JP6026952B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電力供給源および回転電機を昇温可能な電力変換装置を提供することにある。
第1インバータ部は、巻線の各相に対応して設けられる第1スイッチング素子を有し、巻線の一端と充放電可能な第1電力供給源との間に接続される。
第2インバータ部は、巻線の各相に対応して設けられる第2スイッチング素子を有し、巻線の他端と充放電可能な第2電力供給源との間に接続される。
制御部は、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子のオンオフ作動を制御し、第1電力供給源と第2電力供給源との間で充放電を行い、第1電力供給源、第2電力供給源、および、回転電機を昇温させる。
第1スイッチング素子は、高電位側に接続される第1上アーム素子(21、22、23)、および、第1上アーム素子の低電位側に接続される第1下アーム素子(24、25、26)から構成され、第2スイッチング素子は、高電位側に接続される第2上アーム素子(31、32、33)、および、第2上アーム素子の低電位側に接続される第2下アーム素子(34、35、36)から構成される。また、巻線の少なくとも1相に対応する相をスイッチング相とし、スイッチング相以外の少なくとも1相を非スイッチング相とする。
制御部は、第1上アーム素子のスイッチング相、第1下アーム素子および第2下アーム素子の非スイッチング相をオンし、第2下アーム素子のスイッチング相をスイッチングする昇圧期間と、第1上アーム素子のスイッチング相、第1下アーム素子および第2下アーム素子の非スイッチング相をオンし、第2上アーム素子のスイッチング相をスイッチングする降圧期間と、を切り替える。
(第1実施形態)
第1実施形態による電力変換装置を図1〜図8に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の第1実施形態による電力変換装置1は、回転電機としてのモータ10の電力を変換するものである。
駆動装置5は、電力変換装置1、モータ10、第1電力供給源としての第1バッテリ41、第2電力供給源としての第2バッテリ42等を備える。本実施形態では、駆動装置5は、例えば電動車両に適用される。
また、モータ10には、図示しないロータの回転位置を検出する回転角センサ15が設けられる。回転角センサ15は、例えばレゾルバ等、どのようなであってもよい。回転角センサ15の検出値は、制御部60に出力され、制御部60にて各種演算に用いられる。
第1インバータ部20は、3相インバータであり、コイル11〜13への通電を切り替えるべく、6つのスイッチング素子であるU1上アーム素子21、V1上アーム素子22、W1上アーム素子23、U1下アーム素子24、V1下アーム素子25およびW1下アーム素子26がブリッジ接続されている。以下適宜、U1上アーム素子21、V1上アーム素子22、W1上アーム素子23、U1下アーム素子24、V1下アーム素子25およびW1下アーム素子26を、「SW素子21〜26」という。本実施形態では、SW素子21〜26は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であり、寄生ダイオードを有している。本実施形態では、SW素子21〜26の寄生ダイオードが低電位側から高電位側へ通電可能となるように接続される。本実施形態では、SW素子21〜26が「第1スイッチング素子」に対応する。
V1上アーム素子22は、V1下アーム素子25の高電位側に接続される。V1上アーム素子22とV1下アーム素子25との接続点28は、V相コイル12の一端121に接続される。
W1上アーム素子23は、W1下アーム素子26の高電位側に接続される。W1上アーム素子23とW1下アーム素子26との接続点29は、W相コイル13の一端131に接続される。
以下適宜、高電位側に接続されるU1上アーム素子21、V1上アーム素子22およびW1上アーム素子23を「第1上アーム素子」、低電位側に接続されるU1下アーム素子24、V1下アーム素子25およびW1下アーム素子26を「第1下アーム素子」という。
V2上アーム素子32は、V2下アーム素子35の高電位側に接続される。V2上アーム素子32とV2下アーム素子35との接続点38は、V相コイル12の他端122に接続される。
W2上アーム素子33は、W2下アーム素子36の高電位側に接続される。W2上アーム素子33とW2下アーム素子36との接続点39は、W相コイル13の他端132に接続される。
以下適宜、高電位側に接続されるU2上アーム素子31、V2上アーム素子32およびW2上アーム素子を「第2上アーム素子」、低電位側に接続されるU2下アーム素子34、V2下アーム素子35およびW2下アーム素子36を「第2下アーム素子」という。
第2バッテリ42は、第2インバータ部30に接続される充放電可能な直流電源である。
第1バッテリ41により印加される電圧を第1電圧値V1とし、第2バッテリ42により印加される電圧を第2電圧値V2とする。本実施形態では、第2電圧値V2は、第1電圧値以上である。詳細には、第2電圧値V2は、第1電圧値V1の2倍とする。
なお、図1において、第1バッテリ41および第2バッテリ42を1つの直流電源として記載しているが、例えば複数の直流電源を並列或いは直列に接続して構成してもよいし、例えば図示しない昇圧コンバータ等を含んで構成するようにしてもよい。
第2コンデンサ52は、第2バッテリ42と並列に接続され、第2バッテリ42からSW素子31〜36へ供給される電流、或いは、SW素子31〜36から第2バッテリ42へ供給される電流を平滑化する平滑コンデンサである。
制御部60は、SW素子21〜26、31〜36のオンオフ作動を制御することにより、駆動装置5における通電を制御し、モータ10の駆動を制御する。
また、中回転、中トルク域では、第1上アーム素子21〜23の全相または第1下アーム素子24〜26の全相をオンすることにより第1インバータ部20を全相同電位とし、第2インバータ部30をスイッチングすることにより、第2バッテリ42の電力によりモータ10を駆動する。
本実施形態の昇温制御は、第1の全相通電制御とする。第1の全相通電制御において、第1系統100側を昇圧し、第2バッテリ42を充電する期間を「昇圧期間A1」といい、第2系統200側を降圧し、第1バッテリ41を充電する期間を「降圧期間B1」という。
第1の全相通電制御では、U相、V相およびW相のうちの1相をスイッチング相、他の2相を非スイッチング相とする。すなわち本実施形態の第1の全相通電制御は、「巻線の少なくとも1相に対応する相をスイッチング相とし、スイッチング相以外の全相を非スイッチング相とする全相通電制御」に対応する。
図2では、U相をスイッチング相、V相およびW相を非スイッチング相とする場合を例に説明する。
昇圧期間A1における第1インバータ部20のSW素子21〜26の作動について説明する。
制御部60は、第1インバータ部20のU1上アーム素子21、V1下アーム素子25およびW1下アーム素子26をオンする。すなわち、制御部60は、低電圧側である第1インバータ部20のスイッチング相の上アーム素子をオンし、非スイッチング相の下アーム素子をオンする。なお、制御部60は、スイッチング相の下アーム素子であるU1下アーム素子24、および、非スイッチング相の上アーム素子であるV1上アーム素子22、W1上アーム素子23をオフとする。
制御部60は、第2インバータ部30のU2下アーム素子34のオンオフを切り替えてスイッチングする。また、制御部60は、V2下アーム素子35およびW2下アーム素子36をオンする。すなわち、制御部60は、高電圧側である第2インバータ部30のスイッチング相の下アーム素子をスイッチングし、非スイッチング相の下アーム素子をオンする。なお、制御部60は、スイッチング相、非スイッチング相によらず、第2上アーム素子31〜33をオフとする。
第1の全相通電制御の降圧期間B1における第1インバータ部20のSW素子21〜26のオンオフ制御は、昇圧期間A1と同様である。
制御部60は、第2インバータ部30のU2上アーム素子31のオンオフを切り替えてスイッチングする。また、制御部60は、V2下アーム素子25およびW2下アーム素子36をオンする。すなわち、制御部60は、高電圧側である第2インバータ部30のスイッチング相の上アーム素子をスイッチングし、非スイッチング相の下アーム素子をオンする。なお、制御部60は、スイッチング相の下アーム素子であるU2下アーム素子34、非スイッチング相の上アーム素子であるV2上アーム素子32およびW2上アーム素子33をオフとする。
すなわち、制御部60は、昇圧期間A1において、U2下アーム素子34をオンオフする。U2下アーム素子34がオフされたとき、電流を維持すべく、U2下アーム素子34がオンのときにコイル11〜13に蓄えられたエネルギにより、第1バッテリ41側から印加される第1電圧値V1が第2電圧値V2まで昇圧され、第2バッテリ42が充電される。
本実施形態では、第1インバータ部20側から第2インバータ部30側への電流を正、第2インバータ部30側から第1インバータ部20側への電流を負とする。また、各電流値の絶対値が大きいほど、通電量が大きい。
通電方向や線種については、後述の図5等のタイムチャートについても同様である。
また、降圧期間B1において、U2上アーム素子31がオフされている期間における第2バッテリ電流I2は、ゼロである。また、第2バッテリ電流I2は、U1上アーム素子がオンされている期間において、第2バッテリ42の正極から流出する方向であり、第2バッテリ42が放電状態となる。
図4(b)に示すように、U2下アーム素子34は、オフされている時間よりもオンされている時間の方が長く、デューティが50より大きい。
図4(c)に示すように、第1バッテリ電流I1は、ゼロに戻った後、U2下アーム素子34がオンされている期間に絶対値が大きくなり、通電量が大きくなる。昇圧期間A1においては、第2下アーム素子34がオフされる期間に第2バッテリ42が充電されるので、第2バッテリ42を充電可能なオフ期間を確保した上で、U2下アーム素子34のオン期間が長い方が、すなわちデューティが大きい方が、通電量が大きくなる。
図4(a)に示すように、U2上アーム素子31は、オフされている時間よりもオンされている時間の方が長く、デューティが50より大きい。
図4(c)に示すように、第1バッテリ電流I1は、ゼロに戻った後、U2上アーム素子31がオンされている期間に絶対値が大きくなり、通電量が大きくなる。降圧期間B1においては、主にU2上アーム素子31がオフされる期間に第1バッテリ41が充電されるので、第1バッテリ41を充電可能なオフ期間を確保した上で、U2上アーム素子31のオン期間が長い方が、すなわちデューティが大きい方が、通電量が大きくなる。
次の式において、第1バッテリ41の電力をW1、第1バッテリ電流I1をI1、第1バッテリ41の抵抗をR1とすると、第1バッテリ41の電力は、W1=R1×I1 2で表される。また、第1バッテリ41の内部発熱量は、第1バッテリ41の電力W1に依存するので、第1バッテリ電流I1が大きいほど、すなわち通電量が大きいほど、第1バッテリ41の内部発熱量が大きくなり、速やかに昇温可能である。
また同様に、モータ10についても、各相電流Iu、Iv、Iwの通電量が大きいほど、発熱量が大きくなり、速やかに昇温する。
ここで、スイッチング相をU相からV相に切り替える例について説明する。
図5において、(a)はモータ10の各相電流Iu、Iv、Iw、(b)はU1上アーム素子21のスイッチング状態、(c)はV1上アーム素子22のスイッチング状態、(d)はU2上アーム素子31のスイッチング状態、(e)はU2下アーム素子34のスイッチング状態、(f)はV2上アーム素子32のスイッチング状態、(g)はV2下アーム素子35のスイッチング状態、(h)は第1バッテリ電流I1、(i)は第2バッテリ電流I2を示している。
具体的には、図5(b)、(c)に示すように、時間X1において、U1上アーム素子21をオンからオフとし、V1上アーム素子22をオフからオンにする。
同様に、図5(h)、(i)に示すように、第1バッテリ電流I1、および、第2バッテリ電流I2は、スイッチング相の切り替えに伴って急激に変化することなく、安定して充放電を継続可能である。
ここで、スイッチング相をU相とする期間を期間Pu、V相とする期間を期間Pv、W相とする期間を期間Pwとし、期間Pu、Pv、Pwの長さは等しいものとする。本実施形態では、期間Pu、PvおよびPwが、「相切替期間」に対応する。
また、スイッチング相がV相である期間Pvにおいて、V相電流Ivの実効値はU相電流IuおよびW相電流Iwの実効値の2倍となるため、U相コイル11の温度TuおよびW相コイル13の温度Twに比べ、V相コイル12の温度Tvの上昇割合が大きい。
さらにまた、スイッチング相がW相である期間Pwにおいて、W相電流Iwの実効値はU相電流IuおよびV相電流Ivの実効値の2倍となるため、U相コイル11の温度TuおよびV相コイル12の温度Tvに比べ、W相コイル13の温度Twの上昇割合が大きい。
まず、第1バッテリ41のインピーダンスZの周波数特性を式(1)に示す。
Z=R1+jωL+(1/jωC) ・・・(1)
式(1)中の抵抗R1、リアクタンスL、および、キャパシタンスCは、第1バッテリ41の特性等によって決まる値であるので、インピーダンスZは、充放電周波数ωに応じて変化する。
図7に示すように、インピーダンスZは、充放電周波数ωが大きくなるにつれて減少し、共振周波数を境に増加に転じる。例えば温度T1のとき、充放電周波数ωが共振周波数ω1以下にてインピーダンスZが減少し、充放電周波数ωが共振周波数ω1以上にてインピーダンスZが増加する。また、温度T2のとき、充放電周波数ωが共振周波数ω2以下にてインピーダンスZが減少し、充放電周波数ωが共振周波数ω2以上にてインピーダンスZが増加する。
図8に示すように、温度Tc以下のとき、充放電周波数ωHにて昇圧期間A1と降圧期間B1を切り替えると、第1バッテリ41の温度が上昇する。一方、第1バッテリ41の温度が上昇すると、温度上昇に伴って共振周波数が小さくなり、インピーダンスZが大きくなるため、温度上昇が緩やかになる。
すなわち、駆動装置5の温度に応じ、最適な充放電周波数ωとすることにより、駆動装置5を速やかに昇温することができる。
第1インバータ部20は、コイル11〜13の各相に対応して設けられるSW素子21〜26を有し、コイル11〜13の一端111、121、131と充放電可能な第1バッテリ41との間に接続される。
第2インバータ部30は、コイル11〜13の各相に対応して設けられるSW素子31〜36を有し、コイル11〜13の他端112、122、132と充放電可能な第2バッテリ42との間に接続される。
制御部60は、SW素子21〜26、31〜36のオンオフ作動を制御し、第1バッテリ41と第2バッテリ42との間で充放電を行い、第1バッテリ41、第2バッテリ42およびモータ10を昇温させる。
制御部60は、第1上アーム素子21〜23のスイッチング相、第1下アーム素子24〜26および第2下アーム素子34〜36の非スイッチング相をオンし、第2下アーム素子34〜36のスイッチング相をスイッチングする昇圧期間A1と、第1上アーム素子21〜23のスイッチング相、第1下アーム素子24〜26および第2下アーム素子34〜36の非スイッチング相をオンし、第2上アーム素子31〜33のスイッチング相をスイッチングする降圧期間B1と、を切り替える。
第1バッテリ41および第2バッテリ42の温度特性に応じた充放電周波数ωとすることで、第1バッテリ41および第2バッテリ42のインピーダンスを小さくする。これにより、第1バッテリ41および第2バッテリ42、ひいてはモータ10の通電量が大きくなるので、モータ10、第1バッテリ41および第2バッテリ42を高効率に昇温することができる。
(6)また、第2電圧値V2は、第1電圧値V1の2倍以上である。これにより、例えばモータ10の駆動時、第1インバータ部20側を中性点化する場合と、第2インバータ部30側を中性点化する場合と、第1インバータ部20および第2インバータ部30を共にスイッチングする場合とを、モータ10の回転数やトルク等に応じて切り替えることにより、モータ10の効率を向上することができる。
本発明の第2実施形態による電力変換装置を図9および図10に基づいて説明する。
本実施形態では、昇温制御が第1実施形態と異なっているので、この点を中心に説明する。なお、駆動装置5の構成は、第1実施形態と同様である。
本実施形態の昇温制御は、第2の全相通電制御とする。第2の全相通電制御において、第1系統100側を昇圧し、第2バッテリ42を充電する期間を「昇圧期間A2」といい、第2系統200側を降圧し、第1バッテリ41を充電する期間を「降圧期間B2」という。
第2の全相通電制御では、U相、V相およびW相のうちの2相をスイッチング相、他の1相を非スイッチング相とする。すなわち本実施形態の第2の全相通電制御は、「巻線の少なくとも1相に対応する相をスイッチング相とし、スイッチング相以外の全相を非スイッチング相とする全相通電制御」に対応する。
ここでは、U相およびV相をスイッチング相、W相を非スイッチング相とする場合を例に説明する。
昇圧期間A2における第1インバータ部20のSW素子21〜26の作動について説明する。
制御部60は、第1インバータ部20のU1上アーム素子21、V1上アーム素子22およびW1下アーム素子26をオンする。すなわち、制御部60は、低電位側である第1インバータ部20のスイッチング相の上アーム素子をオンし、非スイッチング相の下アーム素子をオンする。なお、制御部60は、スイッチング相の下アーム素子であるU1下アーム素子24、V1下アーム素子25、および、非スイッチング相の上アーム素子であるW1上アーム素子23をオフとする。
制御部60は、第2インバータ部30のU2下アーム素子34およびV2下アーム素子35のオンオフを切り替えてスイッチングする。また、制御部60は、W2下アーム素子36をオンする。すなわち、制御部60は、高電位側である第2インバータ部30のスイッチング相の下アーム素子をスイッチングし、非スイッチング相の下アーム素子をオンする。なお、制御部60は、スイッチング相、非スイッチング相によらず、第2上アーム素子31〜33をオフとする。
第2の全相通電制御の降圧期間B2における第1インバータ部20のSW素子21〜26のオンオフ制御は、昇圧期間A2と同様である。
次に、降圧期間B2における第2インバータ部30のSW素子31〜36の作動について説明する。
制御部60は、第2インバータ部30のU2上アーム素子31およびV2上アーム素子32のオンオフを切り替えてスイッチングする。また、制御部60は、W2下アーム素子36をオンする。すなわち、制御部60は、高電位側である第2インバータ部30のスイッチング相の上アーム素子をスイッチングし、非スイッチング相の下アーム素子をオンする。なお、制御部60は、スイッチング相の下アーム素子であるU2下アーム素子34、V2下アーム素子35、および、非スイッチング相の上アーム素子であるW2上アーム素子33をオフとする。
すなわち、昇圧期間A2において、第1バッテリ41が放電状態、第2バッテリ42が充電状態となる。また、降圧期間B2において、第1バッテリ41が充電状態、第2バッテリ42が放電状態となる。そのため、昇圧期間A2と降圧期間B2とを繰り返すことにより、第1バッテリ41と第2バッテリ42との間で電力をやり取りし、充放電を繰り返すことにより、モータ10、第1インバータ部20、第2インバータ部30、第1バッテリ41、および、第2バッテリ42に電流が流れ、通電量に応じた内部発熱により、モータ10、第1バッテリ41、および、第2バッテリ42を昇温することができる。
一方、本実施形態では、スイッチング相が2相、非スイッチング相が1相であるので、非スイッチング相の電流の実効値は、スイッチング相の電流の実効値の2倍である。そのため、スイッチング相と比較し、非スイッチング相の温度上昇幅が大きくなる。また、素子のスイッチング損失に偏りが生じる。
また、充放電周波数ωは、上記実施形態と同様とする。
また、スイッチング相を2相にすることにより、スイッチング損失が大きくなる。スイッチング損失によっても駆動装置5が昇温されるので、より速やかにモータ10、第1バッテリ41、および、第2バッテリ42を昇温することができる。
本発明の第3実施形態による電力変換装置を図11および図12に基づいて説明する。
本実施形態では、昇温制御が第1実施形態と異なっているので、この点を中心に説明する。なお、駆動装置5の構成は、第1実施形態と同様である。
本実施形態の昇温制御は、一部通電停止制御とする。すなわち、上記第1実施形態および第2実施形態の全相通電制御では、U相コイル11、V相コイル12およびW相コイル13の全相に電流が通電されるのに対し、本実施形態の一部通電停止制御では、U相コイル11、V相コイル12およびW相コイル13のいずれか1相に電流が通電されない。一部通電停止制御において、第1系統100側を昇圧し、第2バッテリ42を充電する期間を「昇圧期間A3」といい、第2系統200側を降圧し、第1バッテリ41を充電する期間を「降圧期間B3」という。
一部通電停止制御では、U相、V相およびW相のうちの1相をスイッチング相、他の1相を非スイッチング相、残りの1相を通電停止相とする。すなわち本実施形態の一部通電停止制御は、「巻線の少なくとも1相に対応する相をスイッチング相とし、スイッチング相以外の少なくとも1相を非スイッチング相とし、スイッチング相および非スイッチング相以外の全相を通電停止相とする一部通電停止制御」に対応する。
ここでは、U相をスイッチング相、V相を非スイッチング相、W相を通電停止相とする場合を例に説明する。
昇圧期間A3における第1インバータ部20のSW素子21〜26の作動について説明する。
制御部60は、第1インバータ部20のU1上アーム素子21およびV1下アーム素子25をオンする。すなわち、制御部60は、低電圧側である第1インバータ部20のスイッチング相の上アーム素子をオンし、非スイッチング相の下アーム素子をオンする。なお、制御部60は、スイッチング相の下アーム素子であるU1下アーム素子24、および、非スイッチング相の上アーム素子であるV1上アーム素子22をオフとする。また、制御部60は、通電停止相であるW相のW1上アーム素子23およびW1下アーム素子26をオフとする。
制御部60は、第2インバータ部30のU2下アーム素子34のオンオフを切り替えてスイッチングする。また、制御部60は、V2下アーム素子35をオンする。すなわち、制御部60は、高電圧側である第2インバータ部30において、スイッチング相の下アーム素子をスイッチングし、非スイッチング相の下アーム素子をオンする。なお、制御部60は、スイッチング相および非スイッチング相の上アーム素子であるU2上アーム素子31およびV2上アーム素子32をオフとする。また、制御部60は、通電停止相であるW相のW2上アーム素子33およびW2下アーム素子36をオフとする。換言すると、制御部60は、スイッチング相、非スイッチング相、通電停止相によらず、第2上アーム素子31〜33をオフとする。
なお、一部通電停止制御において、U2下アーム素子34のスイッチング状態によらず、W相コイル13には電流が流れない。
一部通電停止制御の降圧期間B3における第1インバータ部20のSW素子21〜26のオンオフ制御は、昇圧期間A3と同様である。
制御部60は、第2インバータ部30のU2上アーム素子31のオンオフを切り替えてスイッチングする。また、制御部60は、V2下アーム素子35をオンする。すなわち、制御部60は、高電圧側である第2インバータ部30において、スイッチング相の上アーム素子をスイッチングし、非スイッチング相の下アーム素子をオンする。なお、制御部60は、スイッチング相の下アーム素子であるU2下アーム素子34、非スイッチング相の上アーム素子であるV2上アーム素子32をオフとする。また、制御部60は、通電停止相であるW相のW2上アーム素子33およびW2下アーム素子36をオフとする。
なお、一部通電停止制御において、U2上アーム素子31のスイッチング状態によらず、W相コイル13には電流が流れない。すなわち、通電停止相であるW相には、昇圧期間A3および降圧期間B3を通じて、電流が流れない。
また、W相電流Iwは、昇圧期間A3および降圧期間B3を通じて略ゼロである。
すなわち、昇圧期間A3において、第1バッテリ41が放電状態、第2バッテリ42が充電状態となる。また、降圧期間B3において、第1バッテリ41が充電状態、第2バッテリ42が放電状態となる。そのため、昇圧期間A3と降圧期間B3とを繰り返すことにより、第1バッテリ41と第2バッテリ42との間で電力をやり取りし、充放電を繰り返すことにより、モータ10、第1インバータ部20、第2インバータ部30、第1バッテリ41、および、第2バッテリ42に電流が流れ、通電量に応じて、モータ10,第1バッテリ41、および、第2バッテリ42を昇温することができる。
また、充放電周波数ωは、上記実施形態と同様とする。
これにより、上記実施形態と同様の効果を奏する。
さらに、本実施形態では、少なくとも1相を通電停止相とすることにより、通電停止相におけるスイッチング損失を低減することができる。
(ア)上記第1実施形態の昇温制御は第1の全相通電制御であり、第2実施形態の昇温制御は第2の全相通電制御であり、第3実施形態の昇温制御は一部通電停止制御であった。他の実施形態では、第1の全相通電制御、第2の全相通電制御、および、一部通電停止制御を組み合わせて実行してもよい。
例えば、第1の全相通電制御または第2の全相通電制御と、一部通電停止制御とを制御切替期間毎に切り替えてもよい。すなわち、「制御部は、巻線の少なくとも1相に対応するスイッチング相とし、スイッチング相以外の全相を非スイッチング相とする全相通電制御と、巻線の少なくとも1相に対応するスイッチング相とし、スイッチング相以外の少なくとも1相を非スイッチング相とし、スイッチング相および非スイッチング相以外の全相を通電停止相とする一部通電停止制御と、を制御切替期間毎に切り替える」ということである。
このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
すなわち、スイッチング相、非スイッチング相、および、通電停止相は、モータの昇温状況や各SW素子の損失状況等に応じ、適宜選択および切り替え可能である。
さらにまた、スイッチング相および非スイッチング相を特定の相とし、切り替えを行わないようにしてもよい。通電停止相についても同様である。
なお、第1電圧値と第2電圧値とが等しい場合、昇降圧することなく第1電力供給源と第2電力供給源との間で電力をやり取り可能であるが、このような場合についても上記実施形態にて説明した「昇圧」、「降圧」の概念に含まれるものとする。
なお、第1電力供給源と第2電力供給源との間で電力をやり取りさせ、充放電させることができれば、上記実施形態の昇温制御に限らず、どのように制御してもよい。
(ケ)上記実施形態では、回転電機は、電動車両の車両主機に適用される。他の実施形態では、回転電機は、車両補機に適用してもよいし、他の装置に適用してもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
10・・・モータ(回転電機)
11〜13・・・コイル(巻線)
20・・・第1インバータ部
21〜26・・・SW素子(第1スイッチング素子)
30・・・第2インバータ部
31〜36・・・SW素子(第2スイッチング素子)
60・・・制御部
Claims (6)
- 巻線(11、12、13)を有する回転電機の電力を変換する電力変換装置(1)であって、
前記巻線の各相に対応して設けられる第1スイッチング素子(21〜26)を有し、前記巻線の一端(111、121、131)と充放電可能な第1電力供給源(41)との間に接続される第1インバータ部(20)と、
前記巻線の各相に対応して設けられる第2スイッチング素子(31〜36)を有し、前記巻線の他端(112、121、132)と充放電可能な第2電力供給源(42)との間に接続される第2インバータ部(30)と、
前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子のオンオフ作動を制御し、前記第1電力供給源と前記第2電力供給源との間で充放電を行い、前記第1電力供給源、前記第2電力供給源および前記回転電機を昇温させる制御部(60)と、
を備え、
前記第1スイッチング素子は、高電位側に接続される第1上アーム素子(21、22、23)、および、前記第1上アーム素子の低電位側に接続される第1下アーム素子(24、25、26)から構成され、
前記第2スイッチング素子は、高電位側に接続される第2上アーム素子(31、32、33)、および、前記第2上アーム素子の低電位側に接続される第2下アーム素子(34、35、36)から構成され、
前記巻線の少なくとも1相に対応する相をスイッチング相とし、前記スイッチング相以外の少なくとも1相を非スイッチング相とすると、
前記制御部は、
前記第1上アーム素子の前記スイッチング相、前記第1下アーム素子および前記第2下アーム素子の前記非スイッチング相をオンし、前記第2下アーム素子の前記スイッチング相をスイッチングする昇圧期間と、
前記第1上アーム素子の前記スイッチング相、前記第1下アーム素子および前記第2下アーム素子の前記非スイッチング相をオンし、前記第2上アーム素子の前記スイッチング相をスイッチングする降圧期間と、
を切り替えることを特徴とする電力変換装置。 - 前記制御部は、
前記巻線の少なくとも1相に対応する相を前記スイッチング相とし、前記スイッチング相以外の全相を前記非スイッチング相とする全相通電制御と、
前記巻線の少なくとも1相に対応する相を前記スイッチング相とし、前記スイッチング相以外の少なくとも1相を前記非スイッチング相とし、前記スイッチング相および前記非スイッチング相以外の全相を通電停止相とする一部通電停止制御と、
を制御切替期間毎に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記制御部は、前記スイッチング相および前記非スイッチング相を相切替期間毎に切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
- 前記制御部は、前記昇圧期間と前記降圧期間との切り替え周波数である充放電周波数を温度に応じて可変とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
- 前記第2電力供給源により印加される電圧の値である第2電圧値は、前記第1電力供給源により印加される電圧の値である第1電圧値以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電力変換装置。
- 前記第2電圧値は、前記第1電圧値の2倍以上であることを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置。
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