さらに他の実施形態において、本発明の方法は酸と混合物、ポリマ相および/または連続相の混合を含む。酸は重合工程に適する数多くの酸から選択され得る。例えば、一部の実施形態において、酸は酢酸であるか、または酢酸を含んでもよく、他の実施形態において、酸はシュウ酸であるか、またはシュウ酸を含んでもよく、また他の実施形態において、酸は酢酸とシュウ酸の混合物であるか、または酢酸とシュウ酸の混合物を含んでもよい。1つ以上の実施形態において、酸は第1または第2の溶媒と混合されてもよく、酸の溶媒に対する比率は低くは約1:100、約1:90、約1:50、約1:10、約1:5、約1:4、約1:3、または約1:2から高くは約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約10:1、約50:1、または約100:1である。さらなる実施形態において、酸は第1または第2の溶媒と混合されてもよく、酸の溶媒に対する比率は99:1、90:10、75:25、50:50、25:75、20:80、10:90または1:90である。他の実施形態において、酸は酢酸であり、第1または第2の溶媒は水である。他の実施形態において酸性は固体酸をエマルジョン、懸濁液またはゲル調合物へ添加することによってもたらされる。
反応混合物中の総酸含有量を変えて、最終生成物の特性を変更することができる。一部の実施形態において、酸はモノマ成分の重量を基準に、低くは約1%、約3%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、または約40%から高くは約50%、約55%、約60%、約70%または約75%の割合で存在し得る。他の実施形態において、酸はモノマ成分の重量を基準に、約5%から約50%、約5%から約15%、約10%から約25%、約15%から約35%、約15%から約45%、約25%から約45%、または約30%から約50%の範囲の量で存在し得る。他の実施形態において、酸はモノマ成分の重量を基準に、約5%から約40%の範囲、例えば約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%の量で存在し得る。
適切なポリカルボン酸の例として、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸、ペンタカルボン酸など、そして単量体のポリカルボン酸、無水物、およびこれらの任意の組合せ、ならびに重合体のポリカルボン酸、無水物、およびこれらの任意の組合せが挙げられる。好ましくは、ポリカルボン酸アンモニウム塩反応物は、メイラード反応の炭水化物反応物との反応に利用可能な状態を維持する能力を最大限に高められるよう、十分に不揮発性である。同様に、炭水化物源とアミン反応物の混合物を部分的に事前反応させることにより、ポリカルボン酸アンモニウム塩反応物を含む、適切なアミン反応物のリストを拡大することができる。別の例において、ポリカルボン酸アンモニウム塩反応物は他の化学官能基に置換され得る。
単量体ポリカルボン酸の典型例として不飽和脂肪族ジカルボン酸、飽和脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、不飽和環状ジカルボン酸、飽和環状ジカルボン酸、これらのヒドロキシ置換誘導体などが挙げられるが、これらに限定されない。他の適切なポリカルボン酸の例として不飽和脂肪族トリカルボン酸、飽和脂肪族トリカルボン酸(クエン酸など)、芳香族トリカルボン酸、不飽和環状トリカルボン酸、飽和環状トリカルボン酸、これらのヒドロキシ置換誘導体などが挙げられる。係るポリカルボン酸は場合によりヒドロキシ、ハロ、アルキル、アルコキシなどに置換され得るという点を理解されたい。他の適切なポリカルボン酸の例としてアコニット酸、アジピン酸、アゼライン酸、ブタンテトラカルボン酸ジヒドリド、ブタントリカルボン酸、クロレンド酸、シトラコン酸、ジシクロペンタジエン−マレイン酸付加物、ジエチレントリアミン五酢酸、ジペンテンとマレイン酸の付加物、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、完全にマレイン化されたロジン、マレイン化トール油脂肪酸、フマル酸、グルタル酸、イソフタル酸、イタコン酸、マレイン化ロジンを過酸化カリウムで酸化し、アルコールを経てカルボン酸にしたもの、マレイン酸、マリック酸、メサコン酸、ビフェノールAまたはビスフェノールFを二酸化炭素とのコルベ・シュミット反応により3〜4のカルボキシル基を導入したもの、シュウ酸、フタル酸、セバシン酸、コハク酸、酒石酸、テレフタル酸、テトラブロモフタル酸、テトラクロロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸など、およびこれらの無水物、およびこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
適切な重合体ポリカルボン酸の例として、複数のペンダント型カルボキシ基を含有する有機ポリマまたはオリゴマが挙げられる。重合体ポリカルボン酸は、不飽和カルボン酸(例としてアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、経皮酸、2−メチルマレイン酸、イタコン酸、2−メチルイタコン酸、α,β−メチレングルタル酸などが挙げられるが、これらに限定されない)から調製されたホモポリマまたはコポリマであってもよい。重合体ポリカルボン酸はまた、不飽和無水物から調製することもできる。不飽和無水物の例として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸など、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
好適な重合体ポリカルボン酸の例としてポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸などが挙げられる。市販されているポリアクリル酸の例としてAQUASET−529(Rohm & Haas社(米国ペンシルベニア州フィラデルフィア))、CRITERION 2000(Kemira社(欧州フィンランド、ヘルシンキ)、NF1(H.B.Fuller社(米国ミネソタ州セントポール))、およびSOKALAN(BASF社(欧州ドイツ、ルートヴィヒスハーフェン))が挙げられる。SOKALANに関して、これはアクリル酸とマレイン酸から調製された、分子量約4,000の水溶性ポリアクリル酸コポリマであると考えられている。AQUASET−529は、グリセロールで架橋されたポリアクリル酸を含有するとともに、触媒としての次亜リン酸ナトリウムも含有する組成物であると理解されている。CRITERION 2000は、ポリアクリル酸の部分塩の酸性溶液で、分子量は約2,000であると考えられている。NF1はカルボン酸官能性とヒドロキシ官能性のほか、いずれも官能性でない単位も含有するコポリマであると考えられているとともに、次亜リン酸ナトリウムまたは有機リン酸触媒など連鎖移動剤を含有するとも考えられている。
ポリカルボン酸と反応させるためのアミン反応物の例としてアンモニア、第1級アミン、すなわちNH2R1、および第2級アミン、すなわちNH2R2(R1とR2はそれぞれ独立にアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテリアリール基から成る群から選択される)が挙げられるが、これらに限定されない。アミン塩基は、バインダ組成物の部分事前反応中または熱硬化中におけるメイラード反応物の混合物での反応を十分に促進できる条件下で、揮発性または実質的に不揮発性であってもよい。適切なアミン塩基の例として、実質的に揮発性の塩基、実質的に不揮発性の塩基、またはこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。実質的に揮発性の塩基の典型例としてアンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、エチルプロピルアミン、またはこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。実質的に不揮発性の塩基の典型例としてアニリン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、パラ−アミノフェノール、またはこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
メイラード反応物の混合物の一例として、アンモニア水、クエン酸およびデキストロース(グルコース)の混合物が挙げられる。この混合物における、ポリカルボン酸クエン酸反応物(アンモニアによるクエン酸のCOOH基の中和後に生成される)上に存在する酸塩基のモル当量数の、炭水化物反応物上に存在するヒドロキシル基のモル当量数に対する比率は、約0.04:1から約0.15:1の範囲であってもよい。したがって、一実施形態において、デキストロース炭水化物反応物上に存在するヒドロキシル基のモル当量数は、ポリカルボン酸クエン酸反応物上に存在する酸塩基のモル当量数の約25倍となり得る。別の実施形態において、デキストロース炭水化物反応物上に存在するヒドロキシル基のモル当量数は、ポリカルボン酸クエン酸反応物上に存在する酸塩基のモル当量数の約10倍である。さらに別の実施形態において、デキストロース炭水化物反応物上に存在するヒドロキシル基のモル当量数は、ポリカルボン酸クエン酸反応物上に存在する酸塩基のモル当量数の約6倍である。
前述のとおり、メイラード反応物の混合物は、炭水化物源と、これとのメイラード反応に参加する能力のあるアミン反応物とを含み得る。前述のとおり、メイラード反応物の混合物は、炭水化物源とアミン反応物の部分的に反応した混合物をも含み得る。例えば、炭水化物源は、炭水化物源とのメイラード反応に参加する能力のあるアミン反応物と混合することができ、この混合物を低くは約40℃、約50℃、約60℃、または約70℃から高くは約80℃、約90℃、約95℃、約100℃、約110℃、約120℃、約130℃、約140℃、または約150℃まで、メイラード反応の開始に至る十分な時間にわたり加熱することができるが、バインダ組成物が最終的に調合される前に、反応を完了に至るまで進行させてはならない。適切なメイラード反応物およびメイラード反応生成物に関する論考および説明は、米国特許出願公開第2009/0301972号に記載されている。
1つ以上の実施形態において、フェノール性化合物および架橋性化合物のモノマ成分は、1つ以上の炭化水素樹脂と部分的にまたは完全に反応し得る。炭化水素樹脂の典型例としてポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート、エチレンエチルアクリレート、ポリウレタン、天然ポリマ、スチレンイソプレンスチレン、アクリルニトリルブタジエンスチレン、スチレンブタジエンスチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリルポリマ、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、パインロジン(例:トール油ロジン、ウッドロジン、ゴムロジン)、改変ロジン(例:不均化ロジン、水素化ロジン、重合ロジンまたはオリゴマ化ロジン、ディールスアルダーロジン付加物)、ロジンエステル(例:水素化ロジンエステル、重合ロジンエステル、フェノール性改変ロジンエステル、二塩基酸改変ロジンエステル(このロジンエステルはトール油ロジン、ウッドロジンおよび/またはゴムロジンから誘導され得る)、ポリスルフィド、スチレンアクリロニトリル、ナイロン、フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂、またはこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。他の炭化水素樹脂の典型例としてC5炭化水素のオリゴマ(例:シクロペンタジエンのオリゴマ)、C9炭化水素のオリゴマ(例:芳香族炭化水素タッキファイヤと呼ばれることの多い、α−メチルスチレンおよびビニルトルエンのオリゴマ)、テルペン樹脂(例:α−ピネン、β−ピネンおよびリモネンなどテルペンのオリゴマ)、テルペンおよびフェノール系樹脂のオリゴマ反応生成物、クマロンインデン樹脂、テルペンおよびスチレン系樹脂のオリゴマ反応生成物、脂環式樹脂(例:ジシクロペンタジエンベースの樹脂)、粗トール油、蒸留トール油、またはこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。炭化水素樹脂は、存在する場合、重合前、重合中、および/または重合完了後に添加することができる。
別の例において、モノマ成分中の架橋性化合物を少なくとも部分的に、1つ以上の炭水化物に置換することができる。1つ以上の炭水化物の例として1つ以上の単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、またはこれらの任意の組合せが挙げられる。1つ以上の実施形態において、1つ以上の炭水化物は1つ以上のアルドース糖を含み得る。1つ以上の実施形態において、単糖は、D−グルコース(デキストロース一水和物)、L−グルコース、もしくはこれらの組合せであるか、または、D−グルコース(デキストロース一水和物)、L−グルコース、もしくはこれらの組合せを含んでもよい。他の炭水化物の例としてグリセルアルデヒド、エリトロース、トレオース、リボース、デオキシリボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトース、グルコース、マンノース、イドース、ガラクトース、タロース、およびこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。炭水化物は、デキストリン、マルトデキストリンおよび酸化マルトデキストリンなどの1つ以上の還元もしくは改変されたデンプンであるか、または、デキストリン、マルトデキストリンおよび酸化マルトデキストリンなどの1つ以上の還元もしくは改変されたデンプンを含んでもよい。
界面活性剤は必要でない(また特定の実施形態では存在しない)が、一部の実施形態は界面活性剤の使用を含む。界面活性剤は、混合物、ポリマ相および/または連続相と混合されるか、または他の任意の適切な方法で工程に含まれ得る。界面活性剤を含む一部の実施形態において、連続相との混合前にポリマ相を事前反応させる結果、ポリマ前駆体は少なくとも部分的に重合される。
界面活性剤は、2つの非混和性溶液のエマルジョンに有用な、数多くの界面活性剤から選択され得る。例えば、一部の実施形態において、界面活性剤は非イオン性界面活性剤を含む。例えば、非イオン性界面活性剤は、SPAN(商標)80、SPAN(商標)85、SPAN(商標)65、SPAN(商標)60、SPAN(商標)40、SPAN(商標)20、TWEEN(登録商標)80、TWEEN(登録商標)40、TWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)21、TWEEN(登録商標)60、Triton−X(登録商標)100、またはこれらの任意の混合物など、ソルビタン界面活性剤であってもよい。別の実施形態において、界面活性剤は、分子量が約100ダルトンから約2,000ダルトンである非イオン性界面活性剤であるか、または分子量が約100ダルトンから約2,000ダルトンである非イオン性界面活性剤を含んでもよい。1つ以上の実施形態において、適切な非イオン性界面活性剤は分子量が低くは約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、または約900ダルトンから、高くは約1,100、約1,300、約1,500、約1,700、約1,900、約2,100、約2,300、約2,500、約2,700、約3,000、約3,300、約3,500、約3,700、または約4,000ダルトンであってもよい。一部の実施形態において、界面活性剤はSPAN(商標)80であるか、またはSPAN(商標)80を含んでもよい。他の実施形態において、界面活性剤はSPAN(商標)20であるか、またはSPAN(商標)20を含んでもよい。他の実施形態において、エチルセルロース、グリコール、アルキルエーテルなど多官能性アルコールが、安定剤および/または界面活性剤として使用され得る。
係る界面活性剤は当該技術分野において公知であり、またSigma−Aldrich社(モンタナ州セントルイス)をはじめ多数の供給元から市販されている。理論に束縛されることは望まないが、混合物中に存在する界面活性剤の量は、結果的に得られるゲルおよび/または炭素材料の物理的特性を制御する目的で修正できる1つのパラメータであってもよいと考えられている。例えば、界面活性剤の濃度が約2%未満の場合、これはメソ多孔質炭素に関連付けることができる一方、より高い界面活性剤はミクロ多孔質炭素に関連付けることができる。しかし、高濃度の界面活性剤(例:約30%超)はあまり効果的でないようである。界面活性剤は一部の実施形態において望ましい場合がある一方、開示される方法のすべての実施形態において要求されるわけではない。
一部の実施形態において界面活性剤が存在する場合、反応混合物は、低くは約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.5%、約1%、約1.5%、約2%、約3%または約5%から、高くは約7%、約10%、約12%、約14%、約16%、約18%、約20%、約22%、約24%または約26%の界面活性剤(w/w)を含み得る。例えば、反応混合物は約0.2%から約20%、約0.6%から約15%、約4%から約13%、約7%から約14%、約9%から約11%または約8%から約14%の界面活性剤(w/w)を含み得る。他の実施形態において、反応混合物は約0.1%から約10%の界面活性剤(w/w)、例えば約5%の界面活性剤(w/w)を含み得る。他の実施形態において、反応混合物は約0.1%から約2%の界面活性剤(w/w)、例えば約0.5%または約1%の界面活性剤(w/w)を含み得る。他の実施形態において、反応混合物は約0.01%から約1.0%の界面活性剤(w/w)、例えば約0.1%から約1.0%の界面活性剤(w/w)を含み得る。他の実施形態において、反応混合物は約1.0%から約2.0%の界面活性剤(w/w)を含み得る。他の実施形態において、反応混合物は約2.0%から約5.0%の界面活性剤(w/w)を含み得る。他の実施形態において、反応混合物は約5.0%から約10%の界面活性剤(w/w)を含み得る。一部の特定の実施形態において、反応混合物は約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%または約2.0%の界面活性剤(w/w)を含み得る。他の実施形態において、反応混合物は約9.0%から約11.0%、約0.05%から約1.1%、または約0.9%から約1.1%の界面活性剤(w/w)を含み得る。
一部の実施形態において、界面活性剤レベルはCMCを超える濃度であってもよい。他の実施形態において、界面活性剤レベルはCMC未満の濃度であってもよい。例えば、界面活性剤レベルはCMCの100%未満、95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.3%未満、0.1%未満、0.05%未満、または0.01%未満の濃度で存在し得る。少なくとも1つの特定の実施形態において、エマルジョン、懸濁液またはこれらの組合せは界面活性剤を全く含まないものであってもよい。
連続相は別の工程パラメータであり、これを変えることにより、ポリマゲルおよび炭素材料について所望の特性(例:表面積、多孔性、純度、粒子サイズなど)を得ることができる。例えば、本発明では驚くことに、連続相を入念に選択することにより、最終のポリマゲルおよび炭素材料の多孔性を制御できることが判明した(実施例に記載のデータを参照のこと)。したがって、本発明の方法は、任意の所望の多孔性を有する炭素材料(および前駆体ゲル)の調製能力を提供する。連続相の入念な選択のさらなる利点は、工程の拡張性にある。例えば、毒性、可燃性などが低い連続相を選択すると、他の既知のポリマ工程よりも工程を拡張しやすくなる。
本発明の方法の特定の実施形態におけるさらなる利点は、結果的に得られるゲル粒子の所望の粒子サイズを得るために、連続相を選択できるという点にある。本発明の裏付けとして行った実験で予想外に、細孔構造を実質的に同じ状態に維持しながら、ゲル粒子サイズを大幅に変えられることが判明した。したがって、本発明の方法は、最終のゲルまたは炭素生成物の細孔構造に対する制御を犠牲にすることなく、最適な処理特性(例:濾過、熱分解など)を得るために粒子サイズを適応させる柔軟性を大幅に持たせることができる。さらに、特定の実施形態において、最終の炭素材料の粒子サイズを、連続相の選択(または他の、本明細書に記載の工程パラメータ)によって適応させることができ、粉砕または他の物理的な粒子サイズ調整手段は不要である。
ゲル粒子のサイズに影響を及ぼすことが既に示されている連続相特性の例として粘度や分子量(例:炭化水素鎖長)が挙げられる。様々な粘度を有する連続相は、本発明の方法の実施に有用であり、連続相の粘度は特に制限があるわけではない。該方法の特定の実施形態において、25℃の条件で低くは約1.0cP、約3cP、約5cP、約7cP、約10cP、約15cP、約25cP、約40cP、または約60cPから、高くは100cP、約125cP、約150cP、約175cP、約200cP、約225cP、約250cP、約275cP、約300cP、約400cP、または約500cPの粘度を有する連続相が選択される。例えば、特定の実施形態において、25℃の条件で約2.5cPから約200cP、または約5cPから約100cPの粘度を有する連続相を採用し得る。他の実施形態において、連続相は25℃の条件で約10cP、約20cP、約30cP、または約40cPの粘度を有し得る。様々な実施形態において、連続相の実施形態は80℃の条件で判定することができ、低くは約1.0cP未満から約100cPまでの範囲であってもよい。例えば、特定の実施形態では80℃の条件で低くは約1cP、約2.5cP、約5cP、約10cP、約20cP、または約30cPから、高くは約40cP、約50cP、約60cP、約70cP、約80cP、約90cP、または約100cPの粘度を有する連続相を採用することができる。別の実施形態において、連続相は80℃の条件で約1cPから約75cP、または約2.5cPから約50cPの粘度を有し得る。他の実施形態において、連続相の粘度は80℃の条件で約5cP、約10cP、約20cP、または約30cPであってもよい。他の実施形態において、連続相の粘度を工程の途中または全体を通じて変化させることが望ましい場合がある。例えば、粒子形成段階では高めの粘度が望ましく、分離段階では低めの粘度が有益となる場合がある。他の実施形態において、望ましい粘度目標が逆転する場合もある。
特定の連続相(例:パラフィン系油脂)の炭化水素鎖長も、これを変えることにより、粒子サイズなど所望の特性を有するゲルおよび炭素材料を得ることができる。連続相または担体流体の炭化水素鎖長は、短くは炭素が約10個、約15個、約20個、約25個、または約30個から、長くは炭素が約50個、約60個、約70個、約80個、約90個、または約100個の範囲となり得る。例えば、連続相または担体流体の炭化水素鎖長は、炭素が約15個から約40個、約10個から約20個、約10個から約35個、約15個から約50個、約20個から約40個、約20個から約60個、約25個から約35個、約25個から約40個、約25個から約45個、約30個から約40個、約35個から約45個、または約30個から約50個の範囲であってもよい。特定の実施形態において、炭化水素鎖長は、炭素が約20個、約25個、約30個、約35個、または約40個であってもよい。1つ以上の実施形態において、連続相または担体流体の約50%以上における炭化水素鎖長が、短くは炭素が約10個、約15個、約20個、約25個、または約30個から、長くは炭素が約50個、約60個、約70個、約80個、約90個、または約100個の範囲となり得る。1つ以上の実施形態において、連続相または担体流体の約60%以上における炭化水素鎖長が、短くは炭素が約10個、約15個、約20個、約25個、または約30個から、長くは炭素が約50個、約60個、約70個、約80個、約90個、または約100個の範囲となり得る。1つ以上の実施形態において、連続相または担体流体の約70%以上における炭化水素鎖長が、短くは炭素が約10個、約15個、約20個、約25個、または約30個から、長くは炭素が約50個、約60個、約70個、約80個、約90個、または約100個の範囲となり得る。1つ以上の実施形態において、連続相または担体流体の約80%以上における炭化水素鎖長が、短くは炭素が約10個、約15個、約20個、約25個、または約30個から、長くは炭素が約50個、約60個、約70個、約80個、約90個、または約100個の範囲となり得る。1つ以上の実施形態において、連続相または担体流体の約90%以上における炭化水素鎖長が、短くは炭素が約10個、約15個、約20個、約25個、または約30個から、長くは炭素が約50個、約60個、約70個、約80個、約90個、または約100個の範囲となり得る。1つ以上の実施形態において、連続相または担体流体の約100%における炭化水素鎖長が、短くは炭素が約10個、約15個、約20個、約25個、または約30個から、長くは炭素が約50個、約60個、約70個、約80個、約90個、または約100個の範囲となり得る。
連続相は、前述のとおり粒子の形成(サイズ)だけでなく、汚損にも影響を及ぼす。適切な連続相を選択するために重要となる基準は、a)連続相の化学構造中に存在する官能基の種類と量、b)化学構造が飽和であるか、または不飽和のどちらであるか、c)比重、d)粘度、およびe)表面張力である。
一部の実施形態において、剪断率が粒子サイズおよび汚損に影響を及ぼすと認められている。剪断率が低いと、より大型の粒子を生み出すと考えられている。適切な連続相を、低い剪断率と組み合わせると、粒子の形成と汚損低減の両面で有益となり得る。
粒子形成温度は、粒子サイズと汚損に影響を及ぼすことが示されている。一実施形態において、粒子形成温度を低くしたところ(例:65℃)、汚損の低減と、やや大きめの粒子生成に役立った。
本発明の方法の実施形態の一部において、ポリマ相と連続相または担体流体は相互に混和性でなく、エマルジョンまたは懸濁液が形成される。他の実施形態では、ポリマ相と連続相または担体流体が相互に混和性であるか、部分的に混和性である。この場合、ポリマ相は連続相との混和性が反応過程の進行につれ低くなり得る。この点に関し、特定の実施形態は、選択的溶媒が水溶性および/または極性の溶媒であり、連続相が有機および/または非極性の溶媒である方法が対象である。適切な水溶性および/または極性の溶媒の例として水、水/酢酸、アルコール(例:エタノール、メタノールなど)、極性エーテル(例:PEGなど)、有機酸(例:酢酸)、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。アルコールの典型例としてメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。他の適切な液状媒体の例としてアセトン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、またはこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、選択的溶媒が存在する。特定の実施形態において、選択的溶媒が存在し、これは水を含む。例えば、一部の実施形態において、ポリマ相は水または酢酸/水混合物を含む。
連続相または担体流体としての使用に適する有機および/または非極性の溶媒の例として炭化水素溶媒、芳香族溶媒、油、非極性エーテル、ケトンなどが挙げられる。例えば、適切な有機および/または非極性の溶媒の例としてヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、エチルメチルケトン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、鉱油、パラフィン油、イソパラフィン系流体、植物由来油脂が挙げられるが、これらに限定されず、また当業者はありとあらゆる非水溶性流体を使用することができる。一部の実施形態において、連続相は有機溶媒、例えば炭化水素溶媒である。より特異的な実施形態において、連続相はシクロヘキサン、鉱油、パラフィン系油脂、キシレン、イソパラフィン系油脂、またはこれらの組合せである。他の実施形態において、連続相はシクロヘキサン、パラフィン系油脂、キシレン、イソパラフィン系油脂、またはこれらの組合せである。一部の特異的実施形態において、連続相はパラフィン系油脂を含む。他の特異的実施形態において、選択的溶媒が存在し、これは水を含み、連続相はシクロヘキサン、鉱油、キシレン、水、またはこれらの組合せを含む。特定の実施形態において、連続相の粘度は、ポリマゲルにおける特定の特性(例:粒子サイズ)が制御されるよう選択される。
1つ以上の実施形態において、連続相または担体流体は、1つ以上の炭化水素、水、もしくはこれらの組合せであるか、または、1つ以上の炭化水素、水、もしくはこれらの組合せを含んでもよい。担体流体の典型例としてパラフィン系油脂、ナフテン系油脂、芳香族油脂、またはこれらの任意の組合せが挙げられる。パラフィン系炭化水素の典型例として鉱油またはこれらの任意の組合せが挙げられる。適切な鉱油の例として、約15個から約40個の炭素原子を有する1つ以上のアルカンが挙げられる。ナフテン系油脂の典型例として、シクロアルカンを基剤とする炭化水素が挙げられる。シクロアルカンの典型例としてシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクトオクタン、シクロノナン、シクロデカン、またはこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。別の適切な担体流体は、1つ以上の植物ベースの油脂もしくは植物由来の油脂であるか、または、1つ以上の植物ベースの油脂もしくは植物由来の油脂を含んでもよい。植物ベースまたは植物由来の油脂の典型例として亜麻仁油、ヒマシ油、キリ油、大豆油、綿実油、オリーブ油、キャノーラ油、コーン油、ヒマワリ種子油、ピーナッツ油、ヤシ油、パーム油、植物油、またはこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。適切な市販の植物油の例として、CONAGRA FOODS(登録商標)社が商標名WESSON(登録商標)で販売している植物油、キャノーラ油、コーン油、混合油などが挙げられるが、これらに限定されない。別の適切な担体流体は1つ以上の塩素化炭化水素であるか、または1つ以上の塩素化炭化水素を含んでもよい。塩素化炭化水素の典型例として四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、またはこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。任意の種類の水を担体流体として、もしくは少なくとも担体流体の一部を構成する要素として使用することができる。例えば、水は蒸留水、脱イオン水、またはこれらの組合せであってもよい。
水を含有するまたは含む担体流体を使用すると、炭化水素を使用した場合に比べ、ゲル形態でのポリマ粒子生産に付随する費用削減に繋がり得る。水を含有するまたは含む担体流体を使用すると、1つ以上の炭化水素を含有し、かつ水を全く含まないか、または水を実質的に含まない、例えば含水率5wt%未満の担体流体に比べ、担体流体と相対的なモノマ成分濃度を引き上げることも可能となる。言い換えれば、多量の水、例えば約50wt%を超える水であるまたは含む担体流体は、多量の水以外の流体、例えば約50wt%を超える炭化水素であるまたは含む担体流体に比べ、より高濃度の懸濁液および/またはエマルジョンの形成を可能にする。水であるまたは含む担体流体を使用すると、1つ以上の炭化水素から成る何らかの残留担体流体を少なくとも部分的に除去することも可能となり得る。1つ以上の実施形態において、反応混合物の形成に使用される担体流体の水濃度は、低くは約1wt%、約3wt%、約5wt%、約10wt%、約15wt%、約20wt%、約25wt%、約30wt%、約35wt%、または約40wt%から、高くは約50wt%、約55wt%、約60wt%、約65wt%、約70wt%、約75wt%、約80wt%、約85wt%、約90wt%、約95wt%、または約100wt%であってもよい。1つ以上の実施形態において、反応混合物の形成に使用される担体流体は、水を全く含有していなくてもよい。
担体流体の沸点は、大気圧の状態で、約40℃以上、約50℃以上、約60℃以上、約70℃以上、約80℃以上、約90℃以上、約100℃以上、約110℃以上、約120℃以上、約130℃以上、約140℃以上、約150℃以上、約175℃以上、約200℃以上、約225℃以上、または約250℃以上であってもよい。担体流体の沸点は、モノマ成分が重合作用を受ける条件のときに約40℃以上、約50℃以上、約60℃以上、約70℃以上、約80℃以上、約90℃以上、約100℃以上、約110℃以上、約120℃以上、約130℃以上、約140℃以上、約150℃以上、約175℃以上、約200℃以上、約225℃以上、または約250℃以上であってもよい。担体流体の引火点は、約−25℃超、約−20℃超、約−10℃超、約0℃超、約10℃超、約20℃超、約30℃超、約40℃超、約50℃、または約60℃超であってもよい。
1つ以上の実施形態において、担体流体はシクロアルカン、例えばシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどを全く含まないか、または実質的に含まないものであってもよい。本明細書で使用する「シクロアルカンを実質的に含まない」という文言は、担体流体におけるシクロアルカン含有率が3wt%未満、2wt%未満、1wt%未満、0.9wt%未満、0.8wt%未満、0.7wt%未満、0.6wt%未満、0.5wt%未満、0.4wt%未満、0.3wt%未満、0.2wt%未満、0.1wt%未満、0.07wt%未満、0.05wt%未満、0.03wt%または0.01wt%未満であることを指す。1つ以上の実施形態において、担体流体はシクロアルカン、例えばシクロヘキサンを全く含まないか、または実質的に含まない、例えば含有率1wt%未満であってもよい。相応に、加えて指摘しておくべき点として、本発明の懸濁液および/またはエマルジョン重合工程と、従来的な、ゲル形態のポリマ粒子生産に用いられる逆相エマルジョン重合工程との間におけるもう1つの違いは、担体流体としてのシクロヘキサンの使用を回避できるという点にあると考えられる。同様に、本発明の懸濁液および/またはエマルジョン重合工程と、従来的な、ゲル形態のポリマ粒子生産に用いられる逆相エマルジョン重合工程との間におけるもう1つの違いは、担体流体としてのシクロアルカンの使用を回避できるという点にあると考えられる。
1つ以上の実施形態において、担体流体は、1つ以上のシクロアルカン、例えばシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどであるか、または1つ以上のシクロアルカン、例えばシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどを含んでもよい。例えば、担体流体は、担体流体の総重量に対して、低くは約0.1wt%、約1wt%、約3wt%、約5wt%、約10wt%、約20wt%、約30wt%、または約40wt%から、高くは約50wt%、約60wt%、約70wt%、約80wt%、約90wt%、または約100wt%の、1つ以上のシクロアルカンを含み得る。言い換えれば、少なくとも1つの特異的実施形態において、担体流体は任意の量のシクロアルカンまたは任意の量のシクロアルカンの組合せを含み得る。少なくとも1つの実施形態において、担体流体中のシクロヘキサン含有率は約1wt%から約20wt%、約10wt%から約30wt%、約20wt%から約40wt%、約30wt%から約50wt%、約40wt%から約60wt%、約50wt%から約70wt%、約60wt%から約80wt%、約70wt%から約90wt%、または約80wt%から約100wt%の範囲であってもよい。1つ以上の実施形態において、担体流体は、100wt%、95wt%未満、90wt%未満、85wt%未満、80wt%未満、75wt%未満、70wt%未満、65wt%未満、60wt%未満、55wt%未満、50wt%未満、45wt%未満、40wt%未満、35wt%未満、30wt%未満、25wt%未満、20wt%未満、15wt%未満、10wt%未満、5wt%未満、4wt%未満、3wt%未満、2wt%未満、または1wt%未満の量の1つ以上のシクロアルカンであるか、または含むことができる。
一部の実施形態において、大規模生産を行いやすいよう連続相を選択することができる。この点に関して、大規模生産の場合に重要となる連続相の特性の例として、低毒性、低可燃性、価格および/または最終生成物から除去しやすいことなどが挙げられる。連続相はまた、高純度を有するよう選択することもでき、この選択が転じて最終のポリマゲルおよび/または炭素材料の高純度に貢献し得る。この点に関して、純度が99%超、99.5%超、99.9%超、99.99%超、さらには99.999%超の連続相を使用することができる。特定の実施形態において、ポリマ前駆体成分は単一の水相内で一体的に混合され、その後、当該技術分野において公知の技法を用いて外側の(outer)非水相により乳化または懸濁され、その後、水相内での前駆体の完全な重合を十分に達成できる、ある時間および温度にて保持される。他の実施形態において、前駆体成分は単一の水相内で一体的に混合され、そして部分的な重合を十分に達成できる、ある時間および温度にて保持され、その後、当該技術分野において公知の技法を用いて外側の非水相内で懸濁され、その後、水相内である時間にわたり保持され、前駆体の完全な重合を達成する。この実施形態において、部分的な重合段階の結果、粘度が高くなる場合があり、これにより、部分的に重合した水相と非水相の乳化/懸濁エネルギ条件および粘度に応じて、ポリマ樹脂粒子のサイズの制御が可能となる。他の実施形態において、前駆体成分は単一の水相内で一体的に混合され、そして部分的な重合を十分に達成できる、ある時間および温度にて保持され、その後、当該技術分野において公知の技法を用いて外側の水相内で懸濁され、その後、水相内である時間にわたり保持され、前駆体の完全な重合を達成する。この実施形態において、部分的な重合段階の結果、粘度が高くなる場合があり、これにより、部分的に重合した水相と連続相の乳化エネルギ条件、粘度および混和性に応じて、ポリマ樹脂粒子のサイズの制御が可能となる。他の実施形態において、ポリマ相の粘度と連続相の粘度の特異的制御を選択することにより、適切な粒子形成を可能にすることができる。
本明細書に記載の任意の1つ以上の成分が2つ以上の異なる化合物を含む場合、これら2つ以上の異なる化合物は相互に任意の比率で存在していてもよい。例えば、フェノール性化合物が第1のフェノール性化合物と第2のフェノール性化合物とを含む場合、これらのフェノール性化合物は、第1および第2のフェノール性化合物の総重量を基準に、第1のフェノール性化合物の濃度が約1wt%から約99wt%の範囲、そして逆に第2のフェノール性化合物の濃度が約99wt%から約1wt%の範囲であってもよい。別の例において、第1のフェノール性化合物の含有率は、第1および第2のフェノール性化合物の総重量を基準に、低くは約5wt%、約10wt%、約15wt%、約20wt%、約25wt%、約30wt%、約35wt%、約40wt%、または約45wt%から、高くは約60wt%、約65wt%、約70wt%、約75wt%、約80wt%、約85wt%、約90wt%、または約95wt%の範囲であってもよい。架橋性化合物、触媒および/または液状媒体が2つ以上の異なる成分を含む場合、これら2つ以上の異なる化合物も第1および第2のフェノール性化合物と同様の含有率で存在していてもよい。
モノマ成分の懸濁液および/またはエマルジョン重合は、1つ以上の充填材料の存在下で行うことができる。言い換えれば、懸濁液および/またはエマルジョンは1つ以上の充填材料を含み得る。充填材料は、モノマ成分、プレポリマ、担体流体、またはこれらの組合せと組合わされ得る。充填材料は固体粒子、中空粒子、多孔質粒子、またはこれらの任意の組合せであるか、固体粒子、中空粒子、多孔質粒子、またはこれらの任意の組合せを含んでもよい。充填材料の典型例として、ペカンの殻など自然に存在する有機充填材料、無機酸化物、無機炭化物、無機窒化物、無機水酸化物、ヒドロキシド被覆を有する無機酸化物、無機炭窒化物、無機オキシ窒化物、無機ホウ化物、無機ホウ素炭化物、またはこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。充填材料としての使用に適する材料は、米国特許出願公開第2006/0078682号および第2008/0277115号に記載の材料を含み得る。充填材料はゲル形態のポリマで被覆することにより、充填材料のコアを有するゲル形態のポリマ粒子と、その表面にゲルを沈着させた外側層を生み出すことができる。ゲル形態の粒子は、単一の充填剤成分もしくは充填剤粒子、または複数の充填剤成分もしくは充填剤粒子を含み得る。例えば、ゲル形態の粒子は場所を問わず、約1から約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約150、約200、約250、約500、約1,000、約1,500、約2,000、約10,000、約20,000またはそれ以上の離散的充填剤成分を含み得る。充填剤成分のサイズは、少なくとも部分的に、任意のゲル形態のポリマ粒子内における特定の充填材成分の数を決定付ける要因となり得る。
モノマ成分の懸濁液および/またはエマルジョン重合はまた、1つ以上のオルトケイ酸テトラアルキルまたは他のオルトケイ酸塩の存在下で、ゲル形態のポリマ粒子の収率、架橋密度、および/または強度を高める目的でも行われ得る。オルトケイ酸テトラアルキルの典型例としてオルトケイ酸テトラエチル、オルトケイ酸テトラメチル(TMOS)、またはこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
反応混合物、モノマ成分、担体流体、ゲル形態のポリマ粒子、乾燥ポリマ粒子(ゲル形態の粒子から任意の液体の少なくとも一部を除去することにより生成される)、懸濁液および/またはエマルジョン、またはこれらの任意の組合せに対し、金属イオンを意図的にドープ処理または添加することもできる。例えば、金属ドープ処理フルフラールなどの金属ドープ処理炭化水素をモノマ成分および/または懸濁液および/またはエマルジョンと組み合わせて、金属をゲル形態のポリマ粒子へ添加する、および/または炭素収率を高めることができる。
反応混合物、モノマ成分、担体流体、ゲル形態のポリマ粒子、乾燥ポリマ粒子(ゲル形態の粒子から任意の液体の少なくとも一部を除去することにより生成される)、懸濁液および/またはエマルジョン、またはこれらの任意の組合せに対し、窒素含有電気化学改変剤を意図的にドープ処理または添加することができる。例えば、窒素含有量の多い化合物をモノマ成分および/または懸濁液および/またはエマルジョンと組み合わせて、ゲル形態のポリマ粒子へ窒素を添加することができる。ゲル形態および/または乾燥形態のポリマ粒子中の窒素の添加または濃度上昇により、炭化粒子など、1つ以上の最終生成物のキャパシタンスを改善することができる。窒素源または窒素含有電気化学改変剤の典型例として尿素、メラミン、硝酸、またはこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書にて議論および記載した懸濁液および/またはエマルジョン重合方法に代わる代替法として、1つ以上の代替的重合工程を用いてゲル形態および/または非ゲル形態のポリマ粒子を生産することができる。例えば、1つの代替的工程の例として、モノマ成分がまず気相内に存在し、そして流動化媒体またはガス状媒体内でポリマ粒子が形成される、気相重合が挙げられるが、これに限定されない。
加えて指摘しておくべき点として、モノマ成分、プレポリマ、またはこれらの組合せは、1つ以上の他の添加物をもさらに含み得る。添加物の典型例として硫黄、カーボンブラック、抗酸化剤、酸化亜鉛、促進剤、セルロース、充填剤、レオロジー改変剤、増厚剤、湿潤剤、着色剤、潤滑剤、平滑剤、UV安定剤、可塑剤、シリカ、加工油、軟化油、発泡剤、またはこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の他の添加物がモノマ成分中に存在する場合、1つ以上の他の添加物の総量は、低くは約0.001wt%、約0.01wt%、約0.1wt%、約0.5wt%、約1wt%、約2wt%、約3wt%、または約5wt%から、高くは約10wt%、約15wt%、約20wt%、約25wt%、約30wt%、約35wt%、約40wt%、約45wt%、または50wt%の量で存在し得る。
反応パラメータの例として、1つ以上のポリマ前駆体が相互に反応してゲル形態のポリマ粒子を形成できる十分な温度および時間での反応混合物の経時変化(aging)が挙げられるが、これに限定されない。この点に関して、適切な経時変化温度の範囲は、室温から、連続相の沸点または沸点付近までの温度範囲である。より高い反応温度は、より沸点が高い化学物質の使用、もしくは昇圧条件下でのプレポリマの調製のいずれかの手段によって達成することができる。例えば、一部の実施形態において、エマルジョン、懸濁液、またはこれらの組合せを、低くは約10℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、または約75℃から、高くは約100℃、約120℃、約140℃、約160℃、約180℃、約200℃、約225℃、または約250℃までの温度範囲で経時変化させることができる。例えば、エマルジョン、懸濁液、またはこれらの組合せを、約20℃から約140℃、約40℃から約120℃、約50℃から約115℃、約60℃から約110℃、または約65℃から約105℃の温度範囲で経時変化させることができる。他の実施形態は、約30℃から約99℃、約45℃から約99℃、約55℃から約95℃、または約65℃から約99℃の温度範囲でのエマルジョン、懸濁液、またはこれらの組合せの経時変化を含む。他の実施形態において、エマルジョン、懸濁液、またはこれらの組合せを、約65℃から約99℃の温度範囲で経時変化させることができる。他の実施形態は、2つ以上の温度、例えば45℃と約70℃から約99℃、もしくは約80℃から約99℃での、エマルジョン、懸濁液、またはこれらの組合せの経時変化を含み得る。特定の実施形態において、経時変化は撹拌を含み得る。場合によっては、容器内の圧力を上昇させる、および/またはより沸点が高い溶媒を使用することにより、反応物中での相変化を誘発することなく、より高温での反応を可能にすることができる。その他の場合、外部凝縮装置を使用して、より高温での反応を可能にすることができる。
反応持続時間は一般的に、ポリマ前駆体が反応してゲル形態のポリマ粒子を形成することが十分に可能となる時間であり、例えば混合物を、場所を問わず、所望の結果に応じておおよそ30秒から48時間、またはおおよそ30秒から72時間の範囲で経時変化させることができる。例えば、モノマ混合物を、短くは約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約10分、約15分、または約20分から、長くは約40分、約1時間、約1.5時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約10時間、約15時間、約20時間、または約24時間の範囲の時間で重合および/または硬化させることができる。別の例において、モノマ混合物を、短くは約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約10時間、約15時間、または約20時間から、長くは約25時間、約30時間、約35時間、約40時間、約45時間、約50時間、約55時間、約60時間、約65時間、約70時間、または約75時間の範囲の時間で重合および/または硬化させることができる。
特定の混合装置および/または反応装置の設計または構成を、少なくとも部分的に、ゲル形態のポリマ粒子のサイズおよび/または形態に影響を及ぼす形で制御または調節可能な、1つの変数として使用することもできる。例えば、懸濁液および/またはエマルジョン重合を実行可能な反応装置は、配管または導管の断面を通過および横断して流れる懸濁液および/またはエマルジョンの速度を加速、減速、および/または維持するよう適応または構成することができる「ライフル型」配管または導管であるか、またはこれを含むものであってもよい。混合装置および/または反応装置は、配管または導管の断面を横断および/または通過する懸濁液および/またはエマルジョンの速度を加速、減速、および/または維持するよう適応または構成された、ジグザグ型の配管または導管を含むものであってもよい。
懸濁液および/またはエマルジョン重合過程での懸濁液および/またはエマルジョンの温度は、1つ以上の工程を使用して制御、調節または別段に維持することができる。例えば、加熱および/または冷却用コイル、交換、エレメントなどを使用して、懸濁液および/またはエマルジョンの温度を制御することができる。別の例において、蒸気、例えば過熱蒸気または他の加熱流体を注入、噴射または別の形で使用して、懸濁液および/またはエマルジョンを加熱することができる。別の例において、超音波プロセス加熱を懸濁液および/またはエマルジョンに向けて、含有されているモノマ成分を重合化することができる。さらに別の例において、懸濁液および/またはエマルジョンに溶融紡糸処理を施して、ゲル形態のポリマ粒子を生産することができる。さらに別の例において、懸濁液および/またはエマルジョンに対し、例えば繊維生産と似た押出し処理などの押出し処理を施して、ゲル形態のポリマ粒子を生産することができる。さらに別の例において、懸濁液および/またはエマルジョンにパスチレーション処理を施して、ゲル形態のポリマ粒子を生産することができる。さらに別の例において、懸濁液および/またはエマルジョンに対し、ドラム、オーブンおよび研削処理を施し、ドラムの代わりに射出成形鋳型を使用して伝熱率を高めることができる。
1つ以上の実施形態において、ゲル形態のポリマ粒子は超高純度であり、例えばプロトン励起X線放射による測定結果として示す、11から92の範囲の原子番号を有する元素の総不純物含有率は1,000ppm未満、900ppm未満、800ppm未満、700ppm未満、600ppm未満、500ppm未満、400ppm未満、300ppm未満、250ppm未満、200ppm未満、175ppm未満、150ppm未満、130ppm未満、115ppm未満、100ppm未満、95ppm未満、90ppm未満、80ppm未満、70ppm未満、60ppm未満、50ppm未満、40ppm未満、30ppmまたは20ppm未満である。金属原子および/または金属イオンなど不純物が、可能性のある経路のうち1つ以上を介して、ゲル形態のポリマ粒子へ取り込まれる場合があり、経路の例として特定種類の触媒、混合装置および/もしくは反応装置からモノマ成分への漏出、ならびに/またはゲル形態のポリマ粒子の作製過程の途中および/もしくは作製後が挙げられるが、これらに限定されない。相応に、混合装置、混合装置の内側表面もしくは内壁のライニング、および/またはそれらの部品(例:撹拌用ブレード)、反応装置などの製造に使用する材料を、汚染の潜在性または可能性を低減するよう選択することができる。例えば、特定の金属にもよるが、金属は、ゲル形態のポリマ粒子の懸濁液および/またはエマルジョン重合過程でポリマ粒子中へ取り込まれ得る金属イオンを浸出させるか、または別段に遊離させ得る。
ゲル形態のポリマ粒子および/またはエアロゲル、キセロゲル、もしくは冷却ゲルの粒子内での金属または金属イオンによる汚染を低減および/または排除する方法の一例として、混合装置および/または反応装置を、非反応性または超低反応性の材料や、反応混合物中に金属原子を浸出させることが知られている材料に比べて、反応混合物中へ金属原子または金属イオンを浸出させる傾向を低減させた材料から製造することが挙げられる。ゲル形態のポリマ粒子の生産に使用され、かつ混合装置および/または反応装置からゲル形態のポリマ粒子への浸出または別段に移動する金属イオンの汚染低減にも役立ち得る、混合装置および/または反応装置の作製に適すると考えられる潜在的材料の例として、金属、ガラス(例:ガラスライニング加工を施した容器)、繊維強化容器(例:FRP(FRB、FRVE、FRSVE)、ならびにPP/FRP、PVC/FRP、CPVC/FRP、PVDF/FRP、ECTFE/FRP、ETFE/FRP、FEP/FRPおよびPFA/FRPなどの二重ラミネート、ポリマ反応装置(例:Teflon(登録商標)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩素化ポリ塩化ビニル(CPVC)などが挙げられるが、これらに限定されない。金属の典型例としてコバルト、クロム、タングステン、炭素、ケイ素、鉄、マンガン、モリブデン、バナジウム、ニッケル、ホウ素、リン、硫黄、チタン、アルミニウム、銅、タングステン、これらの合金、またはこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、反応装置における1つ以上の内側表面はステンレス鋼、炭素鋼、工具鋼、合金鋼、またはこれらの任意の組合せなどの鋼製であってもよい。鋼の典型例としてA387等級11の低クロム鋼、304ステンレス鋼、316ステンレス鋼および347ステンレス鋼が挙げられるが、これらに限定されない。
1つ以上の実施形態において、混合装置および/または反応装置および/またはこれらの部品の表面に、金属イオン(または他の不純物)が表面からゲル形態のポリマ粒子へと浸出または別段に移動する可能性を低減するための処理を施すことができる。内側表面に、金属イオンによってゲル形態のポリマ粒子が汚染される可能性を低減するための、不動態化処理を施すことができる。例えば、混合装置および/または反応装置において、懸濁液および/またはエマルジョンと接触する金属表面に、炭化、ホウ素化、および/または窒化などの1つ以上の処理を施すことができる。別の例において、混合装置および/または反応装置の内側表面に、酸洗処理を施すことができる。
1つ以上の実施形態において、混合装置および/または反応装置またはこれらの内側表面を、炭素源の存在下で、内側表面の融点以下の温度まで、ただし炭素を外側層内または内側表面、すなわち反応混合物に対して曝露される層または表面に沈着させられるのに十分高い温度まで、加熱することができる。気体、液体、固体および/またはプラズマを含有する炭素など、任意の適切な形態の炭素を炭素源として使用することができる。気体の典型例として二酸化炭素、メタン、エタン、プロパンなどが挙げられるが、これらに限定されない。別の例において、混合装置および/または反応装置および/またはこれらの内側表面を、ホウ素源の存在下で、内側表面の融点以下の温度まで、ただしホウ素を表面に拡散して材料と一緒にホウ化物を形成させられる程度に高い温度まで、加熱することができる。別の例において、混合装置および/または反応装置および/またはこれらの内側表面を、窒素源の存在下で、窒素を表面に拡散して材料と一緒に窒化物を形成させられる程度に高い温度まで、ただし内側表面の融点以下の範囲で、加熱することができる。任意の適切な工程を用いて、混合装置および/または反応装置および/またはこれらの部品の内側表面を窒化させることができる。例えば、ガス窒化、液体または塩浴窒化、およびイオンまたはプラズマ窒化を用いることができる。別の例において、混合装置および/または反応装置および/またはこれらの内側表面に炭化と窒化両方の処理(「炭窒化」)を施すことができ、この場合、炭素と窒素の両方が内側表面に拡散される。混合装置および/または反応装置および/または他の部品および/またはこれらの部品の内側表面に炭化、ホウ素化および/または窒化を施すことにより、混合装置および/または反応装置および/または他の部品からの金属イオンまたは他の汚染物質がそこからモノマ成分、懸濁液および/またはエマルジョン、および/またはゲル形態のポリマ粒子へと浸出または別段に移動する可能性を低減または排除することができる。
一般的に、本発明の方法はさらに、ポリマゲル粒子および/または炭素材料の単離をも含む。適切な単離手段の例として、溶媒または連続相またはこれらの組合せを濾過し、静かに移し替える手順が挙げられる。単離された生成物を、揮発性成分を除去するための単離ポリマゲル粒子の乾燥、例えば凍結乾燥を含む方法によって、さらに処理することができる。
ゲル形態のポリマ粒子は、体積平均断面長(Dv,50)が約0.1mm以上、約0.5mm以上、約1mm以上、約1.5mm以上、約2mm以上、約2.5mm以上、約3mm以上、約3.5mm以上、約4mm以上、約4.5mm以上、約5mm以上、約5.5mm以上、または約6mm以上であってもよい。
一部の実施形態において、ポリマ粒子の粒子サイズ分布が示す多分散性指数((Dv,90−Dv,10)/Dv,50)(Dv,10、Dv,50およびDv,90はそれぞれ体積別の粒子サイズ分布における10%、50%および90%での粒子サイズを指す)は、1,000未満、900未満、800未満、700未満、600未満、500未満、400未満、300未満、200未満、100未満、90未満、80未満、70未満、60未満、50未満、40未満、30未満、20未満、10未満、5未満、3未満、2未満、1.5未満、1未満、0.9未満、0.8未満、0.7未満、0.6未満、0.5未満、0.4未満、0.3未満、0.2未満、または0.1未満である。一部の実施形態において、ポリマサイズ分布の2つ以上の母集団が達成され得る。例えば、最終的に達成されるポリマ粒子分布は2つ以上のノードから成る分布であってもよく、この場合、最も高いノードと最も低いノードとの比率は約1,000以下、約900以下、約800以下、約700以下、約600以下、約500以下、約400以下、約300以下、約200以下、約100以下、約90以下、約80以下、約70以下、約60以下、約50以下、約40以下、約30以下、約20以下、約10以下、約5以下、約3以下、約2以下、または約1.5以下である。
さらに、該方法は熱分解および/または活性化の前のポリマゲル粒子の凍結乾燥を含み得るが、係る乾燥は要求されるわけではなく、ポリマゲルは乾燥させなくても熱分解させることができる。一部の実施形態において、ポリマゲル粒子は温度が−10℃未満、−15℃未満、−20℃未満、−30℃未満、−40℃未満、または−50℃未満の媒体に浸漬して凍結させることができる。例えば、媒体は液体窒素、またはドライアイス中のエタノール(または他の有機溶媒)、または別の手段で冷却されたエタノールであってもよい。一部の実施形態において、凍結乾燥は凍結粒子を約1,000mTorr以下、約1,500mTorr以下、約2,500mTorr以下、約3,000mTorr以下、または約3,500mTorr以下の真空圧に曝す処理を含む。あるいは、真空下での乾燥は凍結粒子を1000mTorr未満、900mTorr未満、800mTorr未満、700mTorr未満、600mTorr未満、500mTorr未満、400mTorr未満、300mTorr未満、または200mTorr未満の真空圧に曝す処理を含む。あるいは、真空下での乾燥は凍結粒子を100mTorr未満、90mTorr未満、80mTorr未満、70mTorr未満、または50mTorr未満の真空圧に曝す処理を含む。
他にも、ポリマゲル粒子の急速凍結方法が想定される。例えば、別の実施形態において、ポリマゲルは、ポリマゲル粒子と適切な低温固体、例えばドライアイス(固体二酸化炭素)との混合(co−mingling)または物理的混合によって急速凍結される。想定される別の方法は、金属板を有する急速凍結装置を−60℃で使用して、その表面上に分散させたポリマゲル粒子から熱を急速に除去する処理を含む。ポリマゲル粒子中の水分を急速冷却する別の方法は、高真空を超高速で引くことにより、粒子を瞬間凍結させる方法である(真空度は、平衡蒸気圧に相当する温度が凍結を可能にする真空度である)。さらに別の急速凍結方法は、ポリマゲルと適度に低温のガスとの混合を含む。一部の実施形態において、低温ガスの温度は約−10℃以下であってもよい。一部の実施形態において、低温ガスの温度は約−20℃以下であってもよい。一部の実施形態において、低温ガスの温度は約−30℃以下であってもよい。さらに他の実施形態において、ガスの温度は約−196℃以下であってもよい。例えば、一部の実施形態において、ガスは窒素である。さらに他の実施形態において、ガスの温度は約−78℃以下であってもよい。例えば、一部の実施形態において、ガスは二酸化炭素である。
他の実施形態において、ポリマゲル粒子は凍結乾燥機の棚上で−20℃以下の温度で凍結される。例えば、一部の実施形態において、ポリマゲル粒子は凍結乾燥機の棚上で−30℃以下の温度で凍結される。他の一部の実施形態において、ポリマゲルモノリスは凍結融解サイクル(室温から−20℃以下へ、そして室温へ戻される)を施され、凍結融解ゲルの物理的崩壊により粒子が生成され、そしてさらなる凍結乾燥処理を施される。例えば、一部の実施形態において、ポリマゲルモノリスは凍結融解サイクル(室温から−30℃以下へ、そして室温へ戻される)を施され、凍結融解ゲルの物理的崩壊により粒子が生成され、そしてさらなる凍結乾燥処理を施される。
開示される方法は、広範囲に及ぶ炭素材料の調製に有用である。一例において、高い密度とミクロ多孔性を有する炭素材料が調製される。この点で有用なゲル調合物の例として、30%超の固体、5%超の有機酸触媒を含み、フェノール性前駆体の触媒に対する比が50未満である調合物が挙げられるが、これに限定されない。この点に関して、ゲル調合物は界面活性剤、例えばCMCより上の非イオン性界面活性剤を含有していてもいなくてもよい。
メソ多孔質炭素材料も、開示される方法により調製することができる。この点で有用な調合物の例として、50%未満の固体、25%未満の酢酸を含み、フェノール性前駆体の触媒に対する比が50超である調合物が挙げられるが、これに限定されない。この点に関して、ゲル調合物は界面活性剤、例えばCMCより上の非イオン性界面活性剤を含有していてもいなくてもよい。
本明細書で使用する固体含有率(%)は、ポリマ前駆体の質量をポリマ前駆体の総質量(水、酸、および/または重合しないポリマ前駆体中に存在するが他の成分を含むなどの非ポリマ前駆体成分を含む)で割った商として計算される。触媒は固体含有率(%)の計算に含まれない。界面活性剤負荷は、連続相の質量に基づく。RF溶液の割合(%)は、(レゾルシノール、ホルムアルデヒド(水を含む)、追加の水および酸)の質量の、レゾルシノール、ホルムアルデヒド(水を含む)、追加の水、酸および連続相の総質量に占める割合である。
1つ以上の流体、例えば液体および/またはガスを、モノマ成分の重合過程で懸濁液および/またはエマルジョンへ注入することができる。例えば、二酸化炭素を重合過程で懸濁液および/またはエマルジョンへ仕向けるか、または別段に導入して、ゲル形態のポリマ粒子の構造的発達を方向付け、制御または別段に調節することができる。1つ以上の流体を、プレポリマの形成過程および/または形成後に、プレポリマへ仕向けるか、または別段に導入することもできる。
他の、本発明による、より特異的な方法は、縮合ポリマの調製方法を含み、該方法は以下を含む。
a)界面活性剤、1つ以上のポリマ前駆体、ならびに第1および第2の溶媒の混合による、エマルジョン、懸濁液、またはこれらの混合物の調製であって、第1および第2の溶媒は相互に混和性でない。
b)担体相は酸を含む。
c)1つ以上のポリマ前駆体が相互に反応して縮合ポリマを形成するための十分な温度と時間でのエマルジョンの経時変化。
前記の特定の実施形態において、ポリマ前駆体はアルコール、フェノール、ポリアルコール、砂糖、アルキルアミン、芳香族アミン、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、尿素、酸ハロゲン化物およびイソシアネートから選択される。
一部の実施形態において、少なくとも1つのポリマ前駆体はフェノール性化合物である。例えば、一部の実施形態において、少なくとも1つのポリマ前駆体はレゾルシノールである。さらに他の実施形態において、少なくとも1つのポリマ前駆体はフェノールである。他の例において、少なくとも1つのポリマ前駆体はアルデヒド化合物、例えば少なくとも1つのポリマ前駆体はホルムアルデヒドであってもよい。
より特異的な一部の実施形態において、少なくとも1つのポリマ前駆体はホルムアルデヒドであり、少なくとも1つのポリマ前駆体はレゾルシノールであり、縮合ポリマはレゾルシノール−ホルムアルデヒドポリマである。
一部の実施形態において、少なくとも1つのポリマ前駆体は尿素であり、他の実施形態において、少なくとも1つのポリマ前駆体はメラミンである。
前記の方法はさらに、電気化学改変剤、例えばケイ素または窒素などをエマルジョン中に含み得る。
縮合ポリマ調製方法におけるポリマ前駆体、溶媒などの選択を含む、様々な反応パラメータを、前節に記載のとおり変更することにより、様々な特性を有する縮合ポリマを得ることができる。
(2.ポリマゲル粒子の創製(ポリマゲル粒子のサイズ低減))
従前のモノリス技法と対照的に、本願により開示される方法は概して、さらなる処理に先行する粉砕または研削を必要としない。むしろ、ポリマゲル粒子は概して濾過され、および/または静かに移し替えることによって溶媒が除去され、そしてゲル粒子は場合によりさらなる処理の前に乾燥される(例:凍結乾燥)。
(3.ポリマゲルの急速凍結)
前述のとおり、本発明の方法の特定の実施形態は熱分解および/または活性化に先行する凍結乾燥を含むが、係る乾燥は任意であり、開示される一部の実施形態には含まれない。ポリマゲルの凍結は、上記にて詳述のとおり、急速かつ多方向の形で達成され得る。緩慢かつ一方向の形での凍結、例えば凍結乾燥機内の棚上凍結は結果的に、乾燥後の材料の表面積が非常に小さくなる。同様に、瞬間凍結(すなわち、深い真空を引くことによってポリマゲル粒子を急速冷却することで達成される凍結)も、結果的に乾燥後の材料の表面積が小さくなる。本明細書において開示されるとおり、多方向型の急速凍結は、材料温度を少なくとも約−10℃以下、例えば−20℃以下、または例えば少なくとも約−30℃以下にまで急速に下げることによって達成され得る。ポリマゲル粒子の急速凍結は、氷晶の広範な核形成を背景に、粒子内で緻密な氷晶構造を生み出すが、氷晶成長のための時間がほとんど残らない。これが氷晶と炭化水素マトリクスとの間に高い比表面積をもたらし、これは必然的に氷マトリクスから除外される。
結晶成長過程にわたる核形成を促進するための、極めて急速な凍結の概念を、混合溶媒系にも応用することができる。一実施形態において、混合溶媒系が急速冷却されるにつれ、支配的な溶媒成分がその平衡溶融温度で結晶化を経ることになり、共溶媒の濃度が上昇すると同時に、凝固点がさらに降下する。温度がさらに降下するにつれ、支配的な溶媒の結晶化の増加と共溶媒濃度の上昇が、共晶組成に達するまで続き、この時点で、共晶組成物は液体から固体へと遷移するが、完全凍結が達成されるまで、成分濃縮または生成物冷却を伴わない。水と酢酸(純粋な物質の凝固点はそれぞれ0℃と17℃である)の特異的事例において、共晶組成物は約−27℃のときに約59%の酢酸と41%の水を含む。相応に、一実施形態において、混合溶媒系は共晶組成物であり、例えば一実施形態において、混合溶媒系は59%の酢酸と41%の水を含む。
(4.ポリマゲルの乾燥)
一部の実施形態は、任意の乾燥段階を含む。一実施形態において、微細氷マトリクスを含有するゲル形態の凍結ポリマ粒子は、材料の崩壊防止および乾燥後の生成物における微細な表面構造と多孔性の維持を目的に設計される条件下で凍結乾燥される。概して、乾燥は、乾燥させなければ生成物の細孔が崩壊する結果に至ると想定される温度以下に生成物の温度が保たれる条件下で達成され、これにより乾燥後の材料は所望の表面積を保持することができる。
最終の炭素材料の構造は、結果的にポリマゲルの特性によって確立される乾燥後のポリマゲルの構造に反映される。これらの特徴は、ポリマゲルにおいて、本明細書に記載のようなゾルゲル方式を用いて生み出されるが、溶媒除去時に注意しないと、構造が保持されない。ポリマゲルの元来の構造を保持することと、その構造を凍結工程の制御に基づく氷晶形成によって改変すること、これらはいずれも関心の的である。一部の実施形態において、乾燥に先立ち、ポリマゲルの含水率は約50%から約99%の範囲である。一部の実施形態において、乾燥後のポリマゲルの含水率は10%未満、あるいは5%未満または2.5%未満である。
凍結乾燥室の圧力が約2250ミクロンの場合、乾燥中の生成物における一次乾燥温度は約−10℃となる。乾燥室圧力が約2250ミクロン以下の条件での乾燥は、一次乾燥中の生成物温度が約−10℃を超えない結果となる。さらなる例示として、乾燥室圧力が約1500ミクロンの場合、乾燥中の生成物における一次乾燥温度は約−15℃となる。乾燥室圧力が約1500ミクロン以下の条件での乾燥は、一次乾燥中の生成物温度が約−15℃を超えない結果となる。さらに別の例示として、乾燥室圧力が約750ミクロンの場合、乾燥中の生成物における一次乾燥温度は約−20℃となる。乾燥室圧力が750ミクロン以下の条件での乾燥は、一次乾燥中の生成物温度が約−20℃を超えない結果となる。さらに別の例示として、乾燥室圧力が約300ミクロンの場合、乾燥中の生成物における一次乾燥温度は約−30℃となる。乾燥室圧力が300ミクロン以下の条件での乾燥は、一次乾燥中の生成物温度が約−30℃を超えない結果となる。
(5.ポリマゲルの熱分解および活性化)
前述のポリマゲルをさらに処理して、炭素材料を得ることができる。係る処理の例として、熱分解および/または活性化が挙げられる。概して、熱分解工程では乾燥後のポリマゲルを計量し、回転炉内に配置する。温度傾斜は1分当たり5℃に設定され、滞留時間と滞留温度が設定される。冷却は炉の自然冷却率次第で決まる。工程全体は通常、窒素環境など不活性雰囲気下で行われる。その後、熱分解されたサンプルを取り出し、計量する。他の熱分解工程は当業者に既知である。
一部の実施形態において、熱分解滞留時間(サンプルが所望の温度を維持している時間)は約0分から約120分、約20分から約150分、約30分から約100分、約50分から約60分、または約55分から約60分の範囲である。
熱分解は、上記の説明よりもっとゆっくり行うこともできる。例えば、一実施形態において、熱分解は約120分から480分の範囲で行われる。他の実施形態において、熱分解は約120分から240分の範囲で行われる。
一部の実施形態において、熱分解滞留温度は約500℃から2400℃の範囲である。一部の実施形態において、熱分解滞留温度は約600℃から1800℃の範囲である。他の実施形態において、熱分解滞留温度は約700℃から約1200℃の範囲である。他の実施形態において、熱分解滞留温度は約850℃から約1050℃の範囲である。他の実施形態において、熱分解滞留温度は約800℃から約900℃の範囲である。一部の実施形態において、熱分解滞留温度は約600℃から900℃の範囲である。他の一部の特異的実施形態において、熱分解滞留温度は約550℃から約900℃の範囲である。
一部の実施形態において、熱分解滞留温度は熱分解過程の途中で変更される。一実施形態において、熱分解は、別個の独特の加熱ゾーンを有する回転炉内で行われる。各ゾーンの温度は、回転炉チューブの入口から出口端部にかけて逐次的に引き下げられる。一実施形態において、熱分解は、別個の独特の加熱ゾーンを有する回転炉内で行われ、各ゾーンの温度は、回転炉チューブの入口から出口端部にかけて逐次的に引き上げられる。
活性化時間と活性化温度はいずれも、結果的な活性化炭素材料の性能はもとより、その製造原価にも多大な影響を及ぼす。活性化温度と活性化滞留時間が増えると、活性化率が高くなり、これは一般的に、温度が低く滞留時間が短い場合に比べ、より多くの材料の除去に相当する。活性化温度も炭素の細孔構造を変える場合があり、この場合、温度が低いとミクロ多孔質の炭素が増え、温度が高いとメソ多孔性が生じる結果となる。これは高温で発生する活性化ガス拡散制限的反応と、低温で発生する反応速度駆動型反応の結果である。活性化率が高くなると、最終の活性化炭素の性能が高まることが多いが、反面、総体的収率の低下によって原価が増える。活性化水準の改善は、より高性能の生成物を、より低コストで実現することに相当する。
熱分解ポリマゲルは、熱分解ポリマゲルを活性化剤と接触させることによって活性化され得る。活性化に適するガスは多数あり、例として酸素含有ガスが挙げられる。活性化ガスの非限定的例として二酸化炭素、一酸化炭素、蒸気、酸素およびこれらの組合せが挙げられる。活性化ガスには、酸、塩基または塩など、腐食性化学物質が含まれる場合もある(例:リン酸、酢酸、クエン酸、ギ酸、シュウ酸、尿酸、乳酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化亜鉛など)。他の活性化剤は当業者に既知である。
一部の実施形態において、活性化時間は1分から48時間の範囲である。他の実施形態において、活性化時間は10分から24時間の範囲である。他の実施形態において、活性化時間は60分から24時間の範囲である。他の実施形態において、活性化時間は2時間から24時間の範囲である。さらなる実施形態において、活性化時間は12時間から24時間の範囲である。他の特定の実施形態において、活性化時間は30分から8時間の範囲である。さらなる一部の実施形態において、活性化時間は3時間から6時間の範囲である。
熱分解ポリマゲルは、当業者に既知の数多くの適切な装置、例えば流動床、回転炉、昇降式キルン、ローラーハース炉、プッシャー炉などを使用して活性化することができる。活性化工程の一実施形態では、サンプルを計量して回転炉内に配置し、この場合、自動ガス制御マニホールドは1分当たり20℃の温度傾斜率に設定される。適切な活性化温度に達した後、ある期間にわたり、二酸化炭素が炉内に導入される。活性化が発生すると、二酸化炭素が窒素に差し替えられ、炉が冷却される。工程の最後でサンプルが計量され、活性化水準が評価される。他の活性化工程は当業者に既知である。本願で開示される実施形態の一部において、活性化温度は800℃から1300℃の範囲であってもよい。別の実施形態において、活性化温度は800℃から1050℃の範囲であってもよい。別の実施形態において、活性化温度は約850℃から約950℃の範囲であってもよい。別の実施形態において、活性化温度は約900℃である。一部の実施形態において、1700から1900m2/gの範囲の比表面積を達成するように、炭素材料が活性化される。当業者であれば、他の活性化温度を、低めか高めかを問わず採用してもよいことを認識するであろう。
活性化の度合いは、活性化段階の過程で失われる熱分解乾燥ポリマゲルの質量パーセントに関して測定される。本願で開示される方法の一実施形態において、活性化は5%から90%の範囲の活性化度、または10%から80%の範囲の活性化度を含み、場合によっては活性化は40%から70%の範囲の活性化度、または45%から65%の範囲の活性化度を含む。
[B.ポリマゲルの特性]
本開示の一実施形態は、本願で開示される方法のいずれかによって調製されるポリマゲルを提供する。開示される方法によって生成されるポリマゲルは、多くの点で独特である。一部の実施形態において、該方法は単分散または単分散に近い粒子サイズ分布を有するポリマゲルを生成する。前述のとおり、ポリマゲル(および炭素材料)の粒子サイズを、撹拌速度を含む多数の工程パラメータによって制御することができる。例えば、一部の実施形態において、本開示は、(Dv,90−Dv,10)/Dv,50が3未満となるような粒子サイズ分布を有するポリマゲルを提供し、式中、Dv,10、Dv,50およびDv,90はそれぞれ、体積別の粒子サイズ分布における10%、50%および90%での粒子サイズを指す。一部の実施形態において、(Dv,90−Dv,10)/Dv,50は2未満であり、また他の実施形態において、(Dv90−Dv10)/Dv,50は1未満である。
ポリマゲル粒子は、実質的に球形でもある。ゲルが球形の性質である結果、炭素材料も球形となり、これが転じて、望ましい電気化学的特性に貢献し得る。一部の実施形態において、ポリマゲルは複数のポリマゲル粒子を含み、この場合、ポリマゲル粒子の90%超が球形幾何形状を有する。他の実施形態において、ポリマゲル粒子の95%超が球形幾何形状を有する。ゲル形態のポリマ粒子の粒子サイズは、代替的に平均断面長で表すこともできる。この点に関して、様々な実施形態におけるゲル形態のポリマ粒子の平均断面長は、本明細書に記載の実施形態における体積平均粒子サイズ(Dv,50)を反映し得る。
BET分析によって判定されるポリマゲルの比表面積は約50m2/gから約1000m2/gの範囲である。一部の実施形態において、比表面積は約50m2/gから約100m2/gの範囲である。他の実施形態において、比表面積は約300m2/gから約700m2/gの範囲である。他の一部の実施形態において、比表面積は約300m2/gから約400m2/gの範囲である。他の一部の実施形態において、比表面積は約400m2/gから約500m2/gの範囲である。他の一部の実施形態において、比表面積は約500m2/gから約600m2/gの範囲である。他の一部の実施形態において、比表面積は約600m2/gから約700m2/gの範囲である。
ポリマゲルの総細孔体積は約0.01cc/gから約1.5cc/gの範囲である。例えば、一部の実施形態において、総細孔体積は約0.1cc/gから約0.9cc/gの範囲である。他の実施形態において、総細孔体積は約0.2cc/gから約0.8cc/gの範囲である。他の実施形態において、総細孔体積は約0.3cc/gから約0.6cc/gの範囲である。他の実施形態において、総細孔体積は約0.6cc/gから約0.9cc/gの範囲である。
他の実施形態において、ポリマゲルは11から92の範囲の原子番号を有する他のすべての元素の総含有量が500ppm未満である。例えば、他の一部の実施形態において、ポリマゲルは11から92の範囲の原子番号を有する他のすべての元素の総含有量が200ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、または1ppm未満である。一部の実施形態において、ポリマゲルの電気化学改変剤含有量および不純物含有量を、プロトン励起X線放射(PIXE)分析法によって判定することができる。
一部の実施形態において、ポリマゲルは乾燥ポリマゲル、例えばポリマ冷却ゲルである。一部の実施形態において、乾燥ポリマゲルはポリマキセロゲルまたはポリマエアロゲルである。一部の実施形態において、ポリマ前駆体は脂肪族および芳香族のアルコール、脂肪族および芳香族のアミンおよびカルボニル含有化合物から選択される。例えば、ポリマ前駆体はアルコール、フェノール、ポリアルコール、糖、アルキルアミン、芳香族アミン、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、尿素、酸ハロゲン化物およびイソシアネートから選択され得る。一部の特異的実施形態において、ポリマゲルはフェノール性化合物とアルデヒド化合物から調製され、例えば一実施形態において、ポリマゲルはレゾルシノールとホルムアルデヒドから生成され得る。一部の実施形態において、固体酸性化合物の溶解により、反応溶媒としての酸の採用により、または溶媒のうち1つが酸である混合溶媒系の採用により、酸性がもたらされ得る。
開示される工程の実施形態の一部は、塩基性揮発性触媒の存在下でポリマゲルを形成するための重合を含む。相応に、一部の実施形態において、ポリマゲルは1つ以上の塩を含み、例えば一部の実施形態において、1つ以上の塩は塩基性揮発性塩である。塩基性揮発性塩の例として炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、およびこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。相応に一部の実施形態において、本開示は炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、またはこれらの組合せを含むポリマゲルを提供する。さらなる実施形態において、ポリマゲルは炭酸アンモニウムを含む。他のさらなる実施形態において、ポリマゲルは酢酸アンモニウムを含む。
開示される方法は、PIXE分析および/または灰分含有量による判定結果として高い純度を有するポリマゲルの調製に有用である。本明細書に記載のとおり、意図的に添加される電気化学改変剤は一切、不純物と見なされないため、具体的に記述されるPIXEおよび灰分含有量の値から除外される。一部の実施形態において、ポリマゲルは灰分含有量が少なく、これはポリマゲルから調製される炭素材料の灰分含有量も少ないことに貢献し得る。このように、一部の実施形態において、ポリマゲルの灰分含有率は0.1%から0.001%の範囲である。他の実施形態において、ポリマゲルの灰分含有率は0.1%未満、0.08%未満、0.05%未満、0.03%未満、0.025%未満、0.01%未満、0.0075%未満、0.005%未満、または0.001%未満である。
他の実施形態において、ポリマゲルは総PIXE不純物含有量が500ppm未満、灰分含有率が0.08%未満である。さらなる実施形態において、ポリマゲルは総PIXE不純物含有量が300ppm未満、灰分含有率が0.05%未満である。別のさらなる実施形態において、ポリマゲルは総PIXE不純物含有量が200ppm未満、灰分含有率が0.02%未満である。別のさらなる実施形態において、ポリマゲルは総PIXE不純物含有量が200ppm未満、灰分含有率が0.01%未満である。
不純物を含むポリマゲルは概して、同じく不純物を含む炭素材料を生み出すため、潜在的に望ましくない電気化学的特性を有することになる。相応に、本開示の一態様は、開示される方法を介して調製され、また望ましくない不純物の濃度が低い、ゲル形態のポリマ粒子である。ゲル形態のポリマ粒子中に存在する個々のPIXE不純物の量は、プロトン励起X線放射によって判定することができる。
1つ以上の実施形態において、ゲル形態のポリマ粒子における、任意の1つ以上の、3から5および/または11から92の原子番号を有する金属原子(または金属イオン)の含有率は1,000ppm未満、700ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、100ppm未満、75ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、または1ppm未満である。例えば、1つ以上の実施形態において、ゲル形態のポリマ粒子は1,000ppm未満、700ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、100ppm未満、75ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、または1ppm未満のナトリウムを含有し得る。1つ以上の実施形態において、ゲル形態のポリマ粒子は1,000ppm未満、700ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、100ppm未満、75ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、または1ppm未満のマグネシウムを含有し得る。1つ以上の実施形態において、ゲル形態のポリマ粒子は1,000ppm未満、700ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、100ppm未満、75ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、または1ppm未満のケイ素を含有し得る。1つ以上の実施形態において、ゲル形態のポリマ粒子は1,000ppm未満、700ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、100ppm未満、75ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、または1ppm未満の硫黄を含有し得る。1つ以上の実施形態において、ゲル形態のポリマ粒子は1,000ppm未満、700ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、100ppm未満、75ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、または1ppm未満のカルシウムを含有し得る。1つ以上の実施形態において、ゲル形態のポリマ粒子は1,000ppm未満、700ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、100ppm未満、75ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、または1ppm未満の鉄を含有し得る。1つ以上の実施形態において、ゲル形態のポリマ粒子は1,000ppm未満、700ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、100ppm未満、75ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、または1ppm未満のニッケルを含有し得る。1つ以上の実施形態において、ゲル形態のポリマ粒子は1,000ppm未満、700ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、100ppm未満、75ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、または1ppm未満の銅を含有し得る。1つ以上の実施形態において、ゲル形態のポリマ粒子は1,000ppm未満、700ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、100ppm未満、75ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、または1ppm未満のクロムを含有し得る。1つ以上の実施形態において、ゲル形態のポリマ粒子は1,000ppm未満、700ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、100ppm未満、75ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、または1ppm未満の亜鉛を含有し得る。前述のとおり、一部の実施形態において、水素、酸素および/または窒素など不純物が、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.05%未満、または0.01%未満の濃度で存在し得る。
一部の特異的実施形態において、ポリマゲルは100ppm未満のナトリウム、300ppm未満のケイ素、50ppm未満の硫黄、100ppm未満のカルシウム、20ppm未満の鉄、10ppm未満のニッケル、40ppm未満の銅、5ppm未満のクロムおよび5ppm未満の亜鉛を含む。他の特異的実施形態において、ポリマゲルは50ppm未満のナトリウム、100ppm未満のケイ素、30ppm未満の硫黄、50ppm未満のカルシウム、10ppm未満の鉄、5ppm未満のニッケル、20ppm未満の銅、2ppm未満のクロムおよび2ppm未満の亜鉛を含む。
他の特異的実施形態において、ポリマゲルは50ppm未満のナトリウム、50ppm未満のケイ素、30ppm未満の硫黄、10ppm未満のカルシウム、2ppm未満の鉄、1ppm未満のニッケル、1ppm未満の銅、1ppm未満のクロムおよび1ppm未満の亜鉛を含む。
他の一部の特異的実施形態において、ポリマゲルは100ppm未満のナトリウム、50ppm未満のマグネシウム、50ppm未満のアルミニウム、10ppm未満の硫黄、10ppm未満の塩素、10ppm未満のカリウム、1ppm未満のクロムおよび1ppm未満のマンガンを含む。
開示される方法は、正確な反応パラメータに応じて様々な比表面積を含むポリマゲルを提供する。理論に束縛されることなく、ポリマゲルの表面積は、少なくとも部分的に、炭素材料の表面積特性に寄与すると考えられている。表面積は、当業者に既知のBET技法を用いて測定することができる。本願で開示される態様のいずれかの一実施形態において、ポリマゲルは少なくとも150m2/g、少なくとも250m2/g、少なくとも400m2/g、少なくとも500m2/g、少なくとも600m2/g、少なくとも700m2/g、少なくとも800m2/g、または少なくとも900m2/g、または少なくとも1000m2/gまたは少なくとも1100m2/gのBET比表面積を含む。
一実施形態において、ポリマゲルは100m2/gから1000m2/gの範囲のBET比表面積を含む。あるいは、ポリマゲルは150m2/gから900m2/gの範囲のBET比表面積を含む。あるいは、ポリマゲルは400m2/gから800m2/gの範囲のBET比表面積を含む。
一実施形態において、ポリマゲルは0.10g/ccから0.60g/ccの範囲のタップ密度を含む。一実施形態において、ポリマゲルは0.15g/ccから0.25g/ccの範囲のタップ密度を含む。本開示の一実施形態において、ポリマゲルは少なくとも150m2/gのBET比表面積および0.60g/cc未満のタップ密度を含む。あるいは、ポリマゲルは少なくとも250m2/gのBET比表面積および0.4g/cc未満のタップ密度を含む。別の実施形態において、ポリマゲルは少なくとも500m2/gのBET比表面積および0.30g/cc未満のタップ密度を含む。
本願で開示される態様または変形のいずれかに関する別の実施形態において、ポリマゲルの残留含水率は15%未満、13%未満、10%未満、5%未満または1%未満である。
一実施形態において、ポリマゲルは500オングストローム以下の部分細孔体積の細孔を含み、これが総細孔体積に占める割合は少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、または少なくとも99%である。別の実施形態において、ポリマゲルは20nm以下の部分細孔体積の細孔を含み、これが総細孔体積に占める割合は少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、または少なくとも99%である。
一部の実施形態において、相対圧力0.05のときのポリマゲルの単位質量当たり窒素吸着量は、相対圧力が最大0.99のときの総窒素吸着量の少なくとも10%、または相対圧力が最大0.99のときの総窒素吸着量の少なくとも20%である。別の実施形態において、相対圧力0.05のときのポリマゲルの単位質量当たり窒素吸着量は、相対圧力が最大0.99のときの総窒素吸着量の10%から50%の範囲、または相対圧力が最大0.99のときの総窒素吸着量の20%から60%の範囲、または相対圧力が最大0.99のときの総窒素吸着量の20%から30%の範囲である。
一実施形態において、ポリマゲルは100nm以下の部分細孔表面積の細孔を含み、これが総細孔表面積に占める割合は少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、または少なくとも99%である。別の実施形態において、ポリマゲルは20nm以下の部分細孔表面積の細孔を含み、これが総細孔表面積に占める割合は少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、または少なくとも99%である。
上記にて詳述のとおり、開示される炭素材料の調製方法は、ポリマゲルの熱分解を含み得る。一部の実施形態において、熱分解ポリマゲルの比表面積は約100から約1200m2/gの範囲である。他の実施形態において、熱分解ポリマゲルの比表面積は約500から約800m2/gの範囲である。他の実施形態において、熱分解ポリマゲルの比表面積は約500から約700m2/gの範囲である。
他の実施形態において、熱分解ポリマゲルは約0.1から約1.0g/ccの範囲のタップ密度を有する。他の実施形態において、熱分解ポリマゲルは約0.3から約0.6g/ccの範囲のタップ密度を有する。他の実施形態において、熱分解ポリマゲルは約0.3から約0.5g/ccの範囲のタップ密度を有する。
一部の実施形態において、ポリマゲルは約4μmから約10mmの範囲の平均粒子直径を示す。他の実施形態において、平均粒子直径の範囲は約1μmから約4mmである。他の実施形態において、平均粒子直径の範囲は約10μmから約1mmである。さらに他の実施形態において、平均粒子直径の範囲は約20μmから約500μmである。さらに他の実施形態において、平均粒子直径の範囲は約500μmから約4mmである。さらに他の実施形態において、平均粒子直径の範囲は約2μmから約300μmである。他の実施形態において、平均粒子直径の範囲は約100μmから約10μmである。一部の実施形態において、平均粒子直径は約0.9mm、約0.8mm、または約0.5mmである。他の実施形態において、平均粒子直径は約100μm、約50μm、または約10μmである。
さらに他の実施形態において、ポリマゲルは単分散または単分散に近い粒子サイズ分布を含む。例えば、一部の実施形態において、ポリマゲルは、(Dv,90−Dv,10)/Dv,50が3未満となるような粒子サイズ分布を有し、式中、Dv,10、Dv,50およびDv,90はそれぞれ、体積別の粒子サイズ分布における10%、50%および90%での粒子サイズを指す。さらなる実施形態において、(Dv,90−Dv,10)/Dv,50は2未満、さらには1未満である。さらに他の実施形態において、(Dv,90−Dv,10)/Dv,50は1000未満、100未満、10未満、5未満、3未満、2未満、1.5未満、さらには1未満である。
さらに他の実施形態において、ポリマゲル粒子は実質的に球形の幾何形状を有する。係る幾何形状は、一部の実施形態において、下記にて詳述するとおり、結果的な炭素粒子の球形幾何形状に寄与する。一部の実施形態において、ポリマゲルは複数のポリマゲル粒子を含み、この場合、ポリマゲル粒子の90%超が球形幾何形状を有する。例えば、一部の実施形態において、ポリマゲル粒子の95%超が球形幾何形状を有する。
ポリマゲルは電気化学改変剤を含み得ることから、ゲルの元素含有量は変動し得る。一部の実施形態において、ポリマゲルは約100ppm超の電気化学改変剤を含む。特定の実施形態において、電気化学改変剤は窒素、鉄、すず、ケイ素、ニッケル、アルミニウムおよびマンガンから選択される。一部の実施形態において、電気化学改変剤はケイ素であり、また他の実施形態における電気化学改変剤は窒素である。
ポリマゲル中の電気化学改変剤の量は、最終の炭素材料について望ましい水準に合わせて制御される。相応に、一部の実施形態において、ポリマゲルは少なくとも0.10%、少なくとも0.25%、少なくとも0.50%、少なくとも1.0%、少なくとも5.0%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%の電気化学改変剤を含む。例えば、一部の実施形態において、ポリマゲルは0.5%から99.5%の範囲の炭素と、0.5%から99.5%の範囲の電気化学改変剤を含む。電気化学改変剤のパーセントは重量パーセント(wt%)を基準に計算される。
[C.炭素材料の特性]
本開示の1つの実施形態は、本明細書に開示されたいずれかの方法により調製された炭素材料を提供する。本炭素材料の細孔径分布は、他の既知の炭素材料を含むデバイスと比較すると、本炭素材料を含む電気機器の優れた性能に寄与できる。例えば、いくつかの実施形態では、本炭素材料は、ミクロ細孔およびメソ細孔の両方の最適化ブレンドからなり、熱分解および/または活性化されると低い表面機能性を含むこともできる。他の実施形態では、本炭素材料は、プロトン励起X線分光法によって測定される、合計500ppm未満の原子番号11から92までのすべての元素を含む。高純度かつ最適化ミクロ細孔および/又はメソ細孔分布により、本炭素材料は電気貯蔵および配分機器(electrical storage and distribution devices)、例えば、ウルトラキャパシタで用いるのに申し分のないものとなる。
理論に束縛されるのを望まないが、本開示の炭素材料の最適化細孔径分布ならびに高純度が本開示のエマルジョン/懸濁液重合法に、少なくとも一部、寄与し得ると出願人は考えている。本開示の炭素原料の特性ならびにその調製方法を下記で詳細に論ずる。
理論に束縛されるのを望まないが、細孔構造に加えて、本炭素材料の純度プロファイル、表面積および他の特性はその調製法の機能であり、調製パラメータの変化は異なる特性を有する炭素材料をもたらすことがある。したがって、いくつかの実施形態では、本炭素材料は熱分解し、乾燥したポリマゲル、例えば、熱分解ポリマクリオゲル、熱分解ポリマキセロゲルまたは熱分解ポリマエアロゲルである。他の実施形態では、本炭素材料は熱分解し、活性化される(例えば、合成活性化炭素材料)。例えば、さらなる実施形態では、本炭素材料は、活性化乾燥ポリマゲル、活性化ポリマクリオゲル、活性化ポリマキセロゲルまたは活性ポリマエアロゲルである。
上述のように、活性炭粒子は、広くエネルギ貯蔵材料(energy storage material)として使用される。この点において、非常に重要な特性は、高い周波数応答をもたらす低いイオン抵抗を有する電極で可能な高い出力密度(power density)である。例えば、サイクル性能に対応する能力を持つデバイスが制約である状況では、低いイオン抵抗を達成することが重要である。本開示の方法は、電極処方の最適化および電気エネルギ貯蔵および配分機器(electrical energy storage and distribution devices)の電力性能の最大化の方法の問題を解決する炭素材料を調製するのに有益である。本炭素材料を含むデバイスは、長期安定性、高速応答時間および高パルス電力性能を示す。
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、ミクロ細孔またはメソ細孔のどちらかまたは両方に存在する総細孔体積の割合(パーセント)に関して通常記載される、ミクロ細孔および/またはメソ細孔構造を含む炭素材料を生産する。したがって、いくつかの実施形態では、炭素材料の細孔構造は、約20%、約23%、約25%、約27%、約30%、約33%、約35%または約37%の低いミクロ細孔から約45%、約47%、約50%、約53%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%または約90%の高いミクロ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、30%から70%のミクロ細孔を含むことができる。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、40%から60%のミクロ細孔を含むことができる。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、40%から50%のミクロ細孔含むことができる。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、43%から47%のミクロ細孔、40%から50%のミクロ細孔、40%から45%のミクロ細孔、43%から47%のミクロ細孔または42%から48%のミクロ細孔を含むことができる。特定の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、約45%のミクロ細孔を含むことができる。
炭素材料のメソ多孔性は、高イオン移動度および低抵抗に寄与し得る。いくつかの実施形態では、炭素材料の細孔構造は、約20%、約23%、約25%、約27%、約30%、約33%、約35%または約37%の低いメソ細孔から約45%、約47%、約50%、約53%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%または約80%の高いメソ細孔を含むことができる。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、30%から70%のメソ細孔を含むことができる。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、40%から60%のメソ細孔を含むことができる。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、50%から60%のメソ細孔を含むことができる。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、53%から57%のメソ細孔、50%から60%のメソ細孔、51%から59%のメソ細孔、52%から58%のメソ細孔または54%から56%のメソ細孔を含むことができる。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、約55%のメソ細孔を含むことができる。
炭素材料中のミクロ細孔およびメソ細孔の最適化ブレンドは、その強化された電気化学的性能に寄与することができる。したがって、いくつかの実施形態では、炭素材料の細孔構造は、約20%、約23%、約25%、約27%、約30%、約33%、約35%または約37%の低いミクロ細孔から約45%、約47%、約50%、約53%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%または約80%の高いミクロ細孔、および20%、約23%、約25%、約27%、約30%、約33%、約35%または約37%の低いメソ細孔から約45%、約47%、約50%、約53%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%または約80%の高いメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、30%から70%のミクロ細孔および30%から70%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、40%から60%のミクロ細孔および40%から60%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、40%から50%のミクロ細孔および50%から60%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、43%から47%のミクロ細孔および53%から57%のメソ細孔を含む。他の実施形態では、炭素材料の細孔構造は、約45%のミクロ細孔および約55%のメソ細孔を含む。
他の変形において、炭素材料は20nmより大きい細孔の実質的な体積を有していない。例えば、特定の実施形態では、炭素材料は、20nmより大きい細孔中の総細孔体積の25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、2.5%未満またはさらに1%未満を含む。
炭素材料の多孔性は、その強化された電気化学的性能に寄与する。したがって、1つの実施形態では、炭素材料は、少なくとも1.8cc/g、少なくとも1.2、少なくとも0.6、少なくとも0.30cc/g、少なくとも0.25cc/g、少なくとも0.20cc/gまたは少なくとも0.15cc/gの20オングストローム未満の細孔中に存在する細孔体積を含む。他の実施形態では、炭素材料は、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.10cc/g、少なくとも1.00cc/g、少なくとも0.85cc/g、少なくとも0.80cc/g、少なくとも0.75cc/g、少なくとも0.70cc/g、少なくとも0.65cc/g、少なくとも0.50cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/gまたは少なくとも0.1cc/gの20オングストロームより大きい細孔中に存在する細孔体積を含む。
他の実施形態では、炭素材料は、20オングストロームから500オングストロームの範囲の細孔について、少なくとも7.00cc/g、少なくとも5.00cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、少なくとも1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/gまたは少なくとも0.1cc/gの細孔体積を含む。
他の実施形態では、炭素材料は、20オングストロームから300オングストロームの範囲の細孔について、少なくとも7.00cc/g、少なくとも5.00cc/g、4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.10cc/g、少なくとも1.00cc/g、少なくとも0.85cc/g、少なくとも0.80cc/g、少なくとも0.75cc/g、少なくとも0.70cc/g、少なくとも0.65cc/g、少なくとも0.50cc/g、少なくとも1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.80cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/gまたは少なくとも0.1cc/gの細孔体積を含む。
他の実施形態では、炭素材料は、20オングストロームから1000オングストロームの範囲の細孔について、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔体積を含む。
他の実施形態では、炭素材料は、20オングストロームから2000オングストロームの範囲の細孔について、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔体積を含む。
他の実施形態では、炭素材料は、20オングストロームから5000オングストロームの範囲の細孔について、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔体積を含む。
他の実施形態では、炭素材料は、20オングストロームから1ミクロンの範囲の細孔について、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔体積を含む。
他の実施形態では、炭素材料は、20オングストロームから2ミクロンの範囲の細孔について、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔体積を含む。
他の実施形態では、炭素材料は、20オングストロームから3ミクロンの範囲の細孔について、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔体積を含む。
他の実施形態では、炭素材料は、20オングストロームから4ミクロンの範囲の細孔について、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔体積を含む。
他の実施形態では、炭素材料は、20オングストロームから5ミクロンの範囲の細孔について、少なくとも7cc/g、少なくとも5cc/g、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも0.8cc/g、少なくとも0.6cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.1cc/gの細孔体積を含む。
さらに他の実施形態では、炭素材料は、少なくとも4.00cc/g、少なくとも3.75cc/g、少なくとも3.50cc/g、少なくとも3.25cc/g、少なくとも3.00cc/g、少なくとも2.75cc/g、少なくとも2.50cc/g、少なくとも2.25cc/g、少なくとも2.00cc/g、少なくとも1.90cc/g、1.80cc/g、1.70cc/g、1.60cc/g、1.50cc/g、1.40cc/g、少なくとも1.30cc/g、少なくとも1.20cc/g、少なくとも1.10cc/g、少なくとも1.00cc/g、少なくとも0.85cc/g、少なくとも0.80cc/g、少なくとも0.75cc/g、少なくとも0.70cc/g、少なくとも0.65cc/g、少なくとも0.60cc/g、少なくとも0.55cc/g、少なくとも0.50cc/g、少なくとも0.45cc/g、少なくとも0.40cc/g、少なくとも0.35cc/g、少なくとも0.30cc/g、少なくとも0.25cc/g、少なくとも0.20cc/gまたは少なくとも0.10cc/gの総細孔体積を含む。
さらに他の実施形態では、炭素材料は、少なくとも0.20cc/gの20オングストローム未満の細孔に存在する細孔体積および少なくとも0.8cc/gの20〜300オングストロームの細孔に存在する細孔体積を含む。さらに他の実施形態では、炭素材料は、少なくとも0.50cc/gの20オングストローム未満の細孔に存在する細孔体積および少なくとも0.5cc/gの20〜300オングストロームの細孔に存在する細孔体積を含む。さらに他の実施形態では、炭素材料は、少なくとも0.6cc/gの20オングストローム未満の細孔に存在する細孔体積および少なくとも2.4cc/gの20〜300オングストロームの細孔に存在する細孔体積を含む。さらに他の実施形態では、炭素材料は、少なくとも1.5cc/gの20オングストローム未満の細孔に存在する細孔体積および少なくとも1.5cc/gの20〜300オングストロームの細孔に存在する細孔体積を含む。
いくつかの実施形態では、炭素材料の細孔は2nmから10nmの範囲のピーク細孔体積を含む。他の実施形態では、ピーク細孔体積は、10nmから20nmである。さらに他の実施形態では、ピーク細孔体積は20nmから30nmである。さらに他の実施形態では、ピーク細孔体積は30nmから40nmである。さらに他の実施形態では、ピーク細孔体積は40nmから50nmである。他の実施形態では、ピーク細孔体積は50nmから100nmである。
特定の実施形態では、ミクロ細孔領域における低細孔体積を有するメソ多孔性炭素材料(例えば、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満のミクロ多孔度)が開示されている方法によって調製される。例えば、メソ多孔性炭素は、熱分解されているが活性化されていないポリマゲルであり得る。いくつかの実施形態では、熱分解されたメソ多孔性炭素は、少なくとも400m2/g、少なくとも500m2/g、少なくとも600m2/g、少なくとも675m2/gまたは少なくとも750m2/gの比表面積を有する。他の実施形態では、メソ多孔性炭素材料は、少なくとも0.50cc/g、少なくとも0.60cc/g、少なくとも0.70cc/g、少なくとも0.80cc/gまたは少なくとも0.90cc/gの総細孔体積を有する。さらに他の実施形態では、メソ多孔性炭素材料は、少なくとも0.30g/cc、少なくとも0.35g/cc、少なくとも0.40g/cc、少なくとも0.45g/cc、少なくとも0.50g/ccまたは少なくとも0.55g/ccのタップ密度を有する。
他の実施形態では、炭素材料は、0.1cc/g以上の総細孔体積を有し、他の実施形態では、炭素材料は、0.6cc/g以下の総細孔体積を有する。他の実施形態では、炭素材料は約0.1cc/gから約0.6cc/gの範囲の総細孔体積を有する。いくつかの他の実施形態では、炭素材料の総細孔体積は、約0.1cc/gから約0.2cc/gの範囲である。いくつかの他の実施形態では、炭素材料の総細孔体積は、約0.2cc/gから約0.3cc/gの範囲である。いくつかの他の実施形態では、炭素材料の総細孔体積は、約0.3cc/gから約0.4cc/gの範囲である。いくつかの他の実施形態では、炭素材料の総細孔体積は、約0.4cc/gから約0.5cc/gの範囲である。いくつかの他の実施形態では、炭素材料の総細孔体積は、約0.5cc/gから約0.6cc/gの範囲である。
炭素材料は、低い合計PIXE不純物を含む。したがって、いくつかの実施形態では、炭素材料中のすべての他のPIXE元素の合計PIXE不純物含有量(プロトン励起X線分光法によって測定した場合)は1000ppm未満である。他の実施形態では、炭素材料中のすべての他のPIXE元素の合計PIXE不純物含有量は、800ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、200ppm未満、150ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満または1ppm未満である。前述のさらなる実施形態では、炭素材料は、熱分解乾燥ポリマゲル、熱分解ポリマクリオゲル、熱分解ポリマキセロゲル、熱分解ポリマエアロゲル、活性化乾燥ポリマゲル、活性化ポリマクリオゲル、活性化ポリマキセロゲルまたは活性化ポリマエアロゲルである。
望ましくないPIXE不純物の低い含有量に加えて、本開示の炭素材料は、高い総炭素含有量を有する可能性がある。炭素に加えて、炭素材料は、酸素、水素、窒素および電気化学改変剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、本材料は、重量/重量ベースで、少なくとも75%の炭素、80%の炭素、85%の炭素、少なくとも90%の炭素、少なくとも95%の炭素、少なくとも96%の炭素、少なくとも97%の炭素、少なくとも98%の炭素または少なくとも99%の炭素を含む。いくつかの他の実施形態では、炭素材料は、重量/重量ベースで、10%未満の酸素、5%未満の酸素、3.0%未満の酸素、2.5%未満の酸素、1%未満の酸素または0.5%未満の酸素を含む。他の実施形態では、炭素材料は、重量/重量ベースで、10%未満の水素、5%未満の水素、2.5%未満の水素、1%未満の水素、0.5%未満の水素または0.1%未満の水素を含む。他の実施形態では、炭素材料は、重量/重量ベースで、5%未満の窒素、2.5%未満の窒素、1%未満の窒素、0.5%未満の窒素、0.25%未満の窒素または0.01%未満の窒素を含む。本開示の炭素材料の酸素、水素および窒素の含有量は、燃焼分析により測定できる。燃焼分析により、元素組成を測定するための技術は、当該技術分野で周知である。
他の実施形態では、炭素含有量は、CHNO分析によって測定すると、98重量%を超える。別の実施形態では、炭素含有量は全質量の50から98重量%の範囲である。さらに他の実施形態では、炭素含有量は全質量の90重量%から98重量%の範囲である。さらに他の実施形態では、炭素含有量は全質量の80重量%から90重量%の範囲である。さらに他の実施形態では、炭素含有量は全質量の70重量%から80重量%の範囲である。さらに他の実施形態では、炭素含有量が全質量の60重量%から70重量%の範囲である。
別の実施形態では、窒素含有量は、CHNO分析によって測定すると、0から30重量%の範囲である。別の実施形態では、窒素含有量は全質量の1重量%から10重量%の範囲である。さらに他の実施形態では、窒素含有量は全質量の10重量%から20重量%の範囲である。さらに他の実施形態では、窒素含有量は全質量の20重量%から30重量%の範囲である。別の実施形態では、窒素含有量は30重量%を超える。
炭素および窒素含有量はまた、C:Nの比率として測定することができる。1つの実施形態では、C:N比は1:0.001から1:1の範囲である。別の実施形態では、C:N比は1:0.001から1:0.01の範囲である。さらに別の実施形態では、C:N比は1:0.01から1:1の範囲である。さらに別の実施形態では、窒素含有量は、炭素の含有量を超える。
炭素材料はまた、電気化学改変剤または(即ち、ドーパント)を含んでもよい。電気化学改変剤は、炭素材料の電気化学的性能を最適化するように選択することができる。電気化学改変剤は、上述の重合ステップを開始する前、最中および/または後に加えることができる。例えば、電気化学改変剤は、上記の反応混合物、連続相またはポリマ相に添加することができ、または他の任意の方法で重合プロセス内に含めることができる。
電気化学改変剤は、炭素材料の細孔構造内および/または表面上に組み込まれるか、または様々な他の方法で組み込むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、炭素材料は、炭素材料の表面上に電気化学改変剤(例えば、Al2O3)のコーティングを含む。いくつかの実施形態では、炭素材料は、約100ppmを超える電気化学改変剤を含む。特定の実施形態では、電気化学改変剤は、鉄、スズ、ケイ素、ニッケル、アルミニウムおよびマンガンから選択される。いくつかの実施形態では、電気化学改変剤は、ケイ素であり、他の実施形態では、電気化学改変剤は、窒素である。
特定の実施形態では、電気化学改変剤は、リチウム金属に対して3から0Vでリチオ化する能力を有する元素(例えば、ケイ素、スズ、硫黄)を含む。他の実施形態では、電気化学改変剤は、リチウム金属に対して3から0Vでリチオ化する能力を有する金属酸化物(例えば、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化チタン)を含む。さらに他の実施形態では、電気化学改変剤は、リチウム金属に対して3から0Vでリチオ化しない元素(例えば、アルミニウム、マンガン、ニッケル、金属リン酸塩)を含む。さらに他の実施形態では、電気化学改変剤は、非金属元素(例えば、フッ素、窒素、水素)を含む。さらに他の実施形態では、電気化学改変剤は、上述の電気化学改変剤のいずれかまたはそれらの任意の組合せ(例えば、スズ−ケイ素、ニッケル−酸化チタン)を含む。
電気化学改変剤は、様々な形態で提供され得る。例えば、いくつかの実施形態では、電気化学改変剤は、塩を含む。他の実施形態では、電気化学改変剤は、元素形態の1つ以上の元素、例えば、元素鉄、スズ、ケイ素、ニッケルまたはマンガンを含む。他の実施形態では、電気化学改変剤は、酸化された形態の1つ以上の元素、例えば、酸化鉄、酸化スズ、酸化ケイ素、酸化ニッケル、酸化アルミニウムまたは酸化マンガンを含む。
他の実施形態では、電気化学改変剤は、鉄を含む。他の実施形態では、電気化学改変剤は、スズを含む。他の実施形態では、電気化学改変剤は、ケイ素を含む。いくつかの他の実施形態では、電気化学改変剤は、ニッケルを含む。さらに他の実施形態では、電気化学改変剤は、アルミニウムを含む。さらに他の実施形態では、電気化学改変剤は、マンガンを含む。さらに他の実施形態では、電気化学改変剤はAl2O3含む。
炭素材料の電気化学的特性は、少なくとも部分的に、炭素材料中の電気化学改変剤の量によって、改変することができる。したがって、いくつかの実施形態では、炭素材料は、電気化学改変剤の少なくとも0.10%、少なくとも0.25%、少なくとも0.50%、少なくとも1.0%、少なくとも5.0%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または少なくとも99.5%を含む。例えば、いくつかの実施形態では、炭素材料は、0.5%〜99.5%の炭素および0.5%〜99.5%の電気化学改変剤を含む。電気化学改変剤のパーセントは重量パーセントベース(重量%)で計算される。いくつかの他のより具体的な実施形態では、電気化学改変剤は、鉄、スズ、ケイ素、ニッケルおよびマンガンから選択される。
炭素材料の全灰分量は、いくつかの例では、炭素材料の電気化学的性能に影響を与える。したがって、いくつかの実施形態では、炭素材料の灰分は、0.1%から0.001%の範囲の重量パーセント灰分であり、例えば、いくつかの特定の実施形態では、炭素材料の灰分は0.1%未満、0.08%未満、0.05%未満、0.03%未満、0.025%未満、0.01%未満、0.0075%未満、0.005%未満または0.001%未満である。
他の実施形態では、炭素材料は、500ppm未満の全PIXE不純物含有量および0.08%未満の灰分を含む。さらなる実施形態では、炭素材料は、300ppm未満の全PIXE不純物含有量および0.05%未満の灰分を含む。他のさらなる実施形態では、炭素材料は、200ppm未満の全PIXE不純物含有量および0.05%未満の灰分を含む。他のさらなる実施形態では、炭素材料は、200ppm未満の全PIXE不純物含有量および0.025%未満の灰分を含む。他のさらなる実施形態では、炭素材料は、100ppm未満の全PIXE不純物含有量および0.02%未満の灰分を含む。他のさらなる実施形態では、炭素材料は、50ppm未満の全PIXE不純物含有量および0.01%未満の灰分を含む。
本開示の炭素材料中に存在する個々のPIXE不純物の量は、プロトン励起X線分光法によって測定できる。個々のPIXE不純物は、本開示の炭素材料の全般的な電気化学的性能に、様々な方法で寄与することができる。したがって、いくつかの実施形態では、炭素材料中に存在するナトリウムのレベルが1000ppm未満、500ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満または1ppm未満であり得る。上述のように、いくつかの実施形態では、水素、酸素および/または窒素などの他の不純物は、10%未満から0.01%未満の範囲のレベルで存在する可能性がある。
いくつかの実施形態では、炭素材料は、プロトン励起X線分析の検出限界に近いまたは検出限界以下の望ましくないPIXE不純物を含む。例えば、いくつかの実施形態では、炭素材料は、50ppm未満のナトリウム、15ppm未満のマグネシウム、10ppm未満のアルミニウム、8ppm未満のケイ素、4ppm未満のリン、3ppm未満の硫黄、3ppm未満の塩素、2ppm未満のカリウム、3ppm未満のカルシウム、2ppm未満のスカンジウム、1ppm未満のチタン、1ppm未満のバナジウム、0.5ppm未満のクロム、0.5ppm未満のマンガン、0.5ppm未満の鉄、0.25ppmのコバルト、0.25ppm未満のニッケル、0.25ppm未満の銅、0.5ppm未満の亜鉛、0.5ppm未満のガリウム、0.5ppm未満のゲルマニウム、0.5ppm未満のヒ素、0.5ppm未満のセレン、1ppm未満の臭素、1ppm未満のルビジウム、1.5ppm未満のストロンチウム、2ppm未満のイットリウム、3ppm未満のジルコニウム、2ppm未満のニオブ、4ppm未満のモリブデン、4ppm未満のテクネチウム、7ppm未満のルビジウム、6ppm未満のロジウム、6ppm未満のパラジウム、9ppm未満の銀、6ppm未満のカドミウム、6ppm未満のインジウム、5ppm未満のスズ、6ppm未満のアンチモン、6ppm未満のテルル、5ppm未満のヨウ素、4ppm未満のセシウム、4ppm未満のバリウム、3ppm未満のランタン、3ppm未満のセリウム、2ppm未満のプラセオジム、2ppm未満のネオジム、1.5ppm未満のプロメチウム、1ppm未満のサマリウム、1ppm未満のユーロピウム、1ppm未満のガドリニウム、1ppm未満のテルビウム、1ppm未満のジスプロシウム、1ppm未満のホルミウム、1ppm未満のエルビウム、1ppm未満のツリウム、1ppm未満のイッテルビウム、1ppm未満のルテチウム、1ppm未満のハフニウム、1ppm未満のタンタル、1ppm未満のタングステン、1.5ppm未満のレニウム、1ppm未満のオスミウム、1ppm未満のイリジウム、1ppm未満の白金、1ppm未満の銀、1ppm未満の水銀、1ppm未満のタリウム、1ppm未満の鉛、1.5ppm未満のビスマス、2ppm未満のトリウムまたは4ppm未満のウランを含む。
いくつかの特定の実施形態では、炭素材料は、プロトン励起X線分光法によって測定すると、100ppm未満のナトリウム、300ppm未満のケイ素、50ppm未満の硫黄、100ppm未満のカルシウム、20ppm未満の鉄、10ppm未満のニッケル、140ppm未満の銅、5ppm未満のクロムおよび5ppm未満の亜鉛を含む。他の特定の実施形態では、炭素材料は、50ppm未満のナトリウム、30ppm未満の硫黄、100ppm未満のケイ素、50ppm未満のカルシウム、10ppm未満の鉄、5ppm未満のニッケル、20ppm未満の銅、2ppm未満のクロムおよび2ppm未満の亜鉛を含む。
他の特定の実施形態では、炭素材料は、50ppm未満のナトリウム、50ppm未満のケイ素、30ppm未満の硫黄、10ppm未満のカルシウム、2ppm未満の鉄、1ppm未満のニッケル、1ppm未満の銅、1ppm未満のクロムおよび1ppm未満の亜鉛を含む。
いくつかの他の特定の実施形態では、炭素材料は、100ppm未満のナトリウム、50ppm未満のマグネシウム、50ppm未満のアルミニウム、10ppm未満の硫黄、10ppm未満の塩素、10ppm未満のカリウム、1ppm未満のクロムおよび1ppm未満のマンガンを含む。
本開示の炭素材料はまた、高い表面積を有することがある。理論に束縛されることを望まないが、高い表面積は、少なくとも部分的に、その優れた電気化学的性能に寄与し得ると考えられている。したがって、いくつかの実施形態では、炭素材料は、少なくとも100m2/g、少なくとも300m2/g、少なくとも500m2/g、少なくとも1000m2/g、少なくとも1500m2/g、少なくとも2000m2/g、少なくとも2400m2/g、少なくとも2500m2/g、少なくとも2750m2/gまたは少なくとも3000m2/gのBET比表面積を有する。他の実施形態では、BET比表面積は約100m2/gから約3000m2/gの範囲であり、例えば、約500m2/gから約1000m2/g、約1000m2/gから約1500m2/g、約1500m2/gから約2000m2/g、約2000m2/gから約2500m2/gまたは約2500m2/gから約3000m2/gである。例えば、前述のいくつかの実施形態では、炭素材料は活性化されている。
いくつかの特定の実施形態では、表面積は、約50m2/gから約1200m2/g、例えば、約50m2/gから約400m2/gの範囲である。他の特定の実施形態では、表面積は、約200m2/gから約300m2/gの範囲であり、例えば、表面積は約250m2/gであることもある。
別の実施形態では、炭素材料は、0.1〜1.0g/cc、0.2〜0.8g/ccまで、0.3〜0.5g/ccまたは0.4〜0.5g/ccのタップ密度を有する。別の実施形態では、炭素材料は、少なくとも0.1cc/g、少なくとも0.2cc/g、少なくとも0.3cc/g、少なくとも0.4cc/g、少なくとも0.5cc/g、少なくとも0.7cc/g、少なくとも0.75cc/g、少なくとも0.9cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも1.1cc/g、少なくとも1.2cc/g、少なくとも1.3cc/g、少なくとも1.4cc/g、少なくとも1.5cc/gまたは少なくとも1.6cc/gの総細孔体積を有する。
本開示の炭素材料の細孔径分布は、炭素材料の電気化学的性能に影響を及ぼし得る1つのパラメータである。例えば、炭素材料は、イオン拡散距離を減少させ、かつ、イオン輸送を増強し、出力を最大化するのに有用であり得る短い有効長(すなわち、TEMによって測定して、10nm未満、5未満または3nm未満)を有するメソ細孔を含むことができる。したがって、1つの実施形態では、炭素材料は、総細孔体積の少なくとも50%、総細孔体積の少なくとも75%、総細孔体積の少なくとも90%または総細孔体積の少なくとも99%を有する100nm以下の細孔のわずかな細孔体積を有する。他の実施形態では、炭素材料は、総細孔体積の少なくとも50%、総細孔体積の少なくとも75%、総細孔体積の少なくとも90%または総細孔体積の少なくとも99%を有する20nm以下の細孔のわずかな細孔体積を有する。
別の実施形態では、炭素材料は、総細孔表面積の少なくとも40%、総細孔表面積の少なくとも50%、総細孔表面積の少なくとも70%または総細孔表面積の少なくとも80%を有する20〜300オングストロームの細孔のわずかな細孔表面積を有する。別の実施形態では、炭素材料は、総細孔表面積の少なくとも20%、総細孔表面積の少なくとも30%、総細孔表面積の少なくとも40%または総細孔表面積の少なくとも50%を有する20nm以下の細孔のわずかな細孔表面積を有する。
別の実施形態では、炭素材料は、総細孔表面積の少なくとも50%、総細孔表面積の少なくとも75%、総細孔表面積の少なくとも90%または総細孔表面積の少なくとも99%を有する100nm以下の細孔のわずかな細孔表面積を有する。別の実施形態では、炭素材料は、総細孔表面積の少なくとも50%、総細孔表面積の少なくとも75%、総細孔表面積の少なくとも90%または総細孔表面積の少なくとも99%を有する20nm以下の細孔のわずかな細孔表面積を有する。
別の実施形態では、炭素材料は、1000オングストローム以下、例えば、100オングストローム以下、例えば、50オングストローム以下の範囲の細孔を主に含む。あるいは、炭素材料は、0〜20オングストロームの範囲のミクロ細孔および20〜300オングストロームの範囲のメソ細孔を含む。メソ細孔範囲と比較して、ミクロ細孔範囲の細孔体積または細孔表面の比は95:5から5:95の範囲であり得る。あるいは、メソ細孔範囲と比較して、ミクロ細孔範囲の細孔体積または細孔表面の比は20:80から60:40の範囲であり得る。
他の実施形態では、炭素材料は、メソ多孔性であり、単分散メソ細孔を含む。本明細書で使用されている「単分散」という用語は、細孔径に関して使用される場合には、通常、スパン(さらに、(Dv,90−Dv,10)/Dv,50と定義され、ここで、Dv,10、Dv,50およびDv,90は体積分布の10%、50%および90%における細孔径を意味する)が約3以下、通常、約2以下、しばしば約1.5以下である。
さらに他の実施形態では、炭素材料は、少なくとも1cc/g、少なくとも2cc/g、少なくとも3cc/g、少なくとも4cc/gまたは少なくとも7cc/gの細孔体積を有する。特定の一実施形態では、炭素材料は、1cc/gから7cc/gの細孔体積を有する。
他の実施形態では、炭素材料は、50Åから5000Åの範囲の直径を有する細孔内に存在する総細孔体積の少なくとも50%を含む。いくつかの例では、炭素材料は、50Åから500Åの範囲の直径を有する細孔内に存在する総細孔体積の少なくとも50%を含む。さらに他の例では、炭素材料は、500Åから1000Åの範囲の直径を有する細孔内に存在する総細孔体積の少なくとも50%を含む。さらに他の例では、炭素材料は、1000Åから5000Åの範囲の直径を有する細孔内に存在する総細孔体積の少なくとも50%を含む。
いくつかの実施形態では、炭素材料の平均粒径は、1から1000ミクロンの範囲である。他の実施形態では、炭素材料の平均粒径は、1から100ミクロンの範囲である。さらに他の実施形態では、炭素材料の平均粒径は1から50ミクロンの範囲である。さらに他の実施形態では、炭素材料の平均粒径は5から15ミクロン、または1から5ミクロンの範囲である。さらに他の実施形態では、炭素材料の平均粒径は約10ミクロンである。さらに他の実施形態では、炭素材料の平均粒径は4ミクロン未満、3ミクロン未満、2ミクロン未満、1ミクロン未満である。
いくつかの実施形態では、炭素材料は、1nmから10nmの範囲の平均粒径を示す。他の実施形態では、平均粒径は10nmから20nmの範囲である。さらに他の実施形態では、平均粒径は20nmから30nmの範囲である。さらに他の実施形態では、平均粒径は30nmから40nmの範囲である。さらに他の実施形態では、平均粒径は40nmから50nmの範囲である。他の実施形態では、平均粒径は50nmから100nmの範囲である。他の実施形態では、平均粒径は約1μmから約1mmの範囲である。他の実施形態では、平均粒径は約100μmから約10μmの範囲である。他の実施形態では、平均粒径は約100μm、約50μmまたは約10μmである。
いくつかの実施形態では、炭素の平均粒径は、1μmから1000μmの範囲である。他の実施形態では、炭素の平均粒径は、1μmから100μmの範囲である。さらに他の実施形態では、炭素の平均粒径は、5μmから50μmの範囲である。さらに他の実施形態では、炭素の平均粒径は、5μmから15μmの範囲である。さらに他の実施形態では、炭素の平均粒径は約10μmである。
いくつかの実施形態では、炭素材料は、1μmから5μmの範囲の平均粒径を示す。他の実施形態では、平均粒径は5μmから10μmの範囲である。さらに他の実施形態では、平均粒径は10nmから20μmの範囲である。さらに他の実施形態では、平均粒径は20nmから30μmの範囲である。さらに他の実施形態では、平均粒径は30μmから40μmの範囲である。さらに他の実施形態では、平均粒径は40μmから50μmの範囲である。他の実施形態では、平均粒径は50μmから100μmの範囲である。他の実施形態では、平均粒径は1μmを下回るサブミクロン範囲である。
関連する実施形態では、炭素材料は0.1mmから4mmの範囲の平均粒径を示す。他の実施形態では、平均粒径は0.5mmから4mmの範囲である。さらに他の実施形態では、平均粒径は0.5mmから3mmの範囲である。さらに他の実施形態では、平均粒径は0.5mmから2mmの範囲である。他の実施形態では、平均粒径は0.5mmから1mmの範囲である。特定の実施形態では、平均粒径は約0.9mm、約0.8mmまたは約0.5mmである。
さらに他の実施形態では、炭素材料は、単分散、またはほぼ単分散の粒径分布を有する。例えば、いくつかの実施形態では、炭素材料は、(Dv,90−Dv,10)/Dv,50が3未満であるような粒径分布を有し、ここで、Dv,10、Dv,50およびDv,90は体積粒径分布のそれぞれ10%、50%および90%における粒径である。さらなる実施形態では、(Dv,90−Dv,10)/Dv,50は、1,000未満、100未満、10未満、5未満、3未満、2未満、1.5未満またはさらに1未満である。
さらに他の実施形態では、炭素材料は、光学顕微鏡および画像解析によって測定すると、実質的に球形形状を有するカーボン粒子を含む。例えば、カーボン粒子の90%超、95%超またはさらに99%超は、球形形状を有することがある。このような形状は、粒子充填(particle packing)(したがって、エネルギ密度)に影響を及ぼすことが知られているので、炭素材料を含む種々の電気機器の性能を向上させることができる。いくつかの実施形態では、炭素材料は、複数のカーボン粒子を含み、カーボン粒子の90%超は球状形状を有する。例えば、いくつかの実施形態では、カーボン粒子の95%超は球状形状を有する。
上述のように、本明細書に開示される方法は、最適化された粒径分布を有するポリマゲルおよび/または炭素材料を有利に提供する。いくつかの実施形態では、粒径分布は、個々のポリマまたはカーボン粒子の増強された充填に寄与する。エネルギ貯蔵粒子(energy storage particle)、例えば、カーボン粒子の増強された充填は、様々な用途に有益であり得る。例えば、高表面積を有する活性炭材料は、キャパシタ、特にスーパーキャパシタなどのエネルギ貯蔵デバイスに日常的に使用されている。通常は、このような高表面積炭素材料は、低い密度を有する傾向があり、したがって、体積基準で、その静電容量(すなわち、体積静電容量)は比較的低い。実用上は、コンデンサは、高い重量静電容量と高い体積静電容量の両方を必要とする。サイズに関して制約されているデバイスについては、体積静電容量は、活性炭粒子をより密に充填することによって、向上させることができる。活性炭材料の従来のミリング(milling)により、粒径の分布および広くランダムな範囲の構造(すなわち、非球形粒子形状)を有する粉末が得られる。これらの特徴は、密に充填する活性炭粉末の能力を制限し、したがって、それによって達成できる体積静電容量を制限する。増強された充填特性を有する炭素材料は、本明細書およびすべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる同時係属中の米国特許出願第13/250,430号で記述されている。
炭素材料の粒径分布は、それらの電気化学的性能において重要な因子である。いくつかの実施形態では、本開示の方法に従って調製した炭素材料は、約0.01μmから約50μmの範囲の粒径を有する複数のカーボン粒子を含む。他の実施形態では、粒径分布は、約0.01μmから約20μmの範囲の粒径を有する。例えば、いくつかの実施形態では、粒径分布は、約0.03μmから約17μmまたは約0.04μmから約12μmの範囲の粒径を有する。前述の特定の実施形態では、カーボン粒子の少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%は、約0.01μmから約50μm、約0.01μmから約20μm、約0.03μmから約17μmまたは約0.04μmから約12μmの範囲の粒径を有する。
いくつかの実施形態では、本開示の炭素材料は、約0.1g/cc〜約0.8g/cc、例えば約0.2g/cc〜約0.6g/ccのタップ密度を有する。炭素が主にミクロ細孔を含むいくつかの実施形態では、タップ密度は、約0.3g/cc〜約0.6g/ccまたは約0.4g/cc〜約0.5g/ccの範囲である。炭素がメソ細孔および/またはマクロ細孔を含むいくつかの実施形態では、タップ密度は、約0.1g/cc〜約0.4g/ccまたは約0.2g/cc〜約0.3g/ccの範囲である。
いくつかの実施形態では、本開示の炭素材料は、少なくとも0.5cc/g、少なくとも0.7cc/g、少なくとも0.75cc/g、少なくとも0.9cc/g、少なくとも1.0cc/g、少なくとも1.1cc/g、少なくとも1.2cc/g、少なくとも1.3cc/g、少なくとも1.4cc/g、少なくとも1.5cc/g、少なくとも1.6cc/g、少なくとも1.7cc/g、少なくとも1.8cc/g、少なくとも1.9cc/gまたは少なくとも2.0cc/gの総細孔体積を有する。
[D.ポリマゲルおよび炭素材料の特性決定]
最終炭素材料および中間ポリマゲルの構造特性は、当業者には周知の方法である、77Kでの窒素収着を用いて測定できる。最終炭素材料の最終的な性能および特徴は重要であるが、中間生成物(乾燥ポリマゲルおよび熱分解されたが活性化されていないポリマゲルの両方)も、当業者に周知のように、特に品質管理の観点から、評価できる。Micrometrics ASAP 2020が詳細なミクロ細孔およびメソ細孔の分析を実施するのに使用され、これより、いくつかの実施形態では、0.35nmから50nmの粒径分布が明らかになる。このシステムは、10−7気圧で始まる窒素等温線を作成し、これによって、1nm以下(sub 1nm)の範囲の高分解能細孔径分布が得られる。報告書を作成するソフトウェアは、密度関数理論(DFT)法を利用して、細孔径分布、表面積分布、総表面積、総細孔体積および特定細孔径範囲内の細孔体積などの特性を算出する。
炭素材料の不純物含有量は、当業者に周知の様々な分析手法により、測定できる。本開示の文脈において有用な、具体的な分析方法の1つが、プロトン励起X線分析法(PIXE)である。この手法は、11から92の範囲の原子番号を有する元素の濃度を低ppmレベルで測定することができる。したがって、1つの実施形態では、炭素材料内に存在する不純物の濃度はPIXE分析により、測定される。
[E.炭素材料を含むデバイス]
本発明の1つの実施形態は、電極、または本開示の炭素材料を含む、電極を含むデバイスである。この点で有用なデバイスは、これらに限定されないが、以下に示す、同時係属中の米国出願番号、12/748,219;12/897,969;12/829,282;13/046,572;12/965,709;13/336,975;および61/585,611に記載されているデバイスを含み、これらの各々は本明細書にその全体が参考により組み込まれる。
(1.EDLC)
本開示の炭素材料は、様々な電気エネルギ貯蔵および配分機器において電極材料として使用できる。そのようなデバイスの1つが、ウルトラキャパシタである。炭素材料を含むウルトラキャパシタは、全体が本明細書に組み込まれている、共有されている米国特許第7,835,136号に詳述されている。
EDLCは、電解質溶液に浸漬された電極をエネルギ蓄積素子として用いる。通常は、電解質に浸漬されて電解質が含浸した多孔性セパレータは、電極が互いに接触せず、電子流が直接電極間を流れるのを防止することを確保する。同時に、この多孔性セパレータは、電解質を介して、電極間をイオン電流が双方向に流れることを可能にし、これによって、電極と電解質との間の界面に電荷の二重層が形成される。
電位をEDLCの一対の電極間に印加すると、電解質内に存在するイオンが、逆帯電した電極の表面に引き寄せられ、それらの電極に向かって移動する。このように、逆帯電したイオンの層が形成され、各電極表面の近くに保持される。電気エネルギは、これらのイオン層と対応する電極表面の電荷層との間の電荷分離層に蓄積される。実際には、これらの電荷分離層は、本質的に、静電キャパシタとして動作する。また、静電エネルギは、電位によって誘起された電界の影響下で、電解液の分子の配向および配列によりEDLCに蓄積できる。しかし、このエネルギ蓄積モードは副次的である。
本開示の炭素材料を含むEDLCは、高電力を必要とする様々な電子デバイスに使用できる。したがって、1つの実施形態では、炭素材料を含む電極が提供される。別の実施形態では、電極は活性炭材料を含む。さらなる実施形態では、本炭素材料を含む電極を備えたウルトラキャパシタが提供される。前述のさらなる実施形態では、超高純度合成炭素材料は、上記のミクロ細孔およびメソ細孔の最適化されたバランスを構成する。
本開示の炭素材料は、様々な電子デバイス、例えば、デジタルスチルカメラ、ノートPC、医療デバイス、位置追跡機器、自動車用機器、コンパクトフラッシュ(登録商標)機器、携帯電話、PCMCIAカード、ハンドヘルドデバイスおよびデジタル音楽プレーヤなどの消費者用および商業用無線デバイスに使用される。ウルトラキャパシタは、掘削機などの土木機器、フォークリフト、ゴミ収集車、港湾用および建設用クレーン、バス、自動車、列車などの輸送システムなどの重機にも用いられる。
1つの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の炭素材料を含むデバイスを対象とし、ここで、本デバイスは、
a)それぞれが本炭素材料を含む正電極および負電極と、
b)不活性多孔性セパレータと、
c)電解質と、
を備えた電気二重層キャパシタ(EDLC)デバイスであり、正電極および負電極は、不活性多孔性セパレータによって分離されている。
1つの実施形態では、本炭素材料を含むウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも5W/g、少なくとも10W/g、少なくとも15W/g、少なくとも20W/g、少なくとも25W/g、少なくとも30W/g、少なくとも35W/g、少なくとも50W/gの重量出力を含む。別の実施形態では、本炭素材料を含むウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも2W/cc、少なくとも4W/cc、少なくとも5W/cc、少なくとも10W/cc、少なくとも15W/cc、または少なくとも20W/ccの体積出力を含む。別の実施形態では、本炭素材料を含むウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも2.5Wh/kg、少なくとも5.0Wh/kg、少なくとも7.5Wh/kg、少なくとも10Wh/kg、少なくとも12.5Wh/kg、少なくとも15.0Wh/kg、少なくとも17.5Wh/kg、少なくとも20.0Wh/kg、少なくとも22.5Wh/kg、または少なくとも25.0Wh/kgの重量エネルギを含む。別の実施形態では、本炭素材料を含むウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも1.5Wh/リットル、少なくとも3.0Wh/リットル、少なくとも5.0Wh/リットル、少なくとも7.5Wh/リットル、少なくとも10.0Wh/リットル、少なくとも12.5Wh/リットル、少なくとも15Wh/リットル、少なくとも17.5Wh/リットルまたは少なくとも20.0Wh/リットルの体積エネルギを含む。
前述のいくつかの実施形態では、本炭素材料を含むウルトラキャパシタデバイスの重量出力、体積出力、重量エネルギおよび体積エネルギは、アセトニトリル中のテトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウムの1.0M溶液(AN中の1.0M TEATFB)を含む電解質および0.5秒の時定数を用いて、2.7Vから1.89Vの定電流放電によって測定される。
1つの実施形態では、本炭素材料を含むウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも10W/gの重量出力、少なくとも5W/ccの体積出力、少なくとも100F/g(0.5A/gにおいて)の重量静電容量(gravimetric capacitance)、少なくとも10F/cc(0.5A/gにおいて)の体積静電容量(volumetric capacitance)を含む。1つの実施形態では、前述のウルトラキャパシタデバイスは、本炭素材料、導電性向上剤、バインダ、電解質溶媒および電解質塩を含むコイン電池二重層ウルトラキャパシタである。さらなる実施形態では、前述の導電性向上剤は、カーボンブラックおよび/または当該技術分野において周知の他の導電性向上剤である。さらなる実施形態では、前述のバインダは、テフロン(登録商標)および/または当該技術分野において周知の他のバインダである。さらなる前述の実施形態では、電解質溶媒は、アセトニトリルまたはプロピレンカーボネートまたは当該技術分野において周知の他の電解質溶媒である。さらなる前述の実施形態では、電解質塩は、テトラエチルアミノテトラフルロボレート、トリエチルメチルアミノテトラフルロボレートまたは当該技術分野において周知の他の電解質塩または当該技術分野において周知の液体電解質である。
1つの実施形態では、本炭素材料を含むウルトラキャパシタデバイスは少なくとも15W/gの重量出力、少なくとも10W/ccの体積電力、少なくとも110F/g(0.5A/gにおいて)の重量静電容量、少なくとも15F/cc(0.5A/gにおいて)の体積静電容量を含む。1つの実施形態では、前述のウルトラキャパシタデバイスは、本炭素材料、導電性向上剤、バインダ、電解質溶媒および電解質塩を含むコイン電池二重層ウルトラキャパシタである。さらなる実施形態では、前述の導電性向上剤は、カーボンブラックおよび/または当該技術分野において周知の他の導電性向上剤である。さらなる実施形態では、前述のバインダは、テフロン(登録商標)およびまたは当該技術分野において周知の他のバインダである。さらなる前述の実施形態では、電解質溶媒は、アセトニトリルまたはプロピレンカーボネートまたは当該技術分野において周知の他の電解質溶媒である。さらなる前述の実施形態では、電解質塩は、テトラエチルアミノテトラフルロボレートまたはトリエチルメチルアミノテトラフルロボレート、または当該技術分野において周知の他の電解質塩または当該技術分野において周知の液体電解質である。
1つの実施形態では、本炭素材料を含むウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも90F/g、少なくとも95F/g、少なくとも100F/g、少なくとも105F/g、少なくとも110F/g、少なくとも115F/g、少なくとも120F/g、少なくとも125F/g、または少なくとも130F/gの重量静電容量を含む。別の実施形態では、本炭素材料を含むウルトラキャパシタデバイスは、少なくとも5F/cc、少なくとも10F/cc、少なくとも15F/cc、少なくとも20F/cc、少なくとも25F/ccまたは少なくとも30F/ccの体積静電容量を含む。前述のいくつかの実施形態では、重量静電容量および体積静電容量は、アセトニトリル中のテトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウムの1.8M溶液(AN中の1.8M TEATFB)を含む電解質および0.5A/g、1.0A/g、4.0A/gまたは8.0A/gの電流密度を使用して、5秒の時定数で、2.7Vから0.1Vの定電流放電によって測定される。
1つの実施形態では、本開示は、本明細書に開示の炭素材料を含むウルトラキャパシタを提供し、電圧保持期間後の本炭素材料を含むウルトラキャパシタの元の静電容量(即ち、電圧保持が施される前の静電容量)の減少率は、既知の炭素材料を含むウルトラキャパシタの元の静電容量の減少率より少ない。1つの実施形態では、65℃、2.7Vで24時間の電圧保持後の本炭素材料を含むウルトラキャパシタに残っている元の静電容量の割合は、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%または少なくとも10%である。前述のさらなる実施形態では、電圧保持期間後に残っている元の静電容量の割合は、電流密度0.5A/g、1A/g、4A/gまたは8A/gで測定する。
別の実施形態では、本開示は、本明細書に開示の炭素材料を含むウルトラキャパシタを提供し、繰り返し電圧サイクリング後の本炭素材料を含むウルトラキャパシタの元の静電容量の減少率は、同一条件が施された既知の炭素材料を含むウルトラキャパシタの元の静電容量の減少率より少ない。例えば、1つの実施形態では、本炭素材料を含むウルトラキャパシタに残っている元の静電容量の割合は、電流密度4A/gでの2Vと1Vとの間のサイクリングを含む、1000回、2000回、4000回、6000回、8000回または1000回の電圧サイクリングイベントの後の既知の炭素材料を含むウルトラキャパシタに残っている元の静電容量の割合よりも大きい。別の実施形態では、電流密度4A/gでの2Vと1Vとの間のサイクリングからなる、1000回、2000回、4000回、6000回、8000回または1000回の電圧サイクリングイベントの後の本炭素材料を含むウルトラキャパシタに残っている元の静電容量の割合は、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%または少なくとも10%である。
上述のように、本炭素材料を、ウルトラキャパシタデバイスに組み込むことができる。いくつかの実施形態では、本炭素材料は、従来技術に従ってジェットミルを用いて、約10ミクロンの平均粒径に粉砕される。理論に拘束されることを望まないが、この微細な粒径によって、粒子同士の導電性が高まり、かつ、非常に薄い薄板電極の製造が可能になると考えられている。ジェットミルは、本質的には、高圧窒素によって駆動される円板形チャンバの内側で炭素を回転させることにより、炭素同士をこすり合わせてすりつぶす。大きな粒子が送り込まれると、それらの粒子は遠心力によってチャンバの外側に押される。粒子同士が互いにすりつぶし合うにつれ、粒子は中心に向かって移動し、最終的に、適切な寸法に達した時点で、粉砕チャンバから外に出る。
さらなる実施形態では、ジェットミリングの後、炭素は、繊維質のテフロン(登録商標)バインダ(3重量%)とブレンドされて、粒子をシート内に保持する。炭素とテフロン(登録商標)の混合物は、均一な稠度に達するまで、混練する。その後、高圧ローラフォーマ(high−pressure roller−former)を用いて、この混合物をシートに圧延して、50ミクロンの最終厚さを得る。これらの電極をパンチングして円板にし、乾燥アルゴン雰囲気下で195℃まで加熱して、水および/または他の空中浮遊汚染物質を除去する。電極を計量し、電極の寸法をノギスで測定する。
EDLCの炭素電極は、適切な電解質溶液で湿潤させる。本出願のデバイスに使用される電解質溶液に使用される溶媒の例としては、これらに限定されないが、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、スルホラン、メチルスルホランおよびアセトニトリルが挙げられる。そのような溶媒は、通常、TEATFB(テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム);TEMATFB(トリ−エチル,メチルアンモニウムテトラフルオロボレート);EMITFB(1−エチル−3−メチルイミドアゾリウムテトラフルオロボレート);テトラメチルアンモニウムまたはトリエチルアンモニウム系の塩などのテトラアルキルアンモニウム塩を含む、溶質と混合される。さらに、電解質は、希薄硫酸や水酸化カリウムなどの水ベースの酸または塩基性電解質であってよい。
いくつかの実施形態では、電極は、アセトニトリル中のテトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウムの1.0M溶液(AN中の1.0M TEATFB)を含む電解質で湿潤させる。他の実施形態では、電極は、プロピレンカーボネート中のテトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウムの1.0M溶液(PC中の1.0M TEATFB)を含む電解質で湿潤させる。これらは、研究および産業界の両方で使用される一般的な電解質であり、デバイス性能を評価する基準と見なされている。他の実施形態では、対称形炭素−炭素(C−C)キャパシタが、不活性雰囲気下、例えば、アルゴングローブボックス内で組み立てられ、30ミクロン厚のNKK多孔質膜がセパレータとして機能する。組み立てられると、試料は、試料の多孔性に応じて、約20分以上、電解質中に浸されてもよい。
いくつかの実施形態では、静電容量および電力出力は、Biologic VMP3電気化学ワークステーション上で、様々な電圧(1.0〜最大電圧2.5Vまでの範囲)および電流レベル(1〜10mAまで)で、サイクリックボルタンメトリ(CV)、クロノポテンショメトリ(CP)およびインピーダンス分光法を用いて測定される。本実施形態では、静電容量は、次式を用いたポテンショグラムの放電曲線から計算できる。
式1
式中、Iは電流(A)、ΔVは電圧降下、Δtは時間差である。本実施形態では、試験用キャパシタが対称炭素−炭素(C−C)電極なので、比静電容量は次式から求められる。
Cs= 2C/me
式2
式中、meは、単一電極の質量である。比エネルギおよび電力は、次式を用いて求められる。
式3
Ps= Es/4ESR
式4
式中、Cは、測定された静電容量であり、Vmaxは、最大試験電圧であり、ESRは、放電初期の電圧降下から得られる等価直列抵抗である。ESRは、インピーダンス分光法から交互に誘導することができる。
(2.電池)
本開示の炭素材料は、様々なタイプの電池の電極としても使用される。例えば、1つの実施形態は、下記を含む電気エネルギ貯蔵機器を対象としている。
a)炭素材料を含む少なくとも1つのアノード;
b)金属酸化物を含む少なくともカソード;および
c)リチウムイオンを含む電解液;
ここで、炭素材料は、本明細書に記載の炭素材料のいずれかである。
別の実施形態は、金属空気電池、例えば、リチウム空気電池を対象としている。リチウム空気電池は、一般に、正極と負極との間に介在する電解質を含む。正極は、一般に、酸化リチウムまたは過酸化リチウムなどのリチウム化合物を含み、酸素を酸化または還元する働きをする。負極は、一般にリチウムイオンを吸収および放出する炭素質物質を含む。スーパーキャパシタと同様に、本開示の炭素材料を含むリチウム空気電池などの電池は、既知の炭素材料を含む電池よりも優れていることが期待されている。したがって、1つの実施形態では、本発明は、本明細書に開示される炭素材料を含む、金属空気電池、例えば、リチウム空気電池を提供する。
様々な他の電池、例えば、亜鉛−炭素電池、リチウム/炭素電池、鉛酸電池なども、本明細書に開示される炭素材料によって性能が向上すると期待されている。当業者は、本開示の炭素材料から便益が得られる、他の特殊なタイプの炭素含有電池を認識するであろう。したがって、別の実施形態では、本発明は、本明細書に開示の炭素材料を含む、電池、具体的には、亜鉛/炭素電池、リチウム/炭素電池または鉛酸蓄電池を提供する。
以下の実施例で開示されている炭素材料は、本明細書に開示されている方法に従って調製した。化学物質は、試薬グレードの純度またはそれ以上で商業的な供給源から入手し、追加の精製を行わず、供給者から受け取ったまま使用した。
いくつかの実施例では、ポリマゲル粒子は、熱分解および/または活性化の前に凍結乾燥する。これらの実施例において、通常、凍結ポリマヒドロゲル粒子を収容したトレイを凍結乾燥機の棚に載せる前に、凍結乾燥機の棚を−30℃まで事前冷却した。凍結乾燥用チャンバ圧力は、通常、50から1000mTorrの範囲であり、棚温度は、+10から+25℃の範囲であった。あるいは、棚温度は、より低く(例えば、0℃から+10℃の範囲に)設定してもよい。あるいは、棚温度は、より高く(例えば、25℃から+100℃の範囲に)設定してもよい。チャンバ圧力は、50から3000mTorrの範囲で保持してよい。例えば、チャンバ圧力を、150から300mTorrの範囲で制御してもよい。
特に記述がない限り、ポリマは、ある期間、700〜1200℃の範囲の温度で、例えば、200L/hの窒素ガス流を使用して850℃で、窒素雰囲気中で加熱することにより熱分解された。活性化条件は、通常、ある期間、800〜1000℃の範囲の温度で、例えばCO2下、900℃で660分間、熱分解ポリマヒドロゲルを加熱することを含む。
TGA研究は、Mettler Toledo TGA/DSC1 707 N2/CO2 MX5システムを用いて行った。熱分解および活性化は、Thermo Scientific,Economy Solid Tube炉を用いて行った。表面積および細孔体積の測定は、Micromeritics Tristar II BETシステムを用いて行った。
現在の実施例の目的のために、2つのポリマのサンプルを調製した。両方のサンプルについては、ポリマ相の溶媒は35%(v/v)氷酢酸を含む水から構成され、ポリマ前駆体は、レゾルシノールおよびホルムアルデヒドであり、触媒は酢酸アンモニウムであり、RC比は5:1であり、ポリマ相の固形分は45%であった。どちらの場合も、二次油相は、Flint Hills 100HC炭化水素油から構成された。
1つの場合(サンプル1−1)において、二次油相は、酸を含んでいなかった。他の場合(サンプル1−2)において、二次油相は、12%(v/v)の酸を含み、氷酢酸18mLを油150mLに直接加え、室温で400rpmで撹拌して、二次油相中に均一な酸を得ることにより完了した。12%の酸添加の選択は、このレベルが飽和レベルあると結論を下した溶解度研究に基づいた。
両サンプルについては、重合は、本明細書に記載の方法に従って、水性ポリマ相と二次油相とを接触させ、90℃で1.5時間加熱して完了した。両サンプルについては、得られたポリマ粒子は、本明細書に記載の方法に従って、濾過して二次相を除去し、炭素に加工した。得られた活性炭は、本明細書に記載されるプロセスおよび方法を使用して、EDLCの物理化学的および電気化学的性能について特徴付けられた。物理化学的および電気化学的データを表1に示す。図1は、炭素の細孔分布を示す。
油性二次相の飽和酸を使用することなく、本明細書に記載の方法によって生成されたポリマゲルから生成される炭素の場合については、細孔体積は、1730m2/gの比表面積において0.721cm3/gであり、本炭素は、15A未満の細孔を含む全細孔の21.4%、16A未満の細孔を含む全細孔の45.0%および20A未満の細孔を含む全細孔の94.8%を有し、本来は微多孔性であった。また、油性二次相の飽和酸を使用することなく、ポリマゲルから生成される炭素の場合については、重量静電容量は121.1F/gで、最大理論体積静電容量は26.1F/ccであった。
油性二次相の飽和酸を使用して、本明細書に記載の方法によって生成されたポリマゲルから生成される炭素の場合については、細孔体積は1775m2/gの比表面積において0.733cm3/gであり、本炭素はまた微多孔性であった。実際に、15A未満の細孔を含む全細孔の24.4%、16A未満の細孔を含む全細孔の51.5%および20A未満の細孔を含む全細孔の98.1%を有し、微多孔性の範囲に顕著な改良があった。また、油性二次相の飽和酸を使用することなく、ポリマゲルから生成される炭素の場合については、重量静電容量は126.7F/gで、最大理論体積静電容量は27.0F/ccであった。したがって、炭素が本明細書に記載の方法によるポリマゲルから作られ、油性二次相が酸で飽和された場合、重量静電容量および最大理論体積静電容量の双方において顕著な改良があった。
特定の実施形態および特徴は、1組の数値上限および1組の数値下限を用いて説明されている。別段の指定がなければ、任意の2つの値の組合せ、例えば、任意の低値と任意の上値の組合せ、任意の2つの低値の組合せおよび/または任意の2つの上値の組合せを含む、範囲が熟慮されることを理解すべきである。特定の下限、上限および範囲が、下記の1つ以上の特許請求の範囲に記述されている。すべての数値は、「約」または「およそ」指定値で、当業者が予想できる実験誤差および変動を考慮に入れている。
種々の用語が、上記で定義されている。特許請求の範囲で使用される用語が上記で定義されていない範囲で、用語が少なくとも1つの刊行物または発行された特許に反映されるように、最も広い定義を関連技術の当業者に与えることを考慮すべきである。さらに、このような開示が本願の開示と不一致でない程度まで、かつこのような組み込みが許されるすべての管轄について、本出願に引用されたすべての特許、試験手順およびその他の文書はすべて参照により本明細書に組み込まれている。
上述の様々な実施形態は、組み合わせて、さらなる実施形態を提供できる。本明細書において言及および/または出願データシートに記載されている、米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物のすべては、その全体が、参照により本明細書に組み込まれている。実施形態の態様は、必要であれば、様々な特許、出願および刊行物の概念を使用して、別のさらなる実施形態を提供するために変更することができる。これらおよび他の変更は、上述の詳細な説明に照らして実施形態に対して行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、明細書および特許請求の範囲に開示された特定の実施形態の特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を持つ同等物のすべての範囲と共にすべての可能な実施形態を含むものと解釈されるべきである。したがって、本特許請求の範囲は本開示により制限されない。
(1)1つ以上のフェノール性化合物および1つ以上の架橋性化合物を含有するモノマ成分と担体流体とを含む反応物質混合物を調製することを含む、エマルジョンまたは懸濁液工程によってゲル形態のポリマ粒子を作製する方法であって、
a.前記担体流体が、前記担体流体の総重量に対して50wt%未満のシクロヘキサンを含有し、
b.前記モノマ成分が重合して、前記ゲル形態のポリマ粒子を形成し、
c.担体が、それぞれの種について飽和限界の少なくとも50%の濃度で、酸、塩基もしくは触媒、またはこれらの組合せを含み、
d.前記ゲル形態のポリマ粒子の体積平均粒度(Dv,50)が、1mm以上である、
ことを特徴とする方法。
(2)1つ以上のフェノール性化合物および1つ以上の架橋性化合物を含有するモノマ成分と担体流体とを含む反応物質混合物を調製することを含む、エマルジョンまたは懸濁液工程によってゲル形態のポリマ粒子を作製する方法であって、
a.前記モノマ成分が重合して、前記ゲル形態のポリマ粒子を形成し、
b.前記担体流体が、界面活性剤を含有しないか、または臨界ミセル濃度未満の濃度で界面活性剤を含有し、
c.担体が、それぞれの種について飽和限界の少なくとも50%の濃度で、酸、塩基もしくは触媒、またはこれらの組合せを含み、
d.前記ゲル形態のポリマ粒子の体積平均粒度(Dv,50)が、1mm以上である、
ことを特徴とする方法。
(3)1つ以上のフェノール性化合物および1つ以上の架橋性化合物を含有するモノマ成分と担体流体とを含む反応物質混合物を調製することを含む、エマルジョンまたは懸濁液工程によってゲル形態のポリマ粒子を作製する方法であって、
a.前記モノマ成分が重合して、前記ゲル形態のポリマ粒子を形成し、
b.前記担体流体が、前記担体流体の総重量に対して50wt%未満のシクロヘキサンを含有し、
c.前記担体流体が、界面活性剤を含有しないか、または臨界ミセル濃度未満の濃度で界面活性剤を含有し、
d.担体が、それぞれの種について飽和限界の少なくとも50%の濃度で、酸、塩基もしくは触媒、またはこれらの組合せを含み、
e.前記ポリマ粒子の体積平均粒度(Dv,50)が、1mm以下である、
ことを特徴とする方法。
(4)(1)または(2)に記載の方法であって、前記ゲル形態のポリマ粒子の体積平均粒度(Dv,50)が、2mm以上であることを特徴とする方法。
(5)(1)または(2)に記載の方法であって、前記ゲル形態のポリマ粒子の体積平均粒度(Dv,50)が、4mm以上であることを特徴とする方法。
(6)(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法であって、前記担体流体が、1つ以上の植物油、1つ以上の鉱油、1つ以上の塩素化炭化水素、1つ以上のパラフィン油、またはこれらの任意の混合物を含むことを特徴とする方法。
(7)(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法であって、前記モノマ成分が、1つ以上の触媒を含む水性混合物であることを特徴とする方法。
(8)(7)に記載の方法であって、前記触媒が、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、またはこれらの任意の混合物を含むことを特徴とする方法。
(9)(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法であって、前記モノマ成分が、1つ以上の触媒を含む水性混合物であり、前記1つ以上の触媒が、塩基性塩、有機酸、またはこれらの任意の混合物を含むことを特徴とする方法。
(10)(9)に記載の方法であって、前記有機酸が、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、マレイン酸、シュウ酸、尿酸、乳酸、またはこれらの任意の混合物であることを特徴とする方法。
(11)(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法であって、前記反応混合物をかき混ぜることをさらに含むことを特徴とする方法。
(12)(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法であって、前記反応物質混合物を約30℃から約150℃までの温度に加熱することをさらに含むことを特徴とする方法。
(13)(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法であって、前記モノマ成分が、重合中に7未満のpHを有することを特徴とする方法。
(14)(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法であって、前記エマルジョンまたは懸濁液工程によって前記ゲル形態のポリマ粒子を作製する前に、前記1つ以上のフェノール性化合物と前記1つ以上の架橋性化合物とを互いに予備重合させて、プレポリマを形成することを特徴とする方法。
(15)(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法であって、前記反応混合物が、0.01%から20%の、約100ダルトンから約2,000ダルトンまでの分子量を有する非イオン性界面活性剤をさらに含むことを特徴とする方法。
(16)(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法であって、前記ゲル形態のポリマ粒子を不活性雰囲気中で約500℃から約2,400℃までの範囲の温度で加熱して、熱分解粒子を生成することをさらに含むことを特徴とする方法。
(17)(16)に記載の方法であって、前記熱分解粒子が、0.5cm 3 /g超の総細孔体積および21以上のゲラメータ(GM)を有することを特徴とする方法。
(18)(17)に記載の方法によって生成された、活性化された熱分解粒子を含むことを特徴とする電極。
(19)(17)に記載の方法によって生成された、活性化された熱分解粒子を含むことを特徴とする電気エネルギ貯蔵機器。
(20)(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法であって、前記担体流体が、100kPaの圧力において81℃以上の沸点を有することを特徴とする方法。
(21)(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法であって、前記ポリマ粒子を前記担体流体から分離して、ゲル形態の分離されたポリマ粒子を得ることをさらに含むことを特徴とする方法。
(22)(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法であって、前記モノマ成分が、重合中に7超のpHを有することを特徴とする方法。
(23)(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法であって、前記モノマ成分が重合して前記ゲル形態のポリマ粒子を形成するときに、前記反応物質混合物が、約30℃以上の温度であることを特徴とする方法。
(24)(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法であって、前記エマルジョンまたは懸濁液工程によって前記ゲル形態のポリマ粒子を作製する前に、前記1つ以上のフェノール性化合物と前記1つ以上の架橋性化合物とを互いに予備重合させて、約1.1000から約1.7000までの範囲の屈折率を有する液体プレポリマを形成することを特徴とする方法。
(25)(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法であって、前記反応物質混合物が、窒素含有電気化学改変剤をさらに含むことを特徴とする方法。
(26)(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法であって、前記ゲル形態のポリマ粒子のサイズ減少を伴わずに、前記ゲル形態のポリマ粒子を乾燥させることをさらに含むことを特徴とする方法。
(27)(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法であって、前記ゲル形態のポリマ粒子が、約0.01cm 3 /gから1.5cm 3 /gの間の総細孔体積を有することを特徴とする方法。
(28)(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法であって、
前記ゲル形態のポリマ粒子を不活性雰囲気中で500℃から2,400℃までの範囲の温度で加熱して、熱分解粒子を生成することと;
前記熱分解粒子を、二酸化炭素、一酸化炭素、蒸気、酸素、またはこれらの任意の混合物を含む雰囲気中で500℃から1,300℃までの範囲の温度で活性化させて、活性化粒子を生成することと、
をさらに含むことを特徴とする方法。
(29)(28)に記載の方法であって、前記活性化粒子が、0.5cm 3 /g超の総細孔体積および24以上のゲラメータ(GM)を有することを特徴とする方法。
(30)(28)に記載の方法であって、前記活性化粒子が、1cm 3 /g超の総細孔体積および9から21までのゲラメータ(GM)を有することを特徴とする方法。
(31)(28)に記載の方法によって生成された、活性化された熱分解粒子を含むことを特徴とする電極。
(32)(28)に記載の方法によって生成された、活性化された熱分解粒子を含むことを特徴とする電気エネルギ貯蔵機器。
(33)1700m 2 /g超の比表面積および0.7cm 3 /g超の細孔体積を有し、全細孔の95%超が20A以下のサイズを有する細孔に属しており、アセトニトリル中のテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボランを含む電解質を用いて0.5Amp/gの電流密度で測定した場合、重量静電容量による静電容量が120F/g超であり、最大理論静電容量については静電容量が26F/cm 3 超であることを特徴とする炭素材料。
(34)(33)に記載の炭素材料であって、光子誘起X線放出によって測定した場合、11から92の間の分子量を有するすべての原子を200ppm未満有することを特徴とする炭素材料。
(35)1700m 2 /g超の比表面積および0.7cm 3 /g超の細孔体積を有し、全細孔の98%超が20A以下のサイズを有する細孔に属しており、アセトニトリル中のテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボランを含む電解質を用いて0.5Amp/gの電流密度で測定した場合、重量静電容量による静電容量が125F/g超であり、最大理論静電容量については静電容量が27F/cm 3 超であることを特徴とする炭素材料。
(36)(33)に記載の炭素材料であって、光子誘起X線放出によって測定した場合、11から92の間の分子量を有するすべての原子を200ppm未満有することを特徴とする炭素材料。
(37)(33)から(36)のいずれか1項に記載の炭素材料を含むことを特徴とする電極。
(38)(33)から(37)のいずれか1項に記載の炭素材料または電極を含むことを特徴とする電気エネルギ貯蔵機器。
(39)水性ポリマ相および油性二次相を含み、前記水性ポリマ相および油性二次相のpHabsが、互いの1pHabs単位以内であることを特徴とする、懸濁液またはエマルジョン重合工程。
(40)水性ポリマ相および油性二次相を含み、前記水性ポリマ相および油性二次相のpHabsが、互いの0.5pHabs単位以内であることを特徴とする、懸濁液またはエマルジョン重合工程。
(41)水性ポリマ相および油性二次相を含み、前記水性ポリマ相および油性二次相のpHabsが、互いの0.1pHabs単位以内であることを特徴とする、懸濁液またはエマルジョン重合工程。
(42)水性ポリマ相および油性二次相を含み、前記水性ポリマ相のpHabsが、前記油性二次相のpHabsより少なくとも0.1pHabs単位大きいことを特徴とする、懸濁液またはエマルジョン重合工程。
(43)水性ポリマ相および油性二次相を含み、前記水性ポリマ相のpHabsが、前記油性二次相のpHabsより少なくとも0.5pHabs単位大きいことを特徴とする、懸濁液またはエマルジョン重合工程。
(44)水性ポリマ相および油性二次相を含み、前記水性ポリマ相のpHabsが、前記油性二次相のpHabsより少なくとも1pHabs単位大きいことを特徴とする、懸濁液またはエマルジョン重合工程。
(45)水性ポリマ相および油性二次相を含み、前記水性ポリマ相のpHabsが、前記油性二次相のpHabsより少なくとも0.1pHabs単位小さいことを特徴とする、懸濁液またはエマルジョン重合工程。
(46)水性ポリマ相および油性二次相を含み、前記水性ポリマ相のpHabsが、前記油性二次相のpHabsより少なくとも0.5pHabs単位小さいことを特徴とする、懸濁液またはエマルジョン重合工程。
(47)水性ポリマ相および油性二次相を含み、前記水性ポリマ相のpHabsが、前記油性二次相のpHabsより少なくとも1pHabs単位小さいことを特徴とする、懸濁液またはエマルジョン重合工程。