特許文献1の連動引戸によれば、前後いずれかの戸パネルを開閉することにより、中央の戸パネルを連動して開閉することができる。しかし施工時には、戸パネルを支持する各ランナーと、連動ユニットとを予めガイドレールに組付けたのち、ガイドレールを開口枠の上枠にビスで締結する必要がある。そのため、各ランナーのガイドレールに対する組付け姿勢を間違うと、ガイドレールを開口枠から分離して、ランナーの組付け姿勢を修正する必要がある。また、ガイドレールを開口枠の上枠にビスで締結したのち、戸パネルを起立させた状態で、その上隅に設けたホルダーにランナーを差込み連結して、各戸パネルをランナーを介してガイドレールに吊込まねばならない。そのため、各戸パネルをガイドレールに吊込む一連の作業を複数の作業者で行う必要があり、施工に多くの手間と時間が掛かってしまう。さらに、中央の戸パネルの下面前後に振止めローラーが固定してあるので、中央のパネルを吊込んだのちに前側および後側の戸パネルを吊込む必要がある。そのため、パネルが重なっている部分を支えにくく、戸パネルの吊込み時に指を挟むおそれがある。加えて、前後いずれか一方の戸パネルを吊込んだのち、他方の戸パネルを吊込む際に連動ユニットに接続されているランナーが動くと、反対側のパネルが意図せず動いてしまって指先を挟むなどの事故に繋がりやすい。
また、特許文献1の連動構造を複動式の開閉ドアに適用した場合に、戸パネルを円滑に開閉させるのが難しくなる。複動式の開閉ドアにおいては、上開口枠と揺動ドアの上部後面のそれぞれに、固定レールユニットと可動レールユニットを設けて、スライド開閉される戸パネル用のランナーを先のレールユニットの間で移乗させる。しかし、特許文献1の連動構造においては、スライド開閉される戸パネルの上隅を左右一対のランナーのみで吊持するため、隣接するレールユニットの上下位置や前後位置の僅かな違いで、ランナーが衝撃音を伴いながら両レールユニットの間を移乗し、戸パネルの開閉動作がぎくしゃくする。結果、特許文献1の連動構造を複動式の開閉ドアに適用したとしても、戸パネルを円滑に開閉させることはできない。
特許文献2の複動式の開閉ドアによれば、スライドドアを揺動ドアの側へスライドさせて半開位置まで開放することができ、さらに、より広い開口幅が必要である場合には、スライドドアを揺動ドアと同行揺動させて全開放することができる。しかし、特許文献2の複動式の開閉ドアでは、スライドドアと揺動ドアとの2個のドアパネルで開閉ドアを構成するので、スライドドアを半開位置まで開放した状態における開口幅(有効開口幅)が、開口枠の全開放幅の半分未満の値にしかならない。そのため、車椅子で出入りする場合や、介助者が車椅子から降りたユーザーを支えた状態で出入りする場合などには、スライドドアと揺動ドアを揺動して全開放位置まで開放操作する必要がある。また、特許文献2の複動式の開閉ドアにおいては、ランナーを作動姿勢と待機姿勢とに切換えるための構造が必要となるので、開閉ドアの移行構造が複雑になりその分だけ全体コストが嵩む。因みに、スライドドアと揺動ドアの左右幅を大きくすると、先の有効開口幅を大きくできるが、その場合には両ドアを全開放した状態におけるドアの突出寸法が大きくなるのを避けられない。さらに、全開放時のハンドル位置が遠くなるため、車椅子に座った状態のユーザーにとって使い勝手が悪くなる。複動式の開閉ドアを、開口寸法が小さな廊下に適用するのが困難になる不利もある。
本発明の目的は、比較的小さな開口幅の開口部であっても、スライドドアを開放した状態における有効開口幅を大きくし、さらに全開放時における各ドアの突出寸法を小さくして、車椅子の使用者および介助者にとってドアの開閉操作や開口部の出入りを簡便に行える、連動開閉装置を備えた複動式の開閉ドアを提供することにある。
本発明の目的は、施工現場での組み間違いを一掃し、さらに施工に要する手間を著しく軽減できる連動開閉装置を備えた複動式の開閉ドアを提供することにある。
本発明の目的は、開口枠に固定されるガイドレールと、揺動ドアの側に固定されるガイドレールとの間の移乗を円滑に行って、複数のスライドドアの開閉を軽快にしかも静粛に行える連動開閉装置を備えた複動式の開閉ドアを提供することにある。
本発明の目的は、ドアパネルをガイドレールに沿って移行案内するランナー体と、複数のスライドドアを連動開閉するための連動ユニットの装着構造を改良して、施工現場での組み間違いを一掃し、さらに施工に要する手間を著しく軽減できるドアの連動開閉装置を提供することにある。
本発明に係る連動開閉装置を備えている複動式の開閉ドアは、図1〜図24に示すように開口部の左右両側および上部に沿って配置した開口枠Sに設けられ、スライド開閉される第1ドア1および第2ドア2と、揺動開閉される揺動ドア3を備えていて、開放位置まで開放した第1ドア1および第2ドア2を揺動ドア3に同行して全開位置へ揺動開放できる。第1ドア1の上部には、該第1ドア1を移行案内するための第1ランナー体14が固定され、第2ドア2の上部には、該第2ドア2を移行案内するための第2ランナー体16が固定されている。複動式の開閉ドアは、第1ドア1と第2ドア2を連動開閉する連動ユニットと、開口枠Sの上枠S3の下面に固定されて、各ドア1・2をランナー体14・16を介して移行案内する固定レールユニット11と、揺動ドア3の上部に固定されて、各ドア1・2をランナー体14・16を介して移行案内する可動レールユニット12を含むドアの連動開閉装置を備えている。連動ユニットは、回転自在に軸支される左右一対のプーリー66と、両プーリー66に巻掛けられる伝動体67と、伝動体67の直線移行部分に固定される連結具68・69とを含む。連動ユニットは、前後中央の第2ドア2の上部に配置されて、その連結具68・69が第1ドア1のランナー体14と、揺動ドア3に連結されている。第1ドア1および第2ドア2を開放位置まで開放して、揺動ドア3の後面に格納した状態における開口枠Sの有効開口幅B2が、開口枠Sの全開口幅B1の半分の値を越えることを特徴とする。なお、開口枠Sの有効開口幅B2とは、図1に示すように、第1ドア1と第2ドア2を開放位置までスライド開放した状態における、閉じ端側の縦枠S1と第1ドア1との開口幅を意味している。また、開口枠Sの全開口幅B1とは、閉じ端側の縦枠S1と、開放端側の縦枠S2との開口幅を意味している。
図6に示すように、第1ランナー体14が第1ドア1の上部に固定したベース枠13に組付けられ、第2ランナー体16が第2ドア2の上部に固定したベース枠15に組付けられている。固定レールユニット11が、第1ランナー体14を移行案内する第1ガイドレール21と、第2ランナー体16を移行案内する第2ガイドレール22とを含む。可動レールユニット12が、第1ランナー体14を移行案内する第3ガイドレール23と、第2ランナー体16を移行案内する第4ガイドレール24とを含む。各ランナー体14・16を、第3ガイドレール23および第4ガイドレール24に組込むことにより、第1ドア1および第2ドア2を可動レール12に仮吊込みすることができる(図5参照)。仮吊込み状態において、図12に示すように、第1ドア1のランナー体14と連結具68を締結し、残る連結具69を揺動ドア3に締結して、第1ドア1と第2ドア2とを連動開閉可能に連結する。
図10に示すように、第1ドア1のベース枠13の長手方向に、複数個の第1ランナー体14を装着固定し、図11、図12に示すように第2ドア2のベース枠15の長手方向に、複数個の第2ランナー体16と連動ユニットとを装着固定して、各ランナー体14・16と連動ユニットとを、対応するベース枠13・15を含んでユニット部品化する。各ベース枠13・15を第1ドア1および第2ドア2の上部に締結固定して、各ランナー体14・16と連動ユニットを各ドア1・2と一体化する。
図7〜図9に示すように、第1ランナー体14は、第1ドア1のベース枠13の装着溝30に装着されるベースフレーム37と、ベースフレーム37に固定される前後一対のローラー枠38と、両ローラー枠38でローラー軸39を介して回転自在に軸支される複数のローラー40とを含み、ベースフレーム37をボルト44で第1ドア1に締結することにより、第1ランナー体14がベース枠13に固定されている。第2ランナー体16は、第2ドア2のベース枠15の装着溝33に装着されるベースフレーム37と、ベースフレーム37に固定される前後一対のローラー枠38と、両ローラー枠38でローラー軸39を介して回転自在に軸支される複数のローラー40とを含み、ベースフレーム37をボルト44で第2ドア2に締結することにより、第2ランナー体16がベース枠15に固定されている。
第2ドア2に固定したベース枠15は、装着溝33(図6参照)と、同溝33の前後に設けた保護溝35とを一体に備えている。連動ユニットの伝動体67と、伝動体67に固定される連結具68・69の連結部分を、保護溝35に収容する(図12参照)。
図8に示すように、ベースフレーム37とローラー枠38との間に、第1ドア1および第2ドア2の吊持高さを調整する高さ調整構造を設ける。高さ調整構造は、ベースフレーム37に固定した調整ピン55と、調整ピン55と係合する斜めのカム溝56を備えた調整枠57と、ローラー枠38と調整枠57の側端間に設けられて、調整枠57を左右に調整操作する調整ねじ58とを含む。調整枠57は、ローラー枠38で左右移動のみ可能に支持する。調整ねじ58の操作頭部が前記両ドア1・2の側端に臨む状態で、ランナー体14・16をベース枠13・15に装着する。
揺動ドア3を閉じた状態において、第1ガイドレール21と第3ガイドレール23、および第2ガイドレール22と第4ガイドレール24とは、それぞれ左右に隣接している。図22に示すように、第1ガイドレール21の開口面と第2ガイドレール22の開口面を通る固定レール開口平面P1と、第3ガイドレール23の開口面と第4ガイドレール24の開口面を通る可動レール開口平面P2とは、それぞれ傾斜面で形成されて平行に対向している。固定レール開口平面P1と可動レール開口平面P2の前端位置が、両レール開口平面P1・P2の後端位置より開口枠Sの閉じ端側に位置するように、両レール開口平面P1・P2を傾斜させる。
揺動ドア3と開口枠Sとの間に、閉じ状態の揺動ドア3を開放揺動不能にロック保持する揺動ロック機構を設ける。図16に示すように、揺動ロック機構は、揺動ドア3の側に設けられて、開口枠Sに設けた係合枠104に対して係脱する揺動阻止体102と、揺動阻止体102を係合枠104へ向かって係合付勢する付勢ばね103と、これら両者102・103を収容するケース101と、ケース101の後方へ突出する状態で揺動阻止体102に設けた受動片105とを含む。第2ドア2に、受動片105を介して揺動阻止体102をロック解除操作する解除片106を設ける。第1ドア1および第2ドア2を開放位置へ移動操作した状態において、受動片105を解除片106でロック解除操作する(図17参照)。
揺動ドア3の揺動先端と開口枠Sの上枠S3との間に、揺動ドア3を揺動不能にロック保持する第1揺動ロック機構を設ける。第1ドア1と固定レールユニット11との間に、第2揺動ロック機構を設ける。図17において、第2揺動ロック機構は、第1ドア1の閉じ端寄りの上面に突出する揺動阻止体113と、揺動阻止体113を操作ロッド114を介してロック解除操作する解除ハンドル115と、揺動阻止体113を押上げ付勢する付勢ばね116を備えている。揺動阻止体113は第1ガイドレール21のレール開口と係合して、第1ドア1の開閉移動に同行して開閉移動できる。解除ハンドル115をロック解除操作した状態においては、揺動阻止体113が第1ガイドレール21のレール開口から離脱する。
揺動ドア3の揺動基端と第1ドア1との間に、開放状態の第1ドア1を閉じ移動不能にロック保持するスライドロック機構を設ける。図18ないし図20において、スライドロック機構は、第3ガイドレール23の後部に固定したハウジング128と、ハウジング128でロック姿勢とロック解除姿勢とに変位可能に支持されるロック体130と、ハウジング128で出退自在に支持されて、揺動ドア3の開閉状態を検知する検知体131と、検知体131をハウジング128の外へ向かって移動付勢する検知ばね132と、検知体131とロック体130との間に設けられて、検知体131の出退動作をロック体130の姿勢変更動作に変換するカム構造とを含む。揺動ドア3が閉じ位置にある状態では、検知体131が開口枠Sの縦枠S2で検知ばね132の付勢力に抗して退入操作されて、ロック体130がカム構造でロック解除姿勢に切換えられている。揺動ドア3が開放揺動された状態においては、検知体131が検知ばね132で進出操作されて、ロック体130がカム構造でロック姿勢に切換えられる。第1ドア1に設けたロック片70を、ロック姿勢に切換えられたロック体130で受け止めて、第1ドア1を閉じ移動不能にロック保持する。
本発明に係るドアの連動開閉装置は、図27〜図32に示すように、前後に隣接する第1から第3の各ドア201・202・203と、各ドア201・202・203を連動開閉する連動ユニットと、各ドア201・202・203をランナー体14・16を介して移行案内するレールユニット205を備えている。第1ドア201の上端面にはベース枠13が固定されており、該ベース枠13に第1ドア201を移行案内するためのランナー体14が組み付けられており、第2ドア202の上端面にはベース枠15が固定されており、該ベース枠15に第2ドア202を移行案内するためのランナー体16が組み付けられており、第3ドア203の上端面にはベース枠13が固定されており、該ベース枠13に第3ドア203を移行案内するためのランナー体14が組み付けられている。図29に示すように、連動ユニットは、回転自在に軸支される左右一対のプーリー66と、両プーリー66に巻掛けられる伝動体67と、伝動体67の直線移行部分に固定される連結具218・219とを含む。各ランナー体14・16は、各ドア201・202・203の上部に固定したベース枠13・15に組付ける。左右一対のプーリー66は、前後中央の第2ドア202のベース枠15に組付けられて、連結具218・219が第1ドア201および第3ドア203に設けたランナー体14・14の移行軌跡に臨ませてある。各ランナー体14・16を、開口枠Sに固定したレールユニット205(図27参照)に組込むことにより、第1から第3の各ドア201・202・203をレールユニット205に仮吊込みすることができる。仮吊込み状態において、第1ドア201および第3ドア203のランナー体14・14と連結具218・219を締結して、第1〜第3の各ドア201・202・203を連動開閉可能に連結する。
第1ドア201のベース枠13に複数個のランナー体14を装着して、ランナー体14とベース枠13とをユニット部品化する(図27参照)。第2ドア202のベース枠15に複数個のランナー体16と連動ユニットとを装着固定して、ランナー体16と連動ユニットとベース枠15とをユニット部品化する。第3ドア203のベース枠13に複数個のランナー体14を装着して、ランナー体14とベース枠13とをユニット部品化する。各ベース枠13・15を第1から第3の各ドア201・202・203の上部に締結固定して、各ランナー体14・16と連動ユニットを各ドア201・202・203と一体化する。
第1および第3のドア201・203を移行案内するランナー体14は、第1および第3のドア201・203に固定されたベース枠13・13の装着溝30・30に係合装着されるベースフレーム37と、ベースフレーム37に組付けられる前後一対のローラー枠38と、両ローラー枠38でローラー軸39を介して回転自在に軸支される複数のローラー40とを含む。ベースフレーム37をボルト44で第1および第3のドア201・203に締結することにより、ランナー体14を各ベース枠13に固定する。第2のドア202を移行案内するランナー体16は、第2のドア202の上端面に固定されたベース枠15の装着溝33に係合装着されるベースフレーム37と、ベースフレーム37に組付けられる前後一対のローラー枠38と、両ローラー枠38でローラー軸39を介して回転自在に軸支される複数のローラー40とを含む。ベースフレーム37をボルト44で第2ドア202に締結することにより、ランナー体16をベース枠15に固定する。
第2ドア202に固定したベース枠15は、図6で説明したように、装着溝33と、同溝33の前後に設けた保護溝35とを一体に備えている。連動ユニットの伝動体67と、伝動体67に固定される連結具218・219の連結部分とを、保護溝35に収容する。
ベースフレーム37とローラー枠38との間に、第1から第3の各ドア201・202・203の吊持高さを調整する高さ調整構造を設ける。図8に示すように、高さ調整構造は、ベースフレーム37に固定した調整ピン55と、調整ピン55と係合する斜めのカム溝56を備えた調整枠57と、ローラー枠38と調整枠57の側端間に設けられて、調整枠57を左右に調整操作する調整ねじ58とを含む。調整枠57は、ローラー枠38で左右移動のみ可能に支持する。調整ねじ58の操作頭部が、第1から第3の各ドア201・202・203の側端に臨む状態で、ランナー体14・16をベース枠13・15に装着する。
図30に示すように、レールユニット205は、第1レール205Aと第2レール205Bとに分割して構成する。分割された各レール205A・205Bのいずれか一方を開口枠Sの上枠S3に固定することにより、第1から第3の各ドア201・202・203を仮吊込みすることができる。仮吊込み後に残るレールを上枠S3に固定することにより、第1レール205Aと第2レール205Bとを連続させる。
本発明に係る複動式の開閉ドアにおいては、スライド開閉される第1ドア1および第2ドア2と、揺動開閉される揺動ドア3との三者で開閉ドアを構成し、第1ドア1と第2ドア2を連動ユニットで連動開閉できるようにした。連動ユニットは、前後中央の第2ドア2の上部に配置される左右一対のプーリー66と、伝動体67と、連結具68・69などで構成して、連結具68・69を第1ドア1のランナー体14と、揺動ドア3に連結するようにした。このように、巻掛構造を伝動要素とする連動ユニットによれば、第1ドア1のスライド開閉動作に連動して第2ドア2をスライド開閉することができる。従って、第1ドア1と第2ドア2を個別にスライド開閉する必要がなく、両ドア1・2のスライド開閉を簡便にしかも静粛に行うことができる。第1ドア1と第2ドア2と揺動ドア3とが、連動ユニットを介して互いになかば拘束する状態で接続されるので、全閉状態において第2ドア2が閉じ端側へスライド移動することもない。
また、本発明の複動式の開閉ドアにおいては、図1に示すように、第1ドア1および第2ドア2を開放位置までスライド開放した状態、つまり両ドア1・2を揺動ドア3の後面に格納した状態における開口枠Sの有効開口幅B2が、開口枠Sの全開口幅B1の半分の値を越えるようにした。このような、3枚構造の複動式の開閉ドアによれば、揺動ドア3を揺動開放操作するまでもなく、開口部における出入りを容易に行えるので、車椅子の使用者および介助者にとってドアの開閉操作や開口部の出入りを簡便に行える複動式の開閉ドアを提供できる。また、全開放位置までスライド開放した状態における各ドア1・2・3の突出寸法を小さくできるので、車椅子に着座した状態で揺動ドア3を開放揺動する場合に、2枚構造の複動式の開閉ドアに比べて、揺動半径が小さな各ドア1・2・3を揺動開放操作でき、ドアの揺動開閉操作をより簡便に行って車椅子での出入りを楽に行うことができる。
本発明の複動式の開閉ドアにおいては、各ランナー体14・16を、第1ドア1および第2ドア2の上部に固定したベース枠13・15に組付けて、第1ドア1および第2ドア2と一体化するようにした。また、巻掛構造を伝動要素とする連動ユニットを、第2ドア2の側に一体的に組むようにした。このように、各ランナー体14・16や連動ユニットをベース枠13・15に対して組付けておくと、各部材の配置関係や組付方向などを確認しながら、ランナー体14・16や連動ユニットを的確に組むことができるので、施工現場での組み間違いを低減できる。また、各ランナー体14・16や連動ユニットの組付け姿勢を間違えたとしても、ビスやボルトを緩めるだけで組付け姿勢を簡単に修正することができるうえ、ランナー体14・16を組換えるだけで、左右の勝手違いを簡単に変更できる。
施工時には、開口枠Sに固定した第3ガイドレール23と第4ガイドレール24に各ランナー体14・16を組むだけで、第1ドア1および第2ドア2を可動レールユニット12に仮吊込みすることができる。さらに、仮吊込み状態において、第1ドア1のランナー体14と連結具68を締結し、残る連結具69を揺動ドア3に締結することにより、第1ドア1と第2ドア2とを連動開閉可能に連結することができる。こうした複動式の開閉ドアによれば、第1ドア1および第2ドア2に対するランナー体14・16や連動ユニットの組付けと、第1ドア1および第2ドア2の吊込み作業と、ランナー体14と連結具68の連結作業などの一連の作業を、単独の作業者のみで簡便に行える。従って、従来のこの種の複動式の開閉ドアに比べて、施工に要する手間を著しく軽減できる。
ベース枠13に複数個のランナー体14を装着固定して、これら両者をユニット部品化し、さらに、ベース枠15に複数個のランナー体16と連動ユニットとを装着固定して、これら3者をユニット部品化しておくと、施工現場における各構成部品の組み間違いを一掃できる。また、各構成部品をユニット部品化しておくことにより、ランナー体14・16や連動ユニットの機能を均一化して、両ドア1・2の連動開閉機能を安定化できる。さらに、作業者の熟練の度合とは無関係に、各ベース枠13・15を第1ドア1と第2ドア2の上部に締結するだけで、各ランナー体14・16や連動ユニットを各ドア1・2と一体化できるので、施工の要する手間をさらに軽減して、施工コストを削減できる。
ベース枠13・15の装着溝30・33に装着されるベースフレーム37と、一対のローラー枠38と、ローラー軸39を介して回転自在に軸支される複数のローラー40などでランナー体14・16を構成すると、各ドア1・2のサイズや重量の違いに柔軟に対応できる。これは、ベースフレーム37をベース枠13・15の装着溝30・33に係合装着して、ランナー体14・16をベース枠13・15に装着するので、ランナー体14・16の装着位置の変更や、ランナー体14・16の組付け個数の変更を容易に行なえるからである。また、ベース枠13・15に複数個のランナー体14・16を装着し、さらに各ランナー体14・16に複数のローラー40を設けると、各ランナー体14・16が隣接するガイドレール21・23、あるいは隣接するガイドレール22・24の間を移行する際に、常に2個以上のローラー40を各レール21・23・22・24で支持できる。従って、開口枠Sに固定されるガイドレール21・22と、揺動ドア3の側に固定されるガイドレール23・24との間の移乗を円滑に行って、第1ドア1と第2ドア2の開閉を軽快にしかも静粛に行うことができる。ベースフレーム37をボルト44で第1、第2の各ドア1・2に締結して、ランナー体14・16を各ベース枠13・15に固定するのは、ランナー体14・16がベース枠13・15の装着溝30・33に沿って遊動するのを防いで、各ドア1・2の開閉移動を安定化するためである。
ベース枠15の前後に保護溝35を設け、この保持溝35に連動ユニットの伝動体67と連結具68・69の連結部分を収容すると、各ドア1・2をスライド開閉するとき、伝動体67や連結具68・69の連結部分が他物と擦れあうのを確実に防止できる。また、いたずらによって伝動体67が傷付けられることもない。さらに、塵埃などが伝動体67に付着するのを保持溝35の溝壁で抑止できるので、伝動体67に塵埃が付着することに伴って第2ドア2の連動開閉動作がぎくしゃくするのをよく防止できる。また、伝動体67とプーリー66の間に異物が巻込まれて開閉連動機能が損なわれることも、よく防止できる。
ベースフレーム37とローラー枠38との間に高さ調整構造を設けると、その調整ねじ58を操作することで、第1ドア1と第2ドア2の床面からの高さを一定に揃えることができる。従って、複動式の開閉ドアの外観上の体裁を好適化できるうえ、開口枠Sの高さ寸法のばらつきや、仕上がり形状のばらつきを吸収できる。また、調整ねじ58の操作頭部が各ドア1・2の側端に臨む状態で、ランナー体14・16をベース枠13・15に装着しておくことにより、調整ねじ58を各ドア1・2の側端から容易に調整操作できる。さらに、各ドア1・2を固定レールユニット11に吊込んだ状態のままで高さ調整を行なえるので、より少ない手間で高さ調整を行なえる。
固定レール開口平面P1と可動レール開口平面P2を、それぞれ傾斜面で形成して平行に対向させ、さらに、両レール開口平面P1・P2の前端位置が後端位置より開口枠Sの閉じ端側に位置するように、両レール開口平面P1・P2を傾斜させるようにした。このように、両レール開口平面P1・P2のそれぞれを傾斜させると、第3、第4の各ガイドレール23・24における各ランナー体14・16の停止位置に多少のばらつきがあったとしても、各ランナー体14・16が固定レールユニット11と接当干渉することはない。従って、第1、第2の両ドア1・2を揺動ドア3に同行して、円滑に揺動開閉することができる。また、左右に隣接する固定レールユニット11と可動レールユニット12の隣接隙間を小さくすることができるので、両ユニット11・12の隣接部分におけるランナー体14・16の移乗を円滑に行える。
揺動阻止体102および付勢ばね103と、係合枠104などで揺動ロック機構を構成し、第2ドア2の側に揺動阻止体102をロック解除操作する解除片106を設けると、第2ドア2を開放位置まで移動させるだけで、揺動阻止体102を自動的にロック解除操作できる。従って、第1ドア1および第2ドア2を開放操作し、さらに両ドア1・2を揺動ドア3と共に揺動開放するときのユーザーの操作負担を軽減でき、とくに車椅子のユーザーが開口部を出入りするときの一連の操作を簡略化して、複動式の開閉ドアの使い勝手を向上できる。
第1揺動ロック機構とは別に、第1ドア1の閉じ端寄りに第2揺動ロック機構を設けると、第1ドア1がスライド開閉するとき、第1ガイドレール21のレール開口で第2揺動ロック機構の揺動阻止体113を移行案内できる。そのため、スライド開閉時に第1ドア1の閉じ端側が蛇行するのを規制して、第1ドア1を閉じ端から開放端まで適正に移行させることができる。また、第1揺動ロック機構がロック解除された状態でも、解除ハンドル115を操作して揺動阻止体113をロック解除しない限りは、各ドア1・2・3を開放揺動できないので、複動式の開閉ドアの安全性を向上できる。例えば、第1ドア1および第2ドア2を全開放位置までスライド操作した状態において、第1ドア1に使用者がもたれかかかった場合でも、揺動阻止体113をロック解除操作しない限りは、各ドア1・2・3を揺動開放することができないので、使用者の意図に反して体勢が崩れてしまった場合でも、使用者を第1ドア1で受止めて転倒を防止できる。
ロック片70を係合捕捉するロック体130と、検知体131および検知ばね132と、カム構造などで構成したスライドロック機構によれば、揺動ドア3の揺動開閉状態に応じて、ロック体130を自動的にロック姿勢とロック解除姿勢とに切換えることができる。詳しくは、第1ドア1および第2ドア2をスライド開放操作したのち、揺動ドア3を揺動開放するのに連動して、スライドロック機構を自動的にロック姿勢に切換えて、ロック片70をロック体130で捕捉し、第1ドア1および第2ドア2を閉じ移動不能にロック保持できる。また、揺動ドア3を閉じ位置に戻すと、検知体131が開口枠Sの縦枠S2で検知ばね132の付勢力に抗して退入操作して、ロック体130がカム構造でロック解除姿勢に切換えられるので、第1ドア1を閉じ位置側へスライド移動操作できる。以上のように構成したスライドロック機構によれば、第1ドア1と第2ドア2をスライド開放操作し、さらに揺動ドア3を揺動開放するときのユーザーの操作負担を軽減でき、とくに車椅子のユーザーが開口部を出入りするときの一連の操作を簡略化して、開閉ドアの使い勝手をさらに向上できる。
本発明に係るドアの連動開閉装置においては、各ドア201・202・203の上部に固定したベース枠13・15に各ランナー体14・16を組付けた。また、連動ユニットを第2ドア202のベース枠15に組付けて、連結具218・219を第1ドア201および第3ドア203に設けたランナー体14・14の移行軌跡に臨ませるようにした。つまり、従来の連動引戸とは異なり、各ランナー体14・16や連動ユニットを、各ドア201・202・203の上部に固定したベース枠13・15に対して予め装着するようにした。このように、各ランナー体14・16や連動ユニットをベース枠13・15に対して予め装着すると、各部材の配置関係や組付方向などを確認しながら、ランナー体14・16や連動ユニットを的確に組むことができるので、施工現場での組み間違いを低減できる。また、各ランナー体14・16や連動ユニットの組付け姿勢を間違えたとしても、ビスやボルトを緩めるだけで組付け姿勢を簡単に修正することができ、さらに開口枠Sに固定した長いレールを取外す必要がないので、ランナー体14・16や連動ユニットの交換作業を容易に行える。
施工時には、各ランナー体14・16を、開口枠Sに固定したレールユニット205に個別に組込むだけで、第1から第3の各ドア201・202・203をレールユニット205に仮吊込みすることができる。さらに、仮吊込み状態において、第1ドア201および第3ドア203のランナー体14・14と連結具218・219を締結することにより、第1〜第3の各ドア201・202・203を連動開閉可能に連結することができる。つまり、ランナー体14・16や連動ユニットの組付けと、各ドア201〜203のレールユニット205に対する吊込み作業と、各ランナー体14・14と連結具218・219との連結作業などの一連の作業を、単独の作業者のみで簡便に行える。従って、従来のこの種の連動開閉装置に比べて、施工に要する手間を著しく軽減できるドアの連動開閉装置を提供できる。
ベース枠13に複数個のランナー体14を装着固定して、これら両者13・14をユニット部品化し、さらに、ベース枠15に複数個のランナー体16と連動ユニットを装着固定して、これら3者をユニット部品化しておくと、施工現場における各構成部品の組み間違いを一掃できる。また、各構成部品をユニット部品化しておくことにより、ランナー体14・16や連動ユニットの機能を均一化して、各ドア201・202・203の連動開閉機能を安定化できる。さらに、各ベース枠13・15を第1から第3の各ドア201・202・203の上部に締結固定するだけで、各ランナー体14・16や連動ユニットを各ドア201・202・203と一体化できるので、施工に要する手間をさらに軽減して、施工コストを削減できる。
ベース枠13・15の装着溝30・33に係合装着されるベースフレーム37と、一対のローラー枠38と、ローラー軸39および複数のローラー40などでランナー体14・16を構成すると、各ドア201・202・203のサイズや重量の違いに柔軟に対応できる。これは、ベースフレーム37をベース枠13・15の装着溝30・33に係合装着して、ランナー体14・16をベース枠13・15に装着するので、ランナー体14・16の装着位置の変更や、ランナー体14・16の組付け個数の変更を容易に行なえるからである。ベースフレーム37をボルト44で第1から第3の各ドア201・202・203に締結して、ランナー体14・16を各ベース枠13・15に固定するのは、ランナー体14・16がベース枠13・15の装着溝30・33に沿って遊動するのを防いで、各ドア201・202・203のスライド開閉移動を安定化するためである。
ベース枠15の前後に保護溝35を設け、この保持溝35に連動ユニットの伝動体67と連結具218・219の連結部分とを収容すると、各ドア201・202・203をスライド開閉するとき、伝動体67や連結具218・219の連結部分が他物と擦れあうのを確実に防止できる。また、いたずらによって伝動体67が傷付けられることもない。さらに、塵埃などが伝動体67に付着するのを保持溝35の溝壁で抑止できるので、伝動体67に塵埃が付着することに伴って第2ドア202の連動開閉動作がぎくしゃくするのをよく防止できる。
ベースフレーム37とローラー枠38との間に高さ調整構造を設けると、その調整ねじ58を操作することで、各ドア201・202・203の床面からの高さを一定に揃えることができ、従って、連動引戸の外観上の体裁を好適化できる。また、調整ねじ58の操作頭部が各ドア201・202・203の側端に臨む状態で、ランナー体14・16をベース枠13・15に装着しておくことにより、調整ねじ58を各ドア201・202・203の側端から容易に調整操作できる。各ドア201・202・203をレールユニット205に吊込んだ状態のままで高さ調整を行なえるので、より少ない手間で高さ調整を行なえる。
レールユニット205が、第1レール205Aと第2レール205Bとに分割して構成してあると、分割されたレールの一方を開口枠Sの上枠S3に固定した状態で、第1から第3の各ドア201・202・203を仮吊込みすることができる。また、仮吊込み後に残るレールを上枠S3に固定することにより、第1レール205Aと第2レール205Bとを連続させて、各ドア201・202・203を閉じ位置と開放位置との間でスライド開閉できる。このように、分割された第1レール205Aと第2レール205Bとでレールユニット205を構成すると、例えば、1個のレールユニット205に複数のランナー開口を切欠き形成して、各ドア201・202・203を仮吊込みする場合に比べて、レール構造を著しく簡素化できる。
(実施例1) 図1ないし図24は本発明に係る連動開閉装置を備えている複動式の開閉ドアの実施例を示す。以下の実施例における前後、左右、上下とは、図2ないし図4に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図2において、複動式の開閉ドアは、開口部の左右両側および上部に沿って配置した門形の開口枠Sと、開口部を開閉する第1ドア1、第2ドア2、揺動ドア3と、これらのドア1〜3の支持構造などで構成してある。各ドア1〜3のドアパネルはそれぞれ木質のパネルで形成するが、必要に応じて木材、プラスチック材、金属材を併用した複合パネルで形成することができる。開口枠Sは、閉じ端側の縦枠S1と、開放端側の縦枠S2と、両縦枠S1・S2の上部どうしを繋ぐ上枠S3などで構成してある。
第1ドア1および第2ドア2は、それぞれスライド開閉されるスライドドアであって、図3に示す閉じ位置と、図1に示す開放位置との間を開閉できる。揺動ドア3は、開放端側の縦枠S2に装着した上下一対のヒンジ5で揺動開閉可能に支持されており、その全体が開口枠S内に収まる閉じ位置(図1の実線の位置)と、第1ドア1および第2ドア2と共に外開き揺動して、開口枠Sの全体を開放する全開放位置(図1の想像線の位置)との間を揺動できる。図示していないが、ヒンジ5には前後、左右、上下の各方向の位置を調整するための調整構造が設けてあり、各調整ビスを調整することにより、揺動ドア3と、同ドア3に支持された第1ドア1および第2ドア2の前後、左右、上下の各方向の位置を調整することができる。
第1ドア1および第2ドア2を開放位置までスライド開放操作した状態では、各ドア1・2が揺動ドア3の後面側で前後に重なる。閉じ位置における第1ドア1と第2ドア2、および第2ドア2と揺動ドア3とは、図3に示すように、それぞれ所定の寸法(102mm)分だけ前後に重なっている。第2ドア2の左右幅(555.5mm)は、揺動ドア3の左右幅より僅かに小さく設定してあり、第1ドア1の左右幅(667mm)は、揺動ドア3の左右幅より大きく設定してある。閉じ端側の縦枠S1には、閉じ状態の第1ドア1の閉じ端を受入れる閉じ凹部6が凹み形成してある。なお、開口枠Sの全開口幅B1は1595mmである。
第1ドア1の閉じ端側の前後には、第1ドア1を開閉操作するためのハンドル7が設けてある。第1ドア1および第2ドア2を開放位置までスライド開放した状態においては、第2ドア2の前面が揺動ドア3で覆われ、第1ドア1の閉じ端側の一部が、揺動ドア3の自由端側の側面より側方に露出している。この露出部分にハンドル7を設けることにより、第1ドア1を第2ドア2および揺動ドア3に邪魔されることもなく開放位置から閉じ操作することができる。第1ドア1および第2ドアは、ハンドル7をドア前面側あるいはドア後面側から操作することによりスライド開閉できるが、全閉状態の第1ドア1をドア後面側から楽に開放操作するために、第1ドア1の後面の開放端側に第2ハンドル9を設けている(図1〜図3参照)。ハンドル7の上側には、後述する解除ハンドル115が配置してある。
揺動ドア3の上下寸法は、第1ドア1および第2ドア2の上下寸法より大きく設定してあり、揺動ドア3の上部は第1ドア1および第2ドア2の上端より上方に位置させてある。図2に示すように、開口枠Sの上枠S3の下面の一側端から他側端にわたって、閉じ状態の揺動ドア3の上部と、後述する固定レールユニット11および可動レールユニット12を収容するドア凹部8が形成してある。先に述べたように第1ドア1および第2ドア2を開放位置までスライド開放した状態では、第2ドア2の前面を揺動ドア3で完全に覆い隠して、開閉ドアの外観をすっきりとした印象にすることができる。
第1ドア1および第2ドア2をスライド開閉するために、ドア凹部8の下面に固定レールユニット11を固定し(図4参照)、揺動ドア3の上部後面に可動レールユニット12を設けている(図5参照)。また、第1ドア1の上端面にベース枠13を固定し、ベース枠13の左右に第1ランナー体(ランナー体)14を配置している。さらに、第2ドア2の上端面にベース枠15を固定し、ベース枠15の左右に第2ランナー体(ランナー体)16を配置している。図5に示すように、可動レールユニット12は、揺動ドア3の上部に固定した片持ち状の支持金具17で固定支持してある。
図4において固定レールユニット11は、第1ランナー体14を移行案内する第1ガイドレール21と、第2ランナー体16を移行案内する第2ガイドレール22を一体に備えたアルミニウム製の押出し成形品からなる。第1ガイドレール21と第2ガイドレール22は、いずれも下向きに開口する状態で断面C字状に形成してあり、内面の下端にレール壁が前後に対向する状態で形成してある。第2ガイドレール22は、第1ガイドレール21より高い位置に設けてあり、両レール21・22の周囲6個所には、上枠S3のドア凹部8で受止められる脚片25が張出し形成してある。これらの脚片25のうち、最前面に位置する脚片25はドア凹部8の目隠し壁として機能する。第1ガイドレール21と第2ガイドレール22は一体に形成する必要はなく、独立部品として形成してあってもよい。
図5に示すように、可動レールユニット12は、第1ランナー体14を移行案内する第3ガイドレール23と、第2ランナー体16を移行案内する第4ガイドレール24を一体に備えたアルミニウム製の押出し成形品からなる。第3ガイドレール23の後側には、後述するスライドロック機構を装着するための段部26が形成され、その上側にくさび状の掛止壁27が張出してある。第3ガイドレール23と第4ガイドレール24は、先に説明した第1、第2のガイドレール21・22と同様に、下向きに開口する状態で断面C字状に形成してあり、内面の下端にレール壁が前後に対向する状態で形成してある。第4ガイドレール24は、第3ガイドレール23より高い位置に設けてあり、両レール23・24の上面に支持金具17を締結するためのナット溝28が一体に形成してある。可動レールユニット12を支持するために、揺動ドア3の上端に支持金具17をビス10で締結している。また、支持金具17の後端を掛止壁27の掛止溝18に係合した状態で、支持金具17の板面の複数個所に挿通したビス20を、ナット溝28に配置した板ナット19にねじ込むことにより、可動レールユニット12を支持金具17と一体化している(図5参照)。第3ガイドレール23と第4ガイドレール24は一体に形成する必要はなく、独立部品として形成してあってもよい。
図6において、第1ドア1に設けたベース枠13は、アルミニウム製の押出し成形品からなり、その前後中央に上向きに開口する装着溝30と、ビス32の操作頭部を収容するビス溝31とが形成してある。また、ベース枠13の前後には、第1ドア1の前後の上縁を覆う化粧壁が下向きに突設され、装着溝30の上開口には、横臥L字状の係合壁が前後に対向する状態で突設してある。ベース枠13は第1ドア1の上端面に載置されて、長手方向の複数個所がビス32で締結固定される(図8参照)。
図6において、第2ドア2に設けたベース枠15はアルミニウム製の押出し成形品からなり、その前後中央に上向きに開口する装着溝33と、ビス36(図5参照)の操作頭部を収容するビス溝34とを有し、さらに、装着溝33の前後に保護溝35を一体に備えている。ベース枠15の前後には、第2ドア2の前後の上縁を覆う化粧壁が斜下向きに突設され、装着溝33の上開口には、横臥L字状の係合壁が前後に対向する状態で突設してある。なお、先のベース枠13に形成した装着溝30と、ベース枠15に形成した装着溝33の断面形状および前後幅などは同じに設定してある。保護溝35は上向きに開口してあり、この溝35に沿って後述する連結具68・69の連結部分とワイヤー67とが左右移動する。
図7および図8に示すように、第1ランナー体14は、左右に長いベースフレーム37と、ベースフレーム37に固定される前後一対のローラー枠38と、両ローラー枠38でローラー軸39を介して回転自在に軸支される4対のローラー40と、ローラー枠38の側端に固定される先導片41などで構成する。ベースフレーム37とローラー枠38との間には、第1ドア1の吊持高さを調整する高さ調整構造が設けてある。ベースフレーム37は断面が逆T字状のプラスチック成形品からなり、その下端前後に先の装着溝30に嵌込まれる嵌合ベース43が張り出してある。ベースフレーム37の左右中央にはボルト穴が形成してあり、このボルト穴に挿通したビス(ボルト)44を第1ドア1にねじ込むことにより、第1ランナー体14をベース枠13とともに第1ドア1に固定することができる(図8参照)。
ローラー枠38は、先のベースフレーム37よりひと回り大きなプラスチック成形品からなり、枠体の片面にベースフレーム37の縦壁と調整枠57を収容する凸字状の凹部45が形成され、凹部45の下側に嵌合ベース43を収容する切欠部46が形成してある。凹部45に臨むベースフレーム37の上壁に先のローラー軸39が軸支されており、上壁の左右中央に工具穴47が開口してある。図6において、ローラー枠38の側端には、先導片41を係合するための係合溝48と、調整ねじ58を支持するねじ凹部49と、連結凹部50とが形成してある。先導片41はコ字枠状のプラスチック成形品からなり、その外側端に斜めの先導面51が設けてある。凹部45の壁面の左右には縦長のガイド溝52が形成してある。
上記の先導片41は、第1ドア1と第2ドア2がスライド開放操作されるとき、両ドア1・2が開放位置へ移動する直前まで、第1ガイドレール21あるいは第1ガイドレール21で移行案内されている。そのため、両ドア1・2がスライド開放移動する間に、後述する第2揺動ロック機構がロック解除操作されていたとしても、両ドア1・2が揺動ドア3と共に揺動開放されるのを規制して、複動式のドアの安全性を向上できる。また、各ドア1・2・3を全開放位置から閉じ位置へ揺動操作するとき、第1ランナー体14が第3ガイドレール23の側端から突出していたとしても、先導片41の先導面51が移乗ガイド体165のレール開口平面P1に接当して、第1ランナー体14が開放端側へ押し込まれるので、第1ランナー体14を適正な位置まで戻すことができる。
図7において、高さ調整構造は、ベースフレーム37の縦壁の左右に固定した調整ピン55と、調整ピン55と係合する斜めのカム溝56を備えた前後一対の調整枠57と、調整枠57を左右に調整操作する調整ねじ58などで構成する。両調整枠57はステンレス板材製のプレス成形品からなり、後側の調整枠57の両端に他方の調整枠57を支持する枠受壁59が折り曲げ形成され、その一方に調整ねじ58をねじ込むためのねじ穴60が形成してある。前後の調整枠57は、ベースフレーム37と前後のローラー枠38との間に配置されて、その左右両端が凹部45の前後に設けたガイド面61で左右スライド可能に支持してある(図8参照)。つまり、調整枠57は、ローラー枠38で左右移動のみ可能に支持してある。調整ねじ58の操作頭部には円形のフランジが張り出し形成してあり、このフランジを前後のねじ凹部49に設けた円形の溝で保持することにより、調整ねじ58は前後のローラー枠38で回転のみ可能に支持される。
ベースフレーム37に調整ピン55を固定したのち、カム溝56が調整ピン55と係合する状態で調整枠57をベースフレーム37の前後に装着し、さらに、調整ねじ58をねじ穴60にねじ込んで、ベースフレーム37と高さ調整構造を仮組みする。この状態の仮組み体を前後いずれか一方のローラー枠38の凹部45に嵌込み、図9に示すように調整ピン55をガイド溝52に係合し、さらに調整ねじ58のフランジを凹部49の半円形の溝に差込み装着する。次に、他方のローラー枠38を先のローラー枠38に蓋合わせ状に被付け、両ローラー枠38の左右端をリベット62で締結する。さらに、一端にローラー40が組まれたローラー軸39を前後のローラー枠38に挿通し、ローラー軸39の挿通始端にローラー40をかしめ固定する。また、先導片41を連結凹部50に係合して、先導片41と前後のローラー枠38をピン63で固定する。以上により、ユニット部品化された第1ランナー体14を得ることができる。
図8において高さ調整を行なう場合には、調整ねじ58をねじ込み操作して調整枠57をねじ凹部49の側へ接近させ、あるいは調整枠57を緩める向きに回転操作してねじ凹部49から遠ざかる側へ離反させる。調整ねじ58をねじ込み操作すると、カム溝56が調整枠57の接近移動に同行してねじ凹部49の側へ引寄せられる。そのため、調整ピン55はカム溝56で押下げられ、その分だけベースフレーム37がローラー枠38に対して下降するので、第1ドア1を床面側へ下降させることができる。また、調整枠57を緩める向きに回転操作すると、カム溝56が調整枠57の離反移動に同行してねじ凹部49から遠ざかる。そのため、調整ピン55はカム溝56で押上げられ、その分だけベースフレーム37がローラー枠38に対して上昇するので、第1ドア1を上枠S3側へ上昇させることができる。第2ランナー体16においても、同様にして高さ調整を行なうことができる。
図10に示すように、第1ドア1には2個の第1ランナー体14を配置するが、各ランナー体14は、調整ねじ58の操作頭部と先導片41が第1ドア1の各側端に臨む状態でベース枠13に装着する。このように、第1ドア1を4対のローラー40を備えた2組の第1ランナー体14で支持すると、第1ランナー体14が第1ガイドレール21と第3ガイドレール23との間を移行する際に、常に2個以上のローラー40を各レール21・23で支持できるので、隣接するガイドレール21・23の間における第1ランナー体14の移乗を円滑に行うことができる。
第2ランナー体16は第1ランナー体14と同じ構造であり、その内部に組まれた高さ調整構造も同じ構造であるので、同じ部材に同じ符号を付して、その説明を省略する。図11に示すように、第2ランナー体16は、第2ドア2に固定したベース枠15の左右に装着固定してある。これにより、第2ランナー体16が第2ガイドレール22と第4ガイドレール24との間を移行する際に、常に2個以上のローラー40を各レール22・24で支持して、隣接するガイドレール22・24の間における第2ランナー体16の移乗を円滑に行うことができる。
第1ドア1のスライド開閉動作に連動して第2ドア2をスライド開閉操作するために、第1ドア1と第2ドア2と揺動ドア3との間に連動ユニットを設けている。図11ないし図14に示すように、連動ユニットは、左右一対のエンドブロック65と、エンドブロック65で回転自在に軸支される一対のプーリー66と、両プーリー66に巻掛けられるワイヤー(伝動体)67と、ワイヤー67の直線移行部分に固定される連結具68・69などで構成する。連動ユニットは、第2ドア2に固定したベース枠15に組付けられる。
エンドブロック65は、左右に長い長方形状のプラスチック成形品からなり、その中央寄りにプーリー66用の収容凹部72を有し、この収容凹部72に連続して前後一対のワイヤー凹部73が凹み形成してある。収容凹部72にプーリー66を装填し、プーリー軸74を収容凹部72の底壁にかしめ固定することにより、プーリー66をエンドブロック65で回転自在に軸支している。ワイヤー凹部73が設けられる側のエンドブロック65の側端には連結突起75が突設してあり、この突起75をベース枠15のビス溝34に差込み係合し、連結突起75をベース枠15と共にビス76で締結することにより、エンドブロック65がベース枠15および第2ドア2と一体化される。
ワイヤー67は、左右のプーリー66に巻掛けられて、その直線移行部分に連結具68・69を連結するためのエンド金具79が一対ずつ固定してある。図12および図13において、第1ドア1用の連結具68は、平面視においてコ字状に形成される連結腕80と、連結腕80の前側下面に設けた接続ピース81と、連結腕80の中央下面に設けた筒軸状の連結ボス82とを一体に備えたプラスチック成形品からなる。接続ピース81には、左右一対の係合凹部が形成してあり、この係合凹部に後側のエンド金具79を装着することにより、連結具68をワイヤー67に対して同行移動可能に連結することができる。また、第1ドア1の開放端側に配置した第1ランナー体14の連結凹部50に連結ボス82を係合し、さらに、連結ボス82に挿通したボルト84を連結凹部50の内奥に固定した板ナット(雌ねじ体)85にねじ込むことにより、連結具68を第1ランナー体14と一体化することができる。連結腕80の後部の突端には、後述するスライドロック機構で受け止められるロック片70が一体に設けてある。
揺動ドア3用の連結具69は、左右に長い枠体からなり、その右端の下面に一対の係合凹部を備えた接続ピース89を設け、左端の上面に連結ボス90を設けたプラスチック成形品からなる。図12ないし図14に示すように、接続ピース89の係合凹部に前側のエンド金具79を装着することにより、連結具69をワイヤー67に対して同行移動可能に連結することができる。また、揺動ドア3の後面に固定した連結ブロック91の連結凹部92に連結ボス90を係合し、さらに、連結ボス90に挿通したボルト93を連結凹部92の内奥に固定した板ナット(雌ねじ体)94にねじ込むことにより、連結具69を揺動3ドアに固定することができる。
第1ドア1と第2ドア2とが連動してスライド開閉するとき、各ドア1・2が前後にゆれ動くのを防止するために、図15に示すように、第1ドア1と第2ドア2の下端面に断面がコ字状の振止めレール95・96を埋設している。また、第2ドア2の下端面に固定した規制ローラー97を第1ドア1の振止めレール95に係合し、揺動ドア3の下端面に固定した規制ローラー98を第1ドア1の振止めレール96に係合している。規制ローラー97は第2ドア2の閉じ端の1個所に固定され、規制ローラー98は揺動ドア3の揺動先端の1個所に固定してある(図2参照)。
第1ドア1と第2ドア2のスライド開閉を円滑に行うために、揺動ドア3の揺動先端(自由端)と開口枠Sの上枠S3との間に、揺動ドア3を揺動不能にロック保持する第1揺動ロック機構(揺動ロック機構)を設け、第1ドア1と固定レールユニット11との間に第2揺動ロック機構(揺動ロック機構)を設けている。また、可動レールユニット12の揺動基端寄りの段部26に、第1ドア1のスライド開放動作を規制するスライドロック機構を設けて、3個のドア1・2・3が揺動開放されるとき、第1ドア1と第2ドア2が閉じ位置側へ滑出るのを規制している。さらに、第3ガイドレール23にキャッチ構造を設けて、開放位置までスライド開放された第1ドア1を開放位置に保持できるようにしている。
図16において、第1揺動ロック機構は、揺動ドア3の揺動先端(自由端)の後面に埋設されるケース101と、同ケース101で上下スライド自在に支持される平板状の揺動阻止体102と、揺動阻止体102を上向きに押上げ付勢する左右一対の付勢ばね103と、揺動阻止体102に対応して上枠S3に埋設される係合枠104などで構成する。揺動阻止体102の後面には、ケース101の後方へ突出する三角形状の受動片105が一体に設けてあり、この受動片105を第2ドア2の前隅に固定した解除片106で、付勢ばね103の付勢力に抗しながら押し下げ操作することにより、揺動阻止体102を係合枠104から分離して、ロック解除姿勢に切換えることができる。揺動ドア3を閉じた状態においては、第1ドア1と第2ドア2の合計重量を支持金具17で支持する必要があるが、支持金具17に作用する重量負担を軽減するために、図5に示すように、ドア凹部8の内奥に補助枠111を固定して、その受壁112で可動レールユニット12の掛止壁27を支持している。
揺動阻止体102は、ケース101で上下スライドのみ可能に支持してある。詳しくは、揺動阻止体102の左右をケース101に設けたガイド壁107で上下スライド自在に案内し、さらに受動片105をケース101に開口したガイド窓108で上下スライド自在に案内している。受動片105には斜面カム109が形成してある。係合枠104には、揺動阻止体102の出入りを許す係合溝110が上下貫通状に形成してある。揺動ドア3が閉じ位置にあるとき、揺動阻止体102は、図16に示すように付勢ばね103で押上げ操作されて、その上端が係合枠104の係合溝110に係合している。そのため、3個のドア1・2・3のいずれかに、外開き揺動する向きの外力が作用したとしても、揺動ドア3が開放揺動することはなく、閉じ姿勢を保持することができる。
第1ドア1および第2ドア2を開放位置までスライド開放操作した状態では、図17に示すように解除片106が受動片105の斜面カム109に乗り上がって、受動片105を付勢ばね103の付勢力に抗しながら押し下げ操作する。その結果、揺動阻止体102と係合枠104の係合溝110との係合状態が解除されて、揺動ドア3の拘束状態を解除することができる。このように、第1揺動ロック機構は、第1ドア1と第2ドア2とが開放位置までスライド開放された状態において、第2ドア2に設けた解除片106で自動的にロック解除操作される。
図17において、第2揺動ロック機構は、第1ドア1の閉じ端寄りの上面に突出するロックボルト(揺動阻止体)113と、ロックボルト113を操作ロッド114を介してロック解除操作する、内外一対の解除ハンドル115と、ロックボルト113を押上げ付勢するロックばね(付勢ばね)116などで構成する。図2に示すように解除ハンドル115は、ハンドル7の上側に設けてある。第2揺動ロック機構の全体は、第1ドア1のパネル内部に設けた組付穴117に収容してあり、ロックボルト113と操作ロッド114は連結ピン118で連結され、操作ロッド114と解除ハンドル115は連結ピン119で連結してある。ロックボルト113は、組付穴117の上端に固定したボルトガイド122で上下スライド自在に案内してある。符号123は、解除ハンドル115を上下スライド自在に案内するハンドルカバーであり、アルミダイキャスト成形品で形成してある。ロックボルト113の上端には、傾斜する係合案内面124と、第1ガイドレール21の前側のレール壁で受止められる平坦な係合部125とが設けてある。
第1ドア1および第2ドア2が閉じ位置にあるとき、ロックボルト113は第1ガイドレール21のレール開口に入込んでおり、両ドア1・2の開放移動に同行してレール開口に沿って開放方向へ移動する。また、両ドア1・2を開放位置までスライド開放した状態においては、第1揺動ロック機構の揺動阻止体102がロック解除姿勢に切換わって係合枠104から分離するが、その場合でも、ロックボルト113は第1ガイドレール21のレール開口に入込んでいる。そのため、第1ドア1および第2ドア2を開放位置までスライド操作した状態において、第1ドア1に使用者がもたれかかかった場合でも、ロックボルト113をロック解除操作しない限りは、各ドア1・2・3を揺動開放することができない。従って、使用者の意図に反して体勢が崩れてしまった場合でも、使用者を第1ドア1で受止めて転倒を防止でき、安全性を向上できる。
各ドア1・2・3を揺動開放するときは、解除ハンドル115をロックばね116の付勢力に抗して押下げて、ロックボルト113を第1ガイドレール21のレール開口の下面側へ退避させてロック解除姿勢にする。この状態で各ドア1・2・3を揺動操作することにより、開口枠Sの全体を揺動開放することができる。なお、固定レールユニット11は段違いレールとして構成してあるので、ロックボルト113は、その上端が第1ガイドレール21のレール壁をくぐり抜けるまでの間、ロック解除姿勢に保持しておけばよく、以後は解除ハンドル115から手を放すことができる。また、開放操作された各ドア1・2・3を閉じ揺動する場合には、係合案内面124が第1ガイドレール21の下隅部分に接当して、ロックボルト113の全体がロックばね116に抗して押し下げ操作されるので、解除ハンドル115を操作する必要もなく、ロックボルト113を第1ガイドレール21のレール開口に自動的に係合することができる。なお、第1揺動ロック機構は、第1ドア1および第2ドア2が閉じ移動し始めてから全閉位置までスライド移動するまでの間、揺動ドア3および可動レールユニット12を固定レールユニット11と平行に保持している。また、第2揺動ロック機構は、第1ドア1が開放位置から閉じ移動し始めるまでの間、第1揺動ロック機構の機能を肩代わりしている。
図18ないし図20において、スライドロック機構は、段部26に装着固定される左右横長のハウジング128と、ハウジング128で支軸129を介して上下揺動自在に支持される左右横長のロック体130と、揺動ドア3の開閉状態を検知する検知体131および検知ばね132と、検知体131の出退動作をロック体130の姿勢変更動作に変換するカム構造などで構成する。ハウジング128は、後述するエンドキャップ152で固定してある。
ハウジング128はプラスチック成形品からなり、その左側の過半部に前後一対のロック体130を収容する凹部133を設け、この凹部133に隣接して検知体131の一部と検知ばね132を収容するばね区画134を設けている。ロック体130は支軸129側の上下幅が小さく、揺動先端に近付くに従って上下幅が大きな板状のダイキャスト成形品からなり、その先端にロック片70の閉じ方向への移動を阻止するロック面135を備えている。ロック体130の前後の板壁にはカム溝136が形成してある。
図20に示すように、検知体131は角軸状のスライド軸139の上部にばね受片140を突設したプラスチック成形品からなり、スライド軸139の退入端側に操作腕141を備えている。ばね区画134の前後壁にはスライド溝142が形成してあり、スライド軸139の上部に固定した左右一対のスライドピン143をスライド溝142で案内することにより、検知体131の全体がハウジング128で左右スライド自在に支持されている。検知ばね132は圧縮ばねからなり、スライド軸139の進出端144がハウジング128から進出する向きに検知体131を移動付勢している。
揺動ドア3が閉じ姿勢になっている場合の検知体131は、図18(a)に示すように、その進出端144が開放端側の縦枠S2で受止められて、スライド軸139が検知ばね132の付勢力に抗してハウジング128の側へ退入している。また、図18(b)に示すように、揺動ドア3が開放姿勢になると、スライド軸139が検知ばね132でハウジング128の外へ向かって進出される。このように、スライド軸139が進出操作された状態においても、操作腕141の端部はロック体130の前後の板壁の間に保持されている。
上記のような検知体131の出退動作を利用してロック体130を切換えるために、検知体131とロック体130との間にカム構造を設けている。カム構造は、ロック体130の前後壁に設けた逆へ字状のカム溝136と、検知体131の操作腕141の端部に固定した操作ピン144とで構成する。検知体131はスライド溝142に沿って左右スライドでき、その間に操作ピン144がカム溝136を操作して、ロック体130を上下に変位操作する。カム溝136の近傍には、規制ピン137が固定してあり、この規制ピン137と係合する規制溝138でロック体130の揺動限界を規定している。
検知体131が検知ばね132に抗してハウジング128の側へ退入操作された状態では、操作ピン144がカム溝136の下端に位置するので、ロック体130は上方のロック解除姿勢に切換わる(図18(a)参照)。また、検知体131が検知ばね132でハウジング128の外へ進出された状態では、図18(b)に示すように操作ピン144はカム溝136の上端に位置するので、ロック体130はハウジング128の下面へ下降してロック姿勢に切換わり、ロック片70の移動を規制する。従って、ロック体130がロック姿勢に切換えられた後は、第1ドア1が閉じ位置側へスライド移行することはなく、第1ドア1および第2ドア2を揺動ドア3に同行して揺動開放できる。このように、スライドロック機構は、揺動ドア3が揺動開放されるのに連動して自動的にロック解除状態に切換わって、第1ドア1に設けたロック片70をロック保持できる。
図20に示すように、段部26の上側にはハウシング128用の係合溝147と、保護カバー148用の係合溝149が設けてある。先の係合溝147にハウシング128の上部に設けた断面がT字状の嵌合部150を差し込み係合し、さらに、ハウシング128の開放端に設けた断面がH字状の連結壁151(図19参照)に、エンドカバー152の係合溝153を係合することにより、スライドロック機構が可動レールユニット12に対して固定してある。エンドカバー152はプラスチック成形品からなり、可動レールユニット12の開放端に締結固定してある。符号154は保護カバー148に設けた嵌合部であり、先の係合溝149に係合してある。
上記のスライドロック機構におけるロック体130は、揺動ドア3が僅かに揺動開放してからでないとロック姿勢に切換わらない。そのため、揺動ドア3を勢いよく揺動開放するとき、ロック体130がロック片70を捕捉するのに先行して、第1、第2の各ドア2・3が運動慣性力で滑り出すおそれがある。こうした不具合を解消するために、第3ガイドレール23の開放端側にキャッチ構造を設けている。図21に示すように、キャッチ構造は、第3ガイドレール23の上壁の内面に固定されるベース157と、ベース157から片持状に連出される部分円弧状のキャッチ腕158とを一体に備えたプラスチック成形品からなる。第1ランナー体14のローラー枠38の上面には、キャッチ腕158に対応してキャッチ凹部159が凹み形成してある。ベース157は、第1ガイドレール21に対して板ナット160とビス161で締結固定してある。
第1、第2の両ドア1・2が揺動ドア3に同行して揺動開閉する際に、各ランナー体14・16が固定レールユニット11と接当干渉するのを確実に防止するために、固定レールユニット11と可動レールユニット12の隣接部の構造を次のように構成している。図22に示すように、固定レールユニット11側の固定レール開口平面P1と、可動レールユニット12側の可動レール開口平面P2を想定するとき、両レール開口平面P1・P2のそれぞれを傾斜面で形成して平行に対向させている。また、各レールユニット11・12における両レール開口平面P1・P2の前端位置が、両レール開口平面P1・P2の後端位置より閉じ端側(縦枠S1側)に位置するように、両レール開口平面P1・P2を傾斜させている。このように、両レール開口平面P1・P2のそれぞれを傾斜させると、第3、第4の各ガイドレール23・24における各ランナー体14・16の停止位置に多少のばらつきがあったとしても、各ランナー体14・16が固定レールユニット11と接当干渉することはない。従って、第1、第2の両ドア1・2を揺動ドア3に同行して、円滑に揺動開閉することができる。また、左右に隣接する固定レールユニット11と可動レールユニット12の隣接隙間を小さくすることができるので、両ユニット11・12の隣接部分におけるランナー体14・16の移乗をより円滑に行える。必要があれば、固定レール開口平面P1と可動レール開口平面P2とは、互いに接当する状態で対向する構造であってもよい。
第1ドア1および第2ドア2をスライド開閉するとき、第1ランナー体14は第1ガイドレール21と第3ガイドレール23との間を移乗し、同様に第2ランナー体16は第2ガイドレール22と第4ガイドレール24との間を移乗する。こうしたレール間の移乗を円滑に行うために、各ランナー体14・16の移乗始端に先導片41を設け、さらに、各ガイドレール21・22・23・24の隣接端、即ち、固定レールユニット11と可動レールユニット12の隣接端に、レール間の移乗を補助する移乗ガイド体165・166を設けている。先導片41の先導面51は、先の各レール開口平面P1・P2と平行になるように傾斜させてある。
図22に示すように、固定レールユニット11用の移乗ガイド体165は、各ガイドレール21・22のレール断面と相似状に形成される誘導口167と、誘導口167の装着基端側に突設される3個の装着ピース168を一体に設けたプラスチック成形品からなる。同様に、可動レールユニット12用の移乗ガイド体166は、各ガイドレール23・24のレール断面と同形に形成される誘導口169と、誘導口169の装着基端側に突設される3個の装着ピース170を一体に設けたプラスチック成形品からなる。移乗ガイド体165・166はそれぞれ、装着ピース168・170を各レール21〜24の前後壁に圧嵌係合して装着され、さらに、図示していないビスで締結することにより固定レールユニット11および可動レールユニット12に固定してある。
上記のように、各ランナー体14・16に先導片41を設け、さらに、固定レールユニット11と可動レールユニット12の隣接端に移乗ガイド体165・166を設けることにより、先導片41を他に先行して移乗ガイド体165・166に進入させることができる。また、移乗ガイド体165・166に進入した先導片41を誘導口169で移行案内して、ランナー体14・16の位置を移行相手側のレールの中心位置へと誘導することができる。従って、左右に対向する各ガイドレール21・23および22・24の前後位置や高さに多少の違いがあったとしても、ランナー体14・16によるレール間の移乗を円滑に行うことができる。
各ドア1・2・3は次の手順で開口枠Sに組付ける。まず、可動レールユニット12が組付けられた揺動ドア3をヒンジ5を介して開口枠Sに組付ける。次に、各規制ローラー97・98を振止めレール95・96に係合させながら、第1ドア1および第2ドア2をそれぞれ第3ガイドレール23および第4ガイドレール24に仮吊込みする。また、連結具68の位置を調整して、その連結ボス82を第1ランナー体14の連結凹部50に係合してボルト84で締結する。同様に、揺動ドア3の後面に連結ブロック91を締結固定し、連結具69の連結ボス90を連結ブロック91の連結凹部92に係合してボルト93で締結する。以上により、第1ドア1と第2ドア2と揺動ドア3を連動ユニットを介して連動開閉可能に接続することができる。施工の過程では、第1ドア1および第2ドア2を第3ガイドレール23と第4ガイドレール24に仮吊込みした状態で、各連結具68・69を第1ランナー体14および揺動ドア3に連結することができるので、ドアの吊込みや連動ユニットの組立などの一連の施工作業を、単独の作業者のみで簡便に行うことができる。
次に、複動式の開閉ドアを開閉するときの各部材の動作を説明する。図23(a)に示すように、第1ドア1と第2ドア2と揺動ドア3の三者が閉じ状態にあるとき、第1ドア1は第1ランナー体14を介して第1ガイドレール21で吊持されている。第2ドア2は第2ランナー体16を介して主に第2ガイドレール22で吊持され、開放端に位置する第2ランナー体16の一部が第4ガイドレール24で吊持されている。この状態で、ハンドル7を握って第1ドア1をスライド開放操作すると、図23(b)に示すように第1ドア1と第2ドア2とが同時にスライド開放される。このときの第2ドア2の開閉量は第1ドア1の開閉量の半分になるが、各ドア1・2ごとの移動率は常に同じであるので、両ドア1・2は同時に開放端に達する。
第2ドア2が開放位置に達する直前には、第1ランナー体14が第1ガイドレール21から第3ガイドレール23へ完全に移乗し、さらに第2ランナー体16が第2ガイドレール22から第4ガイドレール24へ移乗する。この直後に、開放端側の第1ランナー体14のローラー枠38に設けたキャッチ凹部159がキャッチ腕158で係合捕捉されている。また、揺動ロック構造の揺動阻止体102は、第2ドア2に設けた解除片106で押下げ操作されてロック解除姿勢に切換えられている。このように、第1ドア1と第2ドア2が開放位置までスライド開放された状態を図24に示している。この状態で、解除ハンドル115を押下げて、ロックボルト113を第1ガイドレール21のレール開口の下面側へ退避させてロック解除姿勢にしたのち、各ドア1・2・3を揺動操作することにより開口枠Sの全体を揺動開放することができる。このとき、検知体131が検知ばね132でハウジング128から外側方へ進出操作されて、スライドロック機構がロック状態に切換えられる。従って、第1ドア1および第2ドア2が閉じ方向へ滑出ることはない。
揺動開放した揺動ドア3を、閉じ位置まで戻すと、検知体131が再び開放端側の縦枠S2に受止められてハウジング128の内部に退入操作されるので、スライドロック機構はロック解除姿勢に切換わる。また、ロックボルト113は第1ガイドレール21のレール壁をくぐり抜けて、レール開口と再び係合する。この状態で、ハンドル7を握って第1ドア1を閉じ操作すると、まず、キャッチ凹部159がキャッチ腕158を弾性変形させながら、キャッチ腕158から分離する。第2ドア2が第1ドア1に同行して閉じ方向へスライド移動して間もなく、解除片106が受動片105の斜面カム109から分離するので、揺動阻止体102が付勢ばね103で押上げ操作されて係合枠104と係合し、揺動ドア3の揺動を規制する。
引続き第1ドア1を閉じ操作することにより、図23(b)に示すように、第1ドア1と第2ドア2とが閉じ方向へスライド移動して、第1ランナー体14が第3ガイドレール23から第1ガイドレール21に移乗し、さらに第2ランナー体16が第4ガイドレール24から第2ガイドレール22へ移乗する。最終的には、図23(a)に示すように開口枠Sが囲む開口部の全体を、第1ドア1と、第2ドア2と、揺動ドア3で塞いで閉止することができる。この状態の第2ドア2は、開閉連動構造を介して第1ドア1と揺動ドア3が繋がっているので、それ以上第2ドア2が閉じ側へ移動するのを規制できる。
以上のように、第1ドア1と第2ドア2と揺動ドア3で構成した3枚構造の開閉ドアによれば、図1に示すように、第1ドア1と第2ドア2をスライド開放して、揺動ドア3の後面に格納した状態における有効開口幅B2を、開口枠Sの全開口幅B1の半分以上の寸法にできる。具体的には、全開口幅B1を100とするときの有効開口幅B2は58である。従来の2枚構造の開閉ドアと比較すると、開口枠Sの全開口幅B1が1595mmである場合には、有効開口幅は924.5mmとなり、揺動ドア3を揺動開放するまでもなく簡便に出入りできる。また、車椅子に着座した状態で揺動ドア3を開放揺動する場合には、従来の開閉ドアに比べて揺動半径が小さな各ドア1〜3に接近した状態で揺動ドア3を揺動開放操作できるので、ドアの揺動開閉操作をより簡便にしかも楽に行うことができる。
以上のように構成した複動式の開閉ドアによれば、第1ドア1をスライド開閉操作するのと同時に第2ドア2を連動してスライド開閉できるので、第2ドア2の開閉動作が第1ドア1の開閉ストロークの終段において開始される場合に比べて、両ドア1・2のスライド開閉を円滑に行える。なお、第2ドア2の開閉移動量は第1ドア1の開閉移動量の半分となり、両ドア1・2は開閉ストロークの終端において、同時に全閉状態あるいは全開放状態に切換わる。さらに、第1ドア1と第2ドア2と揺動ドア3が、開閉連動構造を介して互いに接続してあるので、全閉状態において第2ドア2が閉じ端側へ移動するのを開閉連動構造で規制できるので、別途移動規制のための構造を設ける必要がなく、その分だけ複動式の開閉ドアの構造を簡素化してコストを削減できる。
上記以外に、第1ドア1に設けられるロック片70は、実施例で説明した構造である必要はなく、軸体や突起などで構成してあってもよい。ロック体130は、揺動変位してロック姿勢とロック解除姿勢とに切換わる構造である必要はなく、垂直、あるいは水平にスライド変位してロック姿勢とロック解除姿勢とに切換わる構造であってもよい。同様に検知体131は、揺動変位して退入姿勢と進出姿勢に切換わる構造であってもよい。第1ガイドレール21、第2ガイドレール22、第3ガイドレール23、第4ガイドレール24は、それぞれ独立したレール部品として構成してあってもよい。伝動体67は、ワイヤー以外の紐状体やタイミングベルトであってもよい。
図25および図26は、本発明に係る複動式の開閉ドアの別の実施例を示す。そこでは、第1ドア1の上端面に固定したベース枠13の開放端側に、高さ調整構造を備えた第1ランナー体14を配置し、固定したベース枠13の閉じ端側に第3ランナー体(ランナー体)75を配置している。第1ランナー体14の構造は、先の実施例で説明したランナー体14と基本的に同じであるが、3対のローラー40をローラー枠38でローラー軸39を介して回転自在に軸支する点が異なる。第3ランナー体75は、第1ランナー体14と基本的に同じ構造であるが、高さ調整機能を備えていない点が第1ランナー体14と異なる。先導片41は第3ランナー体75の閉じ端側にスプリングピンで固定してある。第2ドア2のベース枠15の左右には、高さ調整構造を備えていない第3ランナー体75が配置してある。
図26に示すように、この実施例においては解除片106を断面H字状の枠体で構成して、第2ドア2の上隅に固定した。解除片106は、エンドブロック65の前後面に密着する一対の上挟持壁175と、上挟持壁175の下側に連続する前後一対の接当脚176と、前後の上挟持壁175および接当脚176を繋ぐ締結座177を一体に備えている。第2ドア2が開放移動されて、接当脚176の下隅が受動片105の斜面カム109に接当することにより、揺動阻止体102をロック解除姿勢に切換えることができる。解除片106は、その締結座177が第2ドア2の上隅に設けた切欠部178に嵌め込まれて、図示していないビスで固定される。この状態の締結座77の上面と第2ドア2の上面とにわたってエンドブロック65、ベース枠15が載置固定してある。このように、解除片106を第2ドア2とベース枠15との間に固定すると、解除片106の外観を簡素で自然な印象にすることができる。また、解除片106の位置を確認することで第2ドア2の閉じ端を容易に特定することができる。同様に、連動ユニットと共に組まれるランナー体16は解除片106により方向が明確に判るので、組間違いを確実に防止できる。さらに、上挟持壁75および接当脚76は前後対称に形成してあるので、1個の解除片106のみで左右の勝手違いに対応することができる。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
各ドア1・2・3を閉じた状態では、第1ドア1の側面が開口枠Sの閉じ端側の縦枠S1に接当するが、開口枠Sの仕上がり形状にばらつきがある場合に、第1ドア1の側面を閉じ端側の縦枠S1に密着できず、くさび状の隙間を生じることがある。こうした場合に、第1ランナー体14に組込まれた高さ調整機能の調整ねじ58を操作して、第1ランナー体14の高さを調整することにより、第1ドア1の側面を閉じ端側の縦枠S1に密着させて、複動式の開閉ドアの外観上の体裁を向上することができる。なお、第1ランナー体14および第3ランナー体75は、全体を左右に反転し、先導片41をローラー枠38に対して左右逆に装着するだけで、右勝手仕様から左勝手仕様に簡単に変更することができる。
図27ないし図32は、本発明に係るドアの連動開閉装置を連動引戸に適用した実施例を示す。この実施例における前後、左右、上下とは、図27および図28に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図28において、連動引戸は、開口部の左右両側および上部に沿って配置した門形の開口枠Sと、開口部を開閉する第1ドア201、第2ドア202、第3ドア203と、これらのドア201〜203の支持構造などで構成してある。開口枠Sは、閉じ端側の縦枠S1と、開放端側の縦枠S2と、両縦枠S1・S2の上部どうしを繋ぐ上枠S3などで構成してある。
第1ドア201ないし第3ドア203は、それぞれスライド開閉されるスライドドアであって、第1ドア201の後面に第2ドア202が、第2ドア202の後面に第3ドア203が配置してある。第1ドア201の前面の側端と第3ドア203の後面の側端には、それぞれ把手204が設けてある。いずれか一方の把手204に手を掛けて各ドア201・203をスライド開放操作することにより、第1、第2の両ドア201・202を右開放位置まで開放でき、あるいは第3、第2の両ドア203・202を開放操作して左開放位置まで開放できる。右開放位置あるいは左開放位置における各ドア201〜203は前後に重なっており、閉じ位置における各ドア201〜203は側端どうしが前後に重なっている。
各ドア201〜203をスライド開閉するために、上枠S3の下面にレールユニット205を固定し(図27参照)、各ドア201〜203に固定した第1ランナー体(ランナー体)14と第2ランナー体(ランナー体)16をレールユニット205で吊持している。第1ドア201と第3ドア203の上端面にはベース枠13が固定してあり、このベース枠13の左右に第1ランナー体14が装着してある。また、第2ドア2の上端面にはベース枠15が固定してあり、このベース枠15の左右に第2ランナー体16が装着してある。この実施例におけるベース枠13・15、および両ランナー体14・16は、先の実施例で説明したベース枠およびランナー体と同じ構造であるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。各ドア201〜203の間、および第2ドア202と床面との間に振止め構造を設けている。
図27においてレールユニット205は、第1ガイドレール211と、第2ガイドレール212と、第3ガイドレール213を一体に備えたアルミニウム製の押出し成形品からなる。第1ドア201のランナー体14は、第1ガイドレール211で移行案内され、第2ドア202のランナー体16は、第2ガイドレール212で移行案内され、第3ドア203のランナー体14は、第3ガイドレール213で移行案内される。第1〜第3の各ガイドレール211〜213は、いずれも下向きに開口する状態で断面C字状に形成してあり、内面の下端にレール壁が前後に対向する状態で形成してある。前後中央の第2ガイドレール212は、第1ガイドレール211および第3ガイドレール213より高い位置に設けてあり、第1ガイドレール211および第3ガイドレール213の前後には遮蔽壁214が一体に形成してある。第1ガイドレール211と、第2ガイドレール212と、第3ガイドレール213は一体に形成する必要はなく、独立部品として形成してあってもよい。
レールユニット205は、各ドア201〜203を仮吊込みするために上枠S3の下面の左半分に固定される第1レール205Aと、仮吊込み後に上枠S3に固定される第2レール205Bとに分割してある(図28参照)。この実施例では、第1レール205Aと第2レール205Bを同じ長さに設定して、レール部品を共通して使用できるようにした。図27に示すように、第1レール205Aおよび第2レール205Bは、第1〜第3の各ガイドレール211〜213の上壁に挿通したボルト215を上枠S3にねじ込むことにより、上枠S3に固定してある。第1ガイドレール211および第3ガイドレール213の左右両端には、図21で説明したキャッチ構造のベース157が固定してある。なお、第1レール205Aと第2レール205Bの長さは異なっていてもよい。
第1ドア201あるいは第3ドア203のスライド開閉動作に連動して第2ドア202を開閉操作するために、第1ドア201と第2ドア202と第3ドア203との間に連動ユニットを設けている。連動ユニットは、第2ドア202に固定したベース枠15に組付けてある。この実施例における連動ユニットは、図11ないし図14で説明した連動ユニットと基本的に同じであるが、連結具218・219の構造が異なっているので、連結具218・219についてのみ説明し、他の部材については、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
図29において、第1ドア201用の連結具218は、平面視において羽子板状に形成される連結腕220と、連結腕220の後側下面に設けた接続ピース221と、連結腕220の前側下面の左右に設けた筒軸状の連結ボス222とを一体に備えたプラスチック成形品からなる。接続ピース221には、左右一対の係合凹部が形成してあり、この係合凹部に前側のエンド金具79を装着することにより、連結具218をワイヤー67に対して同行移動可能に連結することができる。また、第1ドア201の右開放端側に配置した第1ランナー体14の連結凹部50に連結ボス222を係合し、さらに、連結ボス222に挿通したボルト223を連結凹部50の内奥に固定した板ナット(雌ねじ体)85にねじ込むことにより、連結具218を第1ドア201の第1ランナー体14と一体化することができる。
第3ドア203用の連結具219は、第1ドア201用の連結具218と同じ構造であるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。連結具219に設けた接続ピース221の左右一対の係合凹部に、後側のエンド金具79を装着することにより、連結具219をワイヤー67に対して同行移動可能に連結することができる。また、第3ドア203の左開放端側に配置した第1ランナー体14の連結凹部50に連結ボス222を係合し、さらに、連結ボス222に挿通したボルト224を連結凹部50の内奥に固定した板ナット(雌ねじ体)85にねじ込むことにより、連結具219を第3ドア203の第1ランナー体14と一体化することができる。なお、第1ランナー体14の側に連結ボス222を設け、各連結具218・219の側に連結凹部50を設けて、各連結具218・219をボルト223・224で第1ランナー体14と連結することができる。
図27および図28において振止め構造は、第2ドア202と床面との間に設けた磁気式の振止め構造と、第1ドア201〜第3ドア203の隣接部の間に設けたドア間の振止め構造とで構成してある。磁気式の振止め構造は、第2ドア202の下面に埋設した磁性金属板製の振止めレール226と、床面に沿って埋設したケース227と、各ケース227で上下出没自在に案内支持した左右一対の規制体228と、規制体228の上部に埋設した磁石229などで構成する。規制体228の上面を第2ドア202が通過するとき、磁石229と振止めレール226との磁気吸着作用により、規制体228が上昇して振止めレール226と係合するので、第2ドア202が前後に揺動するのを規制できる。第2ドア202が規制体228の上面を通過してしまうと、規制体228は自重でケース227内へ下降して、その上端が床面と面一になる。
ドア間の振止め構造は、第1ドア201と第3ドア203の下端面に埋設した、断面がコ字状の振止めレール232・233と、第2ドア202の下端の前後面に固定した規制ローラー234・235とで構成する。第2ドア202の前面に固定した規制ローラー234は、図28に示すように第2ドア202の左端に配置されて、第1ドア201に設けた振止めレール232と係合している。また、第2ドア202の後面に固定した規制ローラー235は、第2ドア202の右端に配置されて、第3ドア203に設けた振止めレール233と係合している。
第1から第3の各ドア201・202・203は、次の手順で開口枠Sに組付ける。まず、第1レール205Aを上枠S3に締結固定し、第1から第3の各ガイドレール211・212・213に、第1ランナー体14および第2ランナー体16を差込んで、第1から第3の各ドア201・202・203を1個ずつ吊込む。このとき、各規制ローラー234・235を振止めレール232・233に係合させながら、各ドア201・202・203をそれぞれ第1から第3の各ガイドレール211〜213に仮吊込みする。
次に、連結具218の位置を調整して、その連結ボス222を第1ドア201の第1ランナー体14の連結凹部50に係合してボルト223で締結する。同様に、連結具219の位置を調整して、その連結ボス222を第3ドア203の第1ランナー体14の連結凹部50に係合してボルト224で締結する。以上により、第1ドア201と第2ドア202と第3ドア203を連動ユニットを介して連動開閉可能に接続することができる。こののち、第2レール205Bを第1レール205Aに連続する状態で上枠S3に締結する。最後に、各ランナー体14・16の高さ調整構造を調整して、各ドア201〜203の高さを調整する。なお、仮吊込みのために上枠S3に固定するレールは、第2レール205Bであってもよい。
次に、連動引戸を開閉するときの各部材の動作を説明する。図31(a)に示すように、第1から第3の各ドア201・202・203が閉じられた状態で、把手204に手を掛けて第1ドア201を右方向へスライド開放操作すると、第1ドア201はキャッチ構造の係合力に抗して右方向へ開放移動し、同時に第2ドア202が、図31(b)に示すように第1ドア201に同行してスライド開放される。しかし、第3ドア203は、その右端が右縦枠S2で受止められているので停止した状態を保持する。このときの第2ドア202の開閉量は第1ドア201の開閉量の半分になるが、各ドア201・202ごとの移動率は常に同じであるので、両ドア201・202は図31(c)に示すように最終的に同時に右開放端に達して、第3ドア203の前面に重なる。
第2ドア201が開放位置に達するのと同時に、第1ドア201の右開放端側の第1ランナー体14がキャッチ腕(図示していない)で係合捕捉される。このときの有効開口幅B2は、開口枠Sの全開口幅B1の半分以上の寸法にできる。具体的には、図31に示すように開口枠Sの全開口幅B1が1595mmである場合には、有効開口幅B2は999.5mmとなる。
第1から第3の各ドア201・202・203が開放状態にあるとき、把手204に手を掛けて第1ドア201を左方向へ閉じスライド操作すると、第1ドア201はキャッチ構造の係合力に抗して左方向へ閉じ移動し、同時に第2ドア202が第1ドア201に同行して閉じスライド移動する。しかし、第3ドア203は、キャッチ構造で係合保持されて停止状態を保持しているので、図32(a)に示すように、第1ドア201と第2ドア202を左開放端まで支障なく閉じ操作することができる。
第1から第3の各ドア201・202・203が開放状態にあるとき、第3ドア203を閉じスライド操作して、上記と同様に第1から第3の各ドア201・202・203を閉じることができる。その場合には、把手204に手を掛けて第3ドア203を左方向へ閉じ操作すると、第3ドア203はキャッチ構造の係合力に抗して左方向へ閉じスライド移動し、同時に第2ドア202が第3ドア203に同行して閉じスライド移動する。しかし、第1ドア201は、キャッチ構造で係合保持されて停止状態を保持しているので、図32(b)に示すように、第3ドア203と第2ドア202を左開放端まで支障なく閉じスライド操作することができる。
以上のように構成した連動引戸によれば、第1ドア201、または第3ドア203を開閉操作するのと同時に第2ドア202を連動してスライド開閉できるので、第1から第3の各ドア201・202・203のスライド開閉を円滑に行える。第1ドア201と第2ドア202と第3ドア203が、開閉連動構造を介して互いに接続してあるので、全閉状態において第2ドア202が左右いずれかへ移動するのを規制できる。従って、別途移動規制のための構造を設ける必要がなく、その分だけ連動引戸の構造を簡素化できる。また、各ランナー体14・16と連動ユニットとは、対応するベース枠13・15を含んでユニット部品化してある。そのため、施工現場での組み間違いを一掃できるうえ、各ランナー体14・16や連動ユニットを各ドア201〜203に組付ける手間、すなわち施工に要する手間を著しく軽減できる。
第1レール205Aと第2レール205Bのいずれか一方を上枠S3に締結して、締結されたレールに第1から第3の各ドア201・202・203を1個ずつ仮吊込みするので、各ドア201〜203の吊り込み作業を単独の作業者のみで容易に行うことができる。さらに、仮吊込みした後の連結具218・219と各ランナー体14との連結作業や、残るレールの上枠S3に対する取付作業も単独の作業者のみで簡便に行える。
上記の実施例では、レールユニット205を第1レール205Aと第2レール205Bとに分割して、各ドア201〜203を片方のレールに仮吊込みできるようにしたが、その必要はない。たとえば、レールユニット205を上枠S3とほぼ同じ長さの1個のレールで構成し、各ガイドレール211〜213の長手方向の2個所に、第1ランナー体14と第2ランナー体16を出入れするランナー開口を設けておき、このランナー開口から各ランナー体14・16を各ガイドレール211〜213に仮吊り込みすることができる。ランナー開口は、各ガイドレール211〜213のレール開口において前後に対向するレール壁を切欠いて形成することができ、各ランナー体14・16をレール内へ仮吊り込みしたあとで、ランナー開口を蓋体で塞ぐことにより、各ランナー体14・16を支障なく移行させることができる。
図5で説明した可動レールユニット12はアウトセットレールとして使用することができる。その場合には、図33に示すように、支持金具181をL字状に形成して、その縦壁182をビス183で取付壁面に固定する。可動レールユニット12と支持金具181とは、可動レールユニット12の内面側から、ビス184を支持金具181の複数個所にねじ込むことにより締結してある。このように、L字状に形成した支持金具181を使用することにより、可動レールユニット12を垂直の壁面に固定でき、さらに、天井壁の間近に可動レールユニット12を組むことができる。可動レールユニット12を構成する第3ガイドレール23と第4ガイドレール24は一体に形成する必要はなく、独立部品として形成してあってもよい。