JP6027712B2 - 溶射部材、およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基材と、当該基材の表面を被覆する溶射膜とを備えた溶射部材およびその製造方法、ならびに溶射部材を備えた製造装置部材に関する。
半導体デバイス、液晶デバイスなどを製造する場合、Siウエハやガラス基板に形成された所定の膜をFなどのハロゲン系の腐食性ガスを用いプラズマ環境下で処理するドライエッチングなどの工程が存在する。そこで、近年、半導体デバイス、液晶デバイスなどの製造装置において、プラズマ環境下で腐食ガスに曝されるチャンバーや各種部材に、Alなどの金属材料からなる基材の耐食を防止するために、基材表面に耐食性のあるセラミックス膜を設けることがある。たとえば、特許文献1には、Yからなるセラミックス膜を溶射で基材表面に設けることが記載されている。
特許第3649210号公報
しかし、ドライエッチング工程におけるプラズマ環境下でハロゲン系の腐食性ガスとセラミックス膜とが反応すると、YFなどのパーティクル固形物が生じ、これらが付着して、半導体デバイス、液晶デバイスなどの品質が低下するという問題があった。
そこで、腐食ガスが曝されるチャンバーや各種部材に石英ガラスを用いる場合がある。この場合、Fなどのハロゲン系の腐食性ガスで処理が行われても、石英ガラスと反応して生じるSiFなどは気体となるため、パーティクルの発生を防止することができる。しかしながら、半導体デバイス、液晶デバイスの大型化に伴い、耐食性部材を石英ガラスで製造することは、製造コスト面で非常に不利であった。
そこで、金属材料からなる基材表面にSi基材料からなる膜を設けることが考えられる。そして、このために、Si基材料からなる焼結体またはSi基金属セラミック複合材料を基材の表面に形成することが考えられる。しかし、この方法では、複雑な形状の基材表面にSi基材料からなる膜を設けることができない。
そこで、本発明は、複雑な形状の基材の表面にもSi基材料からなる膜が設けられうる溶射部材、およびこれを製造する方法、ならびに溶射部材を備えた製造装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための本発明の溶射部材は、基材と、前記基材の表面を被覆する、金属SiとSiC又はSi3 4 うちいずれかとの混合物を主成分とする溶射膜とを有する溶射部材であって、前記溶射膜の相対密度が90〜97[%]であることを特徴とする。
本発明の溶射部材は、Si基材料からなる膜が溶射膜であるので、複雑な形状の基材の表面にもSi基材料からなる膜が設けられうる。そして、この膜は空隙が少なく緻密である。
前記課題を解決するための本発明の製造装置は、半導体デバイスまたは液晶デバイスの製造装置であり、前記溶射部材をプラズマ環境下で腐食ガスに曝される部材としたことを特徴とする。
本発明の製造装置は、空隙が少なく緻密な溶射膜を有する溶射部材を備えるので、真空雰囲気で用いられたとき、真空度を上げることが容易になる。また、プラズマ環境下で溶射膜が腐食ガスと反応してもパーティクル固形物が発生するおそれがない。
前記課題を解決するための本発明の溶射部材の製造方法は、基材と、前記基材の表面を被覆する金属Siを含有する溶射膜とを有する溶射部材の製造方法であって、金属Si粉末とSiC粉末、Si34粉末もしくはSiO2粉末のうちいずれかとの混合粉末を主成分とする原料粉末の加速エネルギーx[g/min/mm2]および熱エネルギーy[kJ/kg]の組み合わせを、x−y平面において(1)x=3.0(20.0≦y≦75.0)、(2)y=−4.17x+87.5(3.0≦x≦15.0)、(3)x=15.0(10.0≦y≦25.0)および(4)y=−0.83x+22.5(3.0≦x≦15.0)により近似される線分によって囲まれた第1領域に収まるように溶射距離を100[mm]以下として調節しながら、前記基材に対して前記原料粉末を溶射することにより、前記溶射膜を形成することを特徴とする。
前記原料粉末の加速エネルギーxおよび熱エネルギーyの組み合わせを、x−y平面において(1’)x=3.0(20.0≦y≦60.0)、(2’)y=−2.92x+68.8(3.0≦x≦15.0)、(3’)x=15.0(15.0≦y≦25.0)、(4’)y=−0.83x+22.5(3.0≦x≦9.0)および(5’)y=15.0(9.0≦x≦15.0)により近似される線分によって囲まれた第2領域に収まるように調節することが好ましい。
本発明の方法によれば、Si基材料からなる膜を溶射膜として形成するので、複雑な形状の基材の表面にもSi基材料からなる膜が設けることが可能となる。そして、この膜は空隙が少なく緻密である。
複雑な形状の基材の表面にもSi基材料からなる溶射膜を設けることができる。そして、この膜は空隙が少なく緻密である。
本発明の溶射部材の製造条件に関する説明図
発明者は、溶射によってSi基材料からなる膜を設けることを考えた。しかし、液滴化された溶射材が高速ガス流などによって処理対象である基材表面に吹き付けられるので、基材表面で凝固した溶射材間に空隙が生じる場合があることがわかった。半導体デバイス、液晶デバイスなどの製造装置は真空雰囲気で用いられ、空隙が多いと真空度を上げることが困難になる。
そこで、空隙が少ない緻密な溶射膜を備えた溶射部材、およびこれを製造する方法を鋭意研究した。以下、これらについて説明する。
(製造方法)
ステンレス、アルミニウム合金、アルミニウムまたは銅などの金属製基材の表面が砥粒を用いたサンドブラストにより表面粗さRaが2.0[μm]以上になるような粗面状態に加工される。基材の表面は、各種溶射膜の熱膨張差の緩衝層となるアンダーコート(Ni−Cr−Alなど)は被覆されていても、被覆されていなくても構わない。基材は平板状のものであっても複雑形状であっても構わない。
溶射原料粉末としては、金属Si粉末とSiC粉末、Si34粉末もしくはSiO2粉末のうちいずれかとの混合粉末を主成分とする粉末が用いることができる。溶射原料粉末として、アルコールなどで湿式混合したものにポリビニルアルコールなどの結合材を混合したものをスプレードライヤーにより造粒したもの、こうした造粒粉末をさらに焼結したもの、混合物を溶融粉砕したものなどを用いることができる。
なお、SiC粉末、Si34もしくはSiO2粉末は、それぞれ単独では溶射原料粉末にすることはできない。たとえば、SiC粉末及びSi34粉末は加熱されると溶融せずに分解される。しかし、SiC粉末、Si34粉末もしくはSiO2粉末を金属Si粉末と混合すると、SiC、Si34もしくはSiO2を元の粒子形状を保ったまま溶射することが可能となる。
溶射原料粉末を、プラズマ溶射することにより、溶射膜が形成される。プラズマ溶射装置は、一般の大気プラズマ溶射装置、減圧プラズマ溶射装置が使用でき、プラズマガスとして、Ar,Ar+N,Ar+H、Ar+COまたはAr+Oなどが用いられる。
溶射ガンと基材との距離はたとえば150[mm]以下、好ましくは100[mm]以下に設定される。溶射距離が150[mm]を超えると、溶射膜の密度が低下したり表面粗さが大きくなるため、パーティクルの発生原因になり好ましくない。
また、溶射施工時には溶射膜が基材から剥離することを防止するため、基材はコンプレッサーエアなどの空冷方式により冷却される。なお、基材は水冷によって冷却されても構わない。水冷の場合、基材の中に水を流し、流出側の水温が100[℃]以下となるように水量および水温が調節される。
プラズマ溶射に際して、使用するプラズマガスの流量、印加する電力を変更し、原料粉末の加速エネルギーx[g/min/mm]および熱エネルギーy[kJ/kg]の組み合わせがx−y平面における「第1領域」に収まるように調節された。
加速エネルギーxは、単位時間に投入したプラズマガス量(質量)を溶射ガン先端のプラズマガスを放出するノズルの穴の面積で除した値により表わされ、プラズマガスの流量の多少、プラズマガスの種類およびプラズマガスノズルの穴面積に応じて増減する。
また、熱エネルギーyはプラズマを発生させている電力を単位時間に投入したプラズマガス量(質量)で除した数値により表わされ、プラズマガスの種類、プラズマ出力に応じても増減する。
第1領域は、図1に実線で示され、式(1)〜(4)のそれぞれにより近似される4本の線分L1〜L4によって囲まれている。
x=3.0(20.0≦y≦75.0)‥(1)
y=−4.17x+87.5(3.0≦x≦15.0) ‥(2)
x=15.0(10.0≦y≦25.0) ‥(3)
y=−0.83x+22.5(3.0≦x≦15.0) ‥(4)。
第1領域に代えて、第1領域の一部である「第2領域」に収まるように、原料粉末の加速エネルギーxおよび熱エネルギーyの組み合わせが採用されてもよい。第2領域は、図1に破線で示され、式(1’)〜(5’)によって近似される5本の線分L1’〜L5’により囲まれている。
x=3.0(20.0≦y≦60.0) ‥(1’)
y=−2.92x+68.8(3.0≦x≦15.0) ‥(2’)
x=15.0(15.0≦y≦25.0) ‥(3’)
y=−0.83x+22.5(3.0≦x≦9.0) ‥(4’)
y=−15.0(9.0≦x≦15.0) ‥(5’)。
線分L1〜L4または線分L1’〜L5’は、第1領域または第2領域を次のような領域S1〜S4から区分するために定義される。
熱エネルギーyが高い一方、加速エネルギーxが低い領域S1では、原料粉末が揮発または昇華しやすくなり、塗着率の低下を招くことがある。また、加速エネルギーが低いため、基材に衝突する溶射粒子または液滴が溶射膜表面に形成されている細かい凹部に入り込むことができず、気孔が多い低密度の溶射膜が形成されてしまう。また、この領域S1では、熱エネルギーyに比較してプラズマガス流量が少ないため、プラズマが発生しても失火しやすく、安定な成膜が困難である。
加速エネルギーxおよび熱エネルギーyがともに高い領域S2では、きわめて短時間であれば緻密な膜(溶射膜)が成形されうるものの、溶射ノズルの先端の損傷等、プラズマ溶射装置の損傷が発生する可能性が高く、実製品を安定した膜質で製造することが困難である。溶射ノズルの先端の損傷等が生じずに、所望の厚さ(たとえば0.1[mm]以上)の溶射膜が得られるという観点から、領域S2から第1領域および第2領域を区分するための、式(2)(2’)により表わされる境界線分が適宜変更されてもよい。
加速エネルギーxが高い一方で熱エネルギーyが低い領域S3では、原料粉末の溶融が不十分である。このため、基材に対する原料の付着率が著しく低く、付着したとしても著しく多孔質な溶射膜しか形成されえない。また、この領域S3では、プラズマが発生しにくく、S1と同様プラズマが発生しても失火しやすく、安定な成膜が困難である。
加速エネルギーxおよび熱エネルギーyがともに低い領域S4では、原料粉末の溶融がより不十分である。このため、基材に対する原料の付着率が著しく低く、付着したとしても著しく多孔質な溶射膜しか形成されえない。また、この領域では、プラズマが不安定になりやすく、長時間にわたるプラズマ溶射の継続は困難である。
溶射膜のSiC、SiまたはSiOの平均粒径は0.1〜10μmであり、SiC、SiまたはSiOの焼結体にSiを含浸させて作製したSiC/Si複合材料体、Si/Si複合材料体、またはSiO/Si複合材料体中のSiC、SiまたはSiOの平均粒径10〜100μmに比較して小さくなっている。SiC、SiまたはSiOの粒径が細かいと、溶射膜の相対密度が高くなるため、好ましい。一方、粒径が粗くなり過ぎると、溶射膜の密度低下や粒子の脱落が生じやすくなるため、好ましくない。
溶射膜の相対密度は90%以上であることが好ましい。相対密度が90%に満たないと、溶射膜の粒子の結合が弱くパーティクルが発生するおそれが大きくなり、また製造装置の真空度を保持することが困難になるため、好ましくない。
溶射膜の同素材の焼結体に対するビッカース硬度の比は0.5以上であることが好ましい。この比が0.5に満たないと、溶射膜を形成する粒子の結合が弱く、パーティクルが発生するおそれが大きくなるため、好ましくない。
溶射膜の表面粗さRaは7μm以下であることが好ましい。表面粗さRaが7μmより大きくなると、溶射膜表面を構成する粒子の結合が弱く、パーティクルの発生を招くため、好ましくない。
なお、溶射材の組成を変更することによって、溶射膜の性能を傾斜的に変化させることが可能となる。たとえば、溶射膜の基材表面に近い部分の硬度を低くして基材と溶射膜との密着性を図るとともに、溶射膜の表面部分の硬度を高くして傷付防止を図ることができる。また、溶射膜の基材表面に近い部分の熱膨張率を基材と近いものとして、基材と溶射膜との剥離防止を図ることもできる。
(製造装置)
本発明の溶射部材は、半導体デバイスまたは液晶デバイスの製造装置において、プラズマ環境下で腐食ガスに曝されるチャンバーなどの各種部材として使用されることに適している。これは、空隙が少なく緻密な溶射膜を溶射部材が備えるため、真空雰囲気で使用したときに、真空度を上げることが容易になるからである。また、プラズマ環境下で溶射膜が腐食ガスと反応してもパーティクル固形物が発生するおそれがないからである。
(実施例)
前記方法により、溶射膜を有する溶射部材が製造された。原料粉末として(1)SiC粉末(75体積%)と金属Si粉末(25体積%)、(2)金属Si粉末(100体積%)、(3)SiC粉末(50体積%)と金属Si粉末(50体積%)、(4)SiO2粉末(50体積%)と金属Si粉末(50体積%)、(5)SiC粉末(90体積%)と金属Si粉末(10体積%)、(6)金属Si粉末(100体積%)、(7)Si34粉末(50体積%)と金属Si粉末(50体積%)、(8)SiC粉末(50体積%)と金属Si粉末(50体積%)、(9)SiC粉末(10体積%)と金属Si粉末(90体積%)、(10)金属Si粉末(100体積%)、(11)金属Si粉末(100体積%)、(12)SiC粉末(50体積%)と金属Si粉末(50体積%)、(13)金属Si粉末(100体積%)、(14)SiC粉末(50体積%)と金属Si粉末(50体積%)、(15)Si34粉末(50体積%)と金属Si粉末(50体積%)、(16)SiC粉末(25体積%)と金属Si粉末(75体積%)、(17)SiC粉末(50体積%)と金属Si粉末(50体積%)のそれぞれが用いられ、実施例1〜17の溶射部材が製造された。
実施例1〜17のそれぞれの溶射部材の製造条件としての溶射の加速エネルギーxおよび熱エネルギーyの組み合わせが、第1領域または第2領域に収まるように調節された。加速エネルギーxおよび熱エネルギーyの組み合わせを示すプロットが、図1において丸付き数字により示されている。丸の中の数字は実施例の番数を表わしている。図1から実施例1〜17のうち、実施例1〜5、8〜17が第2領域に含まれていることがわかる。なお、実施例2,6,10,11,13は参考例である。
各実施例において、溶射膜の相対密度、原料粉末の基材に対する塗着率、溶射膜の同素材の焼結体に対するビッカース硬度の比、溶射膜の表面粗さRa、およびテープ試験での脱粒数のそれぞれが測定された。また、溶射膜がSiC、SiまたはSiOを含む場合、これらの平均粒径が測定された。表1には測定結果がまとめて示されている。なお、実施例2、6、10、11、13では、溶射膜中に、マイクロクラックやポアが存在してSi粒子の形状が不明瞭であるので、Si粒子の粒径を測定することはできなかった。
テープ試験は、カーボンテープ(SHINTOPAINT製、Shintrontape)を用い、射放し面の溶射膜の表面にカーボンテープを貼った後、再びカーボンテープを剥し、溶射膜と接触したカーボンテープ表面をSEMで観察して、溶射膜から脱落してカーボンテープ表面に接着した粒子の1mm当りの個数を調べた。
Al6061製の基材(25×7×2.5[mm]、表面積5.1[cm])の全面に各溶射膜が形成される。
Figure 0006027712
表1から、エネルギー組み合わせが第1領域に含まれるように溶射環境が調節されることにより、相対密度が90〜97[%]の範囲にある緻密な溶射膜を備えた溶射部材が製造されることがわかる。また、原料粉末の基材または溶射膜に対する塗着率が45[%]以上であり、同素材の焼結体に対する溶射膜のビッカース硬度の比が0.5以上であり、溶射膜の表面粗さRaが7.0[μm]以下であり、テープ試験による溶射膜の射放し面の脱粒が1mm2当り50個以下であることがわかる(実施例1〜17参照)。また、溶射膜がSiC、SiまたはSiOを含む場合、これらの平均粒径が0.1〜10μmであることがわかる(実施例1、3〜5、7〜9、12、14〜17参照)。
さらに、エネルギー組み合わせが第2領域に含まれるように溶射環境が調節されることにより、溶射膜の表面粗さRaが6.1[μm]以下に低減されることがわかる(実施例1〜5、8〜17参照)。
第1領域の境界線の近似式(1)〜(4)は、溶射ガンの損傷を生じずに溶射膜が十分な厚さ(たとえば0.1[mm]以上)を有し、溶射膜の相対密度が90〜97[%]の範囲にあり、原料粉末の基材または溶射膜に対する塗着率が45[%]以上であり、溶射膜の同素材の焼結体に対するビッカース硬度の比が0.5以上であり、溶射膜の表面粗さRaが7.0[μm]以下であり、テープ試験による溶射膜の射放し面の脱粒が50[個/mm2]以下であり、溶射膜がSiC、SiまたはSiOを含む場合にはこれらの平均粒径が0.1〜10μmである第1の実施例群のうち、最も外側に位置する測定データに基づいて求められる。
近似式(1)は、実施例10を基準とする1次式により表現されている。近似式(2)は、実施例6および実施例9のそれぞれを基準として定められ、当該実施例に相当する2点を結ぶ1次式により表現されてもよい。近似式(3)は、実施例17を基準とする1次式により表現されている。近似式(4)は、実施例1および実施例7を基準として定められ、当該実施例のそれぞれに相当する2点を結ぶ1次式により表現されていてもよい。
第2領域の境界線の近似式(1’)〜(5’)は、溶射ガンの損傷を生じずに溶射膜が十分な厚さ(たとえば0.1[mm]以上)を有し、溶射膜の相対密度が90〜97[%]の範囲にあり、原料粉末の基材または溶射膜に対する塗着率が45[%]以上であり、溶射膜の同素材の焼結体に対するビッカース硬度の比が0.5以上であり、溶射膜の表面粗さRaが6.1[μm]以下であり、テープ試験による溶射膜の射放し面の脱粒が50[個/mm2]以下であり、溶射膜がSiC、SiまたはSiOを含む場合にはこれらの平均粒径が0.1〜10μmである第2の実施例群のうち、最も外側に位置する測定データに基づいて求められる。
たとえば、近似式(2’)は、実施例9および実施例10を基準とする1次式により表現されている。近似式(5’)は、実施例17を基準とする1次式により表現されている。
近似式は、複数の実施例のそれぞれに相当する複数の点に基づき、最小二乗法等にしたがって求められる2次以上の高次式により表わされてもよい。たとえば、近似式(2’)が実施例5、9、10および15のそれぞれに相当する4点に基づき、最小二乗法等にしたがって求められる2次以上の高次式により表わされてもよい。測定結果が良好であったプロットがすべて第1領域または第2領域に含まれるように、最小二乗法等により求められた境界線分がy方向およびx方向のうち少なくとも一方にずらされてもよい。
(比較例)
原料粉末として(1)金属Si粉末(100体積%)、(2)SiC粉末(50体積%)と金属Si粉末(50体積%)、(3)金属Si粉末(100体積%)、(4)SiC粉末(50体積%)と金属Si粉末(50体積%)、(5)SiC粉末(50体積%)と金属Si粉末(50体積%)、(6)SiC粉末(25体積%)と金属Si粉末(75体積%)、(7)金属Si粉末(100体積%)のそれぞれが用いられ、比較例1〜7の溶射部材が製造された。
比較例1〜10のそれぞれの溶射部材の製造条件としての溶射の加速エネルギーxおよび熱エネルギーyの組み合わせが、第1範囲から外れるように調節された。加速エネルギーxおよび熱エネルギーyの組み合わせを示すプロットが、図1において三角付き数字により示されている。三角の中の数字は実施例の番数を表わしている。
各比較例において、溶射膜の相対密度、原料粉末の基材に対する塗着率、溶射膜の同素材の焼結体に対するビッカース硬度の比、および溶射膜の表面粗さRaのそれぞれが測定された。また、溶射膜がSiC、SiまたはSiOを含む場合、これらの平均粒径が測定された。表2には測定結果がまとめて示されている。
ただし、比較例8によれば、プラズマは点火させることはできたが、出力が安定しないために溶射を行うことができなった。比較例9によれば、プラズマを点火させることができなかった。比較例10はプラズマを発生させることはできたが、出力が高すぎたため1min弱でプラズマトーチが焼損し、製膜はできなかった。
Figure 0006027712
表2から、エネルギー組み合わせが第1領域から外れるように溶射環境が調節されることにより、実施例と比較して、相対密度が84〜89[%]という低い範囲になることがわかる。また、実施例と比較した場合に、原料粉末の基材または溶射膜に対する塗着率が13〜30[%]に低下し、溶射膜の同素材の焼結体に対するビッカース硬度の比が0.35〜0.47という低い範囲にあり、溶射膜の表面粗さRaが7.1〜8.6[μm]という高い範囲にあり、テープ試験による溶射膜の射放し面の脱粒が57〜150[個/mm2]という高い範囲にあり、溶射膜中のSiCの平均粒径が11.9と大きな溶射膜を備えた溶射部材が製造される場合があることがわかる(比較例1〜7参照)。
なお、SiCの焼結体にSiを含浸させて作製した、SiCが50体積%、Siが50体積%のSiC/Si複合材料体中におけるSiCの平均粒径は35μmであった。

Claims (4)

  1. 基材と、前記基材の表面を被覆する、金属SiとSiC又はSi3 4 うちいずれかとの混合物を主成分とする溶射膜とを有する溶射部材であって、
    前記溶射膜の相対密度が90〜97[%]であることを特徴とする溶射部材。
  2. 請求項1に記載の溶射部材をプラズマ環境下で腐食ガスに曝される部材としたことを特徴とする半導体デバイスまたは液晶デバイスの製造装置。
  3. 基材と、前記基材の表面を被覆する金属Siを含有する溶射膜とを有する溶射部材の製造方法であって、
    属Si粉末とSiC粉末、Si34粉末もしくはSiO2粉末のうちいずれかとの混合粉末を主成分とする原料粉末の加速エネルギーx[g/min/mm2]および熱エネルギーy[kJ/kg]の組み合わせを、x−y平面において(1)x=3.0(20.0≦y≦75.0)、(2)y=−4.17x+87.5(3.0≦x≦15.0)、(3)x=15.0(10.0≦y≦25.0)および(4)y=−0.83x+22.5(3.0≦x≦15.0)により近似される線分によって囲まれた第1領域に収まるように溶射距離を100[mm]以下として調節しながら、前記基材に対して前記原料粉末を溶射することにより、前記溶射膜を形成することを特徴とする方法。
  4. 請求項3記載の方法において、
    前記原料粉末の加速エネルギーxおよび熱エネルギーyの組み合わせを、x−y平面において(1’)x=3.0(20.0≦y≦60.0)、(2’)y=−2.92x+68.8(3.0≦x≦15.0)、(3’)x=15.0(15.0≦y≦25.0)、(4’)y=−0.83x+22.5(3.0≦x≦9.0)および(5’)y=15.0(9.0≦x≦15.0)により近似される線分によって囲まれた第2領域に収まるように調節することを特徴とする方法。
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